4月1日締切 vibes 島宇宙浮遊牧民鎮魂詩
第一回 日本法螺小説大賞(てきすとぽい) 山田賞受賞作品
4月1日締切
18:00。 もし、デートの待ち合わせがあるならば、 わざわざその場所へ遅れて行き 「ごめんね、遅れたお詫びに」 とか言って、 薔薇の花束を渡すのだろう。 きっと、 花屋はこのために存在するのだろう。 19:00。 もしかすると、ある目的地に向かうまで 「実は私は宇宙人なんだ」 とか 「君の靴下の色、変だね」 とか言うのだろう。 そういう出鱈目を並べて、相手の感情を試してみること、 それが許される日なのだろう。 20:00。 例えば、彼女は過剰な化粧に、 狸のコスチューム・プレイ。 例えば、彼氏は気狂いピエロのベルモンド。 そんなふたりは、 意気投合してディナーを楽しみながら、 ほらを吹くのだろう。 21:00。 もしくは、ライトアップされた桜の並木道を歩きながら、 鼻がムズムズするとき 「フィクション!」 または 「フィックション!」 と くしゃみをするのだろう。そして、 笑ってごまかすのだろう。 22:00。 そういうことを続けていると、次第に寡黙になるのだろう。 23:00。 もし、海に来て夜空の星を眺めるとするならば、 輝く星の煌きがもうひとつ、 目の前の瞳に在ることを語るのだろう。 ロマンティックなムードに、 恥じらいながら 絵空事を言うのだろう。 0:00ジャストに告白をする。 きっかけ、 タイミング、 それは一年に一度しか存在しない 今なのだろう。 結果がどうあれ、心は解釈によって開放されるのだろう。 「今、言ったこと、本当なの?嘘なの?」 私はそういうふうなことを想像し、 虚と実を越え結ばれた男女に、 勝手な哀しみと親しみを覚えるのです。
朝の情景コンペ(てきすとぽい)
vibes
新 聞 配 達へ 向 か う 物 音 母親が準備を 始める音 私 は 丸 よ り 丸 く なって 布 団の中 で 聞いていた
靄のなかに 朧げながら 浮かんで消える 母の影 学費 生活 仕送りの為 複雑なカタチの 涙模様
闇 を 走 るフロン ト ガ ラ ス 水晶のカタチの 雪模様 父になる時 母になる時 小 さ な ベッ ド の 命 の 手
耐え忍ぶ事 認め合う事 食 べて 遊 ん で 眠 る 事 思いやる事 夢の出来事 生かされて 奮える親心
早起きした時 懐しい音 捻じ込む新聞の 撓る音 私 は 赤 よ り 赤 く なって スト ー ブの 前 で 想 う こ と
(無計画書房)
島宇宙浮遊牧民鎮魂詩
電子網で暮らす作家のディシプリン。
島宇宙に残つた屍、 生後1ヶ月のワタクシ。
二面性を育てた地史へ向かつて。
消されたキャラの捜索と留守番のクリエイシヨン。
議事堂を越えた雲から夢遊の考察も去る事ながら
Aの有料設定に隠された独白は、A'もしくはBの心を的確にチンした。
国産もブラジル産も無い、領域は繋がることばかり。
βの定めと地租改正。
無意識がログインする方向へと赴く。
消えた礎の跡に掲示する冷たい記者移行の看板に涙を拭ゐて
昔話と饂飩に汗する情景を祈念し、
この地に塚を築き、木林森太郎のハンドルを奉納します。
恨みつらみをわすれ鎮まりたま∼ゑ∼。
Drawing by aki. 2013.8.1