Q1 2019 Fixed-Income Outlook (Japan)

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2019 年第 1 四半期

債券市場アウトルック サイクル末期のドラマが進行中

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目次 グローバルCIOの視点 サイクル末期のドラマが進行中 ............................................................................................. 1 ポートフォリオ・マネジメント・アウトルック 流動性と忍耐........................................................................................................................ 2 マクロ経済アウトルック ここからはずっと下り坂 ......................................................................................................... 4 ポートフォリオ戦略とアロケーション ....................................................................................... 6 セクターアウトルック 投資適格社債 .................................................................................................................. 8 流動性の価値 ハイイールド社債 ........................................................................................................... 10 変動利付きから固定利付きへの需要シフト バンクローン ................................................................................................................. 12 12月の教訓 ABSおよびCLO ............................................................................................................. 14 サンタの荒っぽいそり滑り ノンエージェンシーRMBS ...................................................................................................................................... 16 用心してそっと歩く(「気をつけろ」) 商業用不動産担保証券(CMBS) ................................................................................... 18 ディフェンシブ投資 商業用不動産債券デット ................................................................................................ 20 ピークに近い 地方債 ........................................................................................................................... 22 全天候型 エージェンシーMBS ....................................................................................................... 24 質への逃避 金利 .............................................................................................................................. 26 終わりの始まり


グッゲンハイムの投資プロセス

グッゲンハイムでは、行動バイアスを軽減し、より優れた意思決定のつながるように設計された体系的で規律 をもった投資プロセスに基づいて債券ポートフォリオの運用を行なっています。弊社の投資プロセスでは、最良 のリサーチとアイデアをマクロリサーチ、セクターチーム、ポートフォリオ構築およびポートフォリオマネジメント の 4 つの機能を、専門性に応じて分離しています。このプロセスにより、特定の個人やグループに依存するこ となく、認知バイアス、衝動的な判断、その他行動ファイナンスに基づく意思決定の落とし穴を避けることを目 的としています。魅力的なリスク調整後リターンを提供する投資機会を追求するため、弊社のアセットアロケー ションは広く採用されているベンチマークとは大きく異なっております。


グローバル CIO の視点

サイクル末期のドラマが進行中 本アウトルック・レポートでは、ここ数回にわたってある主要テーマについて繰り返し論じてきました。そのテーマと は、米連邦準備制度理事会(FRB)が政策の正常化とトレンドを上回る経済成長の抑制を目指す方針が、景気後 退を招き、弊社の予想では、2020 年前半に景気後退入りするというものです。過去のデータによると、市場環境 は通常、景気後退に先立つ 12 か月の間に悪化することを示しており、景気後退入りのタイミングは重要になりま す。つまり、これは、スプレッドの急拡大と流動性問題がすぐにも生じると知りながら、割高な市場で何とかやって いかなければならないことを意味していました。 このサイクル末期のドラマは 2018 年第 4 四半期に始まり、リスク資産が大量に売り込まれて急落(セルオフ)し ました。株式とクレジットの両セクターは、10 月にピークをつけてから値動きが荒くなり、下落しました。12 月に は、流動性が著しく不足する中でセルオフが激しくなりました。12 月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の記者 会見前には、S&P500 種株価指数は 2,546 となり、安値を更新しました。さらに、同指数は政策当局者の一連の 失態を受けて 7.7%続落しました。ジェイ・パウエル FRB 議長が FRB のバランスシート縮小について「自動操縦 (autopilot)」と言及し、FRB の独立性を脅かすドナルド・トランプ大統領の攻撃的な発言、そしてスティーブン・ム ニューシン財務長官が電話で大手銀行の流動性が十分なことを確認したなど、政策当局者の失態に対して、金 融市場は季節的にすでに軟調な調整局面にある中で容赦ない反応を示しました。 FRB はこの失敗から学び、2019 年の政策をめぐる不透明感を必ず鎮めることでしょう。FRB は様子見姿勢をと ることを示唆しており、弊社としては、FRB が 2019 年後半に 1 回のみ追加利上げを実施し、バランスシートの縮 小については自動操縦モードを解除すると予想しています(2019 年 3 月 7 日、原文リリース時点)。これにより、 市場は今のところ落ち着きを取り戻しましたが、まだ逆風が吹いています。世界の経済指標は減速感を強めてお り、その筆頭格が欧州です。視野に入ってきた景気後退を回避するには、追加の政策措置が必要となるでしょ う。弊社は FRB が利下げする確率は五分五分とみており、欧州中央銀行(ECB)は銀行融資を促進するために 追加の条件付きプログラムを導入することになると思われます。 当債券アウトルックに詳述する弊社の経験は、サイクル末の転換期の見通しとしてお役に立つでしょう。当面、 FRB が利上げを停止している限り、リスク資産は相場続騰の恩恵を受けると見込まれますが、この停止は以前 考察した過剰感をより強めるにすぎないでしょう。 弊社は 2018 年第 3 四半期にとったディフェンシブ・ポジショニングを維持する方針であり、それにより、サイクル 末期の市場動向の特徴であるボラティリティを回避でき、他の投資家が売却を余儀なくさせられているときに、割 安な資産を買う機会を得ることができるでしょう。

スコット・マイナード インベストメンツ部門会長兼グローバル CIO

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ポートフォリオ・マネジメント・アウトルック 流動性と忍耐 Anne B. Walsh, JD, CFA Chief Investment Officer, Fixed Income

弊社投資ポートフォリオのスプレッド・デュレーションを短くしたこ

Steve Brown, CFA Portfolio Manager

世界の経済指標は第4四半期を通じて悪化した。米中貿易戦争、原油価格の下

Adam Bloch Portfolio Manager

とが、2018 年後半の市場ボラティリティの影響緩和に寄与

落、成長減速をめぐる懸念など、マクロ経済と地政学的なイベントがトリガーとな り、リスク資産全般が大量に売り込まれて急落した。スプレッドはすべてのセクタ ーで拡大し、金利は当四半期に低下した。 FOMCは12月の会合でフェデラル・ファンド・レートを0.25%引き上げて2.25~ 2.5%のレンジにすることを票決した。パウエルFRB議長は記者会見でFRBのバ ランスシート政策について柔軟に対応することを伝えなかった。今後のFRBの利 上げに関する予想が外れたことから、トレジャリーのイールドカーブはブル・スティ ープニングし、リスク資産は一段と売り込まれて急落した。しかしその後、最近の (特にFOMC会合後の1月の記者会見での)発言により、金利とバランスシート政 策は指標次第であり、柔軟に対応することが確認され、市場を落ち着かせた。 弊社のポートフォリオでは、第4四半期も引き続きリスクを削減し、スプレッドが最 も大きく拡大する前の第4四半期前半にリスク削減を集中的に行った。すべての 戦略で、CLO、RMBS、その他の資産担保証券(ABS)など、残っているクレジット セクターのポジションを一部売却して縮小し、その売却金を政府保証付きのセクタ ーと現金および現金同等物に振り向けた。その結果、第4四半期はポートフォリオ のクレジットの質が一段と向上し、スプレッド・デュレーションがさらに短くなった。 コアプラス戦略では、1年を超える金利が20~45ベーシスポイント(bps)低下した ことから、ポートフォリオのデュレーションの長い資産が寄与し、パフォーマンスが 絶対ベースでプラスとなった。引き続き、カーブの超ロングエンドに主要な金利エ クスポージャーを配する一方で、ショートエンドの変動利付きエクスポージャーの オーバーウェイトを維持することにより、引き続きバーベル型のデュレーションを採 用し、その結果、デュレーションがベンチマークに対しアンダーウェイトとなってい る。スプレッドはすべてのクレジットセクターで第4四半期に拡大したが、ストラクチ ャードクレジットのスプレッドがコーポレートクレジットのスプレッドより良好な水準 にとどまったため、コアプラス戦略はスプレッドベースでベンチマークをアウトパフ ォームした。 マルチクレジット戦略では、前もってリスクを削減するプログラムと投資適格未満 クレジットへの比較的低い配分が、当四半期の相対的なアウトパフォーマンスに つながった。コアプラス戦略と同様に、弊社のシニア・ストラクチャードクレジット・ エクスポージャーがコーポレートクレジット、特にAAA格のCLOをアウトパフォーム した。弊社の短いスプレッド・デュレーションはパフォーマンスのボラティリティを抑 えるのに役立った。 弊社はFRBが2019年前半は利上げを一時停止し、この停止が長引くリスクがあ るとみている。さらには、利下げの可能性も排除できない。世界の経済成長のさら

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なる減速が米国経済に波及する可能性があり、FRBは対応策を取るよう急き立 てられるだろう。こうした事例は過去にもあった。1995年、FRBはメキシコペソ危 機後についに利下げに踏み切った。その後、短い利上げ局面があったものの、 1998年にはアジア金融危機の余波を受けて再び利下げした。 FRBの利上げ停止は短期的にはリスク資産全般の相場続騰を支えるものの、金 融システムにおける行き過ぎ感を引き続き煽ることにもなるだろう。投資適格債市 場で格下げが増える可能性や一部のクレジットセクターでデフォルトが生じる可能 性など、弊社セクターチームが以前考察した懸念される傾向の多くは、今なお長 期的な視点で考える際の最重要課題となっている。クレジットスプレッドがこれら のリスクに十分見合う水準にないと考えられるこうした環境においては、より好機 が訪れたときに割安なクレジットを購入できるように、引き続き質を高め、十分な 流動性を維持することが賢明である。

逆転現象:セクターリターンは第 4 四半期に反転 債券セクターのパフォーマンストレ ンドは第 4 四半期に反転した。市 場の流動性が低下する中、一部の 投資家がリスク回避を試みたこと によるパニック売りで市場のボラテ ィリティが拡大した。

Source: Guggenheim Investments, JP Morgan, Bloomberg Barclays, ICE BofA Merrill Lynch, Credit Suisse. Data as of 12.31.2018. Non-Agency RMBS: JP Morgan Research; Post-Crisis AAA CLOs: JP Morgan CLOIE Post-Crisis AAA Index; Bank loans: Credit Suisse Leveraged Loan Index; Non-Agency CMBS 2.0: Bloomberg Barclays CMBS 2.0 Index; Agency MBS Fixed-Rate: Bloomberg Barclays U.S. MBS Index; Treasurys: Bloomberg Barclays Treasuries Index; Taxable Munis: Bloomberg Barclays Taxable Municipal Index; High Yield Corporate Bonds: ICE BofA ML High-Yield Index; Investment-Grade Corporate Bonds: Bloomberg Barclays Investment-Grade Corporate Bond Index.

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マクロ経済アウトルック Brian Smedley Head of Macroeconomic and Investment Research

Maria Giraldo, CFA Managing Director Matt Bush, CFA, CBE Director

ここからはずっと下り坂 世界の経済成長はピークを越えたが、米国の逼迫した労働市場 が結局 FRB に再び引き締めを促すだろう 2018 年第 4 四半期の米国の経済成長率は 2.6%と推計され堅調だが、2019 年 第 1 四半期の成長率は 1.0%程度に減速すると予想される。これは金融環境の タイト化が一因だが、発表された成長率は政府閉鎖による一時的な影響や季節 調整要因によっても下押しされる可能性が高い。 好材料としては、統計と閉鎖によるゆがみが解消することによって、前期比成長 率が第 2 四半期に持ち直しそうなことが挙げられる。とはいえ、前年比成長率は 現在、低下軌道を辿っている。FRB の引き締め政策と、財政刺激策の効果が薄 れつつある影響で、2019 年の成長率は 2018 年の成長率を下回るだろう。先行 指数では成長のピークがすでに過ぎていることが確認され(次ページ上のチャー ト参照)、弊社の景気後退予測ツールは 2020 年年央までに景気が下降し始める ことを引き続き示している。しかし、FRB の利上げ停止により、景気後退は 2020 年末か 2021 年初めまで後ずれするかもしれない。 一方、世界の製造業購買担当者景気指数は徐々に低下しており、世界の成長の 勢いが弱まってきた様子が見て取れる(次ページ下のチャート参照)。欧州の成長 は失速しつつあり、足元のブレグジット物語は続き、まだ決着がつかない。中国で は一貫した成長低下を受けて当局が一連の景気刺激策を発表し、追加刺激策も 見込まれるが、政策ラグによりプラスの影響が出るのは遅れるだろう。 こうした背景の下、FRB は様子見姿勢に転じた。利上げサイクルの停止は今年 前半続きそうだが、FRB が引き締めをすでに完了したとは思えない。労働市場は 引き続き強さを増し、賃金は今後さらに上昇するとみられる。また、コアインフレ率 は向こう数か月間、低い水準で推移しそうだが、年後半に再び上昇すると予想さ れる。現在、弊社のベースライン予想では、年後半に 1 回の追加利上げがあると みている。インフレ期待が大きく上昇し始めれば、2020 年に追加利上げが必要と なるかもしれない。バランスシートの縮小は第 3 四半期に終了すると見込まれ、 詳細は 3 月の会合で発表される可能性が高い。これにより、「自動操縦」モードの バランスシート縮小に関する市場の懸念は和らぐだろう。 FRB のより忍耐強い姿勢と中国の多方面にわたる景気刺激策は、短期的にはリ スク資産の回復を促すだろう。さらに、ECB は長期リファイナンシング・オペレーシ ョンズ(LTRO)または条件付き LTRO を通じて流動性を追加供給する可能性が ある。これはリスク資産にとって小春日和(厳しい寒波の最中の一時的に季節外 れに穏やかで温かな天候)が訪れるという弊社の予想を裏付けるものとなるだろ う。弊社はこの小春日和が 2020 年の景気後退に備えてポートフォリオのリスクを さらに削減する格好の機会になるとみている。

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先行指数で、成長のピークが過ぎたことを確認 先行指数では成長のピークがすで

景気先行指数、前年比変化率(%)

に過ぎていることが確認され、弊社 の景気後退予測ツールは 2020 年 年央までに景気が下降し始めるこ とを引き続き示している。

Source: Guggenheim Investments, Bloomberg. Data as of 1.31.2018. *Note: includes cycles ending in 1970, 1980, 1990, 2001, and 2007. Shows the evolution of the LEI starting 48 months before the recession. Current cycle is assumed to end in February 2020.

世界の製造業購買担当者景気指 数は徐々に低下しており、世界の

世界の成長がシフトダウンする中で、米国が依然アウトパフォーム

成長の勢いが弱まってきた様子が 見て取れる。

Source: Guggenheim Investments, Haver Analytics, Markit, JPMorgan. Actual data as of 2.28.2019. PMIs are GDP-weighted. Values above 50 denote expansion in manufacturing activity.

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ポートフォリオ戦略とアロケーション グッゲンハイム債券戦略 ブルームバーグ・バークレイズ米国総合指数 1

グッゲンハイム債券コア 2

ブルームバーグ・バークレイズ米国総合指数はコア指 標として利用されるフラッグシップインデックスである。こ れは投資適格の米ドル建ての債券市場を計るものであ る。これには米国債、政府系証券、社債、MBS(エージ ェンシー固定利付きおよびパススルー)、ABS、CMBS (エージェンシーおよびノンエージェンシー)が含まれる。 本インデックスに含まれる社債は時価総額により加重さ れる。

グッゲンハイム債券コア戦略は、主に投資適格証券に投 資するが、バークレイズ米国総合インデックス等のコアベ ンチマークに一致するポートフォリオ特性を持っている。 弊社では、投資家のインカムと収益の目的は、インデック スに含まれるものと含まれないもの両方によるアセットク ラスのミックスにより最大にもたらされると考えている。コ アポートフォリオにおいてベンチマークに含まれていない アセットクラスとしては、ノンコンシューマーABS やコマー シャルモーゲージローンなどがある。

1.Bloomberg Barclays U.S. Aggregate Index: Other は、国際機関 1.5%

2. Guggenheim Core Fixed Income: Other は、私募債 3.5%、優先証券

およびソブリン債 0.9%を含みます。巻末の免責事項をご確認下さい。合計

1.6%、LP1.4%、ソブリン債 0.7%を含みます。巻末の免責事項をご確認下さい。

値は、単位未満の切り下げのため、100%にならないことがあります。

合計値は、単位未満の切り下げのため、100%にならないことがあります。セ クター配分は代表アカウントに基づきます。構成はアカウント毎に異なり、変 化することがあります。

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グッゲンハイム債券コアプラス 3

グッゲンハイム債券マルチクレジット 4

グッゲンハイムのコアプラス戦略は、トータルリターンの アプローチを採用し、弊社のリラティブ・バリューの見方 をより詳細に反映している。コア戦略と同様、コアプラス はベンチマークの範囲を超えて投資価値を見出そうと する。本ポートフォリオは柔軟性を加え、通常投資適格 未満の証券に対し 30%まで投資を行う。これにより、よ りリスクが高くかつ収益可能性の高い銘柄へのエクス ポージャーが可能になる。投資適格社債等の通常のコ ア投資に加えて、CLO とノンエージェンシーRMBS が、 コアプラスに適合する二つのセクターである。

グッゲンハイムの債券マルチクレジット戦略はアンコンス トレインドのマクロ経済アウトルックおよびリラティブ・バリ ューの見方に大きく依拠する戦略である。弊社の「ベスト アイディア」戦略の一つであるマルチクレジットポートフォ リオのアロケーションは、現在デフォルトリスクを補って余 りある収益を見込める債券資産に重きを置いている。 弊 社の投資適格未満のリスキーなセクターへのエクスポー ジャーについては、投資適格 CLO と商業 ABS により分 散すると同時に、ポートフォリオの金利リスクを限定して いる。

3. Guggenheim Core Plus Fixed Income: Other は主に、現金 31.6%を含

4. Guggenheim Multi-Credit Fixed Income: Other には、主に現金 5.7%、

みます。巻末の免責事項をご確認下さい。合計値は、単位未満の切り下げ

私募債 3.1%を含みます。巻末の免責事項をご確認下さい。合計値は、単位

のため、100%にならないことがあります。セクター配分は代表アカウントに

未満の切り下げのため、100%にならないことがあります。セクター配分は代

基づきます。構成はアカウント毎に異なり、変化することがあります。

表アカウントに基づきます。構成はアカウント毎に異なり、変化することがあり ます。

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投資適格社債 流動性の価値 2018 年 12 月 31 日現在のポートフォリ オ配分

12 月、うろたえた投資家は買い手が消えたことに気づき、慢心 していた市場は貴重な教訓を学んだ 2018年第3四半期の業績発表にはサプライズがほとんどなく、投資適格クレジッ トはすっかり慢心に浸っていた。クレジット・ファンダメンタルズは堅調であり、マ クロレベルでは地政学や貿易戦争をめぐる暗いニュースがあちこちで報じられた が、ほとんどが無視された。ブルームバーグ・バークレイズ米国コーポレート指 数のスプレッドは2018年の最低水準である85bpsから8月後半には113bpsへと 大幅に拡大し、第4四半期にはその前2年間の「クリスマス・ラリー」(クリスマス 時期に相場が上がる現象)シナリオを踏襲するように思われた。しかし、それど ころか、テクノロジ-企業のFAANG(フェイスブック、アマゾン、アップル、ネットフ リックス、グーグル)やファーウェイに関するニュースとFOMCの姿勢を受けてボ ラティリティが急上昇し、流動性が最も低い時期にコーポレートクレジットの取引 がいかに落ち込むかを浮き彫りにした(次ページ上のチャート参照)。12月の流 動性不足は珍しくないが、資金フロー、供給要因、ディーラー在庫不足により、 流動性不足に拍車がかかり、不足が異常なレベルに達した。

Jeffrey Carefoot, CFA Senior Managing Director Justin Takata Managing Director

投資適格ファンドからの資金流出が加速していたことから、12月の流動性イベン トの下地は第4四半期の早い段階でできていた。第4四半期の流出は最終的に 299億ドルに達し、前年度からの純流入額の3分の1を失った。TRACEのデータ によると、社債の取引額は10~11月に8%、11~12月に23%減少した(次ペー ジ下のチャート参照)。その結果、社債のスプレッドは第4四半期に46bps、すな わち、43%拡大した。クレジット市場が低迷したために、12月の新発債の供給が 不足し、発行市場における投資適格債の供給はわずか90億ドルにとどまった。 これは12月の発行としては18年ぶりの低さであり、平均の420億ドルをはるかに 下回る。発行額が低水準であることは通常、市場にとってプラス要因とみなされ るが、発行市場で価格を確認できないと流通市場でリスクをプライシングできな くなる。ディーラーが年末に向けてバランスシートを整理し、リスクを削減したこと はこうした動きをさらに強めたにすぎなかった。 弊社のグローバル CIO とマクロ経済・投資リサーチグループの予想を確認する ように、投資適格社債市場は 2019 年初めに数週間、小春日和の展開となっ た。スプレッドは反転し、最近のピークから縮小した。質の高いクレジットは景気 の下降局面を乗り切りやすいと思われるため、今後についても、弊社は引き続 き質を高める方針である。BBB 格の資金調達コストがコーポレート・スプレッドの 拡大に伴って上昇しており、財務が健全な銘柄や財務改善のストーリーを発掘 することがカギとなるだろう。また、取引の質の向上に加えて、流動性の低い景 気後退の環境でアンダーパフォームすると思われる業界やクレジットについて は、ポジション縮小に注力する。12 月の劇的な急落は、流動性の真価に注意し なければならないことを思い出させる出来事となった。

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2018 年は、典型的なクリスマス・ラリーにならなかった ブルームバーグ・バークレイズ

投資適格指数のスプレッドの累積的変化:各年の 9 月 30 日~年末

米国コーポレート指数のスプレ ッドは 2018 年の最低水準であ る 85bps から 8 月後半には 113bps へと大幅拡大し、第 4 四 半期はその前 2 年間の「クリス マス・ラリー」(クリスマス時期に 相場が上がる現象)シナリオを 踏襲するように思われた。しか し、それどころか、テクノロジ- 企業の FAANG やファーウェイ に関するニュースと FOMC の姿 勢を受けてボラティリティが急上 昇し、流動性が最も低い時期に コーポレートクレジットの取引が

Source: Guggenheim Investments, Bloomberg Barclays. Data as of 12.31.2018.

いかに落ち込むかを浮き彫りに した。

12 月の投資適格債の取引額は減少し、夏場の低い水準を下回った

社債の取引額は 10~11 月に 8%、11~12 月に 23%減少し た。その結果、社債のスプレッド は第 4 四半期に 43%拡大し た。

Source: Guggenheim Investments, Bloomberg, FINRA TRACE. Data as of 12.31.2018.

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ハイイールド社債 変動利付きから固定利付きへの需要シフト 2018 年 12 月 31 日現在のポートフォリ オ配分

ハイイールド債のスプレッドは第 4 四半期の拡大分を一部取り 戻したが、弊社はサイクルのこの時点でスプレッド・デュレーシ ョンを長くしすぎないよう注意している 2019年初めの数週間に、ハイイールド社債は2018年第4四半期に生じたスプレ ッドの拡大分のほぼ半分を取り戻した。スプレッドは第4四半期に200bps拡大し たが、2019年には縮小した(次ページ上のチャート参照)。このペースで行け ば、危機後の最低水準である327bpsを再びつける可能性さえある。弊社のマク ロ経済・投資リサーチグループは、FRBが最近の金融環境のタイト化に対処す る中で、2019年前半まで利上げの停止を余儀なくされるとみている。弊社はこ の停止が短期的にはハイイールド社債のリターンを下支えすると予想する。原 油価格の上昇もエネルギークレジットの上昇をある程度支えており、エネルギー クレジットは依然としてハイイールド債市場の15%を占めている。弊社のマクロ 経済・投資リサーチグループの原油モデルは、ウェスト・テキサス・インターミディ エイト原油価格が2019年後半に1バレル70ドルに近づくとしている。

Thomas Hauser Senior Managing Director

ICEバンクオブアメリカ・メリルリンチ・コンストレインド・ハイイールド指数は第4四 半期に4.7%下落した。これまでの四半期とは打って変わって、低格付け債が高 格付け債を大幅にアンダーパフォームした。トータルリターンベースでは、BB格

Rich de Wet Director

とB格が当四半期にそれぞれ3.0%と4.9%下落したのに対して、CCC格は 10.3%の下落となった。2018年第3四半期末のCCC格社債のバリュエーション がB格やBB 格に比べて非常に割高であったため、弊社はこうした逆転が今年 いつか起きると予想していた。しかし、最近のセルオフにより、相対的価値が CCC格に有利な方向に押し戻され、低格付けのトランシェが持ち直して高格付 けのトランシェをアウトパフォームするようになった。ハイイールド社債は年初来 で上昇し、好調な2019年のスタートとなった。 12月にフリーズしていた取引活動が徐々に戻り、ハイイールド社債が順調に供 給されるようになった。2018年末に5週間休業状態にあったが、ハイイールド社 債の年初来の発行額は現在、2015年以降のいずれの年をも上回る水準にある (次ページ下のチャート参照)。FRBの利上げ停止を受けて変動利付き資産から 固定利付き資産への需要シフトが生じ、多くの案件で応募超過となっているとみ られる。ハイイールド債への資金フローは年初にやや不安定であったが、順調 に流入し始め、2月6日を最終日とする4週間のうち2週間は2016年年央以降で 最大の週間流入額を記録した。こうした需要動向は、FRBが利上げを停止して いる限り、続く可能性がある。しかし、追い風が弱まり、世界の経済成長が減速 しつつあることから、弊社はクレジット投資に対する慎重な姿勢を維持し、サイク ルのこの時点でスプレッド・デュレーションを過度に追加しないようにする。

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Fixed-Income Outlook | First Quarter 2019 10


ハイイールド債スプレッドは前四半期の拡大分の半分近くまで戻した ハイイールド社債は 2018 年第 4 四半期に生じたスプレッド拡大分 の半分近くまで戻した。スプレッド は 2018 年第 4 四半期に 200bps 拡大したが、2019 年に は縮小した。

Source: Guggenheim Investments, ICE Bank of America Merrill Lynch. Data as of 1.24.2019.

ハイイールド債の発行は回復し、ここ数年並みの水準となっている 12 月にフリーズした取引活動が 徐々に戻り、ハイイールド社債は 現在、ここ数年と同様のペースで 発行されている。

Source: Guggenheim Investments, S&P LCD. Data as of 2.8.2019.

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バンクローン 2018 年 12 月 31 日現在のポートフォリ

12 月の教訓

オ配分

ローン投資家は 12 月の乱高下で流動性の欠如について学ん だが、注意深いポジショニングを行えば、まだ価値を向上でき る 市場が見込むFRBの2019年の利上げが2回から0回に低下したため(2019年3 月7日、原文リリース時点)変動利付き資産の需要が減少し、その結果、記録的 な資金流出が生じた。こうしたポジション調整に伴い、ミューチュアルファンドマネ ジャーや上場投資信託(ETF)は流動性の高い保有銘柄をさらに売却して償還 資金に充てた。このため、価格およびトータルリターンベースでは、大型ローン が流動性の低い小型ローンをアンダーパフォームした(次ページ上のチャート参 照)。バンクローン市場の限定的な流動性と大量の資金流出を背景に、ローン 価格への下押し圧力が強まり、その結果、信用より流動性懸念の影響が色濃い パフォーマンスとなった。例えば、12月にセルオフが激しくなると、第4四半期の 第1順位と第2順位のデイスカウントマージン(3年)の差が34bps縮小した。流動 Thomas Hauser Senior Managing Director

性は当然あるものではなく、売るに売れなくなりやすい、という苦い教訓を学ん だ。 クレディスイス・レバレッジド・ローン指数は2018年第4四半期に3.1%下落し、通

Christopher Keywork Managing Director

年のリターンは1.1%に低下したが、ローンは2015年以来初めてハイイールド社 債をアウトパフォームした。パフォーマンスはすべての格付けカテゴリーでマイナ スとなり、BB格が-3.2%、B格が-2.9%、CCC格が-4%であった。第4四半期に アンダーパフォームしたにもかかわらず、CCC格は2018年に最も好成績を収め たカテゴリーとなった。 市場予想とは対照的に、弊社のマクロ経済・投資リサーチグループはFRBが 2019年に利上げを1回行うと予想し、利上げ時期は2019年後半になるとみてい る。たとえ利上げがなくても、弊社はバンクローンがハイイールド社債と同程度 の価値を提供すると考えている。平均的なBB格ローンは比較対象となる社債を 下回る利回りで取引されている(次ページ下のチャート参照)。こうした現象は通 常、利上げサイクルの終わりにかけて生じる。結局FRBが利上げを再開すれ ば、ローンが再び他のセクターをアウトパフォームするだろう。弊社としては、サ イクル末期の動向を踏まえ、質を高めることによってクレジット・ポートフォリオの ディフェンシブなポジジョンを維持する方針である。このため、第2順位より第1順 位のローンを選好するとともに、景気循環の影響を受けにくく、安定したキャッシ ュフローと健全な流動性ポジションを有するビジネスモデルに引き続き注目す る。

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Fixed-Income Outlook | First Quarter 2019 12


記録的な資金流出を受けて売却を余儀なくされたため、大型ローンがアンダ 市場が見込む FRB の 2019 年の利上 ーパフォームした げが 2 回から 0 回に低下したため変 動利付き資産の需要が減少し、その結 果、記録的な資金流出が生じた。こうし たポジション調整に伴い、ファンドマネ ジャーは流動性の高い保有銘柄をさら に売却して償還資金に充てた。このた め、価格およびトータルリターンベース では、大型ローンが流動性の低い小型 ローンをアンダーパフォームした。

Source: Guggenheim Investments, Credit Suisse. Data as of 1.17.2019. Small loans represent tranche sizes between $200 million and $300 million, large loans represent tranche sizes greater than $1 billion.

ローンの利回りは、同等の格付けの社債に負けていないように見える 弊社はバンクローンがハイイールド社 債と同程度の価値を提供すると考えて いる。平均的な BB 格ローンは比較対 象となるハイイールド社債を下回る利 回りで取引されている。こうした現象は 通常、利上げサイクルの終わりにかけ て生じる。

Source: Guggenheim Investments, Credit Suisse. Data as of 1.24.2019.

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Fixed-Income Outlook | First Quarter 2019 13


ABS および CLO 2018 年 12 月 31 日現在のポートフォリ オ配分

サンタの荒っぽいそり滑り 12 月のセルオフは、引き続き警戒する必要性を浮き彫りに 2018年第1四半期以来抑えられているCLOのスプレッドと、他のリスク資産のス プレッドの差が2018年後半の数か月間に拡大した。CLOのスプレッドは(トラン シェ格付けにもよるが)年初に比べて20~200bps拡大し、CLOのトータルリター ンは概ね横ばいで同年を終えた。軟調なプライシング環境が発行体の発行意欲 を削ぐことはなかった。2018年の新規発行額は約1,300億ドルと高水準で、 CLOマネジャーは2012年の68社から増加して現在111社ある(次ページ上のチ ャート参照)。しかし、2019年の新規発行債の供給については、プライシングの 妙味が薄れることと、繰上償還禁止期間を経過したCLOが少ないことがマイナ スの影響を及ぼす可能性がある。担保という観点では、レバレッジドローンは引 き続きコベナントが無いか少ないストラクチャーを特色としている。2018年には、 発行されたレバレッジドローンの85%がコベナントライトであったため、レバレッ

Peter Van Gelderen Managing Director

ジドローン総残高の79%はコベナントが無いか少ないパッケージであった(次ペ ージ下のチャート参照)。しかし、CLOは中期的には魅力的な投資対象である。 平均年限が短いという特徴が寄与して、同等の質のコーポレートクレジットより

Josip Zdrilic, CFA

優れたパフォーマンスをあげているからである。

Director

非伝統的(esoteric)なABSのスプレッドも、第4四半期に拡大が進んだ。ファン ダメンタルなクレジット・パフォーマンスは非伝統的なABSのすべてのサブセクタ ーで引き続き健全であったが、全体的にリスクオフの環境となったことが同セク ターのプライス・パフォーマンスに悪影響を及ぼした。2018年の商業ABSの発行 は好調で、商業および金融ABSセクターの発行額は250億ドルを上回った。現 在、2019年についても同水準の発行額になると予想されている。多くの市場参 加者は各セクターのクレジットの質とストラクチャー上の微妙な差異を見分けら れないため、弊社は選別姿勢を強めている。例えば一部の航空機ABSではスト ラクチャー上の新たな特長が2018年に考案され、エクイティ証券のシンジケーシ ョンと取引ができるようになった。このストラクチャー上の進化はヘッジファンドに 大歓迎されてその需要を満たしたが、弊社としては、ディストレス時や取引の予 定満期時に、シンジケーションされたエクイティのコーディネーション問題やエー ジェンシー問題が発生しかねないという点が気掛かりである。 スプレッドは12月のワイドな水準から回復したが、弊社は引き続き短期の分散 償還型シニア証券を中心に運用する。また、航空機ファイナンスと非伝統的な商 業ABSも、引き続き2019年の注目分野とする。

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Fixed-Income Outlook | First Quarter 2019 14


2018 年は CLO の発行と CLO マネジャー数が記録を更新 2018 年は、CLO の新規発行額 が約 1,300 億ドルと高水準で、 CLO マネジャーは 2012 年の 68 社から増加して現在 111 社とな っている。

Source: Guggenheim Investments, Wells Fargo. Data as of 12.31.2018.

2018 年に発行されたレバレッジロ

大部分のレバレッジドローンは投資家保護が不十分

ーンの 85%がコベナントライトであ った。

Source: Guggenheim Investments, S&P LCD. Data as of 12.31.2018.

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ノンエージェンシーRMBS 2018 年 12 月 31 日現在のポートフォリ

用心してそっと歩く(「気をつけろ」)

オ配分

スプレッドの拡大と流動性のムラは、ポジティブな長期ファンダ メンタルズと矛盾する 第4四半期は、サイクル末期のクレジット市場のボラティリティとRMBSのディー ラー在庫の増加がノンエージェンシーRMBSのスプレッドと市場流動性の重しと なった。借り手の信用実績の回復、好ましい人口動態傾向、限定的な住宅在庫 というクレジットの追い風は依然吹いているが、クレジットサイクルが成熟する中 で投資家が要求するより高いリスクプレミアムにはなすすべがなかった。トレジャ リーの利回り上昇に伴い、モーゲージの借入コストが11月以来0.5%低下してい ることから、今後については、住宅のアフォーダビリティ(取得能力)と回転率が 改善し、クレジット・パフォーマンスが徐々に上昇すると見込まれる。

Karthik Narayanan, CFA Managing Director Roy Park Director Alex Zhang Vice President

ノンエージェンシーRMBSは、第4四半期のトータルリターンが-2.2%とマイナス になったにもかかわらず、2018年を3.3%のトータルリターンで終え、幅広いクレ ジット市場を上回った。新規発行は第4四半期に市況悪化を受けて細ったが、 2018年通年では危機後で最高の1,000億ドルとなった。危機後のRMBSサブセ クターは投資家の注目度が高まっている。この背景には、新規発行額が増え、 危機前に発行されたRMBSの償還が続いていることがある(次ページ上のチャ ート参照)。 不良債権(NPL)とリパフォーミングローン(RPL、不良化後、正常化したローン 債権)を裏付けとする証券化が2013年以来、成長の大半を牽引してきたが、 NPLの発行は2018年に減少した。また、2019年には一段の減少が予想され る。この要因としては、イールドカーブのショートエンドの資金調達コストが上昇し ているうえに、米国の住宅のファンダメンタルズが力強さを増しているために、デ ィストレスト債の供給が減少していることが挙げられる。その代り、RPL、プライ ムRMBS、ノンプライムRMBS(非適格モーゲージまたはnon-QMともいう)の供 給が増加すると予想される。最近のクレジットスプレッドの拡大は証券化の採算 性に悪影響を与えた。AAA格RPLのスプレッド(次ページ下のチャート参照)と、 損失を被る可能性が低い最近発行されたその他トランシェのスプレッドはとも に、2018年3月以来60 bps拡大した。これは133%の拡大であり、スポンサーの 証券化の採算性を大きくむしばんだ。新規ローンの証券化については、特にロ ーンが比較的弾力性のない市場で発行されるnon-QMの場合、採算性を確保す るために証券化債券のコスト上昇分を新規ローンのプライシングに転嫁すること が可能である。NPLとRPL市場では、スポンサーが時間をかけてローンを集め ており、スプレッドの拡大と流動性のムラが発行の逆風となっている。 弊社はノンエージェンシーRMBSのファンダメンタルズについてポジティブな見方 をしているが、その反面、市場のボラティリティと流動性のムラが続くと予想して いる。したがって、価格変動性が低いと見込まれるという理由から、短期物と、ス トラクチャー的にはシニアトランシェを重視する。また、クレジット・ファンダメンタ ルズ改善の恩恵を享受できるという点で、信用力に敏感な担保を裏付けとす る、ある程度の期間が経ったパススルー・ストラクチャーも選好する。

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ノンエージェンシーRMBS の新規発行が金融危機後で最大に 2018 年の新規発行額は 1,000 億

セクター別の総発行高

ドルに達し、危機前の RMBS サブ セクターのランオフ(償還)が続い ていることから、投資家の注目度 が高まっている。

Source: Guggenheim Investments, Nomura. Data as of 12.31.2018.

AAA 格の RPL のスプレッドは

最近発行された AAA 格のスプレッドは他のセクターを下回っている

2018 年 3 月のタイトな水準から

クレジットスプレッド

60bps(133%)拡大した。こうした 変化は新規発行にとって逆風とな るだろう。

Source: Guggenheim Investments, Wells Fargo. Data as of 1.12.2019.

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商業用不動産担保証券(CMBS) 2018 年 12 月 31 日現在のポートフォリ オ配分

ディフェンシブ投資 ボラティリティの高い市場環境の中、損失を生じる可能性が低 い分割償還債や定評あるスポンサーの CRE-CLO 案件に注 目 2018年第4四半期には、現在の市場環境の危険な性質をまさに思い知らされる こととなった。世界経済の成長懸念や貿易・外交政策リスクを背景に、ボラティリ ティが急上昇した。現在の投資環境と商業用不動産(CRE)の回復が9年目に入 ることを踏まえ、弊社はディフェンシブ性がより高く、損失を生じる可能性が低 い、元本債券を引き続き選好する。また、コンデュイット型CMBSのインタレスト オンリーのシニア債、そしてスプレッドがコンデュイットのスプレッドと同等以上の 有利な水準にあり、定評あるディールスポンサーを有するスタティック型および マネージド型CRE CLOへの投資も選好する。

Shannon Erdmann Director Phil Hoehn Vice President Darragh Murphy Vice President

2018年のコンデュイットの発行額は402億ドルとなり、2017年の474億ドル、 2016年の476億ドルから減少した。CRE-CLOの発行増加が一因となってコンデ ュイットの発行がこのように減少したにもかかわらず、CMBSコンデュイットは民 間商業用不動産の証券化市場において依然として最大の資産クラスとなってい る。CRE-CLOの発行は2018年に前年比で90%超伸び、記録的な年となった。 しかし、投資家が高いスプレッドを引き続き要求すれば、CRE-CLO市場は2019 年に苦戦する可能性がある。2018年終盤は、裏付けローンのスプレッドが債券 のスプレッドほど大きく拡大しなかったため、CRE-CLOを当時発行することは経 済的な意味で理にかなわなかった。 金融危機以来、コンデュイットの引き受けは比較的厳格さを保って行われ、担保 プールの質が向上した。新規発行の引受コンデュイットの平均的なLTV比率は 2018年に0.9%ポイント上昇して60.3%となったが、2014年の65.7%から減少し た。引受会社がLTV比率を抑制しているのは、主に投資家がそれを好むからで ある。LTVが高めのコンディット案件を市場で発行した発行体は需要低迷とスプ レッド拡大に悩まされた。一部の市場懐疑派は引受過程でバリュエーションが操 作される可能性を懸念するが、LTVが近年低下していることについては議論の 余地がない。フィッチ・レーティングスのストレス下のLTVにおいても、低下傾向 がみられる(次ページ上のチャート参照)。 また、弊社はコンデュイット既発債が流通市場にある限り、コンデュイット既発債 を引き続き選好する。コンデュイット既発債は、スプレッド・デュレーションがより 短い新発債、特にAAA格のジュニア債~シングルA格レベルの債券と同じスプ レッドで取引されることが多い(次ページ下のチャート参照)。これに加えて、スワ ップカーブがフラットなこともあり、既発債は同じような利回りとなっている。また、 担保の裏付け物件は、ローン返済と大幅な価格上昇の恩恵を数年間にわたっ て受けており、その結果、レバレッジが低下している。

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Fixed-Income Outlook | First Quarter 2019 18


新規発行は、低い LTV 比率を選好する投資家の姿勢を反映 一部の市場懐疑派は引受過程で バリュエーションが操作される可能 性を懸念するが、LTV は近年低下 している。フィッチ・レーティングス のストレス下の LTV においても、 低下傾向がみられる。

Source: Guggenheim Investments, Fitch Ratings. Data as of 12.31.2018.

弊社はコンデュイット既発債が流

CMBS コンデュイットのスプレッドは上位トランシェでフラット化している

通市場にある限り、コンデュイット 既発債を引き続き選好する。コン デュイット既発債は、スプレッド・デ ュレーションがより短い新発債、特 に AAA 格のジュニア債~シング ル A 格レベルの債券と同じスプレ ッドで取引されることが多い。

Source: Guggenheim Investments, J.P. Morgan Research. Data as of 2.8.2019. Secondary cash spreads are based on the J.P. Morgan cash spreads represented in CMBX 9 (2015 vintage conduit CMBS). These are JP Morgan estimates and may not reflect levels where we can obtain bonds. Minimum/maximum = 10.19.2018–2.8.2019.

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商業用不動産デット 2018 年 12 月 31 日現在のポートフォリ オ配分

ピークに近い 現在の拡大サイクルは終わりに近づいているが、投資家は商 業用不動産デットへの魅力的な投資機会を引き続き見いだす だろう 商業用不動産サイクルは、新築と空室率低下の時期を経て回復から拡大、そし てピークへと進み、その後、建設が減少して空室率が上昇し始めると、供給過剰 から後退期に入っていく傾向がある(次ページ上のチャート参照)。2019年の年 初時点で、サイクルのピークに向けて上りつつあり、今すぐ山から下りる状況で はまだない。 純収益の伸びが鈍化し始めているが、空室率はすべての不動産セクターで依然 として低い(次ページ下のチャート参照)。また、新商品の吸収力は引き続き強 い。ドッジ・データ・アンド・アナリティクスは、2019年の米国の新規建設着工総 額が約8,080億ドルと、2018年並みになると予想している。しかし、ドッジによる と、米国の建設業の伸び率は過去3年間にわたって鈍化しており、過去の例か

Jennifer A. Marler Senior Managing Director

らして、これは拡大サイクル末期に通常現れるパターンと一致する。計画中の商 業ビルプロジェクトの速報から読み取るドッジ独自のモメンタム・インデックスも 低下しており、新規建設支出につながりそうな計画プロジェクトが減少しているこ

William Bennett Managing Director

とを示している。 不動産投資家は逆風を受け始めているが、供給が需要を上回り始めるまでは、

Ted Jung

市場で実質的な下降トレンドが見られる可能性は低い。米国トレジャリー10 年

Director

債の利回りが低下し、イールドカーブが平坦であることから、5 年ローンと 7 年ロ ーンが貸し手にとって投資妙味が高い。また、ロサンゼルスのかつてのウエスト サイド・パビリオン・モールをグーグルのクリエイティブなオフィス空間に改装する 計画など、またとないバリューアッド型の投資機会もあり、投資家は魅力的な立 地にある十分に活用されていない物件の価値を引き出すことができるほか、利 回りがより高いつなぎ融資への投資機会も得られる。米抵当銀行協会の 2019 年商業用不動産展望調査(Commercial Real Estate Outlook Survey)の回答 者は、2019 年のモーゲージローンに対する借り手と貸し手双方の需要が、 2018 年より若干低下するものの、強いと予測しており、不動産投資家の資金源 は依然として豊富である。

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Fixed-Income Outlook | First Quarter 2019 20


商業用不動産セクターは拡大余地がある

商業用不動産サイクルは回復から 拡大へと進む傾向がある。2019 年の年初時点で、サイクルのピー クに向けて上りつつあるが、今すぐ 山から下りる状況ではまだない。

Source: Mueller, Real Estate Finance, 2016.

純営業収益の伸びが鈍化しているが、空室率は依然として低い 純収益の伸びが鈍化しているが、 空室率はすべての不動産セクター で依然として低い。

Source: Guggenheim Investments, NCREIF, Morgan Stanley Research. Data as of 12.31.2018. Shaded areas represent periods of recession.

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Fixed-Income Outlook | First Quarter 2019 21


地方債 全天候型 2018 年 12 月 31 日現在のポートフォリ オ配分

地方債は第 4 四半期のボラティリティを他の債券セクターより 上手く切り抜けたが、依然として慎重な選別が重要である 2018年第4四半期の地方債市場は、さまざまな懸念を受けてボラティリティが高 まる中、安全な逃避先としての特徴を再び鮮明に示した。地方債は、クレジット スプレッドが金融危機後の最低水準辺りで推移してきたことから、ボラティリティ が低い証券とみなされてきた(次ページ上のチャート参照)。トレジャリーとは異 なり、地方債は2018年にベア・フラットニングが生じず、デュレーションリスクをと った投資家に報いる格好となった。 2019年にかけて、減税・雇用法(Tax Cuts and Jobs Act)の影響と中間選挙が 相対的アウトパフォーマンスに対する期待を支える上で役立っている。法人減税 を受けて、機関投資家は2018年に租税が動機となることから売却を行った。州・ 地方税の控除限度額が初めて導入されたことは、こうした今後の需要減少を相 殺し、カリフォルニア州やニューヨーク州など、過度の影響を受ける州からの需 要を集めると予想される(次ページ下のチャート参照)。一方、中間選挙は米連 邦議会の分断を招き、政治の行き詰まりで連邦インフラ・プログラム(すなわち、

James Pass Senior Managing Director

新規供給)は棚上げされ、メディケイドへの資金拠出は膨らみ続けるだろう。 次の景気後退を手前に未だ楽観的ではある中、用心深さは失わずに、弊社は 発行体からの情報開示の時間差がある現状を十分考慮する必要があると考え

Allen Li. CFA Managing Director Michael Park Vice President

ている。地方自治体は財務データを9か月遅れで、年金データにいたってはさら に1年遅れて提供することが多い。その結果、徴税と年金の健全性に関する報 告に基づいて動く市場パフォーマンスが経済状況をタイムリーに反映できていな い恐れがある。 弊社は次の景気後退を乗り切るためにディフェンシブなポジションを維持する一 方で、プエルトリコ債が指数に再び採用され、クレジットスプレッドのボラティリテ ィが高まっていることから、それに伴う固有の投資機会が出現すると見込んでい る。また、債券保有者か、年金生活者か、納税者のいずれを優遇するかという 難しい選択をするよう、州および地方政府への政治的圧力が高まっているた め、弊社は発行体の予算の柔軟性と構造上の強固な保全策について注視して いる。

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Fixed-Income Outlook | First Quarter 2019 22


広範囲にわたるボラティリティにもかかわらず、地方債のスプレッドは金融 危機後の最低水準に縮小 地方債は、クレジットスプレッドが 金融危機後の最低水準辺りで推 移してきたことから、ボラティリティ が低い証券とみなされてきた。トレ ジャリーとは異なり、地方債は 2018 年にベア・フラットニングが生 じず、デユレーションリスクをとった 投資家に報いる格好となった

Source: Guggenheim Investments, Bloomberg, Municipal Market Data (MMD). Data as of 1.25.2019.

税金の高い州では、州・地方税(SALT)の控除限度が租税が動機となるこ と売却に歯止めをかけている 州・地方税の控除限度額が初めて 導入されたことにより、カリフォルニ ア州やニューヨーク州など、過度の 影響を受ける州からの需要が見込 まれる。

Source: Guggenheim Investments, Internal Revenue Service. Data as of 12.31.2016. Note: *Tax filers with adjusted gross income greater than $500,000.

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Fixed-Income Outlook | First Quarter 2019 23


エージェンシーMBS 2018 年 12 月 31 日現在のポートフォリ オ配分

質への逃避 テクニカル要因が弱い時期ではあるが、ファンダメンタルズは 堅調で、バリュエーションは適正水準にあることから、厳選した エージェンシーMBS に比較的投資妙味がありそうだ エージェンシーMBSは、波乱模様の2018年第4四半期に他の主なクレジットセ クターをアウトパフォームした。第4四半期は、金利が低下し、2年債/10年債の イールドカーブがフラット化し、金利のインプライド・ボラティリティが上昇する中 で幕を閉じた。ブルームバーグ・バークレイズ米国MBS指数は、当四半期のトー タルリターンが2.1%、2018年のリターンが1.0%となった。オプション調整後スプ レッドは当四半期に7bps、通年で10bps拡大した。全体的な期限前償還速度は 引き続き鈍化し、過去最低水準にある。 昨年からの弊社の主要テーマは予想通りの展開となり、弊社はまた同様の市場 環境になると見込んでいる。ファンダメンタルズは依然として強く、大半の借り手 は金利の点で借り換えするインセンティブがない。バリュエーションは妥当な水 準と思われ、現在のスプレッドは長期平均前後の水準にあり、危機後の平均よ

Aditya Agrawal, CFA Director

りワイドである。FRBがもはや活発な市場参加者ではなくなったので、需給テク ニカルの点では厳しい状況が続きそうであり、誰が需要不足を改善させるのか 依然として不透明である。これまでのところ、MBSファンドが市場ローテーション

Louis Pacilio Vice President

の一環でコーポレートクレジットとの組み換えで売りに出たMBSの一部を買って きたようである。この一例がiシェアーズMBS ETF(MBB、運用資産150億ドル) であり、10月初め以来29億ドルの資金流入があった。一方、iShares iBoxx 投 資適格社債ETF(LQD、運用資産320億ドル)からは同時期に24億ドルの純資 金流出があった。また、FRBの市場撤退は十分に周知され、段階的であるた め、この撤退によるスプレッドの拡大は小幅にとどまりそうである(次ページ上の チャート参照)。 米国のトレジャリー市場と社債市場における過去数年の発行は、エージェンシー MBSを大幅に上回った(次ページ下のチャート参照)。住宅ローン金利の最近の 上昇相場が(金利が更に上がる前の駆け込み需要による)住宅販売を押し上げ れば、MBSの供給が増え、場合によっては、さらに伸びる可能性がある。しか し、ブルームバーグ・バークレイズ米国総合指数のように広く注目されているベ ンチマークへのエージェンシーMBSの組入比率は、他の主要債券セクターに比 べて依然として低い。サイクル末期の局面に入り、より高い相対的流動性に引き 続き惹きつけられて、クレジットセクターからエージェンシーMBSへの再配分が 増える可能性がある。弊社は、スプレッドが妥当な水準にあり、担保またはスト ラクチャーがある程度のキャッシュフロー安定性を提供する投資案件を引き続き 選好する。また、満期が長めのエージェンシー集合住宅債、コールプロテクショ ン付きの質の高いプール、一部のモーゲージ担保証券ストラクチャーなど、現在 の環境下で価格に投資妙味があるサブセクターが一部あるとみている。

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Fixed-Income Outlook | First Quarter 2019 24


FRB が金融政策の引き締めを続

FRB による月次の MBS 正味購入ペースが落ちてきた

ける中で、リスクプレミアムが上昇 すれば、MBS のスプレッドを押し 広げる可能性が高い。しかし、 FRB の市場撤退は十分に周知さ れ、段階的であるため、スプレッド の拡大は小幅にとどまりそうであ る。

Source: Guggenheim Investments, JPMorgan, Federal Reserve. Data as of 1.22.2019.

米国のトレジャリー市場と社債市 場における発行は過去数年間、エ

エージェンシーMBS の発行は増えているが、セクター規模は依然として比 較的小さい

ージェンシーMBS を大幅に上回っ た。モーゲージ金利の最近の上昇 相場が(金利が更に上がる前の駆 け込み需要による)住宅販売を押 し上げれば、MBS の供給が増え、 場合によってはさらに伸びる可能 性がある。しかし、ベンチマークへ のエージェンシーMBS の組入比 率は、他の主要債券セクターに比 べて依然として低い。

Source: Guggenheim Investments, Bloomberg Barclays. Data as of 1.16.2019. Note: Amount outstanding in the Bloomberg Barclays U.S. Aggregate Bond index, excluding Federal Reserve holdings. Agency MBS: Bloomberg Barclays U.S. MBS Index; Corporate: Bloomberg Barclays Investment-Grade Corporate Bond Index; U.S. Treasurys: Bloomberg Barclays Treasuries Index.

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Fixed-Income Outlook | First Quarter 2019 25


金利 2018 年 12 月 31 日現在のポートフォリ オ配分

終わりの始まり 弊社のマクロ・リサーチ・グループはさらに 1 回の追加利上げ が実施されると予想しているが、これが金利上昇の終わりの始 まりになるとみている 2018年第4四半期には、資本市場のボラティリティが大幅に上昇した。リスク資 産の冴えないパフォーマンスが質への逃避へと駆り立てた。トレジャリーの利回 りはすべての年限で20~45bps低下し、FOMCによる今後の利上げが市場で織 り込まれなくなったため、中期債がアウトパフォームした(次ページ上のチャート 参照)。また、幅広いコモディティ価格が下落し、それがブレークイーブン・インフ レ率を押し下げたことにより、名目利回りが実質利回りより大きく低下した(次ペ ージ下のチャート参照)。 米国トレジャリーの利回りが大幅に低下し、当資産クラスは高いリターンを創出 した。トータルリターンは、第4四半期が2.6%、2018年通年が0.9%となった。一 方、エージェンシー・インデックスのトータルリターンは、当四半期が1.9%、通年 が1.3%であった。長期のエージェンシー入札債は、スプレッドが比較対象となる

Connie Fischer Senior Managing Director Kris Dorr Managing Director

トレジャリー債より20~30bpsワイドとなったため、セルオフの影響を免れなかっ た。 パウエルFRB議長は、12月の利上げにより、短期金利がFOMCの中立金利の 予想レンジ下限の水準となっていると語った。最近の経験からして、小幅な金利 変化でも経済活動の感応度は高く、パウエル議長の発言を裏付けている。弊社

Tad Nygren, CFA

のマクロ経済・投資リサーチグループによる以前のリサーチでは、国内総生産に

Managing Director

対する事業会社の債務水準を考えると、米国企業は2.50~3.25%のレンジの 金利までしか対応できず、(それ以上だと)やがて借入コストの上昇により、重い 債務負担を返済し続けることが困難になることが確認された。このように、弊社 のマクロ経済・投資リサーチグループは2019年後半に1回の追加利上げがある と予想しており、これがこのサイクルにとって金利上昇の「終わりの始まり」となり 得ることを示唆している。追加利上げが1回であれば、現在3.00%(2019年3月7 日、原文リリース時点)であるトレジャリー30年債の利回りが3.25%未満でピー クを打つと推測される。また、トレジャリーのイールドカーブがフラット化する余地 もある程度残るが、このサイクルで発生すると予想されたフラット化はほとんど がすでに発生済みである。2015年12月以来で225bpsの金融政策の引き締め が実施されたことに対して、トレジャリー2年債/10年債と10年債/30年債のイ ールドカーブはそれぞれ113bpsと38bpsフラット化した。利上げサイクルが終わ れば、より魅力的な買いの機会がカーブの中期部分辺りで現れると弊社は考え ている。

注:「金利」商品はトレジャリーとエージェンシー債を指している。トレジャリーとエージェンシー債 のリターンは、それぞれブルームバーグ・バークレイズ・トレジャリーズ指数とブルームバーグ・ バークレイズ米国 MBS 指数に示されている。

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Fixed-Income Outlook | First Quarter 2019 26


市場が FRB の利上げを織り込まなくなり、トレジャリーの利回りが低下した トレジャリーの利回りはすべての年

2020 年 1 月限のフェデラルファンド先物契約が示唆する金利

限で 20~45bps 低下し、FOMC による今後の利上げが市場で織り 込まれなくなったことから、中期債 がアウトパフォームした。

Source: Guggenheim Investments, Bloomberg. Data as of 12.31.2018.

幅広いコモディティ価格が下落

ブレークイーブン・インフレ率が低下し、名目利回りが実質利回りより大きく低

し、それがブレークイーブン・イン

下した

フレ率を押し下げたことにより、 名目利回りが実質利回りより大 きく低下した。

Source: Guggenheim Investments, Bloomberg. Data as of 12.31.2018.

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Fixed-Income Outlook | First Quarter 2019 27


重要な通知及び表明事項 この資料は専ら情報の提供を目的としたものであり、いかなる有価証券、投資戦略または投資商品に関して、投資助言または推奨をす るものではありません。本資料はリサーチまたは投資判断を行うために十分な根拠を提供することを意図した資料であるとして捉えては なりません。資料は、会計、法務または税務上のアドバイスを供与するという考えから頒布するものではありません。これらの問題につ いては、貴社の法律または税務上のアドバイザーに助言を求めてください。本資料は、著者の意見を含みますが、グッゲンハイム パー トナーズまたはその子会社の意見を含むものとは限りません。著者の意見は、予告なく変更することがあります。本資料に含まれる将来 にむかっての表明、予測および一定の情報は、自社または他社の調査および他の情報源に基づくものです。本資料に含まれる情報は、 信頼に足ると信ずる情報源より取得していますが、その正確性を保証するものではありません。過去のパフォーマンスは、将来の結果 を暗示するものではなく、そのような情報に基づく判断につき、現時点における正確性、責任を表明または保証するものではありません。 本資料の如何なる部分も、グッゲンハイム パートナーズ LLC の書面による明示的同意なしには、如何なる方法であれ、複製し、または 引用することはできません。

過去の実績は将来の成果を示唆するものではありません。 投資には元本を失う可能性を含むリスクが伴います。確定利付商品へ の投資は、金利が上昇し価格が落ちる可能性を伴います。モーゲージ担保証券や CLO を含む資産担保証券やその他ストラクチャード ファイナンスの投資に対する支払いは、金利と元本の一部からなります。これらの支払いは原資産の借り手がローンを返済する比率に よって異なります。資産担保証券の一部には、金利およびその他のファクターに対する動きを予想することが困難な構造を有するものも あり、結果価格変動がより激しくなることがあります。これら商品は特に金利、信用、流動性および評価リスクを伴います。ハイ・イール ド・デット証券は、一般に無担保であり、当該発行体の一部の他の債務よりも劣後することがあります。ハイ・イールド・デット証券が低格 付けであり、投資適格未満のローンであることは、発行体の財務状況、経済全般の情勢またはこれら双方が不利に変化した場合に、元 本または金利の支払い能力を毀損する可能性がより大きいことを反映しています。投資適格未満の格付の証券は、一般に「ジャンク・ボ ンド」と呼ばれています。ハイ・イールド・デット証券のリスクは、とりわけ下記を含みます。 (i) 流動性及びセカンダリー市場のサポートが 限られていること、 (ii) 適用金利水準の変化により市場において相当程度のボラティティが生ずること、(iii)ハイ・イールド・デット証券の 発行者の収入が、 債務の返済にあたり不十分となる可能性があること、並びに (iv) 金利上場局面、経済の下降局面またはこれら双方 により、このようなハイ・イールド・デット証券の発行体の信用力低下及び潜在的な倒産の可能性。経済情勢の悪化または金利上昇によ り、ハイ・イールド・デット証券の市場が著しく毀損されることがあり、発行済のハイ・イールド・デット証券の価値及び当該発行体の元利 金の返済能力に悪影響を及ぼす可能性があります。ハイ・イールド・デット証券の発行体は、レバレッジ比率が高いことがあり、従来から ある資金調達ができない可能性があります。ローン・シンジケーションやその他のダイレクトレンディングを含むバンクローンへの投資は、 信用リスク、金利リスク、カウンターパーティリスクおよび早期償還リスクを含むある特定のリスクを伴います。ローンは固定金利または 変動金利です。バンクローンは通常投資適格未満で、無格付けであることもあり、正確な価値評価が難しく、同様の格付けや満期の固 定利付き商品に比べ流動性リスクが高いことがあります。地方債投資には金利、信用、流動性および評価リスクを伴います。地方債市 場は、規制上または政治情勢に基づく悪影響及び州及び地方発行体または当該地方債に財務上の支援を行っている場合には連邦政 府の財務状況の悪化により影響を受ける場合があります。保有地方債からの収入は、税法の改正により課税対象とされる可能性があ ります。地方債のうち一定のセクターのものは、市場全体に比べより著しく影響を受ける特殊なリスクを持つものがあります。同じような プロジェクトの資金を調達するために多くの地方債が発行されるため、当該産業の情勢は、投資に著しい影響を及ぼす場合があります。 現在予算不足の地方公共団体においては、債務のデフォルトが生じる可能性があります。優先証券は、債券やその他のデット保有者へ の支払い義務を満たしたうえで配当が支払われます。そのため、優先証券の価格は債権やその他のデットと比べ発行企業の財務状況 や財務見通しによって大きく変動する場合があります。EBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)は事業の収益のプロキシとして 標準的に使われています。デット・サービス・カバレージ・レシオは 1 年間の債務倍率純収益で示したものです。日本の投資家の皆様へ の通知事項:本資料で参照された機会、投資又は持分を含む、は、金融商品取引法(昭和二十三年四月十三日法律第二十五号)第一 章四項に従って登録されたものではありません。従って、当機会は、日本において、いずれの日本人の利益のため、又は日本において 又は日本人に対し直接的又は間接的に転売を行おうとする他者に対して、直接的または間接的に申し込み又は売却をするものではあ りません。ただし、日本政府および規制当局によって発布され、実施されているすべての該当する法律、規制、および指針に遵守する場 合にはその限りではありません。ここでいう日本人とは、日本における居住者を指し、企業又は日本法の下で設立されたその他の機関 を含みます。 グッゲンハイム・インベストメンツには、下記の関係会社による投資運用業務を総称します。

Guggenheim Partners Investment Management, LLC, Security Investors, LLC, Guggenheim Funds Investment Advisors, LLC, Guggenheim Funds Distributors, LLC, Guggenheim Real Estate, LLC, GS GAMMA Advisors, LLC,

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Guggenheim Partners Europe Limited and Guggenheim Partners India Management. This material is intended to inform you of services available through Guggenheim Investments’ affiliate businesses. 指数その他の定義 レバレッジド・ローンは、Credit Suisse Leveraged Loan Indexにより表象され、米ドル建レバレッジド・ローン市場 のうちの投資適格市場をトラックします。ここでは、「5B」またはそれ以下の格付のもの、つまり、ムーディーズ/ S&Pの格付が最高で Baa1/BB+ または Ba1/ BBB+のものからなります。すべてのローンは、先進国に所在する借手による最低5年満期の借入れ済みのも のです。 ハイ・イールド債券は、Credit Suisse High Yield Indexにより表象され、米ドル建ハイ・イールド社債市場における投資可能な全銘柄を 反映すべく構築されています。投資適格債券は、Barclays Investment grade Corporate Bond Indexにより表象され、SECに登録され た、課税対象米ドル建証券を対象とします。この指数は、米国の投資適格社債市場をカバーします。米国債は、Bloomberg Barclays U.S. Treasury Indexにより表象され、1年以上満期が残存する米国債を含みます。S&P 500 Indexは、米国において活発に取引されて いる500銘柄の株式を資本加重平均したものであり、経済全般の動向の尺度となるべく構築され、すべての主要産業を含みます。シカ ゴ・オプション取引所(CBOE) ボラティリティ指数(VIX) はS&P500指数のオプション取引のインプライド・ボラティリティから算出される期 待30日ボラティリティです。 CLO は J.P. Morgan CLO index (CLOIE)により表象されています。2010 年以降に発行された商業不動産担保証券は、Bloomberg Barclays CMBS 2.0 Index で表象されています。Bloomberg Barclays Global Treasury Index は、先進国および新興国市場を含む投 資適格国の固定金利の現地通貨建て政府債をトラックしています。ここに表示された指数は運用されておらず、直接投資の対象とする ことは出来ません。指数のパフォーマンスは、取引コスト、手数料、費用を反映しません。ベーシスポイント:ある商品の価値または利回 りの変化を表すために用いられる計測単位で、1 ベーシス・ポイントは、0.01%となります。 1

グッゲンハイム インベストメンツの預り資産総額は、2018 年 12 月 30 日現在のものです。ここには、レバレッジを含む 124 億米ドルの

運用資産を含みます。グッゲンハイム・インベストメンツには、下記の関係会社による投資運用業務を総称します。 Guggenheim

Partners Investment Management, LLC, Security Investors, LLC, Guggenheim Funds Investment Advisors, LLC, Guggenheim Funds Distributors, LLC, Guggenheim Real Estate, LLC, GS GAMMA Advisors, LLC, Guggenheim Partners Europe Limited, and Guggenheim Partners India Management. 2

グッゲンハイム パートナーズの運用資産は、2018 年 12 月 30 日現在のものであり、時価約 670 億米ドルの顧客へのコンサルティン

グ・サービスの対象資産を含みます。 ©2019, グッゲンハイム・パートナーズ LLC。本資料の如何なる部分も、グッゲンハイム パートナーズ LLC の書面による明示的同意なし には、如何なる方法であれ、複製し、または引用することはできません。

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連絡先 グッゲンハイム パートナーズ 株式会社

グッゲンハイム インベストメンツについて グッゲンハイム インベストメンツは、グッゲンハイムパートナーズのグロ ーバル資産運用および投資助言部門です。債券、株式およびオルタナテ

東京都千代田区大手町1-5-1

ィブ戦略の資産合計は2,030億ドル1に上ります。グッゲンハイムでは保

大手町ファーストスクエア

険会社、企業、公的年金基金、ソブリン・ウェルス・ファンド、基金・財団、

ウエストタワー

コンサルティング会社、資産運用会社、富裕層投資家のお客様のリター

03-4577-7880

ンとリスクのニーズに重点をおいています。弊社の300名以上の投資専

Guggenheimpartners.jp

門家は、市場トレンドを理解し、しばしば複雑で十分な調査が行われてい ない分野で見過ごされている投資機会を見つけ出すため、厳密な調査を 行っています。この投資運用アプローチによって、グッゲンハイムは投資 の分散と魅力的な長期的成果を実現する革新的な戦略を実行しており ます。 1 2018年12月30日現在

グッゲンハイム パートナーズについて グッゲンハイム パートナーズは2,650億ドル2以上の資産を運用している 世界的な投資助言会社です。投資運用業務、投資銀行業務、保険サー ビスの弊社の3つの主要ビジネス全てにわたり、革新的なソリューション によって大きな成果を生み出してきました。世界中の拠点に2400人の専 門家を擁する弊社は、お客様の戦略的利益を前進させ、卓越かつ一貫し た長期的な結果を生み出すことに力を尽くしています。弊社のウェブサイ ト(GuggenheimPartners.com)やツイッター (twitter.com/guggenheimptnrs)にて、当社の高度な専門性と価値につ いてさらに詳しくご覧ください。

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