Kesennuma Future Proofing Seminar Program

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気仙沼国際オープンセミナー2016「海と生きる 未来を創る@GENBA」 はじめに

グッダイ! 日本、東北、そして気仙沼の皆様、はじめまして! セミナー主催のマリールイーズ・ヨーナスです。 この度は、気仙沼国際オープンセミナー2016「海と生きる 未来を創る@GENBA」をご支援頂き、誠にありがとうござ います。 私は、2008年に東京大学にて博士課程を修了後、現在はオーストラリア王立メルボルン工科大学(RMIT大学) ランドス ケープアーキテクチャープログラム科にて教鞭を取っております。 東日本大震災以降は、数度に渡りメルボルンの大学 生を連れて東北、気仙沼を訪れる機会を頂き、地元の皆様の傍らで、実際の現場で行われている復興まち創りの取り組 みを学んでまいりました。 私は常々より、この東北の文化が、東北にしかない独特の魅力に溢れた、世界に誇れる文化であると感じてやみませ ん。この伝統ある文化を深く理解し、多様なチャレンジを呈する21世紀の世界の都市デザインに活かすことは、レジリ エント、すなわち、困難を克服し、力強く生き抜く力を備えた、より良い社会の形成に役立つことと信じております。 このセミナーは、海外に住む私共が、地元の皆様のお取り組みを学ばせて頂き、現場で実践されているまち創りのノウ ハウを国際社会に発信したいという思いから、オーストラリア政府外務貿易省機関豪日交流基金の推進する国際交流事 業「People to People 人と人」プロジェクトの一環として開催の運びとなりました。日本と海外の両方を拠点とする 講師陣の国際感覚豊かな知識と、東北、三陸で古来より培われてきた伝統と知識、震災復興実践者としての実際の経験 と、美しい自然と豊かな資源に恵まれ、遠洋航海の盛んな地域として育まれた現場の国際センスを共有する事で、より 創造性に富み、中身を伴った、新しい未来の創生に貢献できればと願いました。 気仙沼国際オープンセミナー2016は、まち創りや産業振興に携わる行政関連や企業、NPOなどの方々だけではな く、地域の一般市民の皆様全員にご参加をお願いしております。そして、年齢、性別、立場を超え、集まった皆さん全 員が意見を発し、聴き合い、未来創りの方法を探り合う機会にできることを願っております。 それでは、セミナー本会の1月29日(金)30日(土)、併設イベントの31日とも、ぜひ皆様にご参加頂き、オーストラ リア式の気楽で楽しい講演と会場の皆様とのアットホームな会話を愉しんで頂けますようお願い申し上げます。 皆様のご参加を、心よりお待ちしております。 オーストラリア政府外務貿易省豪日交流基金People to Peopleプロジェクト 気仙沼国際オープンセミナー2016「海と生きる 未来を創る@GENBA」 主催 マリールイーズ・ヨーナス 王立メルボルン工科大学(RMIT大学) https://afterlandscape.wordpress.com/ The Kesennuma - Living with the Sea Project is supported by the Australian Government through the Australia-Japan Foundation of the Department of Foreign Affairs and Trade.


世界中の人々を日本、東北、気仙沼に呼びたい。 ここが、世界に誇れる未来を創る 「GENBA (現場) 」だから。 「被災者」から「復興当事者」 そして「ゼロからのまち創り 実践者」へ。 新たな未来に向けて前進し続ける 「GENBA (現場) 」= 日本、東北、気仙沼の 今ここに確かに在る意義、価値、魅力を探る。 海と生きる未来を創るため 海外発の三つのキーワード 「持続可能性」「レジリエンス」「ソーシャル・イノベーション」を解き明かし 日本発のキーワード「GENBA (現場) 」を 気仙沼から世界に出航させる。

主催 マリールイーズ・ヨーナス メルボルンRMIT大学 共催 海と生きる未来を創る@GENBA 国際・全員・ネットワーク構想委員会 海、みらい!防災女性学習会 土方正夫 早稲田大学 廣瀬俊介 東京大学 クリスチャン・ディマー 東京大学 バーバラ・ハートリー タスマニア大学 中村明寛 タスマニア大学/明治大学 大塚博子 海、みらい!


気仙沼国際オープンセミナー2016 プログラム( 敬称略 )

@GENBA 海と生きる 未来を創るプログラム ( 敬称略 ) 気仙沼国際オープンセミナー2016 ◆ 第一日 平成 28 年 1 月 29 日(金) @GENBA 海と生きる 未来を創る <受付 9:30~>

10:00 開会

10:20 風土に学ぶ-自然を資本と ◆ 第一日 平成 28 年 1 月した持続可能な地域経営を考える/廣瀬俊介 29 日(金) <受付 9:30~> ●

● レジリエンスと環境政策とは?/ 中村明寛 10:00 開会

10:20 12:00

● ☆

風土に学ぶ-自然を資本と した持続可能な地域経営を考える/廣瀬俊介 こ こが知りたい!全員ディスカッシ ョン

レジリエンスと環境政策とは?/ 中村明寛 《「持続可能性」 「レジリエンス」と 「GENBA」の未来》

12:00 ここが知りたい !全員ディ スカッシ ョン 12:30 [☆まとめ ] 海と生きる 未来を創る @GENBA

《「持続可能性」 「レジリエンス」と「GENBA」の未来》 オース トラリア政府・豪日交流基金国際交流プロジェ クト

12:30 「People [ まとめ ] to 海と生きる 未来を創る @GENBA People」人と人/マリールイーズ・ヨーナス ●

オース トラリア政府・豪日交流基金国際交流プロジェ クト 磯場の女性たちとオプティ ミズム ( 楽観思考 ) /大塚博子

● 人と人 「People to物語学から探る女性達の声のつながり People」人と人/マリールイーズ・ヨーナス バーバラ・ハートリー

16:00

● ☆

磯場の女性たちとオプティ ミズムョン ( 楽観思考 ) /大塚博子 こ こが知りたい!全員ディスカッシ

人と人 - 物語学から探る女性達の声のつながり バーバラ・ハートリー 《全員参加の「レジリエンス」と GENBA の未来》

16:00 ここが知りたい !全員ディ スカッシ ョン 」の意義、価値、魅力 16:30 [☆まとめ ] 海と生きる 未来を創る 「GENBA

《全員参加の「レジリエンス」と GENBA の未来》 17:00 閉会 16:30 懇親会 [ まとめ ] 海と生きる 未来を創る「GENBA 」の意義、価値、魅力 19:00 17:00 閉会 19:00 懇親会

マリールイーズ・ヨーナス (オーストラリア RMIT 大学)

廣瀬俊介 (東京大学)

バーバラ・ハートリー (タスマニア大学アジア研究所)

クリスチャン・ディマー (東京大学)


◆ 第二日 平成 28 年 1 月 30 日(土) 9:10 受付 ※現場視察ツアー参加確認 9:30 開会 第一日報告 9:40

12:20

階上街づくり - コミュニケーション基盤の確立とサステイナブルデザイン/土方正夫

ドイツ地域循環型オフグリッド村から視えるソーシャル・イノベーション / クリスチャン・ディマー 地域発信型の新しいビジネスの形とは ? /中村明寛(タスマニアジャパンセンター貿易コンサルタント)

☆ ここが知りたい!全員ディスカッション

《まちづくりと「ソーシャル・イノベーション」とは?》 12:45 [ まとめ ] 海と生きる 未来を創る @GENBA 国際・全員・ネットワーク構想 13:00 セミナー閉会 全体写真撮影 13:40 現場視察ツアーバス集合 13:45 まちづくり現場視察バスツアー (※要予約 / 定員 28 名 ) 気仙沼市内湾 --> 片浜 --> 階上地区(案内 KRA / 三浦清和) 16:30 視察バス会場併設駐車場到着 ( 天候等により遅れる可能性有り )

◆ ≪併設イベント≫ 平成 28 年 1 月 31(日) 13:00 前浜地区まちづくり現場視察徒歩ツアー(案内 NPO 浜わらす / 畠山友美子) 14:00 「海から見える日本 ( と前浜 ) だっつぞ」いっとぎ懇談会 15:30 「海と生きる 未来を創る @GENBA」国際・全員・ネットワーク構想会議


パネリストプロフィール ドイツ、日本、オーストラリアを拠点に活躍するランドスケープアーキテクト・都市学研究者。王立 メルボルン工科大学(RMIT) デザインプログラム過程ランドスケープアーキテクチャー学科プログラム マネージャー。人口密集都市環境におけるインフォーマルな空間の実例とその伝統を究明する論文で 東京大学より博士号取得。都市研究と東日本大震災後の東北の復興街づくり支援プロジェクを通し東 京大学客員研究者を務める。2013年豪日交流基金助成によるリサーチシンポジウムを気仙沼にて主 催。研究の焦点は実質性と即時性概念との係合にあり、授業では、現場での実験課題や、現場介入、 景観デザインをその背景に描く為の場所作りに重点を置く。 2014年出版のハイケ・ラーマン博士との共著’ Tokyo Void Possibilities’ は、継続的な大都市東京 の空きスペースのリサーチを反映し、その焦点は東京からアジア諸国の大都市、ヨーロッパ、アメリ カ、オーストラリアへも拡大し、雑誌書籍掲載の諸著に反映されている。また、もう一方の研究焦点 はランドスケープデザインの研究実践の探求にある。 マリールイーズ・ヨーナス https://afterlandscape.wordpress.com/ http://www.tokyovoid.com

メルボルンRMIT大学

早稻田大学理工学部でORとシステム工学を学び現早稲田大学社会科学部教授。専門は社会情報学。地 域計画のための情報システム開発の研究 に従事する。4年前より気仙沼市階上地区まちづくり協議会 のアドバイザーと して住民の手による階上地区復興計画づくりの支援に参画している。 講演の要旨 今や住民の手による”まちづくり”は日本のみならず戦後世界中 で進められているが、現在まちづく りと行政が進める都市計画を繋ぐコミュニ ケーションシステムのデザインが一つの大きな課題となっ ている。ここでは階上まちづくりの実例を紹介し、今後のまちづくりの課題について参加される皆さ んと共に考えるヒントを提供出来ればと考えている。

土方正夫 早稲田大学

大塚博子 海、みらい!

海、みらい!代表、国際学術交流推進サポート’ThinkAcross’ (シンク アクロス = 考え渉す) 代表、 バイリンガルソーシャルメディアページ「Think Seawall 防潮堤を考える」代表、ソーシャルアドボケ イト、日本語教師。 気仙沼市に漁師の娘として生まれる。東日本大震災遺族。宮城県鼎ケ浦高等学校(現気仙沼高等学校) 卒業後(株)ビズカンパニー勤務時最優秀業績賞を受賞し19歳で初の単身海外旅行(フランス)を経験。( 株)リクルート長期準職員などを経てニューヨーク州立大学語学留学。1990年ワーキングホリデー ビザにて渡豪後、タスマニア州ホバート市在住の間、結婚、離婚、働くシングルマザー、社会人大学 生として人生経験を深める。1999年タスマニア州成人修学者WEEK最優秀賞受賞、2000年成人修学 者WEEKロンドン世界大会にオーストラリア代表として出席。2002年タスマニア大学文学部卒(中国 語・インドネシア語専攻)、2004年チャールズ・スチュート大学教育学ディプロマ取得。1992年よ りタスマニア大学日本語非常勤講師(2011年震災をきっかけに退職)、2002年よりホバート市マウン トカーメルカレッジにて日本語教員を務める傍ら、2011年以降日本とオーストラリアを往復しながら ThinkSeawall防潮堤を考える、海、みらい!防災女性学習会、ThinkAcross 国際学術交流サポート)等 を通じ、子供たちの命と幸せな生活を守る未来創生を目標に幅広く活動する。2014年日独協会国際復 興シンポジウム、2015年国連防災会議併設セミナーVoices of Women from Disaster Area などで講 演。タスマニア日豪協会元役員/秘書(2003年-2011年)、現ホバート焼津姉妹都市委員会委員(2002 年より) 講演要旨 本講演では、漁師の娘として現場で生まれ育った経験とオーストラリア・タスマニアと三陸という、 共に世界に誇れる豊かな自然環境で培った自身の体験を基に、「普通の女性」が、如何にして海と生 き、新しく活力ある未来創りに挑めるかを、近年、世界のリーダー達が注目するオプティミズム(楽観 思考)の紹介と全員参加の社会形成というテーマから探る。三陸の人々が古来から持つと言われる、 情に厚く、あっけらかんで、勇気に満ちた生活観と、伝統や地域の繋がり、中でも、「磯場」を暮ら しの源として命を育む生き方の現代社会における価値と意義を再確認し、震災を生き抜き、大漁を寿 ぎ、海の神様に畏敬と感謝の念を捧げながら築く未来の大切さを、現場からの参加者と共に考察す る。


東京大学都市デザイン研究室助教。 都市と環境デザイナー、都市研究者。そして東日本大震災で被害 を受けた地域における、レジリエンスをもち適応可能なコミュニティ復興のための革新的なアイディ アを交換するための災害対応型慈善組織「Architecture For Humanity」東京支部と「東北プランニ ングフォーラム」の立ち上げ人でもある。現在、持続可能なアーバニズム、公共空間の理論、グロー バル・アーバニズムとプランニング理論について早稲田大学国際教養学部と上智大学で教鞭をとって いる。

クリスチャン・ディマー 東京大学

講演要旨 近年世界では脱成長、定常型社会、国民総幸福量等の概念が注目されている。消費に重点を置いた経 済成長が幸せな生活を生むという考え方から、この成長志向こそが資源枯渇、気候変動、社会的緊張 の増大などを齎したのではという考え方だ。本セミナーでは、この文脈を考察しながら、空間、時 間、資源の共有化と持続可能で満足度の高いライフスタイルを実現すること、その為には、経済・環 境・社会の分野を越えたトランジション(変遷)と自律的に思考し行動する市民の存在こそが重要な 鍵であるという命題を掲げる。ドイツ、レッテンバッハ村(太陽の村)の世界一の晴れ男、フィッシャ ー村長が「自分たちのことは自分たちでやる」哲学で、過疎に喘ぐ小村で人口のV字回復を成し遂 げ、*花咲か爺さんと呼ばれる事になった所以などを紹介しながら、未来のまち創りの普遍的なメッセ ージを探る。* http://kinoeki.org//uploads/pdf/neba-letten.pdf

1967年千葉県市川市生まれ。環境デザイナー (ASLA: 米国ランドスケイプアーキテクト協会国際会 員)、専門地域調査士 (認定機関: 日本地理学会)。 風土形成事務所主宰、2014年4月より東京大学空間 情報科学研究センター協力研究員。日本地理学会会員、東北地理学会会員、日本景観生態学会会員。2 014年3月まで東北芸術工科大学大学院准教授。主著『風景資本論』朗文堂、2011年。 生物と生態 系、人間の創造行為、人間が成す社会へのそれぞれの興味が結びついていったことをきっかけに、人 間が生きる環境の形成のあり方を根源的かつ総合的に探究する手段としてデザインを選び、1989年以 来、公園や街路などの設計から都市計画マスタープラン作成までを、持続的な土地・資源利用ならび に風土の継承・進展の一環として行うべく、研究と実践を続けている。 私生活では、ローリングスト ーンズが生み出すようなアメリカ黒人音楽に影響を受けたロックを愛好し、ギターとハーモニカを演 奏する。ロックを自らの哲学、行動規範にほぼ等しいものと位置づけてもいる。

廣瀬俊介 東京大学

講演要旨 講演は、地域の自然に人々がはたらきかけながらかたちづくられる風土に着目して行う。「風土」 は、そのように自然と人間の関係の歴史から成り立つため、風土に学ぶことを通して地域における自 然と人間の持続する関係の持ち方をあらためて知ることができる。また、講演の基礎には、「自然を 資本」ととらえる経済学理論をおく。

オーストラリア、タスマニア大学大学院にて、2007年に環境学修士号(理学)、2011年に公共 政治学博士号(PhD)を取得。専門は、主に環境法政策、ガバナンス論、災害法・管理学、レジリエン ス。オーストラリアを拠点とし、明治大学研究助手/調査支援研究員、財団法人地球環境戦略研究機 関リサーチアシスタント、環境エネルギー政策研究所客員研究員を経て、オーストラリアタスマニア 大学人文学部社会科学研究科 Kate Crowley博士の主催する環境政治・政策研究室のメンバーとして、 客員研究員/リサーチアシスタント/臨時講師を務める。同研究科所属。同時に、明治大学法科大学 院環境法センター客員研究員として現在も活動する。タスマニア州豪日協会役員、現地企業と日本大 手商社間の貿易コンサルタント/専属通訳・翻訳(主に農水産業)にも携わる。タスマニアジャパンセ ンター代表。 講演要旨 人間社会を動かし、ビジョンやマネージメントをする上で、政策は欠かせない存在である。近年、災 害マネージメントを含む 環境政策を考える上で、「レジリエンス」という言葉が広範囲に、そして頻 中村明寛 繁に使われている。しかしながら、その定義は依然として明確ではない。 講演では、地球温暖化 や自 タスマニア大学/明治大学 然災害の影響で山火事、洪水、地震などを含む様々な 災害が後を絶たず人間社会を脅かす今日、レジ リエンスという言葉がいったい何を意味し、また環境政策がなぜ重要で、そこにはレジリエンスがど のような役割をもつのかに着目する。

オーストラリア・クイーンズランド州出身。クイーンズランド大学人文学部博士課程修了(Ph.D)。 論題は『日本の二十世紀の文学における母性像』。現在、タスマニア大学人文学部人文学科教授、ア ジア言語研究科長(日本語日本文化専攻)。近現代日本の文学や美術作品に描かれるジェンダー、 身体、ナショナリズムを主な研究分野とし、現在は武田泰淳の文学における「大陸像」について執筆 中。 講演要旨 講演は、災害復興プロセスによる個々人のナラティブ(意見や経験談)の価値に注目して行う。 オー ストラリアで起きた山火事を事例とし、どのようにコミュニティによる経験談が被害者らの喪失感へ の自己解放に繋がり、また将来に向けた個々人やコミュニティの持続可能なビジョンを構築するのか 考察する。この研究では、特に経験談を話す過程による女性の役割に重点を置き、また女性たちのナ ラティブがどのように コミュニテリィリーダシップに繋がるかに着目する。

バーバラ・ハートリー タスマニア大学



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