Miyachi Eigo/Architectural design 2018-2022

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R O O

PO TF LI EIGO MIYACHI 2 0 1 8 2 0 2 2

Miyachi Eigo

宮地栄吾 広島工業大学大学院 工学研究科環境学専攻

学部:前田圭介研究室   :河田智成研究室

今を 蔑ろにしない 建築

その場の環境や歴史などから現状の問題点を詳細に読み解き、与条件を広げる。

その中で、 悪いとされているマイナスな面にも光を当て、ポジティブに言い換えをする ことで 今を蔑ろにしない、そして現状追認でもないものが生まれる、そんな建築をつくりたい。

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Education

2000 広島県福山市生まれ

2018-2022 広島工業大学 環境学部 建築デザイン学科 卒業 (前田圭介研究室)

2022-2024 広島工業大学 工学研究科 環境学専攻 修了予定 (河田智成研究室)

Illustrator Photo Shop Archi Cad Rhinoceros

Skills 00 プ ロ フ ィ | ル 01 04

2020 第47回 五三会建築設計競技  入選

2021 日本建築学会設計競技2021

「徘徊病棟」  全国入選 佳作・タジマ奨励賞

2021 ひろしま建築学生チャレンジコンペ2021

「トイレの森」  佳作

2022 卒業設計

「区画の再編」  学内選抜講評作品

2022 広島平和祈念卒業設計展 2022 ” 作品出展

2022 日本建築学会設計競技2022

「基町の再スラム化」  全国入選 佳作

2022 ひろしま建築学生チャレンジコンペ2022

「裏のない消防屯所」  優秀賞

03
Award 02 03
EIGO MIYACHI 04 01 07- 23- 02 裏のない消防屯所 区画の再編 Diploma Implementation Competition
05 02 03 00 プ ロ フ ィ | ル 01 04 33- 45Architectural Design 03 04 基町の再スラム化 Other Works 徘 徊 病 棟
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ー住宅団地における多様性に向けた暮らしの提案ー

07 卒業制作 学内選抜講評作品 広島平和祈念卒業設計展2022 作品出展 審査員 | 内藤廣 手塚由比 藤村龍至 河口佳介
Diploma 区画の再編 01

区画の再編

広島では高度経済成長などの人口増加により、戸建て住宅が立ち並ぶ住宅団地が数多く存在する。

蜜から疎に変わっていく中で衰退していく住宅団地の可能性を再定義し、多様性という大きなスケー

ルのテーマを住民一人一人の小さなスケールに焦点を当て、現状の問題や住民の納得する形で改修

をしていく。そうすることで小さな操作の積み重ねが大きな揺らぎを生み、

団地は多様性へパラダイムシフトしていく。

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■敷地:広島県廿日市市 「宮園団地」 ■用途:住宅 ■課題:卒業設計 02 03 00 区 画 の 再 編 01 04 09
衰退を利用することで、画一的な住宅団地を多様性のもった空間へと変換した提案 〉

00はじめに

現在の日本は、工業化社会の画一化されていた時代から、違いを認め尊重する多様性の時代へと移行している。

しかし、多様性を受け入れられない人が多くいる。

それは建築や街並みが画一的 にあり続けているからではないのか、

01敷地・調査

□広島の現状 □敷地選定 広島市の団地数

広島では、都市化や高度経済成長による急激な人口増加と宅地需要の高まりに伴って、デルタ部郊外の丘陵部を中心に、戸建て住宅が建ち並ぶ住宅団地が数多く開発され、現在広島市だ けで169ヶ所存在している。こうした住宅団地の多くは、まちづくりが計画的に行われているため、公園・広場の整備、景観など、居住地として良好な環境をゆうしている一方、住宅 や道路は区画化され、画一的な街並みになっている。敷地は宮園団地を選定。1986年(昭和61年)から分譲開始し、約6350人ほどが住める計画がされ、そこから35年経過し、現在 世帯数2136世帯、5200人暮らしている。

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N

住宅団地の多くは開発により誕生し、30~40歳代の子育て世帯を中心に入居が進み、人口・世帯数が右肩上がりに増加する「成長期」に入る。それに伴い、バス路線の開通、商業施設 の開業、公共施設の整備などが進み、人口がピークになる頃に「活性期」を迎える。そして、活性気がしばらく続いた後、人口減少や高齢化の上昇等により、様々な課題が発生する「成 熟期」に突入していく。宮園は「成熟期」に入り、高齢化や空き家、商業施設の撤退などこれから様々な問題が懸念される。どの住宅にも道路境界線には生垣やカーポート、隣地境界線 にはフェンスが設置されていた。

パブリック

画一的な団地ではパブリックとプライベートの2つの空間概念しか存在 せず、2つで分断されていることで多様な関わりの状況が存在しないこと から、多様な物事への対応が成熟していないと考える。

生垣 12000 14000

フェンス

生垣

団地に多様性がない理由に規制が多い ことが挙げられる。宮園団地は生垣の 設置が規制されており、現状生垣に よって大きく境界が分断されている。

カーポート カーポート フェンス 1住戸に1台駐車場があり、車 が近隣との関係を遮るものに なっている。

隣地境界線に作られたフェンス は近隣との関係を大きく遮断し ており、多様な関わりが生まれ ていない。

□境界線の調査 02 03 00 区 画 の 再 編 01 04 11
プライベート

□衰退やライフスタイルの変化を利用する計画

団地の衰退を悲観的に捉えるのではなく前向きに捉え、今後団地の衰退やライフスタイルが変化していく中で、 空き家や使われなくなった2階、リビングなどの余剰空間を利用し、それぞれの住宅の状況に対応した計画とする。

一街区(約20戸)に2箇所、空 き地に立体駐車場を計画する。

子育てが一段落し、ライフスタイルが変化している中で2階や 大きなリビングなどの余剰空間を小さな空き物件とする。

生垣の規制を撤廃する。 (フェンスも撤去)

そこで各住宅に生まれたスペースをパブリックスペースやテナントとして外に開くことで 多様な関わりの生まれるきっかけを作り出す。

宮園団地は作る段階で全体を計画的に行っていることからどの住宅にも採光が当たるよう東西 軸・南北軸から角度を振り計画されており、宮園団地もそれに該当する。 そこで多様な空間を生み出すために東西軸・南北軸に木のフレームを架けることで既存の十字 の軸に加え新たな軸が加わり、多様な軸が生まれる。今までは道路や近隣との正対を余儀なく され、1方向的な単調な空間の連なりになっていたが、正対することを緩和できることで奥行 きを生むことができ、両者をグラデーショナルに繋ぐことが可能となる。

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02提案
空き家 規制 余剰空間
北 南 東 西
□東西軸・南北軸にフレームを架け新たな軸線を生む

□既存を活かした改修 □制度を導入

パブリックスペース テナント

任せる 全額負担

住宅の〇%以上パブリックスペースとした場合 助成金が与えられる。

テナントを団地側に任せる場合、改修 費用を全額負担してくれる。

オーナーになる 1/2負担

近隣の住宅同士でパブリックスペースを繋げ ると助成金が貰える。

テナントを利益にしたい(オーナーになる) 場合、改修費用の1/2負担してくれる。

それぞれの床から1800mmの高さに木のフレームを架け既存の壁に新たなフーレムが介入することで空間 を変化さしていく。既存の壁は新たな軸線を少し拠り所にしながら部分的に残し、垂れ壁や腰壁など既存 を活かした多様な軸が混在する空間となる。

規制が多い強制された均一な街並みに、規制ではなく制度を導入し、住民一人一人が能動的に街 に関わることができる計画とする。住民それぞれが積極的に改修が進めれるよう状況に合 わせた制度を立てる。

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EIGO MIYACHI 14 □二階平面図 Ⅰ Ⅳ Ⅱ Ⅴ Ⅲ Ⅵ
02 03 00 区 画 の 再 編 01 04 15 Ⅰ Ⅳ Ⅱ Ⅴ Ⅲ Ⅵ

03家族を具体的に6つ設定し設計

使っていなかった2階をテナントへ  大きなリビングをパブリックスペースへ

70代夫婦の二人暮し

改修内容 高齢なこともあり、2階を使用して いなく持て余していた。そこで2階 を全部テナントとして改修をお願い した。テナントの利益を得ない代わ りに改修費用を全額負担してもらう 制度を導入することで、余剰空間を 有効活用できるだけでなく、階段が 中庭へ変わるなど住環境も豊かなも のとなった。

絵を書くことが好きな夫婦は大きなリビングをアトリエとして改修 をお願いした。アトリエはパブリックスペースとして外に開くこと で制度が適応され助成金が貰える。使っていなかったリビング上の 部屋を吹き抜けにすることで開放的なアトリエの空間となった。

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家族構成 改修前 平面図 2F トイレ 洋室 洋室 ベランダ 洋室 洋室 改修する場所 1F LDK 玄関 収納 和室 押入 洗面所 浴室 改修内容 家族構成 2F 1F 改修前 平面図 改修する場所 50代夫婦の二人暮らし 浴室 洗面所 玄関 和室 LDK 洋室 洋室洋室 バルコニー 収納 収納 収納 洋室

空き家を改修し職住一体の住まいへ  駐車場【昇降横行式ピット3段】

改修する場所 父親と母親と12歳の息子の3人暮らし

操作要領〈5番出庫例〉

①7番下降

②1~4番右に横行

③5番に上昇

空き家になってしまった家を職住一体に対応した住まいへと改修し た。1階を店舗、2階を住まいとし、1階は全てがパブリックスペー スとしていることで制度が適応され格安な好物件となっている。

⑤出庫後、ゲート上昇 断面図 PFL 3000

4150

⑥終了

空き地に駐車場を計画。地下に設置できる機械式駐車場とする ことで、高さを抑えられ、駐車場の上部分に近隣を繋ぐ通路を 計画することが可能となる。

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LDK 和室 浴室 洗面所 玄関 1F 洋室 収納 収納 収納 洋室 洋室 バルコニー 2F 改修前 平面図
改修内容 家族構成 改修内容
④ゲート下降 9800 2450

庭をパブリックスペースに2階をお店へ  庭をパブリックスペースにしサンルームを拡張

子供が巣立ちライフスタイルが変化した夫婦は夢であった花屋を始 めるために、庭をパブリックスペースにし2階を花屋に計画した。

近隣とパブリックスペースを繋げることで、様々な居場所を生まれ ることや、助成金が貰える。

父親と母親と3人の兄弟が暮らす

五人で暮らしており、余剰空間はないが庭をパブリックスペース にし、木のフレームが架かることでサンルームを拡張することが 可能となった。そしてサンルームもパブリックスペースとして制 度に適用され、開くことで様々な空間が生まれる。

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改修前 平面図
家族構成
改修内容
40代夫婦の二人暮らし LDK 収納 収納 収納 和室 浴室 玄関 洗面所 1F 2F 洋室 洋室 バルコニー 収納 収納 改修する場所 改修する場所 改修前 平面図 改修内容 家族構成 浴室 浴室 浴室 浴室 サンルーム 収納 収納 収納 和室 LDK 洗面所 浴室 玄関 収納 2F 1F
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02 03 00 区 画 の 再 編 01 04 21
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裏のない消防屯所 02

ひろしま建築学生チャレンジコンペ2022 優秀賞

テーマ 「地域の行動変容を促す、機能的な消防屯所を設計せよ。」

審査員 | 家成俊勝 土井亘 成田和弘 岡田吉弘 的場弘明

Implementation Competition
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消防屯所が統合され,新たに生まれ変わろうとしています。消防団は,地域を守る重要な役割を担っていま

すが,現在,消防団員の減少が地域の大きな課題となっています。少子高齢化社会のいま,

これまで地域の人たちを守ってきた消防の「これから」を考えながら,統合される新たな消防屯所を設計し

てもらいたいのです。みなさんの考える「これから」の消防屯所は,どのように地域と繋がり,どのように 地域を守り,どのように地域に愛されていくのでしょうか?

これらを踏まえ,地域の行動変容を促すきっかけとなる,機能的な消防屯所を設計してください。 家成 俊勝

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地域の行動変容を促す,機能的な消防屯所を設計せよ

裏のない敷地を活かし、待機室と車庫を反転させることで、大きくまちに開いた提案 〉

■敷地:広島県三原市 ■用途:消防屯所 ■課題:チャレンジコンペ2022「地域の行動変容を促す消防屯所」(審査員長:家成俊勝)

01 02 03 00 裏 の な い 消 防 屯 所 04 25 〈

01今、三原に必要な消防団

消火活動

炊き出しをつくる女性

救助活動

配分をする高齢者

泥かきをする男性

炊き出し手伝う学生 お手伝いする子供

溝堀を行う農家の人

「これまで」の消防団は,一部の人しか参加できない力をもった男性が消防活動を行うというようなものでした.私たちの考える「これから」

の消防団とは,地域の人たちに密着して,むしろ誰でも参加でき,緊急時には,それぞれにあった方法で助け合い,「みんなが消防団」となる ようなものです.「みんなが消防団」となり地域を守り,その拠点となるような「みんなの消防屯所」を目指します.

02車庫と待機室の反転

「これまで」の消防屯所

道路側に車庫がありシャッターが閉められることで,内部の行 為が地域の人の目につかないためブラックボックス化されてい ました.消防屯所は住民にとって遠い存在といえます.

裏側がないという敷地の特性を生かすことで,待機室を道路 側にして車庫を学校側にします.配置を反転さることで,消 防団の活動を見せ,地域の人に視覚的に開きます.

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「これから」の消防屯所 待機室 内部が見えない消防屯所 地域に開かれた消防屯所 待機室 道路 道路 車庫 車庫
「これまで」の消防団 「これから」の消防団
01 02 03 00 裏 の な い 消 防 屯 所 04 27 □断面図 □平面図
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□学校に対して開く
□歩道に対して開く 01 02 03 00 裏 の な い 消 防 屯 所 04 29
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01 02 03 00 裏 の な い 消 防 屯 所 04 31
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Architectural Design

日本建築学会設計競技 2022 全国入選 佳作

テーマ 「『他者』とともに生きる建築」

審査員 | 千葉学 赤松佳珠子 蟻塚学 貝島桃代 高野洋平 前田圭介 柳沢究

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基町の再スラム化 03

「他者」に想いを巡らせ、「他者」と関わり合うことは、生きていく上でなくてはならないことである。もちろん私たちが属する地域

や社会は、日々「他者」とともにあるが、「他者」を介して自らを知り、また自らが変わっていくことこそ、この関わり合いが齎す最 大の価値である。では、このような「他者」とともに生きることは、果たして現代において実現できているだろうか。建築や都市は、

それを後押しできているだろうか。ところで「他者」は、もともと「自分以外の、ほかの者」(広辞苑)を指していたが、近年では自 分以外の家族や自然、動植物など、自らがコントロールできない存在にも拡張して使われている。それは恐らく人間が、こうした存

在をコントロール可能な対象と捉えて振る舞うか、もしくは排除してきた社会への問い直しの表れであろう。住宅は、「自己」のため につくられ、公共施設は、「個」が「公」からのサービスを受ける場に成り下り、自然は、建築を彩る装飾に矮小化している状況に対 し、家びらきやシェア、『動いている庭』(ジル・クレマン)など、様々な試みもすでに実践されているが、ここではさらにその先を 考えてみたいと思う。コントロールできない「他者」を受け入れ、そして自らも変わっていくような動的な状態を受け止める建築や 都市は、いかなるものだろうか。自分にとっての「他者」を具体的に想定し、ともに生きるための建築、都市を考えてみてください。

千葉 学
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『他者』とともに生きる建築

〈住民の主張を重視して「他者性」のもった全体を取り戻すための計画的な無計画を提案〉

■敷地:広島県広島市 「基町高層アパート 」 ■用途:集合住宅 ■課題:建築設計競技 「他者とともに生きる建築(審査員長:千葉学)

01 02 03 00 基 町 の 再 ス ラ ム 化 04 35

□基町高層アパート □原爆スラムと呼ばれたまち

大高正人により設計された基町高層は、2戸1化などメタボリズム建築の特徴をもっ たものとなっている。しかし現状は、住戸を結合するためには空き家が連続する必 要があるが,空き家が連続せず,現在は結合のために確保された空き家が余っている.

02分析・調査

現在,基町高層アパートの建つ基町地区では,コントロール不可能な人為である戦争により,原爆が投下され 焼け野原となった.そこで,住人は生活する空間を必要とし,基町には原爆スラムが自然発生した.そこでの 人間は,弱く,悲しみに支配されるのではなく,力強く,優しさをもって本来的な共生状態であった.そこは 一種の災害ユートピアであった.

□住民のささやかな抵抗 □「たまり」という私と公が混在する空間

基町高層では「私」は建築家により計画された「公」に組み込まれ,主張をし合う 余白などなく,「他者」とともに生きることを後押しされていたとは言い難かった. 一方で,予想に反し住人は計画の意図を超え,自らの手で建築を読み替え「他者」 を意識し,力強く「私」を主張し共生していた.

そこで、我々は原爆スラムにみられた「たまり」に着目し た.「たまり」とは一種の公と私の一体的な空間であり, 洗濯物や料理,立ち話などといった行為や,物置や家庭菜 園,商店などといった,本来は自己の領域内で行われるよ うな行為や,創造的な増改築が多くみられた.そこは現代 失われたような「他者性」をもった空間であった.

そのような「たまり」は、いくつかの住戸に囲まれる形で 住戸の地として存在した.住戸の増築や減築により時間 をかけて形を変えながら形成する,常に流動する空間であ る. 増築や減築は公と私の境界を揺さぶり,そのような行 為が頻繁に行われることで,建築の公と私の境界があいま いになるとともに,住民の精神も公に開かれた状態となる.

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01敷地

03他者の痕跡が見られる建築

□破綻したメタボリズムの計画を利用し、結合待ちの「空き家」を「たまり」にする

階段・廊下

腰壁 カーテン ポリカーボネート エキスパンドメタル 棚

直通 折れ階段 離れ長階段

R壁 障子 ガラス(サンルーム)

04計画的無計画

2層螺旋 3層螺旋 空中回廊 物置階段 劇場 スロープ

□個人の欲望を利用して、「公」に誘う出すことで住民の他者性を取り戻す

吹き抜け(鉄筋) 池

[phese2]
01 02 03 00 基 町 の 再 ス ラ ム 化 04 37 壁
垂れ壁
土間
段差 芝 土 吹き抜け
畳 縁側
[phese3]
個人の欲望に従って拡大する
他者のまなざしに晒される 他者を意識した改築が行われる

05「たまり」の建築的要素

□ 原爆スラムに見られた「たまり」を建築的に読み解き、取り入れる

①障子 夜になると外へと光がもれる.

a.共用部の物置化

高齢女性の単身者

②垂れ壁

外部の人の直接的視線を遮るが,音や気 配などは感じられる.

③木格子の壁

日中は内部から外部が見えるが,夜間は外部から内 部の明かりがほんのりと見える.

④棚

b.さらされる自己

c.エレメントの読み替え

夫に先立たれ一人で 暮らす.夫の死によ り,住戸の広さを持 て余すこととなり, 一部を共用空間に提 供する.それにより, 補助金を貰い老後資 金とする. 子供が小学生にな り,勉強机などが必 要となる.ベランダを一部 屋内とし,住戸の面積を増やす.

リビングと寝室を緩やかに仕切る.棚に置く物の 隙間から向こう側が見える.

⑤カーテン

風などでなびくことで,反対側がちらちらと目に入 る.住戸内でもこのような関係を促す.

3人家族(夫婦+息子)

⑥小部屋

プレキャストによるお風呂のBOXをオンライン会 議などに用いれる小部屋に転用.通気用の窓から 微かに外の雰囲気を感じ取れる.

⑦螺旋階段

上り下りをする際,360度視線を転回することで 自分以外の他者に目を向ける機会をつくる.物置 や腰かけなどとしても利用される.

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① ② ③ ⑤ ⑥ ④ ⑦

01234 5

現在は,住民の過半数が高齢者で高齢単身者も多く,孤独死なども問題となっている.日本以外の国籍の住人も多く,言語の問題による孤立などもみられる.また,戦後の応急的な住 宅であったこともあり2人暮らしですら十分な大きさとはいえない.

□phese1:現状の様子 01 02 03 00 基 町 の 再 ス ラ ム 化 04 39
N

□phese2:精神のスラム化

「空き家の解放」と「エレメントの自由化」により,「公」と「私」の境界は揺さぶられ,人間の精神が「他者」に開かれたものに変化する.しかし,この時点では,「他者」を意識し た改修は少なく,自己の欲望に従って領域を拡大しているのみである.

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N
01234 5

家開きや住民同士の合意形成による共用部を豊かにしようという試みなど,「他者」を意識した増改築がみられる.住民の精神の変化により増改築が加速する.既存の有効活用や計画 の残骸などもあり「他者性」のある空間となっている.次第に場所に個性が出てきてオフィス街や住宅街,中国人街なども自然と出てくると思われる.

01 02 03 00 基 町 の 再 ス ラ ム 化 04 41 N 01234 5
□phese3:基町高層のスラム化

□phese2:精神のスラム化

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01 02 03 00 基 町 の 再 ス ラ ム 化 04 43
□phese3:基町高層のスラム化
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□「トイレの森」ひろしま建築学生チャレンジコンペ 2021 佳作 □「徘徊病棟」日本建築学会設計競技 2021 全国入選 佳作・タジマ奨励賞 Other Worvks 04 45

トイレの森

□ひろしま建築学生チャレンジコンペ2021  佳作

■敷地:広島県府中市 「こどもの国ポムポム」

■用途:トイレ

■課題:チャレンジコンペ2021 (審査員長:o+h)

まねっこトイレ

親とこどもと向かい合って学べるエリア

冽咎刮呼トイレ もしもしトイレ

こどもの国ポムポムという児童館と

大きな木をイメージした遊具の間に 建てるトイレの設計。トイレと遊び

場を予算内に収める中で、トイレ自

体を遊び場と捉え、遊具で遊ぶよう

な感覚で利用できるトイレを提案。

伝声管で外の友達とお話できるエリア

おしっこトイレ

男の子同士で一緒に排泄して遊べるエリア

だれでもトイレ

車椅子の方でも使える広いエリア

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□設計概要
「まねっこトイレ」「もしもしトイレ」
「おしっこトイレ」「だれでもトイレ」 といった4つのエリアをつくり、子 供の成長段階に合わせた遊び、学べ るトイレを計画した。
02 03 00 01 04 47 O t h e r W o r k s

■敷地:広島県福山市 「田島 内海町」

■用途:福祉施設

■課題:建築設計競技 「まちづくりの核として福祉を考える」

集落を支える9の拠点と2つのサイクル

鮮魚を届ける 生活用品や食材を持ち帰る 娯楽 商業

子供を見守る

徘徊病棟 畑を耕す 趣味を楽しむ

□設計概要

ここは集落全体がひとつの施設であ

り、民家が個室、道が廊下である。

小さな集落に点在数る様々な場所に 寄り、自分の役割や生きがいを見つ ける。その中で多くの人が交流し、 集落の人たちは互いに見守り合う。

さらに社会資源を開発することで自 発的な支え合いを誘発するシステム

の確立が可能となり、高齢者や知的・ 精神障がい者がいきいきと活動でき る場所となる。この日常は健常者の

既存を活かした減築・改築

空き家を有効活用した計画 マルシェなどまちに活気が生まれる

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日常以上のものとなるのではないか
□日本建築学会設計競技 2021  全国入選 佳作・タジマ奨励賞 食堂やカフェの運営

□神奈川大学との合同プロジェクトで外交計画を担当

敷地である旧戸崎小学校は福山駅か ら鞆の浦を経て、戸崎港まで至るサ イクリングロード「しおまち海道」 沿いにあり、「しまなみ海道」への中 継地点に位置するため、ここに立ち 寄った人が思い思いに時間を過ごす ことができる場をランドスケープと 共に提案した。植栽計画と共に遊歩 道の形状と土地の起伏を操作する事 によって、海への眺望の開ける場所

や、木陰で佇む場所など多様な拠り 所を作り出す。また遊歩道は土地の 起伏によるレベル差によって、道や ストリートファニチャーなど、様々 なアクティビティのきっかけになる ことを期待したデザインである。

□設計概要
02 03 00 01 04 49 O t h e r W o r k s
尾道市浦崎旧戸崎小学校 再開発プロジェクト
EIGO MIYACHI

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