Architecture Portfolio(Yuki Motoyama Selected Works 2019-2022)

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Architecture Portfolio

Yuki Motoyama Selected Works 2019-2022

2

1998.05

2014.04-2017.03 2018.04-2022.03 2022.04-

Part-time

2021.032021.092022.09 2022.09

2022.04-2022.06 2022.10-2022.12

Yuki Motoyama

2018.07-2018.09

Interest

Exhibition・Presentation

2021.11 2022.02 2022.03 2022.05 2022.09 2022.11

本山 有貴
愛知県名古屋市生 大阪府立豊中高校 文理学科 神戸大学工学部建築学科 神戸大学大学院工学研究科建築学専攻博士課程前期課程 建築設計・環境デザイン 光嶋裕介研究室 Teaching Assistant
設計演習IB「POST-COVID-19ワーク・スペース」 計画演習IA「近畿圏の大学のためのセミナーハウス」 Staff
「建築新人戦2018」 運営(会場班) 「掌の建築展」 設営スタッフ 「ポストバブルの建築家展 -かたちが語るとき-」 設営スタッフ 「Diploma×KYOTO'22」 幹部運営(ゲスト班班長) 「神戸大学建築卒業展 2022「序」」運営(制作班) 「石井修生誕100周年記念展」 企画・会場構成・設営スタッフ 「関西マスタープロジェクト展」 学校代表・ゲスト班
個人課題全9作品中8作品が学内講評会に選抜/内4作品が学内誌KUAJに掲載
Skill 京都ランドスケープデザイン展2021 設計作品出展・プレゼンテーション Diploma×KYOTO'22 卒業設計出展 せんだいデザインリーグ2022 卒業設計出展 神戸大学建築卒業展2022「序」 卒業設計出展・プレゼンテーション 2022年度支部共通事業 日本建築学会設計競技 全国二次審査 プレゼンテーション 関西マスタープロジェクト展2022 設計作品出展・プレゼンテーション
Job Internship
2021.08-2021.10 2021.12 2021.05-2022.05 2021.09-2022.05 2022.05-2022.11 2022.07-2022.11 World
Award 株式会社竹中工務店 大阪本店 株式会社遠藤秀平建築研究所 株式会社竹中工務店 大阪本店(2weeks) 株式会社大林組 大阪本店(1week) Profile Drawing Modeling Editing LayoutRendering LumionAutocadIllustrator Rhinoceros Indesign SketchUpArchicad Twinmotion Grasshopper Photoshop 3
第52回毎日・DAS学生デザイン賞《金の卵賞》 入選
第53回毎日・DAS学生デザイン賞《金の卵賞》 入選 神戸大学建築卒業展 2022「序」Day3 「4位」 2022年度支部共通事業 日本建築学会設計競技 近畿支部審査 支部入選(68選) 2022年度支部共通事業 日本建築学会設計競技 全国一次審査 全国入選(12選) 2022年度支部共通事業 日本建築学会設計競技 全国二次審査 佳作
学内設計課題 2021.05 2022.05 2022.05 2022.07 2022.07 2022.09
Ultimate
Selected Works Archi FOREST  卒業設計(学部4年) 第53回毎日・DAS学生デザイン賞《金の卵賞》 入選 神戸大学建築卒業展 2022「序」Day3 「4位」 -伊丹空港跡地における生態系の再構築計画私の地元である豊中市は大都市大阪を支える巨大なベッドタウンを形成している。街に広がるグレースケープは過密ベッドタウン地域に見られる様々な 問題を抱えている。そこで近未来廃港が危ぶまれる伊丹空港を都市の余白と捉え、そこに新たな21世紀型の都市を計画する。周辺環境と呼応しながらフ
立つ複雑な立体路は、かつてこの土地にあった豊かな緑を再び守り育てる籠となる。そこから生まれる大樹のような建築群は、根のような立体路のネッ トワークを介して人々と自然を結びつける21世紀の都市に生まれる新たな森の拠点となる。 Layered Harbor  設計演習特論「BAY OF RESILIENCE : 大阪湾内湾におけるレジリエント・デザイン」(修士1年) 学内講評会選抜作品/学内誌KUAJ掲載 関西マスタープロジェクト展2022出展  かつて水都大阪を支えた弁天埠頭を生命力豊かな親水拠点へと計画する。災害時には安治川新水門と連携することで海抜0m地帯の核となる巨大避難 拠点として機能し、災害の規模に応じてその姿を変容させながら人々を迫り来る水害から守る。強固な防潮堤を取り払うことで生まれる豊かな水辺空間、 また力強いレジリエンス力を持った新たな埠頭空間は、「日常」と「非日常」を問わず、この地域の人々にとっての拠り所となる。 層雲  計画演習「近畿圏の大学のためのセミナーハウス」(学部3年) 学内講評会選抜作品/学内誌KUAJ掲載 第52回毎日・DAS学生デザイン賞《金の卵賞》 入選  神戸の住宅街と六甲山の境界に位置する灘丸山公園。平日は地域住民の利用、休日は遠方からも家族地域住民に愛されている既存の公園のあり方を損 なうことなく、六甲山麓を度々覆う「層雲」を手掛かりに境界線のない雲のような建築と公園の空間を生み出し、ここを訪れる学生と住民とが交わる透 明感のある場を創出する。 01 02 0403 日常をめくる  2022年度日本建築学会設計競技「『他者』とともに生きる建築」(修士1年/4名共同) 学内優秀作品/学内誌KUAJ掲載 日本建築学会 全国二次審査「佳作」/全国入選/近畿支部入選 -他者とともに生きるやわらかな関係性のあり方 受動的な交流ではなく、能動的な他者との交流を通じて自分を理解することが「他者とともに生きる」ということではないだろうか。六甲病院健康管 理センターをリノベーションという形で一部解放し、そこで活動する地域住民同士が「空間をやわらかく仕切り・繋ぐ境界」を介して相手を認識・理解し、 自己を変容するきっかけを得られるような空間を再構築する。 4
ラクタルボロノイで敷地を分割することにより自然優位のスケールから人間優位のスケールまで大小様々な空間を生み出し、立体化したボロノイで成り
Other Works Wood Circulation Network Cultivating an Active Disaster Prevention 小店街 もぐらのイエ Adore the sky 神戸大学建築卒業展公式パンフレット 森に導く、森を導く FILM RANGE in Principle inlet→void Re:creation Hidden layer -都市の植生10th i-Rec competition「BETWEEN TRADITION AND INNOVATION -What must change and what mustn't in the face of disasters and climate change?-」(8名共同) 設計演習「開かれた家」 学内講評会選抜作品/学内誌KUAJ掲載 非常勤講師(島田陽)特別賞 第9回 POLUS -ポラス学生・建築デザインコンペティション 「終わらない家」 (3名共同) 設計演習「面構造によるメモリアル空間」(学部3年) 学内講評会選抜作品 神戸大学建築卒業展 運営《制作班》 公式パンフレット・名刺・その他制作物 (3名共同) 設計演習「地域の図書館+〇〇○」 学内講評会選抜作品/学内誌KUAJ掲載 計画演習「CAMPUS×ARCHITECTURAL STUDIOS」 学内講評会選抜作品 設計演習「都賀川沿いに建つ〈子育てスクエア〉」 学内講評会選抜作品 計画演習「神戸ウォーターフロント マスタープラン課題」 (6名共同) 計画演習「神戸ウォーターフロント ランドスケープ課題」 学内講評会選抜作品/京都ランドスケープデザイン展2021出展 セントラル硝子国際建築設計競技 「交感する空間」 (2名共同) 箱庭 木の家設計グランプリ2020 「自然を身方にする家」 B2 B3 B4 M1 5

About: Period: Site: Program: Awards: Concept:

計画演習「近畿圏の大学のためのセミナーハウス」(学部3年) 2020.10-2020.11 兵庫県神戸市灘区「灘丸山公園」 セミナーハウス 学内講評会選抜作品/学内誌KUAJ掲載 第52回毎日・DAS学生デザイン賞《金の卵賞》 入選 神戸の住宅街と六甲山の境界に位置する灘丸山公園。

平日は近所から散歩や運動をしに訪れる人が多く、休日になるともう少し遠方からも家族連れが訪れたり、大学生のサークル活動や小学 生のスポーツチームの練習風景なども垣間見ることができ、人々の自由な振る舞いが見られる非常に活気づいた公園である。

近年はこのような地域に根付いた「公園」は少なくなっているのではないだろうか。さらにこの灘丸山公園は都市の中に自然を作り出す ことで生まれた「公園」ではなく、六甲山と都市との間に存在する「緑の空間」 という意味で、今回の課題に対してこの敷地から貴重な 現状の機能を奪ってはならないと考えた。

そこで地域の人々が灘丸山公園で過ごしてきたようなこれまで通りの過ごし方ができながらも、セミナーハウスとして学生が研究活動に 打ち込むことのできる空間を計画した。さらに層雲と呼ばれる六甲山麓を度々覆う雲の特徴を手がかりに、地域住民と学生の両者に境目 を持たせるのではなく、空に浮かぶ雲のように境目のない、両者に緩やかな関係を生み出すことのできる透明感のある空間を目指した。

01 層雲
6 層雲
7 層雲

層雲

「基本雲形10種」のひとつに数えられる層雲は、空の中でも最も低い

地表近くに浮かんでおり、灰色または白色で層状になっている雲を指す。

厚みや色は一定であることが多く、千切れて独特な形になる場合もある。

1.敷地 2.コンセプト 1. 2. 3. 4. セミナーハウス 創造スタジオⅡ

を見せている。  地域に根付いた公園として利用されてきた灘丸山公園に、その機能が 所在地:神戸市灘区 敷地面積:3.2ha 基準標高:135.2m

失われることなくこれからも公園として利用できるようにセミナーハウ スの機能を灘丸山公園に埋め込む。  また公園とセミナーハウスに境界を持たせるのではなく 雲のように曖 昧な境界を与える ことで、研修施設としての一定の専門性を保ちながら も公園を利用する地域住民と学生とが交わることができる 透明感のある 空間を目指す。 0.層雲 3.ダイアグラム

講義室 実習室 休憩コーナー トイレ ゼミ棟 公園

神戸の景色 8

情報メディア室 創造スタジオⅠ 宿泊棟 ギャラリー 通路

外側へ寄せる 大屋根 開かれた空間 開かれない空間

六甲山麓に位置する 山の斜面を切り開いて生まれた緩やかな平地 であ り、南は住宅街、北は六甲山に挟まれている。標高が高く南側は神戸の 街並みとその先には神戸湾を眺めることができる。平日休日問わず多く セミナーハウス機能に関して、 公園に対して開かれる空間と開かれない空間を 交互に配置する。 ↓ 人のあまり寄り付かなかった所に行き来する 機会が新たに生まれる

の人々が訪れ、それぞれが散歩や運動・井戸端会議など 開かれる空間を中心に 開かれない空間を外側に寄せる。 ↓ 空間と空間の間に新たな空間が生まれ 広い公園の中に多様性が生まれる。

広場 カフェ・食堂 内側へ寄せる

自由な振る舞い セミナーハウス空間に一枚の大屋根をかける。 ↓ 離れた空間と空間に繋がりを持たせ 公園との中間領域を生み出す。

六甲山には度々この層雲がかかっており、馴染みのある風景ある。 賑わう敷地中心部と 外部からアクセスしやすい周辺に公園の機能を セミナーハウスの機能をその中間に配置する。 ↓ 公園内を行き来する人が セミナーハウスを通り抜ける
杣谷川 配置図 S=1:1000 0 10 50 100 (m) 9 層雲
宿泊棟最上階から景色を眺める 休憩スペースから広場を眺める 講義室と実習室の間を通る10 層雲
トイレ 大屋根 セミナーハウスの機能を持った空間全体を覆 う曲面の大屋根。ボリューム同士を緩やかに 繋ぎ、 公園空間とも緩やかな繋がりを生みだ す。 多目的ホール 坂道の途中でアクセスすることのできるホー ル。 地域住民を招いて屋内イベントなどを行 うことができる。 講義室・セミナールーム ガラス越しにすぐ周りを子どもたちが走り回 るとのできる、公園に開かれた学びの場。 カフェ・レストラン 公園の入り口近くにあり 地域 の人々も利用しやすい。 公園へと続く道 敷地南端の急斜面を 柔らかなカーブをもった 坂道を配置することによって敷地内外を繋ぐ。 メディアルーム 地域住民も気軽に利用することができる。 ギャラリー 学生の研究成果だけでなく、 地域住民や小中学生の作品を 展示することができる。 子ど もたちにとっての休憩の場と しても機能する。 宿泊棟(2,3F) 静かな緑の空間を感じなが ら、 神戸の景色を一望するこ とができる。 宿泊棟(1F) 大学関係者のみが入ることの できる空間。 11 層雲
断面図 S=1:200 0 5 15 25 (m) 宿泊棟内部のメイン吹き抜け空間を見上げる 講義室で授業風景を眺める 緩やかな傾斜に沿ったキャノピー空間 椅子を並べれば学生がプレゼン発表などをしたり 地域住民も気軽に参加することができる 六甲山の傾斜に馴染ませるために公園の一番奥に配置された宿泊棟 賑わう公園空間とは対照的に落ち着いた空間が広がっている 情報メディア室は山側は落ち着いた図書スペース、 海側は賑わいのある談話スペースとなっている 眺望 六甲山の傾斜に沿った屋根の形態 六甲颪が吹き抜ける 六甲颪が吹き抜ける 緩やかな起伏を持つ公園広場 12 層雲
講義室から講義室へと移動する 南側から多目的ホールへと向かう これまでの急峻な階段ではなく、 蛇行する緩やかな傾斜による公園へのアプローチ 途中で休憩して神戸の景色を楽しむことができる 登りきった先に公園とセミナーハウスが現れる これまでの景色の中に建築が溶け込んでいる 眺望 眺望 六甲山の傾斜に沿った屋根の形態 地域の人も自由に利用することができるカフェ・レストラン 眺望を楽しみながら地域住民と学生とが交流することができる 13 層雲
02 Archi FOREST About: Period: Site: Program: Awards: 卒業設計(学部4年) 2021.10-2022.02 伊丹空港(大阪国際空港) 都市公園 第53回毎日・DAS学生デザイン賞《金の卵賞》 入選 神戸大学建築卒業展 2022「序」Day3 「6選」 -伊丹空港跡地における生態系の再構築計画14 Archi FOREST
大都市大阪を支える北大阪に広がる巨大なベッドタウン。 少子高齢化の過程にある近未来においても過密したグレースケールが広がり続け、住環境やエネルギー環境・自然環境といった様々な面で問題を抱え続けるだろう。 そこで開港当初から多くの環境問題に直面し、現在も様々な問題を抱え、近未来に廃港が懸念される伊丹空港を豊かな都市公園として再計画する。 居住区などからなる人のための空間・緑豊かな空間を複合し、21世紀的な都市における自然環境・地球環境との共存を考える。 様々な側面を持った周辺環境と呼応しながらフラクタルボロノイを用いて敷地を分割することにより大小様々な空間を生み出す。 ボロノイから生まれる複雑な立体路はかつてこの土地にあった豊かな生態系を再び守り育てる籠となり、それらが空間化・建築化していくことによって人々の居場所を介入させていく。 大地から生じる大樹のような建築群は、根のような立体路のネットワークを介して人々と自然を結びつける 21世紀の都市に生まれる新たな森の拠点となる。 15 Archi FOREST
・車などの大きなモビリティに頼らない都市計画   →区画ごとに機能を集約させ、徒歩やマイクロモビリティ・公共交通機関で移動   →生物多様性の促進・回復、気候変動対策を行いながら新たに生まれる生態系を研究 ・人に近い空間や遠い空間を計画   →自然と触れ合えるような空間であったり、野生的な空間など、多様な空間を創り出す   →自然の空間も含めた敷地全体のエネルギーの循環を活発化し、環境的負担を生み出さない  ・柔軟性のある空間構造の計画   →将来的な人口の増減に対応するフレキシビリティのある都市計画  3市にまたがる都市空港である。広大な敷地は様々な都市の側面と接しており、密集した の環境問題が取り上げられてきた。現在は周辺地域との共存を目指し様々な事業をおこなっ ているが、関西3空港、リニア、脱炭素化、その他様々な要因から20世紀の日本の成長を 支えた伊丹空港は、様々な理由から近い未来廃港になってしまう可能性が考えられる。 過密都市の行方 伊丹空港跡地に新たな生態系を構築する 街並み。奥には伊丹空港が見える。 面積約320ha 豊中市住宅街 池田市住宅街 伊丹市住宅街 工場地帯 猪名川 16 Archi FOREST
私の地元である大阪府豊中市は大都市大阪を支える巨大なベッドタウンを形成している。 ・人口:40万人( 大阪府4位 ) ・人口密度:10830人( 大阪府3位 ) 人口は微減傾向にあるが周囲の町と比べるとまだまだ人口及び人口密度は大きい状態が続く と推定されている。また街に広がるグレースケープや過密ベッドタウン地域に見られる様々 な問題を抱えている。今後少子高齢化、人口減少をたどっていく21世紀日本の都市がそれら 様々な問題と向き合いながら発展していくための提案を行う。 ①人のための空間を構築する  ・周辺の過密地域から住民を呼び込み居住区を形成   →過密地域に空間的余裕が生まれることで都市全体の環境問題など様々な問題を改善
ボロノイ Voronoi diagram:点(母点)が与えられた時、どの点に一番近いかによって平面を分割したもの ボロノイグリッド 有機的・無方向性 人工的なグリッド 無機的・強方向性 ボロノイは自然環境や生命構造にもよく見られる、生命の成長にとって必要不可欠なグリッドである。有機的で方向性のないボロノイで構築された空間は方 向感覚を失う森のようであり、しかし多様な大きさ・角度などがひとつの空間に広がる様は、多様なものが多様なまま存在する生命力のある空間となる。 単純な生成原理から成り、様々な幾何学的特性を持つパターンである。そ の一方で自然界にも度々見られることから、「自然の中の数学」と呼ばれる こともある。(例:トンボの羽、キリン、とうもろこし、ウミガメの頭足、細胞) 17 Archi FOREST

動線(大)

舗装はアスファルト。自動車などの中大型モ ビリティが通ることのできる。旧B滑走路 を含んだ都市の大動脈となる。

動線(中)

舗装は再生アスファルト。スモールモビリ ティが主役となる動線。

動線(小)

立体路・グリーンスモールモビリティを含む 徒歩移動が主となる動線。

緑地空間 色の濃淡によって植物の密度を示している。

方向性の持たない森の空間にこの土地の過去を象徴する力強い方向性をもたらし そのスケールの大きさを訪れた人に印象つける。

風上の北西側防風林・保護林 かつてアスファルトに覆われていた敷地の風上でもある北西側は、 痩せた土壌や風などの環境圧に強いアカマツやクロマツをはじめとした常緑針葉樹林を配置。 密生林に囲まれたビオトープ 北西側の森 周囲から低い位置にあり水が流れ込んできて形成されるビオトープ。 密生林に囲まれており、人があまり介入しない野生動植物で溢れる空間になっている。 居住エリア1 落葉樹を中心とした明るい疎林に囲まれた居住エリア。 川に沿う形でエリアが形成されており、周囲の別エリアへのアクセスも容易である。 森の中の大広場 小坂田村跡地 空港計画によって解村を余儀なくされた村。 中心部の座標を大地に浮かび上がらせる。 モノレール蛍池駅 空港敷地に接続する公共交通機関。 エントランス 憩いの森 「憩いの森」である森の中心部は人がくつろいだりランニングしたりなど様々なアク ティビティを行うことのできる都市公園の役割を果たしている。それに合わせて季節 を感じられる落葉広葉樹の森を配置し、彩りのある空間で訪れる人々に憩いを与える。 森の周縁部 敷地を覆い尽くしていたアスファルトなどの瓦礫類を活用することで、平坦だった敷地の周縁部を盛り 上げ敷地全体をすり鉢状の地形にする。これと合わせて大気汚染などに強いとされる樹種を配置するこ とで、外部からの環境的悪影響を遮断しながらも立体感のある森を作り出し、空間全体に奥行きを与える。 水面に日影空間や水の流れの淀みを生み出す歩行デッキは 北西側と猪名川との距離が近く、生態系に関しても猪名川の固有種 がいくつか存在している。猪名川流域の植生をそのまま引き込みな がらも北西からの強風から敷地を守る樹種らによる混合林を配置。 一級河川猪名川 古くからこの地域一帯の生活と根強く関わってきた河川。 猪名川独自の生態系と新たに創出する生態系とを繋ぐ。 猪名川に面した散開林・草原 草原・疎林・密林へと、猪名川と森の生態系を緩やかに繋ぐ。 地域住民一体となった活動によって草原空間と猪名川流域の生態系を守る。 樹木葬霊園 周辺を常緑広葉樹林で囲まれた、疎生林からなる樹木葬を主とした霊園空間。 公園機能と霊園機能が混ざり合い、日常性と非日常性が溶け合う。 旧滑走路 かつてのA滑走路を葉における主脈のような、公園内モビリティの主要動線として再利用する。
密林
18 Archi FOREST
疎林 草原

立体路が人のための動線となる事で人々の踏圧が土壌にダ メージを与えることなく人々の回遊空間が生まれる。また 立体路全体が新たに生まれてくる森を様々な環境圧から守 る、敷地を覆う網のような存在となる。森が成長するまで 立体路が目立つ立体的な空間とランドスケープが広がり、 森が成長していくと木々が立体路を覆い尽くすようなラン ドスケープが生まれる。

CLT研究所・工場 スギやヒノキなどのCLTの原材料となる森林の近くにCLT研究所 と工場を計画する。高速ICも近く物流の要としての機能も果たす キャンプ場 都市の中の豊かな森に囲まれた散開林でのアウトドア 体験の場。落ち着いた常緑針葉樹林に囲まれている。 豊中市伊丹市クリーンランド 豊中市と伊丹市に住む約60万人の家庭系のゴミと 事業系の一般廃棄物を毎日処分している。 バイオマス発電所・コンポスト工場 森の間伐材や隣接するゴミ処理場・下水処理場から得られる 豊かなバイオ燃料を有効活用したエネルギー生産の新たな場。 猪名川流域下水道原田処理場 大阪府・兵庫県にわたる6市2町から排出される下水を処理している。 敷地南側の準工業地帯 かつて豊かな田園風景が広がっていた水田地帯は、 空港に接収され工場や倉庫が立ち並んでいる。 池沿いのビオトープ 水面に日影空間や水の流れの淀みを生み出す歩行デッキは 水陸空問わず多様な生物の居場所となる。 伊丹スカイパーク 今まで立ち入ることのできなかった広大な草原空間を公園と連続させる。 この森のひとつのエントランス空間となる。 南東側の森 「生産の森」である南東の森はバイオマス発電所やCLT 工場などといった生産的機能に加えて、スギやヒノキと いった建材で用いることのできる樹種の森を配置する。 環境教育研修センター 森の中心に位置する研修施設。学生や研究者だけでなく 幅広い人々が集い、自然に囲まれながら活動を行う。 S=1:5000 マスタープラン 0 100 500 1000 (m) 設計手法①ーフラクタルボロノイによる平面空間ゾーニング 320haにわたる広大な空間をフラクタル状のボロノイ分割によってゾーニングする。
居場所自然空間・密林 人の居場所・建築 空間のスケール大 小 フラクタル階層少 多
居住エリア2 商業エリアや教育エリアなども含めた大きめの人のための領域。 南東側の工場で働く人から周囲からヒコしてきた家族も含めて多様な人生活する。
フラクタル構造にすることによって全体のマスタープランから建築のプランニングに至るまで一貫した空間分割手法を用いる。またフラクタル階層を重ねれ ば重ねるほど細かいゾーニングが可能となり、広大な敷地の中でも自由にスケールを変えて計画を行うことができる。そのエリアを人間問わず誰が利用する のか、また森林空間と公園空間・建築空間との距離感によっても階層とスケールを操作し、空間を利用するものにとって最適な空間を創出する。
建築・構造的アプローチ ボロノイのポジとネガの部分の両方の空間が建築化する可 能性を持っている。それらが入り混じり連なることで、森 と建築の内外が交錯する空間が生まれる。 環境・生態系的アプローチ
設計手法②ー立体路による立体空間ゾーニング 設計手法①でゾーニングされたボロノイ分割線状の通路を立体化する。平坦な敷地に起伏が生まれ、 空間全体が立体化する。 S=1:2500 50 250 500 (m)S=1:5000 0 100 500 1000 (m)S=1:10000 0 200 1000 2000 (m)
GL+8500 S=1:1200 10 5 10 (m)GL+1500 S=1:1200 10 5 10 (m) 屋根から流れ落ちる雨水を受け止める 建築内に落ちた水を外に流す 温室 温室 宿泊棟 宿泊棟 温室 ランドスケープと一体化した建築 トラスによる大屋根 宿泊棟から水盤越しに池の景色を眺める 風が通り抜ける 風が通り抜ける 多方向からアクセスできる正面のない建築 水・自然・建築が同居する空間 宿泊棟はどの部屋からも水盤とその先に 広がる池・森を眺めることができる。 更衣室・浴場は半地下空間になっている。池には敷地の傾斜によって森中からの水が集まってくる。 ビオトープは多様な生物の居場所となる。 立体路が森中に張り巡らされている。 四季折々に変化する森が広がっている。 斜面を登り切ると池越しに森を眺めることができる。 水盤と池とが連続的につながる景色 大樹のような建築 屋根のトラス構造ー葉脈 「鋼材」 荷重の伝達/構造材/エネルギー輸送/立 体感/動き 方向性を持ってうねるトラス材は平面的な 大屋根に立体感と動きを与える。葉脈が持 つ葉の機械的支持的役割を持つ。 壁・ガラスー幹 「CLT材・ガラス」 大空間/力強さ/軽やかさ/奥行き CLT材特有の大きな面や、従来の木造軸 組構法では成り立たない大空間によって力 強さを感じる一方で、断面の薄さは空間に 軽やかさを与える。またガラスをスリット 状に挿入する事で空間に奥行きを与える。 ボロノイ1セルごとに大きな機能が 割り当てられる。(設計手法①) 20 Archi FOREST
断面パースS=1:300 0 5 10 20 (m) 研修センターから北方面に広がる 立体路をのんびりと歩いていく。 旧滑走路は車などの中型以上のモビリティ動線 として用いられる。CLT によって大空間が生み出される。セミナールームでは学生や研究員にむけて 講義などが行われる。 水盤には屋根の傾斜方向にしたがって雨水が溜 まるようになっている。 折り重なる大屋根はGrasshopperで設計 された立体トラスで支えられている。 半透明ソーラーパネルが埋め込まれた屋根が 発電量と下に透過する日光量を調節する。 屋上では森越しに大阪のビル群を 一望することができる。 燦々と降り注ぐ太陽の光 建築内を心地良い風が通り抜ける モビリティと人の動線を立体的に隔てる 人のアクセス 屋根ー葉 「半透明ソーラーパネル」 日光量/光合成/雨水 日光量に応じて内部に取り入れる光の量と発電量を 調整することで、屋根下空間の光熱環境をを常に最 適な環境に保つ。屋根の勾配は雨水の流れ落ちる方 向と日光を効率よく取り入れる角度を持つ。 屋根の柱ー枝 「鋼材」 構造/多様な角度・長さ/方向性/空間の多様性 屋根を支える柱は壁材に貫入することなく、平面的 には屋根の輪郭をなぞる。また 木々の枝のように 様々な角度や方向性を見せ、空間に多様性を与える。 立体通路ー根 「CLT材・木材」 巨大ネットワーク/交換と共有 建築を縦横無尽に貫入していく立体通路は、建築内 に留まらず隣の建築や周辺の立体路に連続的に接続 され、敷地全体を覆う巨大なネットワークを形成し ている。森の木々が地中の根を通して多様な交換や 共有を行なっているように、建築も常に周辺環境と 呼応し合う。 大屋根の下でさまざまな人々が 自然の豊かさを享受しながら活動する 21 Archi FOREST
22 Archi FOREST
23 Archi FOREST

03 日常をめくる

About: Period: Site: Program: Awards: Concept:

-他者とともに生きるやわらかな関係性のあり方-

2022年度日本建築学会設計競技「『他者』とともに生きる建築」(修士1年/4名共同)

2022.05-2022.06

兵庫県神戸市灘区 六甲病院「健康管理センター」

公共施設/リノベーション

日本建築学会 全国二次審査 佳作

全国一次審査 全国入選

近畿支部審査 支部入選

学内優秀作品/学内誌KUAJ掲載

私たちは、様々なものに影響を与えられ、日常の中を揺らぎながら生きている。

自己が能動的に関わった人や周囲の環境、身体を介して自己に影響を与える者が「他者」なのではないかと考えた。

現代の公共空間は公園・広場などの弱目的空間、学校や病院などの強目的空間に極度に二分化されている。今提案ではそれら二つの間に 位置する、他者と「やわらかな関係性」を構築することのできる空間を目指した。

六甲山麓の住宅街に位置する六甲病院健康管理センターは、地域住民が行き交う道に囲まれながらも周囲の環境から孤立した建築となっ ており、また現状の地域住民同士の関係性も希薄であった。そこで健康管理センターので使われていない空間を地域に解放し、カーテン をはじめとしたやわらかな境界を用いて空間を再構築することで、他者とのやわらかな関係性を生み出していく。

カーテンがめくれる、また「めくる」という些細な行為が自分が周りの人々と影響し合う中で生きており、周りの存在こそが自己を形成 する「他者」であることを認知するきっかけとなる。「日常をめくる」ことによってやわらかな関係性が生まれ、人々の新たな物語が生ま れることを期待する。

24 日常をめくる
25 日常をめくる

仮説に対する提案として、他者と生きるためには、相手に影響を与えるための自分身 体の延長のようなもの、公共施設を壁で囲って場所を決めず、もっとゆるやかに場所 をつなぎ心理的距離を近づけるものそれは、カーテンのようなやわらかなものが公共 空間に必要なのではないかと考えた。カーテンを介して自らが選択して獲得すること のできる関係性こそ相手を理解し自己を変容するきっかけを作り、持続可能的に他者 とつながることが可能があるのではないかと考える。

ex,広場 弱 強 交流の強弱
カーテンの持つ軽さ、薄さはお互い五感 で他者の存在を意識しながら、相手を認 識したり空間を構成する選択肢となる。 さらにカーテンは相手を認識する偶然性 を持っている。 今の壁で囲われている公共施設ではなく、 薄いカーテンで仕切ることで心理的距離が 近くなり、個人の場を作ることで自身の立 ち位置を外部に伝える他者を理解すること につながる。公共空間 上記の二つの関係の間に位置する、 他者との『やわらかな関係性』を目指す。 ex,学校、コミュニティセンター
集団の中で場所をある種、強制的『場』に見つけるのではなく、それぞれ の『場』の捉え方をもち、一人一人が『個』をもち個人の空間を捉え、影 響し合う状態こそ他者と生きるための公共空間のあり方なのではないか。
現代の公共の場とはどのようなものか。例として、広場のような開けた場所に いたとしても他人を認識するだけで終わってしまい、ましては交流などありは しない。また、学校やコミュニティセンターのような公共施設のなかに入った としても、集団の中の一個人として、受動的に場所が決まり、交流する。私た ちの世界は極度に二分化されているのではないだろうか?
SNS 所有物
「他者」とは 私たちが目指す『他者との生き方』- やわらかな関係性- -設計趣旨-他者と自己を繋ぎ空間をやわらかく仕切る仕掛け -仮説-他者と生きるための公共空間とは 26 日常をめくる
集団の中の個人ではなく、個人が自ら選択し他者との交流をはかり、そこ で偶然性を持って出会った他者との行為や交流を通し他者と相対化し相手 を理解自己が変容することが他者と生きることなのではないか。 人 家 近隣住民
私たちは、様々なものに影響を与え られ、日常の中を揺らぎながら生き ている。他者とは、近隣住民、自己 が能動的に関わった人、周りの環境 など、自己の身体を介して影響を与 えるものが他者なのではないか。 問題提起
墓地 田中のおばあさんの家 墓地 墓地 対象敷地 8:00-9:00,14:00-16:00 鷹匠中学校の動線 薬局 善光寺 若草幼稚園 六甲病院 親和中学校 9:00-18:00 病院に来る車、人の動線 ・計画敷地:兵庫県神戸市六甲健康管理センター ・対象敷地面積:912.74㎡ 六甲山麓の住宅街に位置する。 周辺にはお寺、お墓、中学校、病院など様々な 目的を持った人が行き交っているが、大地の地 形と閉じられた建物により、人の関係は大きく 分断されている。 16:00 親和中学校下校の動線
敷地図 S=1:500 27 日常をめくる
『六甲病院 健康管理センター』 1日の訪問者数 約5人(月100人) 3階建て RC造 延床面積 1085.64㎡ 敷地は周辺環境から切り離された、存在の曖昧な特異点のよ うな場所である。暮らしの中にある公私の日常の領域にこそ、 他者を理解し交流の場となる可能性を秘めているのではない だろうか。ここに他者との関係を再構築するやわらかな空間 のあり方を提案する。 提案 健康管理センターの再計画
A-Aʼ断面パースS=1:100 0 1 5 10 (m) 雨水は地下の浄化槽に集められ 建築内で再利用される。 雨水は地下の浄化槽に集められ建築内で再利用される。 浄化・貯水槽 六甲颪が通り抜ける 風通しがいい 太陽光 北西部から2階エントランスへのアプローチ。 屋上では膜によって覆われた360度周囲の景色を楽しむ。 他者を認識することのできる大きな舞台ともなっている。 六甲病院へと向かう上り道 内部と外部を柔らかく隔てる膜 28 日常をめくる
太陽光 太陽光 膜によって建築全体を覆う。 構造はスペースフレーム で、単管パイプとワイヤーを用いている。 最上階で演奏会。膜に反射し音楽が空間内に響き渡る。 1階南西部は敷地の傾斜を利用した段差のある空間が広がっている。 南西から1階へのアプローチ。 鷹匠中通学路となっており、朝夕は特に多くの人がここを通る。 ファサードはETFE膜の他にもフレームの枠ごとに 様々な素材を用いたり、開口を設けたりしている。 `22 6 13 8:46 `22 6 13 10:43 `22 6 13 12:24 `22 6 13 13:25 `22 6 13 15:31 `22 6 13 16:12 `22 6 13 7:12 `22 6 13 14:05 29 日常をめくる

現地でのヒヤリング 人々の生活を設計に落とし込 むために、敷地とその周辺に

てヒアリングを実施した。

通学路の小中学生

鷹匠中学校や親和中学校に通学する学生。中学校の北側には公園があり小中学生が 溜まってたが、敷地付近にはそのような場所はない。通学路として敷地の西側を毎 日通行している。

田中のおばあさん(墓地の住人) 六甲病院の院長健康管理センターの管理人さん(歴20年)

健康管理センターは近々建て替え予定であり、屋上も含め老朽化している。1日に平均5人、月に100人が 人間ドックに来場する。現在は三宮などで気軽に人間ドックを受けることできる施設が増えており、その数は 減少傾向にある。かつては訪問講義もしていたが、1年前に経営が変わり、現状の地域との交流は全くない。

墓地の真ん中に家を構え、犬と二人暮らし。80歳を超えるがとても気さくなおばあさん。 かつては、墓地に幼稚園児が来ていたことがあったが近頃はあまり接点がない。幼稚園の園 長さんとは知り合い。

六甲おろしが吹く敷地で、環境にやわらかく順応する 屋根を形成するため、CFDによる風解析から屋根の スタディを行った。太陽の直射を遮蔽し建物全体の熱 環境を向上させる。エッジを曲線にすることで風を垂 直に受けず周囲にいなすことが可能であり。膜の一部 上部に開口をあけ風を通す。また風を強く受ける部分 の単管パイプは構造的に太くした。

CFDを用いた風解析で神戸市の平均風速3.6m/sと 六甲おろし8.5m/s西北西~北の場合を測定。

最近は職員を増やしており、国道を通って車で西の道路から来る人がほとんどである。コロ ナ渦になり、経営が傾いたため、1年前に経営が変わっている。病院と健康管理センターの 出来た年はデータが無く不明である。

幼稚園のセキュリティが固くインタビューは断られたが、田中さんと善光寺の住職の方と は少ないながらも交流があるそうだ。

既存の健康管理センターの機能を一部だけ残し、インタビューによって現在使われていない居室や人が来ることが少ない、軽食ルー ムやトレーニングルームなどは解体する。さらに、人を断絶している主道路から見える壁も解体する。改修としては、地形の起伏を 内部まで取り込み、敷地と建築を緩やかにつなぎ、オープンスペースを設ける。また、リサーチした人の動線にそって、カーテンのレー ルを敷き、壁とは異なるやわらかな空間を作り出す。 風の受ける面からの膜の形状スタディ。 既存 減築 改修 建築形態Diagram建築構成と風解析による屋根スタディ 30 日常をめくる

このお寺は震災後建て直され、築80年ほどである。お寺に来たり、納骨する人は基本六甲近隣からで、遠方 は例えば吹田の範囲の方が多い。朝毎日お参りに来る人もいるが基本週末に訪れる人が多い。
幼稚園の園長善光寺の住職の奥さん
Etfe フィルム膜 単管パイプ
h=カーテンの下端からレールまでの長さ  17 18 19 登校 下校 放課後 自習 受付 診察開始 診察終了 軽食・休憩 お墓参り(涼しい午前中) お墓参り(涼しい夕方) 昼食 昼食リモートワーク リモートワーク ママ会(クッキング) 送り迎え送り迎え 井戸端会議 朝食 朝食 晩酌 晩酌 朝活 趣味・〇〇教室趣味・〇〇教室 診察 軽食・休憩 昼食・休憩 鷹匠中学校の生徒 人間ドックに来る人 お墓参りに来る人 六甲病院に通院する人 リモートワークの社会人 主婦 社会人 高齢者 土山町の人の生活に合わせた平面と空間の移り変わり 土山町のとある一日(6月13日) UP 事務室 屋外 食堂 MWC WWC EV 倉庫 type-2 h=2600 type-4 h=900 type-5
type-3
type-3
② ① ① ② ①②
身体検査 コーナー ② ③ ① 身体検査 コーナー 採血室 診察室 UP ② ③ ① 2階平面図(昼) S=1:500 2階平面図(夕) S=1:500
採尿室 生理検査室 身体検査 コーナー 診察室 採血室 MWC WWC EV 診察室 UP type-1 h=1,800 type-5 h=2,600 type-2 h=1800 ③ Type5-「ポリエステル」 光沢があり滑らかで、ツルツルとした 触り心地が特徴の素材。 透過度  肌触り   耐久性 Type4-「オーロラリフレクター(白)」 再帰性反射性により空間に様々な 色を映し出す最新の素材。 透過度  肌触り   耐久性  Type1-「タイベック」 防水性に優れ、プラスチックを100% リサイクルしており持続可能的な素材。 透過度  肌触り    耐久性  Type2-「リネン(麻)」 やわらかな質感とほのかな色味を持つ。 日常に馴染む優しい素材。 透過度  肌触り     耐久性  Type3-「オーガンジー」 薄手で上品な透明感と独特の光沢感を 併せ持つ軽やかな素材。 透過度  肌触り   耐久性  31 日常をめくる
h=2600
h=900
h=1800
①3階南西部は見晴らしがよく、時間帯や利用者層、天 気、利用者の意図など様々な要因となり配置が変化する カーテンによって見える景色や方向性が変化していく。 ②病院から直接アプローチできる3階東エントランス。 そのまま南西部へ進むことができる。
③診察室前の空間は人間ドックが使われている時と そうでない時とでカーテンによって空間が変容する。 ①南西の広場は利用者の数によってカーテンの位置が変化する。また環 境によっても変化し、夕方は西日を遮るようにカーテンが配置される。 ②2階北西部のエントランスでは六甲に吹く北風の強さや 個人としての利用客の数に応じてカーテンが配置される。

04 Layered Harbor

About: Period: Site: Program: Awards: Concept:

設計演習特論「BAY OF RESILIENCE : 大阪湾内湾におけるレジリエント・デザイン」(修士1年) 2022.06-2022.08 大阪府大阪市港区「弁天埠頭」 港・公共施設・災害時避難拠点 学内講評会選抜作品/学内誌KUAJ掲載 関西マスタープロジェクト展2022出展

かつての「水都大阪」を支えた弁天埠頭を、生命力豊かな親水拠点へと計画する。

大阪内湾に位置する安治川は古くから大阪内部への水上航路として重宝された一方で、海抜0m地帯であるこのエリアに深刻な水害を もたらしていた。現在は安治川水門と強固な矢板構造による防潮堤によって水害は免れてはいるが、街と水辺は断絶され、水都大阪 の面影は感じることができない。また安治川中流に位置する弁天埠頭は過去にはこの地域の水運産業を支えてきたが、現在はその中 心が沿岸部に移動してしまった事で産業は廃れ、埠頭は人の寄り付かない場所になってしまっている。人口過密地域にも関わらず避 難スペースは不足していることからも、弁天における災害対策の核となるような存在が必要に迫られている。 そこで弁天埠頭を、襲い来る水害に対してのレジリエンスと、水都大阪の未来を担う拠点としてのポテンシャルを併せ持つ「港」と して新たに計画する。海と陸とを隔てる防潮堤の代わりとなる「緑の堤防」 は、水害時は氾濫原となる災害緩衝地帯として、日常時 の人との距離を生み出さない親水空間となる。「積層された港」は弁天に住む人と観光客とを、そして中之島エリアと湾岸エリアとを 結ぶハブ機能を有する新たな拠点であり、災害時には安治川新水門と連携することで海抜0m地帯の核となる巨大避難拠点として機 能し、災害の規模に応じてその姿を変容させながら人々を迫り来る水害から守る。

強固な防潮堤を取り払うことで生まれる豊かな水辺空間、また力強いレジリエンス力を持った新たな埠頭空間は、「日常」と「非日常」 を問わず、この地域の人々にとっての拠り所となる。

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敷地:弁天埠頭 (大阪府港区弁天町) コンセプト レジリエンスについて考える ◯現在の高潮等水害対策 過去の被害を重ね合わせて考えられる最大規模を想定 堤防は矢板構造を用いており、予測最大潮位O.P+5.20mに対して防潮水門外ではO.P+6.60m、 防潮水門内ではO.P+4.20mになるように整備されている。水門と組み合わせた防潮堤による水 害対策自体は効果的であり、設置以降この地域は大きな水害被害は受けていない。 日常 非日常 「中之島・大阪城エリアとベイアリアを繋ぐハブ拠点」 「弁天の住人と観光客を繋ぐハブ拠点」 「海抜0m地帯における高所災害避難拠点」 「船運を用いた物資・人員輸送拠点」 平常時 災害時 弁天町住民 観光客 大阪の観光の足掛かりと して施設を利用。 地域の新たな親水空間と して施設を利用。 エリア外に逃れるまでの 短期的な避難所利用。 地域の復旧が進むまでの 中長期的な避難所利用。 観光客 弁天町住民 災害拠点へと転換 元のハブ拠点へと復興 海抜0m地帯における高所 大阪湾内湾の安治川中流に位置
◯避難計算 一時避難所(短期避難) 弁天町4~6丁目の5205人+観光客 原則避難計画人口一人当たり1㎡以上を確保 =5205㎡+αの空間確保 災害時避難所(中長期避難) 弁天町の11799人
◯避難者用備蓄計算(国交省資料:3日分の備蓄面積の試算例を参考) 飲料水3L/日・人(箱寸法2L×6本で327×188×325)、乾パンは成人男子の最低限の必要エ ネルギー(1200kcal)分として300g/日(箱寸法100g×24缶で465×315×125) 以上より体積0.0073㎥/人・日、3日分で0.022㎥/人、上積み1.8m以下として通路等面積 60%増しで0.02㎡/人、毛布は1.8m以下として0.012㎡/人、計0.032㎡/人 よって11799×0.032=377.568㎡のスペースが必要となる。 中之島エリア~弁天埠頭~ベイエリア 交流 「日常」「非日常」共に大阪港区のハブとなる新たな埠頭 34 Layered Harbor
O.P+4.2m 人口:11799人(2019) 人口密度:20000人/km2 (港区人口密度:10101人/km2) 高齢者人口割合:26.1% (大阪市平均:24.4%) 水都大阪 ◯ベイエリア 様々な機能を持った人工島々による、これからの 大阪の国際発展を担うウォーターフロント開発。 北大阪の都心部として発展。水都大阪再生に向け て水上交通の創出を図っている。 ◯中之島・大阪城エリア ◯主な対象とする災害  津波・高潮
避難者一人当たり2~3㎡程度の広さと通路の確保 =23598㎡+αの空間確保 ◯対象の人々  大阪市港区弁天町に住む人々・訪れる観光客 ◯避難場所状況  一時避難ビル  津波避難ビル  災害避難所  福祉避難所 点在 不足  大きな避難拠点  避難スペース
0 100 300 500 (m) Site Plan S=1:5000 方向性の獲得 安治川の軸線 安治川水門 複数の方向に振った埠頭から安治川への方向性 R=57m 弁天町商店街・住宅街 弁天町住宅街 ←至JR安治川口駅 JR弁天町駅 工場・倉庫群 緑の堤防 緑の堤防 安治川 35 Layered Harbor
O.P 10.6m O.P 6.6m O.P 0m 駐車場貯水 公園・テラス 船着場 緑の防潮堤 水門 管理棟 ラウンジからテラスと安治川、弁天町の街並みを眺める屋上テラスを歩く。左には安治川水門を型取った開口部 36 Layered Harbor
Cross Section Perspective S=1:800 0 5 15 30 (m) 災害時用物資保管庫 カフェ・ラウンジ テラス テラス・通路フードコート 駐車場 船着場 既存の上屋ボリュームによる建築空間 埠頭などの貨物発着所に設けられている、荷捌き・中継ぎ作業 を行うための一時保管または通関業務に使用された空間。運送 業に用いられてきた大空間を日常時は人々に開く場、非常時は 大人数を収容することのできる避難所として機能する。 積層された人工地盤による多様な空間 人工地盤を積み重ねることにより、屋内や屋外、日向空間や日 陰空間など様々な空間を生み出す。災害時にはそれぞれが避難 スペースとしても機能する。 安治川に近づく親水空間 人工地盤を降りていくことで安治川の親水空間を体感すること ができる。人工地盤の下は浸水した時に備えて、人があまり長 時間滞在しないモビリティスペースとなっている 体育館 テラス モビリティ ラウンジからテラスと安治川、弁天町の街並みを眺める 37 Layered Harbor
GL+8000 GL+4000 GL+0 GL+0 GL+4000 GL+4000
GL+4000 GL+8000
GL+5000
1 3 4 10 11 12 5 6 6 6 7 8 8 96 2 38 Layered Harbor
1.フードコート(屋内避難所) 2.コンビニ(物資拠点) 3.災害時用食糧保存庫 4.カフェ・ラウンジ(避難所) 5.土産販売店(物資拠点) 6.店舗 7.シャワー室・更衣室 8.体育館(避難所) バスケットボールコート3面 バドミントンコート16面 ハンドボールコート1面etc. 9.災害時用物資保管庫 10.貯水槽(約10000㎥) 11.駐車場(480台) 12.ロータリー
平常時(O.P 0m) 想定される水害の発生後 想定を超える水害の発生後 緑の防潮堤(平常時) 街から水辺空間までをなだらかな擁壁で繋ぐ。安治川の様子を自然と共に 日常的に感じられる。住民や観光客にとっての憩いの空間となる。 緑の防潮堤(水害時) 水が押し寄せるに従って徐々に水位が上がり、緑の空間が氾濫原とな る。危険を事前に察知できるように配慮されている。 現在の防潮堤(平常時) 背の高い防潮堤によって水辺空間と 街が分断されている。工場や事務所 が立ち並んでいて、住民や観光客が 近寄り難い。 現在の防潮堤(水害時) 防潮堤が決壊するまで街側からは水 位の現状に気がつきにくい。水位が 防潮堤を超えると一気に水が街に押 し寄せる。 39 Layered Harbor

Architecture Portfolio

Yuki Motoyama Selected Works 2019-2022

Architecture Portfolio

Yuki Motoyama Selected Works 2019-2022

編集・デザイン  本山有貴

神戸大学大学院工学研究科建築学専攻

建築設計・環境デザイン研究室 光嶋裕介研究室

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