1 NON-MISCIBLE STREAMS
中村 幸介 | Kosuke NAKAMURA 神戸大学工学部建築学科 4 年 遠藤秀平研究室所属 体育会男子バスケットボール部 副キャプテン 1998.7 大阪府東大阪市生まれ 2017.3 近畿大学附属高等学校 卒業 2017.4 神戸大学 工学部建築学科 入学 2021.4 東京大学大学院工学研究科建築学専攻 千葉学研究室 入学予定
:080-4705-2324 :nakamura0705kosuke@gmail.com
WORKS Edited by Kosuke NAKAMURA
1. Non-miscible Streams
[Station × Architectural studio for a university]
2. Revival Tokyo
[The memorial museum for Syd Mead]
3. Kobe cultural junction
[Master plan for Kobe waterfront]
止 ま れ
Non-miscible Streams 混ざれない流れ
Program: Station x Architectural studios for a university Term: 3rd year, 2019 December - 2020 January Location: Rokko, Hyogo Pref. Size: Site; 13,840m2, Building;4,400m2, Total floor; 15,740m2, [Education;8,450m2, Public; 7,290m2] Awards: A superior work of the studio
Problem
Proposal
幼稚園
至梅田
八幡神社
至三宮
駅 × 大学の複合による動線問題に対する建築的提案
本提案は、建築学生の活動を駅利用者をはじめとする市民に開くことで、新たな交流を生み出そう とするものである。しかしながら、安全管理、防犯面の課題は多く、教育施設エリアの全てに市民
市民と学生の動線の分離、螺旋による「距離感」の構築
駅機能に加え、大学の建築教育施設を複合させる計画である。 地域の関わりにおいて、安全管理、防犯面の課題や、通学ラッシュの問題から、市民と 学生の動線をコンコースから分離させる。そこで、各動線を螺旋で構成することで、分離 されながらも互いを意識し合えるような、遠いようで近い「距離感」を構築する。 市民と学生、決して混ざらない2つの流れが、六甲に創造と賑わいの渦を巻く。
Method
多様な距離で空間的繋がりを生む「螺旋」の構成
市民と学生の活動エリアを完全に分離しつつも、それらに多様な関係性を構築するために、それぞれ の動線を螺旋で構成する。
が立ち入り可能な状況は望ましくないと考える。 螺旋形により、近い距離や遠い距離、高い位置や低い位置というような、より多くの視点で互い また、駅機能と教育施設の複合施設であることから、通学ラッシュによる混雑も考慮する必要がある。
の活動を見ることができる。互いが混ざれなくても、 「見る・聞く・匂う」といった感覚を共有する
市民と学生の動線が煩雑にならないよう、コンコースから各動線を分離する。
ことで、意識的に関係性を構築できると考える。
BLUE : for STUDENT ORANGE : for PUBLIC
1 NON-MISCIBLE STREAMS
設計活動を見守る市民動線
市民の賑わいを感じる学生動線
市民と学生、異なる活動が積層する
フロア同士の関係性をつくる
5
a 10
A’
A’
30
+12500mm
学生の制作過程を側に見ながら お茶を飲む。 緊張と安らぎが対比的に存在する 空間である。
Large lecture room Cafe
+18500mm
ふと窓を覗く。分離された 状況が、対面する市民の存在 を強く感じさせる。
移動の最中にも、歩行者の視点 は変化する。様々な角度から スタジオを見ることができる。
Design studio 1
Design studio 3
エレベーターは動線の管理上、 市民用、学生用が存在する。
+10500mm
B
Students concourse to Sannomiya
B’
c’
+17000mm
50
地上から上る学生を迎える。 課題展示や小規模のプレゼン等 も催される。
+8500mm
阪急沿線に沿う東西の抜け により、駆け抜ける列車を 爽快に眺められる。
Design studio 2
+14000mm
中央の吹き抜けでは、市民と 学生の異なる活動が積層する 様子を体験する。
Entrance hall
市民ホールは、機会に応じて 全ての人に開放される。 600 人収容、講演を主とした 地域活動拠点の役割を担う。
+17000mm
Foyer
Shop +10000mm 5
+11000mm
10
20
Public hall
Foyer
Public hall
+12000mm
30
A
停
バ
ス
停
バ
ス
ホワイエでは、駅前広場の 様子を眺められる。
停
止 ま れ
Public concourse to Sannomiya
3F [Station entrance] Plan 1:500 A
4F Plan 1:500 NON-MISCIBLE STREAMS
2
Isometric
[Stretched x5 vertically]
神戸を一望できる屋上テラス 神戸港を見渡すことができる屋上テラス。六甲山 の風に吹かれる心地よい休憩所である。 常設ギャラリー 学生の作品を常設する、市民の身近なギャラリー である。市民は下階の講義室の様子を覗くことが できるので、学生にとって気の抜けない教室だ。
パブリックホール 地域活動の発信場所である、収容規模 600 人のホ ール。学生の公開プレゼンや講演会、中規模のコ ンサート等、幅広い用途に応える。
設計スタジオ × カフェ 学生の創造を間近に感じるこのカフェは、緊張感 に包まれた、今までにない空間である。 分離された三宮方面コンコース 大学と公共空間の各動線に接続するコンコース。 それぞれプラットホームの端部にエスカレーター を下ろす。 緑と電車を側に感じる図書館 低層部に位置する図書館は、緑と電車を眺める憩 いの空間でもある。 ピロティ 近隣の幼稚園児、小学生が走り回れるような大ら かな広場である。梅田方面にはこの中央部に位置 する改札を通って乗車する。
Terrace
Gallery
市民は講義室の様子を覗くことが出来る。 学生はうっかり居眠りなどできない。 Lecture room 3
Lecture room 2
Lecture room 1
気晴らしにホールを覗く学生がいる。
Foyer
南隣の八幡神社の森と憩いの広場が繋がる。
Public hall
Public ticket gate Entrance hall
A’
3 NON-MISCIBLE STREAMS
A
エントランスには巨大模型も展示される。
5
10
Terrace
Meeting room
Laboratory Shop
Laboratory
Public cafe x Design studio Cafe
Design studio 3
Student concourse to Sannomiya Design studio 1
Library
B’
5
30
10
中央の吹き抜けでフロアを超えた 偶然の繋がりが生まれる。
Cafeteria
B
B-B’ SECTION 1:300
Terrace
スロープで間に合わない人は、異なる領域を 貫通するエスカレーターを利用する。
Meeting room
Shop
Laboratory スラブのずれにより、 視線が抜ける。
Laboratory
Design studio 3
Cafe
Design studio 2 Large lecture room Student ticket gate
Design studio 1
Library
A-A’ SECTION 30
50
1:400
NON-MISCIBLE STREAMS
4
Revival Tokyo
Proposal
東京再生
歌舞伎町のコンテクストを昇華させた劇場空間
Awards: Prize for one national competition,
世界で最もカオスな都市だとされる東京。その雑多な環境にも街路計画や用途地域に 始まる都市の成り立ちは存在する。歌舞伎町のこのようなコンテクストを読み取り、 失われつつある賑わい、雑多な関係性を再構築する。 シド・ミードは、映画『ブレードランナー』で歌舞伎町をモデルに 2019 年の未来都市 を描いた。歌舞伎町の雑居ビル、ライブハウス、街路空間等の既存要素をミュージアム に組み込み、氏の描いた未来の歌舞伎町を「再生」する。
Method 1
Method 2
Program: The memorial museum for Syd Mead
シネシティ広場 西武新宿駅
Term: 3rd year, 2019 June - September
計画敷地 新宿東宝ビル
Location: Shinjuku, Tokyo Pref.
Size: Site; 2,830m2, Building; 1,830m2, Total floor; 12,700m2
歌舞伎町 1 番街
A superior work of the studio
歌舞伎町の路地構成からヴォリューム分節、ヴォイド構成へ
歌舞伎町の劇場空間的性格は、その多様な活動の溢れ出しを路地で体験することにあると考える。
立体交差から空間連続性を構築、ヴォイドを形成
歌舞伎町のビル群はそれぞれが独立して建っている。本提案では、 ヴォリュームを傾けることで
路地を巡り、雑多な賑わいを感じる都市空間の体験を建築計画に取り込むため、元の巨大コンプ
立体交差を生み、ビル同士を繋ぐ内部動線を構築する。さらに、立体交差からヴォイドを形成する
レックスを分節する。
ことで、周囲の活動の溢れ出しをより享受できる、封閉感を伴った路地の広場を生み出した。
本提案では歌舞伎町の街路空間の構成原理から、 ヴォリュームの分節及びヴォイドの構成が決定 している。街との連続性を保ちつつ、アクティビティの変化を路地空間を巡ることで体感するた め、歌舞伎町の街路構成を引用した。 「Terminal vista」から敷地内に路地を構築 石川栄耀の「T 字路」 都市計画家、石川栄耀はこの地の複雑に入り組んだ街路を「T 字路」の構成原理で計画した。 広場には「Terminal vista」という突き当たりをあえて形成し、 「景観の封閉」と呼ぶ都市空間の密 閉感を生み出している。
路地構成から平面構成を決定
ヴォリュームを立ち上げる
x-y 方向の傾きから立体交差を形成
歌舞伎町に見られる T 字路 立体交差から内部動線が繋がる 道路から広場を見る先に突き当たりを 作ることで、視野を封じる。 広場の封閉感を生み出す効果がある。
Terminal vista
そうでない
Terminal vista 5 REVIVAL TOKYO
建築のヴォリューム分節及びヴォイド構成
立体交差からヴォイドが形成される
路地の小さな広場は、ナイトクラブ、 料理屋、展示室に囲まれている。 エントランスはシネシティ広場に面する。
T 字路の突き当たりにナイトクラブを配置した。 歌舞伎町らしい、過激なアイストップとなる。
Main entrance Night club entrance Gallery
Exhibition room a
Terminal vista が形成する広場。 封閉感が強くなり、周囲の活動 の劇場性が高まる。
Service entrance
Hotel entrance Restaurant Large exhibition room
Exhibition room b
Hall
Theatre of movie arts Karaoke entrance
Shop
Exhibition room c
映像作品はガラスを透過し、 街路空間を鮮やかに彩る。
立体交差が内部空間の 予期しない連続性を生む。
路地に入口を設け、 路地空間に誘引する。
3
Program
ミュージアムを巡る過程に既存機能が干渉する
敷地に存在していた料理屋、ナイトクラブ、ライブハウス等をミュージアムの順路に組み込む
10
5
Structure
交差点の角に溜まりを設け、 歩行者を立ち止まらせる。 たむろと内部に接点を作る。
1F Plan 1:300
20
スペースフレームによる無柱大空間
複雑な立体交差で生まれる大空間を、スペースフレームの構造体で構成する。
形式で全体を構成する。シド・ミードの「再構築」というコンセプトを、既存機能とミュージ
ヴォイドである路地の広場空間では、周囲のアクティビティの溢れ出しに魅了され、新たな劇場
アムの間の関係性に発展させた。
空間を体験できる。
Exhibition room
Exhibition room
museum
Night club
Exhibition room
ival
Rev
yo
Tok
Restaurant
Night club entrance
1
2
5
Section 1:100
REVIVAL TOKYO
6
Program: Master plan for Kobe waterfront Term: 4th year, 2020 Aplil - July
Location: Sannnomiya, Hyogo Pref. Size: Site; about 140,000m2
Group work, my responsibility: Master plan [Transportation system], Main diagram & Isometric, Some perspective, etc...
Survey 1 湾岸線の延伸に伴い、高架が不要に 5号湾岸線を西に延伸する計画が 進んでいる。 この計画により、3号神戸線等の 交通量が減少し、高架を含め、その 利用価値が低下すると予想する。
ハーバーウェイ
3 号神戸線 国道2号線
これらの高架が不要になる
Scrap? Renovation? Conversion?
Survey
湾岸線延伸部
2 自動運転技術による都市空間の変化
自動運転車のプラトゥーニング [*1] と最適経路の走行により、道路容 量が従来の2倍以上に増加する。 また、危険予知能力の向上は街路 空間の「歩車共存」を実現する。 [*1]:走行車同士がネットワークで 車間距離や速度を調整、隊列 走行すること。
Pick up
高架の構造性能とコンバージョン可能性
阪神淡路大震災ではその大部分が 倒壊した阪神高速の高架道路。 その教訓と、今後の地震への備え から、構造性能は高く維持されて いる。 将来的に余剰資源になる構造体は、 様々な用途に転用できる可能性を 秘めている。 7
KOBE CULTURAL JUNCTION
ク ル マ の 空 間か ら ヒ ト の 空 間 へ
Kobe cultural junction
Proposal
交通変化が新たな価値観を生む
自動運転技術の発達や、生活様式の変化により、ヒト・モノ の移動(mobility)は転換期を迎えている。自動車交通の減少 に伴い、クルマのための場所が都市の余剰資源になる。 スクラップ・アンド・ビルドの現代都市空間、その「余剰」を 新たな文化交流の場に変えていく提案である。 ここで私は地上交通を主に担当し、自転車のモビリティ価値を 高める、新たな自転車交通を提案する。
Junction
線状に連なる賑わいが向かい合い、交差する
高架を壊す事なく、レクリエーション の場に転換する。神戸の豊かな眺望を 得たり、アクティビティに高低差を活 かす。 「食=農業、スポーツ=アスレチック 、環境=ビオトープ」 、こうした活動 の関係性を築き、それぞれの色が高架 に沿って海岸線を彩る。
Green space ヒトの空間は豊かな緑地に 憩いにありふれた日常を取り戻すべく、 大通り、高架下など都市の余剰空間を 緑地や親水空間として市民に開放する。 自然との触れ合いの中で生まれる些細 な心の豊かさが、街の文化交流をさら に推し進める。
Transportation ラウンドアバウト × 自転車交通 神戸三宮は活動拠点が分散しており、 それらを快適に繋ぐ自転車の利用が進 んでいる。 しかしながら、歩行者空間が拡大した 街では、自転車事故が増加すると考え られる。そこで私は、自転車専用道路 と、ラウンドアバウトによるソフトな インフラを提案する。
①
②
大らかな階段広場とスロープで 専用道路へ接続する。
Site plan 1:5000
真っ直ぐ駆け抜ける者と 降りたり休憩する者の分離
居留地の都市軸から、 東遊園地の広場(①)、 震災モニュメント(②) に向かう軸を形成。
STOP
ソフトなインフラが生む「移動を歓ぶ」都市空間 我々にとって交通は、ある場所に向かうための手段として価値を見出されてきた。それ はいかに短時間で遠くにいくことができるかという経済合理性のもとにある。しかしな がら、モビリティの変化に伴い、「移動」そのものが都市の空間価値を体感する一種の アクティビティに昇華すると著者は感じている。 神戸の風や潮の香り、木陰の心地よさを肌で感じられ、自動車ほど速く都市を通過しな い自転車は、 「移動による歓び」を生み出すモビリティとして価値を有している。
震災モニュメントへ向かう軸
東西移動を誘導するため、 居留地の都市軸を取り込み、 プロムナードを通す。
Possibility
既存自転車システム「コベリン」を発展させる建築
現在、神戸には「コベリン」という自転車シェアサービスが存在するが、観光客への認知、 全体的な自転車の利用には結びついていない。そこで、サイクルステーションや展望台等 の拠点、それらを止めることなく繋ぐ専用道路をつくり、交通機能としての価値を高めて いく。そこに建築が提案できる新しい価値があるのではないだろうか。
Color
東遊園地前の待合広場となるよう、 流れと滞留を意識している。
神戸の花「紫陽花」の色を抽出
専用道路の舗装には神戸市の花である「紫陽花」の色を用いた。 それぞれの街を結ぶ道が色とりどりに彩られ、街に愛されるような 存在になることを望んだ。
Section diagram
一旦停止。
STOP +3200mm
Before
After
自動車道改め、自転車道を浮かせることで、 人の自由な移動や、居場所をつくる。
自転車の高架道は小規模であり、 駐輪、店舗、アトリエ等、高架下に デッドスペースが生まれづらい。
2F Plan 1:500 ラウンドアバウトから登ると高架の上に接続。 展望台では三宮の街と、六甲山を眺める。
1F Plan 1:500
+11000mm
RF Plan 1:500
STOP
テラス席での飲食や、吹奏楽団の 演奏等、公共空間の自由な利用が 進むことを期待する。
Roundabout 交差点の中心にヒトの空間があること
+3200mm
STOP
交差点はヒトにとって単なる通過点でしかなく、 加えて東西南北の分断を生む原因にもなる。 一方でラウンドアバウトは、快適な自転車走行を 叶えると同時に、その中心にヒトの滞留空間を形 成する。 これは街路をヒト中心の空間に捉え直す意味で可 能性を秘めている。 ここでは、ラウンドアバウトを地上から浮かせ、 地上の分断を解消、ジャンクションの展望台へ 続くアクティビティとしての機能を付加する。
交通量が少なく走行速度が遅い 港湾部は専用道路から降りる。
2F Plan 1:500
5
10
20
KOBE CULTURAL JUNCTION
8