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特別企画: 日本の国内ブランドTOP30 日本と中国のトップブランドの価値比較
Sustaining the Leadership of Japanese Brands
Contents
日本ブランドがリーダーを勝ち得るために まずはじめに、今回トップ 30 にランクインされたブランドの皆様に対 し、お祝いを申し上げます。今回で 3 年目となりました Japan s Best インターブランドが毎年行うブランド・ランキング Global Brandsは、 の中でも、たいへん注目の高い評価となっています。グローバルの視 点からみて、アジアの活力には目覚ましいものがあります。その中に あっても日本のブランドは、 リーダーとしての輝きを放ち続けています。 しかしながら、 楽観を許さない状況にあるのも事実です。 例えば、 韓国のい くつかのブランドは、 すでに、 彼らの強みを世界のステージで証明していま すし、 中国企業は、 その水準を高めている製造力に見合うマーケティング力 を磨かなくてはいけないことに気づき、 そのアクションを始めています。一方 で中国マーケットは、 日本のブランドに対し、 同時に大きなチャンスも提供 しています。 今こそ、 日本のブランドがこれまでに築いてきた評判を活用し、 中国の消費者のロイヤリティを勝ち得るチャンスだと言えるでしょう。 インターブランドのブランド価値評価は、異なった国や地域で、 ブランド を相対的に比較できる優れたツールです。 私たちのJapan s Best Global Brandsが、皆様のブランド戦略のインサイトとして、今後もお役立ていただ けると幸いです。皆様のブランドの発展を、 お祈りいたします。
Japan s Best Global Brandsの発表は今年で3回目を迎えますが、 最近、 企 業のトップマネジメントの皆様とお話していますとブランドに対する考え方が 確実に変化してきていることに気づかされます。 かつてはブランドはどちらか といいますと、 マーケティング戦略の一部として認識され、 コミュニケーション 活動の範疇で捉えられる傾向がありましたが、 昨今は明らかに様相が異なっ ています。 「ブランドは経営戦略そのものである」 「ブランドは事業活動と不可 分である」 「企業活動はブランドの考え方を基準とする」 など、 その企業のあり 方こそが 「ブランド」 であるという認識が以前に増して強まっていることを実感 いたします。 そもそも、 ブランディングとは 「会社が目指す姿」 を明確にし、 イン ターナル/エクスターナルに宣言することですので経営戦略の本当の中核で あると言えます。 経済環境は相変わらず厳しい状況ですが、 こんな時期だから こそ、 経営戦略と直結した、 会社の成長を先導するブランド戦略が必須である と言えます。 しかし、 強いブランドは一朝一夕には生まれません。 企業活動その もの、 そして、 そこに働いている社員の皆様の一人ひとりの精神にその企業な らではのブランドが息づいていなければならないと思います。 今回のJapan s Best Global Brands 2011が、 ブランド価値向上を目指す皆様にとりまして 活動推進の一助になりましたらこの上なく光栄に存じます。
p1
Sustaining the Leadership of Japanese Brands 日本ブランドがリーダーを勝ち得るために
p3
Japan's Best Global Brands 2011 Analysis Japan's Best Global Brands 2011概況
p5
Evaluating Japan's Best Global Brands Japan's Best Global Brands 2011の評価方法について
p8
Japan's Best Global Brands 2011 日本のグローバル・ブランドTOP30
p17 Future Global Brands from Japan 特別企画:日本の国内ブランド (海外売上高比率30%未満)TOP30 ジェズ・フランプトン グローバルCEO
岩下 充志 インターブランドジャパン 代表取締役社長CEO
p19 Global Brands vs. Japanese Brands vs. Chinese Brands 特別企画:グローバル・ブランドに向けた 日本と中国のトップブランドの価値比較
p24 The Story Behind Strong Brands 「ものづくり」 から 「ものがたり」 への転換で ブランド価値を高める
p25 About Interbrand インターブランドについて
p26 Contact Us お問い合わせ
1 | Interbrand Japan’s Best Global Brands 2011
Interbrand Japan’s Best Global Brands 2011 | 2
Japan’s Best Global Brands 2011 TOP 30
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Japan's Best Global Brands 2011 Analysis Japan's Best Global Brands 2011 概況 自動車、電機業界中心であったトップ30に、 新たに金融、パーソナル・ケア、食品ブランドがランクイン。 世界同時不況後の対応により、評価が分かれる結果となった。
2010年初めにToyota(-16% 1位)のリコール問題が世界中の紙面を賑 わせ、消費者のToyotaブランドへの信頼がゆらいだ結果、Lexus(-19% 8位) とともにブランド価値は大きく減少した。 この減少額は非常に大きく、 今回のランキングでは、昨年に比べトップ30のブランド価値合計額は、3% 減少した。 しかし、 この2ブランドの増減分を除く合計額は2%増加しており、 円高により非常に厳しい一年であったにもかかわらず、多くの日本のブラン ドへの評価が高まっている。 また、 中国市場で躍進を続けるShiseido(+3% 10位) が自動車・電機関 連ブランド以外で初めてトップ10入りした。好調のランニングシューズに 加え、 ブランドの考え方をうまく表現した形で欧州のアパレル商品のプロ モーションを強化したAsics(+12% 22位) が、昨年に引き続き、前年比で 最も価値を高めた。 初めてランキング入りしたブランドが、 旧リーマン・ブラザーズのアジア・パ シフィック及び欧州・中東部門の人員等を継承して一気にグローバル化を 進めたNomura(16位)、東アジア・東南アジアを中心にP&Gなどのグロー
3 | Interbrand Japan’s Best Global Brands 2011
バル・ブランドに対して奮闘を続けるUnicharm(28位)、世界100カ国以上 で販売され、2万人近い海外従業員にチャンスと教育の機会の平等を掲げ、 世界共通人材基準の公開を始めたAjinomoto(29位) である。 それぞれ 業界は異なるものの、 グローバルブランドがひしめく業界において、 アジア を中心に攻勢をかけている。 その他自動車・電機ブランドは、評価が割れる結果となった。強みである デジタル一眼レフカメラ市場が成長しているNikon(+11% 13位)、 グロー バル統一の新たなブランドコミュニケーション活動を始めた Fujitsu ( + 10 % 24 位)、社会イノベーション事業の強化をすすめるHitachi (+10% 25位) が前年比10%以上ブランド価値を増加させるなか、前述 のToyota、Lexusに加え、Yamaha(-11% 21位) が10%以上ブランド価 値を減少させている。 これらのブランドはすでにグローバルでの認知は非 常に高い水準にあり、今後は、 グローバル・リーディングブランドに対し、 差別性あるポジショニングを確立し、顧客のロイヤリティを高めていくこ とが求められている。
*ヤマハ発動機株式会社とヤマハ株式会社のブランド価値を合算して算出しています。
Interbrand Japan’s Best Global Brands 2011 | 4
Evaluating Japan's Best Global Brands
Role of Brand Analysis
Brand Strength Score
Brand Value
Japan's Best Global Brands 2011の評価方法について ブランド力の分析は、 市場でのロ イヤリティ、 消費者の継続購入や 囲い込みといったクライアントの ニーズを喚起する力 (将来の収益 を維持する力) を測り、 ブランドに よる利益を割り引いて現在価値 に換算するものである。 この評価 は、 ブランドのリスクを判断する 体系的な手法であり、市場での ブランドのポジション、 消費者の 認知・好感度、 イメージ、 ブランド に対するサポートといった、 ブラ ンドに関わるさまざまな観点で評 価している。
本評価においては、グローバルに展開される日本発のブランドについて、 そのブランド価値を明らかにし、 「世界基準」でそのポジションを相対比較することを目的に、 当社が毎年グローバルで発表している Best Global Brands と同様の条件にて、 以下の基準を満たす企業を抽出し、評価する。
評価対象基準
1 日本発のブランドであること 日本の企業によって生み出されたコーポレートおよび事業ブランドであること
2 各種財務情報が公表されていること 2010年10月31日現在で上場しており、 アナリストレポートが入手可能な企業であること
3 日本以外での海外売上高比率が 30%超であること (2009 年度実績)
評価方法 インターブランドのブランド価値評価手法は、財務力、 ブランドが購買意 思決定に与える影響力、 そしてブランドによる将来収益の確かさ、 という 観点からみたブランド価値の評価である。証券アナリストが事業の価値 を分析・評価するのと同じように、 「 将来どれくらい収益を上げると予想 されるか?」 という視点に基づいて、 ブランドの価値を分析・評価する。 そ の手法は、 ブランドの金銭的価値測定のための世界標準として、国際標 準化機構( ISO )からISO 10668の認定を受けている。 評価は、具体的に右頁の3つの分析によって構成される。
4 BtoB 企業であっても、グローバルで一般に認知されていること インターブランドのグローバル各オフィスのコンサルタントの認知が10%以上あること
ブランドを冠した売上高
ブランド利益:
– 営業費用 – 税金 – 資本コスト
ブランドによってもたらされた利益
$
経済的利益
ブランド力 スコア Clarity Protection Responsiveness Authenticity Relevance Differentiation Consistency Presence
割引現在価値
ブランド利益
ブランド利益
経済的利益
経済的利益
ブランドを冠した売上高
Commitment
Understanding
5 | Interbrand Japan’s Best Global Brands 2011
Interbrand Japan’s Best Global Brands 2011 | 6
Japan’s Best Global Brands 2011 日本のグローバル・ブランド TOP30
1
25,661 $m
▼ - 16%
Toyota 世界同時不況から2 年。Toyotaは新興国への攻勢や合理化の強化など に邁進する一方で、米国でのフロアマットの不具合やアクセルペダルのリ コールなどへの対応にも苦慮する1年となった。Toyotaは今、原点に戻り、 グローバルにおける新たな品質管理のあり方、地域へのさまざまな経営権 限の委譲を進めている。 こうした中、米国消費者専門誌「コンシューマー・ リポート」が発表した2010 年の自動車信頼性調査では、 トヨタ自動車が メーカー別でトップとなっており、品質への不安は沈静化の兆しが見ら
2
18,150 $m
れる。2010年4∼9月期連結決算では、売上高営業利益率は3.3%と低迷 したが、最終損益が上期として2 年ぶりに黒字に転換、2011 年の世界販 売台数も本年実績見込み比3%増の770万台を計画している。 また、 プリ ウスを中心としたハイブリッドシステムの普及、 インド向け新開発小型車 「 Etios 」 の発売や部品の現地化による成長著しいアジア市場への注力な ど、成長への挑戦を加速させている。 「品質のトヨタ、 日本を代表する世界 のトヨタ」 の真の復活に期待したい。
▲ + 2%
Honda Hondaは「生産体制の強化」 「 環境技術」 「 新興国」 の3つを軸にした成長 戦略をスタートさせた。 エコカー戦略においては、化石燃料ゼロを実現す るまでの移行期間でPHV(プラグインハイブリッド) の開発に注力し、長 期的にはFCV(燃料電池車) を究極のエコカーと位置づけるという、次世 代エコカー開発の独自の考えを持って取り組んでいる。当面の中心である HVは、2008年より継続する 「Honda Green Machine」 キャンペーンのも と、2010 年も 「 CR-Z」、 「 Fit Hybrid」 と個性的な商品を投入し、中期的に は世界販売全体の1 割以上をHVにするという目標を掲げている。
3
11,442 $m
▲ + 9%
Canon Canonが2006 年よりスタートした「グローバル優良企業グループ構想」 この1 年をさらなる成 は、今年、 フェーズⅢの最終年を迎えた。Canonは、 長軌道への転換点―成長元年―と位置づけ、 「 全ての主要な経営指標に おいて世界のトップ100に入る」 ことを目標に、積極的な事業を展開して きた。同業他社に比べ、為替変動リスクが段違いに大きいにもかかわら ず、 デジタル一眼レフカメラや、事務機での販売が中国など新興国を中心 に世界的に伸張し、2010年12月期の連結営業利益(米国会計基準)は、 大幅な減収減益となった昨年から一転し、 目覚しい業績回復を実現した。 2010年は、高い収益性を備えたグローバルブランドとしての強さを発揮し 「成長元年」に相応しい第一歩と踏み出したと言える。 今後は、 グローバル市場での競争力を維持・強化すると共に、 「 医療」 「介 護」 「 環境」 を次世代ドメインとした事業拡大を掲げており、 さらなる成長 に向けて次のステージに挑む。
7 | Interbrand Japan’s Best Global Brands 2011
特筆すべきは、Hondaらしさを鮮やかに具現化した、 日本カーオブザイ ヤー受賞の 「 CR-Z 」 である。 「スポーツタイプと環境技術の両立」 という斬 新なコンセプトは、先進技術で走る喜びをカタチにした、 まさにHondaの真 骨頂である。開発再開を発表した 「NSX」 の後継車は、 「 CR-Z」 で手応えを 得た 「スポーツ エコ」 コンセプトを更に高次元まで進化させるものと期待 される。エコカー領域においても、独自の価値提供でファンを魅了し続ける Hondaの更なる進化が注目される。
4
11,353 $m
▼ - 5%
Sony Sonyは、豊かな想像を現実に結びつけるという創業以来持ち続けている 企業姿勢を表わしたブランドスローガン 「 make.believe 」 を2009 年に 発表し、2010 年はその具現化の年となった。例えば、 テレビの分野では、 インターネットと融合させた新しい時代のテレビ「 Sony Internet TV」 を Googleとの提携により開発し、10月に米国で発売した。 また3D映像技術 では、薄型テレビ「 3 D<ブラビア> 」の発売、FIFA ワールドカップの試合の 3D映像化、「サイバーショット」で撮影した3D写真を 「プレイステーション 3」で加工できるアプリケーションの開発など、グループシナジーを活かして 3Dの世界を拡げるSonyらしい取り組みを展開している。 「make.believe」 の具現化をグループ各社が連携して進めてきたこともあり、2010年上期は 音楽分野を除くすべての分野で増収となった。 しかし、 グローバルでの競争は依然として厳しい。液晶テレビの2009 年 世界販売シェア (ディスプレイサーチ社) では、Samsung 、LG 電子に続い て、Sonyは3 位に位置し、韓国ブランドが上位を占めている。 グローバル 競争の荒波に対してSonyらしい取り組みをどのように加速させていくの か、その動向が注目される。
Interbrand Japan’s Best Global Brands 2011 | 8
8
2,523 $m
▼ - 19%
Lexus 景気後退の影響で高級車市場が縮小するなか、ハイブリッド車を積極的 に投入し顧客層を広げてきたLexusだが、2010 年はリコール問題に悩 まされた1 年であった。米国消費者専門誌「コンシューマー・リポート」 か ら安全性に対する指摘を2010 年 4月に受け、「 Lexus GX 460 」の販売の 一時停止を即日発表、1 週間もたたないうちにリコールを決定するなど、 その迅速な対応は評価されるものだったが、 その後もエンジンやハンド ル関連で再びリコールを届け出ることとなった。Lexusが、2009 年まで 10 年連続首位を維持してきた米国高級車市場は、株価の上昇や税制措
9
2,246 $m
0%
Toshiba
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9,184 $m
▼ - 1%
Nintendo 新型ゲーム機の発売を控えていることもあり、業績を牽引してきた携帯型 ゲーム機「DS」の販売が、本体、 ソフトともに振るわず、 また 「Wii」の苦戦も あってNintendoは、2010 年 4 ∼ 9月期に、最終赤字を余儀なくされた。 「 Wii Sports 」 シリーズや 「 Wii Fit 」 シリーズなどの体感型ゲームで、全世 界で大ヒットを連発させ独自のポジションをつくり上げてきたNintendoだ が、 ライバルのSonyも 「プレイステーション3」用の新しい体感型ゲームシ ステム 「プレイステーション・ムーブ」 を、Microsoftも手ぶらで遊べる体感 型ゲームシステム 「 Xbox 360・キネクト」 を発売するなど、体感型ゲーム カテゴリーは熾烈な競争にさらされている。 Nintendoは、次の一手として、裸眼対応の携帯ゲーム機「ニンテンドー 3 DS 」を2011 年 2月に発売する。過去 20 年間、挑戦を続けてきた3 D 対 応のゲーム機を登場させ、通信機能も充実させることで新しい 「遊び」 を 世界に提案する。ゲーム機市場全体が、かつての勢いを失っている中、 Nintendoの新型ゲーム機が新たな起爆剤となり、新たな楽しみが世界 に広がる姿が待ち望まれる。
7
2,886 $m
6
4,549 $m
▲ + 8%
Panasonic 厳しい経営環境のなか、Panasonicは、赤字に陥った2008年度を底に回 復基調にあり、2010年度第2四半期には全セグメントで増収増益を実現 し、最終利益でも黒字化を果たした。創業100周年を迎える2018年に向 けて、エレクトロニクスNO.1の「環境革新企業」になるというビジョンを掲 げ、その実現に向けて、中期計画「GT12」 を策定し、今年度より推進してい る。 これは、 「環境貢献と事業成長の一本化」 を図り、 「成長へのパラダイム 転換」 と 「環境革新企業の基盤づくり」 という二つのテーマに取り組むもの であり、成長力溢れるPanasonicグループの実現に向けた最初のステップ ともいえる。 また、2001年より推進している 「環境行動計画グリーンプラン 2010 」の目標を2009 年度には達成。新たに2010年 10月に 「グリーンプ ラン2018 」 を発表し、 ビジョン達成に向けて設定したグリーン指標業界 NO. 1の実現に向けて、 グループ全社員が一丸となって取り組んでいく。 2010 年 7月には、パナソニック電工、ならびに三洋電機の完全子会社化 を決定。Panasonicブランドのもと、 グループの力を一つに結集し、 「 環境 革新企業」 としての地位確立に向けて、着実に歩み始めている。
Toshibaは、経営環境の激しい変化に対応すべく、 「構造転換」 を経営の重 要テーマと捉え、新興市場の開拓や新技術、顧客ニーズの掘り起こしを強 化し、世界で競争力を持つ複合電機メーカーへの転換を進めている。 収益基盤を強化した上で「成長事業への集中」 と 「事業領域の拡大」、 「新 規領域への展開」 を進めていくことを掲げており、環境、エネルギー、ヘルス ケア、ICT分野での事業拡大チャンスを的確に捉え、 グローバルでイノベー ションを推進しようとしている。 また 「インテグリティ」 をCSR 経営のキー ワードに据え、世界からの信頼獲得を一層強化している。2010年末には、 韓国サムスン電子と半導体のシステムLSI分野で提携することを発表し、設 計と生産を分業するという構造改革を実行した。 コンシューマーに対しては 2010年末に、肉眼で3D映像をみることができる 「グラスレスレグザ」 を発 売し、 ブランド力の向上を狙う。 また、Toshibaは持続可能な地球の未来に 積極的に寄与していくエコ・リーディングカンパニーとして 「環境経営」 を進 めていく。創業135周年を迎えた歴史ある企業が、事業構造転換を加速さ せ、利益ある持続的成長を着実に進行させている。
置により、富裕者層の需要が回復し、Lexusの販売も増加している。 ただ し、BMW 、 メルセデスの猛追を受け、激しい戦いを強いられているなど予 断を許さない状態だ。 2011 年初頭にはLexus 初となるハイブリッドシステム登載の中小型ハッ チバック車「 CT 200 h 」 を投入する。 スポーティな走行と先進の環境性能 を特徴としたモデルの投入により、顧客の裾野を広げていく狙いだ。 「高 級の本質を追求し続ける」施策により、他の追随を許さないブランドとな る姿を期待したい。
10 2,215 $m
▲ + 3%
Shiseido Shiseidoは「日本をオリジンとしアジアを代表するグローバルプレーヤー」 を目指し2017年度までに連結売上高1兆円、海外売上比率5割超を達成 する目標を掲げている。2010 年度は、国内での売上拡大に努めるととも に、 アジアでの圧倒的な存在感の確立とグローバル化に向けた基盤をつ くり上げることに注力した。国内では 「メガブランド」 と 「リレーショナルブ ランド」合わせて21の育成ブランドに経営資源を集中させ、峻別と集中 を徹底させている。 グローバルでは、 プレステージブランド 「 Shiseido 」 の 育成に積極的に努め、 グローバルブランドイメージの統一とアイデンティ ティーを一層強化。 また、最重点市場である中国では化粧品専門店での 店舗網のさらなる拡大を進め、専門店専用ブランド 「ウララ」 をはじめプ ロダクトブランドの強化も図っている。国内は苦戦するものの、中国を中 心としたアジアの販売拡大などにより、2010 年度売上高は前年比6 . 8% 増、海外比率 42%の達成が見込まれている。 今年度からの新たなテーマは、 「グローバル化への成長軌道に乗る」 こと。 Shiseidoは、真のグローバルプレーヤーとなるべく、着実に取り組みを進 めている。
▲ + 4%
Nissan Nissanの2010年度の販売は、昨年度に引き続き好調であった。日・欧での 販売は昨年度とほぼ同水準であったものの、成熟市場である米国、 および 中国に代表される新興市場での販売の伸びが牽引し、増収増益となった。 昨年度に引き続き、環境に強く力を入れており、 「ゼロエミッションモビリ ティ」 の実現に向けて、世界中で多くの政府、地方自治体、 また企業とパー トナーシップを結び、60 以上にのぼる活動を促進している。 製品での実現については、 ヒーロープロダクトと言える 「LEAF」 を2010年 12月に日本を皮切りに発売し、 「 EV( Electrical Vehicle)」 でのリーダー
9 | Interbrand Japan’s Best Global Brands 2011
的地位を確立しつつある。加えてEV 普及の鍵を握るとも言われる電池生 産にも積極的に投資する計画を立てており、電池の品質やコスト面でも 優位に立つ戦略を進めている。 また、モータースポーツ (GT1)にも力を入れており、数々の入賞を果たすこ とで、 モータースポーツイメージ醸成の一助となっている。 ブランドとマーケティングおよび広報部門を統合、Nissanのブランド力・ 販売力向上に力を入れ、 さらなる躍進の布石を打っている。
Interbrand Japan’s Best Global Brands 2011 | 10
13 1,707 $m
▲ + 11%
Nikon Nikonは、精機事業、映像事業、インストルメンツ事業を中核としたグロー バルブランドである。 「 事業の継続的な拡大のためには、技術的に優秀な 製品の提供のみならず、確固としたブランドイメージを市場に浸透させな ければならない」などのトップのメッセージにも現れるようにブランドに 対する意識は全社的にも高い。 Canonとあわせて日本メーカーが8 割の世界シェアを持つデジタル一眼 レフカメラの分野では、 ユーザーの裾野の広がりや、 ミラーレスなど新しい
14 1,363 $m
▼ - 9%
Suzuki
2,190 $m
▲ + 8%
Komatsu Komatsuは、国内メーカーの多くが長引く円高に苦しんでいるなか、好 調な売り上げを記録している。中国で建機需要が前期比70 % 以上伸び、 これをしっかりビジネスに結びつけていることが要因といえる。現在の需 要が続けば、2012 年 3月期を目標にしていた売上高 2 兆円達成が前倒し になる可能性も示唆されている。事実、Komatsuでは、2011 年 3月期の 業績予想を2度も上方修正している。 これらKomatsuの好調ぶりは、中国需要の回復によるものだけではない。 社内で「ダントツ商品」 と呼ばれる、他者との圧倒的な差別性を持つ商品 を市場へ投入し続け、顧客から高いロイヤリティを獲得していることも背 景にある。2001 年に投入した 「 KOMTRAX(建設機械の稼動管理システ ム)」 に続き、2006 年からは「 AHS( 無人ダンプトラック運行システム)」 を 稼動させている。 現在、業界NO.1の米国Caterpillar社に利益の規模ではかなわないが、営 業利益率では上回るまでになっている。成長著しいアジアマーケットを背 景に、更なる躍進が期待されている。
11 | Interbrand Japan’s Best Global Brands 2011
12 2,003 $m
▼ - 9%
Sharp Sharpは、経済成長とCO 2 排出削減の両立を可能とする創エネ・省エネ 技術の深耕と新興国を基準としたコスト競争力を備えることを新たな事 業の方向性として打ち出した。具体的には先進国にむけたトータルソリュー ションの提案とBtoBビジネスの強化により、付加価値の増大を図る一方、 新興国では年収1万ドル世帯をターゲットにした商品開発・販売推進を行 っていく。 スマートフォン事業では日本国内において 「GALAPAGOS」 を発売 し、 さらに電子ブックストアサービスを開始した。太陽電池事業ではイタリ アや米国において有力パートナーとアライアンスを組み、事業領域の拡大 を目指しており、 トータルソリューションビジネスの具現化を進めている。 液晶テレビはエコポイント制度による需要増と 「 AQUOS クアトロン」 「 AQUOS クアトロン3 D 」 の発売により国内市場が好調であったものの、 世界シェアは韓国勢に大きく水をあけられている。 テレビ用液晶パネルの採算悪化や円高の影響により、2010 年度の純利 益は従来予想を下回る見通しを発表した。標榜する 「エコ・ポジティブ・ カンパニー」 の実現に向けた、 グローバルにおける存在感の早急な確立 が求められる。
16 1,177 $m
15 1,234 $m
▼ - 3%
Ricoh
Suzukiは、 日本のエコカー減税など各国の景気対策の効果は薄くなって きたものの、国内を含めたアジアでの四輪車の販売増加、 アジアでの二 輪車の販売増加に支えられ、2010 年度前期は増収増益となり、2010 年 度通期の業績予想も上方修正となることを発表した。特に、 インド、中国 における販売は両国とも2ケタの伸び率となっており、 インドでの乗用車 シェアは5 割を占めている。 さらに拡大するインド市場での勢力維持を狙 い、四輪車の新工場建設の計画を発表した。 またエコカー対応車(ハイブリッドモデルなど) や新車、 モデルチェンジに 伴う販売促進などの事業活動の中で、新型「スイフト」が2011 年次 RJC カー オブ ザ イヤーを受賞。 さらに小型ミニバン 「ソリオ」 を2011 年に発 売し、軽ユーザーの乗り換えや他社の中大型車ユーザーの小型車シフト 獲得を狙う取り組みへも積極的だ。円高やエコカー減税策の終了により、 国内販売は冷え込みが予想される。新興国での展開や環境技術の共同開 発を目指し、資本・業務提携をしたVW(フォルクスワーゲン)社との連携か ら生み出される成果が期待される。
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技術を使った他社製品の投入により市場が活性化。Nikonは、次の成長 のために、 「 高品質」 「 信頼性」 「 誠実」 というブランドに蓄積された従来の 価値に加えて、 「 楽しさ」 「 先進性」 といったブランドイメージの浸透を意 識し、長年にわたって築いてきたニコンブランドを守りながら、 さらにその 価値を高めるための挑戦を進めている。 もう一つの中核事業である精機事業は半導体露光装置の新製品が海外中 心に引き合いが強まり、 また保守サービスの販売も回復しつつある。
NEW
Nomura 2008年、旧リーマン・ブラザーズのアジア・パシフィックや欧州・中東の人 員等を継承した野村ホールディングスはグローバル化に大きく舵を切り、 世界中に広がる顧客網の獲得と提案業務の幅の拡大を実現させた。 グローバル型社員制度の導入により、社内的にも実力主義が徹底されて社 内体制も変わりつつあるなか、米調査会社「トムソン・ロイター」によれば、 2010年11月までに野村ホールディングスが助言業務を獲得した日本企 業関連のM&Aは102 件、取引総額は547 億 6900 万ドル(約 4 兆 5625 億 円) に達した。取引額におけるシェアは42 %でトップを確保しており、2 位 のJ.P.Morganの23 %と大きく差を広げている。 ただし、2010 年度の業績は、欧州の信用危機などによる株式のトレー ディング収益が落ち込み、苦戦の状態にある。今後はアジア、欧州でのブラ ンド力強化とともに世界最大の肥沃な土壌である米国市場へ挑戦してい く取り組みが進められていくことだろう。現在、野村ホールディングスは、 米州地域の陣容を急速に拡大しつつある。真のグローバル経営を目指し、 Nomuraブランドが世界でその存在感を築く姿が待ち望まれる。
Ricohは、お客様起点での価値創造を目指し、画像機器を中心とした数々 の製品やサービスを提供している。 円高による事務機部門の収益圧迫が影響し、2010 年 4 ∼ 9月期の売上 高は従来予想を下回る結果となったものの、利益率の高い複写機やプリ ンター新製品の好調な販売推移、事務機の運用や管理を受託する企業 向けサービスの伸張などにより、純利益は前年同期の6. 9 倍と、厳しい市 場環境下において確実な成果をあげている。特に、 日本で昨年 11月に開 催されたAPECでは、出力機器の幅広いラインアップを揃えていることに 加え、統一されたサポート体制でサービスを提供してきた実績が評価さ れ、印刷物出力用の複合機やプリンターなどを提供する機会を獲得した。 さらに、2010 年 1月には、 「 世界で最も持続可能な100 社」 に6 年連続選 出されるなど、Ricohブランドの 「社会」 「 環境」 「 経済」 を同軸で捉えた事 業活動への一貫した取り組みが、 グローバルの舞台で着実に認められつ つある。企業の意志の具現化を着実に進めるRicohが、 グローバルのな かでさらに飛躍していくことに期待したい。
17 1,095 $m
▼ - 9%
Olympus 2010年に入って、医療事業および情報通信事業が増収になったものの、 厳しい経営環境のもと、映像事業においては引き続き苦戦を強いられ、 Olympus全体としては厳しい状況が続いている。 一方、2011年3月から始まる次期中期計画では、 「グローバル化のネクス トステージへ」 を経営スローガンに掲げ、 「グローバル競争力のある企業体 質への転化」 と、 「新興国市場への事業展開の強化」 を狙う。映像事業分野 では、 「PEN」 ブランドの更なる強化を図ることにより、好調に推移している デジタル一眼レフカメラ市場における存在感の確立を目指す。消化器内視 鏡分野で世界シェア7割を占める医療事業では、 エネルギー・処置具を核 に外科事業を内視鏡に次ぐ事業の柱に育成し、2015年 3月期には、医療 事業トータルで5 , 500億円達成を目標としている。 Olympusは、2019 年に創業百周年を迎え、今後の10 年間を 「飛躍」 の 期間と位置づけている。 デジタル一眼レフカメラや外科領域など、現在の 強みをさらに進化させ、 グローバルブランドとしての地位を磐石にすべく 活動を続けている。
Interbrand Japan’s Best Global Brands 2011 | 12
20 1,007 $m
▼ - 6%
Daikin 国内や欧州、北米で主力の空調機器販売が減少し、厳しい業績が続いて いたDaikinだが、2010 年度は回復の兆しが見え始めている。中国やア ジア、国内での販売が好調となり、2010 年 11月時点で、売上高は前期比 13%増、営業利益は同77%増となる見通しだ。現在、世界的トレンドであ る地球環境保全の動きは、加速すれども衰える兆しは見えない。 そのよう な状況下、Daikinでは自社の強みを 「環境技術」 と宣言し、今後もアジア、 欧米マーケットへ積極的に進出する姿勢を見せている。
21
22
Yamaha
Asics
759 $m
▼ - 11%
本評価においては、 自動二輪を主体とするヤマハ発動機と、楽器を主体とす るYamahaを、同じYamahaブランドとして評価している。 ヤマハ発動機は、 昨年の26年ぶりの営業赤字から一転し、黒字化の見通しだ。主力の二輪車 が、欧米や日本での販売減となる一方で、中国、インド、インドネシアといっ た二輪車市場の世界の3大市場で販売台数が拡大。新興国の所得増によ る需要の拡大が今後も期待される。 また、世界最高峰 MotoGPでは、2 年 連続で3部門制覇するなど優秀な成績を収めている。楽器のYamahaは、 中国などアジア向けの楽器販売の伸張により、2010 年 4 ∼ 9月期の黒字 化を果たしたが、主力の楽器販売の3 割近くを占める欧州の不安定な為 替動向等により通期では利益予想を据え置いており、主力のピアノ事業 は赤字の状況だ。昨年春には 「 Yamahaが目指す姿」 を明確化するととも に、今後の3 年間を成長基盤フェーズと位置づけ、新興国での成長加速 や、先進国市場でのマーケットシェア拡大、 コト事業でのビジネスモデル 構築などの戦略をスタートさせた。 モノにとどまらない音の専門家として の存在感をグローバルで築き上げていく姿を期待したい。
18 1,089 $m
▲ + 4%
Bridgestone 14 年間のF 1 活動から撤退する年となった2010 年のBridgestoneは、 モータースポーツ活動を通じて培った品質への評判に加えて、新たな評判 を築くべく、主に環境分野での技術開発に経営資源を転換させ、様々な活 動を展開した。低燃費タイヤ 「ECOPIA」 のラインナップを拡充しグローバ ルに展開する一方で、太陽電池用接着フィルムや電子ペーパー等、素材開 発力の強みを活かしたタイヤ以外の製品開発にも注力している。 また、 アジ ア地域でリトレッドタイヤの生産体制を強化し、単品タイヤの販売に留ま らないソリューションビジネスの展開を加速させている。 2010年4月には、CO2排出削減への新たな目標を設定し、世界共通環境 メッセージ「 One Team, One Planet 」 のもと、企業活動全体での環境 への取り組みを推進している。地球環境や交通社会を取り巻く環境が 変化するなか、世界 150 カ国以上の人々の安全性を支え続けてきた Bridgestoneが、新しい価値を世界に提供することで、 タイヤ会社・ゴム 会社として 「名実共に世界一の地位の確立」へ挑んでいく。
13 | Interbrand Japan’s Best Global Brands 2011
19 1,046 $m
▼ - 2%
Mitsubishi Electric Mitsubishi Electricは「常に良いものを目指して変革していく」 という決意 を込めたコーポレートステートメント 「Changes for the Better」に基づい て事業を展開している。そして現在、成長性、収益性・効率性、健全性の3つ の視点によるバランス経営を継続しながらも、成長性に重点をおく戦略を 稼動し始めている。 ドイツの半導体メーカーの買収や、 ファクトリーオート メーション機器や空調システムの需要拡大が見込めるインドでの現地法 人設立など、必要な部分にスピーディなアクションを展開。2010 年 4 ∼ 9月期決算では、重電システムや産業メカトロニクスから家庭電器まです べてのセグメントで増益または黒字化を達成し、全体で前年同期の7.2倍 の営業利益を生み出した。 また環境活動にも積極的で、環境ステートメン ト 「eco changes −家庭から宇宙まで、エコチェンジ」 を新たに制定し、同 社の姿勢をコミュニケーションしている。 多くの製品、事業を備えている同社が、その強みをさらに強化し、 グローバ ルの中でスピード感をもって、成長戦略を推進している。
日本では普及率が100%になっているインバータエアコンだが、海外では その数値はまだまだ低く、北米で3%、中南米で2%、中国でも15%に過ぎな い。 日本ではこの技術を使って、10年間で40%もの省エネを実現してきた。 今後、Daikinは、 このインバータ技術とともに、新たな省エネ技術である ヒートポンプ式を世界に普及させることを考えている。 モノとしての先進性をブランド力に変換させ、 その存在感をグローバルの 中で確立していく姿が待ち望まれる。
742 $m
▲ + 12%
健康志向が高まる欧米や、 アジア・オセアニア地域でのランニングシュー ズなどの販売の大幅な伸張により、Asicsは、2010 年上半期、前年同期 比で約 2 倍の純利益を生み出した。物販のみならず、それ以外の手厚い サービスを拡大することにも注力し、オランダで開業する世界最大規模の 大型店では、持久力の測定機やシャワー室を導入するとともにAsics流の 丁寧なサービスを徹底していく。直営店を拡充することで、情報発信の機 会を増やそうとしている。 また、新中期経営計画の中で、新たに 「アシックス」の企業精神を体系 化、 ビジョンを 「 Create Quality Lifestyle through Intelligent Sport Technology」 (スポーツで培った知的技術により、質の高いライフスタイ ルを創造する) とし、企業活動の基盤を固める活動にも積極的である。バ ンクーバーオリンピックにおけるトップアスリートへの製品提供のみなら ず、各国主要都市のマラソンのオフィシャルスポンサーを務めるなど、初 心者から上級者までサポートするブランドとして、 グローバルの中でその 存在価値を着実に高めつつある。
23
24
Konica Minolta
Fujitsu
720 $m
▼ - 4%
長引く景 気 後 退による投 資 抑 制や円高の影 響で、2 0 1 0 年 3 月期の Konica Minoltaの業績は減収減益を余儀なくされた。 しかしその後、 主に情報機器事業の牽引により、徐々に回復基調を取り戻している。 デジ タル複合機「bizhub」は、 トータルコスト削減の訴求や新興国向け専用モ デルの投入により、 日米欧、 および新興国で好調な販売が続いた。 また、伸 張するマネージドプリントサービス市場のニーズに応えるべく、業務効率化 ソリューションである 「 Optimized Print Services」 をグローバルで統一 したサービスとして提供することを開始した。大きな成長が見込まれるプ ロダクションプリント市場に向けては、新ブランド 「 bizhub PRESS 」 を立 ち上げ、 グループ内再編によりプロダクションプリントを将来のコア事業 に成長させる体制も強化している。 また、環境・エネルギー分野の新規事業として有機 EL 照明事業の立ち上 げも進めており、 「 新しい価値の創造」 を目指すKonica Minoltaの今後 の革新的な活動が注目される。
644 $m
▲ + 10%
2010年のFujitsuは、欧米での景気の下振れや円高の影響を受けながら も、新興国の需要拡大や堅調な国内事業に支えられ、中間期の連結営業 損益で年初計画を大きく上回る471億円の黒字を計上した。 山本社長を中心とした新体制のもと、Fujitsuは真のグローバルICT(情報 通信テクノロジー)企業に向けた成長戦略を推し進める。成長の要であるク ラウド戦略においては、 マイクロソフトとのパートナーシップ実現により、世 界規模のクラウドサービス展開を加速させている。 注目すべきは、創立75周年を機に策定されたブランドプロミス 「shaping tomorrow with you」−これは「顧客起点」 で、顧客・社会と共に未来を 創造していくというFujitsuの提供価値を表明するものである。 この明確 なブランドプロミスのもとに世界 60ヶ国に広がる17万人の社員をしっか りと束ね、真のグローバル企業として全社一丸となって顧客と社会に独 自の価値を提供し、 グローバル市場における存在を強めていこうとする Fujitsuの強い決意が読み取れる。大きな一歩を踏み出したFujitsuブラ ンドの更なる成長が期待される。
Interbrand Japan’s Best Global Brands 2011 | 14
28 587 $m
NEW
Unicharm Unicharmは、 「不織布・吸収体事業でアジアNO.1企業となり、 グローバ ルシェア10%を獲得し、名実ともに世界トップ3の企業になる」 という目標 を掲げ、ベビーケア事業、 フェミニンケア事業、ヘルスケア事業などを展開 している。海外参入エリアの拡大および積極的な販売促進を進めた結果、 2009 年度まで8 期連続で過去最高の売上を達成。2011 年 3月期には、 アジア地域の業績拡大により、海外売上比率を過去最高の42%、 さらに 過去最高の売上高・営業利益を実現できる見込みである。国内の日用品
29 567 $m
NEW
Ajinomoto
25
26
Hitachi
Mazda
637 $m
▲ + 10%
Hitachi は、 アジアを中心とする新興国需要の伸張や構造改革によるコス ト削減により、2010年上期は、20年ぶりとなる最高益(純利益) となった。 高機能材料やオートモティブシステム、電子部品、電子装置・システムなど が中心となり収益を牽引した。昨年、創業100周年を迎えたHitachiが注力 するのは、次の100年を見据えた 「社会イノベーション事業」 の強化だ。情 報通信システム及び社会インフラ技術の融合を強化するという方針のも と、火力発電システム事業に関連する合弁会社の設立、 インドを中心に 事業展開する米 ITサービス会社の買収、水力発電システム事業のグルー プ内組織の統合など具体的な活動を進行させている。 また低価格攻勢を かけるアジア企業対策を最優先課題と位置づけ、 コスト構造の抜本改革 を進める姿勢をも表明している。社会インフラ関連事業は価格変動が少 なく安定した需要が期待できるといわれている。 Hitachiは、 「グローバル」 「融合」 「環境」 の3つの観点を重視し、 グローバ ルの中における 「社会イノベーション事業」 での貢献という使命の実現と収 益獲得という新たな挑戦に向けて走りはじめている。
629 $m
▲ + 9%
Mazda は、2010 年度通期で、売上高を対前年比 6%増、営業利益は 250 億円の見通しを立てている。米国、日本、中国で販売台数を拡大さ せる計画だが、主要販売エリアの中で売上拡大を牽引しているのは前年 比31%増の販売計画を見込んでいる中国市場である。中長期施策の枠 組みの主要施策である 「ブランドロイヤリティの向上」 に焦点を当てると ともに、2016 年 3月期には170 万台のグローバル販売を目指している。 Mazdaは、技術開発の長期ビジョン 「サスティナブル Zoom-Zoom 宣 言」 の下、 「走る歓び」 と 「環境・安全性能」 を高次元で両立させたクルマの 実現に取り組んでいる。昨年秋には、革新的な次世代技術「SKYACTIV」 を 発表。 エンジン、 トランスミッション、ボディー、 シャーシなどにわたる最新 技術を、2011 年から発売する商品ラインナップに搭載していく計画だ。 またMazda 独自の水素ロータリーエンジン車の実用化に向けた取り組 みが評価され「 IAHE サー・ウィリアム・グローブ賞」 を受賞した。 フォード が筆頭株主でなくなった今、新たな独自性を打ち出していくMazdaの今 後が注目される。
1909 年に、世界で初めてグルタミン酸ナトリウムを主成分とするうま味 調味料「味の素」 を開発した味の素グループ。2009 年に100周年を迎え、 現在では、世界 100ヶ国以上で「味の素」 を販売し、 「 AJI-NO-MOTO 」 ブ ランド、そして 「UMAMI」 をグローバルに浸透させることに注力している。 2010年の好調な業績を牽引したのはアジアを中心に拡大する海外食品 事業。味の素は、 アジアの中間所得層の広がりに対応すべく、 タイで、 うま 味調味料「味の素」 などを製造する2 工場を稼動させる計画を発表。 この 工場から、 タイのみならず、周辺国やインド、中東にも供給する予定だ。 ま た、味の素グループは、 「味の素『食と健康』国際協力ネットワーク (AIN)」 や「ガーナ栄養改善プロジェクト」などの、国際的な社会貢献活動にも 積極的に取り組む姿勢を見せている。国内食品事業はやや伸び悩んで いるものの、特にアジアを中心とする海外で拡大する味の素。現地での 地道で丁寧な販売を徹底させ、新しい食文化を海外に根付かせる挑戦 を続けている。バイオ・ファイン事業や医薬事業も含め、同社の存在感が グローバルの中でさらに高まっていくことが期待される。
メーカーで最もグローバル展開が進んでいる同社は、1984 年に台湾で 現地法人の設立を皮切りに、海外現地法人 21 社を配し、東アジア・東南 アジア・オセアニア・中東諸国、北アフリカなど世界 80カ国以上で紙オム ツや生理用品などを提供している。特に1995 年から現地生産を始めた 中国市場においては、開発、生産、販売計画の立案機能などを担う中国 本社や、新工場を設立するなど、Unicharmは、新中期経営計画「グロー バル10計画」 の実現に向け、着実に進化を続けている。
30 556 $m
▼ - 3%
Mitsubishi Motors 2010 年は「成長への基盤づくり」を謳った中期経営計画の締め括りの 年であり、Mitsubishi Motorsは 「地球を走る・地球と生きる」 をテーマ に Drive @ Earth をスローガンに掲げ、地球環境への配慮や、新興国の 開拓を含めたグローバル販売体制の構築に注力してきた。2010年4月か ら、新世代電気自動車「 i-MiEV 」 の個人向けの国内販売を、10月からは 欧州向け仕様車の生産を開始した。2010 年度の販売台数は2009 年度 の5 倍以上となる9 , 000 台を計画しているが、個人向けの販売価格は政 府の補助金を加味しても、他自動車メーカーのハイブリッド車と比較して 高価な商品であり、 その普及にはまだ時間を要する。 グローバル販売と いう面では、新型のRV 車「 RVR 」 ( 欧州名「ASX 」)が、北アジアやアセアン 地域で販売が好調だ。中国においては、2009 年 11月から東南汽車で現 地生産を開始した新型「 Lancer EX 」 の拡販を図り、三菱ブランドの底上 げと専売店の拡充に精力的に取り組んでいる。社会インフラとしての電 気自動車の普及という将来の成長に向けた取り組みと、 グローバルの競 争に打ち勝つ今日の課題への取り組みという、Mitsubishi Motorsのブ ランド価値を高めるための挑戦はまだまだ続く。
27 597 $m
▲ + 8%
Shimano 「自転車業界のインテル」の異名を持つ海外売上比率が 9 割近くをも占 めるShimanoは、2010 年 12月期の連結純利益は前期比94%増の見込 みだ。欧米での都市部の慢性的交通渋滞や環境意識の高まりなどが背景 にあり、中高級自転車市場規模が大きい欧州や北米で主力の自転車用部 品の販売が拡大した。Shimanoはミッションとして、「人と自然のふれあい の中で新しい価値を創造し、健康とよろこびに貢献する」を掲げているが、 まさにこのミッションが、市場の環境志向や健康への関心の高まりに適合 して、業績に表れる形となった。今後、欧州向けに電動アシスト自転車部品
15 | Interbrand Japan’s Best Global Brands 2011
を販売する予定があり、 さらなる成長が期待されている。 この電動アシス ト自転車用部品は、他社製品よりもコンパクトで乗り心地を重視した設 計にしており、東芝製の長寿命電池「 SCiB 」 をバッテリーシステムに採用 することでさらなる差別化をはかっている。Shimanoは、現在、最大の成 長市場である中国にも攻勢をかけている。 自転車を道具として扱う時代 から、経済成長によって自転車を 「楽しむ」文化が中国で育っていく中で、 販売店を支援し、競技大会を開催し、Shimanoブランドの魅力を伝える ことに取り組んでいる。
Interbrand Japan’s Best Global Brands 2011 | 16
Future Global Brands from Japan 特別企画:日本の国内ブランド (海外売上高比率30%未満) TOP30
Japan’s Best Domestic Brands 2011 TOP 30 Rank
国内ブランドが海外へ積極的に打って出る方針を掲げている。
Sector
2011 Brand Value (US million $)
1
2 近年、国内市場の将来的な縮小を睨み、
Brand
3
Telecommunications
Financial Services
Telecommunications
Ratio of Overseas Sales
Rank
Brand
Sector
2011 Brand Value (US million $)
(FY 2009)
Ratio of Overseas Sales (FY 2009)
10%未満
16
Energy
785
10%未満
5,750
22%
17
Construction & Real Estate
672
10%未満
4,133
10%未満
18
Construction & Real Estate
593
10%未満
3,648
15%
19
Computer Services
566
20%
2,981
10%未満
20
Retail
498
15%
10,757
日本発のグローバル・ブランドの更なる可能性を探るため、
4
の枠を外し、 「海外売上高比率30%以上」
Financial Services
日本の国内ブランドのTOP30ブランドの価値を算定した。
5 Japan s Best Global Brandsの評価では、前述のとおり 「海外売上高比 率が 30%( 2009 年度実績)以上」であることを1つの要件としている。 こ の基準に満たない国内売上を中心としたブランドが、近年アジアを中心 に海外へ進出する方針を打ち出している。 これらのうち、昨年のJapan s Best Global Brands 2010では、特別編として旧リーマン・ブラザーズ のアジア・パシフィック及び欧州・中東の人員等を継承して一気にグロー バル化を進めたNomura 、2020 年の海外での売上を3 兆円に目標設 定したUniqlo 、日本発のインターネット・サービスとして海外浸透を目 指すRakutenを取り上げ、各業界のリーディング・グローバル・ブラン ドとの差を確認した。 本年は、その枠組みを拡大し、 「 海外売上高比率 30%以上( 2009 年度実 績)」の基準をなくし、海外売上高比率が 30%( 2009 年度実績)に満たな い国内ブランドのTOP 30のブランド価値を算定し、自動車・電機に続く次 のグローバル・ブランドとなりえる業界、 ブランドの検討を試みた。 その結果、1 位となったのが、NTT Docomoである。 さらにSoftbank ( 3 位 ) 、au( 5 位 )と携帯キャリアブランドが、 トップ 10に3つランクインし た。そして、MUFG( 2 位)、SMFG( 4 位)、Mizuho( 6 位) とメガバンク3ブ ランドがトップ 10 入りした、その他トップ 10には、Uniqlo( 7 位)、Kirin ( 8 位)、Kao( 9 位)、Rakuten(楽天 10 位)が入った。 業 界 別では、フィナンシャル・サービスブランドが 最も多く、トップ 10 入りしたメガバンク3つに加え、Tokio Marine( 東京海上 11 位)、 Dai-ichi Life( 第一生命 21 位)、Orix( 29 位)がランクインした。MUFGが 2010 年末、香港で初の個人向け事業を開始し、Tokio Marineも近年海 外でのM&Aを数多く行い、 アジア中心に積極展開を狙うなど、グロー バル・ブランドへ向けて、各ブランドは着実に歩みを進めている。 フィナ ンシャル・サービスブランドは、Best Global BrandsのTOP 100でも 最も多くランクインしており、昨年では、米国以外のBarclays( 英国)、 Credit Swiss(スイス)、Santander(スペイン)がランクインするなど、 金融危機後の不安定な市場において、新興ブランドが勢力をつけてい る。次に多くランクインしたのが、飲料・食品ブランドである。Kirin ( 8 位 ) 、 Asahi( 12 位 ) 、Nissin( 13 位)、Yakult( 22 位)、Meiji( 24 位)の5ブラン ドがランクインした。飲料・食品ブランドは、 フィナンシャル・サービスブラ ンド同様にBest Global BrandsのTOP 100で多くランクインしており、 グローバル化しうる可能性は大きい。現に各ブランドが成長著しいアジ アを中心とした新興国を中心に海外展開を進め、例えば Yakultの世界
17 | Interbrand Japan’s Best Global Brands 2011
での1日平均販売が昨年 6月に3000 万本を突破するなど、その成果が 現れつつある。当該市場は、欧米のリーディング・グローバル・ブランドも 力を入れており、 ここで勝ち残ることが、グローバル・ブランドとなるため の最大のポイントとなっている。 Best Global Brandsでは、L OrealやNIVEAなどのパーソナル・ケアブ ランドも数多くランクインしている。今回の国内 TOP 30では、Kao( 9 位) がランクインした。Japan s Best Global Brandsでランクインしている ShiseidoやUnicharmを含め、欧米リーディング・ブランドより現地アジ ア人をより理解している日本のブランドは、 アジア市場では評価が高い。 一方、グローバルランキングの傾向と比べ、今回の日本の国内ランキン グにおいて特徴的なのが、 「コンビニ」 ブランド、建設・不動産ブランド、 インターネット・サービスブランドである。 米国で生まれ、日本で大きく成長したコンビニエンスストアのビジネスモ デルは、 アジアを中心に大きな広がりを見せており、本ランキングでは、 Lawson( 15 位)、FamilyMart( 20 位 ) がランクインした。FamilyMartの 海外店舗数が 9 , 000 店を越える ( 2010 年末現在)など、既にアジア中心 に深く浸透しており、今後各国の成長とともに規模の拡大をすることで、 グローバル・リテールブランドとして、世界に認知されていくと思われる (※Seven Elevenは米国生まれのため、本ランキングでは評価対象外 となっている)。 建 設・不 動 産ブランドは、M i t s u b i s h i E s t a t e( 三 菱 地 所 1 7 位 )、 Mitsui Fudosan(三井不動産 18 位)、Sekisui House( 25 位)、 Daiwa House( 27 位)の4つがランクインした。街づくりの発想で住宅、 ホテル、 ショッピング施設を複合した施設をつくり、経験価値を提供して いくブランディング手法は、欧米型の大規模ショッピングモールと差別性 をもち、グローバルで十分通用するポテンシャルがあり、次世代の街づく りの担い手として世界に羽ばたく可能性を秘めている。 インターネット・サービスでは、R a k u t e n( 楽 天 1 0 位 )、M o b a g e (モバゲー 28 位)、Gree( 30 位)がランクインした。MobageとGreeの 海外本格展開はこれからとなるが、ユニークなビジネスモデルが海外で 受け入れられることで、市場の飛躍的な広がりにより、 ブランド価値の大 幅な増加が見込まれる。現在 Best Global Brandsで4 位のGoogleは、未 だ創業 13 年である。インターネット・サービスブランドは、他業界と比較 しても、その成長率は非常に高く、グローバル・スタンダードの地位を獲 得することで、大きな飛躍が期待される。
Telecommunications
6
Financial Services
2,820
16%
21
Financial Services
490
10%未満
7
Retail
2,606
17%
22
Food & Beverages
483
24%
8
Food & Beverages
1,809
25%
23
Education
465
12%
9
Personal Care
1,602
25%
24
Food & Beverages
431
10%未満
10
Internet Services
1,360
10%未満
25
Construction & Real Estate
387
10%未満
11
Financial Services
1,184
17%
26
Computer Services
378
10%未満
12
Food & Beverages
1,030
10%未満
27
Construction & Real Estate
363
10%未満
13
Food & Beverages
978
15%
28
Internet Services
356
10%未満
14
Security
847
3%
29
Financial Services
352
20%
15
Retail
817
10%未満
30
Internet Services
345
10%未満
Interbrand Japan’s Best Global Brands 2011 | 18
Global Brands vs. Japanese Brands vs. Chinese Brands 特別企画:グローバル・ブランドに向けた
Automotive Toyotaは、2010年にリコール問題に揺れたものの、現在世界で最もブランド価値が高 い自動車ブランドである。HondaもMercedes-Benz 、BMWに続き4 番目に位置して いる。 また、Japan s Best Global Brands 2011はNissan 、Lexus 、Suzuki 、Mazda 、 Mitsubishi Motorsなどもランクインしており、 日本には、 グローバルレベルのブランドが 多く存在する。一方、 中国ブランドは、Dongfeng Motor( )、BYD( )、Geely (吉利汽 ) がBest Chinese Brands 2010にランクインしているものの、 そのブランド 価値は未だ低いレベルに留まっている。現在中国の自動車メーカーは、海外ブランド の買収により短期間にグローバルで通用するブランドを手に入れる方法もとっている が、 中国発のブランドをグローバル化するには、非常に大きな努力が必要となるだろう。
日本と中国のトップブランドの価値比較 インターブランドでは、ブランド価 値の高いグローバル・ブランドの TOP100ランキングをBest Global Brandsとして毎年発表している。 また、 2010年7月にBest Chinese Brandsと題し、 グローバル基準にとらわれ ない中国発のブランドのTOP50を発表した。 今回発表した日本のグローバ ル・ブランドTOP30と 日本の国内ブランドTOP30のブランドを、成長著しい 中国のブランドと比較してその傾向を把握するとともに、 グローバル・ブラン ドと比較して、世界との距離を測った。 中国は、2010年のGDPが日本を抜いて世界第2位の経済大国となるものと 予想されている。経済規模としては、肩を並べる日本と中国であるが、 グロー バル・ブランドという視点では、Best Global Brands2010に日本ブランドが 6ブランド (Toyota、Honda、Canon、Sony、Nintendo、Panasonic)含まれ ているのに対し、 中国ブランドは1つもランクインしていない。 しかし、 Best Chinese Brands 2010の1位のChina Mobileのブランド価 値は、 Best Global Brands 2010と同じテーブルに並べると8位に位置す る。 また、 日本発のブランドとしてトップのToyotaを上回る水準にあり、 中国 ブランドのブランド価値は、 大規模かつ潜在成長率の高い中国国内市場を 背景として非常に高い水準となっている。 そのため、 ここでは、 ブランド価値 の観点から日本と中国の業界別のそれぞれの強みをグローバル・ブランド との比較を含め検証した。
ブランド価値の比較(日本/中国/グローバル・ブランド)
(単位:百万USD)
25,661 18,510 781 455 25,179 22,322
Toyota Honda Dongfeng Motor BYD Mercedes-Benz BMW
Electronics
※ P20 ~ P22のグラフについて
Japan's Best Global Brands 2011 Best Chinese Brands 2010
電機業界もまた、 日本ブランドが非常に大きなブランド価値を保持している業界である。 Best Global Brands 2010ではグローバルで躍進しているAppleやSamsungとはやや 差がついているもののCanon、Sony、Nintendo、Panasonicがランクインしている。 ま た、Japan s Best Global Brands 2011では、Toshiba、Sharpといった多くのグローバ ル基準を満たしたブランドがランクインしている。一方、 中国ブランドは、Best Chinese BrandsにLenovo( 想)、Gree(格力)、Midea(美的)、Haier(海尔)等がランクインする ものの、 その価値は自動車ブランド同様に未だ低いレベルに留まっている。IBMから買収し たLenovoや世界中で白物家電の販売を拡大しているHaierはグローバルで認知度が上 がってきているものの、 その規模は非常に小さい。 中国の白物家電は低価格を提供価値 としているものが多く、 ブランド価値として蓄積がされない状況にある。 中国ブランドが 低価格路線から、 ブランドを軸にした高付加価値路線へとシフトし攻勢をかけてくる前 に日本のブランドはさらにグローバル市場でブランドイメージを明確化し、 ロイヤリティ 顧客を囲い込む必要があろう。
Best Global Brands 2010
ブランド価値の比較(日本/中国/グローバル・ブランド) ※ 各ランキングの詳細は、以下のサイトにて閲覧可能
Best Global Brands 2010(2010年9月発表) http://www.interbrand.com/ja /best-global-brands/Best-Global-Brands-2010.aspx
Best Chinese Brands 2010(2010年7月発表) http://www.interbrand.com/zh-CHT/Default.aspx
Sony Panasonic Lenovo Haier Apple Samsung
(単位:百万USD)
11,353 4,549 1,481 457 21,143 19,491
USD 1 = 中国元 0.1465 にて換算(2010年5月22日現在のレート)
19 | Interbrand Japan’s Best Global Brands 2011
Interbrand Japan’s Best Global Brands 2011 | 20
Personal Care
Retail
パーソナル・ケアブランドは、Best Global Brands 2010には数多く含まれているものの、 日本のブランドのランクインはない。 しかし、Japan s Best Global Brands 2011では、 ShiseidoやUnicharmがランクインし、 日本の国内ブランドでもKaoがランクインしてい る。一方、中国のパーソナル・ケアブランドは、Best Chinese Brands 2010に1つもラン クインしていない状況にある。中国では国内有力ブランド不在の中、 日本と欧米のブラン ドの厳しい競争が繰り広げられている。ShiseidoとBest Global Brandsにランクインす るLancômeの価値の差は1 . 5 倍であり、中国を初めアジア市場でリーディング・ブランド としての地位を獲得することで、その差は一気に縮まると思われる。
リテールブランドは、Best Global Brands 2010には数多く含まれているものの、 パーソ ナル・ケアブランドと同様に日本のブランドは1つもランクインしていない。 また、Japan s Best Global Brands 2011にもグローバル基準をクリアしてランクインするものはない。 し かし、 日本の国内ブランドTOP30には、Uniqlo、Lawson、FamilyMartの3ブランドがラン クインしている。一方、 中国のリテールブランドは、Best Chinese Brands 2010にアパレル のMetersbonwe(美特斯邦威)、家電量販店のSuning(苏䑳) およびGome(国美) がラン クインしている状況にある。 アパレルについてグローバルと比較すると、Uniqloとグローバル トップのH&Mの差は、6.2倍という状況にあるが、Gapとの差は1.5倍と非常に近づいてい る一方、MetersbonweとUniqloの差は7.0倍と大きな差が存在する。Uniqloが提案する 低価格、 デザイン、品質の価値のバランスが世界中の人々を魅了し、2020年までに海外事 業売上高3兆円という目標が実現する頃には、Best Global BrandsにUniqloの名前が刻 まれることになるだろう。
ブランド価値の比較(日本/グローバル・ブランド)
(単位:百万USD)
ブランド価値の比較(日本/中国/グローバル・ブランド) 2,215 1,602 587 7,981 3,734 3,403
Shiseido Kao Unicharm L'Oreal NIVEA
(単位:百万USD)
2,606 373 16,136 7,468
Lancôme
3,961
Uniqlo Metersbonwe H&M Zara Gap
Telecommunications
Financial Services
通信業界のブランドは、 Best Global Brandsには1つもランクインしていない。英国の VodafoneやスペインのTelefónicaなど国を超えて地域で浸透しているブランドはあるも のの、未だグローバル・ブランドは育っていない状況にある。 しかし、 ブランド価値という点に おいては、前述の通りBest Chinese Brands 2010で1位のChina Mobile(中国移动) は、 Best Global Brands 2010と同じテーブルに並べると8位に相当し、Nokiaを上回るレベル にある。 日本の国内ブランドTOP30には、NTT Docomo、Softbank、auと3つのブランドが ランクインするものの、 トップのNTT DocomoでもChina Mobileと2.8倍の差がある。NTT Docomo、Softbank、auのブランド価値を積み上げてもChina Mobileには及ばない状況 にある。巨大な市場を背景に、世界一の契約者数を誇るChina Mobileは非常に大きなブ ランド価値を築き上げている。今後日本のブランドが更に成長していくためには、市場の規 模・成長率を鑑みると、海外進出が重要となってくる。既にNTT Docomoは、 中長期戦略で 国際ビジネスの推進を目標として掲げ、 アジア・太平洋地域のキャリアへの出資を行い、技 術やビジネスノウハウの提供を進めているが、 それに留まらずブランド浸透を同時に進めて いくことで、 グローバル・ブランド化、企業価値の向上につながると考えられる。
金融危機後、Best Global Brandsにおけるフィナンシャル・サービスブランドの顔ぶれは大 きく変化した。CitiやGoldman Sachsなど米国ブランド中心であったプレイヤーに加えて、 Barclays(英国)、Credit Suisse(スイス)、Santander(スペイン)の欧州勢が新たにランク インしている。今回の日本の国内ブランドTOP30では、MUFGが最も上位にあるものの、 そ のブランド価値はBest Global Brandsでブランド価値の高いJ.P.Morganと比較すると、 2.1倍の差がある。一方、Best Chinese Brandsでは、 フィナンシャル・サービスブランドが TOP10中、7つと非常に大きな価値を保有しており、銀行でトップのChina Construction Bank(中国建设银行) のブランド価値は、MUFGの2.5倍となっている。巨大な市場を背景 にした中国ブランドは、 かつて日本のブランドがそうであったようにその規模を頼みに世界 中へ投資を進めていくことが予想される。 しかし、 「信用」 が求められる現在の金融市場にお いて、中国ブランドは、 それをグローバルレベルで獲得するには至っていない。 日本のブラン ドは、金融危機の影響も比較的小さく、世界で信用されうる歴史とサービス品質を備えてい る。先手を打ってグローバル化することでその期を逸しないことが重要といえる。 ブランド価値の比較(日本/中国/グローバル・ブランド)
ブランド価値の比較(日本/中国/グローバル・ブランド) NTT Docomo Softbank au China Mobile Nokia
21 | Interbrand Japan’s Best Global Brands 2011
(単位:百万USD)
10,757 4,133 2,981 29,718 29,495
MUFG SMFG Mizuho China Construction Bank ICBC J.P.Morgan HSBC
(単位:百万USD)
5,750 3,648 2,820 14,093 11,383 12,314 11,561
Interbrand Japan’s Best Global Brands 2011 | 22
The Story Behind Strong Brands
Best Chinese Brands 2010 TOP 50 Rank
Brand
Sector
Brand Value
Rank
Brand
Sector
(US million $)
Brand Value (US million $)
1
China Mobile
TeleCommunications
29,718
26
Gree
Electronics
605
2
China Life
Financial Services
14,578
27
Alibaba
Internet Services
588
3
China Construction Bank
Financial Services
14,093
28
Mengniu
Food & Beverages
578
4 5 6
ICBC Bank of China Ping An
Financial Services Financial Services Financial Services
11,383 10,023 8,346
29 30 31
China Merchant Securities Yunnan Baiyao Midea
Financial Services Pharmaceuticals Electronics
564 559 548
7
China Merchants Bank
Financial Services
3,399
32
Sohu
Internet Services
490
8
Tencent
Internet Services
3,364
33
Ctrip
Internet Services
485
9
Moutai
Alchohol
3,139
34
Netease
Internet Services
484
China Pacific
Financial Services
2,249
35
Yurun Food
Food & Beverages
482
10 11
Bank of Communication
12
Lenovo
13
Wuliangye
Financial Services Electronics Alchohol
1,871 1,481 1,290
36
Haier
37
BYD
38
Shineway
Electronics Automotive Food & Beverages
457 455 417
「ものづくり」から「ものがたり」への転換でブランド価値を高める
日本企業は、第二次世界大戦後の復興期から、高度成長期を経て、 とする「環境関連技術」では、日本の強さが感じられる。例えば、2008年 「ジャパン・アズ・ナンバーワン」 と言われる時代まで、ひたすら 「いいも
場で大きなシェアを誇るのは、中国やドイツなど海外メーカーばかりで
いる。日本のGDPは、1995年に5.3兆ドルのピークをつけたが、IMFの予
ある。2008年の世界市場での太陽電池メーカー上位3社は、 ドイツの
測によると、 この記録が更新されるのは2014年となっている。実に20年
Qセルズ、米国のFirstSolar、中国のSuntechである。また、同年の国別
近く日本経済の成長が止まっているのだ。
生産シェアは中国が26%で1位。2位はドイツである。日本はドイツに抜
この間、 日本企業の強みとして盛んに取り上げられた言葉が「ものづくり」 かれ、3位に後退している。 だ。1990年代後半から企業やマスメディアの間で盛んに使われるよう に源を発するという史観の「大和言葉」でもある。1999年には、 この言
人たちの心をつかみ、揺さぶる「ものがたり」を構想し、推進する力が欠
葉を名称の一部とする 「ものづくり基盤技術振興基本法」が公布され
けている」 と述べている。つまり、もはや、ものがいいのは当たり前とな
た。 この中で、製造業は日本経済の基幹産業と位置付けられ、製造業の
り、 「ものづくり」だけでは、需要をつくり、新しい市場を開拓するには
育成強化や熟練技能者の地位向上が謳われている。 この法律が交付
不十分ということだろう。
されると、官公庁や地方公共団体でも、 「ものづくり」 という言葉が使わ
機能や技術が同程度であれば、あとは、製品に込めた想いや開発秘話
れるようになった。
など、人を惹きつける「ものがたり」が付加価値を生み出す、今はそんな
しかし、本当に「ものづくり」は日本企業の強みと言えるのだろうか。前述
時代である。例えば、太陽電池専業メーカーのSuntechは、創設者で
のように、官民挙げて「ものづくり」が叫ばれ続けた間、日本経済の低迷
現CEOのDr.Shi が、太陽電池の研究開発で世界有数のオーストラリア
が続いていたのだ。 ここでいう 「ものづくり」が「製品を生産する」 というこ
ニューサウスウェールズ大学の太陽光発電研究所の責任者などを歴任
とであれば、すでに、日本は中国に追い越されている。国連工業開発機構
し、長年、 この分野で世界最先端技術の開発に携わってきたという 「もの
Education
387
Metersbonwe
Retail - Apparel
373
42
999
Pharmaceuticals
307
861
43
361°
Sporting Goods
292
(10億USD)30,000
Sporting Goods
845
44
Peak Sport
Sporting Goods
264
25,000
Dongfeng Motor
Automotive
781
45
Haitong Securities
Financial Services
256
20,000
21
Anta Sports
Sporting Goods
772
46
Bosideng
Retail - Apparel
208
22
Citic Bank
Financial Services
757
47
Gome
Retail - Electronics
180
15
Financial Services
1,192
40
New Oriental Education
16
Luzhou Laojiao
Alchohol
1,081
41
17
Baidu
Internet Services
1,018
18
Citic Securities
Financial Services
19
Li Ning
20
1,242
39
Suning
Retail - Electronics
なぜ、 このような事態になっているのか。東京大学の黒川清名誉教授は、
になった。現在の日本の製造業の繁栄は、日本の伝統文化、固有文化 「日本は優れた“ものづくり”をしているが、世界の多様な価値観を持つ
「技術開発」 ということであればどうだろう。確かに、太陽電池をはじめ
Shanghai Pudong Development Bank
Alchohol
え、圧倒的なシェアを誇っている。 しかし、近年、 「 太陽電池」の世界市
初頭のバブル経済崩壊から現在に至るまで、長期低迷の期間を過ごして
402
Tsingtao Beer
の特許出願技術動向調査によると、世界における日本の「太陽電池」の
のを安くつくる」 ことに専念してきた。その過程で、ToyotaやSonyなど、 特許出願シェアは70%以上と、10%のシェアで第2位である米国を抑 日本を代表するグローバルブランドが生まれた。 しかし、その後、1990年
(UNIDO)のデータによると、2009年の世界全体の工業生産額に占
14
文 : 田中英富
がたり」を伝えて、 ブランドイメージの強化に努めている。
める中国の比率は 15 . 6 %と、日本の15 . 4 %をわずかに上回った。一方、 「ものづくり」だけでブランドが築ける時代は終わった。 これからは「もの がたり」を広く世界に伝えてブランド価値を高める時代である。
各国・地域の GDP 推移
26,113 新興国(含む 中国)
17,891 EU
1995 年 15,000
16,928 米国
日本のピーク (5.3兆ドル)
10,000
8,500 中国
日本は20年間成長が止まっている
23
Changyu
24
Minsheng Bank
25
Industrial Bank
Alchohol
743
48
Hisense
Financial Services
738
49
Geely
50
Huaxia Bank
Financial Services
( 2010 年 7月発表)
657
Electronics
178
Automotive
176
5,354 日本
5,000
0
Financial Services
169
1980
1985
1990
1995
2000
2005
2010
2014 年(IMF予想)
(出所)IMF
World Economic Outlook
USD 1 = 中国元 0.1465 にて換算(2010年5月22日現在のレート) http://www.interbrand.com/zh-CHT/Default.aspx
23 | Interbrand Japan’s Best Global Brands 2011
Interbrand Japan’s Best Global Brands 2011 | 24
Authors and Contributors ジェズ・フランプトン
岩下 充志
グローバルCEO
インターブランドジャパン代表取締役社長CEO
インターブランドの最高責任者。 ワールドワイドのビジネス・マネジメント、 および戦略的でクリエイティブなサービスの強化に携わる。 Marketing Society、Chartered Institute of Marketing、 Market Research Society、Design Business Association、 Institute of Directorsの会員。ブランディングに関する講演多数。
日系大手広告代理店の営業・経営企画、 米系戦略コンサルティングファームのマネージャー、 大手外食チェーンの執行役員マーケティング本部長、 という多様な経歴を経て、2010年1月に現職就任。 インターブランドジャパンの rational and emotional な価値を 一段と高めるべく、指揮を執る。
バートン・ブルーム
上條 憲二
エグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクター
エグゼクティブ・ディレクター
広告/マーケティング・コミュニケーション領域において 長年にわたり実績を積む。2001年より参加しグローバル及び バーバル・アイデンティティ部門のディレクターとして、 アジア太平洋地域のさまざまなブランディング・プロジェクトを 手掛ける。ライターとしても豊富な経験も持ち、 また、日本在住30年を超え日本語に堪能。
Omnicomグループ傘下の広告会社にて長年にわたり 企業のマーケティング・コミュニケーション戦略を担当。 インターブランドにおいてはブランド戦略全体のコンサルティングを行う。 大学でコミュニケーションに関する講座を受け持つなど、 幅広く活動している。
田中 英富
矢部 宏行
エグゼクティブ・ストラテジー・ディレクター
エグゼクティブ・ストラテジー・ディレクター
大手証券系シンクタンクにて企業価値評価にもとづく 財務戦略コンサルティング業務に従事。 企業信用分析、企業・事業価値の評価、事業再構築、 M&Aプロジェクトに参画。 2001年よりインターブランドに参加以来、 ブランド価値評価に関するプロジェクトを行う。
自動車メーカーで10年、自動車ブランドのコンセプトメイキング、 マーケティング及びグローバル・ブランドの商品企画に携わる。 インターブランドにおいては、 多岐にわたる分野の コーポレート・ブランド、 プロダクト・ブランドのアイデンティティ構築、 ブランド・マーケティング戦略に関するコンサルティングを行う。
松尾 任人
畠山 寛光
クリエイティブ・ディレクター
シニア・コンサルタント
広告、流通、建築とさまざまな領域でデザインに携わる。 約30年に及ぶキャリアで担当したプロジェクトは幅広く、 クライアントの業種も多岐にわたる。2002年にインターブランドに 参画以来、 「ブランドのエクイティを体験価値へ拡張する」ことを モットーに多数のプロジェクトを手掛ける。 ストラテジックなクリエイティブ創造のために日夜健闘している。
総合飲料メーカーを経てインターブランドへ参画以来、 幅広い分野における調査分析、 戦略構築のプロジェクトに携わる。 特にグローバルやアジアでのブランド価値評価や コンサルティングに数多く従事している。
About Interbrand インターブランドは、1974年に設立された世界的な ブランドコンサルティング会社です。世界26カ国・約 40のオフィスを通じ、世界的に展開している企業を はじめ、 さまざまな組織・団体に対し、 ブランディングに 関する多様なサービスを提供しています。 “Creating and managing brand value”のミッショ ンのもと、戦略的な視点とクリエイティブの視点の両 面から 「ブランドを創り、その価値を高め、維持し、評 価する」 という一連のサービスを提供し、 クライアント のもっとも価値ある資産であるブランドの価値向上を サポートしています。 その事業内容はブランド価値向 上に向けた戦略の立案、 ネーミングやデザイン開発な どのクリエーション、 さらにはブランド価値の社内外へ の浸透・定着の支援に至るブランドエンゲージメントま で多岐にわたっています。
近年、 日本企業の多くは、 これまで競争優位の源泉と なってきた品質、技術力、価格競争力などによる差別化 が困難になるという非常に大きな課題に直面していま す。そのため、新たな競争優位の源泉として、 「ブランド」 に注目し、その価値を高めることを目的にブランドマネ ジメントに積極的に取組まれています。 インターブランドは1984年より世界に先駆けて、企 業の視点(財務) と顧客の視点(マーケティング) の両 面からブランドの価値を金額に換算する手法※を開発 し、 これまでに5,000以上のブランドの評価を行って きました。 さらに 「ブランド価値」 の重要性を認識して いただくことを目的として、1999年より毎年、全世界 のブランドを対象とした“Best Global Brands” を発 表しています。 インターブランドについての詳しい情報については http://interbrand.com をご覧ください。
※インターブランドの「ブランド価値評価」は、 国際標準化機構(ISO)からブランドの金銭的価値測定の ための世界標準であるISO 10668の認定を受けています。
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