目次
気配のシークエンス 地域交流センター 2回生 前期 設計演習
トキとアート アートギャラリー 3回生 前期 設計演習
インフラに集う 集合住宅 3 回生 後期 ゼミナール演習 他大学合同設計案
気配のシークエンス 地域交流センター 2回生 前期 設計演習
人の気配が連続する、 ランドスケープのような建築。
対象敷地 大阪府東大阪市菱屋西
敷地西側の大学通り
敷地南側の通り
敷地は長瀬駅前にあり、 大学通りに面している。 一日中、 昼夜問わず学生が通行し、 にぎやかな 通りである。 一方で少し脇道に入ると、 地元市民 の生活路になっている。 この異なる性質を持った通り に面している敷地に学生交流センターを設計する。 敷地北側の通り
敷地周辺の通りをスケッチし、 住宅以外のビルディン グタイプを、 色分けしていく。 学生を対象としたビルディングタイプを赤、 地元市民 を対象としたビルディングタイプを青とする。
大学通りから離れた脇道
平面計画 色分けしたスケッチを周辺屋根伏せ図に落とし込む。 敷地周辺の通りは、 様々なビルディングタイプで構成されているが、 対象とする 利用者を選んでいることがわかる。 それが、 通りの雰囲気を創り出しており、 また混ざり合うことがない。 交流センターとして、 学生と地元市民の結節点となるようにゾーニングをしていく。
カフェ 集客力の高い、 大学通り側に配置する。
パブリックスペースと4つのサテライトラボの配置 入口からサテライトラボまでの動線の間にパブリックスペースを配置する。 学生は他学部のとの交流が生まれ、 また地元市民とも交わる。 学生動線 地元市民動線
まちライブラリー 地元市民の持っている、 いらなくなった本を寄付してもらう。 大学通り 側に配置することにより、 学生は地元市民の生活の一部に触れる。
セットバック 敷地境界線からセットバックし余白をつくる。 たまり場を設計する。
サテライトラボ 建築学部、 薬学部、 文芸学部、 国際学部のサテライトラボ。 学生の イベント ・ ギャラリースペース
普段見れない活動を地元市民に観てもらうために、 大学通りから離れた
建物中央部に配置することにより内側から人の活動が発生する。
位置に配置する。
ここで発生した雰囲気は建物全体に伝わる。
plan
S=1:300
1 カフェ
2 まちライブラリー
3 イベント・ギャラリースペース
4 パブリックスペース
5 文芸学部サテライトラボ
6 建築学部サテライトラボ
7 薬学部サテライトラボ
8 国際学部サテライトラボ
9 トイレ
10 中庭
1 9 5
2
6
3 4
10 7
8
大学通りから見るまちライブラリー。 本がファサードになる。
サテライトラボとパブリックスペース。
交流センターというビルディングタイプについて 建築はそれぞれ明確な用途を持っている。 しかし交流センターは、 コミュニケーションという抽象的な目的で建てられている。 一つの敷地の中に、 様々な用途が配置されているために、 新たなビルディングタイプが生まれる可能性を持っていると考える。
+ そこで、 ランドスケープについて考える。 ランドスケープは明確な用途がないにもかかわらず、 そこでの居方、 使い方を誰もが知っている。 このよう な空間を、 明確な用途を持った空間に付属させることで新たな交流センターができるのではないか。 また、 明確な空間同士がランドスケープのよ うに連続することで影響し合い、 新たなコミュニケーションが生まれるのではないか。
床の操作
コミュニケーションのきっかけを与える。
1つの家具でも、 高さが違うと使い方が変
レベル差により空間を仕切る。 見る一方、 見ら
一つの空間を緩やかに仕切る。 空間のシーク
わる。
れる一方の関係になる。
エンスを生む。
屋根の操作
壁 (ガラス) の操作
西
東 視線 雰囲気
西側 (大学通り) から見たとき、 屋根と床の操作により奥に居る人の足元だけが見え、 雰囲気
ガラスを凹ますことで、 人と人の結節点となる。 また、 建築とランドスケープの結
だけが伝わる。 また、 東から見たとき、 中庭の木がアイストップになり、 その視線はトップライトへ
節点でもある。
抜ける。
4 1
2 5
6 3 7
section
S=1:150
1 まちライブラリー
2 イベント・ギャラリースペース
3 パブリックスペース
4 文芸学部サテライトラボ
6 3 7
5 薬学部サテライトラボ
6 建築学部サテライトラボ
7 国際学部サテライトラボ
8 国際学部サテライトラボ
レベル差により仕切られた空間は連続し、 影響を与え合う。
レベル差を利用した家具。
東から見る。 視線は中庭でとまり、 トップライトへ抜ける。
斜めの屋根により様々な軒下が生まれる。
セットバックすることで既存の木が表出し広場となる。
活動、 視線、 気配は連続し外へあふれ出る。
トキとアート アートギャラリー 3回生 前期 設計演習
大阪城、 大阪ビジネスパーク。 都市の中の大きく、 長い、 時間軸をアートを通し取り除く。
対象敷地 大阪府大阪市中央区 敷地は大阪ビジネスパークの 西端に位置し、 寝屋川と第 二寝屋川の合流地点となっ ている。 東側には、 クリスタ ルタワーを筆頭に高層ビルが
寝屋川 敷地を南側から見る
敷地北側
建ち並んでいる。 南側には、 大阪城の外堀の木々が見え
対象敷地
る。 ビジネス街には珍しく、川、 木々といった自然を感じること ができる敷地である。 第二寝屋川 敷地先端部
敷地南側
大阪城東側には、 かつて大阪砲 兵工廠があり、 1945年大阪大空 襲によりこの地は焼け野原になった。 1960年代中頃まで不発弾撤去の ため更地のまま残っていた。 その 後、 高度経済成長に伴い再開発 され、 現在、 高層ビルが立ち並ぶ ビジネス街となった。 1930年の地図。 かつて、大阪砲兵工廠があった。
1963年の航空写真。 大阪大空襲により、 敷地
1985年の航空写真。 高度経済成長に伴い寝屋
対象敷地からの眺めは、 大阪城の東側に軍事施
周辺は空き地が目立つ。 この空襲により、 大阪
川の対岸には建物が建ち現在の景色になりつつあ
設があり、 物騒とした景色が広がっていたと想像で
城の一部も焼失した。 敷地からの眺めは、 何もな
る。 大阪城も修復が完了している。
きる。
くただ川が流れるだけの、 静かな景色があったと想 像できる。
現在 (2017年) の航空写真。
~明治後期
明治後期~1930年 1930年~1963年 1964年~1985年 1986年~現在
左ページの各年代の地図と航空写真から当時の風景 を現在の航空写真に落とし込み、 色分けする。 大阪 城、 造幣局、 寝屋川、 は明治後期から変わらず残っ ている。 これらの情報を敷地から撮影したパノラマ写真に落とし 込む。
色分けしたパノラマ写真から、 長い歴史からこの風景 が形成されているとわかる。 また、 特徴として、 左から 右へ年代別に分けた色が、 グラデーションのように並 ぶ。 この風景には、 長い時間軸が存在することが見 て取れる。
アート × 歴史
作家 行武治美 作品名 再構築 今回のアートギャラリーで展示するのは行武晴美氏の再構築と いう作品である。 この作品は小屋に小さな鏡を無数に貼り付け 風景を映し出すものである。 風が吹くと鏡は揺れ、 風景も揺れ る。 この作品を通してみる風景は、 非現実的なものになる。 建物と風景、 外部と内部、 光と影、 静と動これらのバランス が崩れるように感じる。 対象敷地である大阪ビジネスパークにこの作品を展示する。 普 段、 目にしている大阪城と高層ビルの風景は非現実的な風景 になる。 歴史という大きな時間軸が存在する大阪の風景は、 新たな風景に生まれ変わり、 今までの時間軸が揺らぎだすと 考える。
建築を設計するとき、もしくは、考えるとき、しばしば時間軸と空間軸の2つの軸に基づくことがある。 そこで、もし時間軸が無くなる、もしくは揺らいだ時、新たな空間体験ができるのではないかと考えた。 今回の設計において、大阪ビジネスパークの歴史を大きな時間軸として捉え、アートを通してこの大きな軸に変化を与える。 鏡に映る景色は細かく分かれ、揺れる。 実際にある風景は小さな絵の集合体として捉えられ、都市の中にある時間軸という考えが無くなるのではないだろうか。
空間構成
roof
wall 動線 風景 半地下空間に潜り込む行為が日常と非日常の境目を意識させる。 また、 建物上部には公園の機能を持たせる。 建物内に居る来館者には、 公園
floor
周辺の風景に合わせ 「コ」 の字型の平面形に
に居る人の足音、 話声、 気配だけが伝わる。 日常を音だけで意識するこ
する。 また、 一筆書きの動線を確保する。
とで、 対比するように非日常的空間を体感する。
パノラマ立面図 屋根を山折り谷折りを繰り返したような形にする。 谷のところで、 風景を分節する。 長い歴史を感じるこの風景を 「城」、 「川」、 「ビ ル」 の3つに分ける。 「城」 と 「ビル」 の大きな時間の間に 「川」 を挟むことで、 時間軸の流れを区切る。
歴史的な風景。 建物内に入ると木々と大阪城が鏡に映る。
ここに鏡は無い。 川に突き出した屋根の天井に川面が映る。
いつものまちの風景。 アパート、 ビルが映る。
1
3
2
A’
4
1
S=1:100
1 展示空間
2 広場
A 3 椅子
4 公園 plan
1 2
A-A’section
展示空間から広場を見る。 南側の展示空間には、 大阪城が映り込む。 また、 広 場には川の水面が映り、 内部に周辺環境を取り込む。
広場から展示空間を見る。 こちらの展示空間には大阪ビジネスパークのビルが並ぶ風 景が映り込む。 普段見ているものが小さな絵の集合体へ 姿を変える。
1
2
1 観光船から見る。 GL ラインに埋もれた外観は船からの眺めに馴染む。 2 多面体で構成された内部空間により、 非日常的な体感を得る。 3 建物入り口から展示空間を見る。 公園と内部空間の関係。 姿は見えないが、 音は通る。 日常と非日常の境界。
3
都市の中の大きな時間軸に変化をあたえ、 新たな都市を映し出す。
インフラに集う 集合住宅 3 回生 後期 ゼミナール演習 他大学合同設計案
人に寄り添う、 インフラストラクチャ。
煙突、 焼杉外壁、 ルーフスケープ、 土管通り。 様々な要素で構成されている、 常滑市。 この町特有の窯業が衰退し、 観光地化するにつれ 「煙突と人」 の風景が消えていった。 この計画は産業廃棄物である煙突と窯をコンバージョンし、 煙突に集い生活する集合住宅を提案する。
対象敷地 愛知県常滑市栄町
常滑市栄町は、 愛知県西部に位置し、 西側は伊勢湾に面している。 かつて窯業が盛んで、 高低差に富んだ地形は、 土を採掘したこと によりできたものである。 また、 陶器を焼くための煙突と窯が産業廃棄物として約30本取り残されている。 煙突と窯は、 煉瓦造りで地震対 策のためか、 高さのあるものは半分に減築しているところもある。 このような住民の意識の中でこの煙突を新たな可能性と捉え、 熱音響設 備を用い発電設備に用途転換する。
煙突と対になっている既存の窯をキッチン、 隣の倉庫を住戸にコンバージョンする。 この 窯を住人のための共有キッチンとし、 地元 市民も使える 「まちのキッチン」 とする。 ま ちと住人を繋ぐ。 かつて使われていた窯
隣接する倉庫
アーチ状の入口
放置された煙突
実用例
屋根伏せ図兼配置図 S=1:500
面による空間構成
セミパブリック リビング まちのキッチン
ダイニング 住戸
公共性 高
低
面を折ることで、 住戸とパブリック空間の間にバルコニーの機能を持ったセミパ 窯の補強鉄筋、 煙突、 躯体の垂直方向のコンテクストに対し
ブリックができる。 これらはグラデーションのように配置され、 住人各々がパブリッ
斜めの面を挿入することで既存の要素を際立たせる。
クとプライベートの距離を調節する。
面に機能を持たせることで、 人の動きの受け皿となり
面が風をパブリック空間へ受け流す。 また、 住戸空間で
仕切りつつも空間を動的に繋ぐ。
は程よく受け止め、 住戸全体を自然換気する。
面の機能
リビングとセミパブリックの繋がり。 ここでは、 住人同士がすれ違う。
ヒューマンスケールの開口。 面はよりどころになる。
セミパブリックからリビングへの、 のぞき窓。 視覚的に繋がる。
セミパブリックから住戸への階段。 面は動線の一部になる。
熱音響設備 熱音響設備とは、空気の温度差によって生まれる音エネルギーでモーターを回し発電できる設備である。現在、 自動車の排気ガスを有効活用しようと試みられている。また、この設備は特別な原動装置は必要とせず、 細かな調整で可動する。なので、経済的にも有効であると言える。今回、本計画では伊勢湾からの潮風と キッチンで発生する熱量の差で発電させる。
冷却部
温度差から音波を発生させる(熱→音)
リニア発電機 音エネルギーを電力に変換(音→電力)
加熱部
既存の窯と煙突を熱音響設備を利用し、キッチンとして用途転換する。
冷却部 (大気冷却) 煙突(高所、潮風強風)を利用での大気冷却。
窯
キッチン
電力回収
排気回収システム 窯から煙突まで伸びている煙道(9m)が地下に あり、そこに熱回収設備を設置。 熱回収設備 流れてくる熱を収縮し熱を集める設備。直列に繋ぐことで、 効率よく熱を回収することができる。
加熱部 (排気回収) 窯により効率よく蓄熱された熱を利用。
6 5
7 1 2
3
4
1st floor plan
plan
S=1:150
1 まちのキッチン
2 煙突(熱音響設備) tr
tr
3
3 リビング・ダイニング
3
4 住戸
9
5 トイレ 8 6 倉庫
7 テラス
8 寝室
9 ベランダ
2nd floor plan
3rd floor plan
section S=1:50
面は住戸へ潜り込む。 素材は瓦で、 常滑のルーフスケープの一部となる。
窯に人が集まる。
スロープからリビングを見る。
高低差により、 立体的なコミュニケーションが生じる。
トップライトからの光がセミパブリック空間に差し込む。
煙突に人が集まる。 風景としての煙突ではなく、 「煙突と人」 の常滑本来のあり方が蘇る。
煙突と窯は様々な用途に生まれ変わる。 また、 煙突から煙突へ移動する人々のにより面的な広がりになる。
煙突の持ち主はかつて、 窯業を生業としていた高齢者が多く、 地域との関わりも希薄になっている。 生活熱で発電する熱音響設備により、 どれだけ生活しているかが電力で可視化できるようになる。 もし、 あまり発電されていなかった場合、 ご近所さんが尋ねるなどして地域と関わるようになる。 煙突は新たな生活の目印になるだろう。
roof
wall
floor