Ryohei Kariyazaki 2015 - 2018
人の未来をデザインする 環境問題・超高齢社会・価値観の多様化などが取り上げら れている今日、その人の暮らしに本当に必要とされるプロ ダクトはどのようなものなのか。これ からの 社 会 に生きる 人々はどのような暮らしに目を向けるべきなのか。 さらには、テクノロジーがただ単に不便なことを改善してい く時代は終わり、「快適」という言葉の意味を深く考え直し ていく時代であると考えています。 快適な暮らしを目指し、これからの社会で人が人として豊か に生きていく意味を考えると共に、人の一部として進化して きた「モノ」が導く人の未来をデザインしていきたい。
Contents
Muller
UTSUWA
uni
Small Works
Training Tool
Furniture
Harness / Mannercoat
Product
京都造形芸術大学 × SONY
Category : Workout Tools
共に健康をつくる ワークアウトパートナー テクノロジーが 発 展した未 来 のワークアウトツール の 在り 方は、ただ単に効率的にワークアウト を行うための道具 ではないと考える。人間の心理的な部分もサポートし、共 に健康をつくっていくパートナーのような1人の存在として 人間に寄り添っていくべきなのではないかと考えた。
Ryohei Kariyazaki design works
Concept ワークアウトを盛り上げてくれるパートナー スポーツなどの身体を動かす行為は、人間が豊かに暮らす上で重要な営みの一つである。 しかし、現代社会では慢性的に運動不足の人が増加している。そのようなモチベーションが 維持できない人たちに対して、ワークアウトにおいて励ましや支えとなるパートナーという存 在を提供することで、心から身体を動かす楽しみを感じて健康になることを目的する。
Ryohei Kariyazaki design works
How to Use パートナーの存在をより身近に 4種類のツールは、2本のグリップにそれぞれ着脱できるよ うになっており、ワークアウトのメニューに応じて、その都 度とりかえることができる。また、グリップをバーチャル 空 間に存在する人格 ( パートナー ) とコミュニケーションをと るためのメディアとして機能させることで、パートナーとい う存在をより身近に感じることができると考えた。
フルレンジスピーカー 有機 EL バッテリー
ジャイロセンサー 加速度センサー 感圧センサー
ABS 樹脂 シリコンラバー
クロムメッキ
Ryohei Kariyazaki design works
What are you doing today ?
ユーザー特性の把握 ワークアウトを継続させるためには目標の明確化とその 目標をいつまでに達成するのかの期限を設定することが
Management
必 要 になります。ミュラーはユーザーの日々の 成 長を記 録し、今後の目標を達成するまでのメニューの提案や目 標までの達成度の可視化などを行う。
Keep it up !!
ONE !!
TWO !!
ワークアウトの空間を演出する センサーでユーザーの状態を常に把握し、ワークアウト 時に限界に達しそうなときや体調に問題はないが気分が 上がらない時に励ましの声や 音楽などをかけてテンショ
Sensing
ンを上 げ れるようにその空 間 全 体をワークアウトに適し た演出にする。
Pull yourself together !!
習慣化のサポート 目標に達成するためのスケジュールにあわ せてワークアウ トを行っていくが、ユーザーの体調によっては臨機応変に
Partner
対応して手を抜いているときは厳しく、疲労が見えるような らメニューを軽くするなど習慣的に楽しくワークアウトを行 えるよう、ユーザーに一番近 い存在として健康的な暮らし 提供する。
Sketch パーソナルトレーナーに ふさわしい未来的造形表現 コミュニケーションが 可 能な未 来 のワークアウトツール に ふさわしい造形として、未来感というイメージをもとにサム ネイルスケッチ展開した。男性的な未来感や 女性的な未来 感などを展開した結果、未知の生命体を想起させるような 未来的造形が一番ふさわしいと考えた。
Ryohei Kariyazaki design works
Design model MESHによるラッピドプロトタイプ MESH を使い、どのような動きのときに、どのようなフィード バックがあれば、人はパートナーという存在を認識できるの かなどを実証実験しました。また、未来的な造形で持ちや すいグリップの形状などアンケートなどを取りながら、製作 を進めました。最終的には広報用の動画も制作しました。
Ryohei Kariyazaki design works
京都造形芸術大学 × ACTUS
Category : Furniture
家族の新しい居場所をかたちづくる 「居場所」とは、人がその場所に対して何かしらの価値を見 出している場所のこと。この「居場所」を家のなかに家族そ れぞれが新しく発見できる家具があれば、よりよい豊かな暮 らしにつながるのではないかと考えた。
Ryohei Kariyazaki design works
Research
Analysis
家のなかに居場所が多様に存在する
居場所とは? 居場所は心の拠り所
情報収集のためエクストリームユーザーの方のお宅訪問を
家族それぞれが好きな時間を過ごせる空間・居場所を作
行った。家の中にお気に入りの場所やそこで過ごすこだわ
り出せることが、インテリアが生活の中にもたらす豊か
りの時間がたくさん存在していて、家に帰ること自体が生活
さの一つであると考えた。また、「居場所」というものは
の中の楽しみの一つだということが分かった。
普段の暮らしの中で、心の安寧を守るための拠り所なの だと考えた。
Ryohei Kariyazaki design works
Concept 家族の「器」 家族が銘々に家の中に新しい「居場所」を見出すことで家 全体を価値のある「居場所」へと変えることができ、それ が あ る ことで家に帰ることがさらに楽しみになったり、 家にいること自体が幸せに感じるなど、家族それぞれの 想いが入ってくる「器」のような家具を目指した。
Idea Sketch 人によって価値が変わる居場所 自然の中にある森や木や岩など、生物の居場所・住処とし て存在しているものが、なぜ生物たちの居場所となりえてい るのかを分析し、メタファーとしてアイデアの中に落とし込ん で展開した。
Ryohei Kariyazaki design works
Sketch 建築的な面で構成された造形 造形としては、現代の一般的な建築に馴染ませるために、 その製品自体に強い印象を持たせたくなかったため、建築 的な面で構成された造形を目指し展開した。
Rapid Prototyping 使い方のイメージの展開 複数のアイデアの 1/10 のラピッドプロトタイピングを制作 し、人型をさまざまなポーズで配置して全体のサイズ感やバ ランス、人によってさまざまな使い方が想像できるよう余白 のあるデザインを意識しイメージを展開した。
Ryohei Kariyazaki design works
Scale Model Step 01 : 心地よさを感じる空間とは 1/1 のダーティプロトタイプを制作し、 実際にその中に入り、 どのくらい の 閉 塞 感・開 放 感 が あ れ ば 人 の 居 場 所となり える空 間を作 れるのか。また、側 板をどう配 置し、床 板と 側板の幅をどのくらいにすれば 人が心地よいと感じるのか を検証した。
Step 02 : 縁側と窓枠の要素を強く 一回目のフィードバックから、より居場所として心地よい空 間を作るために、床板を幅を広くして、側板の幅も大きくす るなどの改善を行った。また、構造的にも機能的にも使える 側板を配置し、適度な閉塞感と開放感を与えられるのかを 検証した。
のびのびと寛ぐ場所
1 人になれる場所
縁側の要素を取り入れ、脚をつけて床板をうかせ幅を広
空間を大きく分割するための側板を一枚配置した。ここ
くした。脚を伸ばして座ったり、横になってゆったりし
に隠れながら本を読んだり、お茶を飲んだりして落ち着
た時間をすごすことができる。
いた時間を過ごすことができる。
Ryohei Kariyazaki design works
二人で語り合う場所
みんなが集う場所
2 度 の プ ロ ト タ イ プ で の 実 証 の 結 果、床 板 の 長 さ を
部屋の中で大きすぎず、小さすぎないサイズ感と二枚の
1300mm に設定した。この距離感で話すことで、より深い
壁を配置した。この家具を中心として、家族団らんの時
コミュニケーションを取ることができる。
間を過ごすことができる。
京都造形芸術大学 × 関西盲導犬協会 Group work :
MTG での書記・進行役、スケジュール管理
Category : Harness / Manner Coat
盲導犬をより盲導犬らしく 盲導犬と盲導犬ユーザーが快適に暮らせるようにするため に、盲導犬という存在はペットとしての犬ではなく、警察犬 や救助犬のように社会の一員である犬として、現状の盲導犬 の印象を変えることで、周囲の人々の盲導犬に対する見方を 変えトラブルをなくしていけるのではないかと考えた。
Ryohei Kariyazaki design works
Research
Analysis
タクシー乗車拒否・盗撮など、
盲導犬が何のために存在しているかを
さまざまなトラブルを抱えている
もっと周知してもらう必要がある
現在の社会は、盲導犬と盲導犬ユーザーが暮らしていく
盲 導 犬 に関 するさまざまな情 報 が日本 の 社 会 にお いては
中で、タクシー乗車を拒否されたり、電車などで勝手に
正しい 知 識 で 広く周 知され てい な い た め、盲 導 犬とユ ー
撮影されたり、盲導犬が傷つけられるなどのトラブルが
ザーがさまざまなトラブ ルを抱えることになってしまってい
多発している。
ると考えた。
Ryohei Kariyazaki design works
Concept 盲導犬をより盲導犬らしく
Idea 現在のハーネスと マナーコートの印象を変える
盲導犬という存在を警察犬や 救助犬のように仕事として働
現在のマナーコートは体毛の散布を防ぐ機能は果たして
いているということを広く周 知して、周 囲 の 人々の 意 識を
い る が、そ れ に 伴 う 印 象 の 機 能 は 果 た さ れ て お ら ず
変えていくことで、盲 導 犬と盲 導 犬ユーザーがトラブ ルを
( ファッションの一部と見られている )、ハーネスも線で
抱えることなく快 適 に暮らしていける社 会 にすることを目
構成された形状から拘束具のようなマイナスの印象を与
的とする。
えてしまっている。
Sketch Step 01 盲導犬の仕事感=活発な印象 「盲導犬は仕事をしている」というところから、[ 仕事感 ] と いうキーワードからアイデアを展開。盲導犬の「盲導」から、 エスコートや人助けなど救助をする、レスキュー隊や戦隊も ののようなアクティブな仕事感を目指した。
Ryohei Kariyazaki design works
1st Prototyping 盲導犬にふさわしい印象の検証 ハーネスの機能性などの前に、盲導犬の仕事感は本当に 活 発 な 印 象 で あ る べ き な の か を 検 証 し ま し た。さ ら に、 その場で修正・精査を重ねていきました。
Step 02 仕事感=活発な印象ではなく、 落ち着いている印象 検証の結果、盲導犬の仕事感としてイヌ本来の活発な印象 ではなく、整然として落ち着いている印象を受けるスーツや 正装であるタキシードなどの「静的」な印象がふさわしい と考え、その印象を目指して造形を展開した。
Ryohei Kariyazaki design works
2nd Prototyping 盲導犬に負担をかけない造形・機能 印象も含めて、従来のハーネス・マナーコートの構造を参 考にしながら、盲導犬にストレスを与えないように着脱の機 能性や全体の造形が動作の妨げになっていないかなどを検 証していきました。
Ryohei Kariyazaki design works
これからの盲導犬のユニフォームへ ハーネスは線形状ではなく面形状にしハーネス本体とハンドルの金 具を隠すことで、今までのハーネスの拘束具のような付けさせられ ている印象から盲導犬として自ら着用している落ち着いた印象へ。
ユーザーの肩関節の ルーズな印象からクールな印象へ
負担を減らす1本型ハンドル
マナーコートは、現状のだぼっとしたルーズな印象から、犬本来の
従来のハーネスのハンドルは長年使用していると肩関節に負担が
身体のラインをみせることで、これからの盲導犬のユニフォームと
掛かってしまう。1 本型ハーネスは腕を不自然に捻らなくても使用
なるような、すっきりとしたクールな印象を与える。
できるため、ユーザーの肩関節への負担が軽減される。
ジュエリーを再定義する
mujo
Category : Jewelry
日本人が心豊かに 生きるためのジュエリー これ から先 の 社 会で、日本 人 が 心 に余 裕を持ち日々の 暮 らしを豊かに生きていくために、ジュエリーというプロダク トが今は意識され にくくなっている日本人独特の感性を引 き出す役割を果たせるのではないかと考えた。
Ryohei Kariyazaki design works
Theme 無常観 今の日本人に必要な日本人らしさとして、「無常観」とい うものをテーマとした。私は「無常観」を、人が生まれ てから死ぬまでの間にある自分を含めて身の回りの環境 のさまざまな変化に対して、何かしらの価値を見出して いくことと解釈した。
自然の流れを感じ取る 変化していく環境を価値のある世界とするために、自然 物である植物の成長を常に肌で感じ、ゆったりとした世 界の流れの中にいることを実感すれば、人間が作り出し た社会の時間というものから解放され、心に余裕が生ま れるのではないかと考えた。
Tokyo Midtown Award 2017 応募作品
Ryohei Kariyazaki design works
日本の文化の中にある 所作の美しさを体験する
ichimonji
自然な食 事 の 流 れ の 中で食 文 化とは違う文 化 の 所 作も体
Category : Tableware
験することができれば 、より一層深い文化体験ができるの
食 事というその 国 の 文 化 が 如 実 に現 れる行 為 に お い て、
ではないかと考えた。
Theme 日本の魅力を 世界に発信する都市「TOKYO」 これから、さらにテクノロジーが発展していく未来にお いて、多様的な文化を形成し続けることは必要なことで はあるが、日本を日本たらしめている文化を薄れさせる ことは避けるべき事象である。 日本には、「寿司」や「書道」などの世界に誇れる文化が ある。日本の根幹にあるその美しい文化を、海外に向け て発信するのはもちろん、自国内にも発信していくこと が必要であると考えた。
SONY Student Workshop 2017 Summer
Discus Category : Fitness Tool
円盤投をもっと身近に 陸上競技でも特にマイナーなスポーツである円盤投をもっ と広く認 知してもらうため に、円 盤 投 の 更なる可 能 性とし て、一 般 の 人でも使える健 康を維 持 するため のツール に できるのではないかと考えた。
Ryohei Kariyazaki design works
Idea 円盤投の動きを 取り入れたフィットネス 健康維持やシェイプアップのためのフィットネスツール として、円盤投の投擲の動作を簡素化し日常の中に落と し込むことで、少しでも円盤投というものに触れること ができ関心を持つ人が増えるのではないかと考えた。
身体をひねる運動
腕を振り上げる運動
未経験者でも 持ちやすく投げない円盤のカタチ 投げない円盤として円盤のカタチ自体は崩さず、掌全体 で持つことを意識すれば落とすことのないような造形と して人差し指のみをホールドするようにした。 また、各種センサーを搭載してフォームやスピードを測 定し、効果的にフィットネスを楽しめるようにした。
京都造形芸術大学 プロダクトデザイン学科
仮屋﨑 良平
Ryohei Kariyazaki
Mail : r-sato7336@st.kyoto-art.ac.jp Tell : 080-5718-8429