Architecture Portfolio
Selected Under Graduate Works 2019-2020
Shimizu Yuki
清水 優希
Profile
Shimizu Yuki 1999.7
大阪府和泉市生まれ
2018.3
大阪府立三国丘高等学校 文理学科 卒業
2018.4
関西学院大学 総合政策学部 都市政策学科 入学
2020.4
同学科 八木康夫研究室 所属
Skill
Autocad
Photoshop
Illustrator
Archicad
1
Contents
01 自然の奏でる旋律に誘われて P3-14
02 彩を織り成す住宅 P15-22
03 集いの散歩道 P23-30
04 新たな息吹を吹き込んで P31-40
2
01
自然の奏でる旋律に誘われて
現代の生活に流れる時間軸の中で起こる出来事はどこか突発的で前後のつながりの無いものが多く淡泊である。それに比 べて自然の時間軸の中で生まれるものは過去、現在、未来というおおらかなつながりを持っているように感じられる。 本提案では日常生活の中でなかなか想いを馳せることの少ない自然の存在を、この公園内の美術館、また新宮氏の彫刻作 品とともに五感を働かせて感じることにより、自分と自然の関係性、また自分と他者との関係性を再認識する。ここで生 まれる多種多様な感情は「今」という点にしかつながれていない私たちを過去、未来とつなげ自然のおおらかな時間軸へ といざなう。
Building Tipe|
Site|
Presentation|
Date|
3
Museum
Gakuen West Park,Sanda,Hyogo
Autocad,Illustrator,Photoshop
2020 Spring
▶Artist 新宮晋氏
自然との共生。 自然との対話。 自然とともに生きるということはどういうことか。
兵庫県三田市を拠点に活動する日本の彫刻家。風や水で動く彫刻のほか、絵本、舞台作品などを発表し続けている。
▶集う人々
創作活動の拠点として公園に滞在する芸術家。普段の散歩道として、 コミュニティの起点として利用する地域住民。そして、新宮氏の作品 を鑑賞するためにやってくる人たち。様々な人がこの公園を訪れる。 自然の時間の流れの中で自然と自分の関係性を見つめなおす場とし 近所の人々
美術館を訪れる人
芸術家
て、また時に新たな出会いの場としてこの場所は利用される。
4
▶Site 兵庫県三田市
▶Process 三田市の年間の風向きで最も大きな割合を占めているのは北から北西の風であり冬を中 心に 200 日近くの風向きが北から北西にかけて吹く風である。本提案では風の道筋であ る北西方向に軸を設定し新宮氏の彫刻作品を配置。それを望むような形で各建物を設定 する。
学園西公園
北西方向に風の軸線を設定する。
風の彫刻
水の彫刻
水の彫刻
敷地は兵庫県三田市に位置する学園西公園。学園都市としてニュータウン開発が進められている街の中の自然豊かな場所に 風の彫刻
位置している。日々移ろいゆく自然の風景が伊助谷池に映し出される。住宅地のなかで自然を感じることのできるこの公園
し、それを望むような形で建物を
には犬の散歩やジョギングをする人、子どもたちなど様々な人が集まる。
5
軸線に風の彫刻、水の彫刻を配置
計画する。
葉が風に吹かれこすれる音や、鳥のさえずり、雨の
池の周りを囲むように生い茂る木々。季節により変化す
うっそうと木々が生い茂る場所で木々の間から降り注ぐ
高台から見る伊助谷池。雲の動き、木々の様子など日々
音など少し耳を傾ければ、自然のメロディーが聴こ
る葉の色、木漏れ日の柔らかい光、風に揺れる木々の音。
光、光が真上からさす開けた丘、池の水面の光など様々
の自然の移ろいを水面上に映し出している。
えてくる。
様々なシーンが生まれる。
な光の感じ方を体験できる。
▶公園内で感じられる五感 高台からは、俯瞰的に公園の様子を 見て感じることができる。
入り組んだ場所は自然に
小鳥のさえずりに耳をすます。
包まれている感じを与える。
急な斜面に木々が生い茂る。 高低差によって景色が変化する。 公園内の池の様子、季節の移ろいを 感じることができる。 丘の上からは視界が開け、 空の景色の季節の移ろいを 感じることができる。
木々が生い茂り、木のこすれる音や 土のにおいを感じる。 水に映る木々の影や、水の揺らぐ みなもに想いを馳せる。
配置図 6
▶五感ではかる距離
物理的な距離
自然との距離
作品との距離
物理的な距離だけでなく私たちの五感が自然に、展示作品に対してどれだけ向いているか、
様々な角度から作品を鑑賞することで新宮氏が作品を通して、私たちに訴えかけようとしているメッセージを理解する。
によっても、自然との関係性や、自然に対して感じるものに変化が生じる。
また、自然とともに生きるとはどういうことかを考える。
物理的な位置関係の変化により五感で感じるものに変化が生じる。見えるもの聞こえるものなどが変化する。
作品に近づく、遠ざかるなど、多角から見下ろす、真下から、見上げるなど自分と作品との位置関係の変化によって、 作品に対するイメージが変化する。
高い
低い 遠い
近い
切り取って感じる
どこにでもある自然、どこまでも続く自然をあえて切り取ることによって自然に対するイメージが変化する。
作品を切り取ってみることによって、周りの背景と一体化して、自然の中に溶け込む作品の姿を鑑賞できる。
普段気にしていない自然の恵みに想いを馳せる。
スリット
五感の重層化
聞く
要素少ない 7
窓
壁
自然を感じる五感の要素が増えるほど私たちの感じる景色はより立体的なものとしてとらえられる。
作品だけをじっくり鑑賞し、感じる空間。作品に込められたものに、想いを馳せる。想像する。
特に風などの目に見えない自然の要素に対しては感じられるものは五感でそれとの距離感をつかむ。
そこに光や風が入り込むと作品に対して働く五感は増え、躍動感が生まれる。
聞く・触れる
聞く・見る
聞く・見る・匂い・触れる・触れる
要素多い
作品と私との対話
光により作品のイメージが
作品の受けている自然のチカラ
変化する。
を自分自身の全身で感じながら 鑑賞する。
Ⅰ 美術館棟 新宮氏の作品を展示する美術館。この公園の中で、最も樹々が生い茂り、自然の移ろいを全身で 受け止め感じることができる。風の彫刻作品が展示される丘に面したエントランスをくぐると、 大きな吹抜となりそこに展示される新宮氏の作品と対峙する。移ろいゆく自然を見て感じ、時に 肌でも感じることができるこの美術館を巡りながら新宮氏の作品を鑑賞することで、自然ととも に生きるとはどういうことか、自然と自分の関係性を見つめなおす場となる。 A
13
11
6
12
5
B
8
B
9
10 3
4
7
2
1
A
1 階 平面図 1:500
1. 事務室
5. 展示室1
9.
2. ショップ
6. 屋外展示
10. トイレ
3. エントランス
7.
展示室2
11. 展示室3
4. 吹き抜け展示
8.
風の丘
12. 収蔵室
廊下
2階 平面図 1:500
1000
5000
1000
2000
13. 屋外展示 8
エントランスから続く通路
展示室Ⅰ
周囲の景色を映し出す。エントランスから徐々に奥に足を運ぶと
2階に設けられた展示室。自然光を取り込むスリットから降り注
だんだんと樹々の生い茂る景色へと変化する。その移ろいゆく風
ぐ光が、展示室に陰影をもたらす。光と影が織りなす空間で作品
景は私たちを日常から非日常へといざなう。
を楽しむ。
1
2
4
5 6
9
1. 事務室
9.
2. ショップ
11. 展示室3
廊下
4. 吹き抜け展示
13. 屋外展示
5. 展示室1 6. 屋外展示 1000
5000
1000
2000
A-A’断面図 1:300
9
11
13
屋外デッキ
吹き抜け展示
丘から池へと張り出した屋外デッキ。少しずつ水との距離が近く
吹き抜け上部から作品を鑑賞する。
なってゆき、自分との関係性、そこから感じる五感に変化が生じる。
一階から作品を見上げる。その距離によって、印象が変化し多様
上のほうから揺れる水面を眺め、水面近くでは少しひんやりした
な感覚をもたらす。
風を肌で感じる。
4
7
9
3
10
3. エントランス
7.
展示室2
4. 吹き抜け展示
9.
廊下
10. トイレ
B-B’断面図 1:300
1. 事務室
9.
2. ショップ
11. 展示室3
10004. 吹き抜け展示 5000
廊下
1000 13. 屋外展示
2000
5. 展示室1 6. 屋外展示 10
Ⅱ アトリエ・交流棟 芸術家の創作活動の拠点としてのアトリエに美術館を訪れる人、また近所の人が自由に行き来で きるこの場所は双方にとっての新たな出会いの空間となる。アトリエのすぐ横にはワークショッ プなどを開催できる工房を設け、創作活動をする芸術家との交流を図る。2 か所に分かれている アトリエからはそれぞれ違った景色が見え、高さにより変化する池のイメージやにおいなどを感 じることができる。自然に大きく開かれたこの空間で生まれる新たな出会い、発見は何気ない日 常に新たな価値を与えてくれる。 4
4
A
A 5 1
3
2
3
2
5
4
5 4
5
1. 屋外デッキ
4. アトリエ
2. 工房
5. 居住スペース
3. エントランス
1000
5000
1000
1000
2000
1 階 平面図 1:300
11
5000
1000
2000
2 階 平面図 1:500
アトリエ
屋外階段
水面上に突き出したアトリエは、訪れた人と、アーティストが
階段を上りながら、上を見上げると、壁の間から空の青さを望む
交わり、新たな交流、出会いの場となる。
ことができる。胸いっぱいに自然の空気を吸いながら、自然のお おらかな時間の中にみをおく。
2
3
3 1
1
2 1. 屋外デッキ 2. 工房 3. エントランス
A-A’断面図 1:300
1000
5000
1000
2000
12
Ⅰ レストラン・事務所棟
1
遠方から美術館に訪れる人々を迎え入れる場所。レストランに突き出した展望デッキからは、 風の軸線に配置された風の彫刻、そして水の彫刻を一望できる。風の気配や、池に映る周りの 風景など、自然を感じることのできるこの空間はこれから美術館を訪れる人、散歩を終え少し 2
休憩したい人、など様々な人の憩いの場となる。
4
5
3
6
7
池の景色を壁にあけられた額からのぞくことで公園の景色を絵画 のように楽しむことができる。
1. 交流スペース
5. 厨房
2. ミーティングスペース
6. レストラン
3. 事務室
7. 屋外鑑賞スペース
4. トイレ
1000
5000
1000
2000
1 階 平面図 1:300
13
14
02
彩を織り成す住宅
画家の夫のためのアトリエ、ギャラリーを兼ねた職住一体の住まいについての提案で ある。神戸北野。敷地周辺には小さなギャラリーが点在しており、この場所にも、通 りがかった人たちがふらっとギャラリーを訪ねてくる。個人の仕事や特技を媒介にし た交流が暮らしの中に織り込まれることにより、北野のまちに溶け込んでゆくととも に、仕事場としてのアトリエ・ギャラリーで構成される職の螺旋がまちを訪れる人を 惹き込むことによって、公共空間と私有地の境界があいまいとなり、まちの雰囲気が 暮らしの中に織り込まれる。
Building Tipe|
Site|
Presentation|
Date|
15
Housing
Kitano,Kobe,Hyogo
Autocad,Illustrator,Photoshop,Archicad,Watercolor
2019 Fall
Introduction ▶家族構成
北野 異人館 風景画家(夫) 神戸六甲の風景を中心に描く画家。 自宅で過ごす時間も定期的に個展などもひらく。
妻 芸術鑑賞、読書等が趣味である。
子ども(小学生)
至北野異人館
三ノ宮駅周辺
メリケンパーク
Site
北野坂
至三ノ宮駅
敷地から北側を望む
北野坂
ハンター坂 ギャラリー
南側から敷地方向を望む
▶Site 兵庫県神戸市 北野 ハンター坂 たくさんの観光客が訪れる北野坂から一筋西に入った閑静な住宅街に位置するハンター坂。このハンター坂 の一角に今回の敷地は存在する。この地は、かつて貿易業のかたわら造船業をおこしたハンター氏の邸宅が あったことに由来する。この異国情緒あふれる閑静な住宅街の生活圏にひっそりとギャラリーや店舗が根付 いている。
六甲の山に向かってのびる長い坂道を登れば行きつくある一軒の家。 都市の中で見失われがちな自然の風景を描く画家の家族が暮らしている。
16
▶DiagramⅠ まちに対してひらくこと
四角いボリュームに対して、斜めに道を通すことによ り、角地であるこの敷地に新たな導線が生まれ、街に 対してひらく第一歩となる。
B' A
GL-1600
敷地に対して四角いボリュームを配置する。
A'
4
B
通り抜けるような道を敷地内に通す。
GL-1600
1 2
更にボリュームをずらすことで
GL-800
B
そこに新たな空間が生まれる。
3
A
1000
5000
N
S=1:100
GL+500 Plan
1. ゲストルーム
A. ガレージ
2. 洗面所
B. エントランス(住居)
3. バスルーム 4. エントランス(アトリエ)
17
▶DiagramⅡ 螺旋の中に織り込まれる暮らし
仕事場としてのアトリエのらせんと、家族と の時間を大切にする生活のらせんが交差する ことにより、より重層的な暮らしがこの家の 中に生まれる。
家族の暮らしがにじみ出る生活の螺旋
6
生活の螺旋・アトリエの螺旋が織り込まれ
ギャラリー・アトリエの螺旋
互いに気配や雰囲気を伝え合う。
H
GL+1600 A'
通りから引き込まれる
A'
A'
A'
A'
A'
A'
GL+4000 I
G
GL+3200 GL+800
B'
GL+3200
F
5
B'
A'
B'
B'
GL+2400
B'
B'
B'
B'
6
GL+2400 E GL+800 C
GL+3200
GL+3200
7
7
GL+4000 7
A
A
A
A
A
A
A
A
GL+1600 D
GL+2000 Plan B
B
1000
5000
GL+3500 Plan B
N
S=1:150
B
GL+5000 Plan B
B
B
5. 談話室
C. リビング
G. 洗面所
6. ギャラリー
D. ダイニングキッチン
H. バスルーム
7. アトリエ
E. キッズルーム
I. ベッドルーム
B
F. サンルーム 18
北野坂から少し寄り道をしてみる。いつもの買い物の帰り少し回り道をしてみる。 そんな些細な選択の連続でハンター坂にやってくる人たち。 人の生活圏と都市の賑わいが混ざり合い双方がお互いを受入れ、歩み寄ろうとするおおらかな時間が流れる場所である。
7
6
E
D
C 1
1000
19
5000
S=1:100
A-A’Section
1. ゲストルーム
C. エントランス(住居)
6. ギャラリー
D. リビング
7. アトリエ
F. ダイニングキッチン
玄関
リビングダイニングキッチン
アトリエの入り口と、住宅の入り口をつなぐ通り抜け道。
スキップフロアで、緩やかにつながる、家族の共有空間、アトリエのらせんの最上部に
家族と来訪者のお互いの気配を感じる。
位置する夫のアトリエと吹き抜けでつながる。
アトリエのらせん玄関からギャラリーをのぞむ。
20
螺旋を上るにつれて、街に対してオープンな空間から、家族だけのための私的空間へと緩やかに変化する。 ギャラリーに来客があると、リビングの窓からその気配を感じる。 アトリエの螺旋と住居の螺旋はちょうどいい距離感を保ちながら、この敷地の中で混ざりあっている。
7
F
5
D
A
1
1000 21
5000
S=1:100
G
B-B’Section
1. ゲストルーム
A. ガレージ
5. 談話室
D. リビング
7. アトリエ
F. サンルーム G. 洗面所
East Elevation
South Elevation
1000
5000
S=1:100 22
03
集いの散歩道
駅という場所は人の流れが速く時々刻々と状況が変化する 場所である。ここ新三田駅も、学生やサラリ―マンをはじめ 時間や曜日により人の流れが変化する。そして、この土地の 周りを取り巻く豊かな自然の風景、人々が生み出すカルチャー も時間の流れの中で変化するものだ。このような時々刻々と 変化するものを許容し、時にともに場を作り上げていくよう な空間を創りたい。パタン化され、常にどこか時間に縛られ ている生活の中で、少し遠回りをしたり、寄り道をしたりす ると、思いがけないささやかな幸せを発見することも少なく ない。日常の中に、新たな発見、幸せをプラスする、その人 たちの居場所を創出できるような空間を提案する。
Building Tipe|
Site|
Shinsanda Station,Sanda,Hyogo
Presentation|
Autocad,Illustrator,Photoshop
Date|
23
Community Facility
2020 Spring
自然豊かな土地
▶Site 新三田駅前
武庫川
テクノパーク
この地域では、昔から人々の生活の基盤として武庫川が利用されてきた。 武庫川の豊かな水を利用して、稲作が行われている。南北に向かって流れ る武庫川の流れに沿って鉄道が引かれ、毎日多くのヒト、モノを阪神の大 都市圏へと運んでいる。現在はニュータウンからは直接望むことができな い武庫川だが、現在も武庫川はニュータウンの生活を支える大きなインフ ラの役割を担っている。
Site
神戸三田キャンパス
新三田駅前
有馬富士 北側に位置する有馬富士。四季により、また、天候により山の表情 は変化する。晴れの日には山の頂を望むことができとても美しい。 一方、曇りや雨の日でも、低い部分に雲がかかったり、霧で一部が 隠れる有馬富士の様子も趣深い。
田園風景 武庫川の水流を利用して、昔から行われてきた、農作。田植えの時
北摂三田ニュータウン
期には水面に周りの風景が映り込み、秋には、稲穂が垂れ下がり一 面が黄金色に染まる。
新三田駅前。学生、サラリーマン、主婦など多くの人々が、電車を利用する ため、また電車からバスに乗り換え目的地へ向かうため足早に通過する。敷 地周辺は田園風景が広がり東側には、武庫川が流れ、北東方向には有馬富士 の山の風景を望むことができる自然豊かな場所である。しかし、新三田駅は、
河川敷の桜並木
北摂ニュータウン、そして、神戸三田キャンパス、テクノパークなどへ向か
武庫川に沿って南北に延びる河川敷。天気の良い日には近所の人た
う乗り換え地点であるため、そこに長くとどまる人は少ない。
ちの散歩道となっている。春には桜が満開となり、お花見を楽しむ。
24
1F Plan 1:500
スタジオ③
雑誌・新聞コーナー
川辺に突き出したスタジオ。
市民ギャラリー
一階部に設けられた、この空間はバスを待つ人や、
川の風を感じながら、デッキでダンスの練習もできる。
エントランスから一続きとなる、市民ギャラリーは、
通りがかった人が気軽に立ち寄れる。
やってきた人がふらっと立ち寄れる。
河川敷を通る人から中の賑わいが分かる。
A’ 自然のはらっぱ トイレ ホワイエ
静の庭 市民ギャラリー
市民ギャラリー
本の道
B
B’ PCルーム
スタジオ③
ミニシアター
スタジオ①
カフェ 新聞・雑誌閲覧
スタジオ②
オフィス コモンスペース エントランス
エントランス
中庭
A
にぎわいの広場 本の道
ミニシアター スタジオ②
広場からも、内部からもアクセスできる。学生の研究
可動式の間仕切りで仕切って利用した
発表や、休日のイベントの場など、多用途で利用可能
り、廊下と一体となって使用できる。
人々の流れを受け入れる一階は、誰もが自分の好きなことをしたり、仲間と学びを共有するコモンスペース、カフェ、 読書スペースが緩やかにつながり、自分の好きな居場所を見つけられる。 また、広場とも密接につながり、人の行動が駅の賑わいにつながっていく。
25
人の流れ
1000
5000
1000
2000
▶Process
B
A
C
1.敷地の中にそれぞれ性質を持った広場を
2.広場の周りに人々が散歩するような動線が生
3.動線と広場をヒントに建物を配置する。
配置する。
まれる
機能を持った帯を交差させることでただの広 場、道ではなく魅力的な寄り道空間となる
A 賑わいの広場 B 静の庭 C 自然の原っぱ
▶シーンに合わせて様々な文化を受け入れる広場
A にぎわい広場
B 静の庭
バスロータリーに面したこの広場は、休日には
コモンスペースとつながるこの広場では、定期的に
地域のイベントの場として利用される。
紙芝居などの読み聞かせが行われる。
26
2F Plan 1:500
本の道
図書館小道
壁一面に設けられた本の棚から、
図書館へつながる外部デッキ。
桜のデッキ・川のデッキ 武庫川からの風を感じながら読書を したり、お花見をしたりできる。 桜のデッキ
自分のお気に入り一冊を見つける。
天気の良い日は本を開いたり、休日は、
階段に腰かけて本を読む。
賑わいの広場と一体として、使用されたりす
図書館小道
本の道 調べものコーナー 吹抜
ミーティング ルーム①
ミーティング ルーム②
吹抜
ライブラリ
にぎわいテラス
本の道
ミーティングルーム 図書館の本を持ち込んで、調べ物 をしたり、研究ミーティングを開 催したりする。
にぎわいテラス にぎわいの広場を眺めながら、 本を読んだりおしゃべりをしたりする。
落ち着いて自分の作業を行ったり、個人の学びを深めることができるライブラリ。 周りに設けられたデッキ空間で本を持ち出して読んだり、少し外の空気を吸ってリフレッシュすることができる。
27
1000
5000
1000
2000
スタジオ②
▶散歩道のような帯 個人の学びの蓄積と共有の空間が立体的に絡まり合い、交差する。交差部では、それぞれの機能が他の帯に滲み出し、人との交流、また、新たな関心のきっかけとなる。
ライブラリ
ミーティング
ライブラリ
PC ルーム
ルーム
ワーキング スペース
コモンズ
PC ルーム スタジオ
ワーキング
ミーティング
スペース
コモンズ
スタジオ
ルーム
個人の学びの場
学びの共有の場
学びの帯と共有の帯
スケールを変えながら立体的に交差し、 他の帯との機能が、交じり合う。
図書館小道
PC ルーム
本の道 外の景色を眺めながら、ゆっくりと本を読む。
カフェから、市民ギャラリーを望む。 1 つの道として内部空間が構成されることにより複数のアクティビティが融合する。
28
様々な人が集まってくる・・・・
▶個人の学び➡学びの共有➡発信の場へ 関学生
個人としての学びの場、そこで学んだことを共に共有し、学びを深める場、そして、学んだこと、得たことを多くの人たちに発 信し学びの輪を広げる場。それぞれの場所で人は新たなキヅキを得て成長し、時に新しい仲間と出会う。
学びの共有 スタジオ・コモンスペース・
お年寄り サラリーマン
ミーティングルーム
地域住民 個人の学び ライブラリ・自習スペース
29
発信の場 ミニシアター・駅前広場 市民ギャラリー
自然と内部にいざなわれていく散歩道
河川敷からのアプローチ
河川敷から中の様子が見える。入ってみよう。
今日はどんな出会い・発見があるだろう・・・・
8
スタジオ②
10
曲線の壁が、空間を柔らかく分ける。
5
新聞雑誌閲覧
外の眺めを楽しみながら新聞を読んで一休み。
3
5 ライブラリ
ライブラリ吹抜
本がずらりと並ぶライブラリ。お気に入りの一冊に出会える。
ふと上を見上てみると、ライブラリの様子が見える。
4
13
5
6
7
市民ギャラリー吹抜
13
下を見ると何か展覧会が行われている。
2
8
8
10
11
市民ギャラリーでは、地域の人の絵画が展示されている。
シアター
今日は、学生の研究発表会が行われている様子。
5
13 1
14
市民ギャラリー
14
13
12
1. 自然のはらっぱ
6. ミーティングルーム①
11.PC ルーム
2. スタジオ③
7. 本の道
12. 静の庭
3. 川辺のデッキ
8. スタジオ②
13. 市民ギャラリー
4. ミーティングルーム②
9. スタジオ①
14. ミニシアター
5. ライブラリ
10. 新聞・雑誌閲覧
1000
5000
1000
2000
B-B’Sectio 1:300 30
04
新たな息吹を吹き込んで 物の本来の価値を再認識し、物の陰に隠れたストーリーを感じることができる空間。
各時代で様々な物流の拠点となってきた梅田。利益を追い求める資本主義社会の目まぐるしい移り変わりの中で、たくさん の「モノ」が生み出され、消費される昨今、「モノ」の価値が見失われつつあるように感じられる。どんな「モノ」にも、そ れぞれの物語があるにもかかわらず、私たちは都市のショーウィンドーに並んでいる一瞬だけを見て、その価値を判断する。 今一度、経済性や合理性を考えるだけでなく、「モノ」を通して、その背景にある人の営みや職人文化、伝統を知り、今の市 場経済におけるモノの価値というものを再認識する必要があるのではないか。 モノの本来の価値を再認識し、そこに秘められたストーリーを感じることのできる空間で、梅田に新たな形のにぎわいの場 をもたらすことを提案する。
Building Tipe|
Commercial Facility
Site|
Osaka Station,Osaka
Presentation|
Date|
31
Autocad,Illustrator,Photoshop, Archicad
2020 Fall
32
Osaka Station
Site
Osaka Station
Underground Shopping Mall
▶Site 2011 年に現在の大阪駅がオープンして以来、大阪駅から北側では大型の商業施設がオープンし、人の流 れが活発である。さらに、現在大阪貨物駅後のうめきた第二期の計画が進められており、今後さらに北へ の人の流れが活発になることが予想される。しかし、旧大阪中央郵便局後にあたるこの敷地は大阪駅の南 側に位置し、地下街が、大阪駅から、中之島のほうに向かって栄えている影響もあり、地上は閑散として いる。この地に大量にモノが消費されている梅田とは一味違う切り口から、物について、考え賑わいを創 出する。 33
▶モノの集積地点としての梅田
Site
1961 年
1948 年
かつて敷地の近くまで堂島川から水路が引かれており、船によるモノの往来も盛ん におこなわれていた。周辺に高層のビルなどは見られない。ここはかつて、大阪中 央郵便局があり、人々の手紙や情報の集積地点であったともいえる。
2017 年
1979 年
大阪駅の北側は貨物駅として使用されていた。また大阪駅の建て替え等、大規模な都市開発が 進められ、百貨店やホテルをはじめとする多くの商業施設が集まる経済の中心地としてたくさ んのモノが集積している。
▶「食}にまつわるストーリー・そこで生まれる人々の振る舞い 食べ物
お蔭様で・・・・。という言葉が物語っているように、あらゆる物事には、それを陰なが ら支えている、人々の働き、伝統がある。「お蔭様」というのは、元来そのような人たち に感謝を込めた言葉だ。資本主義社会のなか、様々な事が効率化されていく中、1 つのモ ノに関わる作業が細分化し、さらに均質化している今日、私たちが生きていく上で欠かす
リサイクル 廃棄場所
リサイクル
道具 田畑
修理
ことのできない食というものに着目し、そのストーリーに目を向ける。私たちが、普段感 じることの少ない、モノの背景にある人々の振る舞い、そして生産、消費、廃棄サイクル
生産
廃棄
の中に自らの身を置くことによって、その価値を再認識する場所とすることを目的とする。
工房
個展 消費 レストラン
生産する。 市場
食べ物 農業
加工する。出荷する。価値を決める。
店舗
品評会 卸売市場
商品を売る。 都市の市場へ
廃棄する。再利用する。 食
生産する。 道具 調理器・食器
モノの質を評価する。 商品を売る。 廃棄する。修理する。
34
Shop ここにしかないものにめぐり合う場
職人たちによって作られた、モノ。それをその想いとともに消費者に届けようと いう店舗が集まっている。作られたモノに込められている過程を見ながら、実際 に、自分にぴったりと合うモノを選ぶことができる。モノを買う場所は店舗だけ にとどまらない。職人たちが直接その魅力を伝える、個展がギャラリーで開催さ Residental Area
れる。そこで、直接生産者の顔を見ながら、購入することもできる。
Vegetable Garden Osaka Station
Reception Hall
Shop
Restaurant
Shipping room モノの価値を決める場所 Artrie 職人や農家たちが丹精込めて創ったものをこの建物の中で消費す
Garally Vegetable Garden
るだけでなく、都市という大きな市場に送り出していくことが必 要である。そうすることで、この建物にとどまらない、本当の、 生産消費のサイクルが出来上がる。そのためには、ここで作られ
Shipping room
たものに価値をつける必要がある。ここで作られた、農作物は、 出荷の準備をして、競りにかけられ、より大きい市場へと運ばれ ていく。 Shipping room
Sectional Perspective 35
shop
▶Diagram 大阪駅周辺に建つ商業施設は、ただモノを消費す
積層したビルの層をずらしたり、引いたりするこ
余白の空間に食にまつわる生産の場所が組み込まれる。
街の道から引き込まれた立体的な外部空間に食の生産
る機能が積層している従来のビルが立ち並ぶ。
とで、消費の場に新たな余白空間を生み出す。
具体的には道具、そして私たちの暮らしを支える食の生産過程
過程がにじみ出て、消費の風景の中に、生産の場が溶
としての農業の場を組みこむ。
け込む。
農業
モノづくり
食
Vegetable Garden で訪れた人と農家が出会う。 36
4F Plan 1:350
Restaurant 生産の場で食べる。消費する。
農作物が生産される、ファームを眺められる場所で食事をしたり、買い物 をする。自分が食べているものが、今まさに見えている景色の中で作られ ていることを感じ、普段の生活では意識していない生産者への感謝の気持 ち、この食べ物に込められている想いを自然と感じることができる。
Studio
Studio Shop
Restaurant
Shop Cafe Terrace
Studio Atrium
Terrace
Terrace Market
Vegetable Garden Vegetable Garden
食の生産過程を体験する。
ファームガーデンでは、生産者が季節の野菜を育てている。ここで育てられ た野菜は、この建物にある、八百屋や、レストランに使用される。農園で野 菜を育てる人、そして、それを料理する人、それを食べる人が一同に会する ことで、それぞれの間にあるストーリーや背景を再認識することができる。
1000
37
5000
10000
20000
N
Vegetable Garden
ここ育てられたものが 出荷される。 大阪駅からの人の流れを
Shippng Room
Market
Cafe Teria
Market
1000
5000
10000
1F Plan 1:500
20000
N
取り込む。
▶生まれる祝祭の場 普段の生活の中で私たちは、大切なことをある時、心配事があるとき、対象は様々であるが、祈るという ことをごく普通に行っている。この場所でも、農業やモノを創り、売るという過程で、人々は五穀豊穣を 祈願したり、商売繁盛を祈ったり時に豊作に感謝したり・・・様々な祈りが存在する。そして、それは時 に祭りや、儀式といった形で表現され、皆で祈りを捧げる祝祭の場が生まれる。普段農業が行われている 田畑、また商いが行われている店舗や街路空間が、祝祭が行われるハレの日には、その祭りの舞台として 姿を変えるのである。季節や、その時の社会に合わせ、必要な祝祭の空間が発生し、それはそこで商いを 行うものだけでなく、ここに立ち寄った街の市民を自然と巻き込んでゆく。祝祭を本来の意味とともにそ の形を後世へ伝承し、また街に活気を与えるものとなる。 Vegetable Garden で行われる五穀豊穣を祈る祀り
38
7F Plan 1:350 Reception Holl 作られた道具の質を評価する場所。
職人の手によって作られた食器や調理器具。その出来や品質を評 価する、品評会がこの場所では定期的に開催される。この建物で その調理器具を使用する店舗のオーナーやバイヤーなど、生産者 とそれを使う人が直接意見を交わすこの場所では、単にモノの価 値を定めるだけでなく、より使いやすい、良いデザインが生み出 されるきっかけの場所となる。
Garally
Garally Kitchen Studio
Kitchen Studio
Studio
Atrium
Reception Hall
Studio モノが生み出される場
Studio
食に関わる様々なモノ、道具を作る職人たちがこの場所に集まる。 食器を作る陶芸家。調理器具を作る職人など・・・職人の種類は 多岐にわたる。吹抜に面して設けられた、工房は、訪れた人が建 物内を移動する際にその職人たちの姿を風景として自然と目にす る。また、職人たちの創作活動は時に外部空間にまではみ出し、
1000
39
5000
10000
20000
N
その熱い姿勢を肌で感じることができる。
Studio
Studio
Reference Room
Studio
Studio
Antique Market
1000
5000
10000
20000
6F Plan 1:500
N
Atrium
▶ものの生み出されるストーリーがにじみ出るアトリウム空間 吹抜けを介して、ものを生み出す、職人たちの働く姿が建物全体へと広がる。仕事をする職人の姿、外でそ の原料となる第一次産業が行われており、私たちはこの建物を通して、一つのものが生み出され、ものに価 値がつけられ、私たちの手にわたるまでのストーリーを、体感することができる。ここで、そのストーリー に気づくことで、普段私たちが手に取っている一つ一つのもののストーリを考え、私たちの消費行動を今一 度見つめなおすきっかけを与えてくれる。
Atrium から、工房で働く職人の姿が見える。
40