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847:クリスマスを見つけた人たち

クリスマスを見つけた人たち

The Man Who Found Christmas

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カーティス・ピーター・バン・ゴーダー

私たち夫婦は、以前、チャールズ・ディケンズ原作の『クリスマス・キャロル』をドイツ語で舞台化したものを見たことがあります。ご存知の方も多いかと思いますが、ケチくさい経営者スクルージが、親切で心の広い人に生まれ変わるという物語です。それは、彼の過去、現在、未来を見せてくれる3人の精霊の不思議な働きによるものでした。私も観客も、この舞台作品に深い感銘を受けました。

この物語は、当時のイギリスの労働者がいかにひどい状態に置かれていたかを知ってほしいという、ディケンズの願望から生まれました。彼自身、貧しい家庭に育ち、子どもの時に一日12時間、工場で働いていた経験があるため、労働者の窮状に共感し、この物語が彼らの生活状況の改善に役立てばと願ったのです。6週間で書き上げられたこの中編小説は、たちまち大当たりし、不朽の名作となりました。

英文学教授ルース・グランシーは、『クリスマス・キャロル』が与えた最大の影響とは、読者がこの小説から刺激を受けて、困っている人たちを助けるようになったことだと語っています。この物語のおかげもあって、貧しい人たちのためのクリスマス夕食会がよく催されるようになりました。1867年には、あるアメリカ人の実業家がこの小説の朗読会に出て感動し、所有する工場をクリスマスの日に休業して、従業員全員にターキーを贈りました。また、1900年代初頭には、ノルウェーの女王が、「ちびっこティムの愛を込めて」*1 という言葉を書き添えて、ロンドンにいる手足が不自由な子どもたちに贈り物をしていたそうです。作家のG・K・チェスタトンは、こう書いています。「この物語が美しく、恵みにあふれているのは・・大いなるかまどの中でこうこうと燃え立ち、スクルージとその周辺を通して輝きを放つ、真の幸福のゆえです。・・クリスマスについて示された情景は、スクルージを変えようと変えまいと、私たちを間違いなく変えてくれます。」

最近、『クリスマス・キャロル』と似たような、クリスマスに人生が変わったという話を読みました。それは、クリスマス・イブに、よりによって自分の銀行の金庫室に閉じ込められてしまった、ジョージ・メイソンという銀行家の話です。2日後にようやく外に出られた時、彼は自分がいないことに誰も気づいていなかったと悟りました。この経験を通してひとつ良かったのは、自分の人生を振り返り、態度を改めようと決意したことです。今、金庫室には、彼の書いた手書きのカードが貼られています。「人を愛すること、そして、誰かにとっていなくては困る存在となること、それが人生の意義。それこそが幸福の秘訣。」

クリスマスの本当の意味に気づくために、精霊に訪問されたり、金庫室に閉じ込められたりする必要はありません。神はそのひとり子であるイエスを、あの最初のクリスマスの日に送ってくださったほどに、この世を愛してくださいました。それは、私たちを死から救い出し、永遠の命を与えるためです。このクリスマス・シーズン、私たちに与えられた愛を他の人たちと分かち合いませんか。

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1. ちびっこティム:主人公スクルージの事務所で働く書記の息子であり、足が不自由で病気がち。スクルージが生まれ変わるきっかけとなる。

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