KU N I M I KATO W O R KS Architecture Portfolio 2017-2020
遠い過去と遠い未来を繋げるために
建築は、何十年、何百年とその場所で生き続ける。 その長い時間の中で使われ、愛され、人々の記憶の拠り所となっていく。
それは現代に留まらず、遥か昔から歴史は紡がれ、発展し続けてきたか らこそ今がある。その続きとして、先の未来はどのように描けるだろうか。
過去を生き抜いた人々の想いを受け継ぎ、悠久の未来へと繋いでいく。 その手助けとなるような建築を試行してきた。
加藤
邦望
Ⅰ.
廃築 卒業設計
Ⅱ.
UNFINISHED 学部 4 年前期グループ課題
Ⅲ.
遺構との共存 学部 3 年後期課題
Ⅳ.
小さなマチ ネコの暮らし 学部 2 年後期課題
Ⅰ . 遠い過去と遠い未来を繋げるために 卒業設計
指導教員:伊藤暁 用途:廃墟 学内講評会 銀賞 「近代建築」全国大学建築系学科卒業設計優秀作品集掲載
廃築 ~渋谷区宇田川町における残余地の廃墟的再生~
研究背景
時間を纏う建築(=廃墟)その価値とは
建築は、それが建てられた直後から崩壊を始める。それらは劣化や老朽化という否定的 な捉え方をされ、随時改修を行うことで当初の姿を維持してきた。 しかし、それらは人の手によって建築物の時間を止める行為であり、何十年、何百年建 ち続ける建築の摂理に反する行為ではないだろうか。本来建築とは、時間の流れ、取り巻 く環境の変化に適応するように動的に変化を続けるものであり、そのような「時間を纏う 建築」こそ、純粋な建築と言えるのではないだろうか。
そこで私は、現代において時間を纏った建築の最たる姿として廃墟に着目した。 廃墟とは、時間作用による構造的破壊と外的要因の侵蝕が建築に及んだ姿であり、人類 の想像を遥かに凌駕する偶然発生的な存在へと昇華し、数多くの人々を魅了してきた。 廃墟は竣工時の建物と対立的な位置関係にあたるが、実はそれこそが純粋な建築性を表し ており、「時間を纏う建築」を設計する手掛かりが秘められているのではないだろうか。 本卒業設計は、廃墟が秘めたる魅力を紐解き、新規建築物へ引き寄せる試みである。
対立的
経年変
不在
化、崩
竣工
人の
壊
改修
廃墟
PARCO
東急ハンズ渋谷店
渋谷区宇田川町
計画敷地
ニュー渋谷
Gap 渋谷ビル
コーポラス
本提案を行う敷地に東京都渋谷区宇田川町の一画を選定する。 山手マンション
WWW
現在の渋谷は駅周辺で大規模再開発が行われており、街全体が更新し ていく時代に突入している。しかし、その開発によりかつてボトムアッ KN 渋谷1ビル
プ的に文化が築き上げられてきた街並みが、経済主義的な開発により トップダウン型の街に変貌を遂げている。 そのようななかで、宇田川町の一帯は周囲の急速な発展に対し、過
TIP.X
ちとせ会館 Loft
渋谷ロフト
去を肯定し文化を継承するような街並みが形成されており、そこには どこか廃墟のような魅力が潜んでいると考えた。
Bershka
西武百貨店
Shibuya History
MEGA ドンキ
ZARA IKEA
-1948
提案
-1969
西武百貨店
2020-
商業的残余地の廃墟的再生
計画敷地に、店舗兼住戸と喫茶店が建つふたつの敷地を選定した。 ここは主要道路から奥まった場所に位置しているとともに、一体敷地 により周囲の建物に容積を分配しているため、低層の建物かつ駐車場と いう空地として残されていた。 このような都市に埋もれた非経済的な場所を「商業的残余地」と捉え、 それらに付加価値を与える手立てとしての廃墟的再生手法を提案する。 外部空間により構成された廃墟建築は容積を要しないために法的制約が
だった路地裏空間を繋ぐような新たな都市動線へと再生させる。
=
かかるこの場所に人々の拠り所となるような空間を与え、かつて閉鎖的
都市に埋もれ、時代に取り 残された非経済的な場所 「商業的残余地」
外部空間で構成された廃墟 建築を挿入。都市に新たな 動線を生み出し、人々の拠 り所となる。
廃墟の歴史 古代~中世 巨大構造物の転用
廃墟とは
古代初期に建設された円形闘技場などの巨大構造物は、古代 末期の政情不安により本来の用途で維持困難となり、軍事施 設、宗教施設、住宅へと時代に合わせて転用が施された。
→遺構と都市の共生
近世 時間による構造的破壊が建築物に及ぶ時、それを我々は「廃墟」 と呼ぶ。
ピクチャレスク 古代ギリシアの整合された合理的な調和美に対する反古典主
(形象と時間 / 谷川渥)
義思想の象徴として、自然風景式庭園の中に過去の滅びを象 徴するようなモニュメンタルな廃墟が人工的に作られる。
→滅びの崇高美
近代 - ① プルーイットアイゴー団地の爆破
廃墟とは、建築が人間に奉仕する苦役からやっと解放され、
当時前衛的な建築理念により構想された団地は住人に適合す ることなく人為的破壊が繰り返され廃墟化。最終的に爆破が
ついに見せてくれる建築本来の安らいだ姿である......廃墟 になったとき、はじめて建築の建築性が純粋に立ち上がる。 (ルイス・I・カーン)
行われた 1972 年はモダニズム建築の死亡日時と言われる。
→社会的貧困からの解放
近代 - ② 産業、戦争遺産の保存 産業の移行・戦争の終幕・バブルの崩壊などの遺産として残 された廃墟は、過去の惨劇を確証として伝え、時代を繰り返 さないための戒めとして現代において保存されている。
→時代の終幕の象徴
廃墟は歴史上で前時代の終幕と社会性からの解放の象徴として捉えられてきた。 現代における廃墟はいかに定義され、社会との共生関係を築けるだろうか。
調査 - ①
調査 - ②
文献に基づく廃墟言語の抽出
現存する廃墟の空間調査
廃墟の価値を評価している文献を複数参照し、その空間性質を表現している廃墟言語を
訪問可能な廃墟を無作為に選定し、以下の 18 事例において現地調査および分析を行った。
抽出する。一度言語化することで、自身が廃墟に向ける感覚的で曖昧な感情を整理し、ア
ビルディングタイプ、規模、廃墟になった経緯などの、文脈の異なる事例を複数扱うことで、
ウトプットに繋げることを目的とする。
それらの共通項として浮かび上がった純粋な廃墟の空間構成を捉えることを目的とする。
山本園大谷グランドセンター 茶平集落
太田薮塚石切場跡 琴平トンネル
浦山公民館 栗山集落 嶽集落
獲得された廃墟言語
鋼管鉱業武蔵野工業
ブラックマンション
日原独身寮 - 異化作用
- アイキャッチャー
- 時の長さの証明
- ノスタルジア
日原小学校
- 断片
- 自然景観
- わびさび
- 大きな物語
みとうさんぐち駅
- 遊戯的衝動
- 超越性とうつろい
- 廃墟の快楽
- 死を垣間見る
- 始原と終末
- 尚古象徴
- 機会を捉え、記憶を手立て
- 全く知らない場所
- 失われた全体のイマージュ
- 廃墟的風景
として場所を変換する。
- どこか馴染みのある
- 自然への回帰
- 冗長性
- 肉体感覚的アフォーダンス
- 過去の想起
- 元の意味の消失と新たな意
- ピクチャレスク的
- 身体的感情移入
- 現在の認識
味の付与
- ヘテロトピア
- 永遠性の幻影
- 未来の想像
- エロトス
- 寓意
- 記憶の層
- 生と死
- 他者性
- 人工物と自然の融合
- 生産的
- 持続性とうつろい
「空間の異化作用」
「環境への順応」
行川アイランド 猿島
曽呂尋常小学校分教場跡
調査廃墟一覧 端島
鳩和荘
みとうさんぐち駅
日原独身寮
日原小学校
長崎県長崎市
東京都西多摩郡奥多摩町
東京都西多摩郡奥多摩町
東京都西多摩郡奥多摩町
東京都西多摩郡奥多摩町
茶平集落
栗山集落
浦山公民館
嶽集落
鋼管鉱業武蔵野工業
埼玉県秩父市
埼玉県秩父市
埼玉県秩父市
埼玉県秩父市
埼玉県飯能市
琴平トンネル
山本園大谷グランド センター
ブラックマンション
群馬県みどり市
栃木県宇都宮市
茨城県笠間市
小川町某住宅 埼玉県小川町
「生産的」
人工的な構造物と、客観的なる「自
人の手から解放された構造物は置か
かつてあった事象の断片として残さ
然美」の要素がある仕方で結びつく
れた環境に身を委ねるようになり、
れた廃墟からは、かつて存在してい
ことで、両者を調停した新たな空間
その場所に適応した崩壊像が現れる。
たはずの完全な姿を想像する誘惑に
が浮かび上がる。
鳩和荘
導かれる。
手法
計画
空間
構成要素と異化作用により
環境への形態順応
思想と行動の生産
構築された形態
獲得した言語を照らし合わせ、「空間の異化作用」「環境への順応」「生産的」という三つ の系統に分類。それらの性質を踏まえ、「手法」「計画」 「空間」へと設計時に応用する。
猿島 曽呂尋常小学校跡 神奈川県横須賀市
千葉県鴨川市
太田薮塚石切場跡 群馬県太田市
行川アイランド 千葉県勝浦市
構成要素と異化作用により構築された形態
手法
「調査 - ②|現存する廃墟の空間調査」から、廃墟が醸し出す空間性質
Ⅰ.建築の変容
は時間作用により及ぼされる三つの段階(Ⅰ.建築の変容、Ⅱ.自然の 顕在、 Ⅲ. 空間の異化) を経ることにより創出されていることが判明した。 連続的開口
鉄骨の露出
天井の崩壊
行動の制約
降雨による 変色
床下の顕在
割れたガラス
歪んだ床
転倒
粗さ
空隙
無窓の開口
断面の露出
錆
地質による 腐敗
床の崩壊
落下部材
瓦礫
壁を伝う
この成立条件に基づき各段階ごとに要素を抽出し、Ⅰ.とⅡ.からな る構成要素を造形へ、Ⅲ.からなる異化作用を空間性質としてインストー ルすることで、廃墟的性質を帯びた形態を構築する。
Ⅱ.自然の顕在
Ⅲ.空間の異化
廃墟的価値の創出
成立条件
建築的価値の喪失
Ⅰ.建築の変容
Ⅱ.自然の顕在
隅からの増殖
水たまり
風化
蓄積
完全に覆う
壁面への増殖
外部侵蝕
無用地の緑化
段差に自生
屋根に自生
ヒビへの自生
柵を伝う
気候風土の 反映
雨どいを伝う
木漏れ日
内部成長
要素抽出
Ⅲ.空間の異化
構成要素
空間構築
異化作用
空間性質
造形への応用
形態適応
形態
境界の切断
営みの付与
境界の横断
対立
空間の繋がり
奥行きの強調
境界の接続
営みの風化
自然による 包囲
自然への順応
不可視領域 の顕在
季節ごとの 変化
誘導
全体性の喪失
迂回
時の移ろい
目印
闇の創出
フレーミング
光の創出
時の静止
複雑な表層
複雑な陰影
二次崩壊
歪み
異部材の共存
建築による 包囲
構成要素
異化作用
増幅
営みの付与
境界
境界の切断
形態
境界の横断 内部介入の余地がある厚みを増幅させた壁。
対立
境界の切断と接続が同時に発生する。
空間の繋がり
営みの風化 自然による包囲
不可視の開口
境界の接続
不可視の可視化
奥行きの強調
視線は遮るが音や光を通す開口。
自然への順応
五感を使い、裏側にあるものの気配を感じとる。
季節ごとの変化
全体性の喪失 迂回
反復
誘導
全体性と非全体性
廃墟関連図
不可視領域の顕在
同一形態の連続。
時の移ろい
入る方向により、方向性と無方向性を作り出す。
目印 闇の創出
光と闇
光の創出
象徴
フレーミング
時の静止 空間を象徴的に浮かび上がらせる光柱と
複雑な表層
それを強調させる闇空間。
複雑な陰影 二次崩壊
乖離
異部材の共存
不調和
歪み
建築による包囲 柱とスラブを乖離させることで空間を複雑に 切断し不調和を生じさせる。
計画
環境への形態順応
廃墟の形態はその場所の気候や土地性に強く影響され、環境的要素 が表層に反映されていくように固有の崩壊像を魅せる。それに従い計 画敷地に隣接する建物群を地形として捉たうえで、地形の起伏、風、光、 人の流れ等の観点から評価し、それらと呼応するように前項の形態を 適応させることで、都市とは逸脱した空間性質を内包しながらも都市 と強く接続した全体性を構築する。 太陽光
窪み 西側壁面
Ⅰ.周辺環境の評価
Ⅱ.形態順応 空隙地 看板 路地裏
Loft壁面
空隙地
Bershka 壁面
路地
Bershka壁面 路地 風の流れ
室外機とダクト群
人の動線
挟まれた路上
室外機とダクト群
看板
挟まれた路上
眺望
道沿いに連なる室外機
Loft 壁面
対峙
空隙地の拡張
UP
隣地の空隙地を引き込む開放的な構えを
壁面に沿うようにスラブを延長し、敷地
もたせ、人々を内部へ誘う。
に面する室外機とダクト群と対峙する。
一体利用
上部への意識誘導 高くそびえ立つ隣地の壁面に沿うように
ふたつの敷地を横断した一体利用が可能
壁と階段を配置し上階へと誘導する。
になるよう同一形態のヴォイドを配置。
光壁
形態の複写 特徴的な形態を反転させるように引き継
南に面した巨大な壁面が日光を反射し、
ぐことで視覚的連続性が発生する。
敷地の下層部まで光を届ける。
路地裏への誘導
こうして生まれた廃墟的構築物は、社会とは切り離したよう な空間を持ちながらも周囲の環境と呼応することで都市との強 い関係性を帯び、廃墟の崩壊像から環境を読み取るように、都 市を新たなの視点から見つめなおす機会を与えてくれるだろう。 路地裏と連続したスラブにより意識を誘 導し空間を外部に拡張させる。
▽ 1F
多くの人々が行き交う井の頭通りの 建物の隙間からその姿を現す。 一歩路地に入るとそこは喧騒とした表通りとは 対照的に静寂な空気が漂っていた。 ここは、社会的支配から解放され、精神的快楽を求める人々 が訪れる廃墟的空間である。
複雑な動線の中を人々が行きかう。 あの人は何処から来て、 次はどこに向かうのだろうか。 あの場所からの景色は自分の目にどう映るだろうか。
▽ 3F
▽ 2F
壁の裏側に人の気配を感じる。 誰がいるのかはわからない。 しかし、かすかに動く人影、足音により 存在は認識できる。 この壁の向こう側には何があるのだろうか。
▽ 5F
この構造物の最も高い場所にある暗くて窮屈な空間。 そこには随所に小さな開口部が設けられており、 都市の風景を印象的に切り取っている。 ▽ 4F
そこから眺める渋谷の街並みは、 いつもよりどこか鮮やかに見えた。
街には馴染みのないいびつな造形に見えるが、 周囲の地形に呼応するようにつくられたその姿は、 その土地に根付いた自然発生的な造形とも見て取れる。
空間
思想と行動の生産
この廃墟的構造物は、目まぐるしい変化を遂げる都市の中で、 その裏側に潜むようにひっそりと生き続ける。 時間の経過とともに微視的な変化を繰り返し、訪れた人々の 活動の痕跡が蓄積され躯体へと反映されていく。 時間の断絶が繰り返される現代都市において、ここは渋谷の 街で培われた長い歴史の証明となり、過去を肯定する姿勢を 持つのではないか。 そして、その先にある未来の姿を想像し、想いを馳せるだろう。
10 年後、20 年後、この場所はどんな姿になっているだろうか
Ⅱ . 人が集まる価値とはなにか 学部 4 年 前期グループ設計課題
指導教員:伊藤暁、藤野高志、國廣純子 用途:集合住宅
これまで、産業革命や住宅事情の変化など、社会情勢の変遷の中で発生した諸問題に適 応するべく都市と建築は更新し続けてきた。そして昨今の新型コロナウイルスの影響によ り、私たちは人に会うこともままないような状況下に置かれ、今まで当たり前とされてい た「人が集まること」の価値を改めて見直し、環境を更新していく必要性がある。 本課題では、世界各地の都市再生事例を対象とした調査をもとに、こうした環境下にお ける人間の [ 集団としての ] 住環境(集合住宅 ) がどのように更新されうるかを提案する。
UNFINISHED
0 years later
60 years later
芸術家による創作的建築
[fig.1]
access
工場建設開始
西洋の最新技術として導入し たバウハウス建築。国内最大 級の半導体工場として利用。
[fig.2]
798 芸術区
大山子路口南(バス停)
開始
工場の巨大な空間を利用して 創作活動及び展示が行われた。
[fig.3] 文化芸術創意産業園区に認定
芸術家たちの活動が認められ、 政府による管理と支援が施さ れた。
[fig.4] 観光地化が進行、家賃高騰
芸術区としての地位を確立し た反面、商業化が加速し若い 芸術家が撤退し始める。
[fig.5]
covid-19 発生
今後の芸術区の在り方とは
王爷坟(バス停)
感染拡大に伴い新たな展示 の在り方、芸術区存続の意 義が求められる。 北
京
地
下
鉄
14
号
将台駅(15min)
線
798 芸術区
調査対象地
[Beijing,China]
798 芸術区は、中国北京市朝陽区にあった連合工場群を転用したギャ
しかし、2006 年に観光地として定着した影響でジェントリフィケーショ
ラリー、アトリエ、住居等からなる芸術地区であり、今も尚中国の現代
ンが発生し、地価が高騰した結果、多くの若い芸術家たちが撤退を余儀
アートが集約し日々観光客で賑わいをみせている。
なくされた。今後益々商業化が加速していく予想がされるなか、かつて
中国には数多くの芸術区が存在しているが、この 798 芸術区は唯一
の 798 芸術区のような自発的な創作行為と自由な表現が可能な場を取
芸術家たちが自発的に増改築を行い、自分たちの意思を作品と建築にの
り戻すことはできないだろうか。
せて社会に発信していくような場所となっていた。
連合工場から中国現代アートの発信地へ
歴史的変遷
ジェントリフィケーション化 文化大革命
1995 1997 2000
2006
2019
開催
covid-19発生 今後の芸術区の在り方とは
北京798創意文化祭
798管理委員会が設置
798芸術基金が七生集団から北京市に移行
798文化創意産業有限会社設立
観光地化が進行、家賃高騰
開始
文化芸術創意産業園区に認定
798芸術区
中央美術学院がアトリエとして借用
[fig.5]
[fig.4]
[fig.3]
[fig.2]
[fig.1]
産業転換による廃業、電子産業基地への改造提案
天安門事件→民主化を求める運動
八五美術運動→製造業の衰退
建設開始
1977 工場が6つの企業に分化
工場建設決定
1966
「星星画会」開催
1954 国内最大級の半導体工場として利用
1951
近代化政策
近代都市と芸術区の結節点
オフィス
オフィス
オフィス 工場、倉庫
site
集合住宅
店舗 店舗
工場、倉庫
オフィス 集合住宅
集合住宅
計画敷地
南門付近角地
[ 現集合住宅 ]
798 芸術区南門に程近い L 字型の敷地に、賃貸住宅 20 軒とアトリエ からなる集合住宅を計画する。 この敷地は、798 芸術区の中心地とは距離をとった落ち着きのある立 地でありながら、南門と近いためアクセスが容易であるといった適切な 距離関係を保っている。 また、交通量の多い道路に面した角地という特徴は、都市動線の接点 として市民の目に留まり、芸術家たちの創作活動を発信するアイコンと しての魅力を秘めていると感じた。
南西側に建ち並ぶ近代的ビル群
798 芸術区外のいたるところにアートが存在する
798 芸術区南門
敷地の東側に隣接する店舗
東側には低層の店舗、集合住宅が密集している
798 Art Zone
周辺地域の特徴として、敷地前面の道路を境に南側には近代的な高層 ビル群が建ち並び、北側には 798 芸術区を含む低層建築群が密集して
Low-rise buildings
いる。 つまりこの場所は、近代都市と芸術区の結節点としての特性を帯びて
Station
Bus stop
おり、社会と芸術文化を繋ぐハブとしての役割を担うと考えた。 High-rise buildings
798 課題
介入の余地が失われた工場群
798 芸術区には大小様々な規模、形状の工場が混在しており、そこに芸術家 たちが介入の余地を見出し増改築を行ったことで独自の発展を辿ってきた。し かし、観光地化が進み現在の姿を維持することが求められたことから、工場群 の中には芸術家が自由に手を加えられる余白が失われつつある。
提案
未完成概念の考察
建築における未完成概念 目まぐるしく変化する時間の流れに適応し、利用者の
ex.)
ニーズに合わせた更新を容易に行う手段として「未完成」 が用いられてきた。それらは空間を多義的に捉え、無限に 拡がる可能性を示唆する。
キンタ・モンロイの集合住宅
798
仮想境界面 / 矢萩喜従郎
798 提案
アートプラザ / 磯崎新
無数の余白を持つ未完成建築
芸術家が活動する場所は、いずれ余白が満たされるような完成された建築で
芸術における未完成概念
はなく、常に余白を内包するもの、つまり未完成であり続けるような建築なの
芸術作品において、鑑賞者にイメージの完成を委ね、想
ではないか。そこで、建築と芸術のふたつの分野における未完成概念の考察か
像を誘発する手法として「未完成」が用いられてきた。さ
ら手法を援用することで、芸術家の想像力を刺激し常に変化がもたらされるよ
らに、未完成を表す多くの語句が芸術に関わることから芸
うな未完成建築を提案する。
術的観点からの考察が有効である。
ex.)
Do It Your-delf(Violin)
最後のヴィジョン
と磯崎新の「手法論」を参照し、建築の未完
素材
増幅
成概念を表す10の手法を導いた。
可動
素材
せて組み替えることが可能。
重複 片持ち梁
スラブ
片持ち梁
壁
スラブ
構築性と非構築 性の並置
格子
反復するパター ンの切断
全体性の分解
基礎
片持ち梁
反転基礎
片持ち梁
異なるスケール の重複
反復するパター ンの切断
に広がる可能性を秘める。
アーチ
スラブ
重なり曖昧な空間を作る。 格子 アーチ
異なるスケール の重複
格子
アーチ
異なる解釈、用途を許容する
特定の用途を持たない余白。 ダブルスキン フレーム アーチ
構築性と非構築 性の並置
全体性の切断
射影
ダブルスキン
基礎
全体性の分解
全体性の切断と 並置
全体性の切断
基礎
あるつながりを想起させる。
反復するパター
構築性と非構築
建築の未完成概念を用いてそれら部材 の形態を定め、芸術の未完成概念によ
全体性の分解
全体性の切断
ダブルスキン
転写ルーバー
ブレース
フレーム
ルーバー
ブレース
全体性の切断と 並置
境界の重複
異なる軸の重複
境界の重複
ンの切断 性の並置 並置 全体性の切断と を分析した結果、4つの性質及びそれらに属 全体性の分解 全体性の切断 境界の重複 異なる軸の重複 性の並置 並置
素材等を無視して引用。 ブレース トラス
フレーム
ルーバー
異なる軸の重複
場を囲む膜的なもので、活動 により内部が変化する。
トラス
形態を多義的に捉え、用途、
ダブルスキン
境界の重複
全体性の切断と
が調停する。
ルーバー
布石
ブレース
梁
トラス
柱
梁
柱
メッシュ メッシュ
ひとつ以上のオブジェクトの
梁周辺に自然と場が発生する。 柱 メッシュ トラス
梁
柱
メッシュ
まとまりの分解 と重複
まとまりの分解 と重複
「暫定性」
異なる軸の重複
まとまりの分解 と重複
まとまりの分解
柱
梁
片持ち梁
ルーバー
メッシュ
ダブルスキン
ブレース
トラス
スラブ
壁
基礎
二次線材
反復するパター ンの切断
の重複 構築性と非構築
梱包
ボリュームの内部をフレーム
フレーム
現代芸術における未完成概念に基づく作品
異なるスケール
次線材 ][ 二次線材 ][ 面材 ] として抽出。
ある断面で切断し、その先に
部材の定義
反復するオブジェクトは無限
格子
異なるスケール、軸、領域が
壁
が侵食し、場を満たす。
一次線材
スラブ
切断
大きい部材の中に小さい部材
り部材同士の位置関係を定める。
反復
自由に移動させ、用途に合わ
壁
建築物における主要な部材を [ 一
素材
「柔軟性」
材
ル
磯崎新「手法論」
建築の更新を容易に行うための「柔軟性」
無数の完成の可能性の表出 フレーム
と重複
格子
する9つの手法が導かれた。 GSEducationalVersion
「参加性」
「無限性」
観る者に完成を委ねる
GSEducationalVersion
全体性の分解
Number28
面材
異なるスケールの重複
無方向性、無限の展性の表出
全体性の切断と並置 反復するパターンの切断
断片に引き裂かれたイヴォンヌと マグダレーヌ GSEducationalVersion
シヴェルニー近くのセーヌ河の朝
全体性の切断
境界の重複
異なる軸の重複
まとまりの分解と重複
「混沌性」
構築性と非構築性の並置
No.B.62
生成と消失の共存
Mirror and Shelly
部材同士の構成
全体構成
余白を生み出すオブジェクト群
建築と芸術の未完成概念に基づき部材を再定義した結果、20のオブジェクトを考案した。 これらを建築全体の基本計画と機能に従い配置し、互いを干渉させあうことで、建築全体 に多様なスケールの「余白」が充満する。 それは無数の変化の可能性と空間の読み替えを可能示唆するもので、都市の時間軸と人々 の要求に適合するように更新され続ける「未完成」建築となる。
未完成概念により構築された部材が生成する多様なスケールの余白を手掛かりに芸術家たちによる自発的な増改築が随時行われる。 芸術家たちがアトリエで製作した作品がアクティビティの履歴として余白に蓄積され、次第に内部の賑わいが街に表出していく。
7000
構成ダイアグラム
Ⅰ.
周辺の低層な建物に対して高いボリュームを立ち上げ最下層 部をピロティ空間とすることで、街に存在を示すような象徴的 な佇まいをしながらも横断が可能となり、798 芸術区へ向かう 人々を自然と内部へ誘導する。
7000
install
Ⅱ.
798 芸術区の建造物で多用されていたスケールである 7000mm を基準としたグリッドにより鉄骨フレームへと置換する。
install
Ⅲ.
Ⅳ.
住戸ユニットは、音、空気、熱環境を担保するべく交通量の多い
フレームに対して未完成オブジェクトをインストールする。
前面道路と切り離し、プライベート性を高めるために北側に配置。
周辺の合理的な建築群に対して荒々しく武骨な佇まいは、まる
対して環境に大きな影響を受けないアトリエ空間を南側に配置し、 創作活動を街に表出させる。
で 798 芸術区の工場建築群を彷彿とさせるものである。
7,000
7,000
Aʼ
資材庫
ドライエリア
7,000
多目的ホール 下部 アトリエ
7,000
ストリートギャラリー
設備コア
スクリーン
7,000
非常階段コア
14,000
事務室
7,000
風除室
7,000
EVホール
70,000
7,000
EV
イベントスペース
下部 アトリエ
下部 アトリエ
7,000
14,000
EV
7,000
28,000
プロムナード
N
+0FL Plan S=1/500
A 14,000
9,000
7,000 51,000
7,000
7,000
7,000
道路に対し開かれたプロムナードは都市動線の一部となり、訪れた観光客を内部に誘導し 798 芸術区の新たな入り口としての役割を担う。
創作活動が連鎖し賑わいをみせる。
吹き抜けが連続し、住戸、テラス、アトリエが視覚的につながる。
1F プロムナードから地下アトリエの創作活動を垣間見る。
A-A' Section
A
A
DN
UP
UP
個人アトリエ
個人アトリエ
EV DN
UP
UP DN UP DN DN
UP
UP
EV
A
A
アトリエ
+4500FL Plan S=1/700
N
+7500FL Plan S=1/700
UP
DN
A
A
アトリエ
屋内アトリエ
個人アトリエ
個人アトリエ
EV UP DN
テラス
資材庫
UP DN
UP UP
屋内アトリエ UP DN DN
テラス
EV
アトリエ アトリエ
アトリエ
UP
A
A
DN
アトリエ
+9000FL Plan S=1/700
+12000FL Plan S=1/700
芸術家による創作的建築
時間経過
-0 years
-10 years
Cond i ti on
Phase 0:芸術家の創造性を促す未完成建築
Phase 1:生活と芸術の混在
アトリエ - 住戸分離
Phase 2:創作の舞台から表現の舞台へ
アトリエ - 住戸混在 イベントスペースでアートイベントが開催 作品の一時保管
公共的なプロムナード
A rt
-30 years
アトリエのギャラリー化 - 住戸は上層部に プロムナードに作品が表出しアートストリートへ
近隣に活動が認知され始める
製作された作品が外部へと表出
南側:大規模アトリエ
アトリエ、プロムナードを活用した作品展示
大規模アトリエ 延べ床面積拡大
各住戸に付属した個人アトリエ
南西側にダブルスキンフレームを増設
フレーム間にスラブ増設
大規模アトリエへ住戸侵蝕 一部アトリエ屋内化
フレームを外部へ拡張
隣地へ拡張
R e s i d e nt
住戸エリアと階段設備コアの接続 余白内部に絵画が張られる
798を撤退した単身の芸術家たちが転居
配偶者の増加、家族形態の変化
一般の居住者増加
上部へ構造体を拡張、住戸ユニットが増築する余白 ものの増加
H o u s i ng
建物のブランド化
住戸ユニット増築(10 戸)
床スラブ、壁を部分的に撤去
廊下、個人アトリエにものが溢れる
個人アトリエへの小規模増築 北側:20 戸配置
屋内アトリエを分割し居住エリアへ
住戸数増加(35 戸)
建物の老朽化
古い住戸から減築し始める
上部へ住戸拡大 (45 戸)
複数のオブジェクトの集合により
内部の活動を反映するように余白
創作活動の全盛期を終えた後、過
構成された未完成建築。多様な余
を手掛かりとして場が増殖し、芸
去に製作された作品が余白へと溢
白を内包しており、あらゆる完成
術作品が蓄積されることで公私が
れだし、創造の舞台から表現の舞
の姿を示唆しており、芸術家たち
混在する多義的な場となる。
台へとシフトする。
の創造性を掻き立てる。
-60 years Phase 3:生活の履歴とアートが混在する立体ギャラリー
建築全体が立体ギャラリー化 - 住戸の解体 生活の痕跡と芸術が混在する空間へ
建築全体が公共的なアートスペースに
未完成建築をもとに、芸術家たちによる
上層階へ連絡する階段を複数配置
増改築を主とした将来的な変化を予想し、
「-10 年後 -30 年後 -60 年後」の姿を構想する。
回遊的な連絡通路を配置
他芸術区から人が流入、ニーズ高まる
近隣地区へ拡張
未完成建築が内包する多様なスケールの
余白を手掛かりとしてアトリエの床スラブ、 住戸、芸術作品が増殖し、内部の行為に反
応するように構造体自体も伸縮を繰り返す。 芸術家たちの手により改築がなされた建築
下部住戸の解体→ギャラリー化(15 戸)
は次第にある種の芸術性を帯びるようにな り、かつての 798 芸術区を彷彿とさせる第 二の芸術創造の場として街に開かれる。
建物の老朽化に従い既存部分から 減築し内部は視覚的につながる立 体ギャラリーとなる。
+0FL プロムナード -0 years
-10 years
-30 years
オブジェクトの交差する
上層階に連絡通路と住戸
アトリエで製作された芸
高い吹き抜けはあらゆる
が増築されることで高さ
術作品がオブジェクトを
変化の可能性を示唆して
に抑揚がうまれる。
手がかりに展示されてい
おり芸術家たちの創造性
上層階へと延長した鉄骨
く。観光客が度々訪れる
を刺激する。
フレームは住宅が増築さ
ようになり、アートギャ
れるための余白となる。
ラリーとしての性質を強
住戸
住戸
める。 住戸
住戸
住戸 住戸
住戸
プロムナード
搬入口
資材庫
-60 years 上層部の住戸が部分的に 解体されることで、かつ ての高い吹き抜けを彷彿 とさせる立体動線が浮か び上がる。プロムナード にも上階へと続く縦動線 が設置され、観光客によ る賑わいをみせる。
ギャラリー
S=1/500
+4500FL アトリエ -0 years
-10 years
-30 years
居住する芸術家たちが創
入居者の増加に伴い上階
前面道路に面するアトリ
作活動を行うための共有
に住戸が増築され、ここ
エは次第にギャラリーと
部である。壁は透明のポ
では小規模な絵画制作や
して転用され、躯体の余
リカーボネートでできて
彫刻が行われる。アトリ
白の間に芸術作品が蓄積
おり、容易な加工と取り
エ利用者の増加に伴い室
し始める。ギャラリー中
外しが可能である。
内空間が東側に拡張し、
央に配置した木質フレー
上階のギャラリーへアク
ムは小さな作品を設置す
セスする動線が新たに設
る手がかりとなる。
置される。 住戸
アトリエ
アトリエ
アトリエ
ギャラリー
住戸
ギャラリー
EV
アトリエ
屋内アトリエ
室内アトリエ
-60 years 既存の天井が撤去されな がら、フレームの隙間を 埋めるように新たにスラ ブが配置されることで立 体的な縦の繋がりが生ま れる。フレーム下部に設 置した階段は立体ギャラ リーへの新たなエントラ ンスとなる。 ギャラリー
ギャラリー
ギャラリー
S=1/500
+4500FL 住戸 -0 years
-10 years
-30 years
グリッドに縛られない雁
雁行した部分を手掛かり
大家族が転居してくる機
行した平面形状により内
として壁を増築し、居室
会に合わせて、ふたつの
外に小さな余白を含ま
を拡張。生活や家族形態
居室間の壁面に開口部を
せ、居住者の利用可能な
の変化に合わせ増改築が
設けることで大きな一つ
施されていく。
の住戸とする。個室は外
面積を拡大させる。各住
洗面室 浴室
戸 は 基 本的 な LDK に 加
WC
側に張り出すように増築
LDK
え、作品制作で用いる資
されていき、個人アトリ
材の保管庫をもつ。
エとして利用されていた 場所にも住戸が増殖す クローゼット
る。
クローゼット
LDK WC
EV
洗面室 浴室
WC
EV
EV
-60 years 老朽化した既存の壁、ス ラブから次第に撤去され ていき、かつての居住者 の残留物と芸術作品が混 在する立体的なギャラ リーとなる。
EV
S=1/300
0 years later
10 years later
30 years later
60 years later
Ⅲ . 川越に建つ公民館と小中一貫校 学部 3 年 後期設計課題
指導教員:工藤和美 用途:公民館、小中一貫校 学内優秀作品選出 ゲスト審査員特別賞受賞
少子化や高齢化が進む日本の都市において、人々の働き方、暮らし方の変化に基づき従来 の建築の在り方を見直して、今後も継続して有効に利用できるよう再編成する動きが生まれ ている。そのような視点から、この課題では異なる種類の公共施設(公民館、小学校、中学校) を関連付けて総合的に計画することを求めている。 具体的な立地や施設は、2014 年度まで東洋大学が川越市から委嘱を受けて行った「公共施 設等総合管理計画策定」の公共施設再配置案に基づいている。
遺 構 と の共 存
建て替えによリ失われてしまうはずの建築を、未来へと残すことはできないだろうか。
従来の建て替えの方法では一度すべてを更地にし、全くの新しい建物を計画するような土地の歴史と文脈 を断絶するような行為がとられてきた。本課題のような学校建築は長い間街のシンボルとして地域に根付き、 活動が行われてきた拠点となっており、それらを断絶するような従来の建て替え行為に私は疑念を感じた。
本提案では、既存建築の時間軸を現代へと継承する方法論として既存の校舎を「街の遺構」として保存し、 新規用途を付与することで、“地域の活動拠点 " へと再生させる。それに付属するように旧校舎の特性を踏 襲した新規校舎を計画することで、新旧の姿で蘇った校舎が共存しあう新たな学校建築の姿を構想する。 それは地続きに紡がれた歴史を遥かなる未来へと継承する可能性を示唆している。
Viewpoints
Research
Design process
既存建築物 建築の長寿命化が目的とされているが、建 物の存続実績が公共されていない。
遺構化 新規建築物
+
Top
継承的側面
更新的側面
既存形態の分析
用途変更事例分析
( 全体性 )
( 部分構成 )
1.既存建築の遺構化 2.既存コンテクストの抽出 3.新規用途の計画 ( 本校舎→プロムナード )
celling
既存の建物に社会的持続性を提示し、地域
社会の文化、歴史性の保全に寄与している。 既存建築物と新規建築物の二項対立の共存
4.遺構と新築の接続。 Bottom
更新部位操作の適応
Design
[ 敷地 ]
川越市立川越第一中学校
川越市立第一小学校
川越市立川越第一小学校
川越市立川越第一中学校
校舎から校庭、川越の街並みを望む。
川越市中央公民館
川越市中央公民館
東門
計画敷地である現川越市立川越第一中学校は今年度で創立 73 年目を迎え
引継ぎ・
喜多院
西門(正門)
る伝統校である。市内でも生徒数の多い学校の一つであり、長い歳月の中で
合併
多くの生徒がこの場所を巣立ち、数々の学校生活の記憶や思い出が詰まった 大切な場所となっている。 本課題ではそのような川越第一中学校を建て替え、近隣の川越市中央公民 館と川越市立川越第一小学校を合併させた小中一貫校の計画が要求された。
埼玉県立川越 総合高等学校
←本川越駅
校舎変遷 埼玉県立川越 工業高等学校
[ 計画敷地]
川越市立第一中学校
三番町通り
1966
1983
1986
2019
[ 提案 ]
既存校舎の” 遺構化” 更新を可能にする操作
敷地内に存在する 5 つの校舎を保存する方法として、減築的操作により” 遺構化” を行う。
①可動域
そこに寄り添うように計画された新校舎には、既存校舎の構成要素を引き継いだ設計を行うとと
②区画ごとの用途変更
③動線の接続と切断
④ expJ による接続
もに将来的な更新可能性を内包させることで持続可能性を示唆するものとした。
遺構
既存建物
新規用途の計画
×
+
新規用途
新規建物
既存コンテクストの抽出
既存建築物の配置関係、架構、元の用途等の概要を総合的 に照らし合わせ、適材適所に新規用途を付与する。
新規建築物への踏襲
本計画では、既存校舎の存続実績を評価し、以下の三項目 を既存形態として設計プロセスに取り込む。 Ⅰ.建物構成
耐震性能の向上を図り、新規用途が介入する余地を創出する。
Ⅱ.通り芯 3,500
柱
②構成要素の転写
構造
3,500
3,000 3,000
特有の形態
高さ
基準線
諸室の構成
非構造体を取り払う減築的操作によりフレーム化することで、
①壁、スラブを取り払う減築的 操作により既存校舎を遺構化。
Ⅲ.活動記憶 創造する
運動する 既存建築物
生徒動線
新規建築物
地域住民動線
セキュリティ ライン
学習する 泳ぐ
③既存校舎の構成を踏襲した計 画により遺構と共存する。
建設工程
既存校舎
第一期工事
第二期工事
南西側新校舎建 設 。
既存本校舎の遺構化。
本校舎との連絡 通 路 に よ る 接 続 。
プロムナード新設。
第三期工事
第四期工事
川越市中央公民館 移転
第五期工事
川越市立川越第一小学校 合併 武道場の遺構化、公民館への転用。
新本校舎建設。
プールの遺構化、メディアセンターへ転用
新体育館棟建設。
体育館の遺構化、昇降口 へ 転 用 。
技術家庭科棟の遺構化、音楽堂へ転用
[ 改修前 ]
川越市立川越第一中学校
現存する中学校は、用途、形態の異なる5つの建物によ り構成されており、東西に長く伸びる「本校舎」を軸に他 の建物が独立して配置され、それらが渡り廊下により繋が れている。本校舎の東西に門が設けられており、かつては 一般的に開放され敷地内を地域住民が自由に横断していた り、地域のイベントが活発に行われているなど、街と密接 に繋がるような場所だった。
本校舎
武道場
体育館
プール
技術家庭科室
[ 改修後 ]
現中学校の遺構との共存
各建築物を遺構化し、構成要素を踏襲した新規建築物を 隣接させることで遺構との共存を図る。「本校舎」を「立体 プロムナード」に再生させ、かつてあった” 地域住民が敷 地を横断する” アクティビティを蘇らせるように、ほかの 遺構も失われていた過去の姿を想起させると共に、人々を 迎え入れるおおらかな懐を持つような建築へと蘇らせる。
プロムナード
公民館
昇降口
メディアセンター
音楽堂
川越市立川越第一中学校
一階平面図兼配置図
S=1/700
8500
[ 改修前 ]
2 学年教室
8500
配膳室
多目的室
5000
8500
5000
準備室
2 学年教室
5000
8500
5000
被服室
保健室
10000
8500
106250
8500
5000
8500
5000
20000
金工室
PTA
8500
第一準備室
3500 3500
第二理科室
8500
3500
3500
8500
準備室
体育館
4500
4000
4000
4000
4000
4000 24000
4000
4000
4500
3500
18000 4500
ステージ
3500
準備室 倉庫
4250
6400
17300
プール
4500
更衣室
3500
美術室
武道場
8500
3500
6400
3500
35000
4500
3500
8500
作業室
2400
倉庫
8000 14400
3000
3000
3000
3000 18000
3000
3000 4300
4300
4300
4300
4300
37800
4300
4300
4300
4300
新小中一貫校
一階平面図兼配置図
S=1/700
‐ 凡例
B’
[ 改修後 ]
多目的スペース EV
配膳室
作業スペース
小学校普通教室
管理諸室
中学校普通教室
特別支援室
特別教室
体育館
メディアセンター
共有エリア
音楽室 (ステージ)
職員室
保健室
校長室
A’ 会議室 特別支援室 体育館上部
特別支援室 フリールーム
理科実験室
教材庫
事務室
特別支援室
理科講義室
多目的室
相談室 地域 ラウンジ
公民館
PTA
図書館
N
昇降口
B
A
旧校舎 : 立体プロムナード
S=1/200 東西にのびるプロムナードに 沿って地域住民が行きかう。
4000
最高高サ=20000
4000
5FL=16000
4FL=12000
― 抽出条件 ―
8,000
4000
8,500
3FL=8000
Ⅱ.8000 × 8500
Ⅲ.学習する 4000
Ⅰ.張り出したテラス
S26/9/28
竣工
S53/3/29
校舎改築第一期工事竣工
S56/3/19
校舎改築第二期工事竣工
S57/2/15
校舎改築第三期工事竣工
H24/9/10
校舎耐震補強工事竣工
2FL=4000
3500
[ 略歴 ]
500
RC ラーメン構造
1FL=500 GL=+0
3500
[ 構造 ]
4000
随所に張り出したコアからお互いの 活動を見ることができる。
2400
8000
B1FL=-3500
14400
教室群を巡るように設けられたプロムナードを散策し、かつての学校での記憶を想起させる。
武道場 : 公民館
S=1/200
倉庫だった場所が雁木の役割を果たし、 人々を引き込むきっかけとなる。
家形の既存フレームに建物を覆いかぶせ、人々 を包み込む半屋外のエントランスとなる。
最高高サ=11100
― 抽出条件 ― 小体育館
ホール
控室
3,700
3,700
6200
6,550
鉄骨造
[ 略歴 ]
S59/3/30
2FL=4900
ラウンジ
会議室
竣工 1FL=500
500
[ 構造 ]
Ⅲ.運動する
4100
Ⅱ.3700 × 6550
GL=+0
大体育館 3500
Ⅰ.家形のフレーム
B1FL=-3500
4500
6550
6550
4650 30450
3800
4400
遺構が作り出す半屋外空間が公民館への入り口となり、地域住民の活動の場となる。
体育館 : 昇降口
S=1/200
二階に上がるために設けられた大階段は、待ち合わせ の場所や発表会の観客席としても利用される。 全面面履き替えの昇降口とし、内外を問 わない活発なアクティビティを促す。
― 抽出条件 ―
最高高サ=10000
3000
3,500
3,000 3,000
3,500
Ⅱ.3000 × 3500
Ⅲ.活発に運動する
鉄骨造
[ 略歴 ]
S42/9/30
竣工
S61/1/13
椅子格納装置設置
S62/11/13
改装工事竣工
H22/1/31
耐震補強工事竣工
3200
2FL=4000
[ 構造 ]
1FL=800
800
Ⅰ.大空間
3000
軒高サ=7000
GL=+0
3500
3500
3500 17500
3500
3500
道路に面して大きく開いた昇降口が沢山の児童を迎え入れる構えを持つ。
技術家庭科棟 : 音楽堂
S=1/200
フレーム化された音楽室は、普段の活動を表出
新規建築物を角度を振った状態で接続させることで、前面
すると共に演奏会のステージとして利用される。
に大きな場を作り、地域住民を受け入れる懐を持たせる。
― 抽出条件 ― 5,000
最高高サ=9110
5,000
5,000
2130
5,000
Ⅱ.5000
Ⅲ.創造する
1980
Ⅰ.家形の吹き抜け
軒高サ=6980
鉄筋コンクリートラーメン造
[ 略歴 ]
H7/1/30
竣工
300
[ 構造 ]
4700
2FL=5000
1FL=300 GL=+0
2500
2500
2500 10000
2500
角度を振るように接続された建築と遺構との間に生まれた中央の広場で演奏会が行われる。
プール : メディアセンター
S=1/200
プールのレーンに従い本棚を配置することで
本棚の高さは、周囲を回る通路からは
過去の遊泳するアクティビティを踏襲する。
小学生でも見渡せる 2400mm に設定。
最高高サ=10000
― 抽出条件 ― 4,500
4,300
4,300
6000
4,500
2FL=4000
Ⅲ.泳ぐ
[ 構造 ]
鉄筋コンクリート造
[ 略歴 ]
S48/8/4
竣工
H23/3/16
改修工事竣工
3000
Ⅱ.4300 × 4500
1FL=1000
400 1000
Ⅰ.半地下の断面操作
GL=+0 B1FL=-400
4500
4500
4500 18000
4500
上部の通路からは周囲を見渡すことができ、遺構の中に降りれば本の海の中を泳ぐように本を探し求める。
更新可能な教室群の提案
様々な授業形態に柔軟に対応し、用途変更な どの更新を可能にする教室ユニットを提案す る。向かい合わせにしたオープンスクール型の 教室にオープンスペースを付属させ、それを可 動棚と可動壁により仕切ることで、柔軟に教室 の形態を変容させることが可能になる。合同授 業やグループワーク等の授業形態、生徒数やク ラスの増減に対応できる教室群となる。 通常利用 ( 一般教室 ) の様子
教室ユニットアイソメ図
2 教室 + オープンスペース型
1 教室 + オープンスペース型
全オープンスペース型
教室群の段階的転用
少子高齢化により児童数が減少し、空き教室 の発生が問題となっている。 そこで各教室を更新可能な区画とし、それぞ れにアクセス可能な動線を計画し、区画ごとの 用途変更を可能とした。利用されなくなった教 室から段階的に用途が付与され、地域住民に活 用されながら長く生き続ける建築となるだろう。 転用後の様子
キッチンスタジオ
学習スペース
レクチャースペース
教室棟アイソメ図 用途変更可能な区画
各区画へアクセスする動線
地域開放型
B’
EV
美術図工室 6 学年教室 楽器庫
6 学年教室
5 学年教室
倉庫
武道場
5 学年教室
昇降口先の渡り廊下
放送室
4 学年教室 A’
小体育館 A
4 学年教室
予備教室
1 学年教室
1 学年教室
2 学年教室
2 学年教室
3 学年教室
3 学年教室
生活科室 予備教室
ホール
ランチルーム
家庭科室
B
PC 教室
2F Plan
S=1/700
‐ 凡例
B’
多目的スペース
EV 予備教室
小学校普通教室
管理諸室
中学校普通教室
特別支援室
特別教室
体育館
メディアセンター
共有エリア
予備教室
9 学年教室
9 学年教室 8 学年教室
8 学年教室
7 学年教室 プール
7 学年教室
生徒会室
技術準備室
技術室
既存校舎の面影を残したファサード
B
A
A’
3F Plan
S=1/700
4000 4000 4000
技術室
ギャラリー
家庭科 準備室
家庭科室
PTA
技術 準備室
生徒会室
予備教室
相談室
職員・来客玄関
倉庫
7学年教室
7学
4学年教室
4学
事務室
会議室
OS
学年教室
9学年教室
5学年教室
学年教室
校長室
9学年教室
5学年教室
職員室
予備教室
OS
作業スペース
配膳室
0
1
5
15
B-B' Section
(m)
4000 4000
アルコーブ
7 学年教室
OS
アルコーブ
4 学年教室
OS
小体育館 プロムナード
4000
4000
4000
プール
会議室
4500
大体育館
0
1
5
15
(m)
A-A' Section
遺構は街の一部となり、地域住民の集うバッファーとなる。
Ⅳ . 不純な住宅 学部 2 年 後期設計課題
指導教員:柄沢祐輔 用途:住宅 学内優秀作品選出 ゲスト審査員特別賞受賞
本課題では、やや風変わりな家族が生活する場としての住宅を設計する。 明治以降の日本の住宅の変遷は「純化」( 合理化・科学化 ) の繰り返しであったと言える。 しかし、近年では社会状況の変化を反映してこれまでと異なる動きが出てきており、住宅 についても今までは一般的でなかった居住者構成や住まい方が現れてきている。 そんな急速な変化と多様化により混然とした「不純」な社会における今後の住宅の在り 方について考察を行う。
分)
目白駅( 徒歩3
東京都新宿区下落合三丁目 この街は J R 山手線目 白 駅 が す ぐ 近 く に あ り 、 都 心 や繁 華 街 へ の ア ク セ ス が 良 好 な こ と に 対 し 比 較 的 落 ち 着 い た 街並みと治安が維持 さ れ た 高 級 住 宅 地 で あ る 。 周 囲 に は 大 学 や 高 校 な ど の 教 育 機 関 が 点 在 し て い た り 、 自 然
計画敷地
が 多く残されていたり と 生 活 す る う え で 良 好 な 環 境 が 整 え ら れ て い る 。 計画敷地は駅から徒 歩 3 分 の 場 所 に あ る 現 在 駐 車 場 とし て 利 用 さ れ て い る 場 所 で 、 駅 前 の 賑 や か な 商 業 地 か ら 閑静な住宅街へと移 り 変 わ る 位 置 に あ る 。
目白駅 北東側から
東側から
目白駅前の商業地
家族構成 亡父から相続した土 地 ( 現 駐 車 場 ) を 売 却 や 分 割 を せ ず に 、 相 続した人たちおよび そ の 血 縁 で あ る 右 記 の 6 人 が 住 み な が ら 活用することとなっ た 。 各 居住者からは以下の よ う な 要 求 が 出 て い る 。 矛 盾 す る も の も あるが、全て叶える よ う な 計 画 と す る 。 A さん
B さん
C さん
D さん
E さん
F さん
無職 (73)
理系専門職 (43)
介護職 (41)
高校生 (16)
和食料理人 (41)
営業職 (24)
要求
A の長男。すでに死亡。
[ 家系図 ]
・リトグラフの展示
・仕事のための場所
・子供向け絵本の収納
・ひとりでくつろぐ
・店を開きたい
・趣味のための場所
・ひとりでくつろぐ
・ひとりでくつろぐ
・家事を楽に
・思いっきり音が出したい
・食器、和食膳の収納
・楽器の収納
・老後の介護
・老後の介護
・老後の介護
・友人を連れてくる
・家事を楽に
・思いっきり音が出したい
・四季を楽しむ
・住み続けたい
・住み続けたい
・家庭菜園
・一人でくつろぐ
・家庭菜園 ・友人を連れてくる
・友人を連れてくる
[ 問題提起 ]
家族の個人化
1980 年代以降、ライフスタイルの変化に伴いそれまでの一家族という強い枠組みが解体 され、各個人がバラバラに生活を送るという「家族の個人化」が問題視されてきた。それに より、家庭内ではプライベート性がより重要視され、家族全員で集まる機会が著しく少なく なる傾向にある。今回のような一風変わった構成の家族においてその現象はより顕著に表れ るのではないだろうか。
猫の集会
[ 提案 ]
人間と同じ世界に生きる動物の一つに猫がいる。
猫のように集まる生活
猫の集会が開かれる理由は様々だが真相は解明されていない。しかしその中にこそ、個人
猫はなわばり意識が非常に強く、かつ自身の生活環境に強いこだわりを持つ生き物である。
化する家族の中での集まる場所のヒントが隠されているのではないだろうか。
互いのなわばりには一切干渉しようとせず、単独行動を続ける習性がある。 そこで、これら猫の生態をある種のモデルタイプと見立て、猫の集会の分析をもとに個人 しかしそんな猫同士が一か所に集まる奇妙な現象が起こることがある。” 猫の集会 ” だ。
化する住人同士の集まり方や集まる場所の在り方を示し、プライベートな個の領域と、それ
それは各々のなわばりが偶然重なり合った、良好な環境の場所で開かれることが多いらしい。
らが集まるための快適なオープンスペースをもった住宅を提案する。
・なわばりの中間地点 ・エサ場 ・親密な関係性 ・地域猫の顔合わせ ・良好な環境
etc...
それぞれの猫は自分だけのテリトリー
近隣の猫となわばりが重なり合うと
各個人は明確な領域(個室)を持ち、それぞ
個の領域の間に集まる場を設け、自然と人々
(なわばり)を持っている。
き、” 猫の集会 ” が行われる。
れは離して配置される。
が集まるような仕掛けをつくる。
猫のなわばり領域段階
住人の集合段階
狭
広 ① 社会的距離
② 逃走距離
③ 臨界距離
④ 個人的距離
5m ~ 10m
2m 前後
1m ~ 0.5m
数十 cm
密
疎 広場
段差
境界
乖離
猫の集会の分析 猫の集会の写真をランダムに抽出
集会所の特性を分析
1.集まり方
1. 輪になる
2. グループでまとまる
3. 場所に合わせる
全員が等間隔の距離を保つ、
密なもの同士がまとまる
環境に順応する
対等な関係
4. まるまって密集
5. ある方向を見る
6. だらける
暖をとる
特定のものに興味を示すふる
最大限に休息する
まい
2.集まる場所
階段
公園
床下
路地裏
塀の上
草むら
外敵
日照
3.集まる環境
なわばりの広さ
他猫とのなわばり関係
周辺環境
猫の集会から導かれた6つの集まる場
道路から奥まった場所にあ る隠れ場のようなギャラ
▽ roof
塀の上に登ったときのよう な下層部と切り離された高
リー。住人のコレクション
く見晴らしのいいテラス。
が飾られ、展示をした人た
気分転換や、思いにふけた
ちや招かれた人たちが溜ま
いときに訪れ、居合わせた
るコモンスペース。
人たちと交流する。
路地裏ギャラリー
塀の上テラス
▽ 3FL
草むらにひっそりと身を隠
▽ 2.5FL
しながら集まるように、ルー
が設けられた開放的な外部 空間。段ごとにばらばらに利
バーで適度に視線を遮りな
用したり、一つの段に集まっ
がら近しいものたちが少人
たり、一体的に利用したりな
数で集まり密な会話をする
ど段差を活用した様々な集
ための場所。
草床
道路と連続するように段差
まり方が選択される。
▽ 2FL
だんだん広場
▽ 1.5FL 壁と天井が切り離されること
道路に面した平らな開けた
で外気や光、音を取り込みな
外部空間。地域との接点と
がらも壁に守られた内部空間
なり、食堂やだんだん広場
のような性質を持つ場。襖を
と一体的に利用したイベン
開けることで道路と繋がり近
トなどが開かれる。
隣住民との交流の場になる。
床下茶室
▽ 1FL
公園広場
ダイアグラム
1.周囲の住 宅に馴染むような高さ、スケール
2.個室や諸機能室をブロックごとに分解。個
の切妻屋根の ボリュームを配置。
人の領域を明確に区切るとともに、隙間から光 や風、音等の外部環境を取り込む。
3.ブロックを部分的に取り除き、開放的な外 部空間に置き換える。
4.空いた場所に猫の集会から導かれた 6 つの
集まる場を配置。場所ごとに様々な性質を持ち、 個の領域から出た人々が集う憩いの場となる。
ゾーニング 1F
2F
3F
地域住民動線
B 、C 、D 世帯
食堂
広場で食事会
厨房 諸室と接続
個室へ直接アクセスが可能
ダイニング
家庭菜園の管理 友達を招く 道路との接続 ギャラリーの管理
「 食」 を 通 し て 交 流 が発生するよう中央に共用利用可能な厨
房を 配 置 。 南 側 に は A さんの個室を囲むように日常的に利用 する 場 所 を 配 置 す ることでバリアフリーを考慮した計画に。
一世帯である B、C、D さんの個室を隣り合わせで配置 。 単
最上階の「塀の上テラス」には偶発的な出会い、集合を発生
を通らなくとも各個室へ直接アクセス可能なものに。
スが可能なものに。
身者の E さん、F さんの個室は南側に離して配置し、 共 有 部
させるために複雑な平面形状と、各共有部、個室からアクセ
1階平面パース
道路に面した場所にあるふたつの広場と食 堂は一体的に利用することができ、地域住 民や友人を迎え入れ交流を生みだす。
公園広場 食堂
家庭用のキッチン、食堂用の厨房、和食料 理人である E さんの料理教室が行われるな ど多目的に利用される。
だんだん広場
キッチン(厨房)
草床
建物のどこからでも見える樹木は住宅内に 求心性を与え、家族として培ってきた長い
ダイニング
時間を象徴している。
家庭菜園
A さん個室 床下茶室 路地裏ギャラリー
バリアフリーを考慮し、A さんの個室と諸 機能室は 1 階に設け、ほかの住人が行動を 確認できる状態にすることで安全性を確保。
1F ー
路地裏で同じ仕草をしながらたわむれるように
敷地の最も奥にある A さんと E さんが営む家庭菜園には、野菜や花々 が育てられ四季折々の風景をみせる。 そこで収穫された野菜はキッチンで調理されたあと食堂で出された り、だんだん広場で地域住民に料理がふるまわれるなど、連鎖的に 活動が発生する。
だんだん広場、家庭菜園
2階平面パース
B、C 夫婦のみがひっそりと集まる、道に張 り出したプライベートテラス
B さん、C さんの個室
部屋を出入りするときの足音、人影が開口 部を通してかすかに伝わることで住人の存 在を認識する。
個室以外の部分は外部空間のスキップフロ
D さんの個室
ア状のテラスにより構成。外部環境を取り 込み、季節や時間帯に合わせて場所を選び ながら生活する。
E さんの個室
F さんの個室
2F ー
階段に丸まりながら密集するように
スキップフロアにより視線をずらし、 お互いに干渉することなく集まれる場。 小さいグループで離れて点在したり、一つのスラブに全員で集まり 密集することもできる。
スキップフロア
3階平面パース
C さんのコレクションである子供向けの本 を収納する図書スペース。窓を開放すれば 半階下のテラスとつながり、地域の子供を 招いた読み聞かせが行われる。
個室の間の隙間からは光や風などの外部環 境を取り込まれるとともに、住宅内部の生 活音を伝播し賑わいをみせる。 塀の上テラス
東側の道路に張り出されたテラスは最も開 放的な場所であり、少人数で共有しながら 街並みを一望できる。
3F ー
塀の上に登って日向ぼっこをするように
この家で最も明るく高い場所。 特別な気分に浸りたいとき、高いところから街を一望したいときに この場に訪れ、居合わせた人たちと交流が生まれる。
塀の上テラス
1F ー
床下茶室
1F ー
壁と天井が離れ、そこから光が射し込む明るい茶室。
襖を開けることで道路と繋がる縁側となり、地域住民との交流の場になる。
草床
ルーバーに囲まれた、身を潜めるように集まれる場。
少数での密な会話に適しており、視線や光、音が適度に抜ける。
南北断面パース
1F ー
路地裏ギャラリー
道路から家庭菜園へと繋がる入り組んだ道のような場所。
A さんのコレクションするリトグラフが飾られ、友人がいつでも見にこられる。
2F ー
テラス
内部に点在するテラスには個人の趣味のものが溢れだし彩りをみせる。
東西断面パース
2F ー
C さん個室
各個室は個別に配置され、一人時間を満喫しながらも開口部から外部環境を取り込む。
1F ー
食堂
角に面した位置にある E さんが営む食堂。
外観パース
プロフィール 経歴
加藤 Kato
skill
邦望
2017.04
東洋大学 理工学部 建築学科
2019.09
伊藤暁研究室
2021.03
東洋大学 理工学部 建築学科
入学
所属 卒業
中学・高校時代
卓球部所属
2017.09
スーパーポテト
2017.12
南條設計室
アルバイト
2018.03
ベガハウス
インターンシップ
2018.05
槇総合計画事務所
2018.12-
SABAOARCH アルバイト
アルバイト
-Adobe illustrator,Photoshop
-Vector Works hobby
東京都大田区に生まれる。
所属歴
Kunimi
-ArchiCAD
1999.03
-Microsoft Office
- 建築、廃墟巡り
- カメラ
- 卓球
アルバイト