「場の風景と人を繋ぐ建築」 architectural portfolio 2017-2019 建築のたつ場所は都市の中の一部であり また建物と建物の間であり ときには自然の一部だったりします
建築は場所とは切り離せない だからこそ その場の風景と人をつなぐものであることに意味があります
まち全体を見つめ その風景から人の動きをデザインする そして建築がこれからのまちを変えるきっかけになるような
「場の風景と人を繋ぐ建築」を考えます
SKILL ARCHICAD
★★★★★
ILLUSTRATOR
★★★★★
PHOTOSHOP
★★★★★
SKETCH
★★★★★
蝦名 鍊
受賞歴
Ren Ebina
AWARD/Architectural works
室蘭工業大学大学院 環境創生工学専攻 修士 1 年(同大学 工学部卒) 真境名研究室(建築計画)所属 1997 年 2 月 5 日生まれ 北海道岩見沢市にて18年間を過ごし、大学入学を機に北海道室蘭市へ移住。 下宿生活 6 年目。仕送りと塾講師のアルバイトで生計を立てる。
■特技:空手 6 歳から 18 歳(高校卒業)までの 12 年間極真空手に入門。 準指導員として、子供だけでなく大人まで稽古を指導。 北海道空手新人戦一般型の部 優勝 などその他受賞。
■語学 高校1年次に市の交換留学制度(選抜)にて補助金を得て アメリカ合州国アイダホ州ポカテロ市へ 16 日間の交換留学(ホームステイ)。 TOEIC 635 点(2019 年 12 月) 第Ⅱ外国語 中国語履修
2017.12 北海道建築新人戦 最終審査進出 2017.12 第4回宇宙建築賞 入賞 2018.8 JIA テスクチャレンジコンペ 2次審査進出 2018.10 北の住まいコンペ 奨励賞 2次審査進出 2019.3 JIA 北海道支部卒業設計展 審査員特別賞(小倉賞) 2019.7 JIA テスクチャレンジコンペ 入賞 2019.12 空間デザインコンペティション 入賞
新建築 2020 年 1 月号掲載
Index
00 Personal information■ 01 卒業設計 学部 4 年後期 /Diproma■ おび・ひだ・すきま ー岩見沢駅前商業地域における複合小学校の提案ー
02 第 26 回空間デザインコンペティション /competition■ ツギガラス
03 北の住まいコンペ 2018/competition in hokkaido■ 樹木の住宅
04 テスクチャレンジコンペ /competition■ 4 重層の家
05 環境施設設計学特論 /Architectural Design MC■
■P0. sketch work 北海道釧路市北大通 /kitaoodori kushiro city Hokkaido 釧路駅前から伸びるメインストリート 現在は再開発が進み、所々に空き地・駐車場が広がる。地方市街地の原風景。 2018.9 cost:3h
4畳半のコテージ
06
第 6 回 POLUS−ポラス− 学生・建築デザインコンペティション■ 「おとなりさんちのわたしのへやー足りないものを補い合う家々ー 」
まちを読みかえ 新たな風景を生み出す
01 ■学部 4 年次 卒業設計 地方中心市街地における複合小学校
「おび・ひだ・すきまー岩見沢市駅前商業地域における複合小学校の提案ー」 構想期間:8 ヶ月(2018.4∼11) 製作期間:4 ヶ月(2018.12∼2019.3) 費用:5 万円ほど JIA 北海道卒業設計コンクール 審査員賞(小倉賞)受賞 (4/21 作品)
多くの地方市街地では駅前市街地が空き地や駐車場で歯抜け状になり 古い建物や構造物が取り壊されていく現状に直面している そんな街の風景に残念な印象を持っている人々は少なくない しかし空き地・駐車場のようなうらの空間は 人々のふるまいを受け止めるような空間でもある このような小さな居場所からまちの風景を楽しく変えるような 複合小学校を設計する
■敷地
■まちのすきま空間
札幌市
N
N
0
1
2
N
5km
0
北海道のほぼ中央に位置する
駅前市街地はグリッド状、周囲には
駅前の中心市街地、中央に道路を
札幌市のベッドタウン、岩見沢市
田畑が広がる
挟んだ 2 区画を敷地とする
■敷地図
対象敷地
駅 前 通 り
駅前の空き駐車場
駅前の建物間
子どもたちによる新たな風景 =建築内部まで引き込む
使われていない街のすきま空間
岩見沢駅
バ ス 通 り
住宅地の抜け道
■まちのコンテクスト=建築の読み替える要素の抽出 1. 駅前再開発により取り壊しが進むアーケード街
1条通り
駅前再開発区域
低 層 住 宅 地
住宅地の裏路地
100m
2. 開口部が少ないファサード
3. アーケードからの抜け
駅 前 市 街 地
4. 点在する空き地・駐車場
4条通り
5. 細長く狭い抜け道
0 40 駅前通りの再開発
N
80
アーケードの取り壊し
200m 空き地率の高い区画=敷地
■設計手法 1 1
空き地・駐車場の増加
1
1
1
1
駅前空間の衰退 風景の喪失 N
空き地・駐車場が広がり、人々は 街にネガティブな印象を持っている。
N
空き地率の高い区画に小学校を設計する。
小学生のアクティビティが徐々に広がり 街の人の印象も変わっていく。
■アイソメトリック図
かないクリニック
■平面ゾーニング S=1/1600 カリフォルニアクラブ
はた形成外科 かなもり理容所
スラブ
至駅前通
教室内部は奥まで視線が通る
スキップフロア状に構成し、 光や視線を空間全体に広げる。
家のような教室群 ひだ 立面以外の3面を閉じ、奥行き
ひだ
をもつ内部。周囲のボリューム の空間。
おび
2500mm
にスケールを合わせた高さ・幅
1,2年生エリア
低 層 住 宅 地
2000mm
高さの変化をつけ、敷地内外の 視線を調節する。
3,4年生エリア
小学生の廊下空間
歩 行 者 専 用 道 路
通りに入るとすきまを 子供たちが楽しく使っている
駅 前 バ ス 通 り
駅 前 市 街 地
5,6年生エリア
対比されるすきまの風景
おび
子供たちが外周部の
すきま
外周部からはまちと同じような風景
おびを通り抜ける
既存の外構をなるべく残し、敷地
ところどころに子供たちが垣間見える 電機屋さん
外のすきま空間にスケールを合わ せる。都市のすきま空間のような
街区外周部 … 「おび」が内と外の境界となり、アーケードのような小学生の動線空間が敷地内外を対比させる。
ヴォイドが、こどもたちの小さな 居場所となる。
体育館
市民図書館
図書室
駐車場
エントランス
アーケードのスケールを踏襲し、 小学校の動線空間とした。
①
職員室
あそびばとなる庭
すきま
エントランス …
既存道路を建築の敷地に引き込み、小学校と街の領域を重ねる。まちの「うら」の空間が小学校の 「おもて」となる。
■短手断面図 S=1/400
■平面計画
■断面計画 ひだ 囲われた空き地 のようなにわ
2年生教室
2年生WS
3年生教室 プレイルーム おび
図工室
土間
教室
ひだ
理科室
立面以外をコの字状の壁で囲いまちに広がる空き地の
おびの高さを変えることで、外部の視線が奥まで抜け、
ようなすきまをつくる。小学生が教室のひだから自由
教室のプライバシーを守りながら、採光も取り入れる。
に通り抜けたり、外で遊ぶ様子がまちの人から見え隠
おびとひだの繋がる部分では、たまり場のような場所
れする。
になっており、通りにアクティビティが溢れでる。
■長手断面図 S=1/300 バス通りに面する
休み時間教室を抜け出して
天気がいい日は家庭科で作った
小さな隙間は
まちの人の上を
ひだからすきまに
理科室から段々に上った先には、
小学校のおび
外で遊ぶ子どもたち
料理を外でいただく
落ち着く居場所
駆けるこどもたち
飛び出すテラス
3年生たちの教室
■GL+2,000平面図(S=1/400)N
■GL+4,500 平面図(S=1/800)N
はた形成外科
A
■GL+7,500 平面図(S=1/800)N 78,000 2,000 2,000
78,000 48,000
12,000
2,000 2,000
多目的CR 21,000
事務
2,000
21,000
26,000
多目的CR
21,000
10,000
48,000
21,000
18,000
6,000
9,000
2,000 9,000
2,000 2,000
事務
24,000
2,000
2,000
24,000
2,000
2,000 2,000
18,000
18,000
6 年生 CR
2,000
2,000
6 年生 CR
GL±0
82,000
8,000
12,000
29,000
ホール
16,000
5,000
10,000
6,000
6,000
15,000
10,000
図書室
24,000 4,000 11,000 16,000
2年生CR
80,000
3,000 6,000 1,000
10,000
3 年生 CR 16,000
20,000
4,000
80,000
2,000 6,000
11,000
80,000
10,000
4,000
2 年生 WS
8,000
20,000
プレイルーム
2,000
16,000
10,000
24,000
12,000
12,000
11,000 2,000
2,000
2,000
2,000
11,000
3,000 8,000
5 年生教室
GL+1600
テラス
図書の庭
GL±0
12,000
静かな庭
GL-1000
3,000 6,000 1,000
10,000
12,000
家庭科室
体育館
7,000
7,000
GL+1000
電機屋さん
WS
4 年生CR
4,000
12,000
GL±0
3,000
80,000
10,000
家庭科の庭
200m トラック
図書館
2,000 6,000
くらます整形外科
14,000
8,000
体育館
12,000
24,000
12,000
2,000
6,000
6,000
5,000
図書室 図書室
15,000
8,000
14,000
16,000
14,000
GL±0
ベンチ
野球グラウンド
3,000
3,000
8,000
家庭科室 家庭科室
GL±0
かないクリニック
30,000
21,000
12,000
ホール
29,000
6 年生の庭
82,000
6 年生 CR
82,000
職員・来客者駐車場
82,000
EV
2,000
78,000
10,000
7,000 2,000 3,000 3,000 2,000 2,000
3,000 7,000
12,000
12,000
24,000
2,000
78,000
2 年生 CR
■ゾーニングについて
更衣室
機械室
20,000
GL+1600
体育館
ステージ
昇降口
職員
職員
多目的
図書
音楽
図工
8,000
準備室
GL+1000
4,000
音楽室
特別教室やアリーナなど、CR 以外の機能を分散配置する。
■動線について
CR
家庭
CR
CR
N
N
家と家の間のような狭いすきまから、駐車場のような大きな抜けなど
敷地の中に散らばった空き地は、機能と機能が干渉し合う庭となる。
敷地の中にはいろんな空き地が点在する。
いろんなところで、すきまのアクティビティが発生する。
3,000
2 年生の庭
8,000
2 年生 CR
2,000
2,000
6,000
1,000
6,000
1 年生の庭
CR
WC CR
2,000 4,000
N
3,000
GL±0
4 年生教室
音楽の庭
2,000
8,000
1 年生 CR
アリーナ
CR
家庭
図工
家庭
多目的
図書
CR CR
アリーナ
アリーナ
図工
職員
CR
理科 音楽
音楽
ホール
CR
プレイルーム
理科
理科
WC
CR 多目的
図書
プレイルーム
プレイルーム
先生たちの庭
6,000
ホール
ホール
職員室
GL±0
給食室 校長室
3,000
8,000
2,000
かなもり理容所
N
16,000
1,000
GL+1600
図書室
2,000
賑やかな庭
3,000
GL±0
5,000
2,000
2,000
5 年生教室
3 年生 WS
CR
WC
ホール
CR CR
3 年生の庭
職員
WC
CR
ホール
CR 職員
CR
多目的
図書
ホール
CR CR
職員
多目的
図書
プレイルーム
12,000
図工室
GL±0
2,000
プレイルーム
WC
CR 多目的
図書
プレイルーム
理科
音楽
5,000 1,000
10,000
音楽 CR
CR
家庭
CR
図工
CR
WC CR
CR
アリーナ CR
CR
家庭
CR
図工
CR
WC CR
CR
家庭
CR
CR
2,000
WC CR
CR CR
アリーナ
CR
11,000
20,000
2,000
GL±0
10,000
理科 音楽
CR
理科室 図工の庭
2,000
カリフォルニアクラブ
プレイルーム 理科室の庭
2,000
CR CR
アリーナ
CR 図工
街の公園
理科
CR CR
GL+1000
11,000
1,000
2,000
8,000
2,000
24,000
外周部に回された帯状の動線空間から、分散配置された小さな家
すきまの空間に溢れ出した様々なアクティビティを見ることができ、
ここに通う小学生たちは、学校から家に帰るまでの生活空間のなかで
としての襞空間へアクセスする。
街と同じような状態に作られたこの建築によって、すきまの楽しい使い方を覚えていく。
今まで見えてこなかった街のいろんな隙間を楽しく使っていく。
■ワークスペースとしての外部空間
2,000
主に CR 2
主に CR 低学年寄り
1
職員
WC 多目的
図書
3
多目的
1 グラウンド
音楽
3 音楽 4
図工
ホール
職員
2 プレイルーム 理科
理科
図書
公園
プレイルーム
高学年 全学年から
ホール
1
WC
中・高学年寄り配置
WC
4
アリーナ
アリーナ
3
5 5
家庭
6
6
外側の動線を通りつつも、なるべく近くなるように配置。 天気のいい日には、すきまも外部の動線となる
図工
WC
4
5 5
家庭
6
機能がすきまに現れ、ワークスペースとしての外部空間がひとつながりになる。 多様なアクティビティが離散的に現れながら様々な行為を誘発される。
まちの公園の上を小学生が駆け回る
市民図書館と小学生のおびが交わる
喫茶店の店主さんの特別授業 せまいすきまにも小学生の動きが溢れる
図書室は本の路地のように、下に行くほど落ちつき上部はすきまの風景が入り込む
すきまでは工作物で遊ぶ子供たち廊下のおびをぬけてまちまでつながる
図工室では思い思いに工作する 半地下の床が机になる
裏庭のような菜園のすきま 住宅の間ほどのすきまで植物を育てる
おびの高さが変化し まちからの視線が柔らかく小学校の風景とつながる
高学年教室の日だ 少ない開口部からスリット状の光庭
スキップフロア状のスラブが 空間を連続させる
段状のひだが奥まで視線を通しつつ プライバシーを守る
小さな場所にいながら全体が緩やかにつながる
この建築により子どもたちがにぎわう姿が新たな街並みとして広がっていき、 人々のまちに対する意識を変えるきっかけとなることを願う。
30 年後の都市に貢献するガラス
02 ■第 26 回空間デザインコンペティション 30 年後のガラス空間
「ツギガラス」 入賞(5/327 作品) 新建築 2020 年 1 月号掲載
現代のガラスは、透明性・開放感等を得る為に最も選ばれる建材である。
都市は既製品のガラスで溢れており、建築物も空間も単調になりつつある。 30年後のガラスはもっと自由に、色々な姿にならないだろうか。 人口減少で都市は縮小化をたどる事は明白であり、 老朽化や地震で傷んだストックを利用して生活する事が求められる。 そんな中、ガラスはどの様に都市に貢献するのか。
■ 金継ぎ
■ ガラスの進化
金継ぎとは、割れや欠け、
ガラスは様々に姿を変え、都市に貢献してきた。
ヒビなどの陶磁器の破損部分
30 年後は「液体ガラス」として、都市に浸透していく
を漆で接着し、金などの金属 粉で装飾して仕上げる修復方法。
■ 素材活用 いた
いと
えき
コンクリートのひび割れ抑制に 用いられる高強度 GRC ファイバ (ガラス繊維補強用コンクリート)
くだ
こな
2050
は耐腐食性を有し、軽量である。 これに都市の廃ガラスを混ぜ合わ せ、液状の補修剤として都市を ガラスでつぐ。
■ 経年変化
■ 施工法
建物の老朽化
ガラスでひびを継ぐ
現在
10年後
20年後
30年後
建物の修復・ひびが入る ほど都市はきらめく
都市にひびが入るほどガラスの継ぎが広がっていき、 キラキラする都市へと変わっていく。
古くなった外壁は、街のようすを映し出す
くらい高架下が、外の光を受けキラキラ光る
ガラスは年月の跡を刻みながら継ぎ足され、日常の風景となる
継ぎ目がそのまま開口となり、洞窟の中にいるよう
ガラスが都市のいたるところを継いでいく、30 年後の風景
敷地の状態を取り戻すための建築
03 ■第 43 回 北の住まいコンペ KITASUMA2018 「場所を受ける」
「樹 木 の 住 宅」 奨励賞(4/33 作品) 北海道建築士事務所協会誌ひろば 91 号 掲載
敷地に建築を建てる。 その行為は少なからず「敷地の状態」 を壊している。 それは自然の中だけではなく、 住宅街や都市の中でも同じようなことが言える。 場所を受け、 建築は本来の「敷地の状態」 を取り戻す効果 もしくはそれ以上の状態をもたらす効果が求められるのではないだろうか。 そこで、 自然に返す建築ができないかと考えた。
1 自然に返す建築
○自然と人間 (自然に住むとは...)
2 林業を支える地域 ○林業の衰退
高さ方向で自然と人間の位置付けをする 敷地に建築を建てる。 その行為は 少なからず「敷地の状態」 を壊し ている。 それは自然の中だけではなく、住 宅街や都市の中でも同じようなこ とが言える。場所を受け、建築は 本来の「敷地の状態」 を取り戻す 効果、 もしくはそれ以上の状態を もたらす効果が求められるのでは
○愛林のまち津別町
ないだろうか。 そこで、 自然に返す ための建築ができないかと考えた。
自然は上、人間は下で住むことで、 自然に対 して有り難さを持ちながら住むいった関係 性が作られる。
津別町は北海道オホーツク総合振興局管内の網走郡に あるまちで、総面積の86%が国・道有林などの森林が占 めている。頻繁に植樹祭が行われており、町全体で伐採 された樹木を取り戻す取り組みがなされている。
Site
3 建築的手法 ○窓を縦方向に拡張
○地熱の利用
登り梁 トップライト
北海道の昔(アイヌ)の住まい方に トイチセ(土の家)がある。地熱を 利用し、 自然の力を活かした例の ひとつで、極寒の中でも自然と密接
拡張
に関わりながら生活する事が可能 であるとされてきた。提案では気密 性を重視し、断熱材の厚みを付け ることで寒さから守られ、快適な生
①空間にトップライトから 自然光を取り込む
②トップライトを拡張する
③登り梁を設ける
高さ方向に広がりを与えることで 自然の広大さを受け止める。 周囲の樹木(エゾマツ・ トドマツ) の高さにあわせる。 (5m∼20m)
トップライトの面積を縮小しより 樹木の様な形態となる。上部の 壁厚が薄いので、 登り梁を設け て部分的に屋根をかける。
活ができるのではないかと考える。
4 平面図
5 各断面図
便所
洗面所 浴室
台所
居間 玄関
スロープ 和室 玄関
寝室
和室
洗面所
居間
浴室
便所
各室断面図 S=1:400
寝室
GL-2000 平面図 S=1:100
N
6 経年変化
1 植樹する樹木(エゾマツ・トドマツ) とともに住宅が建設される
20年
20年
20年
2 エンプティーネスト50∼60歳夫婦
3 住み手が亡くなり、建築は本来の役割
がここで、林業を営みながら静かな
を果たし、生活感を残したまま年月が
自然のなかで生活をする。
経過する。
20年
4 年々劣化が進行し、そこに周囲の自然 が絡まりつく
5 住宅としてのかたちは消えて、 自然物 となる。樹木と同じ振る舞いがされ、 動物の居場所にもなる。
建築上部を支える登り梁は、 部分的に屋根を作り、 反外部空間ができる。まるで木陰の下にいるような、 原初的に気持ちいいと感じる場所である。
朝、強烈な日差しが降り注ぐ。清々しく一日のスタートをきる。 寝室のトップライトは、 自然光のみではなく景色、樹木などの自然を望むことができる。
リビングには自然光のみが降り注ぐ。空間は自然と切り離されるが、 自然光に対して意識がより一層強くなる。 部分的に階段がもうけられ、 自然に近い空間へと移動する。
人が場所とともに住み生涯を終え、建築が自然の一部となり朽ちることで場所に還元する
寒冷地で自然と向き合う住まい方
04 ■第 10 回 JIA テスクチャレンジコンペ 「自然と向き合う住まい方」
「QUADLEPLE HOUSE∼4重層の家∼」 入賞(11/109 作品)
■自然を「利用する」豊かな暮らし 自然と「向き合う」ことは、言い換えると 自然を「利用する」ことであるとも言えるのではないだろうか。 北海道のように寒冷地であり広大な自然溢れる地域では、 自然に対応した住まい方が多く存在するが、 寒さや積雪などから、暮らしは閉じざるを得ない。 そこで私たちは、住み慣れた地域の「自然環境と向き合った」 経験から寒冷地でいかに暮らしを開くことができるのか考えた。 暮らしを開きながら、自然環境の一部である湿気を利用した新たな住まい方を提案する。
N
Halfroof t=172mm
配置図 S=1/2000
fog harvesting
steel frame 200×200mm hanging wall t=100mm warkawater system
timber structure beam 180×180mm pillar 180×180mm polycarbonate t=5.5mm
1. 対象地 年中気温が低く、霧が時々発生する程多湿で、風が強く 広大な自然に囲まれた別海町の住宅地を選定する。 2.「WarkaWater」
toplight HGW(16K) t=105mm + HGW(16K) t=105mm
HGW(16K) t= 105mm
「WarkaWater」とは MIT が開発した、空気中の水分 を水に変える技術のことである。こうした技術は、通 常、テニス用の大型ネットに少し似た網(ポリオレフ ィン製の不織布でできた網)を使用する。 世界で最も乾燥した地域で空気中の水分を集めて生き 延びている特殊な植物や昆虫からヒントを得た技術で ある。アタカマ砂漠にある海岸沿いの山で現在使用さ れている網状システムは、1 平方メートルにつきおお よそ 1 日数 L の飲み水を作り出す。MIT 研究チーム の計算では、理論的には、風の強い日なら、濃霧から
○構成ダイアグラム
1 日最大 12L の飲み水を作り出せると言われている。
4. 平面計画
○平面詳細図 S=1/150 主暖房領域
主暖房領域
自然
自然
従来
家庭菜園スペース
A
A
提案
従来の住まいは自然 ( 外部 ) とはっきり別れた境界が存在して いる。自然 ( 外部 ) との間に層を複数設けることで自然との境 界線を曖昧にし自然に住まうような暮らし方が可能となる。
若夫婦 2 人暮らし
垂れ壁
1 層目に寝室、2 層目に共用部、3 層目に水回りと収納、4層 目に菜園スペースを配置する。
家庭菜園スペース
▲ カラマツ
野菜を育てる 家庭菜園スペース
エゾマツ
集会所
みんなの菜園スペース
▲ 野菜を保管する
家庭菜園スペース ( 垂れ壁が境界 )
N
老夫婦 2 人暮らし
物見台から、大きなカーテンが見える。
木々と同じ高さに大屋根が架かる
リビングから外部がよく見える
揺らぐカーテンの下はみんなが使う畑になる
既存樹木が商と住の エリアを緩やかに分ける
▲ 4 人家族
単身男性
若夫婦 2 人
美容院
花屋さん
アトリエ
G.L
○断面図 S=1/400
G.L
▲
○A-A 断面詳細図 S=1/75
住宅が4つの層をなし、人間のためのスケールから自然の木々のスケールへと徐々に拡張していく
455
455
没頭空間と解放空間の対立
05
■対立する二つの空間性 小さなコテージを実施設計する。 自然の中で寛ぎ / 眠る / 瞑想する極小の空間である。 ここでは、極小の空間を成立させる スケール・光・素材・ディティールなど 具体的な もの の成り立ち方から空間を構想することが求められた。
■修士 1 年次前期課題 環境施設設計学特論 「4畳半のコテージ」の実施設計
「The space opposed to the space 」 設計課題
そこで私は趣味に没頭するための内向的空間と 外部を限りなく近くに感じる外向的空間の 二つの相反する空間を異なる構法によってぶつかり合わせることにより、 互いがより対比的に魅力ある空間となることを考えた。
■敷地
■4畳半のスケール
敷地は室蘭工業大学の敷地内にある一角、 高い大学棟の壁に より人目につかない囲まれた場所を設定した。 ここは公道から1.5mほど上がった擁壁の上に位置し、 周囲から の目線はほぼ入らない。 中央に植生する木々や光・気候といった 条件を除いて、 ほとんどコンテクストの薄い敷地である。
4畳半でできる行為はその狭さとは裏腹に限りなく多いのでは なかろうか。 それは人間の手がとどくちょうどいい範囲だからで はないだろうか。 この多様な空間で、 内にこもって自らに没頭する空間と、 それに 対して外部に限りなく近く外を間近に感じるような解放空間を考 える。
■平面詳細図 S=1:20 E
X2
X3
X4
X5
X6
X1
N
X8
X7
Y1 455
Y1
Y2 455
Y2
Y3
GL+24mm 椅子上面
Y3
GL+110mm コンクリート段
GL+430mm フローリング
455
GL+268mm 机天板
Y4
Y4 455
GL-455mm 土間
Y5
Y5
GL±0 外構
X1
455
455
X2
455
455
X3
455
455
X4
455
455
X5
455
X6
455
455
X7
455
500
X8
194.5 292 728 19 5.5 4,295
89 18 12
2,196
ポリカーボネート t=5.5mm 小梁 19×19@1820
▽GL±0mm
120 50 150
605
▽GL±0mm
■X6ー X6 短手断面図 S=1/50
■東側立面図 S=1/50
屋根(木造部):
■Y4-Y4 断面詳細図 S=1:20
ガルバリウム鋼板 t=0.4mm ▽最高高さ GL+3,840mm
屋根(RC 部): アスファルトルーフィング モルタル+下地 t=20mm ポリスチレンフォーム t=50mm
81.5 194.5
アスファルトルーフィング 縦胴縁(通気用)15×30@455mm インシュレーションボード t=9mm 構造用合板 t=12mm ポリスチレンフォーム t=50mm
透湿防水シート 梁38×184
コンクリート打放し t=150mm
梁89×184
天井仕上げ: ラワンベニヤ t=5.5mm 1,184
リボス メルドスハードオイル塗り
内壁: ラワンベニヤ t=5.5mm
ポリカーボネート t=5.5mm
リボス メルドスハードオイル塗り
小梁19×19
外壁: 弾性リシン吹付 モルタル+下地 t=20mm 縦胴縁(通気用)15×30@455mm 透湿防水シート 1,990
ラワンベニヤ t=5.5mm ポリスチレンフォーム t=50mm
床: 基礎:
フローリング t=12mm
防水シート
構造用合板 t=18mm
防水モルタル t=20mm 透湿防水シート ポリスチレンフォーム t=50mm
モルタル金ごて仕上げ
コンクリート打放し t=150mm RC束
390
シナランバーコア t=21mm
土間コンクリート(メッシュ入り)
土台 89×89 大引 89×89
▽GL±0mm
砕石 t=120mm
120
400
455
▽GL±0mm
1,820
455
455
455
455
455
455
455
416.5
500
足りないものを補い合う、現代の村
06
現代社会では個々の生活基盤が確立し、 イエは一戸で完結性の高いものとなっている。 かつての村では互いの生活基盤を支え合う為に全体が成立し、 個々の空間・生活の共有が起こっていた。 その結果、村では互いの暮らしにおいて 足りないものを補い合う関係性が生まれていた。
■第 6 回 POLUS−ポラス− 学生・建築デザインコンペティション theme「村」
「おとなりさんちのわたしのへやー足りないものを補い合う家々ー 」 コンペ応募作品
しかし、現代においてそのような関係性は失われつつある。 そこで現代における「村」性とは何か。
現代の住まい 都市
現代の村
かつての村 村
村
都市 使って欲しい
使ってみたい 料理をふるまいたい
場所を借りたい 場所が余っている
趣味を共有したい 趣味が欲しい 料理を作って欲しい
生業
支え合う必要がない
村を成り立たせるため
個で完結した暮らし
生業を元に村の人どうしで暮らしていた
欲望
個々の欲望を元に暮らしを開く
暮らしをより豊かにしたいという個々の欲望がイエの枠組みを超えて村全体に広がり、足りないものを補い合う関係性を生む。
■イエの構成
プライベートな空間から生活を引き出す nLDK の住宅では1つの室
水廻りや寝室などの住宅の
コアの角度を振ることで開かれたイエが
が1つの機能を持ち、機能
機能を帯状のコアに集約し、
集合することで余白から外部へ生活が溢
をもたないヘヤは少ない。
もともとイエであった空間
れ出したり、余白に他者の生活が流れ込
個の生活は住戸内で完結し、
を余白と捉える。余白はコ
んだりする。隣に自分のヘヤがあると同
他者との関係を持たない。
アから機能を引き出すよう
時に自分のヘヤは村の物でもある。
に利用される。
■イエとドマ ドマとミチで暮らしがつながる イエの端部が折れ曲がるミチによって切り取 られ、余白としての三角ドマが現れる。 ミチから 200mm 上がったドマには住人の生 活や趣味がコアから溢れる。 壁がミチまで伸びることで鉤型のフレームが 生まれ、アクテビティのスケールにあった数 のドマが一体的に利用される。 暮らしによってミチが彩られていく。
イエの隙間に生活が溢れる
■居住者設定
夫婦2人…3世帯
家族4人…2世帯
単身…2世帯
老夫婦…1世帯
みんなの広間 ドマ図書館 前面道路からミチをみる
ドマカフェ
みんなの劇場
おとなりさんとわたしの余白がつながる
住人同士が集まって映画を見たりパーティをしたりする小さな劇場に
ドマ図書館
住人それぞれが好きな本を玄関に置くまるで古本市のように
ドマカフェ
料理好きな人たちが集まって空間を共有するとカフェのように
■配置図兼平面図 S=1/200
映画鑑賞
お隣さんは読書好き
寝室から庭に出てみよう
お隣さんとお話し 庭先を眺める
通りに漏れ出す生活の風景
外に出て作業 近所まで風景が溢れる
本好きが集まって
作った料理を振る舞う
古本市 みんなの椅子 みんなでご飯
小さな演奏会
お隣さんのドマを借りる
隠れ家 お隣さんにお邪魔する
リビングで本を読む お隣さんのドマを借りる
路地 お気に入りの庭先 たまには外で作業 楽しそうだなぁ
N 0
3
6
15m
■断面パース
ドマ
ミチ
ドマ
キッチン
ドマ
サニタリー
リビング・ドマ
外部からミチまで暮らしの濃淡が切り替わり徐々に空間が変化していく
テラス
庭
隣地
2020 PORTFOLIO 卒業設計 お手伝いさん(2018 年度) 感謝を込めて 学部 4 年 さとりょー
2020 PORTFOLIO
学部 3 年 ひろき かわさり みなみちゃん けいちゃん 学部 2 年 だいち なおちゃん
学部 1 年 こうた
■phone
たいが
080-2875-4889
あいちゃん あいなちゃん
なつみちゃん
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あみちゃん
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