住 居 計 画 学 演 習 課 題
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工 学 部 建 築 学 科 2 回 1 0 2 4 2 7 3 5 1 5 伊 藤 健
篇
首
・今日我々の社会は目まぐるしい技術革新とともに、 我々の想像をはるかに上回るスピードとスケールで 日進月歩、輝かしい躍進の一途を見せている。 2
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年
我々は想起する。 起こりうる全ての変遷を考慮し統計解析を用いて。 しかし、その全容を把握することは極めて困難に違いない。 如何せん、扱う変数の数が多すぎるのだ。 ならば、我々の考えんとすることは徒労に過ぎないのか。 否 我々が思考を巡らすこと。 それ自体が確かな意味を持つ。 なぜならそこには 夢 がある。 これは、変化を生み出すエネルギーの総体であり、 大古より人類の栄枯盛衰を促してきた感情の発熱である。
私はここに 夢 をしるす。 伊藤 健
2 0 5 0 ・scenario 1 : 地球温暖化 人口減少 技術革新
国連環境計画(UNEP) は 2050 年に二酸化炭素の濃度は 2 倍になると、 そして、ある専門家は京都の紅葉の見ごろはクリスマスになると言う。 さらに、2050 年には日本の人口は 1 億人を切るとみられており、 少子高齢化は都市部においても顕著に進行していると予想される。 技術革新は、我々の度肝を抜くような有史以来の世紀の大発明こそ ないものの、様々な面で既存の技術が洗練されていることだろう。 そんな、 2050 年の京都 について、なかば希望的観測も含めて 都市の在り方と個人の在り方について、真剣に考えてみる。
加速する地球温暖化に抗うため、 人々のインフラは地下に身を潜める 格子(グリッド)となる。
・794 年 平安京遷都。京都は碁盤の目の街と呼ばれた。 ・2050 年 その記憶は地下へと継承される。
地上…交通機関、通信設備、電気ガス水道は 地下に移設し、地上の移動手段は、 主に徒歩となるため道路が不必要となり 人口減少は 1 人あたりの土地占有率を 増加させる。さらに、グリッドによる 区画整理が必要でなくなるため、建築は 点在し緑に覆われた世界が広がる。
地下…交通は基本、格子上を 24 時間稼働する リニアもしくは私的交通手段により、 目的地の最寄りまで移動し徒歩となる。 移動の際に発生する物質はダクトを通り 洗浄されるため地上に排出されることは ない。通信設備、電気ガス水道はさらに その下を通るネットワークを形成する。
地下移動のグリッドの交点には、 地上と地下を繋ぐ“孔”が存在する。
A→B への移動経路を示したモデル。 格子の交点からの距離がすなわち地価の決定因子となるため、 建築はグリッドではなく、格子の交点を中心に点在してゆく。
地上の有効面積は格段に増加し、 それを補填するように植物が根をおろす。 そして地上には大きな青空が広がる。 建築はまるで木々のように、地中で ネットワークを形成し養分を送るように 通信をしエネルギーを送る。
地上の有効面積の拡充により、 誰しもが一軒家に住まう。 オフィスビルの横に住宅なんてことも。
地価が下がり、土地の持つポテンシャル低下により オフィスビルのすぐ近くに住宅があったりする。
それぞれの庭は連続的に繋がり、 木々がプライバシーを確保している。
住宅は東屋のようになる。 自然への敬意はさながら 懐古主義の思想のように 思われるかもしれないが、 大切なことは、建築がより 原初的な空間の本質自体が 重要になるということだ。
独身者の住まいの例 自然の中にたたずむ一軒家。 山居に住まう。