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796:天から遣わされた子

天から遣わされた子

HEAVEN’S CHILD

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マリアンヌ&ジェリー・パラディーノ

これは、ダウン症を持って生まれた私たちの息子ガブリエルの話です。本当に特別な子でした。この地上で生きたのは、ほんの2年4ヶ月でしたが、主はこの子を用いて多くの人の心に触れ、私たちに数え切れない貴重な教訓を教えてくださいました。愛や信仰、確信、忍耐、思いやり、謙遜、勇気、祈り深さについての教訓、そして、神を愛する者たちには万事が益となるように共に働くというローマ8章28節の言葉が、いかに現実であるかについての教訓です。

ガブリエルがダウン症であることを医者から聞かされた時、最初はなかなか受け入れられませんでしたが、色々と調べていく内に、ダウン症の子どもたちがいかに特別であるかが分かってきました。そして、ガブリエルと一緒にいて、天使のように優しい魂に触れていく内に、私たちはこの子の障害のことはあまり考えず、むしろ、自分たちは聖書で「気づかないで御使たちをもてなした」*1 と言われている人たちのようなものかも知れないと思うようになりました。

ガブリエルは生まれた時から重度の身体障害を抱えていたので、あまり長い間生きられないことは分かっていました。この子と過ごせる毎日が奇跡であり、神からの贈り物だったのです。ガブリエルの健康や体力に関して、聖書の節をまとめて、何度も読み返し、引用しました。私たちが最もよく引用して、それが果たされるよう求めた神の約束は、神が「弱った者には力を与え、勢いのない者には強さを増し加えられる」*2 というものです。神はたしかに、ガブリエルのためにこの約束を果たしてくださいました。

ガブリエルが6ヶ月の時、激しい咳をしはじめたので、癒やしてくださるよう必死に祈ると、神は私たちに忍耐を教えているのだと言われました。そこで、忍耐について学ぶために聖書を調べてみたところ、この忍耐という美徳が大勢の神の人たちを、神が望まれるような人になるのを助けてきたことを知って、非常に励まされました。私たちの場合、ただ一度祈ってそれで済むということではなく、神の助けを一心に求め続ける必要があったのです。その点に気づいて、自分たちの分を果たしたところ、神は神の分を果たしてくださいました。ガブリエルは、あれほどひどい咳から完全に癒やされたのです。

危機が訪れるたびに、神は癒やしや熱心な祈りについて新たな教訓を教えておられるようでした。多くの場合は、私たちがすでに神の言葉の中で読んでいたことを実践するよう助けてくださったのです。それは、私たちの人生において全く新たな学年に上がったかのようで、他の方法では学べなかった教訓の数々を教えてくれました。苦しんでいるのがガブリエルではなく自分たちであればよかったのにと思うことは何度もありましたが、神は最善をご存知である(常にそうなのですが)という結論にたどり着きました。自分のためにしたであろうよりずっと熱心に、祈りの内でガブリエルのために戦うようになったのです。そして、毎回、神は私たちが必要とする慰めや力を与えてくださいました。

ガブリエルが天のふるさとに戻る日が来ることについては、神が私たちの心を準備していてくださいましたが、それでも、ずっと一緒にいたくてたまりませんでした。おそらく、だからこそガブリエルは特別な子だったのでしょう。初めから、この子を少しの間だけ「神からお借りしている」ということが分かっていましたから。

ガブリエルの体調が悪く、いつもより弱っていたある日のこと、けいれんの前兆があったかと思うと、私の腕の中で失神し、意識が戻りませんでした。急いで病院に駆けつけ、医者が意識を回復させようとしてくれている間、私たちは手元にあった讃美歌集を開いたのですが、その時、『Some Golden Daybreak(黄金に輝く夜明け)』という曲が目に留まりました。それは、ガブリエルが天のふるさとに戻ろうとしているとの、神からのしるしのようでした。

私たちの感じた喪失感はすさまじいものでしたが、神は私たちを慰めてくださり、それは神にしかできないことでした。ガブリエルの苦しみがついに終わり、完全に健康で幸せでいると知ること以上に、何も望むものはありませんでした。ガブリエルの葬儀の際、ある人が、サナギから出てきたばかりの蝶のイメージが浮かんだと話してくれました。この世にいた時のガブリエルは、いわば毛虫のようなものでした。いえ、毛虫ほど上手にはって動くことさえできなかったのです。でも今、美しい蝶となり、自由に飛んでいきました。

ガブリエルが天国へ行ったことで、私たちにとって天国はより現実的な場所となりました。天国があることは以前から信じていたし、その美と神秘をいつの日かゆっくり見て回りたいと思ってはいましたが、今はガブリエルがそこにいるので、天国はふるさとだという気持ちがより強くなり、この世のものにあまり執着しないようになったのです。ガブリエルがこの地上で一緒にいてくれたのは短い期間でしたが、それによって私たちは変わりました。そもそも、ガブリエルは「私たちのもの」などではなく、使命を受けて遣わされていたのです。私たちの心を解かし、神により近くつながることを教え、人生の真の価値について学ばせるために。

(パラディーノ夫妻は、日本で14年、メキシコで18年を過ごし、神の愛と希望のメッセージを伝えています。)

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1. ヘブル13:2

2. イザヤ40:29

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