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Issei Saga

佐賀一星 / Issei Saga ………………………………………… 愛媛県松山市(2000)<出身> …………………… サッカー・スケボー・旅行<趣味> …………………… 臥龍山荘・アンビルド<好きな建築> …………………… 宇都宮大学 地域デザイン科学部 建築都市デザイン学科学部三年で見た建築家の卒業設計<建築が好きになったきっかけ> 自己紹介 Profile

声明 Statement 在しないという考え方の陰陽思想をシンボル化したもの自然界のあらゆるものは陰と陽に分かれており、一方がなければもう一方も存*陰陽マーク

だから僕はお互いが補いあう関係性を建築に内包させることが心を刺激する空間にしてくれると考えている。入学当初から建築が好きではなかった僕だからこそ、建築を学んでいない人が建築に対しての目線がわ二律背反を内包するかる。建築を利用するのは大体が建築を学んでいない人だからこそこの目線は大切にしておきたい。僕が設計するときには言葉とは逆の意味を考えている。理由は二つ。逆をとらえることが今の意味を正確に捉えなおすことがあること。誰が決めたかわからない常識を疑い逆に考えることで答えに納得することが僕の生き方であること。このように二律背反な事象には意味を補足する役割がお互い補いあっているのである。

Contents 030201

様々な情報を簡単に手に入れることができるスマート フォンが普及した現在、メディアが大衆から個人へ 移ったことで生活からテレビが離れている。 しかし、テレビによって友達との会話や家族の日常が 彩られていた思い出は少なからず人に存在している。 この思い出を美化しつつも未来にテレビの存在を残さ せるために建築に何ができるのかを模索し続けた。 また、テレビが生きていた記憶を紡ぎ、建築に変身し たテレビが人と仲良く遊ぶ友達建築を目指した。 テレビ君のセカンドライフ~自伝的記憶による空間体験~ 01 制作年:学部4年前期用途:美術館・公園敷地:東京都新宿区河田町卒業設計思い出 ⇔未来

計画背景1939年より放送が開始されて以来、テレビは途切れることなく常に発信し続けている。私達の生活の中でテレビの存在は大きく、誰にでもテレビとの思い出が必ずある。テレビはシンボルであり、人であり、ツールのような存在である。高度経済成長期には三種の神器の1つとしてシンボルのような存在だった。家庭内では家族や友達といった人のような存在だった。敷地は東京都新宿区河田町ここはかつてフジテレビ本社が存在しており、隣接する商店街と一体となって町を賑やかにしていた。しかし、現在は跡地にタワーマンションが建てられ町のシンボルであったフジテレビの名残は町にほとんど残っておらず、閑静な住宅街と変容した。町がテレビとともに生きてきた記憶を持つとともに、国の中心である東京都庁と皇居の中間に位置するこの敷地は、国の縁の下として情報を絶えず発信してきたテレビが在住するのにふさわしい。 00 導入 02 しきち 01 現状 テレビ局も高齢者に合わせた番組制作を行う。れなくなっている。高齢者は依然として視聴するため、インターネットの普及によりZ世代を中心にテレビが見ら若者のテレビ離れと高齢者依存の視聴率Z世代が高齢化すると…このままいくと、インターネットを利用できる高齢者が増え、ますますテレビは見られなくなる…? 600m 新宿駅700m 曙橋駅 商 店 街 都 庁 江圏 戸城圏 曙橋駅

60’ 70’ 80’ 90’ 00’ 10’ 20’ 1993 皇太子・雅子妃の結婚の儀 視聴率のターニングポイントと いわれる年 2003 地上デジタル放送の開始 2005 Youtubeがサービス開始 2008 iPhoneの日本発売 昭和 平成 令和 1953 日本で初のテレビ番組放送が 開始される 1975 カラーテレビの普及 1983 任天堂から家庭用ゲーム機 のファミコンが発売される テレビの自伝的記憶から起き上がる空間 04 おもいで美術館 02 06 05 04 03 03 0106 020405 03 06 05 04 02 歴史 時代 流れ (動線) 05 歴史と変遷 街頭テレビとそれを見る人 眠たい朝とテレビ 好きな番組が連続する テレビが待ち遠しい帰り道 兄弟で争うテレビ 深夜、暗闇で見るテレビ 同心円に広がる空間 カーテンによる曖昧な空間 連続して目線が抜けていく空間 傾斜が変わり高揚する空間 譲らすにせめぎ合う空間 暗闇に注がれる光の空間 0101提案ンクする。的に起こすことで、利用者の数の人が経験したであろう場面を空間に抽象響を与えているため自伝的記憶といわれ、多テレビとの記憶は1人の人生において大きな影せ、建築物が人のような存在にした。することで公る。また、敷地内に存在していた公園を複合ションと展示を組み合わせた美術館を設計すした思い出を忘れさせないためにインスタレーテレビと過ごしてきたこの町に対し、テレビと過ご園で友達と遊ぶような感覚をもた記憶に曖昧にリ

07 配置図兼1階平面図 S=1:100 あけぼの橋通り 商店街から連続するような歩道を配置する していた児童公園を模倣する芝生を敷き、敷地内に存在 背後の植林が登るときに劇場性をもった形状を一階に配置することで求心力を生ませる景色に二面性をもたせる (旧フジテレビ本社跡地)都市型タワーマンション06 Diagram 動線計画あけぼの橋商店街館内をぐるぐるするように螺旋状の動線を計画上にいくにつれて時代が最近に近づいていく 03 06 01 05 04 02 既存の児童公園の役割を担い、商店街側に配置公園のような美術館として機能させる平面計画断面計画公私土地から離れるにつれて私的な空間をつくり、土地に近い場では公的な空間構成とすることでメディアの変化(テレビ→スマホ)を感じさせる演出とした。

08 各階平面図 S=1:2002階平面図 5階平面図6階平面図7階平面図3階平面図4階平面図 椅子を設け中央の展示を眺める スチール丸棒と緑のカーテンがザッピングのように編み込まれたガラスとカーテンのスロープが朝の風景を演出するDOWNDOWNEV気持ちの良い空間を演出する 6階からEVで降りてくる人達が吊り下げられた展示くつろげる空間にした 空間同士に境界がなく、ぶつかりあう。壁が張り出し、迷路のような空間。 開口から差し込む光が流動的に流れ、スピード感を演出する 寄棟屋根の下にテレビがぽつんと赤と白の鉄骨。東京タワーという球体の空間。暗い空間内にあるテレビ型開口から入る光がテレビ画面に感じる電波塔のシンボルを彷彿とさせる置かれ、放送されている空間。

50005000 5000 24000 3000 5000 3500 3000 4000 4000 3000 09 南北断面図 S=1:100

3000 5000 3500 3000 4000 4000 3000 50005000 5000 10 東西断面図 S=1:100

06 01 05 02

03 04 最上階に置かれた放送しているテレビ 長い長い螺旋を下りきるときテレビに分かれを告げる

模型写真

この建築が失われた町のシンボルとなり、公園で友達と遊ぶように建築を人のようにとらえてくれる存在になれないかを考え、建築の大きな力によって人とテレビの新たな関係を築いていくことを模索した。

02 交通社会において利便性を求めるために新しい道路を計画す ることは珍しくない。しかし、街路を更新する際に区画ごと 整備しようとし、町中が取り壊しを行われることとなる。 敷地を訪れたときにはすでに計画が進められており、住宅や 商店が破壊されていくのを目の当たりにした。そのときに積 み上げてきた町の歴史を白紙にしている気がした。 利便性を求めながらも歴史をこわさないことを実現させるに はどうしたらいいのかを模索しつつ設計を行った。 痕跡の架け橋敷地:栃木県宇都宮市小幡用途:店舗・住宅制作年:学部3年後期地域設計製図計画 ⇔歴史

栃木県宇都宮市小幡町。そこにはかつて江戸時代に敷かれた日光街道が あった。街道沿いに栄えたこの町には今も町家や地割が残存している 01  敷地の現状 新 計 画 道 路 旧日 光 街 道 敷 地 区画整備内で 唯一の歩行者専用通路 敷地内にいた住人は集団移転方式 によって同時に戻ってくる 02  計画道路によってできる敷地 しかし、車社会の発展によってこの町に大規模な計画道路が敷か れようとしている。それにより 2つの街道に挟まれた土地 ができ、 今回の敷地とした。 新計画道路は交通整理を目的とす るうえに公共施設の増進も図って いた。 疑問点 計画背景 歴史・文化を積み上げた町から乖離した計画道路 どの場所、どの土地にも今に至るまでには様々な過程が必ずある。 僕はそのような過程が今にどんな影響を与えているのかを知ることが好きだ。 しかし計画道路にはそんな過程を全て無視している気がした。 立ち退きを命じ、交通の利便性を求めた計画道路は町に根ざしているのだろうか 僕はそのような計画道路を受け入れられるように、町の脈絡につなげる役割をもつ建築を作る イメージスケッチ

03  1次元 かつての日光街道が敷かれた時 のように整備がされていない自 然の中に一本の線である街道が 引かれる 2次元 整備された道には人が歩きだ し、簡易的に物を売ったりす る。人の活動による面が成り 立つ 3次元 人々はこの面に安定や生活を求 め、定住する。街道沿いに店舗 や住宅が建ち3次元になる。 計画道路と小幡町を接続するために街道沿いの町の発展を知る。 発展の過程には次元で捉えることで説明ができるのではないだろうか ことで既存の町との接続が可能になるのではないだろうか。 05 町の痕跡による時間の表現 時 間とは何だろうか?目に見えることのない時間 を表現するために、時間を感じられるものからヒ ントを得るようにした。 町や人が残した痕跡は時 間を感じさせるひとつの事象 だと思う。ひとつの 痕跡からここには何があったのか、もともとはど のような形を保っていたのだろうかなど様々な予 測ができる。これは 現状までの過程を知ること・ 感じること が時間を表現できると考えられる。 そこで、実際に小幡町に見られる痕跡を集めた。 一部の痕跡のスケッチ 調査

提案 擁壁を這うように 伸びるツタ 水路の側に大量の藻 袋が破けて土が 漏れた土嚢 玄関前にある 柵と手すり 駐車場にあるタイヤを 使った車止め 窓の下につけられた ポスト 自 然 的 人 工 的 少しずつツタが 増殖していた 水際から上に 増え続けた藻 人が歩いて踏み削った 住人が高齢化した 使わなくなったタイヤの 使い道を考えた 事務所に転用したことで 必要になった 膨張 蓄積 風化 付加 活用 対応 ハード面 ソフト面 カーテンによる 間仕切りの可変性 隣人との協力による 新しい商品の開発 個人の趣味や店の商品 を並べられるスペース 痕跡収集 過程の推測 言語化 建築への変換 小幡町の痕跡を集める中で、自然的なものと人口的なものに分かれることに気づいた。 現状の痕跡がなぜ、時間が経っているものだと感じることができるのか言語化し建築に落とし込むことで時間の流れを感じさせる。 06 痕跡からの学び 屋根の勾配を変化させる ことによる空間の膨張 床が蓄積し人の目線が 変わる 躯体がシークエンスに 現れてくる

07 デザインコードの引用 この敷地は既に住宅の解体が行われて おり、既存の建物が少ないため旧日光 街道から得た デザインコードを用いる ことで、この町の名残を感じさせる。 ~地割りの継承~ ~蔵の空間化~ 江戸から続いた街道沿いの建物には土地が割り当てら れる地割りが存在している。この地割りを計画道路開 通後でも利用することで小幡の記憶を継承する。 江戸時代の宿場町には物や食料を保管する倉庫として 利用される蔵が存在していた。この蔵を敷地内に空間 として存在させることで小幡の記憶を継承する。 地 割 り N 配置図 S=1:300 : どこからでも入れる動線 : 旧と新をつなぐ軸線 平面計画 デザインコードによる ボリュームの配置 各建物に余白の場を与える 隣の店舗や住宅と共有する場 を設け、プライベートの確保 のためにカーテンで仕切る 付加 活用 対応 断面計画 片流れの屋根で空間をシークエンスに大きく・重ねて、 躯体が見えだし曖昧な空間となる。 膨張・風化・蓄積

図面 花屋 雑貨屋 住宅 住宅 住宅 住宅 本屋 パン屋 喫茶店 パン屋と喫茶店の協力 によるテラス席の確保 蔵の空間内で落ち着く人々 旧街道に開かれた本屋のテラスで試し読み 庭をつくりカーテンによって プライベートを確保した住宅 住宅同士の縁側が向かい合う ことによる井戸端会議 花屋の花と雑貨屋の花瓶を 合わせた商品を販売する場 新街道に開かれた店先の オープンスペース N 1階平面図 S=1:100 旧街道の街並みに合わせ るように細い入口の路地 で奥性をもたせる 計画道路に合わせる ように広い入口

キャットウォークが全体をつなげ 広場の空間に彩りを与える 住戸間の隙間に垣間見える 生活の様子 道に開かれたテラスで行う焼肉 新街道に向かう階段は自然と 人の流れをつくる お店の商品数が多ければ 二階にも販売する 吹き抜けによって蔵の空間に 光を入れ中心性を出す N 2階平面図 S=1:100

新日光街道(計画道路) 東西断面図 S=1:100 新日光街道から見た立面図 南北断面図 S=1:100

旧日光街道 旧日光街道から見た立面図

模型写真 ①蔵空間をみる ②旧日光街道から  本屋をみる ③喫茶店をみる ④キャットウォーク  を歩く ⑤キャットウォーク  を歩く ⑥新日光街道側 ⑦旧日光街道側 ① ② ④ ⑤ ③

⑥ ⑦

03 都心に暮らす人たちにとって田舎でのんびりと暮らすことを 憧れることがあり、逆もまた存在する。 田舎から上京した人が地元に戻るUターンや都会育ちの人が 田舎に暮らし始めるIターンをする人が多くなってきている 現状を踏まえ、都会での暮らしと田舎での暮らしを融合した 住宅を模索した。 二つの暮らしを内包する住宅には都市住宅における自然との 共生も解決できるのではないだろうか。 都市に田舎が溶けるとき敷地:東京都世田谷区用途:住宅制作年:学部3年後期三栄建築コンペ都市 ⇔田舎

ハコをかぶせ外と切断する     都市と連続性をもたせる1階に穴を空け ハコの形状を保ち田舎の緑を入れる 田舎の山と田の道を利用平面ダイアグラム都会の建物と街路を利用1階 2階 空いた1階に都会のビル群を入れる ダイアグラム エントランスからみた中2階 情 断面図 S=1:100 光 熱 1階平面図 S=1:100

ども可能とし、田舎らしい自給自足を意識させた。1階では横ルーバーで2階では屋上緑化で熱負荷を抑えることができる。また、2階の庭から屋上に行き、仮定栽培な置した。窓からみえる風景が隣の家から空へと変化していくことが楽しめ、光が注ぎ、読書ができるようなスペースにした。れた空間となる。また階段は2つの空間をつなぐための役割だと考え、対称的なプランの間をつなぐ中2階の階段室を配1階と2階によって対称的なプランとなり、1階には機能的な諸室が密接に配置され、2階には広々とした室内と緑に囲まキッチンから庭をみる 立面図 S=1:100 2階平面図 S=1:100

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