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11 スタジオコースの作品から 2009 | Selected Students' Works from Studio Course 2009

Contents

スタジオ作品 Studio Works

3

スタジオコースの作品から 2009

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スタジオコースの作品から 2010

インタビュー Interview

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平野啓一郎 Keiichiro HIRANO

小説と建築を語る Between Novel and Architecture 学 部 の4回 生 は 毎 年 「 ス タジ オ コ ー ス 」と

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森田一弥 Kazuya MORITA

ローカルな場所から建築を考える Thinking from the “Local”

呼 ば れ る 設 計 演 習 課 題 に 取り組 む ことに なる。 そ れ ぞ れ の 担 当 教 官 が 独自の テ ー マ を 設

論文

Essay

定 し 、 学 生 は そ の テ ー マ に 応 じ て 、自ら の

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布野修司 Shuji FUNO

オンドルとマル、そして日式住宅 Ondor, Mal & Nisshiki Jutaku(Japanese Style House): Transformation of Korean Traditional House

望 む コ ー ス を 所 属 す る 研 究 室 に 関 係 なく

TAKEYAMA STUDIO

自由 に 選 択 す ると い った 、い わ ば 卒 業 設

J u n p e i U TA S H I R O A k i r a S O D E YA M A

計 の 前 哨 戦 だ 。 そ の 様 々な 作 品 の 中 から 、

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伊勢史郎 Shiro ISE

83

石田泰一郎 Taiichiro ISHIDA

自己ミーム Self MEME hypothesis as neurological basis of primordial identity

照明新時代と光の色 Color of light in a new era of lighting

M a s a s h i N I S H I K AWA

2 0 0 9 年 度 は3コ ー ス7名 、2010年 度 は

M o e YA S U K U R A

3コ ー ス4名 の 作 品 をここに 紹 介 す る 。

I n t he 4t h g rade, u nderg raduate st udents t a ke

TAKAMATSU STUDIO S h i n y a K I N O S H I TA

t he desig n class called 'st udio cou rse'.

Shohei TSUCHIDA

E a ch p r of e sso r se t s u p h is o r ig i n a l s u b je c t ,

プロジェクト

a nd st udents select f reely rega rd ness of t hei r

Project

86

竹山聖+竹山研究室 Kiyoshi Sey TAKEYAMA & TAKEYAMA Laboratory

ユートピア / ランドスケープ UTOPIA / LANDSCAPE

laborator y. T hese st ud ios, so called, a re 't he preli m i na r y sk i r mish' of diploma projects.

MON-NAI STUDIO D a i k i O H TA K E

We will i nt roduce 7 works of last yea r a nd 4

108

120

2

高濱史子 Fumiko TAKAHAMA

見るちから、伝えるちから To have an Eye, to have a Mouth

works of t his yea r a mong t he va r ious cou rses.

写真家イワン・バーン × 高濱史子 Conversation with Iwan Baan

スタジオコースの作品から | from Studio Course

3


4

歌代純平 | 竹山スタジオ

Junpei UTASHIRO | TAKEYAMA Studio

5


-6000mm -4000mm

-10000mm

2

-8000mm

2

2

2 2

2

2

3 5

A

A’

-3500mm

3 2

1

2 -5000mm

2

2 2

4

6

-7000mm -9000mm

B

6

袖山暁 | 竹山スタジオ

B’

Akira SODEYAMA | TAKEYAMA Studio

7


8

西川昌志 | 竹山スタジオ

Masashi NISHIKAWA | TAKEYAMA Studio

9


10

安倉萌 | 竹山スタジオ

Moe YASUKURA | TAKEYAMA Studio

11


12

木下慎也 | 高松スタジオ

Shinya KINOSHITA | TAKAMATSU Studio

13


14

土田昌平 | 高松スタジオ

Syohei TSUCHIDA | TAKAMATSU Studio

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大竹大輝 | 門内スタジオ

Daiki OHTAKE | MON-NTAI Studio

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TAKEYAMA STUDIO 京都のしかるべき敷地を選び、リズムやハーモニーといった音楽的概念の建築翻訳案 を通して、豊かな建築空間を構成すること。 音楽、それは不連続な音形の連続にすぎない。この不連続な音形の時間的な変容を人 は楽しむ。刹那ごと、異なる波形で戯れる音たち。その流れを読み、まとまりを読み、 繰り返しを読み、破調を楽しむ。分断された空気の震えを、人は記憶の中で編み上げ ていくのだ。 移動する人の出会う空間たち。驚きの経験もまた、そのようにして編み上げられてい る。不連続な断面の連続が、体験される時間の中で形をなしてゆく。たとえば不連続 な断面は音の広がり。たとえば断面の連続は音の流れ。たとえば亀裂から漏れ来る光 はシンバルの一撃。たとえばそよぎわたる風は弦のトレモロ。空間を音楽のように味 わう。移行する空間の体験。 人は移行する。過去と未来を往還しながら。空間に刻み込まれた出来事の記憶に、人 は耳をそばだたせる。人はそこに都を開いた人々の営みを聴き、はるかな山々からも たらされた水の旅の物語を聴く。都市の未来のにぎわいを聴く。物語にそっと耳傾け

スタジオコースの作品から 2010 | Selected Students' Works from Studio Course 2010

る都市の余白。メタフォアとしての水の回廊。 空間は形と色と大きさを持っている。そこを光と音と香りが訪れる。空間に形と色と 大きさを与えよう。そこに光と音と香りが木霊するよに。光と音と香りは水とともに もたらされるだろう。水のきらめき、ゆらぎ、さざめき、つぶやき。光る風、波の音、 満ちてくる潮、そして香り。 形と色と大きさの譜面=スコアが、光と音と香りの音楽を奏でてくれる。水は瞑想の 媒介者=メディエーターだ。生命を宿した水。文物をもたらした水。自然を潤す水。 水の惑星の奇跡。 水辺は人を詩人にする。都市の余白に生まれるポエジー。どこにも属さない時間と空 間。無為の時間の空間化。 人はそこでそっと、耳を澄ませる。

TAKAMATSU STUDIO そこにいるだけで、人を歌声で包むような建築 ただただ人を祝福するような建築 その美を愛でつつも、いつのまにかその存在が人を愛でるような建築 そんな建築があるように、おそらく、語りかけるような建築がある。 それが何を語るかは、人がその建築になにを語りかけるかということと決して無関係 でないにしても、ここでは、一人の設計者として、大いに想像力の翼を広げ、以下の 如き建築を構想せよ。 まるで独白するような建築 まるでつぶやくような建築

TAKAMATSU STUDIO Mizuki INARI

まるでささやくような建築 まるで告げるような建築 まるで表明するような建築 まるで宣言するような建築 まるで沈黙をかたるような建築 ・ ・ ・

MON-NAI STUDIO H i r o k i K ATO M a n a m i F U J I WA R A

MON-NAI STUDIO 21 世紀を迎えて、大量生産・大量消費を基調としたデザインが行き詰まり、環境や 社会の制約条件などを考慮して、幅広い要求を質的に満足するデザインへの転換が求 められている。そこでは、デザインを「人間と環境との関係に変化をもたらす」営み として理解し、個々の人工物のデザインにとどまらず、人工物相互の関係や人工物と 環境・人間との関係に配慮することにより、豊かな環境・社会システムをデザインす

TAJI STUDIO

ることが求められている。

Haruka NAGASE

都市の中の建築は、他の人工物や人間・環境とのネットワークを形成する結節点とし て存在する。このスタジオでは、「都市と建築」のダイナミックな関係に焦点を結び、 京都という都市をフィールドとして、ミクロな建築レベルの環境のデザインを通し て、マクロな都市レベルの環境をデザインする可能性を探求する。具体的には、歴史 都市・京都の都市空間に「魅力的な場所と風景を創発する新しいタイプの建築(の集 合)」を提案する。

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スタジオコースの作品から | from Studio Course

スタジオコースの作品から | from Studio Course

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稲荷瑞季 | 高松スタジオ

Mizuki INARI | TAKAMATSU Studio

21


22

加藤大騎 | 門内スタジオ

Hiroki KATO | MON-NAI Studio

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東 洞 院 通 り

ライブラリー

キッチン

キッチン

セミナー室 キッチン

21

食堂

22 ライブラリー 23

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藤原真名美 | 門内スタジオ

Manami FUJIWARA | MON-NAI Studio

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a’

26

長瀬遥香 | 田路スタジオ

b’

Haruka NAGASE | TAJI Studio

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TAKAMATSU STUDIO そこにいるだけで、人を歌声で包むような建築 ただただ人を祝福するような建築 その美を愛でつつも、いつのまにかその存在が人を愛でるような建築 そんな建築があるように、おそらく、語りかけるような建築がある。 それが何を語るかは、人がその建築になにを語りかけるかということと決して無関係 でないにしても、ここでは、一人の設計者として、大いに想像力の翼を広げ、以下の 如き建築を構想せよ。

Interview

まるで独白するような建築 まるでつぶやくような建築 まるでささやくような建築 まるで告げるような建築 まるで表明するような建築 まるで宣言するような建築 まるで沈黙をかたるような建築 ・ ・ ・

MON-NAI STUDIO 21 世紀を迎えて、大量生産・大量消費を基調としたデザインが行き詰まり、環境や 社会の制約条件などを考慮して、幅広い要求を質的に満足するデザインへの転換が求 められている。そこでは、デザインを「人間と環境との関係に変化をもたらす」営み として理解し、個々の人工物のデザインにとどまらず、人工物相互の関係や人工物と 環境・人間との関係に配慮することにより、豊かな環境・社会システムをデザインす ることが求められている。 都市の中の建築は、他の人工物や人間・環境とのネットワークを形成する結節点とし て存在する。このスタジオでは、「都市と建築」のダイナミックな関係に焦点を結び、 京都という都市をフィールドとして、ミクロな建築レベルの環境のデザインを通し て、マクロな都市レベルの環境をデザインする可能性を探求する。具体的には、歴史 都市・京都の都市空間に「魅力的な場所と風景を創発する新しいタイプの建築(の集 合)」を提案する。

TAJI STUDIO フォームとデザイン フォームとは人間の行為や活動のために切り開かれた空間や場所の本質であり、デザ インとはそうした空間や場所に雰囲気や表情をもたらすものである。こうした観点か ら優れた建築作品を考察し、そのうえで現代に応答する建築のフォームとデザインを 構想する。

Phase1:作品分析 ビルディングタイプを決め、その優れた事例を5つ選択する。 5作品のうち、一つは現代建築、一つは古典建築とする。 選んだ作品について、フォームとデザインを分析する。

Phase2:設計 各自敷地を定めて、設計をおこなう。Phase1 の分析成果を活かし、 フォームとデザインを考える。

平野啓一郎 小説と建築を語る

Keiichiro HIRANO Between Novel and Architecture

森田一弥 ローカルな場所から建築を考える

K a z u y a M O R I TA Thinking from the “Local” 28

スタジオコースの作品から | from Studio Course

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