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ギターの教訓
from 741:ギターの教訓
THE GUITAR LESSON
ジョージ・ソシク
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写真にある2本のギターをよく見比べてください。あなたがギタリストなら、どちらを手に取って弾きますか。おそらく、フレット(弦を押し付けるために、指板に打ち込まれた棒状の金属)が真っ直ぐな、上のギターを選ぶのではないでしょうか。ところが、下のギターは最高の音を出す、と言う一流ギタリストたちがいると聞いて、あなたは驚くかもしれません。一体どういうことなのでしょう。
熟練したギター奏者であれば、たとえ最高品質のギターであっても、指板上のすべての場所で、すべての音やコードが完璧な音程になるようチューニングするのは、現実的に不可能であることを知っています。数百年前からずっと、ギターはそのような作りになっているのです。
一般的なギターの場合、昔から真っ直ぐなフレットが指板上に配置されていますが、それでは完璧な音程を出せません。たとえば、完璧なEコードの音を出せるよう、ギターを正確にチューニングしても、Gコードを弾く時や、あるいは指板のもっと先の方でEと同じ押さえ方をして弾く時には、音が外れて聞こえるかもしれないのです。他のコードや音でも、同じことが起こります。これはギタリストが対処せねばならない厄介な問題の一つであり、彼らがよく曲の合間にギターをチューニングし直すのは、これが理由の一つでもあります。
ギタリストの中には、幾つかの弦をわずかにずらしてチューニングし、絶妙な中間音が出るようにする人がいます。そうすれば、指板のどこでどんな音やコードが弾かれようと、全体的には完璧な音程に近く、十分良い音に聞こえるからです。また、特定のコード進行パターンで弾くために、それに最も適した音程にチューニングする人もいますが、そのままで異なるコードパターンの曲を弾くと、音が外れているように聞こえてしまいます。
あるルシアー(ギター製作家)は、このギター固有の弱点との絶え間ない格闘にすっかり嫌気がさし、そのような問題がまったくないギターを作ろうと決心しました。彼が考案したのは、「トゥルーテンペラメント」と呼ばれる、湾曲したフレットが取り付けられたギターです。指板上のどこで、どんなコードを弾いても、完璧な音程が出せるよう、それぞれの音についてフレットのあるべき位置を正確に測ることによって、フレットの調整を行いました。その結果、フレットが幾分歪み、ねじれて見えますが、使っている人によれば、美しい響きを生み出すと言うのです。
これは、私たちにとってどんな意味があるのでしょうか。一見すると、明らかに変な形のフレットが付いたこんなギターを作るなんて、知識も能力もないからであるように思えますが、これはいわゆる「まともに見える」ギターよりも、はるかに心地よい音を奏でるのです。私たちもそうではないでしょうか。「生まれながらの人」の目に正しく適切に映るものでも、神が用いるのに適していないことがあるし、それどころか、その正反対のこともあると、聖書は述べています。
私たちは、様々な弱さや欠点のせいで、自分がトゥルーテンペラメント・フレットのように、不完全で歪んでいると感じることがありますが、音楽の名手であられる神の御手にかかれば、神のために美しい調べを響かせることができます。完璧に真っ直ぐではあっても不完全なフレットが付いた普通のギターのように、独善的にも自分がこの上なく善良で「真っ直ぐ」な人間だと考える時、私たちの音は調子がいくらか外れて、耳障りな不協和音となり、その結果、あまり魅力的でない調べを響かせることになりかねません。
神は目的あって、私たちがこのように不完全であることを許しておられます。そうすれば、私たちがまわりの人をよりよく助けられるようになるからです。そして、私たちが神の調べと調和することで、神に栄光が帰されるのです。
◇ ◇ ◇
[主]が見るところは人とは異なる。人は外の顔かたちを見、主は心を見る。― サムエル上 16:7
主は仰せられる、これは権勢によらず、能力によらず、わたしの霊によるのである。― ゼカリヤ 4:6
神の愚かさは人よりも賢く、神の弱さは人よりも強いからである。兄弟たちよ。あなたがたが召された時のことを考えてみるがよい。人間的には、知恵のある者が多くはなく、権力のある者も多くはなく、身分の高い者も多くはいない。それだのに神は、知者をはずかしめるために、この世の愚かな者を選び、強い者をはずかしめるために、この世の弱い者を選び、有力な者を無力な者にするために、この世で身分の低い者や軽んじられている者、すなわち、無きに等しい者を、あえて選ばれたのである。それは、どんな人間でも、神のみまえに誇ることがないためである。― 第一コリント 1:25-29
しかしわたしたちは、この宝を土の器の中に持っている。その測り知れない力は神のものであって、わたしたちから出たものでないことが、あらわれるためである。― 第二コリント 4:7
(聖書の言葉はすべて、口語訳聖書からの引用です)