TAKAHASHI Kazuki PORTFOLIO

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高橋一稀

1995 年神奈川県生まれ。大阪府豊中市育ち。『ドラえもん』や『でんぢゃ

らすじーさん』に影響を受けて育つ。京都大学工学部建築学科に入学し、 ウインドサーフィン部に入部。卒業旅行でミラノ・サローネを訪れ建築以 外のあらゆるデザインに興味を持ち、京都大学大学院工学研究科建築学専

攻に在籍する現在は建築と同時にプロダクトやグラフィック、エンジニア

もくじ 1.めぐる壁のアパートメント 2016.10-2017.02 2.Vertical Farm

2017.10-2017.12 3.水周りに住まう

2018.02-2018.03 4.OPENING

スキル Rhinoceros Illustrator

Photoshop InDesign Arduino

2017.04-2017.06

5.株式会社 IYD 基本デザイン 2018.03-2018.04

6.京都大学サマーデザインスクール 2017.06-2017.11

7.NLT を現場製作するための製作棟 2018.03-2018.04

8.CLT を用いた駅の休憩スペース 2017.11-

9.アパレルブランド新店舗案 2017.04-

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商業的地域

(三条通・御池通)

鴨川

1.めぐる壁のアパートメント

文化的地域

新洞学区

(岡崎地区)

2016.10-2017.02

卒業設計。いろんな知識や経験を持った人々が住む場所に、いろんな趣味を持っ た大学生が住むアパートを計画し、多世代間の知識・経験の交差点となる建築を 考えた。敷地内にはうねる壁がめぐり、森の散歩道のような空間が広がるこのア

パートは、1 人でいて落ち着く場所から大人数で楽しく過ごせる場所まで内包し ている。日ごろから地域の子どもから大人までが散歩がてら集まり、住人の趣味

の活動を通して多世代間の交流がうまれ、人々が新しい居場所や生き方を発見し、 世界観を拡げることができるようなアパートを目指した。

番号は寺社を表す

敷地は京都市左京区の南西端に位置する旧京都市立新洞小学校。敷 地を含む新洞学区という場所は、鴨川を挟んで西の商業的地域と東 の文化的地域のあいだの緩衝的地域で、駅や大通りの喧騒から離れ た静かな場所である。学区には住宅や小さな商店が密集し、下町の 雰囲気を持っている。

敷地周辺の住宅の隙間には袋小路や狭い路地など、 魅力的な空間が点在しており、ここには植木鉢など の趣味の物があふれている。 04 | TAKAHASHI KAZUKI DESIGN PORTFOLIO

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CONCEPT 子どもー大学生

大学生ー地域の大人

大学生はこれから自分たちが進む

いる人々の声を聞くことはとても価

小学生~高校生の子どもにとって、 近い未来であり、彼らがいったい どんな事を学びどんな生活をして いるのかということは大きな関心 ごとです。

また年齢的にも近いため、親近感

大学生にとって、実際に働く現場に 値のあることです。また地域住民に とっても大学生の活動は新鮮に映る ので、双方向的な情報交換を行うこ とができます。

を持って接することができます。

子どもー地域の大人

日ごろから身近で生活しているけれど、 特に交流する場のなかった両者がこの場 所でのアクティビティをきっかけにつな がりを持つことができます。

SPACE DIAGRAM

仕切り過ぎない

興味を喚起する

住戸をつくる

空間をゆるく仕切る方法としてひだ

この壁の随所に開口をつくり動線

ここにガラスの壁を挿入し、プ

具合によって様々な大きさ・閉塞感

中を歩いているような空間体験を

間を仕切る。

状のうねる壁を考える。壁のうねり の空間がつくられる。

と視線を通すことで、人々は森の しながら行き交う。

ライベート空間とパブリック空

壁の高さにも変化を付け、 立体的に視線を通す 1F PLAN 06 | TAKAHASHI KAZUKI DESIGN PORTFOLIO

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寝室、リビング

階段

バスルーム

2F

A-A' SECTION

住人の動線 一般の動線

土間空間 キッチン

2F PLAN

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階段

1F

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2.Vertical Farm 2017.10-2017.12

食をテーマにした国際コンペ。食の提供の場としてのレストランの新しいタポ ロジーが求められたお題に対し、植物工場を併設したレストランを都市につくる という提案を行った。

現在、農家と消費者の距離が物理的にも精神的にも遠くなっていることを課題と 捉え、「育てること」と「食べること」を近づけるべく生産から消費までが行われ

る積層型植物工場レストラン「Vertical Farm」を都心に建設。野菜や果物の種類 の数だけフロアが積層されており、フロアの面積は 1 万 5 千人の人間を賄えるよ うに決められている。

都市で働く人々はいつも近くにある Vertical Farm の存在を感じながら過ごす。自

分たちの近くで食材が育てられていること、食材のために働いている人がいるこ とを肌で感じることができる。

また、植物工場には完全制御型と太陽光利用型の2種類を採用し、フロアの内側 は完全制御型、外側は太陽光利用型を用いている。

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3.水周りに住まう 2018.02-2018.03

2030 年に高齢者が安心して暮らせる「安寧の街」を既存の古民家を活用しなが ら提案するという滋賀県近江八幡市主催のコンペ。

重要伝統的建造物群保存地区である対象敷地には堀が横切り、かつての町民は この堀を運河として使うと同時に生活用水を井戸から取り入れるといった、水を 中心とした生活を送っていた。

しかし現在は建物のガワだけが景観として保存され、かつてのつながりは失わ れており、現状の近江八幡の街並みは観光資源として形骸化してしまっている。

そこで、「井戸の再生」と「八幡堀に開いた建物」のふたつを主軸に街に手を入 れることで、ガワだけでなく住民の誇りやコミュニティをも保存する、サステイ

ナブルなまちづくりを提案することに。井戸と堀の水の廻りに発生する住民と観 光客の多世代間交流は、ここでの平和ないきいきとした暮らしに魅せられた移住 者を呼び込む原動力となるであろう。

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4.OPENING 2017.04-2017.06

建築においてピクチャーフレームの役割を果たす開口に着目した、新しい内と 外の関係を模索した思考実験。

「開口が普段我々が体験している形をもっていなかったとき、空間の切り取られ方

も変化し、新しい内と外の関係が生まれるのではないだろうか」という着想から、 開口の輪郭を操作することで、固定観念的な開口から脱することを追求した。

具体的には、5 パターンの新しい開口を考え、それらを寄せ集め、適宜階段やテー ブルといった機能を与えながら、ひとつの建築を構想した。

敷地は特に指定しておらず、どこあっても成立し、場所の数だけ内と外の解釈

があるように考えている。これら 5 つの新しい開口が散りばめられたこの建築を 体験するとき、人はいま自分が内にいるのか外にいるのかを考えながら、内と外 のお互いの価値について改めて考え直すことになる。

Retraction

Shift

Twist

長方形の下端を地面に沿って引き

長方形の上端と下端が一方向にずれている

開口の端と端が 90 度ねじれている開口です。

き込んでいる開口です。

身は内、下半身は外に属していることにな

ない領域を通って階を移動することになりま

伸ばすことで、外の地面を内に引

ことで、開口をくぐっているあいだ、上半

る開口です。この「ズレ」によってできた

1 メートルほどの段差は、スキップフロア

階段と組み合わせることで、内か外かわから す。

のように働きます。

新しい開口 のパターン

Roof

Box

開口が覆いかぶさってくるような開口で

開口によって直方体に光が切り取られて

色も連続的に切り取ることができます。

の開口は人が出入りすると同時に、机と

す。水平方向の景色だけではなく、空の景

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いるように錯覚するような開口です。こ して使うこともできます。

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5.株式会社 IYD 基本デザイン 2018.03-2018.04

ドローンを始めとするあらゆるロボティクスの受託・自社開発を行うスタート アップ「株式会社 IYD」のロゴ、名刺デザイン。

「人が面白いと思うことを先んじてやる」という企業理念があらわす行動力やス

ピード感を色彩や鋭角で表現。今後この企業から生み出される数々のプロダクト にこのロゴが刻まれることをイメージし、プロダクトを引き立たせるシンボルと なるようなロゴタイプを目指した。

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6.京都大学サマーデザインスクール 2017.06-2017.11

京都大学 デザイン学大学院連携プログラムなどが主催する「京都大学サマーデザ インスクール」の 7 回目の広報用ポスター。

イベント当日は京都大学内外の学生や一般の方など様々な分野の参加者と、実施者

であるデザイン大学院の先生や企業コンソーシアムのプロフェッショナルがテーマ に分かれ、3 日間集中のワークショップに取り組む。

本イベントの重要なコンセプトとして「デザインを意匠デザインだけではなく社会 システムやアーキテクチャを含む幅広い問題の解決としてとらえる」というものがあ り、普段デザインに関わらない学生の参加を促すことが求められた。そこでまず明る

いスカイブルーをテーマ色とし、イエローをさし色に用いることでメリハリをつけ、 学内の掲示板で目立たせるとともに、本イベントにおいて若い世代のアイデアがはじ

けるようなイメージとした。「あなたの『デザイン力』を試そう。」というコピーには、 自分はデザインに無関係と思い込んでいる学生の潜在的な「デザイン力」を拓くきっ かけになればという思いが込められている。

#00a0df

#f000

知性を感じさせると同時に開放感や

基本的にはメインの青系を引き立てる

若々しさ、さらには夏のイベントとい

ために使用した。夏の眩しい太陽のイ

うイメージにぴったりな色。栄光を想

メージであるとともに、見ているだけ

起させる色彩でもあるため、優秀賞を

で心を弾ませ楽しい気分にさせ、知性

決めるというシステムにも合致する。

を刺激し行動を活性化してくれる。

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7.NLT を 現 場 製 作 す るための製作棟 2018.03-2018.04

NLT(Nail-Laminated Timber)は、CLT や LVL と同

じくマスティンバーと呼ばれる木質技術であり、北米 では、欧州のように鉄が普及する以前から、伝統的に

中高層木造建築に用いられてきた。メリットとしては、

・規模工場は必ずしも必要ではなく機械サイズによっ て製造可能サイズが限定されることがない

・積層方法に自由度があり平板だけでなく曲面形状や スリット形状も製造可能 などが挙げられる。

製作手順

最小限の木材利用でできる仮設的な NLT 製

作棟を計画する。製作棟の各部材は工場で 生産され、現場にて簡易に施工される。

① 二枚の曲面壁を互いに立てかけ、 足元は杭で地面と固定する ② ①と同じもので囲う ③ 屋根をのせる

これは新規工場整備に大規模投資できない地域にお

いても、「CLT のようなもの」をつくるための研究プ

ロジェクトであり、「地球の声デザイン小委員会展」

(2018.4.3-4.11, 建築会館ギャラリー)において展示を

おこなった。NLT によってつくられたこの「NLT 製作棟」 は一般的な建設現場に設置され、この中で新たな NLT が生産される。建物の建設と部材の生産を同じ現場で 進めることができるという点において、いわばアナロ グな Fab Lab ということもできる。

構成図 屋根

壁が傾いているため、製作スペースの大き さに対して屋根は小さくできる。 2750

5000

まっすぐな板をずらしながら重ねることで 曲面をつくる。小さい体積で最大限のスペー スを確保できる。

NLT 2×4 m

NLT 製作スペース

最大 2 m× 4 mの NLT を生産するための最 低限の広さ。

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A

A-A' 断面図 S=1:100 立面図① S=1:200 (1/100) 立面図①

A-A’ 断面図(1/50)

B’

B A’

平面図 S=1:100 平面図(1/50)

(1/100) 立面図② 立面図② S=1:200

B-B' 断面図 S=1:100

B-B’’ 断面図(1/50) 26 | TAKAHASHI KAZUKI DESIGN PORTFOLIO

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展示会の様子

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8.信楽駅 木と焼物の休憩スペース 2017.11-

滋賀に拠点を置く工務店でスタートした、CLT という木質素材を用いた建物を日 本で先んじて建設するという産学連携のプロジェクト。「欧米では広く使われている

が日本ではまだ普及していない CLT を使って、自社を PR するとともに地元の林業を 活性化させたい」というのが工務店側の要望であり、地元の木材を使った CLT を使 用することが条件であった。

平面図 S=1:100

長手立面図 S=1:100

信楽は焼き物が特産品であり、焼き物の原料である土と CLT の原料である木は親 和性が高いところにまず着目した。また、信楽を通る鉄道は本数が少ないため待ち

時間が長い。そこで私は「信楽焼と CLT を組み合わせた休憩スペースを駅舎に設置 し「待つ」をデザインする」という提案を行い、現在実現に向けて進行中。

提案は具体的には全く同じ大きさの部材を信楽焼と CLT それぞれで制作しそれら を組み合わせ構築するというもので、技術的にも難度が高いものであるが、革新的 な技術が何よりも PR になると考え、最終的に工務店側の共感を得ることができた。

現状の待合スペースが提供できていない、「学校帰りの

CLT を信楽焼と組み合わせ、信楽にしか無い CLT モニュメントを計

会話を生むようなスペース」を目指す。

はなく、高い技術によって可能になる「素材としての調和」を図る。

中高生や買い物に出かけるおばあちゃん、観光客が腰掛け、

画する。しかしただ CLT で棚やベンチを作って焼き物を展示するので

低い台には大きなものを展示

ホームへの設置イメージ

そうすることによって、待ち時間のあいだ滋賀の木材と信楽焼が奏で るハーモニーをじっくり楽しむことができる。

CLT

Ceramic

CLT と同じサイズの焼き物を制作する CLT と同じサイズの信楽焼を製作する

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CLT 板の上に信楽焼を展示できる 陶器の板を椅子や机として利用する

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9.CLT を活用した長屋リノベーション店舗の提案 for ファストファッションブランド 2018.04-

世界的に展開するファストファッションブランドの京都における新店舗出店計画。従来型の店舗にはない「日

本らしさ」や「地域貢献型店舗」を付加することが条件であった。これに対し我々は、伝統的な織物産業で知ら れる西陣地区を敷地に設定し、この地区で活動するアーティストが店先で制作活動や展示を行える店舗を提案し

た。店舗は長屋をリノベーションするという形を取り、CLT を活用することで耐震性と断熱性を確保する。実現 に向けて進行中のプロジェクト。

トイレ 庭

試着室

:CLT

試着室

:既存構造

試着室

店舗スペース

西陣の町家に特徴的な、 「絹糸を 収納するための棚」をそのまま 商品の陳列棚として使用する。

本郷住枝・水野克比古『京都西陣 うたを紡ぐ』大垣書店

アーティスト ギャラリー

試着室

トイレ

倉庫・事務スペース

倉庫 事務スペース

アーティスト アトリエ

アトリエ

1F PLAN S=1:100

ギャラリー

店舗スペース

2F PLAN

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10.卒業設計集表紙デザイン 2018.02

京都大学建築学科の 2017 年度の卒業設計をまとめた冊子の表紙デザイン。これ

までは外部デザイナーに委託していたものを、この年から企画や構成すべてを学 生が担当することとなり、私が表紙を担当した。

これまでの表紙デザインを部分的に継承することによってシリーズとしての連

続性は保ちつつも、学生主体の内容になったことによる新規性も持たせたいと考

えた。従来の幾何学のモチーフを継承して円で全体を構成し、「みんなの卒計集」 をコンセプトに、円は人数分配置しており、それぞれの作品から抽出した色で塗っ ている。

円は完全であることの象徴であるが、ここにはひとつとして同じ形はなく、それ が個性を表現している。

タイトルや作品名の配置は従来に従うことでシリーズとしての連続性をもたせた。

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