Tactical Listenism[1]

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Tactical Listenism

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DATE: XX. 06. 2021 CATEGORY CODE: Tactical Listenism

Tactical Listenism

- 戦術的環境音聴取の可能性 -

私たちは都市の音をどのように意識し、聴取しているのか。 何を聴取しているのか。 どのように聴取することで、何を聴取しているのかが視えてくる。 私(たち)は何を聴きたいのか。何を聴くべきなのか。 私(たち)は煩雑化していく音環境に無意識に耳を閉ざし、 このまま受け入れて良いのだろうか。 環境音は日常である。環境音には人が発する音、環境が発する音、人工物が発する音がある。 それらが混在するカオス環境を都市環境音と捉える。 都市環境音は公共のものであると同時に、耳を塞ぐ以外に個人が所有せざるを得ない特徴 を持つ。しかし視覚文化が強い現代は、聴覚文化の衰退をもたらしており、一個人が何を 騒音と捉え、何をそうでないかと思考する過程を経る前に、定量的に行政による政策が働 いている。 かつて Raymond Murray Schafer がサウンドスケープを唱え、一人一人が提起していく事で、 都市環境音の所有を認識し、都市音環境をボトムアップに変化していく事が出来るのでは ないだろうか。私(たち)がどんな音を鳴らし、 環境がどんな音を立てているのか再認識し、 取り巻く環境を再考していく必要があるのではないだろうか。 Tactical Listenism は音環境に対する傾聴行為を遮断・喪失しつつある私(たち)に、実際に 都市の音に耳を傾け、より深くサウンドスケープを聴取できる姿勢を促し、我有と公益性 のバランスの取れた新しい都市の姿を模索していく。

Hazuki Ota Sumika Hosoe

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トップダウン型の行政指導 - 都市環境音の現在と対策 騒音という認識は各々の主観的な音の感じ方によって様々であり、個人単位で音受性の差 異が生じるものである。騒音は「典型 7 公害」と言われ、 「環境基本法」において公害とし て定義されているもの。特に騒音問題は現在社会問題であり、 「典型 7 公害」の中でも苦情 件数は5年連続で第一位を占める。 公害とは様々な認識や定義で捉えられるが、 「環境基本法」により定義される公害とは、事 業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁、土壌 の汚染、騒音、振動、地盤の沈下及び悪臭によって、人の健康又は生活環境に係る被害が 生ずるものとされ、騒音公害の定義のみ取り上げれば 「一般には、 不快な音、 好ましくない音」 とのみ定義されている。一方、日本国における騒音を法的整備した「騒音規制法」11 の第 1 条には、 「この法律は、工場及び事業場における事業活動並びに建設工事に伴って発生す る相当範囲にわたる騒音について必要な規制を行なうとともに、自動車騒音に係る許容限 度を定めること等により、生活環境を保全し、国民の健康の保護に資することを目的とする」 と定められているように、同法は、建築や工事場所などで発生する大きい工音をデシベル (dBA) で規制する法律となっている。このように「騒音規制法」は、事業に伴い発生する生 活に支障をきたす音の削減を目的としたものであり、音環境の包括的解決といった目的で 制定されたものではないことが分かる。

- ノイズキャンセリングの普及 イヤホンやヘッドホンにおけるノイズキャンセリングという技術は音環境を個に収束する アプローチと言える。ノイズキャンセリングはあくまで音楽をより純度の高い状態で鑑賞 するための技術であることは確かだが、これは逆説的に現代の音環境が音楽の聴取領域を も侵していることを示唆している。ノイズキャンセリングという要素を除いても、イヤホ ンやヘッドホンの普及は音楽鑑賞の幅を広げると共に、煩雑化した音環境と個人とを遮断 するアプローチの一端となったと考えられる。 こうしたアプローチは確かに現代の都市環境の音の増加に対して必要不可欠であるが、一 方で、音害に伴う頭痛や吐き気などに悩まされる人々や音嫌悪症 ( ミソフォニア ) を発症す る人も少なくない。また、煩雑な都市音環境下では、ヘッドフォン着用に伴う交通事故も 発生している。サウンドスケープ・デザインを社会あるいは地域共同体を最小単位とする 根本的解決とするならば、それは個人を煩雑な音環境から守る身辺的解決にもなるという 事が出来る。以上から、個のレベルの音を増強するのではなく、個を取り巻く環境を含め た総合的なアプローチが必要になるのではないだろうか。

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ボトムアップ型の戦術的介入 - タクティカルアーバニズム タクティカルアーバニズムは、デザイナーや建築家主導の現代の都市計画によって生じる 問題に対して、民間レベルで小さなアクションを起こし、地方自治体や省庁を巻き込みつつ、 長期的には法律や都市計画への変革を誘導するための活動である。 アンリ・ルフェーブルの思想やシチュアシオニストたちの実践を前提としながら、ニュー アーバニズムと同様、市場的合理性一辺倒の都市開発、都市形態に対する批判的な思想を 基調とするが、その活動はボトムアップ型の身体スケールでの小さなアクションという点 が重要である。タクティカルアーバニズムは 2000 年代後半のアメリカ西海岸発祥の活動 であるが、その事例をまとめた書籍や具体的な実践方法、ツール制作のためのデータまで もが積極的にオープンソース化されていることから、全世界的にもその活動が流布してい る。

ここでは、行政によって取り組まれるトップダウンの騒音政策を < 戦略 > と呼ぶのに対し、 快音・不快音などを判断する当事者が聴取した意識レベルでの気付きや発見を促す作品・ プロダクトを < 戦術 > と呼ぶ。

行政指導によるトップダウンの騒音規制は、音環境を改善していく最善策と言えるのだろ うか。騒音の定義は個人の快音・不快音というものから測るのではないか。今まで築いて きた都市や環境が複雑化していく中で、音環境もより煩雑化していくといえる。そのよう な音環境に住む私(たち)は、戦略的な行政指導に期待するのではなく、自らの手で、戦 術的に音環境を作っていくことが今後重要ではないだろうか。 戦術的に環境音を聴取する行為 (Tactical Listenism) は社会あるいは地域共同体を最小単位 とする根本的解決とするならば、それは個人を煩雑な音環境から守る身辺的解決にもなる という事が出来る。以上から、個のレベルの音を増強するのではなく、個を取り巻く環境 を含めた総合的なアプローチが必要になるのではないだろうか。

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どのように聴くかが、何を聴くかを決める。 私(たち)は何を聴きたいのか。 何を聴くべきなのか。

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DATE: XX. 06. 2021 CATEGORY CODE: Urban Sound Tool

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DATE: XX. 06. 2021 CATEGORY CODE: Urban Sound Tool

Urban Sound Tool Urban Sound Tool は都市空間の音に集中するための音響フィルターである。小さな入り口 を被ることで拡大していく音環境は調和的な響きを加え、都市環境音を捉えおなし、都市 を聴く際の音楽的な姿勢を促すツールとなっていく。実都市にインストールしていく中で、 都市空間の既存の音響特性・デザイン要素をリサーチし、戦術的な環境音聴取を模索して いくツールである。

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#Prototype01

-Prototype01Material Felt(Black) Color Wire(Black) Felt は防音素材などによく用いれられており、騒音問題と密接に関わる素材の一つであり、 PLECTERE acoustic textile design などを参考に編み方や形によって集音性を工夫した。戦 術的な介入の中で、人通りの多い公共の場において都市の音に集中できるウェアラブルな 空間なのか、 衣服なのか。都市空間なのか、 私的空間なのか。という視点から制作した。また、 視覚情報など余計なソースを排除するためカラーは黒を採用した。

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No.01 2021/05/17 @Shibuya station 被ることで意識が耳にいくのは確実だし、聴こうとする姿勢に変わる でも集音されてるのかと言われたらわからない。 隙間から音が漏れてる感じがいいけど、隙間から視覚情報が入ってくる。 囲われている空間だから、意識は聴覚にいってる。 過敏になった聴覚のまま帽子を脱ぐと音の多さと没入してたことに気がつく 完成したら旅行に持って行きたい!! からもう少し見た目も重視した方が良さそう 渋谷で何しても恥ずかしくない精神を培いました ありがとう

Material Felt(Black) Color Wire(Black) Place 1-2-1, Dogenzaka, Shibuya-ku, Tokyo 150-0043 Photo Hazuki Ota

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Prototaype01 は被ることで聴覚に意識が向き、過敏になることは確実だった。 フェルトは暑い季節には敵であるため、そもそも素材から変更していくこと が今後必要になってきた。その上で集音を伴う構造を探る必要性があると感 じた。その中で、紙 (paper) は季節に合わせて素材を変えれると同時に、集音 性に関しては、障子紙や和紙 などを使用することで、より環境音聴取のツー ルとしての可能性を感じる。 Prototaype02 では紙 (paper) を中心とした制作 を行うことにした。

構造 前回の FB から今回は素材を紙に変更し、紙の種類で集音構造を思索していく。 構造に今回は折り紙の吉村パターンを参考にした。 吉村パターンは円筒を上下からつぶしたときに現れる変形構造であり、折り 目は直角二等辺三角形が連続したダイヤモンド型のパターンになる。昭和 26 年(1951)に工学者の吉村慶丸が見出した。 このパターンを施した円筒構造 は横方向からの圧縮に強く、最近では建築などにも多く利用されている。吉 村パターンは角度の調整によりドーム型の空間が生まれる。また折り畳むこ とができるため、都市に介入しやすい点から採用した。

素材 日本の生活においては、サウンドスケープは常に重要な役割を培って きた。茶の宗匠は釜で音楽を奏で、庭師は水の戯れを耳に心地良く 響かせるため、庭に水車や共鳴壺を仕掛けるという。 このような感性がどのようにして培われたのかをあれこれ考えている うちに、おそらくそれは、和紙を使った壁と窓でできた家に住んでい るためだろうという結論に至った。紙の窓は、ガラスの窓とは全く違う。 ガラスは音をさえぎる。けれども紙ならば音はもれ聞こえてくる。 紙の窓には耳の意識がはたらいているのだ。 引用 Raymond Murray Schafer「世界の調律」

サウンドスケープを提唱した Raymond Murray Schafer の「世界の調律」の 中で述べられている。かつて日本において重要な役割を担っていた紙の窓を 参考に今回は和紙とマーメイド紙などを採用した。 0022


DATE: 04. 06. 2021 CATEGORY CODE: Prototype02/03

-Prototype № 02Material Washi(Black) Hatome 10mm Colored strings(7mm) Plastic waste(vinyl) Carabiner(Black)

-Prototype № 03Material Mermaid paper(Black) Hatome 10mm Colored strings(7mm) Plastic waste(vinyl) Carabiner(Black)

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DATE: 04. 06. 2021 CATEGORY CODE: Prototype03

材料 : 黒い紙・ハトメ・紐・カラビナ 予算 :600 円 作業時間 :4~5 時間

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Hatome

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No.02 2021/06/04 @Yokohama station 障子のような薄さが、日本家屋のような落ち着きを与えてくれると思った けどはっきり声が聞こえる分、不安感がすごかった 見えない周りの状況でうっすらと光が漏れてたから もしかしたら自分の悪口言ってるのかも? 笑われてるのかもしれないと感じた 風の音が怖かった、まじ恐怖

Material Washi(Black) Hatome 10mm Colored strings(7mm) Plastic waste(vinyl) Carabiner(Black) Place 2-16-1 Takashima, Nishi-ku, Yokohama-shi, Kanagawa 220-0011 Photo Hazuki Ota 0026


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No.03 2021/06/04 @Yokohama station 音がぼやけて聞こえる。 近くの声ははっきり聞こえる。 他の音がぼやけて聞こえるから バックミュージックみたいになる 堂々とできるし、落ち着くし、 部屋に入った感覚に陥った

Material Mermaid paper(Black) Hatome 10mm Colored strings(7mm) Plastic waste(vinyl) Carabiner(Black) Place 2-16-1 Takashima, Nishi-ku, Yokohama-shi, Kanagawa 220-0011 Photo Hazuki Ota 0028


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No.04 2021/06/04 @Yokohama station 寝てしまいそうな、 ドローンがずっと響いて、 電車のガタンゴトンが心地良くて、 何もしないで 1 時間くらいいたい気分 完全に視界が遮断されているから

Material Mermaid paper(Black) Hatome 10mm Colored strings(7mm) Plastic waste(vinyl) Carabiner(Black) Place 2-16-1 Takashima, Nishi-ku, Yokohama-shi, Kanagawa 220-0011 Photo Moeko 0030


DATE: 04. 06. 2021 CATEGORY CODE: Prototype03

考察 Schafer が紙の窓について述べていたこともあり、和紙は都市の音を心地 よく集中できる空間として聴取できると思っていたが、「恐怖」「不安」と いうワードが見受けられた。そもそも Schafer が語っている日本のサウ ンドスケープが重要な役割を果たしていた時代は、現代とはかなり違う音 環境を指している。そもそも現代では紙の窓は騒音問題の一端を担ってお り、物音や話し声が丸聞こえのため、障子を違う素材に張り替える家屋も 増えている。かつては障子は耳の意識を働かせる役目を果たしていたが、 「恐怖」「不安」という感情が生まれているのは、現代の煩雑化した音環境 の対策として音と個人を遮断するアプローチ(ノイズキャンセリング / ガ ラス窓コンクリートなどを用いた建築)に慣れた私(たち)の現代の窓な のであろうと推測できる。無意識に聴取領域が侵害されていることに気づ かず、受け入れてしまっている聴覚文化を改めて体験した。 都市音介入から個人を取り巻く音環境を再考していく際にマーメイド紙を 使用したツールに可能性を感じたため制作を一旦止め、様々な場所で利用 してみることにした。

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No.05 2021/06/07 @Futakotamagawa まじ東急線だなって思った 目を瞑りたくなる 深くて掘られてるような 聴いてるリズムとか 空間ってなんだろう 隔たりがあることがいいのか 生きてなくても時と空間だけは流れる 私にとっての空間とはみたいなことを考えさせられた 風が音の一部になる感じ

Material Washi(Black) Hatome 10mm Colored strings(7mm) Plastic waste(vinyl) Carabiner(Black) Place 1-16-1 Tamagawa, Setagaya-ku, Tokyo 158-0094 Photo Hazuki Ota 0034


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No.06/07 2021/06/08 @Osanbashi Hall この間、かぶって体感して、妙な安心感がありました。 音響にこだわった設計がはいってくるとなおよいとおもったのですが、 耳のまわりの構造設計に何か工夫はできないでしょうか。 たとえばダンボの耳にしてみるなど。 都市を聴く別の生命体になった気分で結構集中してきけました。

Material Washi(Black) Hatome 10mm Colored strings(7mm) Plastic waste(vinyl) Carabiner(Black) Place 1-chome, Kaigandori, Naka-ku, Yokohama-shi, Kanagawa 231-0002 Photo Hazuki Ota 0038


DATE: 16. 06. 2021 CATEGORY CODE: Urban Sound Room

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Urban Sound Room

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Urban Sound Room Urban Sound Room は、煩雑化した都市の音環境に対してより深くサウンドスケープを聴 取する姿勢を促す空間「移動式都市の音室」を設計し、実都市空間に音介入していく作品 である。小さな入り口は、都市の音そのものを聞き、浸るための補助線となっている。本 作品は、あらゆる場所に実際にインストールし、戦術的聴取した際に都市そのものの音を 耳にし、これまでとは違う都市の輪郭が浮き上がる。

茶室という空間 茶の湯では、 「音を立ててはいけない」ということが強調され、静寂を楽しむ場である。む やみに音を立てるのは一般的なマナーとして慎むべきであるが、 「音を立ててはいけない」 というのは単なる思い込みで、逆に「音を意識して立てる」のが茶の湯である。 「音を意識 して立てる」のに関係してくるのがお茶室という空間である。お茶室は、小さな入り口を 通ることでより空間を大きく演出し、空間全体 ( 掛け軸・お茶室・湯呑み ) を季節ごとに変 えることにより、普段耳に入らない音が入ってきたりする現象が起きるのだ。これを壺中 天効果 ( 狭い入り口が茶室の内と外を明快にわけ、中が外とは別の世界であることを示す ) と呼ぶ。 都市空間にそもそも空間全体で音を感じられる場所が少ない中で、茶室という空間が都市 に存在すると、それは都市の音捉え直すトリガーになるのではないか。一種のブラックボッ クス的な空間を設置し、音に浸り、聴取行為を拡張し、戦術的に環境音を享受できる空間 の制作を行うこととした。

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Material

Plywood 4mm x 910mm x1820mm

Black Mermaid Paper 600mm x 700mm

Rope 9mm

Matte Black Paint

Hatome

Black Varnish

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DATE: 16. 06. 2021 CATEGORY CODE: Urban Sound Room

Design Concept No.01 Focus on Sound

最小限の快適さが保たれるサイズに設計されている 形は六角柱であり、外から入ってくる音が響くように 下部が若干広がっている形になっている。 ロープを通すための壁の穴は音だけでなく、 光も入るようになっている。 完全に閉ざさされた真っ暗な空間は避け、 お茶室ならではの薄暗さを再現してる。 また、黒の空間は時間知覚が短くなる傾向があるそうだ。 そこで、入った時に音に集中できるように、 外壁と内壁の色は黒を選択した。

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Design Concept No.02 Foldable + Movable コンパクトに折りたためるように、 ジョイントは9mmのロープを採用。 内側と外側で結びが異なることによって、 折りたたみやすいデザインとなっている。

Interior

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Folding Process

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Design Concept No.03 Nijiriguchi

お茶室の「躙り口」を取り入れた。 躙り口をくぐる行動が意識を集中させるための重要な行為だ 躙り口は異世界に誘ってもらうための切替装置なのだ 寸法は本来の躙り口と同じ大きさ、高さ 700mm、長さ 600mm である。 ドアは折りたためて軽い素材でできる折り紙を採用 折り方は吉村折。

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Study Archives

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DATE: 18. 06. 2021 CATEGORY CODE: Urban Sound Room

No.01 2021/06/18 @Shibuya River 通行人の会話が非常によく聞こえる。外国語も聞こえてくる。 他人の会話に聞き耳を立ててしまった気持ちだ。 隣の道路からは車の音もちょくちょく聞こえてくるが、 渋谷の中では、少し落ち着いているような気がする。 車や人の音のバックに、かすかに鳥や水の音が聞こえるからだろうか。 隙間から少しだけ木が見えるからだろうか。 もっと水の音を聞きたい! 渋谷ストリーム!!!

Place 3-27-1, Shibuya, Shibuya-ku, Tokyo 150-0043 Photo Taichi Shibutani 0058


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No.02 2021/06/18 @Shibuya Pedestrian Deck 時間が経つのが早い。中に何分いたかわからなくなる。 歩道橋の上にいるのに、足音があまり聞こえない。 話し声はちょくちょく聞こえるが。 人より車の存在を強く感じる。 音だけだと、非常に空気が悪そうな環境に聞こえる。 今までうるさいとも何も思わないで歩いていたのが不思議なぐらいだ。 外国人が初めて渋谷に訪れるとき非常にうるさく感じる、というのが わかるような気がした。

Place Shibuya-ku, Tokyo 150-0043 Photo Taichi Shibutani 0060


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No.03 2021/06/18 @Shibuya Cast Garden 自分がまず道路にいるような感覚で 自分がまず道路にいるような感覚で 座って音を聴いてるわけだから とてもヒヤヒヤ、周りの音とか気になりそうだったけど、 入ったら、妙な安心感で音を聞いてた 普段、耳で都市とつながる感覚があまりなかったから 新しい体験だった。

Place 1-23-21, Shibuya, Shibuya-ku, Tokyo 150-0043 Photo Taichi Shibutani 0062


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No.04 2021/06/18 @Yoyogi Park

Place 2-1, Kamizono-cho, Shibuya-ku, Tokyo 150-0043 Photo Taichi Shibutani 0064


DATE: 04. 18.06. 06.2021 2021 CATEGORY CATEGORYCODE: CODE: Prototype02 Urban Sound Room DATE:

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DATE: 18. 06. 2021 CATEGORY CODE: Urban Sound Room

No.05 2021/06/18 @Hachiko Square Urban Sound Room でハチ公前広場に都市音介入。 警察に「撮影行為全般禁止」と注意され撤退。 世の中には、 公共空間において「映え」と評して若者がさまざまな撮影行為をしている中で、 私達の音介入はなぜ止められたのか、日本の公共ルールにはどんなものが存在しているの か気になり、区役所の方に連絡した。 [ お問い合わせ先 ] 土木部・管理課 占用係 電話番号 : 03-34602784 FAX 番号 : 03-5458-4908 警察の方に都市音介入を撮影する行為を注意され、すぐ近くでは政治的行為を行う団体が いたことなど事情を説明 「道路上で一定の対応の行為をするには、道路許可申請が必要になります。 ハチ公前の広場は歩道に当たるため、撮影する場合は一般交通の用の供する 通行する際に道路許可申請書、道路交通許可証の申請が必要になります。 撮影クルーが機材を置く撮影などは同様の許可が必要となっております。 スクランブル交差点 iPhone での撮影は交通とみなされるため許可申請は必要ないです。 今回の場合、政治活動としてみなしていた団体は、公共の場での表現の自由、政治活動の 場として、一般的には道路使用許可が必要ないことになってます。 」 ハチ公前広場なので、広場は別に許可申請必要ないですよね? 「ハチ公前広場はあくまで通称名です。 名称って本来、何かの法律、条例に地元に原始的に親しまれるってだけで、渋谷区の場合 は通称名 駒沢通り、甲州街道などもそれに当たります。ハチ公前広場は、歩道なんです。 ですので、今回警察の方が渋谷区のものとおっしゃってたと思われますが、渋谷区であろ うが、全国一律道路法の規定を 道路交通上の放棄となります。道路って公物ですから、 交通ためのものですので、それに阻害するもの排除するのが方で定まってます。 今回の場合 道路交通法の 76/77 条が対象になっていると思います。 (全国一律) 」

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DATE: 18. 06. 2021 CATEGORY CODE: Urban Sound Room

道路における禁止行為等 (禁止行為) 第七十六条 何人も、信号機若しくは道路標識等又はこれらに類似する工作物若しくは物件をみだ りに設置してはならない。 2 何人も、信号機又は道路標識等の効用を妨げるような工作物又は物件を設置してはならない。 3 何人も、交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置いてはならない。 4 何人も、次の各号に掲げる行為は、してはならない。 一 道路において、酒に酔つて交通の妨害となるような程度にふらつくこと。 二 道路において、交通の妨害となるような方法で寝そべり、すわり、しやがみ、又は立ちどまつ ていること。 三 交通のひんぱんな道路において、球戯をし、ローラー・スケートをし、又はこれらに類する行 為をすること。 四 石、ガラスびん、金属片その他道路上の人若しくは車両等を損傷するおそれのある物件を投げ、 又は発射すること。 五 前号に掲げるもののほか、道路において進行中の車両等から物件を投げること。 六 道路において進行中の自動車、トロリーバス又は路面電車に飛び乗り、若しくはこれらから飛 び降り、又はこれらに外からつかまること。 七 前各号に掲げるもののほか、道路又は交通の状況により、公安委員会が、道路における交通の 危険を生じさせ、又は著しく交通の妨害となるおそれがあると認めて定めた行為 (罰則 第一項及び第二項については第百十八条第一項第六号、第百二十三条 第三項については 第百十九条第一項第十二号の四、第百二十三条 第四項については第百二十条第一項第九号) (道路の使用の許可) 第七十七条 次の各号のいずれかに該当する者は、それぞれ当該各号に掲げる行為について当該行 為に係る場所を管轄する警察署長(以下この節において「所轄警察署長」という。 )の許可(当該 行為に係る場所が同一の公安委員会の管理に属する二以上の警察署長の管轄にわたるときは、その いずれかの所轄警察署長の許可。以下この節において同じ。 )を受けなければならない。 一 道路において工事若しくは作業をしようとする者又は当該工事若しくは作業の請負人 二 道路に石碑、銅像、広告板、アーチその他これらに類する工作物を設けようとする者 三 場所を移動しないで、道路に露店、屋台店その他これらに類する店を出そうとする者 四 前各号に掲げるもののほか、道路において祭礼行事をし、又はロケーシヨンをする等一般交通 に著しい影響を及ぼすような通行の形態若しくは方法により道路を使用する行為又は道路に人が集 まり一般交通に著しい影響を及ぼすような行為で、公安委員会が、その土地の道路又は交通の状況 により、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため必要と認めて定めたもの をしようとする者 2 前項の許可の申請があつた場合において、当該申請に係る行為が次の各号のいずれかに該当す るときは、所轄警察署長は、許可をしなければならない。 一 当該申請に係る行為が現に交通の妨害となるおそれがないと認められるとき。 二 当該申請に係る行為が許可に付された条件に従つて行なわれることにより交通の妨害となるお それがなくなると認められるとき。 三 当該申請に係る行為が現に交通の妨害となるおそれはあるが公益上又は社会の慣習上やむを得 ないものであると認められるとき。 3 第一項の規定による許可をする場合において、必要があると認めるときは、所轄警察署長は、 当該許可に係る行為が前項第一号に該当する場合を除き、当該許可に道路における危険を防止し、 その他交通の安全と円滑を図るため必要な条件を付することができる。 4 所轄警察署長は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため特別の必要 が生じたときは、前項の規定により付した条件を変更し、又は新たに条件を付することができる。 5 所轄警察署長は、第一項の規定による許可を受けた者が前二項の規定による条件に違反したと き、又は道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため特別の必要が生じたとき は、その許可を取り消し、又はその許可の効力を停止することができる。 6 所轄警察署長は、第三項又は第四項の規定による条件に違反した者について前項の規定による 処分をしようとするときは、当該処分に係る者に対し、あらかじめ、弁明をなすべき日時、場所及 び当該処分をしようとする理由を通知して、当該事案について弁明及び有利な証拠の提出の機会を 与えなければならない。ただし、交通の危険を防止するため緊急やむを得ないときは、この限りで ない。 7 第一項の規定による許可を受けた者は、当該許可の期間が満了したとき、又は第五項の規定に より当該許可が取り消されたときは、すみやかに当該工作物の除去その他道路を原状に回復する措 置を講じなければならない。 (罰則 第一項については第百十九条第一項第十二号の四、第百二十三条 第三項及び第四項につ いては第百十九条第一項第十三号、第百二十三条 第七項については第百二十条第一項第十三号、 第百二十三条)

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DATE: 18. 04. 06. 2021 CATEGORY CODE: Urban Prototype02 Sound Room

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