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848:道は開かれる

道は開かれる

The Way

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リー・リアン

西アフリカ沿岸地域のとある工業都市に住む若き学生ルークは、意気消沈した様子で、ひびの入った窓から外を眺めていました。遠くの街にいる高齢の両親に最後に会ってから2年以上が経つので、今年のクリスマスには両親を訪問できないものかと考えていたのです。

しかし、問題は常にお金です。経済不況のせいで、彼にはアルバイト程度の仕事しか見つからず、そのわずかな収入は、かろうじて生き延びられる程度のものでした。それなのに、混み合う休暇シーズン中にかなり高騰するバス料金など、払えるわけがありません。

ルークは窓に背を向けると、両手に顔をうずめ、何か手段はないものかと思案しました。

その日の夕方、ルークは仲の良い友人に、できれば交通費を助けてもらえないだろうかと尋ねました。あいにく、その友人もお金が苦しく、助ける余裕がなかったのですが、こんなことを言ってきました。

「でも、君が両親を訪問することを神が望んでおられると確信しているなら、神が道を開いてくださるよ。聖書に、『神には何でもできないことはない』と書かれているじゃないか。1 僕たちは今、二人ともお金に困っているけれど、神には何かがなくて困るなんてことはないし、君を必ずそこにたどり着かせることができる。明日、目的地に向けて出発することで、神にはそれがおできになるのだと証明したらどうだい?」

「でも、僕には車がないよ。」

「足があるじゃないか。」

「歩けって言うのかい? そんな遠くまでは無理さ。」

「それは分かっているよ。そして神も分かっておられる。でも、今の君にある選択肢は2つだ。明日家にいることを選んでもいいけど、それだとおそらく何も起こらないだろう。あるいは、 とにかく出発し、何かが起こるよう祈るという選択もある。一歩踏み出して試してみれば、神が君のために道を開いてくださるよ。」

翌日、ルークは故郷に向けて出発しました。バックパックの中には、福音トラクトがたくさん入っています。それから1時間、歩きながら、通行人やクリスマス・ショッピングをする人、露天商、道端で物乞いする人など、出会うすべての人にトラクトを配りました。

混雑したバスターミナルに着くと、すし詰め状態のバスになんとか乗りたくてやきもきしながら待っている人たちにも、トラクトを配ったのですが、どのバスにも人がぎっしり乗っており、たとえ彼にお金があったとしても、席を取ることはできないと分かりました。前日の失望感が再び襲ってきましたが、ルークはそれを払いのけて、そのまま歩き続けました。

交通量の多い交差点で立ち止まり、向こうへ渡ろうとして待っていた時のことです。車が近づいてくる音にはっとして、物思いから呼び覚まされました。振り向くと、シルバー色のサバ―バンが歩道に乗り上げて停まりました。

「おはよう。」 運転手が車の窓から声をかけてきます。「さっき、車にガソリンを入れていた時、向かい側のバスターミナルにいるのを見かけたよ。バックパックを背負っているから旅行しているのはわかったけれど、どのバスにも乗らなかったんだね。ここでまた君を見かけたので、停まることにしたんだ。どこまで行くの?」

ルークはその人に行き先を告げてから、きまり悪そうに、バス代を払えるほどのお金がないのだと言いました。

「うちの家族もそこに住んでいるよ! 実をいうと、休暇で今から会いに行くところなんだ。一緒に乗っていかないかい?」

こうして、ルークは移動のすべができて、大喜びしました。そして、助手席に乗り込みながら、以前に聞いたことのある歌から次の歌詞を思い出したのです:

**

私は知っている

主が私のために道を開いてくださると。

決して疑わず、信頼するなら

主が必ず何とかしてくださる。

私は知っている

主が私のために道を開いてくださると。

**

こうして、ルークがクリスマスに奇跡的に移動手段を与えられた話を、ある牧師がしてくれた時、信仰によって主の御心が示す方向へ足を踏み出すなら、主は私のためにも道を開いてくださると確信したのです。

―――――

今年のクリスマス・シーズンは、たくさんのことが起こっている。しかしクリスマスは、商店やパーティーや点滅を繰り返すライトにあるのではない。クリスマスを味わいたいのなら、静まる時間を作らなくてはいけない。言葉を発せず、じっとして、自分の心と思いの内に主がおられることに、思いを馳せなくてはいけない。主はそこにいて、あなたを抱擁したいと思っておられる。そうしていただきなさい。クリスマス・シーズンに本当は何が起きているのか分かるようになれば、その時には黙っていられなくなる。この世界には悲惨なことや悲しみもあるが、それでも神からの贈り物に満ちた世界であることに変わりないので、感謝の言葉を言わずにはいられない。神をほめたたえ、神に栄光を帰すことなしに、真のクリスマスを味わうことはできないのだ。― コーマック・マーフィー=オコーナー枢機卿(1932-2017)

クリスマスは、時期やシーズンのことではなく、心のあり方。平和と善意をいつくしみ、憐れみ深くなること、それがクリスマスの真の精神。そうしたことを思うなら、私たちの心の中に救い主が生まれ、頭上には星が輝いて、世界に希望の光を放つことだろう。― カルビン・クーリッジ(1872-1933)

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