1 minute read
819:相手の必要に目を向ける
from 819:相手の必要に目を向ける
相手の必要に目を向ける
カーティス・ピーター・バン・ゴーダー
Advertisement
1931年、若きテッドとドロシー夫妻は、アメリカ西部の小さな町にあるウォールドラッグというドラッグストアを購入しました。当時その店は、コンビニのようにさまざまな飲み物その他の商品を扱っており、かなりの将来性が見えたのです。しかし残念ながら、この町の人口はわずか326人で、皆貧しい人ばかりでした。商売はうまくいかず、かろうじて赤字にならない程度です。それでも、二人はこれが天から与えられた仕事だと信じていました。多くの人と親しい関係を築き、医療サービスを提供して、地域社会の一部になっていると感じたのです。
夫妻は、試しに5年間やってみて、それで軌道に乗らなければ他のことをしようと決めました。そして、自分たちで決めた5年間の期限が終わりに差し掛かった、ある午後のことです。ドロシーは娘に昼寝をさせようとしていたのですが、通り過ぎる車の音がうるさすぎて、かなり苦労していました。その時、ふと思ったのです。〈車に乗っている人たちに必要なものって、何かしら。きっと暑くて喉が渇いているだろうから、冷たい水の無料サービスという看板でも出したらいいかも。〉
夫妻がそのアイデアを試してみると、驚いたことに大当たりでした。人々は冷たい水を求めて来店し、ついでに必要なものを買って行ったのです。テッドはこう語っています。「それ以来、客が絶えることはありませんでした。翌年の夏は、手が足りなくて、8人の女子従業員を雇わなければいけなかったほどです。それから数年が経った今、夏の暑い日には最高2万人もの来店があります。」
小さな始まりでしたが、事業はどんどん発展して、今ではホテルや旅行者向けのチャペル、アートギャラリー、ライブパフォーマンス、20メートル超の恐竜の像などのある、観光名所となりました。近年、ウォールドラッグは1000万ドルを売り上げ、人口が800人を超えたことのない田舎町に200万人もの観光客を呼び寄せています。
州知事はテッドの収めた成功について、このように語っています。「この人は、無料の冷たい水が、何もない半乾燥地帯のただ中での驚異的な成功につながるかもしれないと考えました。」
息子が事業を引き継いでから何年にもなり、店は多くの困難に直面しましたが、そのたびに、最初に成功した時と同じ独創性ともてなしの心で立ち向かってきました。
そして今でも、無料の冷たい水を出しています。人は今でも、喉が渇きますからね。