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786:全く新しい世界
from 786:全く新しい世界
全く新しい世界
A WHOLE NEW WORLD
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ジョージ・ソシク
男性の約8%、女性だと1%未満が、何らかの色覚異常を抱えています。その程度は、特定の色を区別しづらい軽度のものから全色盲に至るまで様々です。つまり、神が被造物に吹き込まれた美しい色彩の全てを楽しむことができない人もいるのです。
しかし最近、そのような人の多くが、エンクロマ(EnChroma)という会社が作った新しいタイプのメガネの助けを借りて、生まれて初めて色を見ることができるようになりました。このメガネは、色の混同や過度の重複が発生する位置にある光の波長だけをフィルターでカットするようになっており、それによって、メガネをかけた人は、より正確に、あるいは生まれて初めて、色を見ることができるのです。それほど違いの出ない人もいますが、そのメガネをかけた人の多くは、人生が変わるほど色覚が改善したと語っています。
私は最近、この素晴らしいメガネが色覚異常の人たちに贈られた時の様子を撮った動画シリーズを見つけました。ほとんどの動画では、風船・花などの色鮮やかな物に囲まれ、本人の家族がいるところで、親戚や友人からのプレゼントとして、このメガネが贈られています。生まれて初めて特定の色を見て、押し寄せる感情に圧倒され、泣き出した人も多くいます。ある人たちは、興奮と驚きでいっぱいの様子で、色々なものを指差しては、「あれが紫ですか」「あれがオレンジ色ですか」などと尋ねています。中には、ただ座り込む人たちもいました。
そのような反応を見て、私はこんな言葉を思い出しました。「人が、これまで見聞きしたことも、想像したこともないほどすばらしいことを、神は、ご自分を愛する人々のために用意してくださった。」*1
私たちは驚くほど美しい世界に住んでおり、私たちの霊はそれと同じだけ驚くほど素晴らしい体に宿っています。そして、その体により、私たちは多くの素晴らしいことを経験できるのです。しかし、そういった経験は100%完璧というわけではありません。残念ながら、現時点では、色覚異常を持っていない場合でも、自然の美しさや神の被造物を完全に楽しむためには、能力の限界があります。
美しい森の中を散歩すれば、虫や悪天候に襲われることもあります。雪が大好きでも、霜焼けにならないよう注意しなければいけません。食べるのが好きな人は、食べ過ぎたり、体に合わないものを食べたり、食中毒になったりしないようにする必要があります。私たちの体は完璧ではないのです。疲れたり病気になったりするし、慢性疾患を患って体が弱くなることもあります。この人生には、私たちが楽しめるたくさんの良いものや美しいものがありますが、同時に、その楽しみにも何らかの障害が常に伴うようです。
しかし、いったん天国に入れば、そうではなくなります。美と自然を楽しむ能力を妨げるものは完全に取り除かれるのです。私たちは、天国に入るその日、エンクロマのメガネをかけた人のように、圧倒されるほどの美しさを目の当たりにすることでしょう。
臨死体験をした人たちは、言葉では言い表せないほど美しい場所を訪れたと報告しています。そこは、私たちの世界に非常によく似ているけれど、それよりもはるかに美しいのです。彼らは花や木がずっと鮮やかな色をしていると言うし、私たちがまだ知らない色彩を見たり、音を聞いたりしたと断言する人もいます。そして、そこで聞く音や音楽は、これまで聞いたどんなものよりもはるかに美しく調和のとれたものだと説明する人もいます。
C・S・ルイスは、有名な著書『キリスト教の精髄』の中で、私たちがこの地上で享受する喜びは、天国にある実物の単なる写しや反響、あるいは蜃気楼であると述べました。
「この世でどんな経験をしたとしても満たされることのない願望が私のうちにあるのなら、その最もいい説明とは、私はこことは別の世界のために造られているということでしょう。この世で私が楽しむことの何一つとして、その願望を満たさないとしても、それは、この宇宙がまがい物だということではありません。おそらく、この世の楽しみは、その願望を満足させるためにあるのではなく、単にそれをかき立て、どこかに本物があることを示唆するためのものなのでしょう。そうだとすれば、私は一方で、そのような地上の祝福を嫌悪し、感謝しないといったことのないよう気をつけなければなりません。また一方では、それが言わば何かの写し、反響、蜃気楼にすぎないのに、本物と取り違えないようにしなければいけません。私の本当の国、死ぬまで見つかることのないその国への願望を、自分の内に生かし続けなければならず、それを埋もれさせたり、脇へ押しよけたりしてはいけないのです。私は、そのもう一つの国を目ざして突き進み、他の人もそうするよう助けることを、人生の第一の目的としなければなりません。」*2
全ての信者は、いつの日か、「そまつな鏡にぼんやり映る姿」*3 を見ているかのような、今のこの世界から、面と向かって神の姿を見る天の世界へと移され、そこでついに、神の被造物の華麗な色彩と栄光の全てを目の当たりにし、経験できるようになります。私たちはその瞬間、エンクロマのメガネを初めてかけた人のように、圧倒されるほどの高揚感を味わうに違いありません。
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1. 1コリント2:9
2. C・S・ルイス(1898-1963)著『キリスト教の精髄(原題:Mere Christianity)』
3. 1コリント13:12
(本記事で引用された聖書の言葉は、リビングバイブルからのものです。)