The -SATO- Project 2009-2013

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okabe laboratory project -SATO-



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プロゞェクトブック about this Project Book

このプロゞェクトブックは、千葉倧孊院工孊研究科岡郚明子研究宀 以䞋、岡郚研究宀の千葉県通山垂における掻動をたずめたもの である。掻動を継続する䞭で起きた様々なこずがあり、倉えおきた ものがあり、様々な圢で支えおくれた通山のひずがいた。これらを もう䞀床振り返るこずで、深みのある次の戊略的な掻動ぞず繋げお いく。通山で愛されながら掻動を継続させ、䞀定の成果を出し続け おいくこずを目指しお。

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目次 Contents

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6

目次

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Contents

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はじたり

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the Beginning

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党䜓抂芁

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Outline of This Project

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研究宀のポリシヌ

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Our Policy

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タむムラむン

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Time line

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通山垂塩芋地区に぀いお

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About Shiomi ,Tateyama city

21

かやぶきの家ゎンゞロりに぀いお

21

About GONJIRO

35

珟代 GP スタゞオ課題

35

For Okabe studio project

39

ゎンゞロり倧掃陀

39

General cleaning in GONJIRO

49

かや刈り

49

Gathering thatch plants

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かや葺き替え

57

Thatching the roof of GONJIRO

67

かや茶䌚

67

Tea ceremony party at GONJIRO

77

かや談矩

77

Discussion at GONJIRO

83

里歩き

83

Researching in Shiomi

89

枛築 改築

89

Reduction and Reconstruction

97

あわのネ 2011・2012

97

AWANONE summer music festival 2011・2012

111

かやぶき倏祭り

111

Summer festival at GONJIRO

119

ハナレ改修工事

119

Repair work of HANARE

133

ハナレ竣工パヌティヌ

133

A ceremony to celebrate the completion of HANARE kitchen

141

䌑耕畑の再生

141

Reproduction of a fallow field

144

あずがき

144

Epilogue


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はじたり the Beginning

岡郚研究宀は通山ずいうフィヌルドず出䌚うたでは具䜓的なフィヌ ルドでの掻動はなく、海倖事䟋の調査研究や「空間の公共性」「持 続可胜的なたちづくり」ずいった理論の研究が䞭心であった。 2008 幎床、岡郚研究宀を率いる岡郚明子が NEXCO 東日本の芖察 䌚議「房総ハむりェむミヌティング」に参加し、通山に蚪れた際に 出䌚ったのが、通山銀座商店街内にある老舗旅通「幞田旅通」の女 将・幞田右子氏である。増改築を繰り返しながら時代に合わせた圢 で営業を続けおきた旅通の姿ず、パワフルに旅通を切り盛りする女 将の姿に魅力を感じた岡郚が、2009 幎千葉倧孊工孊郚建築孊科 3 幎生のスタゞオ蚭蚈課題を「幞田旅通改修蚈画の提案」ずしたこず が、珟圚たで続く岡郚研究宀ず通山ずの関わりの始たりである。 たた、圓時の芳光協䌚䌚長であった小金晎男氏ずの出䌚いから通山 垂塩芋地区に残る貎重な茅葺き叀民家を幞運にも掻動拠点ずしお利 甚するこずが可胜ずなった。

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党䜓抂芁 Outline of This Project

本プロゞェクトブックさず線では 2009 幎に幎次の岡郚スタ ゞオ蚭蚈課題で塩芋地区に建぀旅通の里の颚景ず䞀䜓ずなった魅力 䜜りを提案したずころから、2013 幎春に「かやぶきの家ゎンゞロ り」から䞀歩螏み出し、塩芋地区の䌑耕畑を再生させたずころたで の塩芋地区におけるフィヌルドワヌク珟堎に入り蟌んでの実践 を䌎うたちづくりの研究の成果をたずめたものである。 2011 幎に「かやぶきの家ゎンゞロり」の雚挏りがしおいた北偎屋 根を週間以䞊泊たり蟌んで改修し、完成埌、お披露目の「かや茶䌚」 を開催した。目に芋える圢で成果が珟れたこずが集萜ぞのアピヌル ずなり、その埌も「第二回かや葺き替え」や「離れリノベヌション」 ずいった改修を 20 幎ケアプランを意識しながら実践した。たた塩 芋地区を含めた西岬䞉地区に及ぶ土地利甚倉遷の調査やマップ䜜り ずいった提案のベヌスずなる研究も行い、今埌は広い芖野で「さず」 党䜓ずしおの「颚景のケア」を実践しおいく。 塩芋地区での掻動ず同時に、玠敵な出䌚いをきっかけに「あわの ネ沖の島で行われる音楜フェス」のステヌゞデザむン斜工も 2011 幎から担圓しおいる。

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研究宀のポリシヌ Our Policy

岡郚研究宀のポリシヌは「スヌパヌマクロな芖点を持っお、スヌパヌ ミクロな実践を行う」ずいうこずである。 スヌパヌマクロな芖点ずは「郜垂の未来 (2050 幎 ) の姿を想定する」 ずいうこずで、「人口がどのような割合で土地に分垃するか」を重芁 なファクタヌずし、未来の人口分垃を予枬するこずで「郜垂の未来の 姿」を想定しおいる。 人口が増加しおいくケヌスに぀いおは人口分垃の割合を倉化させた耇 数“spread”“polycentric”“monocentric” のパタヌンのシナリオ を䜜成し、それぞれの経枈性・環境負荷などに぀いおメリット / デメ リットを怜蚎するこずで、未来を予枬した「マクロな芖点」に基づき、 戊略的に「ミクロな介入」を行う。この人口増加のケヌスに぀いおは ゞャカルタのチキニずいうスラムをフィヌルドずしおいる。 䞀方、人口が枛少しおいくケヌスのフィヌルドが通山である。2050 幎に通山垂の人口が半枛するず想定するず、䞀般論ずしお叫ばれお いる䞀元集䞭のコンパクト化は非珟実的で「たちなか3000 人 / km2」も「さず400 人 /km2」も珟圚の人口が䜏んでいる範囲を 30 〜 70% 削るこずで、小さな栞を維持しおいくのが珟実的である。 ぀たり、「たちなか」ず「さず」をどちらも捚おるこずなく、珟状を 掻かしながら人の暮らす環境をケアし、コミュニティを匷化しおいく 必芁がある。こうした「マクロな芖点」から、「持続可胜な瀟䌚にお いおはあらゆる仕事がケア化し、物的な環境をケアするニヌズが急膚 匵しおいるのに、それに応える専門家がいない」「建築家の職胜も倉 化しおいく」ずいう問題を意識しお、「ミクロな介入」である実践掻 動に取り組む。 通山での掻動は、“ 孊ぶ堎、人を育おる堎 ” ずしおの商店街を取り戻 すこずを目的ずした「たちなか」での掻動ず、“ 家茅葺き民家を ケア ” しながら集萜のコミュニティに基づく“ 颚景をケア ” しお いくこずを目的ずした「さず」での掻動を䞡立させ、 「たちなか」ず「さ ず」をたずめおケアするこずで、持続可胜な瀟䌚においおいかに「建 築系ケアビゞネス」は成立し埗るのかを実践から探るプロセスである。

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タむムラむン

Timeline

Long-term Plan 2009

2010

2011

城内邞の葺き替え手䌝い 西岬䞉地区「里あるき」/ マップ䜜り

塩芋区散策ルヌトの提案 3 幎蚭蚈課題岡郚スタゞオ

第䞀回「かや談矩」開催 掃陀 / 障子匵り替えなど 「1 垖のデッキ」蚭蚈・斜工 あわのネ サブステヌゞ蚭蚈・斜工 第䞀回「かや茶䌚」開催 「垖の茶宀」蚭蚈・斜工

母屋・離れ・蔵の実枬 / 北偎枛築工事


Long-term Plan 2011

2012

BS 朝日「癟幎名家」出挔 倩井はがし / 挆喰塗装

2013

「かや刈り」実斜 ハナレリノベヌション 竣工お披露目パヌティヌ

第二回「かや談矩」開催 あわのネ メむンステヌゞ蚭蚈・斜工

北偎屋根かや葺き替え 半屋倖テラスリノベヌション

䌑耕畑の再生

第二回「かや茶䌚」開催

「かや刈り」実斜

北偎屋根かや葺き替え 西偎屋根かや葺き替え 第䞉回「かや茶䌚」開催


千葉県通山垂 Tateyama city,Chiba

通山垂塩芋地区 About Shiomi,Tateyama city 16


通山垂に぀いお 通山垂は、千葉県の最南端にある。総面積は 110.21k㎡であり、 西偎は東京湟に面し、北偎・東偎・南偎は南房総垂 (2006 幎に、 富浊町・富山町・䞉芳村・癜浜町・千倉町・䞞山町・和田町が 合䜵し発足 ) に面しおいる。南房総地域における政治・経枈の 䞭心地であり、東京からはおよそ 100km、バスで玄時間の 距離にある。 人 口 は  侇  千 人 (2010 幎 ) ず  侇 人 匱 の 町 で あ り、 戊 埌 1950 幎代をピヌクに枛少し続けおいる。幎霢別人口構成の掚 移をみるず、0~14 歳の䜎幎霢局人口ず 15~64 歳たでの生産幎 霢人口が枛少傟向にある。 その䞀方で 65 歳以䞊の高霢者人 口は増加傟向にあり、高霢化率は 30を越えおいる。䜎幎霢 局人口ず生産幎霢人口の枛少は、産業の担い手䞍足に陥る契機 ずなる、危惧される問題である。 商業斜蚭などの倧型店は囜道や海岞通り沿いに分散しお䜍眮し おいる。そのため、近幎旧商店街のシャッタヌ通り化が問題に なっおいる。

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千葉県通山垂 Tateyama-City,Chiba

通山垂塩芋地区 Shiomi,Tateyama-City

塩芋地区ゎンゞロり Shiomi,GONJIRO

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塩芋地区に぀いお 通山垂塩芋地区は通山垂䞭心郚より西偎にある西岬地区の䞭 の぀の集萜で、通山䞭心郚から車で 15 分ほどの距離であ る。塩芋地区は人口 215 人、䞖垯数 106 䞖垯の芏暡の集萜。 通山垂党䜓で芋おも人口枛少が進んでいるが、ずくに塩芋地 区は 1990 幎ず比べるず 75たで枛少しおいる。高霢化率も 47.9ず通山垂西岬地区の䞭でも高い割合ずなっおいる。高霢 化の䞀方で、新芏移䜏者や二拠点居䜏者が割匱ずなっおおり、 最近の傟向ずなっおいる。塩芋地区は千幎以䞊続く集萜ず蚘さ れおおり、昭和幎に通山垂に䜵合されお珟圚に至る。

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かやぶきの家ゎンゞロり About GONJIRO

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かやぶきの家ゎンゞロりは千葉県通山垂塩芋地区にある鈎朚信雄邞の通称。 千葉倧孊岡郚明子研究宀では 2009 幎に地域䜏民ず共に西岬海蟺の里協議 䌚を立ち䞊げ、協働で継続的ケア ( 維持補修 ) を行うこずを条件に借り受け おいる。 家の構成は䞻屋 / ハナレ ( ç‚Šå Ž )/ 蔵からなり、呚囲を竹ずマキノ キの生け垣が囲う。 䞻屋は築 100 幎以䞊経ち重厚なマツの梁が特城的な 兞型的な半蟲半持村の民家である。 房総半島の民家には倚く芋られるが、 炊堎は別棟で叀い竈ず井戞があり、蔵には昔の蟲業・ 持業甚の叀道具が倚 く残されおいる。

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手を入れる前のゎンゞロり GONJIRO before repaired

名称かやぶきの家ゎンゞロり 甚途倧孊の掻動拠点集萜の寄り合い所 ( 元個人䜏宅 ) 堎所千葉県通山垂塩芋 349 築幎数100 幎以䞊 ( 詳しくは䞍明 ) 岡郚研究宀の介入埌の幎数5 幎目 茅改修の頻床毎幎、1/8 面皋 ( 以前は 10~12 幎に䞀床 ) その他茅の厚みはあたりない。瞁偎がたわっおいる事、 田の字型プランから掚枬し、䞭の䞊皋床の富裕局の民家 ず考えられる。

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西岬海蟺の里づく り協議䌚 海蟺の里の営みを維持し颚景をケアするこずず、 高霢化する䜏民のケア を新旧䜏民の協働および孊生の地域掻動で実珟する。

千葉倧孊 倧孊院 岡郚明子 研究宀

千葉県 通山垂 塩芋の䜏民の方々

通山垂圹所

() 通山垂西岬地区における里の営みず颚景の維持に関する事業 () 里の資源掻甚による高霢者犏祉や医療に関する事業 () 新旧䜏民の協働ず倧孊の地域掻動に関する事業 () その他里の暮らしの維持に関する事業

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「長期ケアプラン」 20 幎改修蚈画 2011 幎床に、「長期ケアプラン」を立おお、ゎンゞロり環境を ケアする方向性を瀺した。たた その埌、2011 幎床より「かや葺き替えワヌクショップ」を行っおいる。2012 幎床は通山垂内 で塩芋以倖の地区の䜏民の方々や、千葉倧孊の亀換留孊生なども含め、のべ 30 人ほどで、前 幎床から継続䞭の北面の屋根の残り半分を葺替えた。茅葺き替えの際に出おくる叀茅は地元の 蟲業をされおいる方に譲り、畑の肥料にしおいただいた。 たた䞀぀茅の埪環をなすネットワヌ クが広がった。たた次幎床のかや葺き替えワヌクショップに向けお、葺き替える茅を収集する 「かや刈りワヌ クショップ」も行った。

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集萜の生掻の近代化の䞭で䜿われ

個々の棟ごずではなく䞀矀の建物ずし

䞻屋は誰にでも開かれた空間ずし

なくなり、半分朜ちお攟眮されお

お関係を再構築する。

お䜍眮づけ盎し、利䟿性向䞊のため

いる廃屋をありのたた受入れ、す

䞀床は䞻屋に移された台所・颚呂・

でに朜ち萜ちたものは原則ずしお

トむレをハナレに段階的に戻す。

埩原しない。

新芏に加える氎道、電気、ガス、䞋氎

改修プロセスで、昔の自然に寄り添っ

地域の方々ず孊生が立案・斜工に

道など珟代における氎廻り火廻りを備

た生掻に孊び、珟代の里山里海の居䜏

参加する。

えたものずする。次の段階ずしお竈や

環境に合ったラむフスタむルを再創造

井戞などの再生を想定しおおく。

する。

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塩芋は海ず山に囲たれた地圢で、長い間半蟲半持で暮らし぀いできた。私たちの研究宀は瞁あっ おこの地域で、かやぶき叀民家をお借りするこずになった。か぀おはこの集萜はほずんどが茅 葺きであったが、珟圚茅葺きの叀民家はここしかない。里の颚景や里ならではのコミュニティヌ を保存するこず、これからの時代に合わせここでの暮らし方を繋いでいくような生掻の仕組み などを考えながら、私たちは塩芋地区をフィヌルドに研究をしおいる。

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珟代 GP スタゞオ課題 For Okabe studio project 2008-2009

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スタゞオ蚭蚈課題ずしお 通山垂で掻動をするきっかけずなったのが、文郚科孊省珟代的教育 ニヌズ取組支揎プログラム ( 珟代 GP) の䞀貫で行った、建築孊科 幎生のスタゞオ課題のフィヌルドを通山垂にしたこずであった。そ の埌、自䞻掻動ずしお商店街や塩芋地区の地域づくりのお手䌝いを し始め、岡郚研究宀ほか建築の修士孊生が䞭心ずなっお、ほが毎週末、 通山垂塩芋地区の茅葺き民家における地域ず連携した掻動をするよ うになった。

塩芋散策マップ䜜り 2009 幎床の孊郚幎生岡郚スタゞオ蚭蚈課題のテヌマは、" 通山に 「泊たる暮らす」圢を提案する " であった。塩芋地区の魅力を知っ おもらい、倖から来る芳光客も孊生も地元の方も、様々な人を巻き 蟌んで、みんなで里の颚景を維持するしくみのひず぀ずしお、「散策 路」を提案した。そしお、その成果物ずしお「塩芋散策路マップ」 を぀くった。たた、それだけでなく実践ずしお、提案した散策路の 呚蟺草刈も行った。この課題をきっかけにかやぶきの家ゎンゞロり を家䞻の方からお借りするこずになった。

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ゎンゞロり倧掃陀

General cleaning in GONJIRO May, 2010 39


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今では、通山の里の䞭心ずしお孊生が寝泊たりをするゎンゞロりである が、岡郚研究宀が掻動を始めたころは䜿える状態ではなかった。授業の 䞀環ずしお、たず最䜎限䜿えるようにしたのが 2010 幎のこずである。 孊生間で今埌の䜿い方をむメヌゞし、改修の方法を考えた。その䞊でた ずは、掃陀・草むしり、雑草が生え根詰たりを起こしおいた雚暋の撀去 などをした埌に、腐っおいた济宀前の脱衣スペヌスの床を取払い、瞁偎 から地面たでの高さがあるために、デッキを制䜜した。庭でパヌティヌ をする際に人々が座れたり、物を眮いたりしお䜜業が出来るようにず、 可動匏を採甚。さらに、反り返っおいた瞁偎郚分の塩化ビニルシヌトを 取り払ったり、黄ばんでいた和宀郚分の倩井や掗面スペヌスを塗り盎す などのこずをした。



朚材がささくれお危険だった床の䞊から根 倪を組んで合板の床を畳のような割り付け で貌り盎した。

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1

1

1. 壁を塗り替える

1.Painting the wall

2. 壁の塗り替え・ふすたの匵り替えが終わっ

2.Finished painting the wall and

たずころ

papering fusuma

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2


ゎンゞロりでれミを行ったり、回目ずなるかや茶䌚を地域の方を お呌びしお行うなど、本栌的に里の䞭心ずしおスタヌトを切った。

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かや刈り

Gathering thatch plants Dec, 2011/Jan, 2013

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か぀お ” 茅堎 ” ずいうものがどの地域にもあり、集萜党䜓で管理しおいた。 塩芋にも珟存する茅堎があるが、そこだけではゎンゞロりの葺替えに十分 な茅を確保できないため、 2011 幎には通山垂、皲にある茅堎で茅刈り を行い、たた 2013 幎は南房総垂、䞞山の茅堎にお行った。茅刈りは、ア ドバむザヌずしお南房総垂の和田浊で茅堎を経営されおいる吉野達雄氏に 協力しおいただき、月末に日間のワヌクショップ圢匏で催された。


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孊生や参加した䜏民は、ススキずペシアシの芋た目や 手觊りの違いを、吉野氏に教わりながら、茅を刈る→束ね る→運ぶ、ずいう䜜業を通しお、茅葺きの成り立ちを䜓感 するこずができた。 刈り集めた茅は、数日間也燥させる必芁があるのだが、ゎ ンゞロりの庭には十分な堎所がずれないため、茅葺き職人 である野村泰䞉氏のアドバむスのもずに、( ここの地域では 珍しい )「雪囲い」ずいう茅束で家を囲う方法や、束を組ん で立おおおく「茅がっち」を詊しおみた。こうした颚景は、 ゎンゞロりを通りかかる人に懐かしい蚘憶を思い出させ、 秋の葺き替えに向けた期埅を膚らたせるこずができた。

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「茅がっち」 刈った茅を干す方法のひず぀。立おお纏める様子。

1


2

2

秋の葺き替え䜜業の芏暡を考慮するず、䞀般におよそ束の茅 が必芁であるが、第䞀回、第二回の葺き替えワヌクショップでは、 茅が比范的少量で葺くこずのできる ” 段葺き ” をしおいる。ゎンゞ ロりの蔵の容量から芋おも、この手法が今埌の基本になっおいくず 思われる。茅屋根の寿呜が短くなるため、今埌も定期的なケアが必 芁ずなる。

1. 茅がっち

1.KAYABOCCHI

2. 茅堎にお茅を刈っおいる様子

2.Gathering thatch plants

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かや葺き替え Thatching the roof of GONJIRO Oct, 2011/2012/2013

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茅葺き屋根の寿呜は通垞 20 幎ほど囲炉裏などで薫蒞できれば 30 幎ほどだがゎンゞロりは 2011 幎時点で既に 30 幎以䞊攟眮されおいた。日圓たりの悪かった北面は特に腐敗が激しく、 ほずんど土のような状態であった。その修繕ずしお、2011 幎 10 月「第䞀回かや屋根の葺替え ワヌクショップ」が開催された。老朜化した屋根からの雚挏りによっお床たで腐りはじめおい る郚屋があり、早急なケアを芁する状態にあったため、ワヌクショップに先駆けお地元の倧工 さんによる柱・梁の郚分的な構造補匷、床の匵替え䜜業などを実斜した。

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次いで、いよいよ茅葺き屋根に着手するわけだが、もちろん経隓のない孊生には 䜕から手を出せば良いかわからない。そこで金沢で掻躍されおいる茅葺き職人の 野村泰䞉氏をお招きし、その指導のもずで䜜業するこずずなった。野村氏は孊生 を指導しおくださる心匷い存圚でありながら、圓人にずっおも房総での葺き替え がはじめおの経隓であるこずから、屋根に觊れなが地域独自の技術を䞀緒に発芋 するような姿勢で取り組んでいた。 ワヌクショップ期間䞭は塩芋の䜏民が散歩がおら蚪れお、葺き替えの颚景を眺め ながら、か぀お集萜で営たれおいた茅葺き䜜業の思い出などを話しおいただく機 䌚も倚く、汗をかきながら茅を葺く孊生たちの励みになっおいた。 このように野村氏や集萜の方々の協力のもず、11 日間の䜜業によっお玄 30 幎 ぶりの新しい屋根ぞず生たれ倉わった。

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2

2

1

1. 新しい茅を葺く、2012 幎・2013 幎には

1.Thatching new plants.In 2012 and

留孊生が日本文化の䜓隓に茅葺きの䜓隓をし

2013,students studying abroad came

た

and tried thatching.

2. 葺いた茅をはさみで敎える

2.Tidying up thatch plants by scissors

3. 葺いた茅を敎える

3.Tidying up thatch plants.

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かや茶䌚

Tea ceremony party at GONJIRO Nov, 2010/2011/2012 67



「かや茶䌚」は「葺き替えワヌクショップ」の成果を披露するこず、集 萜の亀流拠点ずしおのゎンゞロりの掻甚の詊みを兌ねた催しである。 第回目の「かや茶䌚」(2010 幎 ) は岡郚研究宀がゎンゞロりを拠点 ずし、塩芋で掻動を始めたこずを地域䜏民に正匏に報告させお頂く䌚 ずしお䌁画し、普段顔を合わせる機䌚の少ない塩芋区の女性たちをゎ ンゞロりにお招きし、茶道石州流野村掟家元の堀䞀孝氏によるお茶で もおなした。たたその蚭えずしお茶䌚埌には棚ずしお掻甚できる二畳 サむズの組み立お匏茶宀の蚭蚈、斜工を行った。初回の茶䌚は、ゎン ゞロりが集萜の「みんなの家」ずしお憩いの堎ずなる倧きな䞀歩であっ た。 第回以降の茶䌚は家元である掘䞀孝氏ず、建築家の堀正人氏䞀孝 氏の埓兄匟による組立匏茶宀が持ちこたれ本栌的な茶䌚仕様になっ おおり普段のゎンゞロりずは違う颚景であった。 毎回参加者は集萜の女性が䞭心であるが、茶䌚ずいう他ず異なる切り 口のむベントであるこずから、倚くの参加者があり孊生ず地域のコミュ ニケヌションの堎にずどたらず、I タヌン、U タヌンの移䜏者ず集萜ず のコミュニケヌションの堎ずもなっおいる。


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1

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2

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1.Mr.Ikko Hori ,the head of the tea ceremony 1. 家元の掘䞀孝氏

2.Tea ceremony party at GONJIRO/

2. かや茶䌚䌚堎 / 組み立お匏茶宀

Assembling the knockdown tea-ceremony

を䜜り、装食を呚りに斜しおいる

room and decorating around it

3. かや茶䌚の様子

3.The situation of a tea ceremony party

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かや談矩 Discussion at GONJIRO May, 2011/Oct, 2011/2012

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「かや談矩」は、茅葺き屋根や里山集萜にた぀ わるこずを、孊生が集萜の人たちず䞀緒になり 孊んだり情報亀換するため䌁画された。第回 2011 幎月、第回2011 幎 10 月は葺 き替えワヌクショップに向けお、かや刈りワヌ クショップで刈り貯めた束皋床の少ない 茅でどのように茅葺き屋根を手入れし、ゎンゞ ロりを維持しおいくかがテヌマずされた。 講垫ずしお叀民家を研究されおいる安藀邊廣教 授筑波倧孊ず茅葺き職人の野村泰䞉氏を招 き、「茅葺きはみんなの家」ずいうテヌマで講 矩をしおいただいた。講矩では、茅葺き屋根を 守るには茅の葺き替えずいう仕組みだけではな く、その材料を調達する茅堎の維持が重芁であ るずいうこず、そしお茅ずいう材料は建築の材 料になり、燃料になり、たた怍物を育おる肥料 にもなり、集萜を最す倧切な玠材であるずいう こずが話された。

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次いで第回2012 幎 10 月は「防灜かや談矩」ず称し、 南房総垂で里山保党に取り組たれおいる本間秀和氏を講垫 に招き、里山防灜に぀いおの情報亀換䌚を行った。長い幎 月の䞭で培われおきた集萜の知恵を防灜のメ゜ッドに準え お、非垞時に掻きる資源「裏山のマテバシむは薪に掻甚し おいた」「新米は備蓄しお、い぀も叀々米だった」「゜テツ から抜出できるデンプンは最埌の食料」などずしお発芋し、 里山の䟡倀を再確認するこずずなった。

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. 本間氏の講挔を聞いおいるずころ . 防灜かや談矩では、地域の方ずの危険な箇所 を確認した 1.Participants litened to the lecture of Mr.Honma 2.Marking dangerous zone in Shiomi area

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里歩き Researching in Shiomi May, 2011/April, 2012

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西岬䞉地区塩芋・銙・浜田の地図䜜成ず里山の颚景の再認識をす るため、2 幎にわたり、里歩きず称した実螏調査を行った。 2011 幎床は自分達で事前の調査を行った埌、地元の方々の先導のもず 再び塩芋・浜田を廻った。田畑の䜍眮や自然の様子を蚘録しおいく道 䞭、浜田の築 200 幎の叀民家を発芋する事が出来た。たた、防灜ずし おの機胜を確認するべく、井戞のある堎所や氎源の確認も加えお行っ た。地元の方のお話を聎きながら廻るこずで、空いおいる土地や䞍明 な点を解消しながらマップの䜜成を進めるこずが出来た。参加された 地元の方々も孊生ず話しながら廻る事で新発芋があったようで、終始 話が途切れる事なくなごやかな里歩きになった。



2012 幎床は、4 月初旬に怍生調査を兌ねお孊生のみで里歩き を行った。研究宀に新たに配属になった孊生や、修士 2 幎生 の論文調査のため、半日かけお里を歩いた。ゎンゞロりから スタヌトし、山の方に向けお怍生を地図にプロットしおいっ た。春先であったために田怍えをしおいる地域の方の姿も芋 られた。この回の里歩きを通し、倏ミカンや梅ずいった果暹 や野の花々など、倚くの自然が塩芋に残っおいるこずが把握 できた。 å…š 2 回の里歩きを通じ、里山の颚景の党䜓像を倧たかに把握 するこずが出来た。しかし幎月により颚景の様子や人の営み は倉わるため、毎幎でなくずも今埌定期的に行うこずが望た れる。

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1.A rice field 2.With local people 3.We descoveryed a cave near GONJIRO.

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枛築・改築 Reduction and Reconstruction Sep, 2011/Apr, 2012 89



空間のケアの手法は必ずしも「足す増築」だけではない。「匕 く枛築」も存圚し、そのバランスが珟代に生きる叀民家にずっ お重芁なポむントである。 2011 幎 9 月、裏庭に面する、梁や柱が䞀郚腐り壁面が厩れか けおいる箇所を枛築し、気持ちのいい屋根付きの半屋倖空間を 完成させた。ただ腐った郚分を解䜓するだけでなく、新たな柱 や梁を継ぐこずで構造䜓ずしおの匷床も出しおいる。そもそも 日本の朚造家屋は RC 造や鉄骚造ずはこずなり、線集がしやす いフレキシブルな材ず構造のため、埌々枛築や増築が容易であ りラむフスタむルに適応させ、手間をかけ長く維持させるには 最適である。たたこの工事は解䜓から斜工を通しお地元倧工ず の協働であり、孊生にずっおはその埌の掻動に繋がる貎重な経 隓ずなった。コンセプトは「家の䞭の離れ」。裏庭をのぞむ特 等垭、颚が通り今も気持ちのいい時間が流れおいる。 そしお 2012 幎 4 月にはゎンゞロりの倩井に匵っおあったボヌ ドの解䜓工事をおこなった。珟堎は、ホコリや䜕が飛び出おく るかわからない䞍安ずの戊いだったが、芋事に倧きく立掟な梁 が姿を珟したずきは歓声が䞊がった。寒さや掃陀の手間などで 倚くの叀民家では屋根にボヌドを匵っおしたうが、この枛築を 通し叀民家の矎しさ、空間の奥ゆかしさを感じるこずができた。 今埌もゎンゞロりのこれからの姿に合わせ匕いたり足したりを 繰り返しおいく。


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心地よい屋倖テラスに The comfortable outside terrace

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あわのネ 2011・2012 AWANONE summer music festival 2011・2012 Sep, 2011/2012

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あわのネは、2010 幎より「安房の魅力や可胜性を若者の 芖点で発信し、若者から地域を盛り䞊げるきっかけを増 やす」ずいうテヌマで開催されおいる地域に根ざした音 楜のむベント。 千葉県通山垂の海、森ず自然豊かな歩いおいける無人島 「沖ノ島」においお行われた。 岡郚研究宀は、2011 幎床には沖の島の林䞭に蚭けるサブ ステヌゞを、2012 幎床は海を望むメむンステヌゞを蚭蚈・ 斜工した。





2011 幎に担圓した森ステヌゞの制䜜。竹をシュ ロ瞄で固定しおいく。アコヌスティックバンドの 挔奏がメむンであったため、そのむメヌゞに合っ たステヌゞを制䜜するこずになった。材料は地元 にある材料を䜿い、慣れない孊生は斜工方法の詊 行錯誀はもちろん、構造的なこずから瞄の結び方 たでを孊びながら制䜜にあたった。

あわのネ 2011 森ステヌゞ The forest stage at AWANONE 2011

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海ステヌゞ制䜜颚景

A scene of making the ocean stage.

構造䜓ずなる柱を砂浜に建おおいく

Bulding up poles madeby bamboos.

2012 幎においおは 5m の篠竹玄 30 本ずシュロ瞄、ビニヌルシヌトを甚いおス テヌゞを蚭営するこずずなった。海偎ステヌゞには、日陀けの屋根を぀けるずい う条件の䞊、蚭眮堎所は颚がずおも匷く、かなりの匷床が求められた。ゎンゞロ りにおいおモックアップのスタディを行っお怜蚎した。真倏の䞭、野倖での䜜業 はハヌドなものであったが、倏の砂浜、海、挔奏の雰囲気にあったステヌゞは来 堎者からの評刀もよく、最高の時間を過ごすこずが出来た。

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あわのネ 2012 海ステヌゞ The ocean stage at AWANONE 2012

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かやぶき倏祭り Summer festival in GONJIRO Aug, 2012/2013 111



塩芋地区の倏祭りのあず、ゎンゞロりにお行われた倕暮れ時のパヌ ティヌ。地元の方々はもちろん、通山に圚䜏しおいないの方もお招きし、 およそ名が蚪れた。手補のパ゚リダや、バヌベキュヌをふるたい、 さらに参加客が持ち寄ったおいしい果物やお酒などを楜しみながら、 䜕気ない䌚話を通しお笑い合う、にぎやかなパヌティヌずなった。ゎ ンゞロりの母屋の瞁偎ず板の間をステヌゞずしおセッティングし、岡 郚研究宀の掻動玹介をゆるりず行ったあず、地元のフラバンド、“ オル マカニ・サりンズ ” の方々によるラむブ挔奏が催された。

地元のフラバンド " オルマカニ・サりンド " による挔奏 A stage of a local hula band "ORUMAKANI SOUND"


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日が萜ち涌しくなり始めた心地よい颚ず、玠敵な音楜で、たったりずく぀ろいだり、挔 奏に合わせお螊っおみたり、はたたたおしゃべりに倢䞭になったりず思い思いの時間を 過ごし、終始笑い声の絶えない盛り䞊がりを芋せ、幕を閉じた。このようなパヌティヌ を塩芋に定着させ、垞連の方々はもちろん、通山の新芏移䜏者や新しくビゞネスを始め たい人など毎床「新しい顔」が蚪れるようなパヌティヌにしおいきたい。

1. ゎンゞロりの庭でパヌティヌ

1.Party with local people at garden of GONJIRO.

2. フラバンドず岡郚研究宀の孊生の共挔

2.Co-star with the hula band and a student of Okabe lab.

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ハナレ改修工事 Repaire work of HANARE December, 2012

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今回手がけたのは 20 幎改修蚈画第ステップにあたる ハナレの改修である。 倖に開けたキッチンは集萜の台 所であり、倖郚からの来蚪者を巻き蟌んで、地瞁を超 えお開かれたアクティビティを誘発させるものずなる。 地域の共有財産でもあるキッチンずいうこずで、地域 の方々ず孊生で協働し議論を行いながら蚈画を進めた。

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構造の補匷は地元の倧工に䟝頌し、建物内から梁柱を抱かせる 圢で補匷した。 雚挏りのある屋根瓊は削り、本工事では、コン クリヌトブロックの巊官工事、土間コンクリヌト打ち、配線配 管、倧工工事、機具、浄化槜蚭眮を行った。

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完成したハナレず蚭蚈した孊生 HANARE and main designer

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このハナレ改修にあたり、「倉化し続け る建物」を里山環境に同化したものず 捉えお、廃屋を再生する蚭蚈手法の開 拓をめざした。そのため、廃屋の迫力 も残したたた、新しい空間を䜜りリノ ベヌションをしおいる。 次の段階ずしお竈が再生され、新旧の 台所機胜を䜵せ持぀こずによっおハナ レが曎にコミュニティ掻動を促すこず が期埅される。 今埌もゎンゞロりの建物矀がケアされ 続けるこずで、岡郚研による、珟代に 適応した里山埪環系における建築のあ り方ず合わせおラむフスタむルの暡玢 は続けられおいく。

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ハナレ竣工パヌティヌ A ceremony to celebrate the completion of HANARE kicthen March, 2013 133


新しくなったハナレのお披露目を兌ね、竣工 パヌティヌを開催した。 パヌティヌには集萜の䜏民のみならず、通山垂 内の知人、ハナレの斜工に携わった職人の方や 倧孊関係者、友人など倚くの方が蚪れた。2012 幎床の締めくくりも兌ねお盛倧に祝うため、皆 で逅぀きを行った。

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逅぀きの準備に苊戊する孊生のために、集萜の方々は道具や逅米の甚意を 手䌝っお䞋さり、掛け声をかけ合いながら皆で楜しく逅぀きを行うこずが できた。぀きたおの逅を食べたり、お酒を飲んだりしながら、終始䌚話が やむこずなく䞻催者含め、楜しい時を過ごした。

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パヌティヌを終えお振り返るず、改めおハナレのキッ チンの魅力に気付かされる。キッチンず庭が䞀連の空 間になっおいるため、䞻屋のキッチンでの調理ずは異 なり、料理をもおなす孊生もパヌティヌの賑わいに参 加するこずが可胜ずなる。たたパヌティヌに蚪れおく れた小孊生が䞀緒に料理を手䌝っおくれるずいう光景 も芋られた。 少人数の時はハナレ内で食事ができ、倧人数の時には 調理する人含め、庭を合わせれば誰もが楜しめるよう なパヌティヌが出来るずいうような、フレキシブルな 空間が実珟された。ハナレの今埌の掻甚ずしおは、集 萜の䜏民や倖郚の方ず䞀緒に料理する地域の共有キッ チンずするこずも想定しおいる。ハナレが「かやぶき ゎンゞロり」における新たなラむフスタむルを生み出 す媒介ずなるこずが期埅される。

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䌑耕畑の再生 Reproduction of a fallow field Apr-Dec, 2013

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2013 幎床から里の颚景のケアずしお塩芋地区共甚畑の隣地の䌑耕地を畑ずしお再生させた。 耕䜜攟棄地を再生させるのは難しいため、芏暡瞮小した共甚畑に介入するこずでこれ以䞊耕䜜 攟棄面積を増やすのを止めようずいうコンセプトである。 この畑では共甚畑を管理しおいる高霢女性の指導を受けながら皮類の野菜を栜培した。トマ ト・茄子ずいった倏野菜、生姜・サツマむモなどの秋野菜、長芋・ネギなどの冬野菜ず蚈画的 に時季を分けお栜培するこずで倏から冬たで自分たちが育おた野菜を楜しむこずが出来た。 秋の葺き替えワヌクショップ時には「収穫祭」ず称しお、留孊生たちが自分で収穫した野菜を 甚いお自囜の料理を振る舞った。 コンスタントに手入れに蚪れるこずが難しかったため、日々の氎やりは地元女性にゆだねおし たったが、「共甚畑の手入れの延長だから倧䞈倫」「孊生たちの畑があるず思うず普段の共甚畑 の䜜業にも粟が出る」ず笑顔で話しおくれ、畑䜜業を始めたこずが里の颚景のケアだけでなく 瀟䌚関係のケアにも぀ながっおいるこずを実感した。 なお、2013 幎は実珟できなかったが、最終的には腐った叀茅を肥料ずしお䜿うこずで茅のサ むクルを完結させるこずを目指しおいる。

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あずがき Epilogue

茅葺き屋根を栞ずした矎しい里の颚景に魅せられ、その颚景を守っ おいこうず始めた通山垂塩芋地区での「さずプロゞェクト」。 「かや ぶきの家ゎンゞロり」を研究宀のサテラむトラボずしお利甚可胜な 状態ずしその状態を維持するこずを掻動の栞ずしながら、里の颚景 のケアなど広矩な環境に介入しおいくこずを目指しおいる。2012 幎床たではゎンゞロりに関する掻動で手䞀杯であったが、2013 幎 に䌑耕畑を再生し、その掻動範囲を曎に䞀歩螏み出すこずが出来た。 ゎンゞロりずいう建物、そしお塩芋地区の矎しい里ずいうフィヌル ドを始め、地域から䞎えおもらっおいるものはあたりにも倚い。し かし、パヌティヌやお茶䌚ずいったむベントでもおなしたり、集萜 䜏民ず䞀緒に茅䜜業をしたりずいう盎接的な面だけでなく、若者が 集萜内に居り賑やかな声がするだけでも地域の高霢者の顔が明るく なったり、今たであたり話すこずのなかった集萜䜏民同士が茅葺き で顔を合わせたのをきっかけに話すようになったりず、僅かではあ るが地域にお返しできたものがあるず感じる。 これからも集萜の方ず䞀䜓ずなっお、たた、掻動を通しお知り合っ た南房総の仲間ず協力しお矎しい里の颚景のケアずその栞ずなるゎ ンゞロりのケアを継続しおいきたい。 茅葺き民家は「みんなの家」なのだから。

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岡郚明子研究宀 プロゞェクトブック さず

[ 発行日 ] 2014 幎 2 月 26 日 [ 発行者 ]

千葉倧孊工孊郚建築孊科 岡郚明子研究宀 [ 問合せ先 ] 囜立倧孊法人千葉倧孊 工孊郚建築孊科倧孊院工孊研究科建築・郜垂専攻建築孊コヌス 〒 263-8522 千葉県千葉垂皲毛区匥生町 1-33 自然科孊系総合研究 2 号棟 5F 岡郚研究宀ぞの問い合わせは以䞋のメヌル宛にご連絡ください。 okabelab@gmail.com 岡郚研究宀ホヌムペヌゞ「おかべくうかん」 http://urbanlab.tu.chiba-u.ac.jp/okabe/

非売品






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