SmartSkin

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SmartSkin: 耇数の手の䜍眮ず圢状を認識するセンサヌずその応甚 暊本玔䞀 株匏䌚瀟゜ニヌコンピュヌタサむ゚ンス研究所 むンタラクションラボラトリヌ

141-0022 東京郜品川区東五反田 3-14-13 Phone: +81-3-5448-4380, Fax: +81-3-5448-4273 rekimoto@acm.org http://www.csl.sony.co.jp/person/rekimoto/ 芁旚 実䞖界におけるテヌブルや壁面などの䞊での耇数の手による操䜜を認識するための センサヌ技術、SmartSkin に぀いお報告する。網状の電極を面䞊に敷蚭し、網亀点ず 人䜓ずの距離を静電容量倉化によっお蚈枬する。各亀点からの倀を時分割蚈枬する こずで、耇数の手の䜍眮センサヌ面䞊での次元䜍眮ず、センサヌ面からの距離 を同時に刀定するこずが可胜になる。埗られた倀を内挿するこずにより電極の間隔 よりも粟床の高い䜍眮蚈枬が可胜である。埓来のテヌブル型システムず異なり、倖郚 にカメラなどを蚭眮する必芁や倖乱光の圱響がない。本論文では蚈枬の原理ず、こ の原理に基づいお開発したプロトタむプシステムず察話技法に぀いお説明する。

SmartSkin: An Infrastructure for Freehand Manipulations on Interactive Surfaces Jun Rekimoto Interaction Laboratory Sony Computer Science Laboratories, Inc. 3-14-13 Higashigotanda, Shinagawa-ku Tokyo 1410022 Japan Phone: +81-3-5448-4380, Fax: +81-3-5448-4273 rekimoto@acm.org http://www.csl.sony.co.jp/person/rekimoto/ Abstract This paper introduces a new sensor architecture for making interactive surfaces that are sensitive to human hand and finger gestures. This sensor recognizes multiple hand positions and their shapes as well as calculates the distances between the hands and the surface by using capacitive sensing and a mesh-shaped antenna. In contrast to camera-based gesture recognition systems, all sensing elements can be integrated within the surface, and this method does not suffer from lighting and occlusion problems. This paper describes the sensor architecture, as well as two working prototype systems: a table-size system and a tablet-size system. It also describes several interaction techniques that would be difficult to perform without using this architecture.

–1–


1

はじめに 実䞖界でのテヌブルや壁などの「面」を、むンタ

ラクティブな装眮ずしお䜿うシステムが倚く提案 されおいる [14, 10, 12, 8]。これらのシステムは単 䜓で、あるいは PDA などの携垯機噚ず䜵甚しお甚 いられ、ナヌザの珟実䞖界でのタスクを補助する ためのツヌルずしお、あるいは耇数のナヌザ間の 共同䜜業支揎装眮ずしお䜿われる。たずえばテヌ ブル型ディスプレむに蚭蚈図面を衚瀺しおグルヌ プメンバヌでの議論を支揎したりするなどの利甚 䟋がある。これらのシステムでは、手や指による

図 1: SmartSkin センサヌに基づく察話型テヌブ

ゞェスチャヌ操䜜が利甚される堎合が倚い。埓来

ルシステムの䟋

の研究事䟋では、テヌブル䞊 (あるいは倩井) に蚭 眮されたカメラを利甚しおコンピュヌタビゞョン によっお指の䜍眮を怜出する方匏が倚く甚いられ

容量タッチセンサヌをずり぀けた入力装眮を提案

おきた ([14, 8])。しかし、この方法には、倖界の

しおいる [6]。たずえばマりスを手で぀かむず、画

光や照明条件などの圱響を受けやすい、オクルヌ

面䞊にツヌルパレットが自動的に衚瀺されるよう

ゞョン䜓や頭によっお手の映像が隠れるなど

なむンタフェヌスが可胜になる。

の問題がある。たた、垂盎方向の移動の怜出た

Zimerrman らは electric field sensing ず称しお静

ずえば手がテヌブルに觊れおいるか、離れおいる

電容量蚈枬をナヌザ・むンタフェヌスに適甚した

かの刀定が困難である。

システムを開発しおいる [16]。たた、蚈枬甚の亀

本論文では、カメラに換わる方法ずしお、テヌ

流信号にデヌタを重畳するこずで、人䜓を介しお

ブル等の面に敷蚭された網状の電極ず人䜓ずの静

デヌタ転送を行う PAN (personal area network) を

電容量倉化を怜出し、面䞊に眮かれた耇数の手の

提案しおいる [15]。これらのシステムでは、分離

䜍眮を同時に蚈枬できるセンシング方匏を提案す

した送信電極ず受信電極を甚いおいる。たずえば

る。センシングの原理、実際に詊䜜した皮類の

怅子型の装眮の座面に信号を印加した堎合、それ

プロトタむプの構成・性胜に぀いお述べ、プロト

に座った人間に信号が䌝送され、怅子の前に眮か

タむプ䞊で実珟した皮々の察話技法に぀いお説明

れたポヌル受信電極ず手ずの距離が入力情報

する。最埌に、このセンサヌ原理の他の応甚可胜

ずしお認識される。

性に぀いお議論する。

これらのシステムず比范しお、SmartSkin の電 極構造は送信ず受信電極が組み合わさった構成を

2

ずっおおり、システム倖郚に独立した電極を蚭眮

関連研究

する必芁がなく、倉移を怜出する範囲は亀点付近

静電容量蚈枬のぞの応甚:

に限定できるなど、蚈枬の範囲を制埡できるこず

人䜓ず機噚間の静電容量の倉移を利甚しお機噚を

が特城である。たた、耇数の亀点を栌子状に配眮

制埡しようずいう詊みの䟋ずしお、叀くは䞖

し時分割蚈枬するこずで、埓来よりも粟床の高い

玀初頭に発明された、電子楜噚の䞀皮であるテル

䜍眮蚈枬が可胜になり、たたその粟床は電極の間

ミン (Theremin) がある。テルミンは二぀のアンテ

隔によっお必芁に応じお調敎するこずができる。

ナを備えおおり、挔奏者が右手ず巊手を動かしお、

画像凊理に基づくゞェスチャヌ認識

それぞれのアンテナずの距離を倉化させるこずで

カメラによるゞェスチャヌ認識の研究事䟋は数倚

音皋ず音量を制埡する。テルミンでは単䞀電極に

くあるが、家庭やオフィスなど、照明条件を制埡

よる蚈枬を行っおいるので、アンテナ党䜓ず人䜓

できないような環境䞋で、手の䜍眮や圢状を安定

党䜓ずの間の静電容量倉化が入力に寄䞎するので

的に認識する技術が確立しおいるずは蚀い難い。

制埡挔奏には熟緎を芁する。

EnhancedDesk [8] では、遠赀倖線を撮圱できるカ メラを甚いお人䜓ず机面の枩床差によっお手を認

Hinkely らは、マりスやトラックボヌルに静電 –2–


3

To host PC

wave signal

センサヌ構成ず動䜜原理

reference signal Analog-Digital converter

蚈枬原理 図 2 に SmartSkin の蚈枬原理を瀺す。このセンサヌ

receiver

は、栌子状に配眮された送受信の電極実際には

receiver receiver

りレタン被芆銅線ず信号凊理回路から構成され

receiver

おいる。瞊方向の電線は送信電極で、暪方向の電線

receiver

は受信電極になる。送信電極のどれか䞀本に 100-

receiver

500KHz 皋床の亀流信号を印加するず、各亀点の 静電容量に応じお暪方向の電線にも信号が䌝達さ れる。受信する信号の匷床は、送受信電極の亀点

reference signal signal amp from electrode

analog switch

の静電容量に比䟋する。ここで、この亀点に接地 low-pass filter

amp

した導電物䜓たずえば人䜓が接近するず、送 to ADC

受信電極それぞれが物䜓ず静電結合するため、信 号の䞀郚が物䜓に流入する。その結果、受信電極 で受信された信号が匱くなる。この倉化を蚈枬す るこずによっお、物䜓ずの距離を枬定するこずが できる。人䜓は電極ず比范しお十分に倧きな物䜓

図 2: SmartSkin センサヌの構成ず蚈枬原理

なので、明瀺的に接地しおいなくおも同じ効果を 埗るこずができる。 識しおいる。HoloWall [10] やモヌションプロセッ

次に、送受信電極が耇数あった堎合を考える。

サ [11] はカメラ偎から近赀倖線を照射し、その反

時分割で順々に送信電極に信号を印加し、耇数の

射光によっお近接物䜓を認識しおいる。

受信電極からの信号匷床を独立に蚈枬するこずで、

これらの方匏ず比范しお、SmartSkin の方法は、

耇数の送受信電極のそれぞれの亀点に物䜓が近接

察話面付近の手圢状のみを遞択的に認識できる、

しおいるかどうかを蚈枬するこずができる。この

背景・照明条件・オクルヌゞョン等の圱響を受け

倀を統合するず、たずえば電極が栌子状に配眮さ

ない、倖郚にカメラや赀倖線照明などの装眮を蚭

れおいる堎合は、次元平面䞊の栌子点ず物䜓ず

眮する必芁がない、などの利点がある。

の距離を蚈枬するこずができる。これは、むメヌ

䞡手むンタフェヌス

ゞセンサが映像を茝床倀の次元配列ピクセル

䞡手耇数のポむンティングデバむスを甚いた

ずしお埗るのず類䌌しおいる。テヌブル䞊に栌子

むンタフェヌスの研究事䟋ずしおは [4, 1, 5, 13] が

状の送受信電極を敷蚭すれば、テヌブル䞊の手の

挙げられる。たずえば ToolGlasses [1] では、巊手

䜍眮ず圢を次元画像ずしお取り出すこずができ

でツヌルパレットの䜍眮を、右手のポむンティン

る。各点の倀ピクセルであれば「茝床」は、セ

グデバむスでツヌルを遞択する、click-through ず

ンサヌ栌子点ず物䜓ずの距離に盞圓する。

呌ぶ察話技法を提案しおいる。埌述するように、

ノむズ陀去

SmartSkin センサヌを甚いお同様な䞡手むンタフ ェヌスを構築するこずも可胜である。

受信信号の匷床倉化は、オペアンプ等で入力信号

このような䞡手むンタフェヌスず比范しお、耇数

を取り陀けば、電圧の倉化ずしお取り出すこずが

の「指」を利甚した提案の䟋は少ない。DualTouch

できる。ただし、この方匏では、電極の長さが増

DualTouch [9] は抵抗皮膜型タッチパネルの特性を 応甚しお、最初の指を固定した状態で二番目の指 がパネルにタッチするずきに限定した察話技法を 提案しおいる。SmartSkin では耇数の指の䜍眮を同 時に蚈枬するこずができ、その䜍眮関係やタッチ 点の数に制玄がないのでより自然なむンタフェヌ スを構成するこずができる。

すに぀れお、倖界からのノむズによっお蚈枬する

増幅した埌ロヌパスフィルタヌによっお亀流成分

倀が圱響されおしたう。これを陀去するために、 以䞋の二぀の凊理を行う。 最初の凊理は、蚈枬などの分野で埮匱な信号を 枬定するために利甚されおいる「ロックむンアン プ」ずいう方法である。これは、枬定察象が発信 する信号ず同じ呚波数・䜍盞によっお受信信号を

–3–


a potential field created by bicubic interpolation

sensor values

peak position

図 4: テヌブル衚面に敷蚭された電線。䜿甚時に は衚面をベニダ合板でカバヌする。癜い矩圢は電 図 3: センサヌ倀から圢成されるポテンシャル面。

線を合板の重量から保護するためのスペヌサヌ。

䞊極倧点を求め、指の䜍眮ずする。䞋テヌブ ルに眮かれた手ず察応するポテンシャル面濃淡

時にセンサヌに接近した堎合は、ポテンシャル面

画像ずしお衚珟。

に耇数の極倧点が生じるこずになる。埓っお、そ れぞれの極倧点を認識するこずで、耇数の物䜓の

フィルタリングするずいう技法である。枬定察象

䜍眮を独立に蚈枬するこずが可胜になる。同時に

ず受信回路が独立しおいる通垞の堎合では、この

蚈枬できる物䜓の個数には制限がないが、識別で

フィルタリングのための信号を生成するこず自䜓

きる物䜓間の距離には限界がある物䜓間の距離

が困難なこずが倚いが、SmartSkin センサヌの堎

が電極の間隔よりも小さい堎合は、二぀の極倧点

合は、送信信号も自分で生成しおいるので、この

が融合しおしたうので分離が䞍可胜になる。

信号を単にフィルタリングのための制埡信号ずし

逆に、電極の密床を䞊げおいくこずで、物䜓の

お䜿うこずができる。このフィルタヌ凊理によっ

䜍眮のみならず、その圢状を認識するこずも可胜

お、受信信号のうち送信電極からの信号でないも

である。

のが陀去される。 さらに、呚蟺の亀流電源からのノむズを陀去す

4

るために、受信信号匷床を電源呚波数 (たずえば

50Hz) の䜍盞の床ず 180 床ずのタむミングで 床サンプリングする。この倀を平均するこずで、 亀流信号の圱響による電圧のドリフトを陀去する こずができる。

察話型テヌブルの詊䜜 前節で説明したセンシング原理の性胜を評䟡す

るために、テヌブル圢匏のむンタラクティブシス テムを詊䜜した。このシステムは朚補テヌブルの 衚面に×本のりレタン被芆銅線倪さ 0.5mm

内挿凊理

を 10 センチ間隔で敷蚭し、さらにその衚面を薄い

栌子状のセンサヌ点から埗られた倀から、面䞊にあ

ベニダ合板で芆ったものを䜿甚しおいる (図 4)。通

る物䜓の䜍眮を掚定するこずができる。各亀点は、

垞のテヌブルずしお利甚するこずも可胜である。倩

物䜓からの距離に応じた倀を蚈枬しおいる。この

井釣りのプロゞェクタず組み合わせお察話型テヌ

倀を連結するず、物䜓の䜍眮を頂点ずする二次元

ブルずしお機胜する。

のポテンシャル面を埗るこずができる。ポテンシャ

送信甚の電極には、マむクロプロセッサ (Atmel

ルの極倧倀が物䜓のセンサヌ面䞊での次元䜍

AVR) の IO ポヌトが盎接接続されおおり、IO ポヌ

眮になる。具䜓的には、栌子点から埗られる倀を

トを゜フトりェアで駆動するこずで 160KHz の矩

次畳み蟌み内挿法 (cubic convolution interpolation)

圢信号を発生させおいる。受信偎は op アンプで

しお埗られるポテンシャル面の極倧点を蚈算し、

増幅した埌、前節で述べたようなフィルタリング

物䜓の䜍眮ずする (図 3)。この内挿補完によっお、

凊理を行っおいる。この信号は AD 倉換した埌、

物䜓の䜍眮を栌子点の間隔よりも高い粟床で蚈枬

ホスト PC にシリアルケヌブル経由で送信しおい

するこずができる。

る。珟圚の実装では、毎秒 30 フレヌム回皋床の

耇数の物䜓たずえば耇数の利甚者の手が同

速床で党亀点の倀を蚈枬・送信するこずができる

–4–


図 5: 垂盎方向の距離の認識。衚瀺された円の盎 埄がセンサヌ倀を瀺しおいる。 図 6: 指によるドラッグ操䜜

ので、察話的な操䜜を行うプラットフォヌムずし お䜿うこずが可胜である。 図 1 は耇数の利甚者が同時にテヌブル面を操䜜 しおいる様子を瀺しおいる。図 5 は、テヌブルず 指ずの距離を怜知しおいる様子を瀺しおいる。こ の構成で、手の䜍眮の認識粟床は 1cm 皋床だった。

4.1

察話技法

図 7: 䞡手操䜜によっお二぀のオブゞェクトを接 続しおいる

マりス互換操䜜ず耇数点の同時制埡 このプラットフォヌム䞊で、皮類の察話技法を 詊みた。最初の方匏は通垞のマりス等の入力装眮 からの眮き換えを想定したもので、手の次元䜍 眮をカヌ゜ルの䜍眮に、手ず平面ずの距離をマり スボタンに察応させおいる。距離に閟倀を蚭定し、 手の距離が䞀定以䞋になった堎合にマりスボタン がプレスされたものず刀定しおいる。この倀は、 ナヌザごずに調敎しお蚭定しおある。 実際にテヌブル䞊に図圢を衚瀺しお、移動操䜜 等を詊みた。珟圚の実装では方向の解像床が 若干䞍足しおいるが、ほが通垞のマりスず同等の

図 8: ポテンシャル面の倉圢によるオブゞェクト

操䜜感を䞎えるこずができた (図 6)。このセンサヌ

操䜜

の特城ずしお、耇数の点を同時に蚈枬するこずが 可胜なので、䞡手を同時に䜿った操䜜たずえば 二぀の図圢を䞡手で移動させお、接觊させるこず

ル面が生成される。面䞊に衚瀺した物䜓が、この

で連結させるが可胜である (図 7)。たた、耇数の

ポテンシャル面の傟斜に応じお移動するように蚭

利甚者がテヌブルを囲んで操䜜しおいるような堎

定しおおくず、手の動きに応じお物䜓を制埡する

合、䞊行しお操䜜を行うこずが可胜である。これ

こずができる (図 8)。たずえば傟斜を䞋るような

は日垞でテヌブル䞊のカヌドを配眮しおいるよう

蚭定では、物䜓ず手の間に反発力が生じるような

な感芚ず非垞に近く、テヌブル型のむンタフェヌ

感芚を䞎えるこずができる。

スずしおは必須な機胜であるずいう感想をもった。

この方匏を数人の利甚者に特に事前の説明を䞎

ポテンシャル面による操䜜

えずに詊甚しおもらったが、指や手ず反発力の関

さらに、マりスのような「䞀点」を制埡するような

係をいったん理解するず、容易に物䜓を制埡でき

タむプ以倖の察話技法の可胜性ずしお、手や腕に

るこずが確認できた。たた、䞡手を䜿った操䜜や、

よっお生成されるポテンシャル面そのものを操䜜

䞡手を茪の圢にしお物䜓を「囲い蟌む」操䜜や、

に甚いる方匏を詊みた。前節で説明したように、こ

耇数の利甚者間での協調的な操䜜などを、利甚者

のセンサヌでは手や腕の接近に応じたポテンシャ

自身が自発的に発芋しおいく過皋が芳察できた。

–5–


図 12: 耇数指による操䜜の䟋

図 9: 指・手圢状を認識する SmartSkin センサヌ。

1cm 間隔の電極を 32 × 24 本甚いおいる.

図 13: 本指ゞェスチャヌによる「぀たみ䞊げ」 操䜜

図 10: 手圢状ず察応するセンサヌ倀

図 14: 掌の圢状によるメニュヌ起動ず指による 遞択.

24cm で、電極を 1cm 間隔に配眮しおある。電極 の本数は 32 本 (受信) × 24 本 (送信) である (図 9)。 このセンサヌでは、単に手の䜍眮だけでなく、手 の圢状や指の䜍眮を認識するこずができる。図 10 はセンサヌの倀から内挿凊理によっお埗た手の圢 状で、図 11 は極倧倀怜出アルゎリズムによっお センサヌ面に觊れおいる指先の䜍眮が独立しお怜 出できるこずを瀺しおいる。

図 11: 指先認識の䟋

5

5.1 察話技法

手・指圢状の認識

手圢状や耇数の指の認識によっお、耇数の制埡 テヌブル型のシステムでは、少数のアンテナ線

点を同時に制埡するようなむンタフェヌス、手の圢

であっおも、マりス盞圓の制埡をテヌブル面に䞎

状そのものをコマンドずしお䞎えるむンタフェヌ

えるこずができるこずを確認できた。電極の本数

ス、他の物理的なオブゞェクトを認識しお、それ

を増やしお、栌子点の密床を䞊げおいくこずで、

をコマンドや制埡甚のツヌルずしお甚いるむンタ

より正確な手圢状の認識が可胜になるこずを実蚌

フェヌスが可胜になる。図 12 に本指を甚いたむ

するために、第二の詊䜜システムを開発した。こ

ンタフェヌスの䟋を瀺す。耇数の指を䜿っお、ゞェ

のシステムでは、認識可胜な面のサむズは 32cm ×

スチャヌコマンドを定矩するこずも可胜である。

–6–


electrodes (copper film)

図 16: SmartSkin の衣服ぞの組み蟌み 図 15: 実物䜓の認識ずそれを甚いた操䜜の䟋 適甚したシステムず、その察話技法に぀いお報告 図 13 では、本指を接近させた埌に䞊に持ち䞊

した。本論文で玹介した詊䜜システムは SmartSkin

げる「぀たむ」ゞェスチャヌを識別しおいる䟋で

の可胜性の䞀郚を実珟しおいるにすぎず、今埌、他

ある。

の応甚ぞの怜蚎や、新しいむンタフェヌス技法の 提案などを行っおいきたい。以䞋で、珟圚たでに

手の圢状そのものを䜿う䟋ずしおは、図 14 に 瀺すようなメニュヌ遞択を詊みた。たずナヌザが

構想しおいるいく぀かの将来蚈画に぀いお述べる。

センサヌ面に掌を眮いたこずを、その面積によっ

他の面、機噚ぞの組み蟌み

お刀定する。たた手の方向を掌の圢状モヌメン

た状態では金属箔は接地されおいないので、セ

SmartSkin センサヌはセンスする面が平面である 必芁がないので、珟実䞖界を構成する皮々の面に 組み蟌んでむンタラクティブなものにする可胜性 をもっおいる。たずえば゜ファヌに組み蟌んで利 甚者の姿勢に応じお映像の衚瀺方法を倉えたり、 アヌムレスト䞊でのゞェスチャヌで番組を遞択し たりできるような「スマヌト家具」などの䟋が考 えられる。たた、キヌボヌドの䞋に SmartSkin を 組み蟌むこずを考える。キヌボヌド䞊に眮かれた 手の圢状を認識できるので、キヌボヌド䞊でタブ レットのように指で描画するむンタフェヌスや、 䞡手で打鍵しおいるずきは文字入力モヌドで、右 手がマりス䞊に眮かれるず巊手郚分のキヌボヌド アサむンが自動的にコマンドキヌに切り替わるよ うな入力方匏を提䟛するこずができる。

ンサヌの倀には圱響が起きない。利甚者が物䜓䞊

図 16 は衣服ぞ組み蟌むためのセンサヌ䟋で、ポ

郚郚に觊れるず、頭頂郚の金属箔を介しお底面の

ケットの䞭に入れおおけば倖偎から指の運動を認

金属箔パタヌンが接地され、そのパタヌンをセン

識するこずができる。携垯音楜機噚を衣服の倖か

サヌが読み取るこずが可胜になる。底面のパタヌ

らコントロヌルするような応甚や、さらには「む

ンによっお物䜓の皮類を識別するこずができ、さ

ンタラクティブ衣服」などの分野ぞの応甚が考え

らに物䜓のセンサヌ面䞊での䜍眮や方向を認識す

られる。

トによっお刀定し、メニュヌコマンドを手の呚 蟺に衚瀺する。メニュヌコマンドは指のタップに よっお行う。

5.2

物䜓の認識ず操䜜

このセンサヌでは、手や指による操䜜に加えお、 実物䜓を介した操䜜 ( [2, 7]) を䜵甚するこずが可 胜である (図 15)。 操䜜に利甚する物䜓は朚やプ ラスチックなどの絶瞁䜓から出来おおり、底面に 金属箔でパタヌンが貌り付けられおいる。このパ タヌンは導線によっお結合され、物䜓䞊郚の金属 箔ず接続しおいる。この物䜓をセンサヌ面に眮い

るこずができる。

このように、埓来の機噚の衚面圢状を䞀切倉曎

指の認識ず䜵甚すれば、「物䜓を面に眮いおあ

するこずなく、付加的な機胜を組み蟌むこずが可

る操䜜モヌドを遞択し、さらに指による操䜜を加

胜ではないかず考えおいる。

える」ずいった、耇合的な操䜜が可胜になる。

觊芚フィヌドバックずの融合

SmartSkin は入力センサヌであり、人工物の衚面に

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他の応甚ず今埌の可胜性

「皮膚感芚」のようなセンサヌ機胜を組み蟌むた めの技術だずいえる。䞀方「觊芚フィヌドバック」

本論文では、カメラに䟝存しないゞェスチャヌ認

技術は、人工物から人䜓の皮膚感芚ぞの情報

識の手法を提案し、テヌブル型察話システム等に

であり、䞡者を盞補的なものず考えるこずができ

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る。これらを組み合わせるこずにより、たずえば

user interfaces. In CHI’95 Conference, pages 442– 449, 1995.

机の衚面に仮想的なクリック感を䞎えるずいった

[3] Masaaki Fukumoto and Toshiaki Sugimura. ActiveClick: Tactile feedback for touch panels. In CHI 2001 summary, pages 121–122, 2001.

むンタフェヌスを構成できる。埓来の觊芚フィヌ ドバックむンタフェヌス[3] 等では、ナヌザの 指が察象物に接觊しおいない堎合はフィヌドバッ

[4] Y. Guiard. Asymmetric divisoin of labor in human skilled bimanual action: the kinematic chain as a model. Journal of Motor Behavior, pages 485–517, 1987.

クを返すこずが䞍可胜だった。SmartSkin では、指 の近接を認識できるので、たずえば巊手で持った の操䜜面に指を接近させるず (PDA 筐䜓の

[5] Ken Hinckley, Randy Pausch, John C. Goble, and Neal F. Kassell. Passive real-world interface props for neurosurgical visualization. In CHI’94 Proceedings, pages 452–458, 1994.

振動により) フィヌドバックを返すような方匏が 構成可胜である。 透明電極の適甚 SmartSkin を構成する電極は ITO 皮膜などの透明 な電極で眮き換えるこずが可胜である。これによ り、平面型の衚瀺装眮ず䞀䜓化した入力装眮を構 成するこずができる。

[6] Ken Hinckley and Mike Sinclair. Touch-sensing input devices. In CHI’99 Proceedings, pages 223–230, 1999.

センサヌ面を介したデヌタ通信

SmartSkin センサヌでは電極に亀流信号を印加し お蚈枬を行っおいる。この信号にデヌタを呚波 数倉調などにより重畳するこずで、面䞊の物䜓 ずの間で情報通信を行うこずが可胜である。たず えば、テヌブル䞊に眮かれた携垯機噚が自動的に シンクロナむズするなどの応甚䟋が考えられる。 たた、テヌブル䞊での座暙情報をデヌタずしお送 信すれば、テヌブル䞊の携垯機噚が、「どのテヌ ブルのどの䜍眮にあるか」を「知っおいる」こず になる。このような識別・䜍眮情報を利甚するず、 同じテヌブルの䞊の機噚同士でのみデヌタ通信を 蚱すようセキュリティ蚭定や、Augmented Surface システム [12] が提案しおいるようなむンタフェヌ スが構築可胜になる。

[7] Hiroshi Ishii and Brygg Ullmer. Tangible Bits: Towards seamless interfaces between people, bits and atoms. In CHI’97 Proceedings, pages 234–241, 1997. [8] Hideki Koike, Yoichi Sato, Yoshinori Kobayashi, Hiroaki Tobita, and Motoki Kobayashi. Interactive textbook and interactive venn diagram: natural and intuitive interfaces on augmented desk system. In CHI 2000 Proceedings, pages 121–128, 2000. [9] Nobuyuki Matsushita, Yuji Ayatsuka, and Jun Rekimoto. Dual Touch: a two-handed interface for penbased PDAs. In ACM UIST 2000 Proceedings, pages 211–212, 2000. [10] Nobuyuki Matsushita and Jun Rekimoto. HoloWall: Designing a Finger, Hand, Body, and Object Sensitive Wall. In Proceedings of UIST’97, October 1997. [11] Shunichi Numazaki, Akira Morshita, Naoko Umeki, Minoru Ishikawa, and Miwako Doi. A kinetic and 3D image input device. In Proceedings of the conference on CHI 98 summary, pages 237–238, 1998. [12] Jun Rekimoto. A multiple-device approach for supporting whiteboard-based interactions. In Proceedings of ACM CHI’98, pages 344–351, February 1998.

謝蟞

おは田島茂氏から貎重な助蚀を頂いた。

[13] Jun Rekimoto and Eduardo Sciammarella. ToolStone: Effective use of the physical manipulation vocabularies of input devices. In Proc. of UIST 2000, 2000.

参考文献

[14] Pierre Wellner. Interacting with paper on the DigitalDesk. Communication of the ACM, 36(7):87–96, August 1993.

システム実装に協力しお頂いた石柀倪祥、戞田 麻子䞡氏に感謝する。蚈枬原理ず回路蚭蚈に関し

[15] Thomas Zimmerman. Personal area networks: Nearfield intrabody communication. IBM Systems Journal, 35(3-4):609–617, 1996.

[1] Eric A. Bier, Maureen C. Stone, Ken Pier, William Buxton, and Tony DeRose. Toolglass and Magic Lenses: The see-through interface. In James T. Kajiya, editor, Computer Graphics (SIGGRAPH ’93 Proceedings), volume 27, pages 73–80, August 1993.

[16] Thomas G. Zimmerman, Joshua R. Smith, Joseph A. Paradiso, David Allport, and Neil Gershenfeld. Applying electric field sensing to human-computer interfaces. In CHI’85 Proceedings, pages 280–287, 1995.

[2] George W. Fitzmaurice, Hiroshi Ishii, and William Buxton. Bricks: laying the foundations for graspable

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