2014-2017

Page 1

Architecture Portfolio at Kumamoto Univ

Arimitsu Fumiya Dec . 2014 - Mar . 2017


部分から全体を構成すること Composition from Parts

有光 史弥 ARIMITSU  FUMIYA

08, 1992 福岡県飯塚市生まれ 04, 2008 福岡県立嘉穂高等学校 入学 03, 2011 福岡県立嘉穂高等学校 卒業 04, 2011 熊本大学工学部建築学科 入学 03, 2015 熊本大学工学部建築学科 卒業 04, 2015 熊本大学大学院自然科学研究科建築学専攻 入学 03, 2017 熊本大学大学院自然科学研究科建築学専攻 修了

PROFILE


SKETCH

2点透視図法


設計演習 01

Competition 01

田中智之スタジオ設計課題Ⅰ「古町デバイスハウス」

着目した。その新しいプログラムに対応した空間を思考するため、卒業 論文では、「ラーニング・コモンズと空間構成」というテーマのもと研 究を行った。

ている。

3rd

学内優秀作品

3rd 02

田中智之スタジオ設計課題Ⅱ「古町メディアテーク」

八幡市民会館リボーン学生提案競技(研究室 PJ)

02

学内優秀作品

4rd 03

卒業設計「ボタ山の教え」

つの建築において隅々のディテールについて研究を行うことで、設

日本建築学会設計競技「もう一つのまち・もう一つの建築」

M1 03

M1 04

べき豊かな観光地の姿である。

九州支部入選

三協アルミデザインコンペ「ずっといたくなる場所」

本課題は、実際の滋賀県立近代美術館プロポーザルを題材として、要項の読

不特定多数に見られる SNS の中で、個人のアカウントを持ちながら存在し

み込み、プロポーザルの評価基準を整理、それらの与えられた基本条件をも

ているように、「大勢」の中に存在していながらも、「個」というものを確立

とに基本案を作成し、それを基にどの評価項目で加点を狙うのか、戦略的に

している状態、そんな ずっといたくなる場所 を空間化し、建築化する。

05

M2 修士設計「定位する空間

­Aldo van Eyck の建築思想を通して­

05

優秀賞

キルコス国際建築設計コンペティション「鉛直 / 水平」

花畑広場」の商業利用ではない、日常的な広場のあり方を考え、広 場の家具をデザインした。

M1 04

避難所で長期間にわたる生活を強いられる被災者に対して、プライ バシーを確保するための紙管の間仕切りを設置するボランティア活

M2 05

M2

INTRODUCTION

見出す。

山崎亮賞 銅賞

古町・震災被害状況調査

や路地、坪庭などを出来る限り記録し、現状をまとめた。

て、若者はこれまで SNS 上にしかなかった「快楽」を「都市と住まい」に

M2

グッドデザイン賞

承を行いながら更新していくために、まずはこの地域に根付いていた建築

き、行き交う人々との接点を持つことで他者からの反応を許容する家によっ

会への応用することを主旨とする。

動である。

これから古町・新町地区を再編するにあたり、古町・新町地区を歴史の継

が好きなモノを選び取り、自分が発信したいことを選んで発信することがで

た部分と全体の両立を成すための空間構成手法の抽出、またそれらを現代社

避難所用・紙の間仕切りシステム設置 御船町仮設団地コミュニティスペース

SNS のように様々なモノや人々で溢れる現代の「都市」の中にあり、自ら 本研究はオランダ構造主義の思想を持った Aldo van Eyck の人間性を持っ

花畑広場ワークショップ「広場のあり方」 本ワークショップでは1年間を通して市民や市役所の方々と「仮称・

設計していく演習である。

M1

察する。

建築・寿 PJ

会い、そこで生まれる交流や新たな発見こそが、懐かしくも新しい本来ある

本提案では、ボタ山の麓に人とボタ山を再び結びつける建築を提案する。

建築プログラミング演習「滋賀県立近代美術館プロポーザル」

最優秀提案賞

生活を観光資源とした地方都市型観光地の創出を目指す。住民と観光客が出

のため周囲は立ち入り禁止となり、ボタ山と人々の関係は失われて行った。

4rd

計者が全体で何を考え、部分でどのように表現されているのかを考

本提案では観光地として有名な熊本県阿蘇市に、地域の人々・文化・自然・

現在は炭鉱の閉鎖とともに、街は衰退の一途を辿り、ボタ山の崩壊の危険性

建築ディテール演習「Villa Mairea / Alvar Aalto」 テールを持ち合い議論を行なう講義。ある特定の建築に着目し、一

館の保存を目的とした学生提案競技である。

考察し、計画を行う。

全国建築学会発表

毎週、建築のエレメントが課題として出され、それにそった建築ディ

建築を取り巻く環境全体に対して検討することが求められた八幡市民会

の成果をふまえ、中低層密集市街地における都市施設のありかたについて

3rd

4rd

八幡のまちの活性化や既存建物の魅力の保存と発展、経済的合理性など

先般より行っている「古町コード」の読解、それに基づく試案「古町デバイス」

卒業論文「ラーニングコモンズと空間構成」 近年大学図書館に導入されたラーニング・コモンズという新しい概念に

ることで、建物の工学的なふるまいを直観的に理解することを目標とし

く設計演習である。

04

01

側面も検討することを目的とした設計課題。BIM を通じて建物に応用す

ような建築、都市空間があるべきか」を考察、建築計画として展開して行

03

REVIT 設計課題デザインシミュレーション 意匠デザイン面だけでなく、構造や室内の熱・光の環境など、工学的な

この土地において「都市コード」を読み取り「どのように生かすか」「どの

02

Workshop & Project

M2

CONTENTS


部分から全体を構成する 建築を構成する際に、その土地の都市的コンテクストや文化や風土、そして住民たちのふるまいなど、細部にまで着 目し、部分から全体を構成することで、その土地に必要な建築、ふさわしい建築を構成する。 学部3年

学部3年

学部3年

学部4年

学部4年

修士1年

修士1年

修士2年

修士2年

「家具スケール」

「都市スケール」

「環境解析を含む改修」

「小規模ホール」

「折り屋根の集合」

「隣地境界線」

「広場の家具」

「細胞分裂」

「オランダ構造主義」

日常のふるまいの抽出

都市の中間領域の抽出

住民の日常動線の抽出

日常利用を促すリサイズ

炭鉱のふるまいの応用

境界線を重ねる

市民とのワークショップ

空間分割の多様さ

新しい図書館のふるまい

都市コードを読み解く

都市コードを読み解く

教会の日常利用

既存建築を活かす改修

ボタ山と人を結びつける

日常生活を観光の融和

広場の利活用

部分と全体の両立

部分と全体の両立

人とつながること チームで協力することはもちろんのこと、住民たちとワークショップをしたり、他の建築設計事務所や市役所の人々 と協力しプロジェクトを遂行したり、人と人のつながりを大切に活動を行ってきた。

広場利活用の施工・片付け

坂事務所と役所と学生を交え、紙管間仕切りの設置を話し合う

INTRODUCTION

紙管間仕切り設置後の集合写真

施主へのプレゼンテーション

WSで市民と協力して家具を作成

CONTENTS


01 古町デバイスハウス

­田中智之スタジオ設計演習Ⅰ­ 学内優秀作品

古町地区は城下町であり、基盤型の町割と、「一町一寺」という独特の機能構成が重ねあわされた、きわめて特殊な 街区空間が形成されている。しかし現況では虫食い状に散在するパーキング、懐古趣味的に改修された町家、スカイ ラインを阻害する商業的集合住宅等が「一町」、「一寺」を乖離させ、まちのポテンシャルを低下させている。 この土地において「都市コード」を読み取り「どのように生かすか」「どのような建築、都市空間があるべきか」を 考察建築計画として展開して行く設計演習である。

課題    スタジオ設計演習Ⅰ(2014) 計画敷地  熊本市古町地区 用途    バス停 敷地面積  32㎡ 延床面積  32㎡ 構造    鉄骨構造


熊本市古町地区 古町は、熊本市の町家が集中する地区 の中で最も早い時期に建設が始めらた。 蛇行する白川・坪井川の改修が行われ、 一辺 120m の碁盤目状の一町一寺の町 割に整備された。古町は、町人町とし て建設され、細工町、呉服町、鍛冶屋町、 大工町など職名が記され、町名に由来 する様々な商品を扱う店が並んだ。建

連続した町家が現存する数少ない風景

一町一寺の名残で街区の中心に残る寺

設当時は物資流通の動脈である坪井川 の舟運が利用されてた。そして大正 14 年に都心は新市街へと移り、以後 は問屋街としての性格が強まった。そ の後は自動車交通の発達や郊外の流通 業務団地開発に伴い既存企業が移転し、 跡地にマンション建設が進むなどして、 現在に至る。

現状の古町

加藤清正の計画した山当てより遠景に金峰山を眺める

現在の古町は、経済合理主義によるマンション建設の波に覆われ、かつて加藤清正が計 周辺にマンションが急激に建設され取り残された住宅

画した 120m グリッドのが街区の中には、昔ながらの町家、寺に加え、マンションなど の集合住宅が入り乱れる混沌とした地域となっている。かつての街並みは失われ、マン ションと町家のスケールギャップ、町家維持の困難さ、古くからこの地に住む住民と移 住して来る新住民との確執など多くの問題を孕んでいる。 これらの問題に対し、3年後期の田中智之スタジオを通し、敷地調査や聞き込み調査、ノー テーションを行い、古町地区に存在する都市コードを解読し、それを基に建築の提案を 行う。

STUDIO PROJECT 3rd grade / Furumachi Device

SITE SURVEY


古町デバイスハウス Re : circle

第Ⅰ期プロジェクト / 装置的建築

Diagram 1 / 物流拠点

Diagram 2 / 全体構成

第Ⅰ期プロジェクトとして、古町地区

この建築はかつての物流拠点としての役割も担う。古町の住民は他人に譲りたいものをこのバス停に持ち込む。そして正方

この建築は古町地区のサーベイを基に構成される。古町地区の半屋外のパブリックな空間で実際に使用されていた、本棚、

内の町家で過ごし、昔からこの地で生

形グリッドの中に収納し、このバス停は住民により、毎日違う表情を醸し出す。そして、展示されたモノを欲しい人が来れば、

椅子、机、カウンターテーブル等の寸法を調査した。その寸法を基に古町由来の正方形グリッドと掛け合わせ抽象化し、ファ

活を営む住民と、マンション開発によ

それを受け取る事が出来る。モノを介して、譲る住民と受け取る住民との偶然の出会いを演出する。

サードを構成することで、新しくもありどこか身近な雰囲気を醸し出す建築を目指した。

り中心部のベッドタウンとして移住し

モノ

てきた新住民とのコミュニティ形成に

1400

モノ

700 400

寄与することを目的した装置的建築を

1000 500 700

200

提案する。

この建築はバス停という日常使いを想

100

抽象化

定し、新旧住民の多くの人が利用し、 愛される建築となる。

STUDIO PROJECT 3rd grade / Furumachi Device

必要なくなったものを

バス停を拠点とし、

モノから人を知り、新しい

待合所に持ち込む

物品の流れが生まれる

コミュニティが生まれる

200x200

古町の碁盤目状の特徴

500x500

700x700

1000x1000

古町での半屋外でのふるまいに使用されていた家具

新しい碁盤目状のファサード

CONCEPT / PERSPECTIVE


川 かつて、荷物の引き上 げ場所であった。

熊本駅方面へ

既存不適格の住宅が多く見られる。

周辺の風景を多様な形で切り取り、何気ない街や風景に気づ

大人が座る場所、子供が隠れる場所など自由な居場所

トップライトや開口より、外的環境の変化が内部空間

きを与える。

を形成できる。

に影響を及ぼす。

かつては物流の拠点で街区の中心。 今は空き地や駐車場となっている。

計画敷地

眼科

バス停 消防署 市電

市電 市電・バス停ともに現在では 古町の人の流れの中心になっている。 バスや電車が数多く通過する。

待合室

SITE(1/800)

熊本駅方面へ

0

10

20

STUDIO PROJECT 3rd grade / Furumachi Device

50

80(m)

PLAN 0

1

2

3

4

5(m)

SITE / PLAN


いらなくなった洋服や本など様々な物を持ち寄り展示することで、日常的にファ サードが変化する。これらは定期的に開催されるフリーマーケットで販売される。

トップライトや壁面の開口部の多様な形態により、様々な光が干渉し、あうことでの変

正方形の大きさにより、自分だけの空間を発掘することができる。その空間では、 物思いにふけたり読書することが可能。

普段では何気なく通り過ぎる場所でも、この待合所では偶然欲しかったモノと出会うかもしれない。

化を体感することができる。

STUDIO PROJECT 3rd grade / Furumachi Device

PERSPECTIVE


B-B 断面図

A-A 断面図

西側立面図

東側立面図

南側立面図

STUDIO PROJECT 3rd grade / Furumachi Device

0

1

2

3

4

5(m)

SECTION


STUDIO PROJECT 3rd grade / Furumachi Device

PERSPECTIVE


02 古町メディアテーク

­田中智之スタジオ設計演習Ⅱ­ 学内優秀作品

熊本市古町エリアの中心に位置する、現県民共済および早川倉庫の敷地に「古町メディアテーク」を計画・設計する。 メディアテークとは音楽や美術、映像などの資料やさまざまな情報を提供する施設の事であるが、ここでは早川倉庫 の1・2号倉庫を活用し、図書館機能、収蔵機能、展示公開機能を複合した情報施設と考える。「古町メディアテーク」 にて扱うものは、特に古町を中心とした熊本城下町に関する歴史、文化や情報等とし、それらを収集・整理・保存し、 知の体系として構築表現して利用に供する、基本的には図書機能をベースとした都市型複合施設であるが、狭義の図 書館をこえた、以下の性格や機能、関係性をもつ新しい都市施設となることが望ましい。

課題    スタジオ設計演習Ⅱ(2014) 計画敷地  熊本市古町地区 用途    メディアテーク 構造    RC造


第Ⅱ期プロジェクト / 都市型複合施設 コミュニティの再建をはかる日 常の中の装置的建築のバス停 第Ⅰ期プロジェクト

熊本の都市分析 / 様々なエリアを結ぶ「結節点」 第Ⅰ期プロジェクトとして計画した装置的建築で は、古町地区内の町家で過ごし、昔からこの地で

熊本城

生活を営む住民と、マンション開発により中心部

熊本市中心部

のベッドタウンとして移住してきた新住民とのコ ミュニティ形成に寄与することを目的としていた。 第Ⅱ期プロジェクトとして計画する都市型複合施 この地域をサンプリングし、それを設計手法 としてアッセンブリーしたメディアテーク 第Ⅱ期プロジェクト

古町地区

設は、古町地区内だけにとどまらず、熊本市内外 に古町の歴史や文化を発信し、新たな都市拠点と して熊本市中心部と熊本駅周辺をつなぐ役割を担 う。

熊本駅周辺

熊本の商業の中心である中心市街地と熊本の交通の便の要である熊本駅との間に位置する古町。熊本市の課題として、観光の目玉である熊本 城を擁する熊本市中心部と鉄道の交通拠点である熊本駅が離れており、それぞれの賑わいが分散し、熊本市内での回遊性が失われていること が挙げられている。そこで熊本市中心部と熊本駅の間に位置する古町地区に分節されたそれぞれのエリアを結ぶ「結節点」的な建築を計画する。

古町に見られた

中間領域

エリアを つなぐ ために、古町の中で多様なものを つなぐ 作用をもたらした中間領域に着目する。 そこで、まずは古町内の中間領域についてサーベイし、いくつかの要素を抽出した。

商売の賑わいが溢れ出していた道路

町家内で職と住を緩く隔てる坪庭

建物の隙間

ご近所付き合いが行われていた店先

路地的空間

町家の住人と住人をつなぐ寺

第Ⅱ期プロジェクトの都市型複合施設として、メディアテークとしての機能に加え、 ・新町と古町、中心市街地と熊本駅など、様々なエリアを結ぶ「結節点」 ・古町の記憶を継承する「学校」 以上の2点を課題として設計活動に取り組む。また先般より行っている「古町コード」の読解、それに基づく試案「古町デバイス」の成果を ふまえ、中低層密集市街地における都市施設のありかたについて考察し、計画を行う。

STUDIO PROJECT 3rd grade / Furumachi Mediatheque

SITE SURVEY


古町の都市分析 / 古町の記憶を継承する「学校」

サンプリング

かつての賑わいや姿を失いつつある古町に、この地域特有の豊かさを兼ね揃えた建築をつくることで、ここを訪れる人が、もう一度 古町 を知ることができる場を形成する。そ

ノーテーションにより、かつて加藤清正の意向で計画された一町一寺や山当ての名残り、熊本城の方角を向いて形成さ

のために、現在の 古町 を都市的な目線で捉え直す。古町はうなぎの寝床のような長屋のボリュームから、マンション等のグリッドプランで形成された現代的な建物、または一

れた街区に加え、マンション開発やパーキング整備で形成された虫喰い状の空地や S 字・L 時の小道など混合によるカ

町一寺の名残を受け、数は多くないが寺院のボリュームが随所に見受けられる地域である。そこで古町をノーテーションしながら、古町を構成する要素や特徴を考察し、記憶を継

オスな空間性が見えてきた。このことは、過去の都市計画の遺産と昨今の経済優先で整備された空間の混合こそが現在

承していく。

の 古町 を象徴しているということが分かる。

金峰山

花岡山

一町一寺の名残の袋小路

山当ての計画

S 字・L 字の小道

虫食い状の空地

熊本城

20°

熊本城の方角にふられた街区

STUDIO PROJECT 3rd grade / Furumachi Mediatheque

建物と道路

SITE SURVEY


古町メディアテーク / 中間領域の顕在化

中間領域のグラデーション

機能的空間(図)

中間領域(地)

機能的空間(図)

全体構成 / 図と地 古町では昔から道や坪庭、通り庭などの中間領域に古町の豊かさがある。そこで、古町の町家ボリューム(図) とボリューム同士を中間領域(地)で全体を構成した。両者はネガとポジの関係であり、通常ではウラであ る中間領域を反転させ、中間領域が主体となるように操作した。 この建物は4層のボリュームがある。1層目は町家のボリュームで形成された 部分 ( 図)とそれらで構成された中間領域(地)の2つで構成されている。そ して2層、3層と上階に上がっていくにつれて、町家のボリュームで形成され た空間(図)が失われていき、純度の高い中間領域(地)が残ってゆく。そし て最上階である4層目では、図と地が反転し、古町のボリュームで構成された 中間領域のみが目に見える形で顕在化する。

建物の間にできる中間領域

内外を反転し、中間領域を顕在化する

STUDIO PROJECT 3rd grade / Furumachi Mediatheque

袋小路(寺への入口)

アーケード(繊維問屋街)

通り庭(白梅天満宮)

CONCEPT / PERSPECTIVE


サンプリングとアセンブリ

路地空間

動線計画

古町では一町一寺の名残もあり、寺 へと続く袋小路や、S 字や L 字の小 道が多く残っている。路地空間では、 ご近所付き合いや商売に寄与したり、 子供たちの遊び場となっていた。 寺のような溜まり場 (一町一寺の構成) 路地空間の形成

これらの路地を建築のアプローチ空 間に設けることで、親しみのある動 線を計画する。

一町一寺の名残の袋小路

S 字・L 字の小道

古町特有の袋小路や小道を取り入れた動線計画

町家の開口幅

町家の開口幅

建築ボリューム 半屋外のイベント空間として 地域に開放される

かつての城下町では、町家の開口 に応じて支払われる税金の額が定 められていた。そのため住民は、 最低の税金で抑えながらも、住居 面積を増やすために自然とうなぎ

木造に RC が混入する 事で新旧の対比を感じる

の寝床のような建てに長い町家に なっていた。

平均的な町家の 開口と同じ寸法

Gallery A 内観

かつての寺のように 中央で人々が集まる

Gallery C 内観

古町の町家のボリュームをサンプリングし、最も多かった開口長さ 6000mm と一回り大きい 8000mm の寸法を用いて設計した。

花岡山を眺める

Gallely A では幅 6000mm、Gallely C では幅 8000mm の空間となっている。 0

STUDIO PROJECT 3rd grade / Furumachi Mediatheque

1

3

5

10(m)

1PLAN


サンプリングとアセンブリ

街区の傾き

柱のグリッド

山当ての計画

加藤清正の都市計画により、古町

熊本城

20

20

開口計画

金峰山

は熊本城の方向に 20 傾いている。 これを逆手に取り、柱のグリッド

街区の傾きと反対側に 傾けた柱グリッド

を街区と逆向きに 20 傾いて計画 する。

花岡山

20

これにより、街からこの建物内に 入ると、街区が 20 傾いているこ

金峰山の方角

金峰山が見える方角

10

町家の規模を踏襲したボリュームの傾きとして

いる古町の土地の特徴を改めて知 花岡山が見える方角

金峰山が見える(Galley A 上部)

花岡山がきれいに見える(Atelier)

とを再認識し、自分たちが住んで

・北岡自然公園の向きへ 10 傾いたボリューム

ることができる。 熊本城の方角にふられた街区

古町の傾きと反対側に 20 傾けたグリッドを配置

山当ての計画

・金峰山の方へ直角に向いたボリューム 以上の2点を考慮し、山当ての計画を開口計画へと応用し、、建物内 から古町周辺の環境、景色を堪能することができる。

花岡山の方角

町家の開口幅の入口から路地空間、傾いた柱を通り、寺のような溜まり場へと達する。

0

STUDIO PROJECT 3rd grade / Furumachi Mediatheque

1

3

5

10(m)

2F PLAN


3F PLAN 0 1

3

5

10(m)

5

10(m)

4F PLAN 0 1

STUDIO PROJECT 3rd grade / Furumachi Mediatheque

3

3FPLAN / 4FPLAN / PERSPECTIVE


B-B 断面図

西側立面図

A-A 断面図

SECTION 南側立面図

STUDIO PROJECT 3rd grade / Furumachi Mediatheque

0 1

3

5

10

20

30(m)


STUDIO PROJECT 3rd grade / Furumachi Mediatheque

PROJECT


03 ボタ山の教え

­里山文化の転用による再興­

敷地は飯塚市忠隈地区。この街の「ボタ山」はシンボルであり人々の生活の一部であった。しかし、現在は炭鉱の閉 鎖とともに、街は衰退の一途を辿り、ボタ山の崩壊の危険性のため周囲は立ち入り禁止となり、ボタ山と人々の関係 は失われて行った。本提案では、ボタ山の麓に人とボタ山を再び結びつける建築を提案する。

課題    卒業設計(2015) 計画敷地  福岡県飯塚市 用途    教育施設 用途地域  第一種住居地域 敷地面積  16,000㎡ 延床面積  5,446㎡ 構造    RC構造


DIPLOMA PROJECT / ボタ山の教え

PERSPECTIVE


ボタ山の歴史

ボタ山周辺の現状 計画敷地周辺は公営団地、住宅、工場等が広がっている。これは昔、ボタ山の麓に炭鉱地があったためで、炭坑労 働者用の公営団地が建設されていた名残である。また南側の工場地帯も炭鉱の資本でつくられた企業の工場であり、 かつての炭鉱地帯は工業地帯として生まれ変わっている。しかしながら、ボタ山は立ち入り禁止であり、活気のあ る地帯というかつての姿は失われ、筑豊地域ではより廃れた地域となっている、 忠 隈 市 営 住 宅

IIZUKA CITY ●

主 要 道 路

住 宅 地 1950 年代のボタ山 / 岩肌が露出し、ボタの色で黒い山であった

計 画 敷 地

敷地は飯塚市忠隈地区。福岡県の中央に位置

病 院

廃 校

保 育 施 設 炭 鉱 住 宅 地

する飯塚市は明治時代に石炭産業が栄え、日 本のエネルギー源として発展した。周辺一帯 は筑豊炭田と呼ばれ、当時は全国各地や外地 から多くの炭坑労働者が移住していた。当時、

ボ タ 山

採掘の際に出る使えない岩石(ボタ)を積ん で出来た「ボタ山」はこの街のシンボルであ り人々の生活の一部であった。しかし、炭鉱 の閉鎖とともに、街は衰退の一途を辿り、ボ タ山の崩壊の危険性のため周囲は立ち入り禁 止となり、「ボタ山」は過去の遺物と化した。 時間の経過と共にボタ山と人々の関係は失わ

住宅

れて行った。

保育園 幼稚園・学校 工場・事業所 寺・神社・教会 団地

運 動 施 設

公園・グラウンド 池 商店 集会所 病院・診療所 老人介護福祉施設 その他

PLANNING SITE

市 営 平 垣 新 町 団 地

工 場 ・ 変 電 所 ・ 事 業 所

飯塚市忠隈のボタ山

現代のボタ山 / 緑が生い茂り、一見すると人工的な山だと気付かない

Mt BOTA 「ボタ山」とは鉱山で採掘された鉱石のうち、資源として使えず廃棄する岩石などの部分(九州ではボタと呼ばれる) を捨て、約半世紀の積み重なりによりやがて山となったものである。忠隈の「ボタ山」は、炭鉱町として発展した飯 塚にその時代の面影を残す数少ないものである。高さ 121 メートルは現存するボタ山としては日本最大級である。敷 地面積は約 22.4 ヘクタールあり、10t トラック約 70 万台分の量が積み重なっている。 現代のボタ山 ( 南側から眺める)

DIPLOMA PROJECT / ボタ山の教え

BOTA MOUNTAIN / SITE


里山文化の継承と展開 里山文化

里山と建築の構造

母屋とはなれ 自然の山と寄り添い生活する里山文化ここ

縄文時代の落葉広葉樹林に芽生えた

から山と寄り添う建築の作り方を学び、以

里地里山文化であり、日本文化の基 層を形成する。徹底循環型のサスティ ナブルなライフスタイルである。 昭

和 30 年代まで続いた。水と空気、土、

母屋 ②

作業小屋

カヤ場や雑木林から屋敷、納屋、牛 馬小屋、畑、果樹園、竹林、植林、

共有

①背後の山の等高線に沿った全体配置

便所 蔵

母屋 ②機能分離 (母屋、離れ、納屋、作業小屋、蔵、外便所)

ため池小川、土手、畦など一連の環

離れ

境要素が一つながりになった暮らし

の場。 日本古来の里山文化の風景

DIPLOMA PROJECT / ボタ山の教え

共有

下の3点を抽出した。

離れ

母屋

学校 =   教室 + 特別教室 図書館= 開架書架 + メディアルーム 体育館=メインコート+ トレーニングルーム

③離れや母屋の距離感、半屋外空間

バイオマス発電    = 発電設備 + 倉庫(食堂)

PERSPECTIVE / DESIGN CONCEPT


母屋とはなれ

①背後の山の等高線に沿った全体配置

母屋と離れ 小学校の自習 室の利用

他機能との共存

公共体育館

特別教室を 外部に貸出

外部利用可能 災害拠点

公共図書館

地域住民 との共同利用

小学校棟

小学校棟 ②機能分離 (母屋、離れ、納屋、作業小屋、蔵、外便所)

野外ステージ の劇場性

災害時 の備蓄 外部利用可能 小規模発電

災害拠点

③離れや母屋の距離感、半屋外空間

食の廃棄を 発電に利用

1F PLAN 0

DIPLOMA PROJECT / ボタ山の教え

10

50

100(m)

DESIGN CONCEPT / 1F PLAN


Design Diagram 母屋 等高線

ボタ山の等高線に沿って母屋を配置する

母屋

離れ

それぞれの母屋の機能を拡張する離れを付加する

母屋 大屋根

離れ

母屋と離れに屋根を架けてつなぐ

半屋外空間

半屋外空間

2F PLAN 0

10

50

100(m)

母屋と離れの間に多様なが半屋外空間が生まれる

DIPLOMA PROJECT / ボタ山の教え

DESIGN CONCEPT / 2F PLAN


過去の空間体験 かつてボタ山が街の中心であった時、人々は活気に満ちていた。その時代の周辺では、人々が街の至る所からシンボルであるボタ山を眺 めたり、ボタ山から街を見下ろしながら夢を語ったり、ボタ山に座り直に人工的に作られた山を感じたりと多彩な行為が見受けられた。 そんな時代の活気を若者を中心に取り戻すかのようにに、炭鉱時代に見られた空間体験を基に建築を構成してゆく。

ボタ山から見下ろす

くぐる

ボタ山の傾斜を感じる

様々な学び舎

ボタ山を垣間みる

図書館

メディアルーム 小学校(低学年)

屋根と傾斜に挟まれた半屋外空間 / この場所は劇場的な場、地域住民と子供たちの交流の場となる

小学校(高学年)

小規模発電所 (バイオマス)

体育館

事務室

DIPLOMA PROJECT / ボタ山の教え

CG & MODEL PHOTO / COMPOSHION


過去の空間体験

【屋根のデザイン

形】かつてのボタ山が持っていた人工の山特有の角度の急な稜線をモチーフに重なりを表現

屋上の屋根裏空間 / 屋根の様々なマテリアルを通し、色々な角度やフィルターを通してボタ山を眺める。

B-B 断面図(1/300)

DIPLOMA PROJECT / ボタ山の教え

PERSPECTIVE / SECTION


経年変化とマテリアル ボタ山は当初はボタの色で黒く、自然発火を繰り返す山であった。しかし約 60 年以上経った今では緑が生い茂り、 人工的に作られたボタ山は、時間の変化とともに自然の山と見分けがつかない程に変化していった。このように、 屋根素材もコールテン鋼をはじめ、石やガラス、木やステンレス、緑やパネルなど多彩な素材を用いる事で、この 建築が数十年経っても変化や発見を感じられるような建築を計画する。

1960 年代

現代(2016 年)

太陽光パネル

ステンレスメッシュ

屋上緑化

ガラス コールテン鋼

折り屋根による様々な学び舎 / 傾斜の多彩な屋根の下で小学生や教師、地域住民など多くの人の生涯学習施設となる。

アルミメッシュ

屋根のマテリアル

大理石 緑化

コールテン鋼

太陽光パネル

西側立面図(1/400) DIPLOMA PROJECT / ボタ山の教え

PERSPECTIVE / SECTION / ROOF MATERIAL


04 建築プログラミング演習

­滋賀県立近代美術館プロポーザル­

本課題は、実際の滋賀県立近代美術館プロポーザルを題材として、要項の読み込み、プロポーザルの評価基準を整理、それら の与えられた基本条件をもとに基本案を作成し、それを基にどの評価項目で加点を狙うのか、戦略的に設計していく演習であ る。

課題    プログラミング演習(2016) 計画敷地  滋賀県大津市 用途    図書館 構造    RC構造


PROPOSAL / 滋賀県立近代美術館プロポーザル

MAIN PERSPECTIVE


道のような建築

美術館を広く PR する方法 ①美術館を増築する際に新美術館を PR する意見交換会を開催する。 ②公園のテラスやマルチスペースで市民参加型ワークショップを開催。 ③大テラスを設け、滋賀のシンボル的空間を作る事で、SNS 等で PR する。

特定テーマ⑦ 新しい美術館を広く PR する方策

屋根の連なり

面積表

特定テーマ⑤ 駐車場やバス停からの高揚感

展示部門 周辺駐車場やバス停などのどの方 向からアクセスしても高さの異な る屋根の連なりが多様な変化をみ せる。ファサードの変化により、 絶えず美術館の表情は移り変わり、

大展示室

576 ㎡

展示室

276 ㎡

ギャラリー

530 ㎡

マルチギャラリー

300 ㎡

恒久展示スペース

210 ㎡

アプローチからの高揚感を促す。

情報・交流アメニティ部門 情報・交流室

国道からの視認性

特定テーマ③④ 駅から美術館への高揚感

78 ㎡

協働室

100 ㎡

創作室

130 ㎡

講堂

272 ㎡

キッズ・ルーム &託児室 レストラン・カフェ ミュージアムショップ 展望テラス

80 ㎡ 536 ㎡ 45 ㎡ 100 ㎡

管理・共用部門 ロビー、通路等 トイレ

1191 ㎡ 49 ㎡

職員執務室

164 ㎡

警備員室

40 ㎡

設備・機械室

393 ㎡

大きな空間から小さな空間までが地形に寄り添う様に、様々な角度をつけながら屋根が積層している。地形、

Diagram 1 / 美術館を公園にひらく

Diagram 2 / 滋賀のリズムで全体構成

特定テーマ①   「美の滋賀」の拠点としての滋賀らしさ

琵琶湖は、周囲に東海道や中山

散歩道

街道筋は旅人で賑わい、そこを

散歩道

行き 来した近江商人による商いも栄 え、旧街道が育んだ地域の力が 現在の滋賀の豊かさにつながっ

スタジオ

55 ㎡

美術館の認知、視認性の向上を図る。

修復室

55 ㎡

情報処理室

98 ㎡

資料室

68 ㎡

特定テーマ② 新しい創造性に富んだ建築イメージ

展示空間 マルチスペース

マルチスペース 展示空間

ている。この街道に軒を連ねた

マルチスペース

収蔵庫 1

920 ㎡

収蔵庫 2

500 ㎡

収蔵庫 3

215 ㎡

構成されていくことによ

収蔵庫前室

50 ㎡

り、展示空間で展示を楽

搬入室

80 ㎡

しみつつ、展示をつなぐ

荷解室

110 ㎡

空間をギャラリーや

一時保管庫

165 ㎡

ショップ、アメニティ系

前室

100 ㎡

などを併設する事で、た

6㎡

燻蒸室

だの移動空間ではない刺

家々が作 り出すどこか懐かしい空間のリ

収蔵部門

ペースのリズムで全体が

縦横に通る「街道の国」であった。

B 武者隠れの道

調査・研究部門

につれ、高揚感を生み出す。またレストラン & カフェ機能を道路付近まで張り出す事で、アクセスのしやすさ、

マルチスペース、展示ス

道、北国街道など主要な街道が

A 建築のリズム

既存棟と一体感のあるランドスケープのような増築部ができ、駅から美術館からのアプローチの際も近づく

激のある動線へと変化す る。

ズムを取り込み、滋賀らしさを

特定テーマ⑧⑩⑫ すべての人に居心地がよく使いやすい施設・環境負荷の低減・展示できる環境確保および安全確保

取り込む。

Section 無料開放ゾーンと有料ゾーンの明確なゾーニング  ハイサイドライト

カフェ

半屋外空間

建物全体で一つのフラットな連続した 床レベルを配置する事で、お年寄りか ら、子どもまで自由に行き来をしなが ら起伏のある地形を楽しむ事が出来る。

キッズルーム

ギャラリー

無料開放ゾーン

ミュージアムショップ ・居住域空調 ・ハイサイドライト ・無料有料ゾーンの区分け ・2重屋根

PROPOSAL / 滋賀県立近代美術館プロポーザル

有料ゾーン

⑪貴重で脆弱な作品を良好に保管

インフォメーション

展示室

天井高の高い空間に効率的な室内コントロールが可能な 「居住域空調」を導入(⑨ライフサイクルコストの縮減)

倉庫

収蔵庫 0

5

10

20(m)

PROJECT


特定テーマと計画案 多方向アクセス

バス停

特定テーマ③ 公園と美術館の一体的整備

可変可能なプラン

北駐車場

バス停からのアクセス 特定テーマ③ バス停から直接アプローチできる道を設

地域に開く

市民の意見を取り入れ、プランの変更を可能にしたり、空間の拡大・縮小を可能とする。

け、アクセスを改善する。

視認性

駐車場からの連続

特定テーマ⑥ 来館者等から意見をくみ取る方法

特定テーマ③ カフェ

北駐車場から連続的にアプローチできる

創作室

カフェ

創作室

ように建物を並列的に配置する。

テラス

多方向アクセス 連棟配置により、公園全体に開く事ができ、テラスや半屋外空間がそれらを

レストラン&カフェ ( GL + 4000 ) 厨房

夕照庵

つなぐ事で、多方向からのアクセスを可能にする。

増築棟 1F

アプローチ

変更前

変更後

カフェと創作室が別でとられている

カフェと創作室を合体させ、アメニ ティスペースを拡張

テラス

(GL 0)

レストラン・カフェ

テラス

特定テーマ③

美術館利用者に限らず広く公園に訪れた全員 にとって便利な展望できる箇所に設けます。

創作室 事務 増築棟 B1 授乳 (GL-6000) 託児所

溢れ出すワークエリア レストラン・カフェや創作室の拡張空間としての テラスを設ける事により外部にまで活動が広がる

恒久展示

心字池

図書館との関係

ギャラリー

設け、一体的な利用を促します。

図書室

ギャラリー ギャラリー(導入展示)

パノラマの景色

学芸 員室

無料

その展示に関するギャラリーを(無料)設け、展示を見る

ミュージアム  ショップ

または知るキッカケとしての導入展示を作り出します。

wc 有料

会議室倉庫

大テラス

執務室 会議室

インフォメーション 企画 展示室

企画

彫刻の路

(GL 0)

収蔵庫 わかりやすい動線

( GL - 6000 )

修復室 スタジオ 警備 EV

燻蒸 機械室 ( GL - 6000 )

ため、明快な動線計画を行います。

展示室

ギャラリー

滋賀県立 美術館既存棟

搬入動線

燻蒸 一時保管庫

修復室 情報 処理室

WC 倉庫 展示室

回遊性の向上

特定テーマ③ 公園と美術館の一体的整備

前室

エントランスロビー クローク

講堂ロビー

レファランス ルーム 控室 搬入室 警備 車庫

特定テーマ⑦

既存棟 1F

大きなサイズの収蔵品にも対応し、安全

搬入動線

滋賀県立図書館

荷解室

搬入室

大容量の収蔵庫

機械室

倉庫

WC

資料室

前室 荷解室

情報検索 コーナー

EV 倉庫

特定テーマ⑤

様々な年齢、国籍の来館者が想定される

収蔵庫 前室 ( GL - 6000 ) 一時保管庫

応 接

館 長

常設 展示室

WC 倉庫

既存棟 2F 増築棟 1F

( GL - 6000 )

常設 展示室

展示室

増築棟 B1

収蔵庫

みんなの広場

ライブラリー

企画展示として想定した神と仏の美(有料)の導入として、

(GL-6000)

特定テーマ②

美術館と隣接した図書館を結ぶ散策路を

エントランスロビー

に保存できる大きな収蔵庫を設けます。

搬入動線の分離

特定テーマ⑦

講堂

搬入動線

「常設展示」と「企画展示」の展示品が混 同しないように、搬入動線を区別します。

道と道の接点にテラスを配置し、建築−テラス、

多様な機能、空間が一体的につながる事

建築−テラスのリズムで公園全体に居場所を設ける。

で公園全体の利用回遊性を促す。

アプローチ 0

PROPOSAL / 滋賀県立近代美術館プロポーザル

5

10

20(m)

PLAN


基本計画書・評価基準の分析図

第3章 新生美術館が持つべき機能と、想定される事業の展開は次のとおりです。

実際のプロポーザルの基本計画書内に記載されている要項についてをつながり、評価基準、概要などを総合図としてまとめた。

機能1 美の魅力を提供する(展示・普及機能)

これにより、今回の滋賀県立近代美術館の設計に必要な

① 過去から現在までの滋賀の美の魅力を紹介する

「多くの利用者や県民が、多様な美の魅力にふれ  る事のできる機会を提供する機能」

・ 多くの利用者や県民が、多様な美の魅力に触れることのできる機   会を提供する機能

・ 神と仏の美、近代美術館が収集してきた近代・現代美術や郷土ゆ   かりの美術、アール・ブリュットの各分野の作品について、それ   ぞれの特性に応じて魅力を引き出す空間で収蔵品の展示を行う。 ・ 美術館のシンボルとなる恒久展示作品を設置する。 ・ 美術分野を横断するようなテーマを取り上げるなど、新たな視点で   滋賀の美の魅力を浮き彫りにする。 ・ 来館者の関心を滋賀の風土全般に広げるため、作品とともにその背   景にある地域の自然や歴史、人びとの暮らしなどを伝える。

第 2 章 新生美術館の果たすべき使命

・ 県内で活動する、特に今後の活躍が期待される若手を中心とした作   家や団体と連携し、展示や作品創作などの事業を実施する。

これらの使命を果たすために、美術館がめざす姿は次のとおりとします。 ○「美の滋賀」の入り口として、過去から現在までの多様な

1「美の滋賀」の拠点となる

・ 作家・団体の創作活動の発表の場を提供するために、県民ギャラリ   ーを充実し、貸出を行う。

美の魅力を発信し、多くの人を県内各地に誘います。 ○ 県民が滋賀に対する愛着や誇りを育む機会を提供するとと

・ 県美術展覧会の開催に際して、すべての作品を一度に展示できる場   を提供する。

もに、貴重な滋賀の美の資源を確実に次世代に引き継ぎます。 ○ 美を通じて多くの人がつながる機会を提供し、新たな交流   と創造を生み出します。

2 人の育ちと共生社会の実現に貢献する

活力ある地域社会を実現する

1 創造との出会いの場

滋賀ならではの美をはじめ、世界の創作や美を巡る動きを幅広い視

性を育む機会を提供します。

の場になります。

2 多くの縁を結ぶ

にぎやかな広場「美の滋賀」の広場として、美をきっかけに多くの

合い尊重する、共生社会の実現に貢献します。

人や地域がつながり、美術館の運営にも様々な人や団体が関わる、

○ 美の資源が持つ可能性を最大限に活かして、まちづくりや観

いつも人が集う場になります。

光、産業、福祉など幅広い分野への波及効果を生み出し、創   造的で活力ある地域社会を実現します。

3 頼られる存在

③ 多くの人が展示を楽しめる手段の提供

専門的な知識と幅広い経験に基づいた活動や情報を広く提供する、

・ ICT(情報通信技術)を活用した、鑑賞補助等のサービスを提供す   る。 ④ 参加や体験などを通じて利用者が新しい   発見や驚きと出会う機会を提供する

第 5 章 施設整備計画 5−1 施設整備の方針

・ 見るだけではなく、五感で感じる展示や、能動的に参加する要素を取   り入れた展示やワークショップ(※)、体験型イベントを行う。 ・ 展示内容を解説する鑑賞ツアーを開催する。

「新生美術館を「美の滋賀」の拠点として有効に機能させるため、次の方針で必要な施設整備を行います。 」

・ 館内で創作活動を行う作家と交流できたり、利用者が創作に参加でき   たりする機会を提供する。

① 周囲の自然環境との調和の中で、多くの県民や利用者が憧れを感   じることができる、デザイン性を備えた空間を実現します。 ② 自然の美も含めた、「美の滋賀」の拠点であることの象徴として   琵琶湖や比叡山の景観が望める空間を実現します。 ③ 多くの人が集える広場のような存在となるよう、子どもや高齢者   障害のある人をはじめ、すべての人にとって居心地がよく、使い   やすい施設を実現します。 ④ びわこ文化公園全体を美術館とみなし、公園の改修・機能向上と   美術館施設の整備を一体的に実施します。 ⑤ 新生美術館として必要な機能を今後長期的に果たすことができる   機能を確保するために、現在の近代美術館の施設(既存館)の改   修と、新たな施設(新館)の増設を行います。

(2)施設整備に求められる事項

・ 障害のある人など、利用者に応じた案内表示や鑑賞ツール等の工夫を   行う。 ・ 案内表示等の多言語対応を行う。

滋賀で生まれ育まれてきた美の資産を未来に確実に引き継げるよう、 信頼される存在であり続けます。

(1)施設整備の基本的な方針

・ 国内外の様々な美や、最先端の美を取り上げるとともに、滋賀の美   を組み合わせた展示などを行う。 ・ 建築や工芸、デザイン、ファッションなど暮らしや産業活動1結びつ  いた分野や、メディアアート(※)、サブカルチャー(※)などの   分野についても、積極的に取り上げる。 ・ 伝統芸能、音楽、ダンスなど、幅広い芸術表現との連携を行う。

野で受け止め、魅力的なかたちで提供する、新たな創造との出会い

○ 県民や利用者、特に次代を担う子どもたちの知的好奇心と感 ○ 様々な表現や価値観との出会いから、お互いの多様性を認め

3 まちづくりや観光、産業などと連携して

② 国内外の様々な美の潮流を取り上げる

① 芸術表現の多様化や県民等の利用ニーズの多様化を踏まえ、広範   な活動や柔軟な利用形態に対応できる空間や設備 ② 仏教美術等の貴重で脆弱な作品を良好に保管・展示できる環境の   確保(文化庁による公開承認施設の承認の継続) ③ 新生美術館にふさわしいデザイン性

5−2 施設の立地・機能配置 (1)立地・機能配置に関する検討の経緯 新生美術館の施設整備に関しては、平成 24 年 10 月にまとめた新生美術館基本計画検討案 ( 資料 10 参照 ) の中で、びわこ文 化公園内の既存館に新館を増棟し、新生美術館の全ての機能を配置する案(一体整備案)を提案しましたが、これを県民や議 会、経済界等に示したところ、様々な意見がありました。そこで、平成 25 年度には、新たにまちなかに新生美術館の一部の

⑤ 整備や今後の維持管理に要するコストの節減 ⑥ ユニバーサルデザイン化

機能 2 明日の人を育む ( 学習機能 ) 「美を通じて子どもや利用者が創造性を育む   機会を提供する機能」

・ 事業活動の公開を進め、美術館や作品に対する理解や関心を深めるた   め、作品の修復作業を見学するバックヤードツアーを実施する。

⑤ 公園の屋外空間を活用した展開を行う

・ 屋外空間を活用した大型作品の制作やアート・イベント等を実施する。

① 子どもの育ちの中に、創造性や感性を養う   教育プログラムを提供する

・ 子育て中の親が気軽に美術館を訪れることができるよう、託児サービ   スを導入する。

術館基本計画検討懇話会(資料 12 参照)で、両案に対する意見の聴取を行ったところ、びわこ文化公園の立地環境を生かし、

どちらがより滋賀にふさわしい美術館となるかを総合的に判断し、「一体整備案」を選定することにしました。

(3)既存館の改修 します。利用者がスムーズな動線で美術館の展示等を楽しめるように、また、管理の負担を軽減するためにも、既存館と新館 ができるだけ近くに立地することが望ましく、新館の予定地は、既存館の西北側(日本庭園側)とします。なお、敷地面積に

※ ワークショップ   専門家の助言を受けつつ、参加者が積極的に意見交換を   行いながら、協同で製作や研究を行う場や活動

機能 3 つなぐ・広げる ( 情報 ・ 交流 ・     連携 ・アメニティ機能 )

③ 創造的な鑑賞者を創出する

① 交流と創造の拠点としての機能を果たす

限りがあることから、複層階での整備となることが想定されます。 ② 観光や産業分野との連携を進める

また、既存館の出入口と併せて新館側にも出入口を設けることで、びわこ文化公園の北および西駐車場からの歩行距離を短縮

・ 県内各地で美術館・博物館、大学、アート・イベント主催団体、市町   等との共催・協働による事業を行い、多くの人を呼び込み、文化観光  を促進する。

めに、空調、照明、給排水などの設備機器や、内外装などの改修を行います。

③ 関係する施設や拠点との連携やネットワーク   づくりを行う

・ 美術館・博物館、市町、社寺等との連携により、県内各地で展開され   る地域資源の保全や発信に協力する。

④ 美術館の機能を県内各地で展開する

・ 地域と連携しながら、県内各地で出張展示やイベント、ワークショッ   プ、共同でのアート・プロジェクトを実施する。

が想定されます。なお、既存館については改修工事を実施するため、一定期間休館する必要があります。

・ 将来的には、「美の滋賀」の地域の拠点として、他の施設等と連携し   県内にサテライト機能を展開することも検討する。

のアプローチとして高揚感を演出できるよう、美術館と一体的に整備を図ります。

(1)公園空間の整備・活用

・       ・

利用者がゆっくりくつろげるよう、レストラン・カフェやミュージア ム・ショップの魅力を高める。また、多様な滋賀の魅力を楽しめるよ う、運営者との連携のもと、滋賀の食材、特産品、手仕事作品を提供 する。 琵琶湖や比叡山等の眺望を楽しめるようにして、「美の滋賀」の魅力 を重層的に提供する。

① 滋賀の美の資産を守る

・     ・     ・

近代・現代美術、郷土ゆかりの美術など、近代美術館がこれまで収集 してきた作品について引き継ぐとともに、今後も引き続き作品の購入 や寄贈の受け入れなどにより収集・保管を行う。 琵琶湖文化館に収蔵されている仏教美術等の文化財を移転し、適切な 環境で保管するとともに、今後の新たな寄託や寄贈の受け入れに対応 する。 国、市町、所有者、保存修復技術者等と連携を図りつつ、文化財の一 時預かりや保存修理のための技術的な相談に応じるなど、地域におけ る文化財保護の取組を支援する。

② 滋賀で新たに見出される美を支える

・ 県内を中心に日本やアジアを視野に入れ、優れたアール・ブリュット   作品の収集・保管を行う。また、貸出し用の作品についても、一定数   保管する。 ・ 将来が期待される若手をはじめ、県内の作家の創作活動を支援しつつ、   収集・保管を行う。

① 滋賀の美に関する情報収集と研究を行い、   その成果を還元する

・ 収蔵作品の分野を中心に調査研究を実施し、その成果を館の事業に生   かすとともに、その後の研究に貢献する。

⑤ 美術館での楽しみを大きくする

機能 4 集める・守る(作品収集 ・ 保管機能) 「次代に引き継ぐべき美の資産を見出し、集め、  守る機能」

・ 公園の空間を生かし、美術作品、特に子どもが触れて遊べる作品等の屋外展示や、屋外空間でのアート・イベントを行えるよう、公園や園路を改修します。 ・ 作家や県民による創作活動ができる空間を緑豊かな公園内に展開する方策を検討します。 ・ 駐車場やバス停から美術館までの動線にあたる歩道等での高揚感の演出と、バリアフリー化に対応した整備などを行います。 ・ びわこ文化公園の利用者が気軽に美術館にも立ち寄れるよう、公園全体の回遊性を向上する工夫を行います。特に隣接する県立図書館については、通路で両館を接続させるなどの実効的な方策を 検討します。

機能 5 探求する(調査・研究機能) 「美に関する情報や資料を収集し、利用者や  研究者とともに探究する機能」

・ 関連分野の学習・研究を行う県民や専門家の活動・交流の場となる。 ・ 他の美術館・博物館の学芸員や学生等に研修機会を提供する。

(2)アクセスの利便性の改善 ・ 現在でも週末等に満車となる文化ゾーン駐車場について、新生美術館の想定入場者の増加に伴った収容台数の増加工事を行います。 ・ 公園利用者の安全確保を前提に、駅から美術館玄関近くまでを結ぶバス路線の検討や、バス停の位置の改善等を行います。 ・ 地域や公共交通機関と協働して、美術館へのアクセスルートにおいて、美術館を認知しやすいよう、案内表示等の改善を図ります。特に、瀬田駅およびその周辺では、美術館の玄関口としての演 出を行います。

PROPOSAL / 滋賀県立近代美術館プロポーザル

・ 大学などの研究機関や、県立図書館、びわ湖ホールといった文化施設   との相互の連携により、幅広く展示や講座の開催を行う。

・ ICT(情報通信技術)を活用し、インターネット上で作品の魅力や   関連する情報を提供する。

新生美術館が、びわこ文化公園の緑豊かで広がりのある空間に立地するという特長を積極的に生かし、公園そのものが「美の滋賀」の自然の美を表現する空間として機能するよう、また、美術館へ

5−4 びわこ文化公園の改修とアクセスの改善

・ 県内の美術館・博物館をはじめとした関係施設や、観光スポットと連   携し、それらを組み合わせた周遊観光の提案を行う。 ・ 美術館の持つ機能やネットワークを生かし、作家とものづくり・デザ  イン企業等との連携促進や、製品の販売場所の提供などを行う。

するほか、北側の道路から美術館の存在が認知できる工夫を行います。

施設整備に平成 26 年度から着手した場合、新生美術館の全面オープン(施設の全面供用)は、平成 30 ∼ 31 年度になること

⑧ 利用者と作品の安全確保への十分な配慮(耐震・免震対策など)

・ 滋賀の美と、その背景としての自然や歴史、暮らしまでを含めた資料   や、最新の美に関する情報、観光などの関連情報を提供する。 ・ 神と仏の美については、県内に広く分布する文化財の魅力と、それを  取り巻く歴史や風土を含めた情報の発信や、県民の学習や交流の場の   提供といった、拠点的機能を果たす。 ・ アール・ブリュットについては、全国的な発信拠点として、福祉や医  療などの関連分野も含めて幅広い情報の提供を行うとともに、作家を  支える家族や施設職員、福祉や美術を学ぶ学生や県民などが学習でき   る場とする。

「美を楽しめる場や情報を提供し、多くの人や 団体が出会う中から、交流や連携を広げる機能」

(4)想定整備年度

・ 利用者自らが創造性を養う機会を提供するため、対話型の鑑賞ツアー   や、参加型・体験型の展示を行う。 ・ 利用者の様々な学びの意欲に応える講座やワークショップを開催する。

既存館は開館から 30 年を経過し、老朽化等の課題も見られることから、将来に向けて新生美術館としての機能を維持するた

⑦ 省エネルギー化と再生可能エネルギーの活用など、環境負荷の低減

・ 子どもや親子向けの展示や館内鑑賞ツアー、ワークショップを実施す  る。 ・ 子どもが作品に触れたり、アートに関する体験ができたりするキッズ  ・ルームを設置する。

平成 25 年 7 月から 8 月にかけて、県政モニターヒアリング調査(資料 11 参照)や、各分野の専門家等で構成される新生美

このことを踏まえ、また、「美の滋賀」のコンセプトの明確な表現や、整備・運営費用、美術館活動の実務面なども考え併せ、

・ 学校や団体を対象にした鑑賞や体験のプログラムを提供するとともに   遠隔地の学校の利用を促進するための支援策の検討を行う。 ・ 教員を対象とした展示の特別解説や研修を行う。

② 子どもや家族連れが気軽に美を体験し、親   しめる機会を提供する

(2)新館の建設

自然の美と合わせた整備に期待するといった理由から一体整備案を支持する意見が多数でした(資料 14 参照)。

・ 公園利用者が気軽に美との出会いを楽しめる機会を提供するため、屋   外に子どもが遊べたり、触ったりできる作品をはじめとした、アート   作品を設置する。

・ 年齢段階に応じて発展的に学べるプログラムや、障害のある子どもな   ど利用する子どもに応じたプログラムを用意する。

機能を担う分館を設置する「まちなか分館整備案」という別の選択肢を提示し、比較検討を行いました。

既存館では新生美術館に求められる機能の全てを満たすことは不可能なことから、新館を、既存館の隣接地に建設することと

④ 既存館の施設・設備の活用と長寿命化

※ メディアアート   コンピュータ・グラフィックなどの情報通信技術や、   映像、音響などを活用して表現される芸術の分野 ※ サブカルチャー   正当性・伝統的な文化と対比して、アニメーションや   漫画などに代表される新たな文化の総称

<神と仏の美>

・ 独自の調査研究や県内外の博物館等との共同による調査研究を実施し   その成果を発表する。 ・ 写真資料など二次資料の収集・整理を行い、仏教美術等の専門家に対   し研究資料として提供する。

<アール・ブリュット>

・ 日本やアジアのアール・ブリュットに関する幅広い資料や情報の収集   作品情報のアーカイブ化とこれらの情報の提供を行う。 ・ ボーダレス・アートミュージアムNO-MAが築いてきた、欧米を中   心とする諸外国のリーダー的施設とのネットワークと連携する。 ・ 長期的視野に立って作品の芸術性を評価したり、作家と作品を社会に   つないだりできる人材を育成するとともに、全国の学芸員等にアール   ・ブリュットについての理解を広げる。

PROJECT


2.第一次審査(技術提案書提出者の選定)

5−3 諸室の整備概要

(1)第一次審査の方法 ①参加表明書等を提出した者について、資格要件および技術提案書の提出者を選定するための評価基準に基づき、参加表明書等の提出書類について評価を行う。

(1)施設の部門ごとの諸室の構成 主な室構成

②評価点の高い者から5者以内を技術提案書の提出を求める者(第一次審査通過者)として選定し、技術提案書の提出者として選定した旨の通知を行うとともに、 技術提案書の要請書を送付する。 (2)第一次審査の評価基準 第一次審査の評価基準は、以下のとおりである。

各室の概要

新生美術館の機能の実現のために必要な諸室は次のとおりです。面積については現段階の概算数値 であり、今後の建築設計を進める中で決定します。 展示室

・ 神と仏の美、近代・現代美術、アール・ブリュットなど、それぞれ

【第一次審査の評価基準】

の収蔵品展示を行う展示室を設ける ・ 神と仏の美については、近江の仏教美術やそれを培ってきた自然や  風土、暮らしを含めた情報等を提示する導入展示を併せて設ける

「展示部門(主な考え方)」

・ 大規模な空間展示(インスタレーション)や幅広い芸術表現、関連

・収蔵分野の拡大や、展覧会の大型化、芸術表現の多様化等に対応するため展示室を拡大する

評価項目

判断基準

評価点

新生美術館として整備後の想定床面積  3,800

事業の展開などにも柔軟に活用できる、天井高があり空間の分割が

・作品の魅力を引き出すことのできる内装(ガラスケース・展示パネル)や照明機器等を備える

可能な企画展示室を新設する

現在の近代美術館床面積        2,243 県民ギャラリー

事 務 所

専 門 技 術 力

業 務 執 行 技 術 力

管 理 技 術 者

専 門 技 術 力

業 務 執 行 技 術 力

1.事務所の適格性   (15点)

・ 面積を拡大するとともに、利用者が使いやすく、制約の少ない展示  環境と、搬入・搬出経路等を確保する

(様式4)

恒久展示スペース

ロビー、通路等

受託実績

・元請(共同企業体の場合は代表構成員)として受託した実績を評価する。

15 点

従事実績

・技術者として従事した実績を評価する。

受賞実績

・過去に携わった建築関係設計業務における受賞実績について評価する。

5 点

・技術者として従事した実績を評価する。

10 点

・過去に携わった建築関係設計業務における受賞実績について評価する。

5 点

・ 新生美術館のシンボルとなる作品を新たに恒久的に展示する

2.技術者の経験

・ 美術館としての高揚感を演出する出入口を新館に新たに設ける

10 点

および能力   (30点)

・ 既存館の出入口とあわせて、双方を結ぶ利用者の流動性を確保する

「管理・共用部門(主な考え方)」

トイレ

・上記各部門を維持するために必要な機能を確保する ・ユニバーサルデザインに基づく整備を行う ・省エネルギー化と再生可能エネルギーの活用など、環境負荷の低減を図る

・ 利用者が快適に利用できるよう、十分な面積を確保する。既存館に

新生美術館として整備後の想定床面積  6,000

ついては、全面改修を行う

職員執務室

・ 各部門の職員間の連携が図られやすい配置等に留意する

警備員室等 設備・機械室 その他

・ 館の運営や、施設の維持管理に必要な機能を備える

現在の近代美術館床面積        4,163

( 様式3) ( 様式4)

意 匠 担 当 主 任 技 術 者

従事実績

業 務 執 行 技 術 力

専 門 技 術 力

受賞実績

理解度 提案力 3.業務の実施方針、

実施方針

実施体制および考え方

実施体制

・業務の実施方針および実施体制を評価する。 業務フローの 妥当性

(55点)

工程計画の

・新しい美術館に対する考え方について評価する。

55点

妥当性

(様式2) (様式5) (様式6)

新しい美術館に対する考え方

(2)配置・動線等 ・ 各部門・諸室の関連を重視し、利用者にとってわかりやすく、管理運営上も効率的な配置とします。 ・ 利用者に開かれた部分と、作品を守る部分を確実に両立できるよう、利用者の動線と、展示資料・収蔵品等の動線が交錯しないようにするなど、その設定に十分配慮します。

計 100 点

・ 既存館の出入口と併せて新館側にも新たに出入口を設け、利用者が流動できるようにします。 ・ 多くの利用者が美術館をゆったり楽しめるよう、休憩できる場所を展示室、通路等に設けます。

新生美術館として整備後の想定床面積合計  15,200

2.第二次審査(技術提案書の特定) (1)第二次審査の方法

現在の近代美術館床面積 合計        8,544

新館整備想定床面積             6,656 情報・交流室

①技術提案書を提出した者(第一次審査通過者)について、技術提案書を特定するための評価基準に基づき、技術提案書等の提出書類、プレゼンテーションおよび ヒアリングについて評価を行う。 ②評価点の最も高かった者を契約予定者として特定し、技術提案書を特定した旨の通知を行うものとする。 ③契約予定者が契約できない場合は、評価点が次に高かった者から順に補欠契約予定者とし、補欠契約予定者を順に契約予定者とする。 (2)第二次審査の評価基準 第二次審査の評価基準は、以下のとおりである。

・ 書架や情報端末機器等を備え、滋賀の美と、自然や歴史、暮らしま  でを含めた関連の図書やデジタルコンテンツ等の検索と閲覧ができ

【第二次審査の評価基準】

るほか、滋賀の美に関する様々な相談や問い合わせに対応する ・ 神と仏の美、アール・ブリュットについては、専用の情報発信や学

評価項目

習のコーナーを設ける

「情報・交流・アメニティ部門(主な考え方)」 ・ 多くの利用者に開かれた新生美術館を象徴する部門として、情報やサービスの提供、県民や

協働室 創作室

・ 作家や利用者による創作活動や、様々なワークショップ等を行うこ

講堂

・ 講演や研修、音楽会などを行う。学校団体等の休憩・飲食スペース

キッズ・ルーム託児室

・ 子どもたちの美術や文化財への理解を深める為、体験型の展示や資料の

レストラン、カフェ

・ 利用者がゆったりと時間を過ごせるスペースとして拡張し、充実さ

ミュージアムショップ

せる

団体の学習や研究、交流、連携による活動が活発に行われる施設機能を提供する ・ 展覧会と連動して、ワークショップや講座など充実したプログラムが展開できるスペースを

ニティ機能を充実させる

専門技術力

新生美術館として整備後の想定床面積  1,500

専門技術力の

評価点

優位性

・特定テーマに関する補足説明が明確で、業務の課題や問題点が把握されている場合に優位に評 価する。

1.プレゼンテーション

とができる

拡大する ・ 子どもや家族連れをはじめ、幅広い利用者が美術館で過ごす時間をゆったりと楽しめるアメ

判断基準

・ ボランティアや団体等が活動するための準備や打合せ等を行う

およびヒアリング

現在の近代美術館床面積

567

取り組み姿勢

(100 点)

業務への取り 組み姿勢

・特定テーマに対する提案が、中心的、主体的に作成され、業務への取り組み意欲が高い場合に

100 点

優位に評価する。

としても活用する コミュニケーション力 質間に対する 応答性

提供を行うとともに、託児スペースや授乳室を併設する。

展望スペース

・質問に対する応答が明快、かつ迅速な場合に優位に評価する。

①「美の滋賀」の拠点として、滋賀らしさを表現し、世界から注目されるような新しい創造性に富 特 定 テ ー マ ①

・ 琵琶湖・比叡山等の眺望が楽しめるスペースを設ける

んだ建築イメージについて 的確性、芸術性、創造性

・「美の滋賀」の理解度、滋賀らしさの表現力、建築イメージの芸術性、創造性について評

50 点

価する。

②びわこ文化公園(文化ゾーン)全体を美術館とみなし、隣接する図書館とのつながりを含む公園 特 定 テ ー マ ②

の整備と美術館の整備を一体的に行うコンセプトを設定し、それを具体的に実施する方策について 的確性、実現性、独創性

40 点 ・立地環境を生かし、周辺施設とつながり、自然の美と合わせた整備、公園の活用方法に ついて評価する。 ③公共機関を利用した駅から美術館へのアクセスにおいて、また、周辺駐車場(東・北・西)や

特 定 テ ー マ ③

バス停からのアプローチにおいて高揚感を演出する方策について 創造性、独創性、 情報収集、分析力

30 点 ・アクセス改善のアイデア、高揚感を高める演出方法について評価する。

2.特定テーマに対

「収蔵部門(主な考え方)」 ・ これまでの近代美術館の収蔵品に加え、現在琵琶湖文化館で保管されている仏教美術等の作品  の移転、そして、アール・ブリュット、若手作家等の作品をはじめ、今後の新たな作品の購入  や寄託、寄贈に対応できるよう、収蔵庫を拡張する ・ 国宝・重要文化財をはじめ、貴重な美の資産を良好かつ安全に保管し、確実に次代に引き継ぐ  ため、作品の材質や性質等に応じて、適切な保存環境を確保する ・既存館の収蔵庫は、必要に応じて改修等を行う

する技術提案内容   (200点)

収蔵庫

・ 作品の材質や性質等に応じ、複数の収蔵庫を設置し、保管できるスペ  ースと、空調や内装などの環境を確保する

前室 点検室 搬入口 荷解室 一時保管庫 資材室 燻蒸室

資料室

・ 作品の搬入・搬出や、良好な維持管理に必要な機能を備える

④県民および来館者や施設管理者等から意見をくみ取る方策および新しい美術館を広くPRする 特 定 テ ー マ ④

方策について 的確性、独創性、 情報収集、分析力

現在の近代美術館床面積        1,347

めの方策について 的確性、独創性、 情報収集、分析力

20 点 ・案内表示、鑑賞ツール、情報通信技術の活用について評価する。

・ 琵琶湖文化館からの移転にも対応し、図書や写真資料をはじめとした

情報処理室

・ データ整理や編集・制作などを行う機器を備える

スタジオ

・ 作品の写真撮影を行う

新生美術館として整備後の想定床面積

現在の近代美術館床面積

500

224

特 定 テ ー マ ⑥

⑥ライフサイクルコストの縮減および環境負荷の低減を図るための方策について 実現性、独創性、 情報収集、分析力

・学芸員などによる調査研究活動に対応した機能を備える

20 点 ・整備費の縮減方法、省エネルギー化、再生可能エネルギーの活用について評価する。

⑦国宝、重要文化財等の貴重で脆弱な作品を、良好に保管、展示できる環境確保および安全確保

修復室

PROPOSAL / 滋賀県立近代美術館プロポーザル

20 点 ・みんなで創る美術館としての、意見収集分析方法、情報発信手法について評価する。

⑤子どもや高齢者、障害のある方をはじめ、すべての人に居心地がよく使いやすい施設にするた 特 定 テ ー マ ⑤

関連資料の保管を行う

「調査・研究部門(主な考え方)」

新生美術館として整備後の想定床面積  3,400

(様式8)

特 定 テ ー マ ⑦

の方策について 的確性、実現性、独創性、 情報収集分析力

20 点 ・公開承認施設としての環境確保、防犯、防災対策について評価する。

・ 仏教美術等の作品の保存修復作業を行う

計 300 点

PROJECT


05 定位する空間

­Aldo van Eyck の建築思想を通して­

本研究はオランダ構造主義の思想を持った Aldo van Eyck の人間性を持った部分と全体の両立を成すための空間構 成手法の抽出、またそれらを現代社会への応用することを主旨とする。 そして、人間性を確保するための手段として「対現象」「単位空間」に着目し、Aldo van Eyck の代表作である「子 供の家」から彼の設計手法を紐解いていく。

課題    修士設計(2017) 計画敷地  熊本市大江 用途    図書館 敷地面積  8,553㎡ 建築面積  4,050㎡ 構造    壁式構造


MASTER PROJECT / 定位する空間 ­ Aldo van Eyckの建築思想を通して ­

PERSPECTIVE


Aldo van Eyck 本研究はオランダ構造主義の思想を持った Aldo van Eyck の人間性を持った部分と全体の両立を成すための空間構成手法の抽出、またそれ らを現代社会への応用することを主旨とする。そして、人間性を確保するための手段として「対現象」「単位空間」に着目し、Aldo van Eyck の代表作である「子供の家」から彼の設計手法を紐解いていく。

Aldo van Eyck

the children s Home / 1955-60

Sculpure pavillion / 1962 Aldo van Eyck の子供の家では、0 歳から 20 歳までの孤児の拠り所となる様々な居場所が形成されている。乳幼児が遊び場となる円形の段差、子供たち

子供の家 /the children s Home / 1955-60 11

の部屋のレベル差、小さい子供たちの拠り所となるデンのような場所、半屋外で子供たちが集まる円形の場所。

13

12 19 1

14

15

16

2

18

3

5

4

20

21 22

23

25

32

1 Boys 14-20 2 Girls 14-20 3 Boys 10-14 4 Girls 10-14 5 Children 6-10 6 Children 4-6 7 Children 2-4 8 Babys 9 Sick room 10 Festival Hall 11 Gymnasium 12 Teacher s room 13 Office room 14 Library 15 Garage 16 Linen closet 17 Kitchen 18 Directer s room 19 Parking place for bicycles 20 Amusement place

10

24 29 26 28

30

23

23

23

27 21

6

7 9 8

MASTER PROJECT / 定位する空間 ­ Aldo van Eyckの建築思想を通して ­

20

21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37

cloak room small brick house sunkan section with encircling beach in which toys one stored podding pool in front of low window element containig cupboards and heating element open kitch in seat washing room showers stoilets toilets saudpit with soudpit with hallows for rainwater covered playroom sleep compartments

1 Boys 14-20 2 Girls 14-20 3 Boys 10-14 4 Girls 10-14 5 Children 6-10 6 Children 4-6 7 Children 2-4 8 Babys 9 Sick room 10 Festival Hall 11 Gymnasium 12 Teacher s room 13 Office room 14 Library 15 Garage 16 Linen closet 17 Kitchen 18 Directer s room 19 Parking place for bicycles 20 Amusement place

THE CHILDREN S HOME


Design Code

現代への転換・再読

Aldo van Eyck の設計手法として、部分で全体を構成する手段としての 単位空間の反復 、単位空間と別の軸の新たな単位が重層的に重

Aldo van Eyck の設計手法として抽出した 単位空間の反復 、 空間分割 、 対現象 の3つの手法が見受けられた。それらを現代

なることで単位が隠蔽される 空間分割 、また利用者の知覚により空間の認識の仕方が変わる 対現象 の3つの手法が見受けられた。

社会の状況を加味し、現在の空間単位にふさわしいモチーフ、空間分割、視線の抜けに対応した開口を定義する。

【単位空間】

【単位空間 / 六角形】

六角形

囲われ感

教室の 8m 8m を広さを内包する寸法

部分で全体を構成する手段として 単位空間の反復 という手法を用いる。Aldo van Eyck はただ空間を反復させるだけでなく、室空間と室空間の間に

単位空間として六角形の形態を用いる。

意図的に中間領域を挟みながら反復することで、副次的に反復する空間が生じる。これにより多様な分節を許容する全体が構成され、多解釈可能な建築

六角形は四角形や円などより、囲われ感が強いが圧迫感は少ない。

となっている。また室空間単位は人間の行為に見合ったスケールや形態等をとることにより、人間性を獲得する事を目的としている。

また1辺が 6000mm のサイズとすることで、人々がかつて慣れ親しんだ教室空間を内包する寸法となり、最大の集団を形成する。

【空間分割】

【空間分割 / 自然界の普遍的な物理法則】

小さな空間

90°

中くらいの空間 大きな空間

120° 読書 食事

会話

休息

学習

子供の家では、空間単位より小さい軸として 3360mm 3360mm の架構単位を設けており、この効果で空間単位間の境界が曖昧になる。これは Float

自然界にある最も重要な力の1つに空間が分割するときの力がある。カエデの葉、セメントの歩道などの割れ目、干上がった河に入ったひびなど

Module 呼ばれている。また断面的にも一つの空間のまとまりの中に、レベル差等で一つのまとまり、またその中にデンのような小さなまとまりがあり、

は普遍的な物理法則の影響を受けている。この自然分割(120 )で空間を分割することで新しい部分と全体の関係性を構成する。

etc....

これも空間単位を曖昧にしている。

【対現象】

【対現象 / 開放的・閉鎖的】

Aldo van Eyck は「中間領域は両者の意味を同時に意識させることを誘発する場所である」と述べており、彼はここで対現象と呼ばれる現象について以

開放的・閉鎖的の両方を成すためにアーチ型の開口を用いる。アーチ型を用いる事で、見え隠れする空間が生まれる。また斜めの方向性の壁であって

下のように説明する。 「対立的でありながら、相互補完的な関係にある2つの現象」と説明する。子供の家では、開かれた空間と閉じられた空間の両義的

も、一連に繋がる事で連帯感を成す。

空間を得るために、あるひとつの空間の途中までは開口のない壁、それ以外は視線の通るカーテンウォールにするなどの手法をとっている。

梁は最大曲げモーメントが生ずる柱接合部で断面積最大となるアーチ型とし、応力図を素直に躯体形状とする。

MASTER PROJECT / 定位する空間 ­ Aldo van Eyckの建築思想を通して ­

DESIGN CONCEPT


熊本市大江 / 多世代が共存する地域

バス停 開成高校グラウンド

計画敷地は、熊本市中央区大江に位置する熊本市立図書館のある敷地を対 象とする。この地は九州学院、慶誠高校、開成高校等に近接し、熊本市中 央区役所大江出張所に隣接している。周囲はマンション建設や、ユメタウ ンの建設により人口が増加している土地である。

熊本市中央区役所出張所 子供たちの通学路となる道路

高層マンション

この地域は小中高の学校が充実に加え、近年コンパクトシティとして再開 発が行われているため、スーパー、病院、銀行、行政機能も近接している。

駐車場

そのため学校に通う 0∼14 歳、移住して来る 15∼64 歳、老後の人生を送 る 65 歳以上のどの年齢においても人口が増加し、多様な年代が共存して いる地区である。

地域に開く広場

36900

多世代が住む住宅地

14100

所在地  : 熊本県熊本市大江 6-1-74 建ぺい率:  60% 容積率 :  200% 用途地域:第2種住居地域      準防火地域 計画概要:図書館の建て替え 敷地面積:約 8553 ㎡ 計画面積:約 4050 ㎡

多世代が住む住宅地

84300

55330

94200

36900

周辺敷地(1/2000)

MASTER PROJECT / 定位する空間 ­ Aldo van Eyckの建築思想を通して ­

SITE


Study Ⅰ / 定位モデル space A

space B

右図のように空間分割のバリエーションを 検討し、大中小の 8 つの定位空間モデルを

spaceA - large

導いた。これらの空間はおひとりさま空間、 二人で距離を保つ空間、個人と集団、教室

space C

レベルの集団など、拠り所となる多種多様

spaceA - large - middle

spaceA - middle - large

spaceA - small - large

spaceA - spaceA - large

spaceB - large

spaceB - small - large

spaceB - small - middle

spaceB - middle - middle

spaceB - middle - middle

spaceB - middle - spaceB

spaceC - large

spaceC - small - small - middle

space D

な居場所を形成する。また個人の空間に対 personal space A    small

して、小さい空間と接するのか、がらんど うの空間と接するかなどの組み合わせが生

spaceA - middle - middle

personal space B   middleⅠ

まれ、右図がその組み合わせのバリエーショ ンである。これらを模型化し、空間の特徴 を把握し、拠り所となる空間を検討した。

space F

space E

spaceA - spaceA - small - middle

space G

personal space D,E    LargeⅠ personal space H   LargeⅡ

space H

spaceD - spaceE

spaceA - large - spaceA

personal space C   middleⅡ

spaceH

spaceC - small - small - middle

【図1】

element A    プライベートと セミプライベートを持つ空間

element B グラデーショナルに変化 する空間

spaceC - small - large

【図2】

element C 大中小に区切られた空間

element D 籠れる空間

element E 道のような空間

element F 中・大規模の空間

element I 道のような空間 (中央に溜まり)

element J 等価に分節する空間

element K 一つのまとまりのある空間

【図3】 MASTER PROJECT / 定位する空間 ­ Aldo van Eyckの建築思想を通して ­

SUTDY Ⅰ / 定位モデル


Study Ⅱ / 視線の抜け 【A 地点】

【B 地点】

【C 地点】

【D 地点】

2次的視線の抜け 7次的視線の抜け

視点場

1次的視線の抜け

視線の抜けのスタディとして、空間の中

1次的視線の抜け

1 2

3

として A∼I までの9つの地点で検討を

1

5

2

4

6

2次的視線の抜け

4

3次的視線の抜け

3

4次的視線の抜け

5 4

4次的視線の抜け

視線の方向

事を可能にするために、一空間でも多様

3

2

9次的視線の抜け 3次的視線の抜け

3次的視線の抜け

4次的視線の抜け

行った。利用者が自由な空間選択を行う

5

1 6

5次的視線の抜け

3次的視線の抜け

5次的視線の抜け

央から全体に視線を配す事が出来る空間

な視線の抜けを得ることを目的とし、一

5次的視線の抜け

6

3

4

5

1次的視線の抜け

7次的視線の抜け

5次的視線の抜け

3次的視線の抜け

2

2次的視線の抜け

1次的視線の抜け

1

3次的視線の抜け

視線の抜け

空間あたりの6方向の視線において全て 異なるn次的視線の抜けを持つように開 口を計画した。これにより、一つの空間 にいながら、多く開かれた居場所、少し 開かれた居場所、比較的閉じられた居場 所など利用者の感じ方で好きな居場所に

A-1

A-3

A-5

B-1

B-3

B-5

C-1

C-3

A-2

A-4

A-6

B-2

B-4

B-6

C-2

C-4

C-5

D-1

D-3

D-5

D-2

D-4

D-6

内観パース

定位することの出来る空間を目指した。

【E 地点】

【F 地点】

【G 地点】 2次的視線の抜け

1次的視線の抜け

3次的視線の抜け 8次的視線の抜け

1 2

3

5 4

2 3

4次的視線の抜け

1

5

【H 地点】

5次的視線の抜け

2

1次的視線の抜け

1

6 3

4

1

5 4

E-1

E-3

E-2

E-4

MASTER PROJECT / 定位する空間 ­ Aldo van Eyckの建築思想を通して ­

E-5

1次的視線の抜け

2

2次的視線の抜け

3

6 4

4次的視線の抜け

5

8次的視線の抜け

2

1 3

1次的視線の抜け

10 次的視線の抜け

6

5

2次的視線の抜け

4

6次的視線の抜け 6次的視線の抜け

3次的視線の抜け

6次的視線の抜け

2次的視線の抜け

3次的視線の抜け

2次的視線の抜け 1次的視線の抜け

4次的視線の抜け

5次的視線の抜け

【I 地点】

3次的視線の抜け

5次的視線の抜け

4次的視線の抜け 5次的視線の抜け

F-1

F-3

F-2

F-4

F-5

G-1

G-3

G-5

H-1

H-3

H-5

I-1

I-3

I-5

G-2

G-4

G-6

H-2

H-4

H-6

I-2

I-4

I-6

SUTDY Ⅱ / 視線の抜け


Project / ひとりのための公共空間

現代において図書館は転換期を迎えてい る。大学図書館ではラーニングコモンズ の概念が持ち込まれ、能動的な学習を目 的とした空間が、公立図書館ではカフェ 等に加え、商業空間も混合し、静かに本 を読むだけでなく多種多様な人の共存が 求められる。そこで、郊外の人口増加地 域の公共施設への転用を目的とし、若者、 老人、子供など様々な人が存在する場所 に、ひとりひとりに対応する公共空間と して図書館を提案する。

MASTER PROJECT / 定位する空間 ­ Aldo van Eyckの建築思想を通して ­

PROJECT


A

職員動線

駐輪場 床:塩化ビニルシート t=2.5mm

内壁:鉄筋コンクリート打ち放しの上    ヒビストップ漆喰塗装

ドライエリア

EV

床:コンクリート金ごて仕上げの上   表面強化材

W.C

床:フローリング t=15mm

館長室

EPS 天井:ロックウール化粧吸音板

事務室

W.C

床:OA フロア h=100mm   +タイルカーペット

PS・DS

エントランス   ホール

PC ルーム

倉庫

96

96

51

51

ダクトスペース

レファレンス カウンター

メインカウンター

1FL+200

96 51

産業

アクティブラーニング

51

96

51

96

芸術

51 96

歩道からの視線の抜け

ダクトスペース

ショップ

開架書架

96

雑誌・文庫

構造壁 t=250mm

51

96

51

技術・産業・芸術

96

51 6

カフェ

厨房

駐車場

96

51

51

96

6

15

57

+浸透性表面強化剤添加

15

51

技術

床:コンクリート t=150mm

57

雑誌・新書

天井:木毛セメント板

96

96

バックヤード

ダクトスペース

通り抜け可能

51

51

96

レジ 1FL­200

96 51

96 樹種:サクラ、もみじ、ケヤキ

床:コンクリート金ごて仕上げの上

したり広場のイベントとして利用できる。

樹種:サクラ、もみじ、ケヤキ等

表面強化材

新聞

落葉樹を配置する事で、夏は直射日光を緩和し、 冬は日光を最大限取り込む。

51 9

96 51

6

6

9 51

96

車場等に駐車する日は、屋台などを出

51

効果がありイベント時など車を第二駐

エントランス   ホール

51

通常時は、車の走行音等を低減させる

A

外構:多孔質ゴムチップ舗装

6

9 51

MASTER PROJECT / 定位する空間 ­ Aldo van Eyckの建築思想を通して ­

51 96

1F PLAN 0

5

10

20(m)

1F PLAN


床:塩化ビニルシート t=2.5mm

EV 屋根:アスファルト防水

W.C

EPS

W.C 授乳室

クラスルーム

PS・DS

天井:ロックウール化粧吸音板 床:OA フロア h=100mm   +タイルカーペット

視聴覚

児童書架 96

96

51

51

ダクトスペース

休憩

一般書架

床 :カーペット t=7mm 児童書架 天井:ロックウール化粧吸音板 照明:ダウンライト

社会科学

吹き抜け

51 96

96 51

プレイルーム

屋根:アスファルト防水 床:コンクリート t=130mm

床:コンクリート t=130mm

(浸透性表面強化材仕上塗)

51

96

51

96

(浸透性表面強化材仕上塗) ダクトスペース 2FL­200

96

2FL+400

歴史

96

吹き抜け

51

51

児童書架

地理

2FL­200

ダクトスペース

床:コンクリート t=130mm (浸透性表面強化材仕上塗)

96 51

96

51

床 :カーペット t=7mm 天井:コンクリート仕上げ 照明:間接照明 / タスクアンビエント方式

地理

15 57

96

51

51

96

6

自然科学

57 96

51

51

96

6

15

屋根:アスファルト防水

96

51

51

96

空調:T&A 床吹出し空調システム

縦型ドレイン

51

6

9 51

MASTER PROJECT / 定位する空間 ­ Aldo van Eyckの建築思想を通して ­

96

96

51

51

96

51

96 51

96

直径 300mm

2F PLAN 0

5

10

20(m)

2F PLAN


Sketch Study スタディの過程で出た形態に関して、ふるまいを想定しながらスケッチを描いていく事で検討を重ねた。 そうして、図書館のふるまいに適応した形態が決定された。

▽最高高さ

1/100 水勾配

通気口

歴史コーナー

煙突効果

8700

700 300 200 3000

▽2FL

W.C

床:ビニル床タイル

アスファルト防水

フリーアクセスフロア

1/100 水勾配

グレーチング

ギャラリー

床:コンクリート t=130mm

開架書架

W.C

ドライエリア

(浸透性表面強化材仕上塗)

500 200

道路

1/100 水勾配

落葉樹

3000

700 300 500

Section

▽1FL

閉架書庫

閉架書庫

閉架書庫

0

MASTER PROJECT / 定位する空間 ­ Aldo van Eyckの建築思想を通して ­

5

10

15(m)

SKETCH / MODEL PHOTO / SECTION


図書館のふるまいから生まれる全体構成

雑誌 / 文庫 ・ 一般書架

大中小の空間を擁する事で、個人的スペースでゆっくり本を読 みたい人、2∼3 人のスペースで過ごす人、大きな空間で大人 数の一部となる、過ごすなど、思い思いのスペースで多様な時 間の過ごし方が可能となる。

PC ルーム

会話やグループ学習など能動的学習を促すアクティブラーニングを行 えるよう、個人同士で議論を交わす場、複数人で学習を行う場をつく りだし、床は 200mm の空洞を持つフリーアクセスフロアとなってい る。また視線的にゆるくつながることで、相互触発を起こす場となる。

講義室

六角形の最大空間は 8m 8m の教室を内包する寸法であり、 天井高も通常の+800mm となり、一つの教室空間として使 用可能である。また、隣の空間も包含することで講演会など にも使用可能となる。

0. 総記 1. 哲学 2. 歴史・地理 郷土資料(新聞等)

element E element K

吹き抜け

吹き抜けを介する事で、通常の2次元的な視線の交差に 加え、斜めの方向性をもった3次元的な視線の交差が生 まれる。

3. 社会科学 4. 自然科学

element E element I

element K 会話の出来るくらいに 道のギャラリー

まとまった空間

のような空間

8. 言語 9. 文学

5. 技術 6. 産業 7. 芸術

element E element F

element I

element E element F

element K

大きい空間で工作

10. 児童書(絵本・一般) 授乳室・親子ルーム プレイルーム

elment C

1F PLAN

element D

element J

element D

2F PLAN 静かな子供、元気な子供に対応

技術 ・ 芸術 ・ 産業

11. 文庫・新書

単位空間の中に2つの個人スペースを作る事により生み 出された道のような空間は、技術・芸術・産業系の実物 を飾るギャラリー空間となり、これらの展示物を見なが ら、興味を持てば隣接する書架で詳細を知る事が出来る など、相互作用をもつ。

児童書架 ・ プレイルーム

天井高を抑え、子供たちの身体に近い空間性を獲得する とともに、一つの単位空間を等価に分節することで、そ れぞれの拠点となる居場所を持ちつつ、全体でつながり をもつ空間となる。

PC ルーム アクティブラーニング

休憩ルーム

・ カフェ

単位空間を大きなまとまりで分割することより、ある一 定の大きさで商品を陳列したり、カフェなどの場へと変 化する。

自然科学 ・ 歴史 ・ 地理

element F

element B elment C

歴史的な資料の展示はもちろんのこと、大型本を広げて 閲覧するための空間、地理系の模型等の展示を見ながら 隣接した書架を閲覧できる空間など、図書の種別に対応 した空間が並ぶ。 道のギャラリー のような空間

MASTER PROJECT / 定位する空間 ­ Aldo van Eyckの建築思想を通して ­

休息ルーム

壁を背に外の風景に身を置く外向的な場や、端のスペース から内部に視線を向け一方的に見る事が可能となる内向的 な場、床レベルを+400mm とした基壇型の劇場的な場な ど人それぞれの休み方に対応した空間が配置されている。 element A

ショップ

文庫等を集中して読む個人空間

大中小様々な休み方をする

CG & MODEL PHOTO / COMPOSHION


拠り所となる空間性 定位空間モデルの検討より、図書空間に対 応する空間モデルを抽出した。図書空間で 予想されるふるまいから定位空間モデルを あてはめ、部分を構成する。そのように構 成された図書種別による部分から全体を構 成する事で、個々のふるまいの集積で建築 全体が生み出される。

おひとりさま空間 / 歴史・自然科学

ふたり空間 / 歴史・自然科学・地理

道のような空間 / 技術・産業・芸術

約 2500∼3000mm の多角形の壁に囲われた個 人的空間。最小の拠り所空間となり、独りで籠っ て読書をしたり、物思いに浸ることが可能とな る。周囲とは視覚的につながる。

約 3000mm の L 字壁を拠り所として、お茶を したり、会話をしたりなど、ふたりだけの親密 な空間を築く事が出来る。

単位空間の中に2つの個人スペースを作る事に より生み出された道のような空間は、技術・芸 術・産業系の実物を飾るギャラリー空間となり、 これらの展示物を見ながら、興味を持てば隣接 する書架で詳細を知る事が出来るなど、相互作 用をもつ。

雑誌・文庫コーナーの小規模スペース。開架書

中規模空間 / 雑誌・文庫・新書

架に付随しており、個人的な空間にいながらも 開かれた書架と繋がっている。

技術・産業・芸術コーナーの中規模スペース。

中規模の空間 / 技術・産業・芸術

中規模空間でインスタレーションや作品など体 験型の展示を行うことができる。

大きな空間や個人的な空間、中規模空間と接す るひとまとまりの空間。ひとつの集合体として

ひとまとまりの空間 / 一般書架

8m 8m の教室空間を内包する広さがある。そ のため昔親しんだ、一つの共同体としての空間 を体感することができる。

MASTER PROJECT / 定位する空間 ­ Aldo van Eyckの建築思想を通して ­

CG & MODEL PHOTO / PERSPECTIVE


視線の抜けによる定位空間の多様性 視線の抜けの検討より、六角形の単位空間においてそれぞれの面において、視線の抜けの濃度が異なるように開口を計画した。これにより、

1次的視線

開かれた場所や閉じられた場所は利用者の知覚に委ねられ、利用者が好きな居場所を見つけ、その場所に定位することが可能となる。ま た視線がループすることで、利用者が他者の視線の環境の一部となる。

5次的視線

・・・・

1次的視線の抜け 一般的な視線の抜けであり、隣接 する空間を介してつながる。

2次的視線の抜け 一般的な視線の抜けの間に緩衝 となる空間が一つ存在する。

6次的視線

7次的視線

3次的視線の抜け 一般的な視線の抜けの間に緩衝 となる空間が二つ存在する。

1次・2次的視線の抜け / 児童書架

3次・4次的視線の抜け / 歴史・自然科学・地理

1次・2次的視線の抜け / 児童書架

MASTER PROJECT / 定位する空間 ­ Aldo van Eyckの建築思想を通して ­

4次的視線

n次的視線の抜け

3次的視線

一般的な視線の抜けの間に緩衝 となる空間がn­1つ存在する。

プレイルームにて視線の1次・2次的視線の抜 けにより広がりのある空間となる。またそれに 付随して小さなデンのような空間があること で、子供たちの拠り所となる。

歴史系のギャラリー空間、それに付随する休憩 スペース、一般書架等の空間を視線が抜けてい く。ギャラリーで展示を見ながらも、次の空間 へと促されていく。

通常の1次的な視線の抜けに加え、吹き抜けを 介し斜めの視線の抜けが生まれる。これにより、 間にある空間数は他とあまり変わらずとも、視 線の質が変化していく。

エントランスを入ると、全6面にひらけたホワ 3次・4次的視線の抜け / ホワイエ

イエ空間へと誘われる。ここは様々なコーナー の緩衝空間となっており、全体が見渡す事がで きる。

6次・7次的視線の抜け / 社会科学

4次・5次的視線の抜け / 外部

開けた空間のひとつの面に関して、いくつもの 空間が折り重なる空間の抜けがある。この視線 の抜けでは、その間の5つから6つほどの空間 で別々の行動が見受けられるが、一つの視点か らはそれらのアクティビティがが等価に見える。

内部空間で多種多様な視線の抜けが見受けられ るが、この現象は外部空間にも及ぶ。通り道を 歩いていると何重もの空間の重なり、活動の重 なりが見受けられ、周囲の人々、地域住民を内 部へと誘う作用がある。

CG & MODEL PHOTO / PERSPECTIVE


MASTER PROJECT / 定位する空間 ­ Aldo van Eyckの建築思想を通して ­

PERSPECTIVE


01 Revit/Ecotect 設計課題「Street Church」 意匠デザイン面だけでなく、構造や室内の熱・光の環境など、工学的な側面も検討することを目的とした設計課題。 草葉町教会の既存モデルを作成後、増改築の設計を Revit で行った後、その BIM モデルを Ecotect で解析し、建物 内部の光分布や温度変化などを検証するのです。これにより、熱や光の性質など、それぞれ独立した科目として学ぶ ことが多かった理論を、BIM を通じて建物に応用することで、建物の工学的なふるまいを直観的に理解することを 目標としている。


草場町教会 熊本市の中心部につくられたキリスト教の教会である。RC の箱形の建物の中央に金色の十字架が立てられ、十字架をくぐって内部にアプローチするように設計されている。内部は礼拝堂以外に日曜学校や食堂 などを含まれていて、誰もが気軽に集える場所になることを意図して設計されている。現状では日常利用はあまりなく、礼拝堂の利用者のみが使用している。内装は緑色を基調に統一されており、入口の金の 十字架はエルサレムの方向を指している。

礼拝堂内部

外観

1 階平面図

草葉町教会リノベーション

北側開口部

2階平面図

3階平面図

SITE / CONCEPT / PERSPECTIVE


Ecotect を用いた環境解析・環境デザイン

増築後のパース

輝度分析・照度解析を行い、環境の改善を目的とした既存の草場町教会のデザインを行った。

輝度解析

光が強くなりすぎていたところを抑えることを目的とした。

照度解析

夏至と冬至について分析。明るくなりすぎていたところを改善を目的とした。

エントランス

1階解析(12/22 冬至)

1階解析(06/22 夏至)

ギャラリーを中心とした増築部分

礼拝堂①

2階解析(06/22 夏至)

2階解析(12/22 冬至)

礼拝堂②

3階解析(06/22 夏至) 増築部の開口を設けることで、建物内が明るくなりすぎないように改善した。

3階解析(12/22 冬至)

礼拝堂3階部分の壁によって光が遮断され、建物全体が暗くなっていたところをガラス張りにし、増築部分西側の外壁にス リット状の開口部を設け、光を取り込むことで間接的に建物全体を明るくすることを可能とした。

テラス

増築部に縦の開口を設けた外観

プレイルーム

ギャラリー兼食堂

母子室 礼拝堂

テラス

カフェ

牧師室

W.C

W.C 周辺敷地との関係

東側断面図

草葉町教会リノベーション

ANALYSIS / PERSPECTIVE


草場町教会分析 既存躯体

内観分析

食堂・プレイルーム

構造躯体 4スパン

管理部門 玄関ホール

礼拝堂

躯体

クラスルーム

3スパン 礼拝堂

スラブ

食堂

玄関ホール 副牧師室

長手断面図

0

既存立面図・断面図

3

5

10(m)

既存平面図 W.C 玄関ホール

和室 W.C

W.C

母子室

礼拝堂 断面図 A

断面図 B

断面図 C

礼拝堂

礼拝堂

断面図 D

キッチン 副牧師室

北側立面図

草葉町教会リノベーション

南側立面図

断面図 E

断面図 F

事務室

1階平面図

牧師室

倉庫 食堂

2階平面図

クラス

クラス

ルーム

ルーム

3階平面図

ANALYSIS / PERSPECTIVE / PLAN


Concept

­通過空間としての教会­

現在の草葉町教会はただ人々が通り過ぎ、閉鎖的で周囲との関係が失われている。本提案では、草場町教会が地域コミュニティの活動の場として開かれた教会、地域の拠り所となる建築を提案する。ギャラリー空間は通り抜けの空間をつくり、地域住 民が通過空間として利用することで礼拝堂が垣間見え、教会が日常利用されることを目指し、1階から3階まで通りの延長としてカフェやギャラリー、休憩所が併設することで小道に入るような感覚で、草場町教会の奥まで入り込むことを目指した。 。 また増築部分に複数のトップライトや縦長の窓を挿入することで、既存の空間の環境を向上させ、明るく落ち着いた教会を演出している。

増築部を含む外観

草葉町教会リノベーション

ギャラリー上部からのトップライト

縦長の窓の採光

PERSPECTIVE


草場町教会増築案 ■ 増築部分は西側に 5.5m で、ギャラリー、カフェ空間を中心に、既存の草葉町 教会を活かすよう増築部が取り巻くように設計を行った。

■ 周囲と隔絶していた壁をなくし礼拝堂を円形に拡張した。1階部分はピクチャ ウィンドウを設け、2階、3階部分はガラス張りとすることで閉鎖的であった礼拝 堂を増築部分に開き、中の活動を外に発信する。これにより、ギャラリーを訪れた 人々が、普段見ることが出来ない礼拝堂の空気感や緊張感を肌で感じることができ、 教会に興味を持つ人が増え地域利用されることを目指した。

■ 2、3階部分が展示空間となっており、曲線の壁には彫刻や焼き物などの造形 物を展示し、曲線の壁には絵画や写真、書物などの展示を行うことを想定している。 そして1階の副牧師室をショップにコンバージョンし、壁に開口を設けることで、 作品やポストカードの販売が行われる。

増築部分 5.5m

W.C

和室

玄関ホール W.C 母子室

垣間見える活動

光環境の改善 領域の拡大

テラス 礼拝堂 礼拝堂 ギャラリー

ギャラリー

通り抜け

カフェ キッチン 副牧師室

1階平面図

事務室

牧師室

食堂

キッチン

2階平面図

3階平面図

0 草葉町教会リノベーション

3

5

10(m) PLAN


02 八幡市民会館リボーン計画

最優秀提案賞

八幡市民会館リボーン計画とは、日本近代建築の巨匠、村野藤吾が設計した北九州市八幡市民会館の保存活用に向け た提案を、九州山口の建築系大学から募るプロジェクトである。  このプロジェクトでは、八幡のまちの活性化や既存建物の魅力の保存と発展、経済的合理性など建築を取り巻く環 境全体に対して検討することが求められた。その上で、村野建築にしてどのように保存・改修・維持していくのかが 争点となった。

課題    PJ(2015) 計画敷地  福岡県北九州市 用途    ホール 構造    RC構造、鉄骨造


YHATA REBORN PROJECT / 八幡市民会館改修 hall in Hall

PERSPECTIVE


村野を借景にしたホールをつくる 八幡市民会館は長年ホールとして市民に親しまれてきました。そのため、ホールはホールとして残しつつ、 新たな可能性を見いだせないかと考えました。そこで、八幡市民会館のホールに小さなホールを挿入するこ とを提案します。小ホールによって規模は縮小して、現状の使い方を受け止めつつも、ホール周辺の余白空 間が新たな活動の場となり、ホールの内と外で 2 つの使い方ができるようになります。 ホールは鉄のフレームとガラスでできていて透明感があり、ホールの中にいても、村野の設計した空間を感 じることができます。また、鉄のフレームは 350×350mm という小さな格子でできているため、角度によっ て村野のホールが見えたり、隠れたり、新しい見方をすることができます。戦後復興の象徴として建てられ たホールをホールとして残し、そこに新たな見方を加えることで村野の意志を尊重しつつも、新しい価値を 付加しています。 戦後復興の象徴はこの建築だけでなく、八幡駅からつづく平和通りも同様です。村野も意識したであろうこ の都市計画を活用しながらまちとつながっていくために、ホールと同じ構成でできたボックスを平和通りに 並べます。それはイスや展示ボックスとなって、まちのアクティビティと八幡市民会館をつなげていきます。

フライタワーをホールの余白 空間として大空間のまま残し 舞台以外の使い方もできるよ うにする

皿倉山へ

斜面に並ぶ住宅

現在の衣装室は、演劇団体や 芸術家のためのスタジオとし て使われる

おおきな壁面を利用したパブ リックビューイングも可能

スタジオ

hall in HALL YHATA REBORN PROJECT / 八幡市民会館改修 hall in Hall

所在地 福岡県北九州市八幡東区尾倉 2-6-5 主要用途 ホール、ギャラリー 建主 北九州市 元設計 村野藤吾/村野・森建築事務所 改修設計 熊本大学田中智之研究室プロジェクト チーム 敷地面積 9,810 ㎡ 延床面積 5,519.49 ㎡ 階数 地下1階 地上4階 ホール面積 383 ㎡ ホール工事費 1 億円 運営方法 指定管理者 + CCA 北九州と提携

カフェラウンジ

八幡の鉄のハコ

使い勝手のいいコンパクトなホール


格子によって、人の動きとともに色々 なものが見え隠れする

ホールの余白空間は、ホワイエ、ギャ ラリー、ラウンジ、など多様な使われ 方をする

鉄のハコの内側と外側にガラス がランダムにはめ込まれ、空間 やアクティビティを抽象化する

ニ階席の席を取り払う 普段は人が自由に出入りして本を 読んだり、子どもの遊び場になる

階段の空間は結婚式の撮影 などにも使われる

ロビーだった空間をデッキからも 立ち寄りやすいカフェ・レストラン にする

観光客やイベント関係者、病院 にお見舞いに来る家族も灯る ことができるホテル

テラスに面したガラス壁を格子 壁にし、アクティビティや八幡の 街を垣間見る

ホテル

レストラン

ホール

ギャラリー

デッキ

コンサートや結婚式などのイ ベントを補助する店舗

回廊空間のようになったホールの余 白空間は市民ギャラリーにもなる

雑貨屋 アイデア次第で多彩に使える余白空間

「一口館長」の名前を刻印

まちにとびだす鉄のハコ

花屋

病院の緑 院患者が になる


01  使い勝手がよく稼働率の高いコンパクトなホールを内包

02 クラシックコンサートから結婚式まで、多彩な使い方ができるホール

03 みんなでつくる鉄のハコ

八幡市民会館は 1,465 人収容の大きなホールですが、現状とし

ホールはフラットな平土間で、収納してある座席を並べる

ホールは薄鋼板による背板のない棚状の格子構造

て満席となる公演は年に数回で、ホールの規模と使われ方が

ことで、様々な使い方ができます。

になっています。そこにガラスの 350×350mm の ガラスパネルをはめることで空間を閉じます。鋼

合っていません。そこで、八幡市民会館のホール空間を残しな がらもその中にまた小さなホールを挿入することで、ホール +

1. 劇場型̶演劇や講演会、結婚式などが行なえます。

板の格子は奥行きが 200mm あり、その内側と外

周辺の残余空間という構成にします。

講演会の際は周辺の舞台の空間を使って、2 つの講演会を

側にガラスをランダムにはめることで、音を拡散

同時に行うこともできます。

させてホールの音響性能をあげます。 ホール

ホールは、使い勝手のよい平土間の空間で、講演会やコンサー

2. アリーナ型Ⅰ̶ライブやコンサートが行なえます。フラ

ト、結婚式など多様な使い方を受け止めます。その周辺の残余

イタワーの壁面を使って映像を映し、他のライブと中継す

空間はギャラリーやワークショップなどホールと合わせた使い

ることができます。

方も、全く異なる使い方もできます。そうすることで、1 つの

3. アリーナ型Ⅱ̶通常のホールとは異なる向きで使うタイ

大きなホールよりも多くの収益を得ることができます。また、

プです。村野のホールをいつもとは違った向きで感じなが

クに換算すると、8,700 円になります。施工費を含

その使い方を支えるホテルやレストランもともに計画します。

ら、ホールが使えます。

め、1 口 1 万円で募金を募り、募金してくれた方

4. 分散型̶ホールの形状を活かして、小さい発表などを点

は「一口館長」として、格子に名前を刻印すると

在させるタイプです。周辺の空間も同様に使うことができ

いうシステムをとります。名前が刻印されること

うに設計されていてそれによりホール内部にもムラが生まれま

ます。

で、それを見に来る人が増えたり、家族全員の名

す。このホールは、その内部の使い方を要求した通常のホール

5. 平土間型̶フリーマーケットや展示会などいろいろな使

ではなく、その外部の使い方もうながす新しいタイプのホール

い方が出来ます。周辺はこどもの遊び場にしたり、ワーク

になっています。

ショップを行なうこともできます。

ホールの方向性の無い形状は、周辺の空間にたまりをつくるよ

アイデア次第で様々な使い方が

1. 劇場型

2. アリーナ型Ⅰ

可能な余白部分

鋼板とガラスの材料費は総額 9,000 万円になって います。格子の数、つまりガラスの枚数は全部で 10,300 枚になっており、材料費を格子の 1 ブロッ

前を入れたいということで、寄付してくれる人が 3. アリーナ型Ⅱ

4. 分散型

5. 平土間型

増えたりということが期待できるシステムです。

格子とガラス

04 鉄のハコはホールを飛び出し、まちの家具となる ホールと同様のつくり方でできたボックスをまちに配置します。ホール は 350×350mm のスケールの集積でできていて、これはイスの高さと 同じくらいです。つまり、ホールの 1 ブロックをはイスとなってまちに 広がり、また複数のブロックで展示ボックスをつくることもできます。

デッキには街にも置かれている家具 と同じものが並べられ、ベンチになっ たり、デッキでのイベントに利用する のも可能

それらをイベント時にライティングしたり、地域の広告装置として企業

ホテル北壁面を取り外し、格子壁に することで平和通りから八幡駅まで を見通せる

などに貸し出すことで、収益を得ることができます。 八幡市民会館から八幡駅までは平和通りで一直線上につながっていま す。これは当時の市長がおこなった計画で、もちろん村野も意識したと ころでしょう。この通りは幅員が 50m もあり、現状では広すぎて積極 的には使われていません。そこで、この通りにボックスを配置すること

八幡駅につづく街並

線状の緑地と展示ボックス

オープンテラスやベンチ

で、線状の公園をつくり、村野も意識した都市計画を積極的に活用して いきます。

院の緑地からつながり、市民や入 患者が立ち寄るオープンスペース なる

現在のエントランス と同様に使われる

エントランスホール 村野の壁をみる

村野の天井をみる

村野の照明をみる

DESIGN CONCEPT / SECTION PERSPECTIVE


駐車場

八幡病院

舞台からホールをみる

20 16 11 21 17 18

9

19

10

村野の空間を感じながらピアノコンサートを愉しむ

1 エントランスホール 2 ショップ

2F PLAN

3 事務室 4 収蔵庫 5 電気室 6 管理人室 7 厨房

12

8 機械室 9 ロビー 10 レストラン 11 デッキ 12 小ホール 13 ホール 14 控え室 15 スタジオ

余白のギャラリーから結婚式をみる

16 ラウンジ

13

17 共同キッチン 18 ホテル受付 19 セミダブル

14

20 スウィート

15

21 ツイン

1F PLAN

ホテルのラウンジから平和通りが一望できる

4

3

5

2

6

1

8

7

PLAN 鉄のハコがまちにとびだす

YHATA REBORN PROJECT / 八幡市民会館改修 hall in Hall

SITE

B1 PLAN

0

10

20

30

40

50(m)

PERSPECTIVE / SITE / PLAN


03 かくれた観光

日本建築学会設計競技 九州支部入選

本提案では観光地として有名な熊本県阿蘇市に、地域の人々・文化・自然・生活を観光資源とした地方都市型観光地 の創出を目指す。建築の敷地境界を重ねあわせることで、新たな共有空間を創出し、人々の生活の中に観光を溶けこ ませる。観光客は住民の生活を通じて本当の意味で阿蘇を体感し、住民は今まで当たり前だと思っていた地域の魅力 に改めて気づく。住民と観光客が出会い、そこで生まれる交流や新たな発見こそが、懐かしくも新しい本来あるべき 豊かな観光地の姿である。

課題    日本建築学会設計競技(2015) 計画敷地  熊本県阿蘇市 用途    商業施設、宿泊施設等 構造    RC造、鉄骨造、木造


日常の観光化  敷地は熊本県阿蘇市一の宮町。カルデラに囲まれ、豊か な自然に恵まれている。特に湧水が豊富で、町の周囲には 広大な水田が広がっている。阿蘇神社を有し、近年観光地 化が進んでいるが、現状は商店街の一本道のみに観光客が 集中してしまっている。昔ながらの商店もさびれ、観光地 と住民の生活とが離れてしまっている。町の構成としては、 中心から商店街、住宅地、水田、農家の順に広がっている。

住宅地

03

02

01 地震の揺れによって、モノや外壁等の落下被害が多かった住宅地。

都市的ひろがり

商店街

04

- 現在 モータリゼーションの影 響などにより、地域の拠 り所としての商店は衰 退。阿蘇神社とごく一部 の商店のみが、観光地と して再開発されている。

農家

住宅地 商店街

地震の被害はほとんどみられず、いつもと同じ田園風景が広がっていた田畑。

農家・水田

メインストリートに面する商店。仲町通りの商店街の中で唯一全壊した。

阿蘇神社 観光拠点 農家

- 提案 人々の暮らしの中に観光 地としての機能を配置す ることで、生活そのもの が観光資源となるような 町を形成する。

住宅地 商店街 住宅地

全国的に珍しい横参道。この横参道沿いの商店街は比較的地震の被害は少なく、観光拠点 が点在して残っている。

阿蘇神社

観光拠点

オーバラップする敷地境界線 敷地境界線 共有空間

住宅

都市の問題点

阿蘇市の観光名所である阿蘇神社。観光客の最大の目的地となっていたが、熊本大地震に

横参道

敷地境界をオーバーラッ プし、共有空間をつくる。 そこは、観光客、住民の 通り抜け動線や共有ス ペースとなるとともに防 災の拠点としても利用さ れる。

より観光のシンボルが失われてしまった。

阿蘇神社のある内牧地区に関して、観光地としての問題や住居地域に及ぼす弊害のある敷地として、商店街(仲町通り) 、住宅街、田んぼ、農 家の4つの敷地に着目した。この4つの異なる敷地で敷地境界線を重ねるという共通の設計手法で、建築を提案してゆく。

離れ

仲町通り

栄通り

田んぼ 離れ 住宅地の前面道路

閑散とした仲町通り

かつてメインの通りだった栄通

水路

母屋

住宅地のはずれにある田んぼ

一の宮にみられる農家

田んぼの片隅には阿蘇の湧き水を

農家の離れは現在も残っている

りは、現在では観光客の車通り

来が激しい。住宅地の中央には畑

使用するためのポンプ室が随所に

のに対し住居部分の母屋は更新

が多く、人の姿はほとんど見受

住居間には水路が通っている。

見られ住宅地と農家の間に不整形

けられない。

また、一の宮には入り組んだ小道

の田んぼが広がっている。

01 商店街 日本建築学会設計競技 / もう1つのまち、もう1つの建築

水路

02 住宅地

全面道路は観光地へ向かう車の往

母屋

のネットワークがあり、そこでは 界隈が見られた。

あぜ道

されている。さらに、農家間に 水路

田んぼ

03 田んぼ

04 農家

は塀が建てられ、かつてのコミ ュニティが失われている。

DESIGN CONCEPT


仲町通り商店街 / 商店の敷地をまたぎ、新たなたまりを作り、人々を阿蘇の細部へ引き込む。

01 商店街

オープン カフェ

誘導

住民と観光客

商店 1 共有部 商店 2

商店 兼 住宅

の溜まり 断面的に1階と2階間にも共有部ができ、一本の通りに集中していた人たちを町全体へと 分散させていく。

足水

新しい観光動線

仲町通り  敷地境界線の重なりに加え断面的にも共有

横参道沿いに発展した仲町通り商店街は、阿

部を作る。そこには立体的な吹き抜けや共有

蘇神社を失って以降、観光客が減少傾向となっ

スペースを設ける。内立面を増やし、観光客

ているが、昼間には阿蘇の状況を見に来る人々

を引き込むことで、阿蘇の人々の暮らしや豊

がいる。残念ながら、この商店街を一瞥するだ

かな景色を見る場へと誘導していく。

けで帰る人が多く、阿蘇への滞在時間は短いも

雑貨屋

野菜 直売所 飲食店

本屋

カフェ

奥へと引き込む 建物の間から、阿蘇の山々が見え、共有空間が住民同士の憩いの場となる。

Plan S=1/250

のになっている。

日本建築学会設計競技 / もう1つのまち、もう1つの建築

PERSPECTIVE / SITE / PLAN


住宅地 / 住宅間の回廊を巡りながら、オープンガーデンや個々の畑に阿蘇の生活や日常を感じる。      曲面の屋根は住宅のプライバシーを守りつつ、観光客を受け入れる。

02 住宅地

住宅 A

住宅 B 水路

土間

回廊

住宅地 通過

個人の生活がみえる 個人庭

敷地境界線

個人畑 既存の住宅間の水路に回廊の曲面屋根がかかることで、住戸同士の交流を生む水辺空間となる。

住宅

新しい観光動線 回廊  仲町通り商店街から少しだけ外れたところに

住宅地の境界線を重ね、そこに小道の

住宅地がある。この住宅地の前面道路は、阿蘇

ネットワーク(回廊)を設け、阿蘇の

神社に向かう車の往来が激しい。住宅地の裏側

豊かな自然を見る場へと導く。非常時

の敷地は荒れた畑があり、地震時に一時的な避

は、一時的な住民の避難所となる。

難が難しい状況であった。そのため、観光客は、 住宅地の奥にある観光拠点を見ずに引き返すこ

採れた野菜を使 いみんなで料理

共有畑 住宅地の中に新たな小道(回廊)を設けることで、車が多く危険な前面道路を回避した、 安全な通路を確保できる。住宅は2方向からのアプローチが可能となる。

Plan S=1/250

とが多い。

日本建築学会設計競技 / もう1つのまち、もう1つの建築

PERSPECTIVE / SITE / PLAN


田んぼ / 阿蘇の田園風景を眺め、ひとやすみ。

03 田んぼ 阿蘇の風景を一望する

水盤が反射し、周囲 の環境を取り込む

歩き疲れた観 光客が小休憩

水田 水田

拠点

水田

湧き水を組み上げ、農業用水を供給する拠点となる他、災害時には生活用水にも利用される。

新しい観光動線

この地は地震被害が少なく、住宅地の奥にあ る美しい田園風景が広がっている。不整形な 水田が広がり、段々のレベル差を持つ。美し い風景を見ながら阿蘇の人々の生活や自然に 触れる。

日本建築学会設計競技 / もう1つのまち、もう1つの建築

水田の中の建築には住民や観光客が自然 に触れ合える空間や、湧き水を使うため に必要なポンプ室等が入る。非常時には 災害拠点として機能する。 中央の階段をのぼると、あぜ道の形を切り取ってできた水盤が阿蘇の自然を写しこみ、豊 かな風景が広がる。

PERSPECTIVE / SITE / PLAN


農家 / 住民は倉庫を共有し、その共有部で共生しながら農業を行う。そこに宿泊・滞在を目的     とした観光客交わることで新たな交流や発見が生まれる。

04 農家 住宅 D

住宅 C

母屋

農家

個人庭

共 有 空 間

宿泊 レンタル

共有庭

倉庫 共有倉庫

新しい観光動線

個人庭

水田の中の建築には住民や観光客が自然

農家の敷地境界線を重ね、

に触れ合える空間や、湧き水を使うため

そこに共有の母屋(倉庫、

に必要なポンプ室等が入る。非常時には

蔵、作業場)を設ける。

災害拠点として機能する。

住宅 B 住宅 A  宿泊 レンタル

日本建築学会設計競技 / もう1つのまち、もう1つの建築

共有庭

個人庭

平面図 S=1/300

PERSPECTIVE / SITE / PLAN


01 商店街

02 住宅地

メインからひとつ外れた通りの商店 観光地である阿蘇神社から少しだけ外 街には、車は通るが、人の流れが全 れたところには、綺麗な田園風景が広 くない。 がっている。

一の宮は入り組んだ小道が多い。 住宅地の前面道路は道 幅が狭く、車の往来が 激しいため、歩行者は 危険である。

周辺には、至る所に水路が巡っ ている。

住宅と住宅の間には 水路が流れている。

04 農家

03 田んぼ

田んぼには湧き水のを使うため のポンプ室が設置されている。

周囲は阿蘇の山々や田んぼが広 がっている。

日本建築学会設計競技 / もう1つのまち、もう1つの建築

湧き水を田んぼに引いている。

住宅同士は塀で囲まれ、住宅 農家は母屋と離れの関係が保たれ 畑の農作物が干され 同士が分断されている。 ている。 ている。

阿蘇での農作業風景

SURVEY


04 心地よい孤独 ずっといたくなる場所

三協アルミデザインコンペ 優秀賞

とはどういう場所だろうか。現代社会では SNS などにより多くの人とつながっている。そ

れは物理的なつながりではなく、目に見えないつながりである。しかし、そのつながりを求め、人々は SNS に依存し、 その中で生活している。そんな現代人にとって、ずっといたくなる場所とは、そんな SNS のようなつながりをもっ た空間なのではないだろうか。つまり、不特定多数に見られる SNS の中で、個人のアカウントを持ちながら存在し ているように、「大勢」の中に存在していながらも、「個」というものを確立している状態が、気持ち良く、ずっとい たくなる感情を抱くのではないだろうか。そんな

ずっといたくなる場所

を空間化し、建築化することで、多くの

人と群れながらも、個の空間として存在する、独りの人間にとって心地よい、 ずっといたくなる場所

を計画する .

課題    三協アルミコンペ(2016) 計画敷地  熊本市黒髪 用途    大学図書館 構造    壁式構造


SANKYO ALUMINUM COMPETITION / 心地よい孤独

PERSPECTIVE


テーマ

ずっといたくなる場所

SITE / 熊本市黒髪地区 , 大学図書館

Diagram 02 / 個として気持ちの良い空間

この場所は国道により大学キャンパスを二分され、その道路には地域住民

1、眺望隠れ場理論 ジェイアップルトン

や学生車の往来が激しい、様々な人が通過する場所である。また近年、学

動物が自分の棲家として選ぶ場所は敵からは見え

習活動の多様化により、大学図書館は変貌を遂げ本を読むための 静 の

難く、一方的に敵を見張ることができる場所と述

空間であった図書空間にグループ学習等の 動 の空間が介入し始めた。

べた。このようにある安全な場所から、他の人々

この提案では、図書館機能に加え、勉強する人、食事をする人、会話を楽

を見渡し、本能的に快感を得る空間構成とする。

個人が他を見渡すのと同様に、他の人はまた別の人を見渡し、知らず知らずのうちに気持 ちの良い空間が循環してゆくように計画する。 個人 B

ループする関係 個人 A

しむ人、休憩する人など様々なふるまいに対応してゆき、現代の営みに対

個人 C

応した建築となる。

不特定多数の中の個人

本能的に気持ち良い空間

風景が切り取られた開口部

ずっといたくなる場所 とは不特定多数の人々共存しながらも、 個人として心地よく存在することであると捉える。つまりその空間 は 多様なふるまいを許容する空間 、なおかつ 個として気持ち

PLAN

の良い空間 の必要があると考える。

0

5

10

20(m)

Diagram 01 / 多様なふるまいを許容する空間 1、大小さまざまな空間 / 自然界の空間分割 様々なふるまいを満たす空間を形成するために、自然界の細胞の空間分 割に着目する。葉脈の場合、小さな葉脈と大きな葉脈が交差する場合は 約 90 、同じ大きさの葉脈が交差する場合 120 の角度で交差する。この 法則に基づき、大きな細胞のまとまりから、小さな細胞まで大小様々な 部屋を形成する。

読書

食事

会話

休息

学習

etc....

「多様なふるまい」

小さな空間

90°

中くらいの空間 大きな空間

120°

「多様な空間」

SANKYO ALUMINUM COMPETITION / 心地よい孤独

SITE / CONCEPT / PLAN


multifunctional space / 中央の開けた空間にはひとつの大屋根により一体感が生まれ、多彩な視線の見る見られる関係が生まれる

library / 個人的な空間、中規模的な空間、大規模な空間など人々の拠り所となる空間が併置され、共存する

exterior perspective / 1つ1つの空間に対して、屋根が架かることで、いくつものまとまりが生まれる。

play room / 子供たちが集まりながら、働く親と空間に接続したり、公共空間を利用する人々と視線のみつながることができる

SANKYO ALUMINUM COMPETITION / 心地よい孤独

PERSPECTIVE


SANKYO ALUMINUM COMPETITION / 心地よい孤独

AWARD CEREMONY


05 都市につぶやくイエ

キルコスデザインコンペ 山崎亮賞 銅賞

20 代を中心とした現代の若者の多くは、SNS のチェック・更新に多くの時間を費やしている。若者にとって、SNS とは単

なるコミュニケーションツールではなく、生活の中心を担う存在になっている。そして、SNS に溢れる様々な情報から自分 の好きなモノをチェックし、何か自分に楽しいことが起こるたびに投稿し、反応の有無に一喜一憂するような現代の若者に

とって、「選択」 ・ 「発信」 ・ 「反応」という SNS の特性そのものが日常生活における「快楽」になっている。そんな若者の「快 楽」を満たす家を「都市」の中につくり出す。SNS のように様々なモノや人々で溢れる現代の「都市」の中にあり、自らが 好きなモノを選び取り、自分が発信したいことを選んで発信することができ、行き交う人々との接点を持つことで他者から の反応を許容する家によって、若者はこれまで SNS 上にしかなかった「快楽」を「都市と住まい」に見出す。

課題    キルコスコンペ(2016) 計画敷地  熊本市中央区 用途    集合受託 構造    鉄骨造


1000

日々の疲れを癒すため、 屋上でひとやすみ。

5階の寝室からは

2800

空が絵画のように切り取られ、

美しい星空を眺めながら就寝する。

4階の半屋外空間では、

趣味のガーデニングに精を出す。 都市では充分に陽があたらないが、この イエには、多くの日光が差し込み、植物

2800

に成長を促す。

このイエは隣のビルに寄生し ている。そのため隣の非常階段を使い、 いつもと違うアプローチで帰宅する

2800

楽しみながらくつろぐ。

15000

3階の風呂場では、日々の 喧騒から離れ、風呂からの景色を

ことが出来る。

2階の半屋外空間は、

大きなものを作ったり、作品に

対象:製作活動を行う人。

1階では製作物や製作過程を開示す ることで、他者からの評価を受けるこ   とやモチベーションの維持に

対象:大学生。

1階では大学の友達と宅飲みやスポ

ーツ観戦など様々なイベントで利用す る。気の合う人は誰でも参加可能。

2800

つながる。

2800

2600

没頭したいときに使用する。

CIRCOS COMPETITION / 都市につぶやくイエ

PERSPECTIVE


Analysis「つぶやく生活」と「つぶやかない生活」 寝坊した朝

ダラダラした昼間

1人で食べる夕食

Diagram 01 / プライベートとパブリック

友人たちと宅飲み

SNS につぶやかない生活

SNS につぶやく生活

1R マンション

若者は SNS 上で「生活すべて」を発信するのではなく、みんなに見てもらいたい・知っ

分解

「1 部屋の中に広がる別々の生活」

選択する

SITE / 地方都市の中心市街地

1 部屋の中でも、

人々の都市でのア

現代の多くの地方都市は中層のビルが建ち並んでおり、水平

私たちは家具の

クティビティは水

垂直の移動のみしかできない街となっている。さらに、至る

設えなどによっ

平に広がるものの、

所に空き地が点在しており、その多くは駐車場として利用さ

て、生活の領域

建築は垂直に伸び

れるなど、消化不良の土地が都市の残余空間として広がって

を切り分け、選

るため、1F 以外は

いる。若者の快楽を満たす家は、「水平垂直の動線で構成され

択しながら生活

都市との関わりを

た都市」と「残余空間」の 2 つの要素によって実現される。

をしている。

断っている。

本提案では、地方都市といえる熊本市中心市街地を対象敷地

「水平垂直の都市」

として取り上げる。

てもらいたい「豊かな生活のみ」を切り取り、つぶやく。見せたくない生活感のある部 屋を省き、オシャレな部分だけを写真や動画に撮り、投稿する。 =「つぶやく生活」と「つぶやかない生活」を分ける必要がある。

Diagram 02 / ゾーニング

今までの生活を分解し、都

閉鎖性

市に開きたい生活を下から 順に積み上げ、都市に閉じ 閉じたい生活

たい生活を上層部に配置す る。 このように一つの住宅で、 都市に開く部分、都市から

開きたい生活

閉じる部分を自由に選択 し、配置することが出来る。

開放性

「垂直に積み上がる生活空間」

Diagram 03 / 残余空間の有効活用

本計画では建築面積が 3 坪 駐車場

空き地

(約 10 ㎡)であるため、地 方都市の様々な残余空間に も建設可能である。これに より、地方の残余空間が活

空き地

まとまった敷地

性化されるだけではなく、 若者は好きな店の近くや好 きな地域に自由に住むこと ができる。

「多様な敷地に建設可能」

CIRCOS COMPETITION / 都市につぶやくイエ

このイエは快楽に満ち溢れる住まいとなる

SITE / CONCEPT / PERSPECTIVE


Diagram 04 / 生活を切り取る窓

壁面を斜めに切り欠くこと で、1方向からの片方から は覗き穴の様に見え、新た な断面関係を生み出す。

切り欠いた開口部により、 周囲の景色を1枚の写真の 様に切り取り、物理的距離 を失う。

写真のように風景を切り取る窓 3 坪の小さいイエは、都市の至る所に建つことができる

2500

4000

PLAN

動画のように生活を切り取る窓 1F PLAN

2F PLAN

3F PLAN

4F PLAN

5F PLAN

0.5 0 CIRCOS COMPETITION / 都市につぶやくイエ

RF PLAN

2 1

S = 1 : 50

(m) 3

PLAN / PERSPECTIVE


01 卒業論文「ラーニングコモンズと空間構成」 主旨

全国建築学会発表

近年大学図書館に導入されたラーニング・コモンズという新しい概念に着目しました。その新しいプログラムに対 応した空間を思考するため、卒業論文では、「ラーニング・コモンズと空間構成」というテーマのもと調査を行った。 まず、現状把握として全国の大学図書館にアンケート調査(約 100 館)、そしてその中から 5 大学図書館での実地調 査、そして利用者のアンケート調査(述べ 5 日間で約 1100 人)を行い、大学図書館の管理面、利用者側の評価、実 地調査による現状の問題点等を導き出した。


【研究背景・目的】

実地調査 ■ 調査対象

近年では、学習メディアの多様化によりラーニングコモンズを備える大学図書館が増加している。大半の場合、既

管理者アンケート結果より、「総合評価」「管理のしやすさ」「利用者増減」に着目し、総合評価の高い「A 大学 a

存の図書館を部分改修するケースとなる。しかし、ラーニングコモンズの概念が導入される前に設計・建設された既

図書館」「A 大学 b 図書館」「J 大学図書館」の 3 館、総合評価が平均値に近く、管理のしやすさが低い「I 大学 e 図

存の大学図書館には、新しい学習支援空間に対応できず、騒音や視線など様々な問題を抱えている。

書館」「H 大学図書館」の 2 館、ラーニングコモンズ導入後に利用者が減少した「L 大学図書館」を加えた計 6 館を

本研究では、ラーニングコモンズを備えた大学図書館の実態を明らかにすることで、ラーニングコモンズの概念に

調査対象として選定した。

対応した建築空間を設計する上での手掛かりを見つける事を目的とする。

■ 調査方法 1. 利用者プロット調査 「昼休み」「夕方」の 2 つの時間帯において、利用者位置をプロットする。(図2)

※ラーニング・コモンズ・・・学生が自主的に問題解決を行い、自分の知見を加えて発信するという学習活動を支援するための施設とサービス・資料

2. 空間的な特徴 アンケートでは把握できなかった実際の使われ方、家具の位置、エリアの境界等を調査する。 3. 利用者評価 アンケート調査より、利用者の属性、利用目的、満足度を調査する。 4. 騒音調査 小型デジタル騒音計を使用し、エリア毎に 1 分間測定し、エリア別の騒音を測定する。(図3)  上記の 4 点について実地調査を行い、計 6 館で 1117 名の利用者にアンケート調査を実施した。 28 32 会話可能なスペース

1 会話可能なスペース 8

閲覧スペース 94

3

125

PC コーナー 97 雑誌・新聞 会話可能なスペース 利用者アンケート 満足度

123

23

4

121

6 会話可能なスペース 7

総合カウンター

120 閲覧スペース

20

自由記述

満足 やや満足

良い意見

普通

普通

やや不満

悪い意見

0

不満

5

10

15m

一階平面図

図2 利用者プロット

満足調査(J 大学附属図書館本館)

会話可能なスペース

60∼70dB 34∼36dB

48∼53dB 46∼55dB

42∼46dB

38∼40dB

40∼43dB

閲覧スペース

会話可能な スペース

雑誌・新聞

PC コーナー

43∼45dB 総合カウンター 会話可能なスペース

騒音値

閲覧スペース

36∼38dB

36∼38dB

61∼70dB 51∼60dB 41∼50dB 30∼40dB

0

5

10

15m

一階平面図

図3 騒音

ラーニングコモンズ導入により改修された図書館(熊本大学図書館)

満足度(J 大学附属図書館本館)

利用者アンケート調査結果(J 大学附属図書館本館)

ラーニングコモンズ導入の有無

研究対象  日の図書館統計 2013 に記載されている大学図書館は国立、公立、私立、短大を含め 1629 館存在する。そのうち「大学図書 館 日本図書館協会」の九州地方に掲載されている全ての大学図書館 99 館にラーニングコモンズの有無を調査した。また、有り と回答した 22 館に管理者アンケート調査を行った。(図1)管理者アンケート調査より大学図書館のラーニングコモンズ導入後 の変化、管理のしやすさを明らかにする事が出来た。(表1)

表1 管理者アンケート例

卒業論文 / ラーニングコモンズと空間構成

図1 管理者アンケート調査

利用者プロット調査(全6大学図書館)

SURVEY


分析

考察

実地調査結果より、以下の 3 項目からラーニングコモンズ導入による重要な 15 の要素を抽出した。( 図4) 1.「静と動の関係」サイレントエリア(静)と会話可能エリア(動)のエリア別のゾーニング。2つのエリアを階によっ て分ける「階層型」、同じ階に含む「混合型」、個室で完全に区切る「個室型」、棟によって分ける「別棟型」の計 4 要素に 分けられた。 2.「ラーニングコモンズの位置関係」建物全体からみたラーニングコモンズの位置。 「入口から見える」 「奥まった位置」 「建 物中央」「外観から見える」の計 4 要素に分けられた。 3.「静と動の空間のつなぎ」サイレントエリア(静)と会話可能エリア(動)を接続する建築的要素。 「吹き抜け」 「本棚」 「階段(仕切り無し)」 「階段(仕切り有り)」 「ガラスの仕切り」 「廊下」 「渡り廊下」の計 7 要素に分けられた。  実際にはこれらの要素を掛け合わせる事で、効果を発揮、または問題が生じていると考えられる。

し合い効果や問題が生じている。それらの問題に対して各大学が独自の取り組みを行っている。(表2)  「J 大学図書館」では「混合型」「吹き抜け」より、サイレントエリアと会話可能エリアが混在しており、両者が吹 き抜けを介してつながっているため、空間が把握しやすい反面、会話可能エリアの騒音がサイレントエリアまで伝わっ てくるという問題が生じている。これに対し、吹き抜け周りに厚い本棚や展示棚(図5)を配置し騒音の拡散をとど める工夫を行っていた。実際、サイレントエリアの利用者満足度は 9 割以上が「満足」「やや満足」と高く、住み分 けを行う上での工夫がうまくいっているのではないかと考えられる。(図6)  「A 大学附属 a 図書館」では「混合型」「建物中央に位置」より、他のエリアとの相互利用はしやすくなるが、視 線の交錯や騒音の拡散などの問題が生じている。これに対し、可動式ホワイトボード(図7)や本棚で空間を分断す ることで、議論をしながら調べ物が出来る、かつ視線の交錯や騒音の拡散を抑える工夫がなされている。この結果、 グループ利用の割合の高さや相互利用する割合が約 8 割という高い割合(図8)を実現していると考えられる。

1)サイレントエリア(静)とアクティブエリア(動)の関係

階層型

分析より、ラーニングコモンズの導入において重要な 3 項目 15 の要素を抽出したが、実際はこれらが相互に関係

混合型

個室型

別棟型

2)ラーニングコモンズの位置関係

図6 満足度

入口から見える

建物中央

奥まった位置

図8 相互利用の割合

外観から見える

3)サイレントエリア(静)とアクティブエリア(動)のつなぎ

吹き抜け

本棚

階段(仕切り無し)

階段(仕切り有り) 図5 展示棚

ガラスの仕切り

廊下

渡り廊下

図4 各大学図書館におけるラーニングコモンズの空間要素

図7 可動式ホワイトボード

総括  本研究ではラーニングコモンズの実態や導入後の図書館の変化、建築的問題や業務の拡大など様々な効果や問題が 明らかになった。また、ラーニングコモンズの導入により、今までの「静」の空間に「動」の空間が入り込む事で、 かつての図書館には無かった問題が生じ各図書館で対応に悩まされている事も分かった。今回明らかになった要素を 計画段階から吟味する事で、より良いラーニングコモンズ空間を生み出せるのではないかと考える 表2 各大学の問題点と工夫

卒業論文 / ラーニングコモンズと空間構成

ANALYSIS


利用者アンケートの集計結果 会話可能エリアを利用する理由

会話可能エリアを利用する理由

会話可能エリアを利用する理由

会話可能エリアを利用する理由

% %

会話可能エリアを利用する理由

卒業論文 / ラーニングコモンズと空間構成

RESULT


02 ディテール「Alvar Aalto / Villa Mairea」 主旨 毎週、建築のエレメントが課題として出され、それにそった建築ディテールを持ち合い議論を行なう講義。ある特定 の建築に着目し、一つの建築において隅々のディテールについて研究を行うことで、設計者が全体で何を考え、部分 でどのように表現されているのかを考察する。


マイレア邸

略歴 1898     フィンランドのクオルタネで生まれる。 1921(23歳) ヘルシンキ工科大学建築学科卒業  1923(25歳) ユヴァスキュラで事務所を始める。 1927(29歳) 事務所をトゥルクに移す。        トゥルン・サノマ(新聞社)の設計。(−1929)        ヴィープリの図書館のコンペに一等入選。(−1935)  1929(30歳) パイミオのサナトリウムのコンペに一等入選。(−1933) 1931(32歳) アルテック設立。 1933(35歳) ヘルシンキに事務所を移す。 1934(36歳) アアルト自邸を設計。(−1936) 1935(37歳) パリ万博のフィンランド館のコンペに一等入選。(1937年実現) 1938(40歳) マイレア邸を設計。(−1939年)        NY博覧会のフィンランド館のコンペに一等入選。(1939年実現) 1940(42歳) MITの教授に招かれる。 1950(52歳) セイナッツァロの役場のコンペに一等入選。(−1952) 1953(55歳) 夏の家(コエ・タロ)を建てる。 1955(57歳) アトリエ・アアルトを新築。        クルトゥーリ・タロ(文化の家)を計画。(−1958) 1956(58歳) ヴォクセニスカの教会を計画。(−1958) 1958(60歳) オルボの美術館のコンペに一等入選。(1972実現) 1959(61歳) カレ邸を建てる. 1961(63歳) セイナヨキの市庁舎計画。(−1987) 1962(64歳) フィンランディアホールを計画。(−1975) 1976(78歳) 生涯を終える。

床 床のディテールで重要なのは、床と壁の接点である。床と壁の切り離しや、床と床のテクスチャの変化、リ ズムなどが見られる。 薄黄色の大型テラコッタタイル

低い石垣

自然石

自然石

赤い磁器質のタイル 堅木 みかげ石舗装

リビングルーム / 段差の方向性、シデのフルーリング ・周囲が大自然の中で建築の存在感を示そうとした。 ・フローリングの板に細い・太いのリズムを生み出す事で、型通りの建築のリズムを崩そうとしている

<

<<< ・設計者 / アルヴァ・アアルト ・タイプ / 個人住宅 ・構造  / RC 造・一部 S 造 ・場所  / フィンランド、ノールマルック地方 ・1937 年着工、39 年に竣工。アアルトの親友でありパトロンであ

<<<<

るマイレとハリー・グリクセン夫妻の為の住宅。 リビング / 平面図

床板の細い太いのリズム

方向性のあるフローリング

ガーデンルーム / 内部と外部の御影石 ・外の素材と統一する事で、外部と内部の連続性、外部に引き込みの表現をしている。

ガーデンルーム

出幅木 セメントモルタル 下地みかげ石舗装 みかげ石舗装 フローリング みかげ石舗装

ガーデンルーム / 断面詳細図

Detail / Villa Mairea , Alvar Aalto

床材の切り替わり

内外の素材の統一

Survey


天井 アアルトにとって壁はカーテンの柄の様に様々なディテールを施し、同一空間でも多様な変化があ

アアルトの天井は床や壁と呼応し、空間的変化をもたらしている。

るが端部の処理は共通のものが見られた。

煉瓦(石灰仕上げ)

チーク(暗) 微妙な凹凸のある板

穴あきレンガ積みの厚い壁 木

チーク(明) 西側立面図

低い石垣

青い施釉タイル

サウナ、リビング / 同一素材だが濃淡のある壁

キャノピー / 端部の処理

・サウナ外壁の木のパターンや、リビングの内壁の石灰仕上げの濃淡は、住宅に入って来る光等により様々な変化をもたらし、同一素材で

・外壁で見られたように、キャノピーやリビングの天井においても端部は素材の方向性を失わないように処理されており一貫したディテー

も多様性をもたらすことができる。

ルが見受けられる

サウナ / 木のパターン

リビング / 内壁

石灰仕上げの濃淡による光の変化

キャノピー / 木の方向性

キャノピー / 端部

外壁 / 端部の処理

リビング / 空間と呼応するディテール

・アトリエ上部の銅板製笠木は厚みが薄く外部からはほとんど目立たない様に斜めに切り取られ、ベランダの腰壁も同様に上端と下端に

・リビングの天井は、松の天井が途中で分断されており、天井面の切り替わりに対応するように、床面の素材の変化やレベル差の空

斜めに切り込みがあることで、部材自体の方向性を損なわないように統一されている。 銅板製笠木

間の変化が一致している。これはアアルトの作品であるカレ邸にも見られるディテールである。

チーク材笠木

木製下地 チーク材パネル 赤松張り腰板

テラス

アトリエ

アトリエ / 詳細断面図

Detail / Villa Mairea , Alvar Aalto

アトリエ / 外壁

ベランダ / 詳細断面図

ベランダ / 腰壁

リビング / 詳細断面図

リビング / 内観

リビング / カレ邸

Survey


柱 柱は壁の一部であり、アアルトは壁と同じ考えで柱そのものや多様な組み合わせにより、微妙な差異をもた らしている。 1本

茶色

1本

2本 ×

黒色

キッチン

3本

×

黒色

3本

白色

4本

茶色

2本

コンクリート 茶色柱

木の柱

4本

子供 部屋

ゲストルーム 白色

コンクリートの長方形の柱 コンクリート柱 トウヒの丸柱(巻) コンクリート柱

玄関

ダイニング

コンクリート柱

木の柱

トウヒの丸柱(巻) コンクリート柱

コンクリート 白柱

コンクリート 茶色柱 コンクリート 茶色柱(巻)

CHS柱(巻)

トウヒの丸柱(巻)

子供 部屋

CHS柱 鉄骨柱

書斎

リビング CHS柱

サウナ

CHS柱

CHS柱 CHS柱(籐/ラタン) コンクリート柱 (個別に巻)

CHS柱

トウヒの丸柱(巻)

主寝室

CHS柱 CHS(縦巻)

ガーデン ルーム

CHS柱(ブナ材) (縦巻) CHS柱(籐/ラタン) (一緒に巻)

2階平面図 白い柱

CHS柱(ブナ材) (縦巻)

黒い表面の柱

主寝室

CHS柱(ブナ材) (個別に縦巻)

鉄骨パイプの中に コンクリートを詰 め耐火被膜に布綿 を巻き塗装。表面 の保護も兼ねて、 籐や板を巻きつけ ている。

アトリエ

鉄骨柱

鉄骨柱

コンクリート柱

1階平面図

柱 / 均質な空間に変化をもたらす

柱 / 多様性をもたらす ・マイレア邸において「柱」は、本数や素材を組み合わせると様々な種類が存在し、一見して同じような「柱」でも仕上げなど微妙 な差異がある。

・書斎の柱には1本だけ白のコンクリート柱が存在し、テラスでは4本の柱の内、3本が丸柱で1本だけ長方形の柱が使用されている。 これにより効率性や均質性を求めたグリッドを使用しながらも、均質空間の型を微妙に外している。

2本組柱平断面及び立面図 1 2 3 4

籐(ラタン)仕上げ 26mm厚 石綿 Φ150mm CHS柱 鉄筋コンクリート充填

ブナ材仕上げの柱、 平断面および立面図 1   2 3 4 5

多様性のある柱

Detail / Villa Mairea , Alvar Aalto

12mm厚ブナ材、真鍮ワ イヤーで結束 6mm厚 石綿 Φ135mm CHS柱 鉄筋コンクリート充填 真鍮目地棒

柱の詳細図

書斎 / 周囲の黒の鉄骨中の中、1本だけ城のコンクリートの柱が存在する

外部 / 周囲の丸柱の中、1本だけ長方形の柱

Survey


03-01 花畑町広場活用ワークショップ 熊本市花畑地区の再開発事業における暫定利用のまちなか広場の賑わいの創出を目指し、利活用について考える。 本ワークショップでは1年間を通して市民や市役所の方々と「仮称・花畑広場」の商業利用ではない、日常的な広場 のあり方を考え、広場の家具をデザインした。


Diagram / 花家具の構成

仮称 / 花畑広場

家具を作成するにあたって、シンプルなテーブルに市民の参加によるデザインの余白を与えた。花家具と名付けられたこのテーブルは、90mm 角 の隙間を持ち、その余白部分に市民と作成した押し花を埋め込む事でシンプルでありながらこの広場でオリジナルの家具を生み出した。これによ

熊本市花畑地区の再開発事業により、シンボルプロムナードが完成する3年もの間、その再開発地区に面するまちな

りテーブルの施工に参加する若者、押し花を作成する老人や子供など、多世代の参加が可能となった。

かのど真ん中のビル跡地を暫定的に熊本市の広場として活用することが決定されている。広場としての利活用の方法 として、イベントなどに貸し出す商業利用の他に、市民が日常利用する事の出来る広場を求めた。

>>>

>>>

①シンプルなテーブル

②市民の参加

Detail

アクリル板

桁  90x90 495(相欠き)

730

ボルトで締める

730

③仮称 花畑広場らしさ

梁 90 90x1890 (相欠き) 桁  90x90 495 (相欠き)

GL

角材 90x90 540 (相欠き)

キャスター(ストッパー付き)

GL

c-c断面図 S=1:20 ボルトで締める

破線はキャスターを示す

a

b-b断面図 S=1:20 b

桁  90x90 495 (相欠き)

アクリル板 梁 45 90x1890 (相欠き)

1年間の流れ

梁 45 90x1890(相欠き)

市民との施工が行われた。

d

c

730

c

を定めた。そして案を出し合い、広場で利用できる家具を作成することとなり、半年の期間を経て、2016 年 2 月に

45 90 90

ワークショップの活動の流れとして、2015 年 7 月に市民と広場の使い方ワークショップを開催し、使い方のテーマ

540

梁 90 90x1890(相欠き) 柱 90x90 720(相欠き) 角材 90x90 540(相欠き)

梁 90 90x1890 (相欠き) 柱 90x90 720 (相欠き) 90 90

d

1890

a

b

キャスター(ストッパー付き)

GL a-a断面図 S=1:20

平面図  S=1:20 2015 0701

1

2016 0715

0806

2

広場の使い方の提案 「拠点性」 「水」「継続」

3

成果物検討 「家具」か「建築」

方針決定 ものをつくる ファシリターター決定

広場での第1回ワークショップの様子

花畑町広場活用ワークショップ

0824

4

1007

5

1111

6

7

イベントの提案

工夫点 「安全性」 「汎用性」 具体化 模型によるイメージ共有

1201

実寸大検討

市役所でのスタディの様子

1216

0107

8

9

0128

10

ワークショップの様子

イベントレイアウト検討

イベント詳細検討

市民との施工

モックアップ検討

完成後

市民参加

WORKSHOP


03-02 けんちく寿プロジェクト 主旨 建物の誕生は、夢が叶い期待が膨らむ初々しくも喜ばしいできごとである。そのお祝いは盛大に行われ、おそらくそ の建物にとって最も晴れがましい瞬間である。我々も大いに注目し、話題にするのはこの新築時である。そして、次 に注目を浴びるは、取り壊しや建て替えの頃だというケースも少なくない。 しかし、その間の経年の様子は、見過ごされがちで、現役で活躍中の建築の姿には、あまり目を向けれなかった。そ のような中にあって、我々は、熊本における建築の経年を人生に例え、二十歳や還暦などといった建築が歳を重ねて きた節目を祝うプロジェクトを 2010 年から始めた。


工 塩 古 藤 塚 谷 誠 和 隆 章 美 生 + + 堀 場 ・ 弘 中 川 建 築 設 計 共 同 企 業 体

高 藤 片 渡 西 乾 末 阿 橋 本 山 辺 沢 久 廣 部 晶 壮 和 俊 誠 大 美 香 仁 子 介 + + 良 子 織 史 + + 太 西 宏 部 高 小 設 交 野 橋 計 通 寛 田 事 泰 務 建 明 所 築 + 事 川 務 崎 所 設 計 事 務 所

八 束 は じ め

み か ん ぐ み

藤 森 照 信 + 入 江 雅 昭 + 柴 田 真 秀 + 西 山 英 夫

室 伏 次 郎 + 建 築 設 計 事 務 所

内 青 古 藤 木 谷 誠 廣 淳 章 + + 中 央 技 ・ 術 中 コ 川 ン 建 サ 築 ル 設 計 タ 共 ン 同 ト 企 業 体

坂 元 安 石 山 早 伊 篠 葉 本 倉 藤 井 本 川 東 原 祥 一 真 忠 和 理 邦 豊 一 栄 成 琴 雄 紘 顕 彦 雄 男 + + 長 太 谷 宏 川 設 逸 計 子 事 + 務 松 所 永 安 光

桂 英 昭 + 設 計 計 画 石 丸 事 務 所

中 内 木 前 菊 美 吉 土 前 黒 野 木 日 川 井 島 川 竹 川 沢 岐 川 川 中 島 本 建 築 昭 安 國 清 淳 都 新 國 紀 建 安 電 男 章 築 史 信 設 蔵 史 男 訓 而 市 建 建 事 + 電 + 建 建 + 建 計 事 築 築 務 Y 話 Y 築 築 環 築 務 設 ・ 所 A 公 A 設 設 ・ 設 所 S 社 計 都 S 計 計 設 計 + 都 建 事 市 都 事 事 計 研 S 市 築 務 設 市 務 務 工 究 D A 研 局 所 計 研 所 所 房 所 建 究 事 + 究 築 所 務 鮎 所 設 所 川 計 透 事 務 所

坂 野 村 芦 竹 郵 山 渡 倉 中 野 原 中 政 田 辺 建 卓 藤 義 工 省 守 節 吾 信 務 建 築 建 店 築 研 築 究 部 設 所 ︵ 計 設 研 計 究 課 所 長 薬 師 寺 厚 ︶

野 近 山 中 藤 田 実 良 守 馬

千 鉄 長 辻 鉄 大 渡 鉄 保 原 川 谷 組 川 倉 辺 川 岡 萬 与 部 与 三 録 与 勝 五 助 竹 助 郎 治 助 也 郎 腰 建

増 永 為 己

長 矢 岡 上 勇 信 衛 次

西 村 好 時

築 事 務 所

一 〇 四 熊 本 市 電 上 熊 本 停 留 場 上 屋 ︵ 上 熊 本 駅 舎 ︶

一 〇 六 八 千 代 座

佐 徳 木 藤 永 村 正 廣 亀 巳 太 郎

一 〇 八 金 波 楼

一 〇 九 孤 風 院

一 〇 九 熊 本 地 方 裁 判 所 資 料 館

一 二 三 熊 本 学 園 大 学 産 業 資 料 館

一 二 八 熊 本 大 学 五 高 記 念 館

富 重 写 真 館

一 (歳) 四 六 ︵ 平 成 二 八 年 現 在 ︶ [ ] 現 存 せ ず

太 田 次 郎 吉 、 移 築 改 修

山 口 半 六 ・ 久 留 正 道

木 島 安 史

43th

56th

90th

34th

第三回

第四回

第五回

第二回

100th

zero

90th

20th

60th 70th 80th

伝統工芸館

50th

九州学院礼拝堂

40th

熊本逓信病院

30th

県医師会館

20th

市医師会館

10th

宇 和 山 菊 熊 宇熊 芦 芦 南 水 美 八 小 苓 美 八 合 芦 天 天 天 山 上 熊 熊 山 山 熊 熊 八 熊 宇 人 小 熊 益 球 熊 熊 玉 水 菊 熊 熊 八 熊 熊 熊 熊 熊 八 熊 熊 熊 熊 山 熊 玉 熊 多 天 天 熊 八 天 熊 水 熊 熊 湯 熊 氷 山熊熊 熊八 熊 熊 熊 熊 熊 山 八 阿 熊 熊 熊 熊 熊 城 水 鹿 池 本 土本 北 北 小 俣 里 代 国 北 里 代 志 北 草 草 草 都 天 本 本 鹿 都 本 本 代 本 城 吉 国 本 城 磨 本 本 名 俣 池 本 本 代 本 本 本 本 本 代 本 本 本 本 江 本 名 本 良 草 草 本 代 草 本 俣 本 本 前 本 川 鹿本本 本代 本 本 本 本 本 鹿 代 蘇 本 本 本 本 本 市 町 市 市 市 市市 町 町 国 市 町 市 町 町 町 市 市 町 市 市 市 町 草 市 市 市 町 市 市 市 市 市 市 町 市 町 村 市 市 市 市 市 市 市 市 市 市 市 市 市 市 市 市 市 市 村 市 市 市 木 市 市 市 市 市 市 市 市 市 町 市 町 市市市 市市 市 市 市 市 市 市 市 市 市 市 市 市 市 町 市 町

熊本北署

第一回

設 計 共 同 体

野 沢 正 光 建 築 工 房

一 〇 三 鈴 木 邸 ︵ 中 村 小 児 科 医 院 ︶

*これまでにお祝いした建築

小 泉 ア ト リ エ +

SDA

の関係者の方々によるトークセッション、また、運営側からのお祝い品の贈呈を行った。

今回、人間でいう25歳を迎えた八代市立博物館の厄落としをかねて見学会や、建設当時

たとえて歳を重ねてきた節目をお祝いする。

︵ 紹 介 し て い る 建 築 は 一 部 で す ︶

(R1)

ジェクト」では、そんな 見過ごされがちな建築の現役時代に注目し、建築の経年を人生に

建築が話題になるのは竣工時、または建て壊しの時だけの場合が多い。「けんちく寿プロ

熊 本 建 築 年 齢 一 覧

四 四 四   五  六  六 六  八 九 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 二 二 二 二 二 二 二 二 二 二 二 二 二 二 二 三 三 三 三 三 三 三 四 四 四 四 四 四 四 五 五 五 五 五 六 六 七 七 八 八 八 八 八 八 八 八 八 八 八 九 九 九 九 九 九 九 九 九 九 九 一                  二  六 七 九 九 〇  七 八 九 〇 一  三 三  六 八 〇 一  三 三 三  〇 二 三  五  七  三 五 五  六  八 一 六  二 二 三 三 四 四 六 八 九 一 一 一 二 二  四 五 五  五 六 六 六  二 三 三 四  七 九 〇  九 〇 〇 〇  二  二 六 九 二 四  五 五 二 宇 和 山 南 九 八 熊 熊 天 牛 う 馬 熊 県 熊 清 熊 熊 漱 熊 球 熊 熊 熊 水 長 明 熊宇 熊 小 氷 山九熊 早代 後 加 木 熊 水 三 熊 熊 八 上 N 熊 熊 熊 八 九 く 肥 球 古 玉 熊 多 天 三 八 城 水 鹿 小 州 代 本 本 草 深 し 見 本 営 本 和 本 本 石 本 泉 本 本 本 俣 崎 導 本土 本 国 川 鹿州本 野陽 藤 久 魂 本 俣 和 本 本 代 無 T 本 本 本 代 州 ま 後 磨 庄 名 本 良 草 井 代 市 町 市 記 市市 南 町 市 県 県 工 ハ ぶ 原 市 ビ 県 市 白 田 T 県 大 市 市 学 町 灯学大 ビ小 金 国 新 市 竜 県 文 県 市 北 藤 館 県 洞 県 県 も 銀 地 別 高 市 木 教 住 教 大 市 次 寺 立 立 立 医立 警 立 立 立 立 業 イ か 橋 ま 籠院学 ル学 物 念 営 蛇 立 楽 営 営 警 ト 営 森 立 伝 文 ル 立 立 百 松 西 医 学 上 厚 院 と 行 域 荘 校 役 町 育 友 会 学 立 郎 本 町 幹 豊 三 山 Y 蘇 師宇 察 北 高 農 あ 高 ヤ 海 ち 民高本 館 託 平 装 館 保 新 ン 帯 化 美 熊 合 尾 日 師 学 下 生 高 森 本 農 銀 堂 察 林 劇 統 本 所 交 会 書 堂 校 店 営 線 野 加 鹿 M 峰 会土 署 里 田 業 し 校 大 彩 づ 芸校部 洋 麻 団 飾 田 地 ネ 山 会 術 本 学 神 本 会 生 水 会 校 都 店 業 行 署 館 場 工 館 花 流 館 店 第 杉 新 小 和 小 C 記 館小 熊 小 あ 大 き 実 橋 館 く 館講︵ 間 団 地 古 窪 団 ル 第 芸 館 館 博 園 社 熊 館 会 道 館 事 総 [ 共 畑 館 本 熊 三 田 水 中 小 学 A 念 ・学 本 学 け 学 た 習 り ︵堂熊 ︵ 地 第 地 換 二 館 本 館 局 合 同 町 石 館 本 墳 物 体 務 校 団 俣 学 中 校 花 館 看校 駅 校 ぼ 校 青 棟 情 安兼本 安 一 A 気 団 支 病 ] 組 別 倉 支 館 館 育 舎 棟 舎 地 駅 校 学 交 陵 護 屋 の 学 少 ・ 報 田礼高 田 団 所 地 館 店 [ 院 合 館 店 [ ・ 校 番 会 専 内 保 生 年 体 銀 銀拝等 地 第 銀 八 2 館 ] ] 門 運 育 寮 の 育 行 行 堂 工 行 津 6 学 動 園 家 館 ︵ 山  業 熊 田 号 校 場 井 鹿  学 本 団 倉 芹 支  校 支 地 庫 銀 店  本 店 行 ︶  館 長 ︶ 宅  ︶ ︶

隔週でミーティングを行い企画の検討を重ねた。 第6回目となる今回の対象建築は、伊東豊雄建築事務所 設計の「八代市立博物館未来の森ミュージアム」が選定   された。

■対象建築下見 お祝いする建築の下見を行う。 館長さんとの打ち合わせや見学ルートも把握する。

ミーティング風景

■企画検討

見学会風景

スケジュールやゲスト、広報方法の検討を行う。 □全体、当日スケジュール

□ゲスト

□見学ルート

□パンフレット

□贈呈品

□アンケート

□広報方法

■広報活動・贈答品作成 チラシ、ホームページ、SNS、ラジオ、新聞、各種イベントでの宣伝など 様々な方法で広報活動を行なった。

セレモニー風景

贈呈品「みんなでつくる丘パネル」 参加者から、今回寿いだ建築に対しての想いを 芝カード に ホームページ

けんちく寿プロジェクト

チラシ

綴ってもらい、集まったカードによって丘の形状をつくった。

PROJECT


04 平成 28 年熊本地震 4 月 14 日 21 時 26 分、熊本県熊本地方を震央とする、震源の深さ 11km、マグニチュード 6.5、の地震(前震)が 発生し、熊本県益城町で震度 7 を観測した。 その 28 時間後の 4 月 16 日 1 時 25 分には、同じく熊本県熊本地方を震央とする震源の深さ 12km、マグニチュー ド 7.3、の地震(本震)が発生し、西原村と益城町で震度 7 を観測した。


熊本地震・震災復興活動

益城町


04-01 避難所用・紙の間仕切りシステム設置

グッドデザイン賞

避難所で長期間にわたる生活を強いられる被災者に対して、プライバシーを確保するための間仕切りである。紙管を フレームとして用い、布を簡単に掛けるだけで組み立てることができる。基本ユニットは 2m x 2m で囲まれた空間 であるが、紙管の梁は連結することができ、グリッド状にいくらでも拡張することができる。そのため、1 ユニット (2m x 2m)だけ使うこともできるし、布を掛ける場所を変えることで 2 ユニットや 4 ユニットをまとめて間仕切る ことができるので、どのような家族構成でも対応できる。紙管に掛けた布はカーテンのように開閉できるので、避難 者の健康状態も確認でき、避難所を衛生的に保つことができる。

目的    震災復興活動(2016) 設置場所  熊本県全域 用途    間仕切り 構造    紙管


地震発生直後

2度の大地震に襲われ、地震発生直後の人々は建物内で過ごすことに不安を感じ、ビニールシートを引いたグラウンドの上や、公園、駐車場な

紙管間仕切りプロジェクト

ど数日間屋外で時を過ごす人が大半であった。安全な場所であるはずの建築に不信感を抱き、建築の無力さを感じる大きな出来事であった。

地震発生直後の熊本大学グラウンド

物資搬送ボランティア

建築家・坂茂氏が主宰するグループ「ボランタリー・アーキテクツ・ネットワーク(VAN)」が提唱した紙 管間仕切りシステム。避難所の環境を向上させるツールとして、2011 年の東日本大震災でも設置されたシ ステムである。熊本地震発生から 9 日過ぎた 4 月 23 日より、同システムを被災した熊本地方でも作製・設

地震発生から数日後、学生のほとんどは県外へ避難した。熊本内では、スーパー・コンビニなど至る所で商品の買い占めが横行し、遠くまで買 いに行けない高齢者などの交通弱者は物資不足に陥った。 そのため、私を含む大学院生数人で物資搬送のボランティアに参加した。ここの問題点としては、指定の避難所以外の公園や駐車場、お寺など に避難している人が多数であったため、SNS 等のネットの書き込みや口コミを一から拾い、物資不足の人々の情報を採集し、自家用車やバイク 等で物資を搬送していった。約1週間後には全国からの救援物資により、ボランティア拠点は物資やボランティアの人材が多く集まった。

置する活動を熊本大学田中智之研究室を中心に行った。 その後、この活動が評価され「グッドデザイン賞 金賞 ( 経済産業大臣賞)」を合同受賞した。 設置報告 4 月 23 日から避難所に簡易間仕切りシステムの設営を始めて、6月4日まで合計約2000 ユニットの設置してきた。 2016/4/23

2016/4/23

2016/4/23

竹田市総合福祉センター  40 ユニット

竹田市城原小学校      28 ユニット

南阿蘇村南阿蘇中学校

2016/4/29

2016/4/29

2016/4/29

2016/4/29

2016/4/29

2016/4/29

2016/4/29

2016/4/30

2016/4/30

2016/4/30

2016/5/3

2016/5/6

2016/5/6

熊本市勤労者福祉センター 59 ユニット

地震発生直後のコンビニ

熊本市池田小学校      48 ユニット

2016/4/24     2 ユニット

熊本市龍田武道場      30 ユニット

熊本市帯山西小学校

2016/4/24   60 ユニット

宇土市走潟体育館      48 ユニット

熊本市アスパル富合

2 ユニット

宇土市網津多目的研修施設

44 ユニット

物資搬送ボランティアの拠点 宇土市鶴城中学校      48 ユニット

宇土市花園小学校      63 ユニット

益城町共同参画センター  18 ユニット

益城町津森公民館      20 ユニット

益城町飯野分館

14 ユニット

避難所の現状 / プライバシーの確保 地震発生から数週間後、物資は被災者に行き渡るようになったが、住居 を失った人々、または住居に不安を抱える人々は長時間避難所で生活す るようになった。

2016/4/30

南阿蘇村白水中学校

104 ユニット

益城町健康福祉センター   22 ユニット

宇土市宇土小学校      40 ユニット

宇土市宇土東小学校

48 ユニット

2016/5/6

益城町広安小学校       84 ユニット

しかし、通常の避難所は公民館や体育館などの1つの大きな空間に布団 や段ボールを敷いて過ごすレベルであったため、プライバシーのない生 活を余儀なくされた。また授乳室や更衣室のない場所が大半であったた め、親や女性などはより一層の苦労を強いられていた。

VOLUNTEER / 熊本地震・震災復興活動

VOLUNTEER


設置初日のようす(2016.04.24)

場所:熊本市立帯山西小学校 体育館

避難所用・紙の間仕切りディテール

現地には熊本大学の学生や卒業生、建築士会青年部の有志、SNS などで活動を知ったボランディア、そして VAN のスタッフな どを合わせて、約 50 人のメンバーが集まった。作業開始の当日には、事前に熊本市内の紙管メーカーが搬入した紙管と、全国か らかき集めたという布のロールが並べられた。 2m以下自由

2m以下自由

梁 紙管(中) 2m以下自由 安全ピン 柱 紙管(大)

設置前の体育館のようす

地元のメーカーから直接搬入された紙管

柱 紙管(大)

全国から届いた布ロール クリップ

■製作工程 ●穴位置マーキング班

固定用ガムテープ

1.9m 1.8m

2m以下自由

梁 紙管(中)

仕切り 木綿布 幅1.1m

●穴開け班

●布切り班

平面図

1

2

立面図

3

4

ガムテープ

紙管(小)

紙管柱にクロスする梁と桁管が貫通する穴を施工す

マーキングされた紙管柱に穴を開ける。穴開けには

布のロールを 2400mm の長さでひたすらカット。

るためのマーキングをして、キリによる下穴開けま

ドリルを使用し、独自開発された丸刃とガイドを用

体育館の床にテープを貼って設定したガイドに従っ

で行う。

いることで、正確さとスピードが向上する。

て膨大な布を裁ちばさみで切断していく。

梁 紙管(中)

柱 紙管(大)

■組み立て作業

組立方法 柱

ジョイント

桁 梁

建て逃げ方式により、1 ユニット当たり 1 ∼ 2 分く

柱と梁および桁が隙間なく密着することで接着剤や

カットした布を梁と桁に干すように掛け、長さを調

らいのスピードで全員で組んでいく。

金具を用いることなく剛接合となる。

整しながら安全ピンで止めていった。

■設置完了 作業開始から2時間程度で 60 ユニットの個室が出来上がった。

カーテン閉切時

カーテン開放時

カーテンを開けば 8 畳程の家族用空間となり、最小

子どもたちが間仕切り間をはしゃぎながら駆け巡っ

単位で仕切れば 2 畳のプライベートな空間に。

ていた。

写真提供:坂茂建築設計 [ プロジェクトリーダー ] ボランタリー・アーキテクツ・ネットワーク (VAN)+慶応大学 SFC 坂茂研究室  [ 協力 ] 熊本大学・熊本県立大学・崇城大学・九州大学・日建設計ボランティア部・熊本県建築関係者有志・藤本誠生建築設計事務所・矢橋徹建築設計事務所

VOLUNTEER / 熊本地震・震災復興活動

VOLUNTEER


04-02 御船町仮設住宅団地コミュニティスペース 熊本県御船町に全体で 10 世帯、3 棟の木造仮設住宅が完成した。 この仮設住宅は木材と合板を組み合わせた構造パネルにより、工期が短縮されること、そして大学連携プロジェクト として、坂茂建築設計及びボランタリー・アーキテクツ・ネットワーク、慶応義塾大学 SFC 坂茂研究室、熊本大学 田中智之研究室との合同プロジェクトであり、敷地を利用したコミュニティー・スペースの設計を行った。


紙管を再利用する過程

住戸間のコミュニティスペース

紙管を切断機で切断

リングの切断面を綺麗にする

大量生産されたリング

リングを枠に入れて結合する

屋根も架け屋外に設置

光の透過性や見え方を確認

モックアップ作成

作成した型を繋げていく

モックアップ完成

天井板の大量生産

■設置作業

御船小坂仮設団地のコミュニティースペースプロジェクトを行った。仮設団地は坂茂建築設計事務所が手が け、住戸間のコミュニティースペースの設計を田中智之准教授が行った。 田中研究室の学生は、コミュニティースペースの天井の設計・施工を行った。 天井板には、避難所の間仕切りに使用された紙管を再利用した。

同じ型を大量生産

設置する際にはモックアップを作成し検討を行い、最終的には 3000 個の紙管リングを用いて10枚の天井

J

板を作成し、設置を行った。

作業は日が暮れるまで行われる

H

I

F

B

D

G

Y3'

天井板設置完了

C

E

A

作業中の風景

Y3

D

B

Y1'

5460

I

A

C

E

G

Y2

F

2730

H

2730

5460

J

2730

Y2'

2730

南東側から眺める

天井板を躯体に設置

Y1

1820 1820

X1 X2

7643 .06

1820 1820

X3

363.

06

X4

7

363.06

VOLUNTEER / 熊本地震・震災復興活動

模型による検討を行った

1820

1820

1820

1820

1820

1820

13103.06

X5

作成した天井板

1820

7

X6

X7

X8

X9

X10

X11

X12

天井板設置の際に作成した図面

COMMUNITY SPACE


05 古町地区被害状況調査 学部3年の設計課題の敷地でもある古町・新町地区は熊本内でも最も町家が残り、歴史のある地域である。その地域 も地震の影響で多くの被害を受け、町家の存続が厳しい状況に陥ってしまった。大半の町家は修復よりも建て替えと いう道を選ぶだろう。そのため古町・新町地区での震災被害状況調査を行い、これから古町・新町地区を再編するに あたり、古町・新町地区を歴史の継承を行いながら更新していくために、まずはこの地域のコンテクストを出来る限 り記録し、現状をまとめた。失われていったものは戻ってこないが、古町・新町地区が長年築いてきた意思は引き継 がれていくことを願うばかりである。


古町地区

古町 a 地区 古町地区を a 地区、b 地区、c 地区の3つに分割し、その中で詳細な調査を行った。 そして、町家やマンションなど全ての建物について外観を調査し、被害を写真で収め、場所をプロットし記録した。 赤い枠内が古町地区の境界線であり、青い境界線は便宜上隔てた境界線である。

a

b c

15 14

12

13

4

5

1 2 3

6 24 23

16

18 17

熊本地震・震災復興活動

19

22

7

8

9

11

10

25

21

20

VOLUNTEER


古町 b 地区

古町 c 地区

1 3

2

4

22

7

9

5

8

21

33

23

6

4 3 2

24 20

10

6

34

19

35

8 10

19

5 7 9 11

36

20

18 11 12

17

25

26

30

28 27 29

31 32

21

23 22

37

1

24 13

12

26 25

27

15

14

13

16 15

熊本地震・震災復興活動

14

16

18

17

VOLUNTEER


Tanaka Tomoyuki Laboratory Kumamoto Univ Fukuoka Prefecture


Turn static files into dynamic content formats.

Create a flipbook
Issuu converts static files into: digital portfolios, online yearbooks, online catalogs, digital photo albums and more. Sign up and create your flipbook.