Yuki Mitani Works 2008-2013
三谷 裕樹
Yuki Mitani
学歴 三重大学大学院工学研究科建築学専攻 菅原研究室(歴史・意匠) 三重大学工学部建築学科 修成建設専門学校建築学科
資格 二級建築士 福祉住環境コーディネーター二級 色彩検定 2 級
活動 ASIT- アジト - 主宰
受賞歴 あすなろ夢建築 2008 優秀賞 三年前期課題 集合住宅 優秀作品 jacs2011 住宅設計コンペ「光と風」 佳作 住空間 eco デザインコンペティション 2011 優秀賞 Design Review2012 100 選 DSA Design Award2012 入賞 JIA 東海支部設計競技 2012「間」 銀賞 歴史的空間再編コンペティション 2012 4 位・50 選 キルコス国際建築設計コンペティション 2012 入江徹賞 佳作 キルコス国際建築設計コンペティション 2012 加藤比呂史 +Victoria Diemer 賞 銅賞 キルコス国際建築設計コンペティション 2012 近藤哲雄賞 佳作 キルコス国際建築設計コンペティション 2012 永山祐子賞 佳作 トウキョウ建築コレクション 2013 プロジェクト展 出展 Design Review2013 2位 E&G デザイン学生大賞 2013 アイディア賞 あいちトリエンナーレ 2013 現代美術企画コンペ 出展
「ふんいきをつくること 」 ふんいきのいい場所とはなんだろうか。 それはあらゆる要素を総括してあらわされる。 そう感じる要素は音楽かもしれないし、料理かもしれないし、香りかもしれないし、 景色かもしれない。 一緒にいるひとによっても変わるだろう。それはその時の状況や感情でも変化する。 自分のまわりをとりまくすべてのもの、それがふんいきである。 しかしそこには空間が関与していることも確かである。 ふんいきがいい場所には自ずとひとがあつまる。 ふんいきとはなにか。 言葉では説明しづらい感覚的な部分を追求し、人が集まる場所のふんいきとは何かと考えている。
料理好き家族が営む カフェ
井戸端会議のための リビングルーム
おしゃれ好きの娘が営む 雑貨屋
お父さんのための小さな 書斎
世話好き夫婦の ゲストルーム
元教師のお母さんによる 英会話教室
美大生の子供のための アトリエ
秘密基地のような 子供部屋
ガーデニング好きのお母さんが経営する 花屋
Works 「カベゴシ生活 - ふれられる光と風 -」
「境界のあいだ」
「家のマエ、銭湯のウラ」
「近所の郵便受けを集めてみると」
「
」
「
」
「
」
2008-2013 Works
カベゴシ生活
- ふれられる光と風 -
JACS2011 住宅設計コンペ 「光と風」
Real Size Thinking 2011 住空間 eco デザインコンペティション
佳作
優秀賞
Jury
Jury
吉田 研介
曽我部 昌史(神奈川大学 工学部 建築学科 教授)
豊田 正弘
田淵 諭(多摩美術大学 美術学部 環境デザイン学科 教授)
宮 晶子
岩村 和夫(東京都市大学 都市生活学部 都市生活学科 教授) 柏木 博(武蔵野美術大学 造形学部 教授) 藤原 亨(クリナップ株式会社 執行役員 開発本部 開発部 部長) 池田 俊雄(東京ガス株式会社 リビング法人営業本部営業第二事業 部 事業部長) 益子 弘文(パナソニック電工株式会社 デザイン部 デザイン部長)
2011 . 5
2011 . 11
Master Course First Year
Master Course First Year
光にふれ、風を感じて生活することで 生活のあらゆるシーンにいろどりをあたえる そこからみえる景色は日、一日と変化していく
カベゴシ生活 「カベ」越しの生活は「カベ」の使い方次第で、個室自体は狭くとも共有する感覚を広げる。 そして光と風を家族で感じながら生活していく。
住宅とは個室の連続である。だが個室だけでは生活は足りない。
このような立地条件において、平面計画のバリエーションには限り があり、必然的に開口の位置は隣り同士で向かい合ってしまい、その
新興住宅地などに見られる、間口があまりとれない狭小敷地の建物が
ため窓はカーテンやブラインドなどで閉ざされてしまいがちになる。
連続する建売住宅計画地。 隣の家との視線交錯を避けるため東西方向の開口は最小限に抑え、 それでも部屋の中に十分に採光、通風を行えるようにすることが必要 だ。また限られた面積の中で、生活に必要な収納も確保しなければな らない。
そのために部屋と部屋の間に光と風が通る「外壁」としての機能と
部屋と部屋の間には中間的な役割を果たすスペースが生まれることで
個々の生活を支える家具としての「内壁」の機能を併せ持つような
家族同士の関係は少し変わる。
柔軟性のある「カベ」を提案し、それを中心に空間を構成した。 趣味で集めたコレクション。 この「カベ」は光と風を通す窓・戸などのさまざまなバリエーショ
学校の教科書や参考書。
ンの開口と一定のモジュールの棚板とで構成されている。光は直線
お気に入りのお皿にコップ。
的な、風は流動的な方向性をもち開口の形状に変化をもたらす。
いろんなモノが棚から見える。
棚板は住まう人物の性格や成長などの生活から生まれる要求に よって変化していく。各部屋に光と風は触れられる距離にあり、部 屋からもれる光風に気配を感じることができる。
カベ 越しの生活は カベ の使い方次第で、個室自体は狭くとも 共有する感覚を広げ、光と風を家族で感じながら生活していく。
ふれられる光と風
部屋と部屋の間に光と風が通る「外壁」としての機能、 個々の生活を支える家具としての「内壁」、 それらの機能を併せ持つような柔軟性のある「カベ」の提案。 この「カベ」は光と風を通す窓・戸などのさまざまなバリエーションの開 口と一定のモジュールの棚板とで構成されている。 光は直線的な、風は流動的な方向性をもち開口の形状に変化をもたらす。
N
キッチンはたくさんの収納から構成されています。
子どもは成長とともに持ち物が変わっていきます。
暗くなりがちな部屋を照らしだし、
小学生の2人部屋と高校生の個室では、
ダイニングとの間にある カベ は
当然求められる機能が違います。
食のつながりを豊かにします。
この カベ はその変化に柔軟に対応していき、 カベ は部屋にポスターを張るように、 住人の個性を反映するものになります。
玄関ロビーに収納とともに光や風を取り込み、
カベ にモノを置くことで間仕切りとしても機能し、
部屋と部屋のあいまいな境界を用い、
プライバシーが必要な場所でも活躍します。
ちょっとしたレストルームを演出します。
難しい所作をすることなく、可変性を実現し、 あらゆる生活に必要なものが カベ を構成しています。
Real Size Thinking
2400mm × 2400mm × 2400mm のスペースが五組に与えられた。実物で制作し、 二週間新宿パークタワーにて展示が行われ、最終審査はその場で公開された。
2400 300
450
450
450
300
450
外側Ⅳ面
内側Ⅳ面 勉強しなさい
今日いい天気よー
1650
宿題やった?
外側Ⅰ面
内側Ⅰ面 この絵よくできたから貼っときましょう
内側Ⅲ面
今日のテストできたの? 忘れ物ない? 今日学校でね
私立の学校受けてみる
今日先生が来るって
外側Ⅲ面
2400
1650
ゲームばっかしてないで外で遊びなさい
そこのハーブに水あげといて
お父さん帰り遅くなるって
2400
お風呂掃除しといて
ご飯できたよ
お手伝いするよー ムシキングカードはりたいんだけど
晩ご飯なに?
300
はーい
300
友達がさぁ
塾行ってきます
内側Ⅱ面 外側Ⅱ面
300
1350
450 2400
450
おこづかいちょうだい 明日授業参観あるよ 友達つれてきてもいい?
600
450
お母さん リコーダー聞いてー
300
材料仕様書 床スラブ:ラワン・ランバー15 mm 水性・エマルジョンペイント塗装仕上げ(白、つや有) 棚板: ラワン・ランバー15 mm 壁仕上げ:フラッシュパネル(図面中では40 mm) 水性・エマルジョンペイント塗装仕上げ(白、つやあり) 柱: 105角 角柱 開口: アクリル板 レモン ライトブルー
リアルサイズコンペ図面 平面図
1/6
92.5
スラブ t=15
300
800
157.5
450
450
つっかけ
450
300
2400 スラブ t=15
タナ t=15
270
500
構造用の支え材 目立たない色で仕上げ
97.3
外側Ⅰ面
450
450
450
450
300
500
300 157. 5
構造用の支え材 目立たない色で仕上げ
150
450
スラブ t=15
300
2400
450
450
92. 5
43.5
外側Ⅳ面
外側Ⅲ面 リアルサイズコンペ図面 立面図(外側)
2/6
2400
つっかけ
スラブ t=15
構造用の支え材 目立たない色で仕上げ
270
300
450
450
450
450
300
内側Ⅱ面
2400
500
157. 5 300
450
300
450
450
92. 5
内側Ⅰ面
150
タナ t=15
内側Ⅲ面
内側Ⅳ面 リアルサイズコンペ図面 立面図(内側)
3/6
92. 5 450
300
1800
450
450
225
300
157. 5
スラブ t=15
270
500
2400
600
270
60
570
衝突防止
97.3 43.5
152.8
外側Ⅱ面 450
450
450
450
225
300 リアルサイズコンペ図面 部材展開図 ①
4/6
500 150
300 157. 5
450 300
2400 450
450
160
92. 5
175
外側Ⅳ面 リアルサイズコンペ図面 部材展開図 ② 5/6
1925
150
195 230 60
485
300
150
225
2000
150
485
2375
1400 150
60
270
2075
構造用の支え材 目立たない色で仕上げ
スラブ t=15
500
300
2000
225
225
リアルサイズコンペ図面 床伏せ図
6/6
境界のあいだ
JIA 東海支部設計競技 2012「間」 銀賞
Jury 谷尻 誠 Suppose design office 鈴木祥司 アトリエ祥建築設計 石川英樹 石川英樹建築設計事務所 岩月美穂 studio velocity 栗原健太郎 studio velocity 阪 竹男 阪 竹男建築研究所 佐々木敏彦 大久手計画工房 樋口 豊 竹中工務店設計部 脇坂 圭一 名古屋大学
2012 . 10 Master Course Second Year
何かを犠牲にすると何かが豊かになる。 例えば、外界との距離は遠ざかるが、塀を高くとると安全は確保される。 また外部空間は小さくなるが、敷地目一杯に建物を建てると内部空間は広がる。
敷地境界 敷地境界とは領域や所有を示すものでもあり、個人と他者を隔てる線でもある。 通常は効率を重視し隙間無く線引きされている。 敷地境界線を狭めると個人の領域は減るが、共用空間が増える。
居住境界線
隙間なく線引きされる敷地境界線
敷地境界線の中に 居住境界線 を引く
その空間に連なるように住空間を作ることで、
二本の境界により " 私的な共用空間 " が生まれる
まちと人との関係性がより豊かになる
料理好き家族が営む カフェ
井戸端会議のための リビングルーム
おしゃれ好きの娘が営む 雑貨屋
ガーデニング好きのお母さんが経営する 花屋
お父さんのための小さな 書斎
世話好き夫婦の ゲストルーム
元教師のお母さんによる 英会話教室
美大生の子供のための アトリエ
秘密基地のような 子供部屋
個人の領域は減るが、自分の居場所は増える。 具体的な方法として現状の敷地境界の中にさらに 居住境界線 を引く。 そうすることで敷地境界線と 居住境界線 の二本の境界により私的な共有 空間 , つまり間ができる。 そしてその空間が連なり、まちと人との関係性がより豊かになる。
「家のマエ、銭湯のウラ」
歴史的空間再編コンペティション 2012
福岡デザインレビュー 2013
4位
2位
Jury
Jury
本選
本選
妹島 和世
建築家 /SANAA
金田充弘
塚本 由晴
東京工業大学准教授 / アトリエ・ワン
重村力 神奈川大学教授 / 神戸大学名誉教授
五十嵐 太郎
東北大学教授
谷尻誠 Suppose design office
宮下 智裕
金沢工業大学准教授
手塚貴晴 手塚建築研究所 / 東京都市大学教授
松田 達
東京大学助教
西沢立衛 SANAA/ 西沢立衛建築設計事務所
一次審査 熊澤 栄二
東京藝術大学准教授
一次審査 石川工業高等専門学校准教授
鵜飼哲矢 九州大学准教授 / 鵜飼哲矢事務所
小津 誠一 E.N.N. 代表
末廣香織 九州大学准教授 /NKS アーキテクツ
戸田 穣
平瀬有人 佐賀大学准教授 /yHa architects
吉村 寿博
金沢工業大学講師 吉村寿博建築設計事務所代表
矢作昌生 九州産業大学准教授 / 矢作昌生建築設計事務所
鷲田 めるろ 金沢 21 世紀美術館キュレーター
2012 . 12
2013 . 3
Master Course Second Year
Master Course Second Year
こ れ か ら の 集 合 住 宅 に 必 要 な こ と 。
た く さ ん の 人 の 思 い 出 が 詰 ま っ た 銭 湯 。
そ こ に は 広 が り の あ る 賑 わ い が 現 れ る 。
家 の マ エ と 銭 湯 の ウ ラ の 境 界 は 混 ざ り 合 う 。
対象敷地は大阪市住之江区安立町「浜口湯」 を中心とした街区とする。住之江区は大阪 市南部に位置し、大和川を挟んで堺市に北 接する。 都心部より電車で 10 分∼ 20 分程で、南 海住ノ江駅周辺はベットタウンとなってい る。敷地のすぐ東側に、南北に走る路面電 車の安立町駅がある。駅の向こうには小学 校、住ノ江駅があり、南へ歩くと商店街が
大阪湾
南へ続いており現在も地元客で賑わう。浜 口湯は、設計者が幼少期から高校まで家族 や友人と通い詰めた銭湯であった。大阪で は文化住宅など住み手のいなくなった民家 は取り壊され、密集した建売住宅が建ち並 ぶ光景が見られるようになって久しい。
大阪市住之江区安立町「浜口湯」
住之江駅
安立町駅
安立商店街
浜口湯
安立町駅
project site
N
site plan s=1/1000
約20年間で銭湯の数は半減している。
11725軒
6005 軒
1990 年
2008 年
現在では自宅の風呂に入ることが当然のことのようになっているが 1960 年頃までは 銭湯に通うことが日常だった。銭湯の数は 1990 年には 11725 軒だったが 2008 年には 6005 軒とほぼ半減している。経営難により、銭湯の数は減少し風景は徐々に変わってし まっている。
銭湯の構成を用い、集まりかたを再編する 銭湯の断面構成に着目し、住居と銭湯を結び合わせる計画の提案である。隣合う浴場同士、脱
衣所同士の関係は音や空気は共有しているが、視覚的なつながりとしては上部の開放された部分 のみである。また、スケール感、社交場としてのこの場を踏襲し、現在の集合住宅にはない関係 を生む。 具体的な方法として銭湯と集合住宅の間に、服は着たままであるが脱衣場のような場所をつくる。 そこは気軽に集まれる場所である。空気、音、時間を共有し、生活の一部を共に過ごす。 そして家のマエと銭湯のウラの境界は混ざり合い、そこには広がりのある賑わいが現れる。
spatial composition
銭湯の断面構成
提案
銭湯
住居
銭湯
銭湯のスケール感や脱衣所同士の関係を踏襲し、住居と銭湯を結び合わせる。
住居
public
private
靴を脱いで裸足になることが社会から家庭への切り換えの契機ではないだろうか。既存の集合住宅にはエントラン スはあるものの、住戸ごとに玄関を持ち共用部はそうとも呼べないような状況である。 銭湯では皆共通の玄関で靴を脱ぎ、裸足になる。そして脱衣所を経て裸と裸の付き合いが始まる。ここで起こっ ている公私の境界の段階的な変化に着目し、家のマエと銭湯のウラを繋ぐことで銭湯の賑わいと住民達の賑わいが 混ぜあわさる空間が現出する。
光
単身男性用
単身女性用 家族用
女湯
男湯
家族用
section s=1/150
浴場
集合住宅
脱衣場
集合住宅
玄関 住人 来客
1F plan s=1/150
住人も来客も同じ玄関から入り、同じ場所で靴を脱ぐ。 日常の何気ない行為を共にすることで親近感がうまれる。
単身女性用
女湯
男湯
単身男性用
N
2F plan s=1/150 二階への階段で男湯、女湯に合わせて単身男性用、単身女性用の住戸に振り分ける。 そうすることで銭湯の構成を取り入れた新たな住まい方を提案する。
3m 1m
10m 5m
1F は家族用の集合住宅で構成されている。
2F は単身者の集合住宅で構成されている。
みんなの玄関
「みんなの玄関」 玄関の暖簾をくぐるといろんな人たちがいて、その空気に包まれる。 買い物帰りのおばちゃん、風呂に来た工務店の兄ちゃん、 2階の廊下から風呂上がりのおばあちゃんにあいさつする女子学生、 風呂上がりの牛乳を飲む女の子、家のマエでくつろぐおっちゃん、手摺を渡る猫、 遊び疲れてうたた寝する男の子、鍋の用意をするおばあちゃんたち、鬼ごっこする子供達、柱をのぼる 観葉植物、誰かの洗濯物、響き渡る洗面器の音、銭湯の少し湿ってあたたかい空気。
屋内路地
「屋内路地」 一階の共有部分、「屋内路地」では様々なことが起こる。 おばちゃんが得意料理を振る舞ったり、 おじいちゃんたちの将棋大会、 友達を呼んで子供達がかくれんぼしたりする。 おっちゃんが2階廊下からいつもくるおっちゃんを見かけて声をかけたり、 学生が主婦やおじいちゃんおばあちゃんにパソコン教室を開くことも、 おばちゃんの作ったアクセサリーのお店がオープンすることもある。
幼かった頃には父親に連れられ、自宅の風呂の何倍も大きな湯船、 色んな人がいることも楽しかった。 小学生になると夜遊びをしたくて、よく銭湯に行った。 すぐにのぼせる湯船にはあまり興味はなく、洗い場や脱衣場で友達とはしゃいだ。 クラスの女の子に入り口で会った時には何とも言えない恥ずかしい気持ちにもなった。 高校時代には部活帰りに汗を流しに行き、懐かしい地元の友達に会うこともあった。 その数は減少していく一方である。 銭湯の数だけたくさんの人の思い出が詰まっている。
「近所の郵便受けを集めてみると」
DSA Design Award 2012 入賞
Jury 出原秀仁 官浪辰夫 坂井直樹 佐藤寧子 塩見一郎 鈴木恵千代 柘植喜治 豊口 協 原 研哉
2012 . 5 Master Course Second Year
何でもない風景に彩りを与え、 何でもない場所をかけがえのない場所にかえる。 少しのガマンでまちはかわる。
ほんの少し遠くに『郵便受け』があるということ。 ほんの少しの面倒を『ガマン』すればまちはかわる。 『郵便受け』という個々人の日常生活の一部を切り取り、集合させる。 それは、「見る・見られる」の関係を生む新たなセキュリティの形となり、 高齢者に対するゆるやかな見守りを発揮するとともに、 住民間のコミュニケーションを生みだす空間となる。 また、高齢者が支えられるだけでなく、自らも他者を支える側としての役割を持つ。 つまり、地域住民どうしでお互いを見守るネットワークが形成される。 この空間を提案する事で、人と人の繋がりを再構築するとともに、 高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるまちへとつなげたい。
1.introduction
2.suggestion
3.effect !? !?
現代の日本は、無縁社会や高齢化社会(孤独死)など、
個々人の郵便受けを集合させることで、日常の行為は同
郵便受けを集めたことにより近隣住民が集
互いの郵便受けを見る、見られることで、見守
問題を抱える。
じ空間で共有される。
まる場所となる。
りの役割を果たす。
セキュリティの整っている集合住宅は郵便受けのセキュリティも整っている。隣の郵便受けに何が入っているかも窺い知ることはできず、頑丈な鍵もついている。 安全が保証され、密室を獲得できたことと同時に近隣住民と関わりもなく過ごす事ができる。それが原因によって様々な事件や問題もおきている。 よりそい、助け合いながら生活している地域の郵便受けはその集まり方からもぼんやりと生活を窺いしることができる。 郵便受けを少しだけ遠くに集めることで強制ではなく、何気なく近隣との関係を持ち地域との接点を少し持つことができるのではないだろうか。
例えば住宅の塀に
例えば電柱の横に
例えば公園のフェンスに
例えばいつもの散歩道に
まちにある工作物 このような無機質で何でもない場所をリジェネレートする 郵便受けを集め 少しのガマンで まちはかわる
歴史的空間再編コンペティション 2012 50 選
Jury 本選 妹島 和世
建築家、SANAA
塚本 由晴
東京工業大学准教授、アトリエ・ワン
五十嵐 太郎
東北大学教授
宮下 智裕
金沢工業大学准教授
松田 達
東京大学助教
一次審査 熊澤 栄二
石川工業高等専門学校准教授
小津 誠一 E.N.N. 代表 戸田 穣 吉村 寿博
金沢工業大学講師 吉村寿博建築設計事務所代表
鷲田 めるろ 金沢 21 世紀美術館キュレーター
2012 . 11
Master Course Second Year Master Course Second Year
うつろいをデザインする それは、ひとのうつろいであり、水上のビルのうつろい ぽつんと取り残され静かに時をきざんでいたこのビルは
ぽつんと取り残され静かに時をきざんでいたこのビルは 姿かたちを変えることなく再び息をしはじめる
これは、水上ビルの再生とその後のストーリー
site plan site plan
敷地は、愛知県豊橋市の豊橋駅前水上ビル地区である。 豊橋市民なら誰もが知っている まちなかの象徴 といえるこのビルは、高度経済成長期の昭和 30 年代後半、文字通り暗渠化された 農業用水の上に建てられた 3 5 階建ての鉄筋コンクリート造で、水路に沿って 800m に及ぶ「板状建築物群」である。
基本的には、1・2 階が店舗及び事務所、3 5 階が賃貸住宅となっている。 建築から 45 年が経ち、次の 10 年のうちには居住(所有)者の多くが世代交代をむかえ、今後の対応が迫られるが、現状では建て 替えは望めないため、いずれは用水に戻すことになっている。
現在の豊橋駅周辺には十分な都市機能が満たされているため、 水上ビル商店街に人が足を運ばない。 用途変換を行い例え人々が訪れるようになったとしても、 それが水上ビルである必要はないのではないか。 (おしゃれな店などをつくれば簡単に人は呼べる) 人々の意識の中に水上ビルというものを植え付けるためには、 そこが水上ビルでなければならない何かが必要であろう。
水上ビルに対し、全く違った外観と性格をもったものを建築する。 その建築で水上ビルを包み込み、非日常的な空間を作り出す。 これに興味をもって訪れる人は、ここが水上ビルでなければ足を運んでなかったはずである。 今まで意識の中になかった水上ビルが、ここで芽生える。
水上ビルによって老朽の程度は違う。 そこで寿命に合わせた計画を行い無理な解体はしない。そうすることで多彩な空間がうまれ、徐々にまちは更新されていく。 均質な都市の一部となるのではなく、この地域自体に都市の多様性をもたせた上で都市の一部として存在させる。
ま と う こ と に よ り 表 情 が 豊 か に な る 。
ショップやカフェなど、決まった機能をそこに提供するのではなく、水上ビルを使ってお店を開きたいと思わせるような場をつくることが今回の目的である。 つまり、人々の意識の中に水上ビルを再生させる。たとえ老朽化が止められなくとも、これが本当の再生であり、価値ある建築への道だと考える。
now
「現状」 時代に取り残されたように ゆっくりと時を刻む水上ビル
proposal
「提案」
大きな屋根と壁で水上ビルを覆う 新旧の対話が始まる
phase 1
「水上ビルとの対話」
水上ビルと都市との間に 領域が形成される
都市
水上ビル
phase 2
「空き地との対話」 老朽化が進んだ水上ビルは次第に 取り壊され、空き地となり、 その後広場となる
広場
phase 3
「水路との対話」 姿は見えないが本来のあるべき姿として 用水路を再生し、親水公園とする
水路
水上ビルを、川や公園に行くような感覚で訪れたくなるような場とし、日常的に足を運ぶようになるきっかけをつくる。 そして慣れ親しんでもらい、愛着をもってもらう。
elevation s=1/2000
水上ビル
広場
水路
児童公園
新豊橋駅
豊橋駅
sitep
水上ビル
水路
広場
0m
5m
15m
plan 1/400
無 意 識 に 近 い プ ラ イ ベ ー ト 空 間 を つ く る 。
切り取られた風景が連続する。
溜まりができることにより、行動が喚起される。
いままで見えなかった水上ビルが姿をあらわす。
新 た な よ り ど こ ろ に 集 い は じ め る 。
多 彩 な 新 旧 の 対 話 が う ま れ る 場 所 を つ く る
時 の 刻 み 方 を デ ザ イ ン す る
水上ビルをつつみこむ大きな屋根と壁 生活、文化、歴史を包み込む
水上ビルをまとうこの建築は、それぞれの場所に多様な空間をつくりだし、人々の行動を喚起する。 そして水上ビルが役目を終えそこに広場や水路があらわれたとき、この建築は水上ビルの記憶をかすかに残しな がら人々と対話していく。 つまり水上ビルのうつろいと人々のうつろいをデザインしていくのである。
E&G デザイン学生デザイン大賞 2012 アイデア賞
Jury 堀越 哲美 名古屋工業大学 建築・デザイン工学科教授、都市プランナー 加藤 和雄 大同大学 工学部建築学科教授、建築家 東海エクステリア実行委員会
2013 . 3
Master Course Second Year
そ れ が こ れ か ら の 賃 貸 住 宅 の か た ち で あ る 。
変 化 し 続 け て い く こ と 。
風 景 を 住 人 み ん な で つ く り 続 け 、
みんなのニワを集めてみると
公園は公共空間というみんなの空間でありながら、利用者と管理者が異なり誰のものでも ない空間になっている。現状を保つための管理にとどまるため、まちの風景としての変化 は少ない。しかし、風景が絶えず変化することだけが良いわけでなく、そこに定着してい るものが風景の中には必要でもある。
そこで、賃貸できる庭としてのプランタを提案する。プランタ の外壁は今までの郊外の 風景と同様に変化は少ないが、プランタの内部は絶えず変化し続ける。そしてそこには2 つの風景が存在する。それぞれが好きなように育てていくニワとしての風景と利用者同士 が同じ場所で活動を共にしていく関わり合いの風景だ。
個人のニワが集まり、大きなニワができる。利用者みんなでつくり続け、変化し続けてい く大きなニワ、それが本当の意味での公共空間であり新しい公園の形である。
一つのおおきなプランタの中で個人の風景と、他者との風景が織り混ざっていく。
diploma 2011
2011 . 7
bechelor Course 4th Year
twitter : @miiarchi FB : Mitani Yuki Blog : http://miiarchi.blog.jp/ Portfolio : http://www.slideshare.net/miiarchi 2013.8 「Therme Vals」/Peter Zumthor