Landscape Architecture Portfolio, Yusuke Nakashima

PORTFOLIO

2017~2024

日々、生活していると考えることが多い。

今朝読んだ小説について少し思ったこと。午後にある打ち合わせの 資料のこと。うちに帰ったら作る夕飯のこと。来週末にある友人と の食事のこと。

空を見て深呼吸しながら小説のことを考えると心に言葉が浸透して くる。明るい緑の葉を陽の光が射すデスクで仕事を進めるとちょっ と仕事が軽やかになる。夕日が映る水面を眺めながら夕飯のことを 考えると一日充実していたなと感じる。植物に水をやりながら友人 で食事について連絡をすると楽しい気持ちで心が満たされる。

僕は人生を豊かにする空間を設計したい。

中島 悠輔

1991 　　　 愛知県にて出生

1991 - 1996 オーストラリア、シドニーにて幼少期を過ごす。 　　　　　　 日本帰国。愛知県にて過ごす。

2011 - 2015　東京大学農学部緑地環境学専修

2015 - 2017　東京大学大学院 工学系研究科 都市工学専攻 環境デザイン研究室

2017 - 2018　東京にてFIELD FOUR DESIGN OFFICE, LOSFEE, S2 Design and Planning　　　 　　　　　　 にてインターン

2018 - 2021　メルボルン大学ランドスケープアーキテクチャ修士 　　　　　　 SMECにてインターン

2021 - 2021　メルボルンにてAcer Landscape 勤務

2021 - 2023　ベルリンにてMettler Landschaftsarchitekture 勤務 　　　　　　 ヨーロッパを中心に19か国の庭と公園を巡る。

2023 - 　 　　 東京にてKakSak勤務

幼少期にオーストラリアの大自然に触れた経験から ランドスケープアーキテクトを志すようになった。

ほっと一息自然の美しさを捉え、空間として表現するこ とを大事にしている。

スキル

- Microsoft 全般（Word, Excel, Powerpoint）

- Adobe(Illustrator, Photoshop, InDesign)

- CAD (Vectorworks, Autocad)

- 3D(Rhinoceros, Grasshopper)

- GIS(ArcGIS, QGIS)

- 模型製作

- 写真撮影

- 英会話

- 文章執筆

受賞作品

- 第27回ユニオン造形デザイン賞入賞

- Neugestaltung Spitzgarten Klosterinsel Rheinau 入賞

- Neubau Schwimmbad Sonnenberg入賞

- Neubau Erweiterung Grundschule, Wandlitz 入賞

執筆活動

- 吹田良平「MEZZANINE VOLUME 5 AUTUMN 2021」寄稿

- 学芸出版社まち座にて「欧州ランドスケープ探訪」連載

-東京建築士会「建築東京」にて

「ランドスケープアーキテクチャの「主義」を追う旅」連載

ランドスケープ作品 目次

Work 5. オーストラリアにおける庭園設計施工業務 Mar 2021

メルボルン、オーストラリア

執筆作品

Work 6. ドイツにおけるランドスケープ設計業務 Aug 2019 ベルリン、ドイツ P.59-65 P.59-65

Work 7. 欧州ランドスケープ探訪 2022-2023 ヨーロッパ各国

ランドスケープ作品

Work1.

リズムを生む道

Nov 2020

メルボルン、オーストラリア

パークレットプロジェクト メルボルン大学修士課程卒業制作

このプロジェクトは、コロナ禍後、一般的な潮 流となったテレワークと人の生活の在り方に焦 点を当てている。テレワークには効率的な時間 の活用など多くの利点がある。その一方、社会 的孤立が助長され、仕事と休息を分ける「場所」 と「時間」の境が曖昧になり生活のリズムが失 われやすい。特に車社会のオーストラリアでは、 郊外住宅街の近くに都市施設は少なく、自宅で 仕事をしていると社会から孤立した感覚に陥る。

本プロジェクトはメルボルンの典型的な郊外住 宅街Elwoodを対象地とし、テレワークが進むこ とにより2030年までに30%は不要になると言わ れている路上駐車スペースを、レインガーデンと シェアオフィス、エクササイズスペース、地域の レクリエーションスペースに変え、家を出て道を 散歩するうちに、地域の人々と交流し、日々のリ ズムを取り戻すシステムを提案している。

STREET TYPE 2

1 STREET TYPE

Work2.

コロナ後の キャンパスランドスケープ

Aug 2020

メルボルン、オーストラリア

大学キャンパスデザイン メルボルン大学設計課題

このプロジェクトは、コロナ禍、オンライ ン授業が浸透し利用が減った大学キャンパ スの新たな在り方を示している。オンライ ンコミュニケーションにより通学・通勤時 間が無くなり、情報伝達が効率化した。そ の一方、インターネットを使った学習では、 自分が持っている知識から大きく外れた物 事に出会う機会が失われている。

大学とは自分が全く知らない知識に出会い 視野を広げるための場ではないだろうか。 本プロジェクトでは、メルボルン大学のキャ ンパスを大展示空間に変化させ、地下に暗 渠化されている水系を地表に顕在化させる ことで、展示空間を仕切り、人が滞留して 意見交換する場を創出する。

① Study Building

② Library Building

③ Bridge

④ Biofilteration Pond

⑤ Outdoor Lecture Space

⑥ Cloth Box Exhibition Space

⑦ Small Box Exhibition Space

⑧ Exhibition Corridor

⑨ Exhibition Board Space

⑩ Exhibition Frame Space

⑪ Bluestone Pavement

⑫ Deck Pavement

⑬ Lawn Area

Cinema Screen & Stage Pathway Screen and Stage

Exhibition Booth

Livestream Studio

Exhibition Booth

Cleaned Water Storage Tank

Cleaned Water Storage Tank

Stormwater Storage Tank

Outdoor Ecology Class

Exhibition Furnitures

Small Box Exhibition Space

Box Exhibition Space Steel Mesh Bench

Exhibition Board Space Exhibition Corridor Space

Exhibition Frame Space

Work3.

日豪の庭

Jul 2019

メルボルン、オーストラリア

屋上庭園設計 メルボルン大学課題

本プロジェクトはメルボルン大学のキャンパス 屋上にある既存の日本庭園に対する改修提案で ある。この屋上庭園はメルボルン大学が日本を はじめとするアジアへの文化の理解を示す場で ある。

海外にある多くの日本庭園は日本庭園のオースト ラリアという地で日本庭園を表層的に再現するの ではなく、日本庭園の考え方を抽出し、オースト ラリアの植物・素材を使って再解釈して表現した プロジェクトである。また日本庭園とオーストラ リアの景観が緩やかに連続する庭を提案し、二つ の文化の調和を表現した。

Australian Landscape

Japanese Landscape

Wootten Road Reserve

Openness is the biggest characteristic of Australian garden

Myogenji Temple

Closedness is the biggest characteristic of English garden

Closed Area

OpenedArea Corridor Kitchen Room

Japanese Room

垂直方向に伸びる竹の伸びやかさと葉が風に靡く涼やかさ、 Eucalyptus saxatilis

Eucalyptus saxatilis (Mount Wheeler Mallee)

h x w at maturity: 8 m x 5-7 m

桜の花の儚さと青々と茂る夏の葉の勢い、Prunus ilicifolia

Prunus ilicifolia

(Holly-leaved Cherry)

h x w at maturity: 3-8 m x 3-8 m

紅葉が持つ秋の暖かさと寂しさ、Crataegus monogyna, Eucalyptus kruseana

Crataegus monogyna

(English Hawthorn)

h x w at maturity: 5-9 m x 5-7 m

Eucalyptus kruseana

(Book-leaf Mallee)

h x w at maturity: 2-3.5 m x 2-3.5 m

松の幹から感じる海の厳しさと力強さ、Leptospermum laevigatum

Leptospermum laevigatum

(Coastal Tea-tree)

h x w at maturity: 5-8 m x 4-5 m

ツツジが表現する山の穏やかさと柔らかさ、Australian shrubs

Leptospermum laevigatum

(Coastal Tea-tree)

h x w at maturity: 5-8 m x 4-5 m

Adenanthos sericeus (Coastal Woollybush)

h x w at maturity: 2-7 m x 2-6 m

Callistemon 'Little John' (no common name)

h x w at maturity: 1.2 m x 1-2 m

Banksia spinulosa (Hairpin Banksia)

h x w at maturity: 2-3 m x 3-4 m

Podocarpus macrophyllus Leptospermum laevigatum Adenanthos sericeus

Callistemon 'Little John' Podocarpus macrophyllus

Phyllostachys bambusoides

Pinus thunbergii Leptospermum laevigatum Prunus ilicifolia Prunus

saxatilis

Eucalyptus kruseana

Acer palmatum Crataegus monogyna

Height Scheme

Work4.

夜行性動物と人の為の 自転車道

Nov 2018

メルボルン、オーストラリア

照明設計

メルボルン大学課題

本プロジェクトではメルボルンの主要な 川であるヤラ川沿いを通る自転車道に対 して照明計画を提案した。

ヤラ自転車道は、メルボルンのCBDエ リアと主要な郊外を結んでおりメルボル ン市民の通勤によく利用されている。夕 方5〜6時、薄暗い中約70人のサイクリ ストが自転車道を利用していたが、自転 車道には照明がなく非常に危険である。

在来種のウナギや、カモノハシやフクロ モモンガやコウモリといった動植物が住 む自然豊かなこの地はかつて先住民であ るアボリジニの複数の部族が漁をし交流 する重要なキャンプ地であり、現在は自 然保護地区となっている。夜行性の動物 も多く、光害を与えない工夫が求められ ている。

本プロジェクトは光の拡散を抑えつつ人 の進路を照らす照明計画を提案した。

道路に埋め込まれたライナーライトは上 部に庇がつけられ左右方向にしか光を拡 散しない。通行者が通ったところだけが 点灯することにより人の安全を確保しつ つ、光害を抑えている。交差点や休憩所 などに最小限のトップダウンライトが取 り付けられ、休憩施設は模型検討により 光が漏れにくい形状が提案されている。

また照明の光量・色温度の微妙な変化が 地域の特異な文化・歴史を伝えている。 オレンジ色の暖かで暗いエリアはアボリ ジニのキャンプ地を示しており、黄色の 明るいエリアは近代以降の工場地として の歴史を表している。

Work5.

オーストラリアにおける

庭園設計・施工業務

2020-2021

メルボルン、オーストラリア

個人庭設計・施工アシスタント

Acer Landscapesにおける実務プロジェクト

R邸, メルボルン

メルボルン郊外の約150㎡の個人住 宅の敷地に対して日本庭園を造るプ ロジェクト。オーストラリアの乾燥 した天候に耐え、また木陰や建物の 陰でも生き残る植物の選定すること が課題であった。

モミジやツバキ、アジサイやハラン、 タマリュウといった日本のプロジェ クトでも使われれる植物に加え、ダ イコンドラ・アルゲンテア‘シルバー・ フォールズ’やラビットフットファー ンといったオーストラリアの気候に 耐える植物を加え作庭した。

C邸, メルボルン

メルボルン郊外の約150㎡の個人住 宅の敷地であった。日本庭園の持つ 不規則さや自然的な要素とオースト ラリアらしい芝生の広がる伸びやか な景色を併せ持つ庭を目指した。

陽が当たり乾燥しやすいため、ディ コンドラやカンガルーポー、バンク シアやグレビレアなど日光に強い オーストラリアの在来種を多く使用 し、マルチにより土の保水力を高め ている。

飛石とテラスはグレーをメルボルン 近郊で取れるブルーストーン（玄武 岩）を使っている。また飛石の側面 は自然な岩肌を残しているが、上面 は平らに研磨されており、日本的な 要素であるがモダンであり、テラス や芝生の庭とオーストラリアらしい 景色と調和している。

Work6.

ドイツにおける ランドスケープ設計業務

2021-2023

ベルリン、ドイツ

公共空間ランドスケープ設計 Mettler Landschaftsarchitekturにおける実務プロジェクト

ロールシャッハーベルク墓地改修計画、スイス

スイス、ザンクトガレン州の墓 地の改修計画。1912年に建てら れたこの墓地は、アドルフ ガウ ディによる正面玄関の軸方向 と 墓地の丘かの放射状の構造が特 徴的であるが樹木が成長し細い 道に道が増え、これらの構造を 不明瞭となっていたため、再整 理し、「幹」をテーマに空間を 再整理した。最も外側のリング は在来種の樹木の森林エリアで 都市空間と墓地のバッファーと なる。中間のリングは古典的な 骨壷列墓を収容するエリアであ り、低木と草本が生える花畑で あり中央の丘を穏やかに取り囲 む。中央の丘にはオベリスクと 休憩場所があり訪れた人が墓地 と周囲の自然を楽しむ。それら のリングを繋ぐように軸となる 道が通り、東側中央玄関前は菩 提樹の並木道を提案し、外から 内側に歩くにつれ徐々に明るく なる空間を提案した。

ライナウ修道院の庭の改修計画、スイス

Neugestaltung Spitzgarten Klosterinsel Rheinau 入賞

スイス、ライン川に浮かぶライナウ修道院は8世紀に

設立されたとされ、これまで何度も改修される中で使

われない遊び場エリアといった利用されない空間が生 まれたため現代の生活にあった再改修が求められた。

提案ではヨーロッパの修道院の庭の歴史を丁寧に辿る

ことが意識された。中世に造られた薬草や野菜を作っ てきた実用的な庭は、幾何学的な形を連続させたテー マガーデン、さらに遊び場エリアに繋がる。島の護岸 は白樺の大木が植っており、バロック時代から島のプ ライバシーを守ってきた。これらの景観は街の文化財

として保全・管理することを提案した。また、島の先 端のチャペルから修道院中央へは栗の並木が徐々にラ ンダムに植えられた果樹に変わっていき、地域の人が 季節の変化を感じながら散歩を楽しむ明るい空間を目 指した。

執筆作品

Work7.

欧州ランドスケープ探訪

2021-2023

ヨーロッパ各国

私は幼少期に触れたオーストラリアの 自然がきっかけで人の生活の中に自然 に触れる時間・空間を造りたいと思っ

てきた。生態学や都市計画など自然と 空間に関わる勉強・仕事を続けてきた が、ランドスケープアーキテクチャに は様々な在り方があることに気がつい た。観賞用の植物が華やかに飾る花壇 や芝生の広がる穏やかな景色、手付か ずの自然のままの森、建築的な丁寧に コントロールされた庭。どういった 庭が私たちの生活を豊かするのか、私 ははっきりとした答えを見出せていな かった。

歴史的にランドスケープの考え方が生 まれてきたヨーロッパの多種多様な庭 や公園を実際に見ることでその答えに 近づけるのではないか、そう思い私は ヨーロッパ各都市のランドスケープを 巡る旅に出かけることにした。

視察・記事執筆

個人としての執筆活動

幾何学の中にみる落ち着いた 暮らしの景色 デンマーク/コペンハーゲン

コペンハーゲンの庭園や公園、建築、都市の 形には、幾何学がたくさん見られる。

例えば、〈カステレット要塞〉は防御に適し た星形をしており、バイキングや他国の攻撃 から街を守った。それと同時期、17世紀初 頭に造られた〈キングスガーデン〉は平面幾 何学様式の庭である。その幾何学の流れは流 れは近世のモダニズムの流れにも見ることが でき、アルネ・ヤコブセンが設計した〈ベル ビュービーチ〉は好例だ。こういった丁寧に 幾何学を扱う文化はバイキングと造船の歴史 からきているのではないだろうか。

（続く）

庭園の歴史を汲む装飾的な公園 フランス/パリ・ヴェルサイユ

春先にパリを訪れた際には、街全体そして公 園の装飾性の強さに面食らった。

パリの公園は、並木が〈ヴェルサイユの庭園〉 のように四角く刈り込まれ、中心には丁寧に 管理されたバラなどの草木が植わるガーデン と噴水がある。

ドイツの公園のハーブや野草が植えられてい る自然派な公園やアメリカやオーストラリア のモダニズムの流れを汲む現代的な公園とは 大きく異なる。その装飾性の歴史はつて国王 らによって造られた庭が、時代を経て市民に 公園として開放された歴史と関係しているこ とがわかった。

（続く）

エコロジカルな公園とドイツ哲学 ドイツ/ベルリン

ドイツの公園のデザインからは野性的な自然 への愛を感じることができる。

ベルリンの公園は、ブナやポプラ、アカシア の森の間に雑草混じりの芝生が広がるものが 多い。ヨーロッパの原生的な自然をそのまま 楽しもうとする意識が強く、林には自然樹形 の木々が並び、倒木もそのまま放置されてい る。雑草も芝生から好き勝手に生えている。

この「エコロジカルな」自然観は、19世紀 のドイツ哲学の中で生まれ、現在にも続くド イツの自然観に強く影響を与えているとされ る。そもそも「エコロジー」（生態学／ドイ ツ語では「エコロギー」Ökologie ）という言 葉は、19世紀、ドイツ人の生物学者であり哲 学者であったヘッケルによって造られた。

エコロジーとは、生物とそれを囲む環境・生 物同士の相互作用を解明しようとする考え方 である。一個体の行動に注目するのではなく、 個体が集まった集団や、それを取り巻く環境 のシステム（系）がどう変化するかを捉えよ うとしているのである。エコロジーとはギリ シャ語の「オイコス」（市民が集まる共同体） ＋「ロジス」（論理）を組み合わせた造語であ るが、マクロ的な視点で自然を捉えようとす るこの見方は、市民社会が成立し、人の集団、 国家や社会の善い在り方を模索していたカン トやヘーゲル等の18世紀のドイツ観念論哲学 の影響を感じる。

ヘッケルはさらにこの考え方を哲学的に発展 させ、自然全体の流れに身を任せる事こそが 人間の生きるべき指針となるとと主張した。

（続く）