Landscape Architecture Portfolio_Japanese

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地域全体計画図

詳細計画図

01 グリーンインフラとは ⑴提案における定義 ¦ 生態系と人間の歪みを優しくつなぎとめる  グリーンインフラとは、生態系ネットワークと地形に基づいた社会基盤を作ることである。  そして、人工物(グレーインフラ)で覆われた現代社会の 間に ランドスケープデザイン として 生 態系や地形の持つポテンシャル を埋め込むことで、人間の世界と自然界の間にできた歪みを優しくつなぎ とめていくための手法である。

Green Infra Human Society

Nature

そのネットワークが広がっていくことは、人間と生態系の距離が少しずつ近くなっていくことを意味する だけでなく、自然災害が起きた時に、それを許容しながら生きる レジリエンスを高めることにもつながる。

⑵海外での定義 ■欧州委員会  …グリーンインフラは生態系保全のための手法

はじめに

自然的、第二自然的な場所で生態 系サービスの広範囲にわたる環境 をデザインし管理するように戦略 的に計画された緑と水のネット ワークは環境の状態、そして市民 の健康と生活の質を改善すること ができ、生物多様性を強化する。

Green Economy

Create Job Opportunities

Enhace Biodiversity

■アメリカ合衆国  …グリーンインフラは雨水コントロールとしての手法

improve

improve

Environmental Condition

Air Quality improve

improve

Climate Mitigation and Adaptation Space for Recreation

Water Purification

improve

Citizens Health

improve

Quality of Life

グリーンインフラは流出 雨水を減らし雨水を環境 的に社会的に、そして経 済的に雨水の元へ誘導す る。

Stormwater

Social Benefits

manage

Environmental Benefits

Green Infrastruacture

Economic Benefits

Source

(under ground,sea,river)

manage

Green Infrastructure

⑶人間と生態系の関係性 ¦ これからはお互いに Give and Take の関係になるべき

はじまり(縄文∼江戸) 人類が現れた頃は生態系で満ちた 間の部 分に人間社会が存在していた。人間社会は 生態系から多くの恩恵を得ていたが、人間 社会の大きさが小さく、生態系から何かを とりすぎることがなかった。

人間社会の成長(江戸後期) 文明が発達してくるにつれ人間社会も 大きくなり、 間に存在するのではな くまとまって存在感を示すようになっ た。

人間社会の肥大化(産業革命) 生態系からの恩恵を受けすぎて自然の

バランスが崩れて人間社会が端に追い やられていった。また、端に行ったた めに人間社会と生態系のつながりで あったグリーンインフラシステムが弱 体化していった。

人間社会の孤立(現在) 産業革命以後のバランスの乱れによって人 間社会が自然から孤立しかけている。また、 グリーンインフラシステムがほぼ失われ、 自然災害を許容できなくなったり、地球環 境の悪化に対して対応することができなく なっている。人間社会が自然を破壊するこ とも増えている。

これから(地球の将来) まずグリーンインフラシステムの機能 を強化することで人間社会と生態系の 結びつきを固くする。また、人間社会 が生態系から恩恵を受けるだけでな く、人間社会が生態系に対して良い影 響を与えることで、生態系と人間社会 が共に生きていく構図を作り上げる。


03 グリーンインフラネットワークの構築

02 提案の背景 ⑴地球温暖化に伴う環境の変化 ①気温上昇

ヒートアイランド現象、熱帯夜、熱中症の原因、 植生など生態系への影響

②降水量の増加

土砂災害の原因や農作物の生育への悪影響、内水氾 濫や洪水の原因に

③非常に激しい雨

①雨水マネジメント

許容量を超える雨量で従来のインフラが機能不全に

地表面で流出した水をレインガーデ ンや緑溝などを用いて、浸透・流下・ 保持・貯留させてコントロールする。

②災害時の減災効果

土砂崩れの土石流をせき止めた り、土砂崩れとなる水を樹林地で 食い止めたりする。

③景観の向上 平均気温の上昇

ー日本の平均気温偏差は年々上昇している。今までの日本の年平均気 温は、長期的には 100 年あたり約 1.19℃の割合で上昇しており、特に 1990 年代以降、高温となる年が頻出している。

植生や生態系への影響

降水量の増加

ー降水量は年ごとにばらつきが多いが、世界の年降水量偏差より、徐々 に偏差がプラスになる年が増加してきている。

ー気象庁で定義される雨の最大は、非常に激しい雨(50mm 以上 /h)と呼ば れている。この非常に激しい雨について、最近 10 年間の平均年間発生回数は、 統計期間の最初の 10 年間(1976∼1985 年)と比べて約 1.4 倍に増加している。

災害や農作物への影響

④CO2 の固定 CO₂

植物が、その根や茎、葉に二酸化炭 素を取り込み、枯れた後も二酸化炭 素は固定される。

⑤教育の場

グリーンインフラ機能が、環境問 題や生態系を学ぶ場所となる。

昔からの地形や伝統を受け継ぐラ ンドスケープが環境にとってより 良いものであることがある。

⑦レクリエーションの場 植物に囲まれた暮らしには、リ ラックス効果やストレス軽減の作 用がある。

緑地が増えることで、ウォーキン グやサイクリングなど運動をする 機会が増える。

②内水氾濫による被害

東京の内水氾濫被害額は外水氾濫被害額の約4倍

③都市部での被害規模

ー②本川に合流する都市部などの中小河川(支川)では、支川から 本川へ大量の雨水を流すことができずに水が市街地へ れ出すパ ターン

緑地が広がることで、生物たちのす みかが増える。そのことは生態系の 回復にもつながる。

b. 保持する -Stay  植物の根が雨水を 吸い上げ、内部に雨 水を保持する。

⑪延焼防止帯

樹木によって含水率は異なる。含水 率の高い樹木を街路樹として用いれ ば延焼防止帯の機能を果たす。

c. 浸透する -Retent  植物が生きる地盤 ではよりたくさんの 雨水が浸透する。

緑中心に暮らすことで、協力しあったり、 交流する場がグレーインフラのみの時よ りも増加する。

d

b c

f

e. ためる -Store  植物が雨水をためる場

d. 流す -Flow  植物の茎や幹や根 が、雨水をゆっくり と流す。

e

所に生息することで、雨 水を大気に返したり、浄 化する手助けをする。

f. 浄化する -Clean  植物の根部分に住 む微生物などが手助 けをし、雨水が浄化 される。

都市機能の麻痺や死傷者の発生

[①神田川流域の地形との関係性 ]

6 つの役割を神田川流域の地形と関連付け、地形ごとのグリーンインフラの効果の関係性の表を作成した。 ①下末吉段丘面

②武蔵野段丘面

③台地内小段丘面

④段丘内の浅い谷

⑤段丘崖

⑦干拓地

人工地盤の増加 ー①地表面のアスファルト化により雨水が浸透できなくなったこと が原因で、大雨などが降った際、下水管や排水管に入りきらなかっ た水が一気に河川へ流れ込むパターン ー②本川に合流する都市部などの中小河川(支川)では、支川から 本川へ大量の雨水を流すことができずに水が市街地へ れ出す

の 役 割

都市機能へのダメージ ー都市部で内水氾濫が起こると、地下鉄のホームが冠水して公共交通機関 に影響をもたらしたり、マンホールから水が れかえるなど、様々な被害 が起きる(写真:2014/9/10 ゲリラ豪雨により JR 総武線新小岩駅が冠水し た時の様子)。また、1999 年 6 月福岡水害では冠水した地下空間に人が取 り残され、死亡事故も発生した。

c. 浸透する

礫層であるから

d. 流す

e. ためる

f. 浄化する

崖であるため、 がけ崩れにつながる

高低差を利用可能

谷底へ向けての傾斜を利用

浸透しづらい

崖であるため、 がけ崩れにつながる 干拓地は排水しづらい

礫層であるから

もともと海や河川

広く緩やかな傾斜が 浄化のゴール地点に 必要であるから なりうる

⑥後背湿地・谷底低地

ジメジメしているため 樹木が生い茂ると 陰気な印象を与える

ジメジメしているため 樹木が生い茂ると 陰気な印象を与える

礫層であるから

b. 保持する

GI

支流からの越水

a

a. とどめる -Keep  植物の葉が雨粒を キャッチし、樹冠に とどめる。

⑫コミュニティの維持

⑧健康促進

河川

ー①地表面のアスファルト化により雨水が浸透できなくなったことが原因で、 大雨などが降った際、下水管や排水管に入りきらなかった水が一気に河川へ 流れ込むパターン

植物浄化やバイオエタノールなど、生 態系がエネルギーを生むハブにもなり うる。

⑩ビオトープ機能

⑥歴史・伝統の継承

a. とどめる

人工地盤の増加

雨水管理に関するグリーンインフラの役割を、a. とどめる b. 保持する c. 浸透する  d. 浄化する e. 流す f. ためる、の計6つに分類した。6つの関係性は下のダイアグラム の通りである。

⑨自然エネルギー供給

⑶6つの機能と神田川流域の地形 / 植生遷移の各フェーズとの関係性

⑵都市部での水害(内水氾濫) 雨水の行き場が降水量、人工地盤の増加によりなくなる

植物によるランドスケープが都市 に潤いを与え、美しい景観を生む。

非常に激しい雨の頻度の増加

非常に激しい雨による影響 ー年間降水量が増加すると、ある場所に雨が降り続けた時、雨水が蓄え ー非常に激しい雨が降る頻度が今後さらに上がれば、従来の許容水量を遥か ーこれらの気温上昇は、熱中症を引き起こす原因となり人体に影響を与 きれずに一気に崖が崩れ落ちる土砂災害が発生したり、農作物の生育に えたり、地球の植生や生態系へ大きな変化をもたらすと予測されている。 影響が出る可能性がある。また、 洪水や内水氾濫の発生の可能性が上がる。 に超える雨水が一気に流れ込み、河川での洪水や、水インフラが機能しなく なり、内水氾濫が発生するなどの被害が起こる頻度が高まると予想される。

①内水氾濫の原因

⑵雨水コントロールの 6 つの機能

⑴ グリーンインフラの持つ 12 の機能

広く緩やかな傾斜が必要である


[②日本における植生遷移のフェーズとの関係性 ]  6 つの役割を植生遷移の段階と関連付け、段階ごとのグリーンインフラの効果の関係性の表を作成した。 ①裸地

②草本

③低木

④アカマツの登場 ⑤アカマツ林

⑥陽樹の忍耐

⑦ギャップの形成 ⑧陽樹林と陰樹 ⑨陰樹の生長

グリーンインフラでつなぐ「線」 1

ー今までの個々の点であった土地のポテンシャ  ルをつなぐ。

⑩陽樹から陰樹へ ⑪極相・終局群落

Green Infra

つながりを強化する「面」 2

Potential

植生遷移の フェーズ

ーそれらの線に囲まれて、つながりでできた面が  生まれる。

3  レシリエンスを高める「トランポリン」 時間(年)

Δ0

Δ2 3

Δ5

Δ5 25

Δ25

Δ25

Δ30

Δ40

Δ50 80

Δ50 80

Δ150

浸透能 (mm/h)

7

22

102

102

144

144

230

222

230

140

140

a. とどめる

b. 保持する

GI の 役 割

c. 浸透する

樹冠を形成する樹木自体がない

樹冠の広がりがない

多くの水分を保持できるような太く長い根を持つ植物が存在しない

Re sil ie

上流域 -A 樹木の種類や地層によって変わる

4 「大きなトランポリン」

nc e

ー水の流れの単位である 流域全体 で線をつな  ぐと、トランポリンがたくさんでき、それはや  がて流域を覆う大きなトランポリンになる。

玉川上水

根は草本や低木よりあるが乾燥した場所を好む

アカマツは乾燥した内陸部を好む

d. 流す

e. ためる

ー面的なネットワークがレシリエンスを高める  (例えば水害が生じても最小限の被害に抑え、   回復を早める)。あたかも、しなやかな トラン  ポリン のように。

自然環境の変化や気候変動がもたらす災害にグレーの力だ けで対応するのではなく、その土地のもつコンテクストや地 形、植生を組み合わせてグリーンインフラネットワークを構 築することは、100 年後、自らの生命力で、 間に拡大した GI ネットワークが大きなトランポリンとして神田川流域を包 みこむように広がる。このトランポリンは、防災・減災の効 果はもちろん、生態系の回復のための力(Resilience) になり、 神田川流域では、人と生態系の距離が近づく。

井の頭池 善福寺川

中流域 -C,D,E

根の張り方。深さによっては、水が流れない方が 良いものもあるため注意する必要あり 神田川 湿生植物などと組み合わせて雨庭を 作ると GI としての効果が高まる

f. 浄化する

敷地 A でうるおされた神田川で江戸インフラが復活する。 敷地 B だけでなく流域全体が神田川と水路をベースにう るおう。

アカマツは乾燥した内陸部を好む

上流域 -B 日本橋川

上流域 -B

アカマツに水質浄化機能があるという情報が得られな いため浄化機能はなし、とする

皇居

隅田川

下流域 -F 進行遷移

退行遷移

裸地であるよりも、グリーンイン フラを取り入れたほうが環境面で も効果的なため遷移を進める

d に対し、低木が生 えてこないように手 入れする

アカマツ林よりも、陽樹林のほうが GI 機 能だけでなく、空間としても多様性に富 むため遷移は進行させる

f の機能に関して、浄化機能を常に保ちた い場所では、アカマツよりも浄化能力のあ る種の草本のフェーズでキープする必要が あるため、人の管理で遷移を退行させる

a に関して、常緑樹は四季を通して樹冠 が存在するため、雨水の急激な流入の影 響を受ける斜面地近くでは、効果的

c に関しては、落葉樹の方が効果的 である。流すよりも浸透させたい場 所では、陰樹の森にならないように 進行遷移の力を加える

神田川をうるおすために、集水域であるこの土地 で玉川上水と浄水場を使い、水源涵養林を作る。

がけ崩れを防ぐために台地上で水をコントロールし、 がけ崩れが起きた時、それを許容するように新たなラ ンドスケープが生まれる。 崖線からの湧水は、水の流れを可視化する。

中流域ー C,D,E

高潮と内水氾濫の被害を軽減するために、「水 害防備林」として水辺・湿地の帯を江戸イン フラに沿って形成する。 将来、この帯は海面上昇から陸を守る海岸線 の指標となる。

下流域ー F


江戸インフラを使って神田川をうるおす ー江戸のインフラ

玉川上水 × 現代のインフラ 浄水場 ー

上流域の対象地は、武蔵野台地の段丘面に位置する神田川の水源、井の頭池の集水域。  ここでは、江戸インフラと浄水場を組み合わせてグリーンインフラ機能を持たせる。植生遷移 の段階を 常緑落葉混交林 にすることで、浸透能が高い集水域へと変える。  この場所で浸透した水は、今は枯渇している井の頭池で再び湧き出し、神田川の流れに乗り流 域をうるおす。そしてまた、玉川上水の助水路と神田川が交わる場所で、神田川の流れが玉川上 水の助水路をうるおしてゆく

短冊状新田開発

位 の

低 下

緩速ろ過方式

水に乏しい武蔵野で水をどう平等に 扱うか考えた街路や水路に対して細 長い地区割り A 境浄水場

日本最大級の面積。浄化槽ごと に独立していて分割できる

内 水

神田川

玉川上水

(神田上水  笹塚支流)

本水路と助水路が江戸のま ち中に張り巡らされている

B 神田上水笹塚支流

東京都の代表的な都市河川として 人々の生活に結びついている川

木密市街地 路地空間をはじめとし、整備され た街区とは異なる印象がある

神田川流域をうるおす「上流域」

神田川の集水域での雨水浸透能を高めるために、既存の緩速ろ過式 浄水場を植物浄化方式の浄水場にする

04-1 上流部(現況)

⑴対象地 _A. 境浄水場 /B. 神田上水笹塚支流 上流域 A. 境浄水場 昭和 30 年頃から水位低下が進み、昭和 38 年頃に枯渇したた め、現在はポンプで地下水を井の頭池へ み上げている。 玉川上水

上流域 B. 神田上水笹塚支流

井の頭池

神田川


04-2 上流部(提案) A- ダイアグラム

⑵玉川上水 ■江戸インフラ

■車道による分断

1653 年、幕府からの命により作られた  現状、境浄水場と玉川上水は、車道により分断さ 羽村取水堰から四ツ谷までの全長 43km れている。また、玉川上水の水量は少なく、植物が 鬱蒼と生い茂っており近寄りがたい印象。 の水路。

■水の流れ

玉川上水と境浄水場は隣同士にあるが、水 の流れに関して、直接的な関係はない。現在 玉川上水に流れている水は、再生水である。

とどめる -Keep

⑶槽ごとに独立した浄化法_緩速濾過方式 ■微生物の浄化作用を用いる

発ガン性リスクのある薬剤を使用しない、水の美味しさ、 エネルギー消費量が少ない

浸透する -Retent

ためる -Store

浄化する -Clean

古地図を用い て、浄水場近く の短冊状新田の パターンを作る

トレースした短 冊状新田のパ ターンを 浄水場の水槽平 面図に重ねる

開渠から取水して 浄化する

浄水場を分割 してずらし、 インフラをま ちに開く 暗渠から取水して 浄化する

取水する

緩速濾過方式とは、緩やかな速度でろ過地の砂層に水を通し、砂層の表層部に 繁殖している微生物の浄化作用を用いる方法である。 一般的に普及している急速濾過方式では、いくつかの水槽が1セットとなって、 水を移動させて浄化をしているが、境浄水場では全部で 20 の水槽があり、それ ぞれが独立している。

■メリットとデメリット

操作手順 1 1906 年東京年地図をトレース

操作のダイアグラム

A. 神田川をうるおすランドスケープ _ 境浄水場

(境浄水場の場合、多摩川の貯水池から自然流下でやってきた水を取水している)

玉川上水

4

2

原水 生物濾過膜 砂層

車道を緑道にする

浸透する

4 5m/day(0.2m/h) の速度

塩素投入

中央に開渠を移す

砂利層

20 40 日毎に生物濾過膜の目詰まりを取り除くために砂 層表面を 10cm ほど削り取る必要がある

浄化後の水

浄水場を分解して 緑道側にずらす

上水道へ

玉川上水

緩速濾過方式の仕組み

⑷短冊状新田開発_武蔵野台地特有の農業  境浄水場周辺の古地図(1909) を地図記号ごとに分類すると、道路沿いに短冊状の農地 が現れる(=短冊状新田)。   短冊状新田開発は、武蔵野台地上に分布している。 武蔵野台地は、上部が厚い関東ローム ( 火山灰 ) におおわれ、その下部にも厚い砂礫層が あって、地下水が浸透するため、水に恵まれずに開発されずにいたが、近世になってはじ めて耕地拡張の必要にせまられて台地面上が開発された。その際、計画的に、そして街道 に対して、平等に敷地を割り振るために生まれたものである。  この農地の区割りは、玉川上水側に向かうにつれて、粗になっていくことが特徴である。

人口減少により、北東 側の浄化槽はなくなる。

3

北側の浄化槽から まちに向けて水を配る

玉川上水

南西側は全ての槽で 植物浄化を行う

いくつかの浄化槽で 植物浄化を用いる

玉川上水

北側の浄化槽では 全てで植物浄化を行う

南側の浄化槽からは 玉川上水に放水する


②萌芽更新する ①クヌギやコナラを植栽

①試験的な植物浄化システムの採用

従来の微生物浄化のシステムに加えて 植物浄化のシステムを加えることで、砂交換のスパンが長くなる。 また、ビオトープ効果も高くなる。

雨が降っても 雨水が浸透できる地盤はない

玉川上水横の歩道は、鬱蒼とし、手入れのされてい ない木々と暗い雰囲気により、歩行者が少なく、貴 重な親水空間としての機能が果たされていない

土地に無理な負荷を加えないように裸地か ら草本・低木のフェーズまで土地が自身の 力で回復するのを待つ ①

玉川上水内の植物を間引きして明るい親水 空間にし、既存のイロハモミジーケヤキ群 集の構成種を植栽

ケヤキやイロハモミジをはじめとする柔 らかな木漏れ日を作る樹種で構成された 緑道を下草管理をしながら維持する。

境浄水場ではその全てが植物 × 微 生物浄化で動くようになり、 完全に自然エネルギー化される。

②アクティビティの場所の変化 今までは玉川上水側だった人々のア クティビティが浄水場側に移る。

③ハンノキを植栽 ③

①完全に植物浄化を取り入れる

5 7 年のスパンで定期的に雑木林 を管理し、植生が常緑林に進行し ないように管理する。またアズマ ネザサなどの下草の管理もする。

②木漏れ日の緑道

②植物の管理

①生い茂る木々

①土地への負荷は最小限に

浄化後、地下にある水路に直接流れ込む

ゆっくりと時間をかけて回復した土地 に、武蔵野の雑木林で一般的なクヌギー コナラ群集を人の手を加えて作る。

③ハンノキ林が広がる

養分に富む植物浄化槽への種子が飛 び、ハンノキの林が広がる。

オーバーフローで生まれた湿地に、潤 沢な土壌を好むハンノキを植栽する。

②まちに閉ざされた浄水場

浄水場は、GL+2.5m の場所に作られて おり、まちに対して完全に閉ざされた場 所である

③常緑樹の忍耐

③遊歩道を作る この道路に並行して幹線道路が近くを走って 居るため緑道として設計し、浄水場と玉川上 水をつなぐ

④浄化能力の変化

玉川上水側の手入れの頻度を減らす ことで、植生遷移を進行させる。 適度に退行遷移の力を働かせること で、常緑落葉混交林を維持する。

水たまりに アメンボがいるよ!

見せて見せて!

植物浄化槽にハンノキ林が広がり、植 物浄化が行われる場所と徐々に躯体が 朽ちて土に帰る場所に分かれる。 人口の減少に伴い、水供給量を減らす。

風が涼しいなぁ コオニタビラコ って言うのよ∼

これ何の花?

ぬかるみにはまった!

鳥の歌が よく聞こえる


崖地形を生かして、災害を防ぎ、水の流れを可視化するー段丘崖の上下でコントロールするー 目白台運動公園

中流域の対象地は、武蔵野台地を削り取った谷、神田川がまだ自然河川であっ た頃の谷底と崖である。  ここでは、まず崖の上で崖への雨水の流出を防ぎ、土砂災害の発生を防ぐ。そ してその崖で、がけ崩れが発生した時、そこではその被害を受け入れた新たなラ ンドスケープが生まれる。  また、崖線上に湧き出る水を、ランドスケープデザインとして魅せることで、 中流域での水の流れが可視化される。

崖く ず

崖の上に位置する大きな緑地で、 崖への水の流れを左右する重要な 位置にいる

が け

C 目白台運動公園 D 学生寮テニスコート

台地面と崖と崖の上で織り成される、防ぎ、受け入れる関係とそして水の流れ が見えることは、神田川のこれからの全体像を体現している

れ ・

内 水 氾

日本庭園 古くから人の手による管理の力が 強い日本庭園は、元の形を維持す る力が働く場所

崖地の植生 ホテル椿山荘東京・肥後細川庭園 内水 氾

テニスコート 崖からの緑地が延びた場所にある テニスコート

E 江戸川公園

崖線からの湧水 崖の上の台地で浸透した水が、形 として現れる

江戸小紋

水の流れを可視化する「中流域」

雨水は崖の上でコントロールされ、コントロールされた水は崖の下の公 園で可視化される。地元住民は公園で過ごしながら水の流れに気づく。

江戸時代から神田川流域のこの地 に根付く伝統工芸の江戸小紋

05-1 中流部 C,D,E( 現況) ⑴対象地 _C. 目白台運動公園 /D. 学生寮テニスコート /E. 江戸川公園 中流域 C. 目白台運動公園

井の頭池

神田川


05-2 中流域 C,D,E( 提案)

⑵ハザードマップ(土砂崩れ / 内水氾濫)

D 許容する庭 _ 学生寮テニスコート

C 操作する庭 _ 目白台運動公園

+ 保持する -Stay

土砂災害 の軽減

+ とどめる -Keep

E つなぎ、結ぶ庭 _ 江戸川公園

深く張る 木の根

浄化する -Clean

ためる -Store

崖線の GI

ためる -Store

操作するニワ

ーがけ崩れの被害を軽減するために、 水が崖に流れ込み、崩れるのを防ぐた めに、水を操作する庭

C: 目白台運動公園

D: 目白大学学生寮   テニスコート 許容するニワ

ー備える庭で防ぎきれなかったがけ崩 れで新たにランドフォーム形成され る。ここは、その形を許容して新しい ランドスケープが生まれる庭

東京染小紋は最初、武士の裃に小紋染めが使われいた。模様 は武家ごとに異なり(武家ごとに決められた小紋は御定小紋と 呼ばれていた)、模様が他の家と被ってしまうことや庶民が小紋 を身に付けることはご法度とされていた。小紋は徐々に江戸庶 民にも用いられるようになる。それまで、品格を重んじる上品 な柄が主流であったが、次第に野菜や金物など、身の回りの品 をモチーフにしたユーモア れる小紋が流行し、さらに発展し ていった。

細川肥後庭園

ー日本庭園は災害を受けても、また元 に戻そうとする管理の力が強い庭 災害による被害を受けても、職人の手 でまた庭を再生する

ホテル椿山荘東京

⑶伝統工芸 江戸小紋 ー江戸時代から続く工芸 江戸小紋 ー

管理するニワ

ー神田川沿いの原風景 水元 ー

富田染工芸は、初代浅草(隅田川沿い)に工場を構えていた。 人口が増加し、川の水が淀んできたため、大正3年、上流であ る神田川の現在の場所へ移動。その頃他の染物屋も江戸川橋か ら下落合・妙正寺川との合流地あたりに移動してきた。 昭和 38 年(前回の東京五輪の前の年)までは、神田川で水元 をしていたが、東京都の条例により、川の汚染を防ぐために禁 止された。 現在は、水道水と組み上げた地下水を用いて水元を行っている。

ー惜しまれる声に推された水元の復活ー

近隣住民の神田川での水元を惜しむ声に推され、平成年、 イベントとして神田川で水元を行った。 しかし、現在の水質は悪く、水元後、水道水で洗い直して も、川の腐葉物やチリは落ちず、布にごわつきが残った、 と職人さんがおっしゃっていた。

つなぎ、結ぶニワ

ー崖線からしみ出す湧水は、上 の二つの庭での流れが可視化さ

N

E: 江戸川公園 1:2500 中流域広域平面図


05-3 中流部|敷地 CD 目白台運動公園・学生寮テニスコート ( 提案 )

2018 現在

敷地 C 目白台運動公園

C 操作するニワ _ 目白台運動公園

C,D- がけ崩れが起きた場合の変化と操作 目白台運動公園 崖地

住宅地

敷地 D 学生寮テニスコート

テニスコート

2020 防備林を作る

③テニスコートの住宅地側の半分は、 ヤブツバキ域の二次林として代表的で、 また根の張り方が深いコナラ林を作る

神田川 ①人の活動域に近い場所は落葉樹を 植え、それ以外の場所では、浸透能 が低い常緑樹を植栽 ②テニスコートの崖側の半分は、 がけ崩れで流れる土砂の量を少なく するために植栽は避ける

C,D- 水のコントロール 玄関の雨庭で 見せながら浄化する くぼみに貯めつつ流す

C

オーバーフローしたら さらに東側へ流れる

207X 大雨による崖くずれの発生

雨庭に流れ込む雨水

①樹冠で雨水をとどめて 雨水流出速度を緩める

浄化された水は水盤 で使われる

②防備林がバッファーとなり、 住宅地を守る

地下に浸透枡を設置して 公園の東端へ流す 地下の貯水槽に流す 道路沿いの雨庭へ流れこむ

テニスコートではグレーインフラ を使い崖へ流さないように、テニ スコート下に管を設置する

水はこの線から崖へ流れ込ま なうようにする 崖の植生が雨水をとどめる

■1:200 AA 断面図

円弧滑りで崩れると仮定する

207X 崖くずれ発生後

①グレーの力を借りて 法枠工を施す ②新しい斜面に 深根性の植物を植栽

1% 勾配をつけて、雨が降った時にこの 区画に流れこむ雨水を東側へ流す

③コナラ林は萌芽更新 しながら維持する

浄化された水を使った水盤から、 水がオーバーフローする

1% 勾配 a 雨庭

2120 崖くずれからの回復

①適度に間引きしな がら崖地を再生する

■1:50 a 雨庭 断面図 ②コナラ林が広がる

N

1:300

目白台運動公園

■1:50 b 水盤 断面図

b 水盤


D- 許容するニワー災害防備林

E- 江戸小紋のまち _ ダイアグラム 江戸小紋三役のパターン

土砂を防ぐバッファーとしてのコナラ林

神田川流域で江戸時代から盛んだった江戸小紋のパターンと、 東京五輪前まで神田川で行われていた水元(染めた反物を洗っ て干す作業)の様子をデザインのベースのパターンにし、江戸 川公園で 見えるグリーンインフラ を提案する。 また、人口護岸化(コンクリートで河川の擁壁を覆う)され、 水路として深く掘り下げられた神田川で、どう川という親水空 間を感じるかにも焦点を当てた。

比較的根が深く張るコナラ林は流 れた土砂を受け止めても 倒れにくい

小紋

土砂として流れる可能性があるため 植栽を施さないエリアを設ける

通し

雨庭の帯に接する場所では、 ジャヤナギ やヤマナラシ(少しの風でも 音がなる)を中心に植栽することで 雨 や 水 へ意識が向くような空間とする

コナラをベースにした雑木林のエリア

デッキ

N

1:800

学生寮テニスコート

①江戸小紋の柄行儀のパターンを 舗装面に落とし込む

■1:100 cc 断面図  行儀の帯

e 崖線をのぞむ芝生広場 _ 内水氾濫時の遊水池 ■1:100 gg 断面図  芝生広場から崖地にかけて

②いくつかのパターンを     ランダムにくぼませる

g

③水がたまったり、     植物が生えたりする

崖地の植生は、ケヤキやイロハ モミジなどを中心に植栽する

c 水たまり

急勾配の崖

神田川の浸水想定 0.5-1.0m であるため、 この芝生広場では植生が定着しない 浸水の際、神田川から 水が上がってくる

舗装パターン

地盤に浸透しつつ、たまる

b 湧水の帯 _ 見える GI と礫間貯留

c ハザードの帯 _ 浸水時の高さを体感する

公園の東側から、流れ込んだ 雨水が、足元の礫の間にたま りながら流れる

ススキやカヤツリグサなどの、日本の 在来種で、かつ背が高くなる草本を帯 に植える

定期的な萌芽更新による丸太 ー生き物のすみか、子供の遊び場

d

ホテル椿山荘東京 _ 管理するニワ c

椿山荘とグリーンインフラ ①土砂災害時|庭園の内部

②水害時|庭園の川側

神田川の外水氾濫に備えて桂垣を用いる

e

崖の上の小学生が行う落ち葉かき ー集めた落ち葉は次の土壌の元になる

g

ホテル椿山荘東京の日本庭園は、南北朝時代からツバキの自生する地として知られた場所を、明治 11 年 1878 年に山縣有朋が作った庭園 が継承されたものである。庭園として古くから存在するこの場所は、「肥後細川庭園」と共に、史跡として今後もその形を残していくことが 望ましいと考える。

■1:100 ee 断面図  ハザードの帯

■1:100 dd 断面図  礫間貯留の帯

足元のサウンドスケープだけ でなく、夏場は、ヒートアイ ランド対策にもなる

f

神田川f

■1:100 平面図  行儀の帯

小さな雨庭

2%

徐々に浸透していき、浸透枡へ流れ込む

a 行儀の帯と水たまり ■操作方法

水田に生える、日本古来の雑草群落で構成する

行儀

E- 交わる帯とグリーンインフラ

子供の遊び場としてのコナラ林(雑木林)

雑木林には生き物が多く住む。 また、萌芽更新により明るい林内 で子供の遊び場に適している。

d 雨庭の帯 _ 水田雑草群落が構成する湿地 ■1:100 ff 断面図  湧水の帯と GI とデッキ

d

e

ハザードマップで記されている、 0.1 1.0m の浸水高を意識した植栽を 行うことで、人の感覚の中に災害や自 然との距離を意識づけることができる

人の手を入れて、 元あった形に戻す

川ぞいに耐水性の良い 淡竹を植栽する

竹をしならせて格子状に 組んだ垣根に編み込む

濁流が越されて水のみが 庭園内に侵入する


26m

ホテル椿山荘東京

22m

24m

20m 18m

16m

26m

14m

12m

24m

10m

22m 20m

崖からの湧水 ーコントロールされた水が可視化す る場所は憩いの場である

18m

16m

湧水の帯 ー爽やかな水の音と冷たい空 気が生まれる場所

14m

E- 平面図 1:500

g

12m

8m

10m

崖線の森 e 芝生広場

g

e

8m

c ハザードの帯 e

a 行儀の帯 b 湧水の帯 d 雨庭の帯

神田川

c

d c

d 雨庭の帯

d

f

f

行儀の帯 ー水たまりや木漏れ日や草本の中を大人た ちは少し身を屈めながら歩き、子供達のア イレベルに合わせて自然のワクワクが散り ばめられている


江戸インフラに沿って育つマングローブが新しい海岸線になり陸を守る ー江戸のまちのインフラ × 海面上昇 × マングローブー  下流域の対象地は、関東平野の扇状地を埋め立てた、沖積低地に位置する東京の下 町、人形町。  ここでは、江戸インフラと小中学校を基準に、マングローブの森を形成することで、 温暖化が進むことで大きくなる高潮被害、内水氾濫被害を軽減するグリーンインフラ を仕込む。  このマングローブのグリーンインフラは、大規模な被害が予測される高潮被害、長 年の課題であった内水氾濫の被害を軽減するだけでなく、これから 100 年以上先、 海が上がってきた時の、将来の海岸線の指標となり、陸を守る  地球温暖化により植生帯が変化すると東京にマングローブが生息する環境が整う。

内水 氾濫 ・高 潮

マングローブ

久松小学校 久松児童公園 浜松川緑道

神田川の下流は隅田川に接続す る。その隅田川は東京湾と繋がっ ている。 神田川と海をつなぐ隅田川は、内 水氾濫や高潮の被害を防ぐキーで ある。

江戸時代の水路  江戸時代、水の都と呼ばれた江戸の まち。今でこの町の地下には張り巡ら された水路網が残っている。

海面上昇に対応する「下流域」 高潮被害やこれから起こると予測される海面上昇に対応するために、 江戸インフラの暗渠に沿ってマングローブの帯を作る

隅田川

⑴対象地 _ 久松小学校・久松児童公園・浜町川緑道

下流域 F. 久松小学校 / 児童公園

隅田川

井の頭池

日本橋川 神田川


⑴高潮ハザードマップ

F- ダイアグラム

⑶気候変動と植生帯 ■日本の気候が変わり植生帯が変わる  …落葉広葉樹林帯から熱帯多雨林帯・照葉樹林帯へ

温量指数は、暖かさの指数および寒さの指数であり、植生の 変化と気温との相関関係を表すための指標である。

波の打ち 消し機能 +

高潮被害 の軽減

吸水能力 が高い

マングローブの GI

一般的に、植物の生育には月平均気温で摂氏5度以上が必要 とされる。 このことから、温帯における植生の分布には、 それより 高温になる期間とその温度の高さがどの程度になるかが大きく 影響すると考えられるので、 それを定量化することを試みたもの である。

教育施設が帯の拠点となる

具体的には、 ある地域の各月の平均気温を取り、 月平均気温5 度を基準として、各月の平均気温の5度との差を累積する。平均 気温が5度より高い月の累積が暖かさの指数であり、5度より低 い月の累積が寒さの指数である。

浸水した場合に想定される水深 (ランク区分) 0.1-0.5m

隅田川 マングローブの帯②

0.5-1.0m 1.0-3.0m

神田川

江戸時代の水路を基準により内陸部で帯を作る。 これは神田川を 上した高潮の被害を軽減する役 割を持つ。

指標と植生帯

N

暖かさの指標

3.0-5.0m

1:20000 高潮HM

⑵内水氾濫ハザードマップ

熱帯多雨林

240以上

熱帯多雨林

180 240

寒さの指標

0m 5m

照葉樹林

180 85

10(15)以下

中間温帯林

180 85

10(15)以上

落葉広葉樹林 針広混交林

60 45 45 15

高山帯

15以下

樹林

1m 2m 4m

85 45

亜高山帯針葉

地域の水が集まる場所 内水氾濫の被害の軽減の役割

3m

マングローブの帯① 3,4m の海面上昇を基準にマングローブの 帯を形成する

東京の温量指数の予測

浸水した場合に想定される水深 (ランク区分) 0.1-0.5m 0.5-1.0m

2005

1.1

1.2

4.0

10.1

12.7

18.2

20.6

23.1

19.7

14.2

8.3

1.4

134.6

10yrs

2030

2.1

2.2

5.0

11.1

13.7

19.2

21.6

24.1

20.7

15.2

9.3

2.4

146.6

30yrs

2050

3.1

3.2

6.0

12.1

14.7

20.2

22.6

25.1

21.7

16.2

10.3

3.4

158.6

50yrs

2070

4.1

4.2

7.0

13.1

15.7

21.2

23.6

26.1

22.7

17.2

11.3

4.4

170.6

100yrs

2120

6.1

6.2

9.0

15.1

17.7

23.2

25.6

28.1

24.7

19.2

13.3

6.4

194.6

2050 年 (30 年後) 2070 年 (50 年後) 2120 年 (100 年後)

日本橋川 N

N

1.0-3.0m 3.0-5.0m

温量指数

2030 年 (10 年後)

1:5000 下流域広域平面図

1:20000 内水氾濫HM


F- マングローブの役割 淡水・海水に対応するマングローブ

F- 教育としてのグリーンインフラ

F- 鳥瞰図 F- 海面上昇時の効果

教育施設を帯の拠点とすることは、純粋なインフラ機能としてのグリーンインフラだけでなく、 「環境教育」としての拠点にもなりうる。 マングローブを子供たちと共に育て、子供たちの日常に取り入れることで、 「海の植物としてのマングローブ」が「将来新しい海岸線になるであろうエリア」としての指標となる。

雨による災害、海による災害、 どちらに対しても対応可能である

マングローブと共に成長した彼らが大人になった時、 次は、彼らの子供たちに「帯をどう育てたか」語り継ぎ、その機能を防ぐことは 従来のグレーインフラにはない、「コミュニケーション」「教育」のツールとしての新しいインフラの形でもある。

海岸線の指標としてのマングローブ

海岸線に生えるため、将来 海になることを象徴する

マングローブ林は 徐々に校庭にも広がる

ものを コス マングローブ

環境を考えるダイアグラム

高潮被害で流れてきた土砂を根っこが 濾し、土砂の流入を軽減する 波を打ち消すマングローブ

主に高潮被害時に押し寄せる波を和らげる 生き物の集うマングローブ

教育施設が拠点となり 校庭に併設して マングローブ試験林を設置する

ハンノキ林は 塩水が入るようになると 徐々に枯れ、マングロー ブ林へと遷移する マングローブとともに育った彼らが彼らの子供に マングローブがそこにある意味を伝える

生活の授業や放課後クラブの活動の一環として 校庭や近所の公園等でマングローブを育てる

=マングローブがある意味、環境を考えるきっかけ マングローブの落ち葉が作る土壌は豊 かで、生き物たちの住処になる 炭素を貯留するマングローブ

GL -30cm

通常の温帯林の 3 4 倍近くの二酸化炭素 CO₂ を蓄積する

帯を広げる(空き地を提供し管理する)作業に 地域の大人たちも関わる

身近な環境に常にマングローブがある

=海面上昇や水を意識するようになる

デッキの上からも、そして下からも マングローブを観察できる

放課後にマングローブの生態を観察できる


F- 時間軸と帯の広がり Current

ー雨天時の雨水の行き場がなく、     スーパー台風到来時における高潮の被害に弱いエリア

10years

30years

ー雨天時に内水氾濫の被害を軽減する

ー教育施設の試験林のマングローブを             徐々に帯に植樹する

50years ースーパー台風の到来時に、

高潮による被害を水害・塩害を軽減する ①海水が

①緑地や教育施設の  オープンスペースが点在

上する 海岸線の指標として マングローブの帯が太くなる

②大人と子供が共にマングローブを 帯へ植樹する

②マングローブの帯が遊 水池となる

5m マングローブの木が流れてきたも のや塩分を濾す

③教育施設のマングローブ 林が遊水池となる 10 30 年の間に試験林として校庭で子供 達が育てたマングローブを地域に暮らす 大人(子供の頃にマングローブを育てた) と 2050 年の子供達が共にマングローブを 帯へ植栽する。

ゲリラ豪雨などの非常に激しい雨が 降った場合、グリーンインフラを仕 込んだ学校施設や既存水路の跡地に 雨水が流れ込み、たまる

内水氾濫時、地形に沿い、 地側に水が流れ貯まる

ー形成したマングローブの帯が             新しい海岸線の指標となる

①マングローブを子供達と育てる

①雨水が流れ込む

②遊水池として機能する 隅田川のスーパー堤防は、対岸の海 抜 0m 地帯に多く設置され、このエリ アには少ない。また、隅田川、日本 橋川、神田川に囲まれるエリアで水 害を受けやすい。

100years

スーパー台風の到来時、大雨と強風に より、隅田川を 上する海水を、マン グローブを植栽した帯と校庭が受け止 め、水をため、マングローブが塩を取 り込む

4m

3m

将来、地球温暖化の影響で海面が上昇し た時に、100 年前に計画した水辺・湿地 の帯が海岸線として陸を守り、江戸イン フラが新たなインフラの基礎となる

1m 2m

将来、海面が上昇する

高潮時には、水が隅田川を 上しながら敷地に流れ込む

F- 内水氾濫時の効果

F- 海面上昇時の効果 街区 遊歩道(舗装面)

ハンノキの林

雨庭

街区

久松小学校の校庭

久松児童公園(浜町川暗渠) 遊歩道(デッキ)

マングローブ林

マングローブの試験林

久松小学校の校庭

久松児童公園(浜町川暗渠) 遊歩道(デッキ)

海面上昇する頃には、ゴマギーハンノキ群集の植物は枯れ、 マングローブの植物(メヒルギ、オヒルギ)で構成される

湿地を好むゴマギーハンノキ群集の 植物で構成される Water Level (GL+0.5m)

2%

中央部の遊歩道は GL+600mm のウッドデッキで構成される

雨天時は、 校庭側へ住宅地の水が流れ込み、 遊水池となる

豪雨時やスーパー台風到来時は デッキは水没し、移動は船で行う 久松小学校の校庭側で マングローブの試験林を作る

Water Level (GL+1.0m)

ハンノキ材を使用したデッキを重ね、 デッキの高さを海面上昇に対応させる

久松小学校の校庭側は 水没する


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