2019PORTFOLIO

Page 1

N O J I R I

Y U K I

SE L E C T E D WO R K S 2 0 1 5 -2 0 1 9


/ コ ン ペ / ・ユニバーサルホームデザインコンペティション 2016 ユニバーサルホーム賞 / 共作 ・TOKYO DESIGN WEEK 2016 学生展 コーセー賞、理事長賞 / 共作 ・フェーズフリーコンペ 2018 入選 / 個人 ・都市コンクール 2019 15 選 / 個人 / 経歴 / 多 摩 美 術 大 学

美 術 学 部

環 境 デ ザ イ ン 学 科 ( 2 0 1 5 - 2 0 1 9 )

/ オ ー プ ン デ ス ク /

野 尻 勇 気

2 0 1 5 渡 辺 淳 一 建 築 設 計 事 務 所 2 0 1 5 ツ チ ヤ タ ケ シ 建 築 事 務 所 2 0 1 6 末 木 山 田 建 築 設 計 事 務 所

東 京 / 1 9 9 6 / 1 1 / 0 2

2 0 1 6 中 山 英 之 建 築 設 計 事 務 所

連 絡 先

2 0 1 7 堀 部 安 嗣 建 築 設 計 事 務 所

:

yuuki1102art@gmail.com

2 0 1 9 藤 村 龍 至 建 築 設 計 事 務 所 ( R F A ) / ア ル バ イ ト / 2 0 1 6 S U P E R

P O T A T O ( 模 型 )

2 0 1 7 久 米 設 計 ( 模 型 ) 2 0 1 7 谷 口 建 築 設 計 研 究 所 ( 模 型 ) 2 0 1 8 D O S

P A R T N E R S H I P ( 図 面 、 パ ー ス )

2 0 1 8 梓 設 計 ( 図 面 、 C G 、 パ ー ス ) 2 0 1 9 岩 瀬 卓 也 建 築 設 計 事 務 所 ( 模 型 、 C G 、 パ ー ス ) / ス キ ル / V e c t o r w o r k s , S k e t c h U p , R h i n o c e r o s , A r c h i c a d I l l u s t r a t o r , P h o t o s h o p , I n d e s i g n


建築は、土地の歴史と共にある。 そして、その建築と歴史の関係に密接であるのが、風景である。 私は、建築の成り立ちや都市の流れ、物流など それら全ては、風景に影響すると考える。 未来の風景のために何が必要で何を問う必要があるのか。 それを建築で考えた。

04


Inde x 0 0 7 リ バ ー サ イ ド オ フ ィ ス 0 1 7 地 を 覆 う 町 家 0 3 7 民 家 の 再 構 築 0 5 1 道 の ギ ャ ラ リ ー カ フ ェ 0 6 5 浦 賀 の 辺 0 7 1 薪 棚 の あ る 高 架 下 0 8 3 薪 で 警 鐘 0 8 7 フ ッ ク の い す 0 9 3 み ん な の ま ほ ろ ば 1 1 5 冊 子 製 作 05

1 1 7 路 地 な か の 家


リ バ ー サ イ ド オ フ ィ ス

まるで川沿いを歩いているかのような流れの あるオフィス。働きながらでも、食事をしな がらでも、ただ歩くだけでも、川沿いの木々 や中目黒の景色を今以上に感じられる場所を 計 画 し た。1980 年 以 前 の 目 黒 川 は、 年 に 何 度も増水・氾濫していた。それに伴い、洪水 防止のために、川を大幅に掘り下げ、合わせ て堤防も整備する大きな護岸工事を行った。 そ し て 現 在 は、 目 黒 川 の 桜 が 風 物 詩 と な り、 多くの観光客を呼び寄せる注目の川へと生ま れ 変 わ っ た 。か つ て は 川 で あ っ た 今 回 の 敷 地 。 自然災害や都市的発展の中で、生まれたこの 土地に対し、どのような建築操作が求められ ているかを考えた。また、近年の日本の働き 方に対する空間の在り方にも注目し、水の流 れや人の流れから建築を考えた。

・Site area(㎡ ) 1310 ・Building area(㎡ ) 868 ・Floor area(㎡ ) B1…737 1F…868 2F…974 3F…1016 4F…974 5F…1016 6F…974 Total…6559


敷地

敷地

目黒川に沿うように生まれた二つの

人工地盤の二つの島。そしてその間の

人通りの多いこの敷地に対し、働く人

島。地域に開かれた広場として整備さ

目黒川に続く小さな川。これらを手掛

に限らず、観光客や地域住人の流れを

れていた。

かりとした。

考慮し、様々な場をもうけた。

配置図 1/500

10


12

11

6F 1/900

3 つのコア

太陽との位置関係

オフィスエリアと商業エリア

8

10 7

5F 1/900

目黒川との位置関係

休憩所から目黒川への眺望

目黒川の並木への眺望

8

9 7

3F , 4F 1/900

8

6 7

2F 1/900

11 7 10 9

2

3

4

7 7

5

9 1F 1/900

6

2

7

4

5

1 1:図書館 2:店舗 3:カフェ 4:オープンスペース 5:ギャラリー 6:オープンラボ 7:ワークスペース 8:会議室 9:食堂 10:託児所 11:テラス 12:カフェ

南断面図 1/450


11 7 7 7 7

9

7

8

7

8 7 6

7

2 b

5

d

d

c

3

b

1:図書館 2:店舗 3:カフェ 4:オープンスペース 5:ギャラリー 6:オープンラボ 7:ワークスペース 8:食堂 9:託児所 10:テラス 11:カフェ

13

14

断面図 1/600



地 を 覆 う 町 家 路地や通り庭のような この空間は 人々がこの土地の歴史を交感し合い 過去、そして未来を辿る建築

敷地は、奈良の春日大社近くにある、ならまち。 ここの歴史は長く、遡ると、町家街、元興寺境 内、そして平城京区内であった。歴史が重なる この場所に対する建築の可能性を考えた。着目 したのは、発掘調査。常にどこかで行われるこ の作業は、一般の人に公開しているものの、風 化防止に伴い、観察できる時間は限られていた。 もちろん、博物館に行けば、貴重な発掘資料は 確認できるが、現地で味わえる臨場感には至ら ない。こうした背景を踏まえ、私は、地層と共 に埋まる生活痕や遺構を容易に観察できる空間 を設計した。

18 世紀頃の間取り 1/300

現在の間取り

17

18


奈良町サーベイ ( 4/ 21ー4/ 23、5/ 28ー29 )

研 究 室 に 所 属 す る 生 徒 8 人 に よ る 現 地 調 査 を 行 い、 エ ス キ ス 終 盤 にもう一度、現地調査をした。現在、奈良町は、歴史的に価値ある 町並みとして認められ、観光客が増加している。しかし、その土地 で暮らす人々は、観光地化している状況に十分に適応できてはいな かった。奈良町全体の構成は、敷地割によって町家が建ち並ぶ。そ の一つ一つの町家の間口は狭く、奥行きがある。また通り庭や路地 など、奥に続く空間が町の至るところにあり、密集地での生活をよ り快適に住まうための工夫がなされていた。

19

20


21

1元興寺伽藍復元図

2平城京の条坊制による敷地割

3現在の様子

現在を照らし合わせる。

区画によって割方が異なる。

敷地割は今も残っている。

中世

近世

囲われた内部は共有地

最大奥行約60m

22


ダイアグラム

1 町家の空き家化

2 木造部分を残す。

3 歴史が眠る地を掘り起こす。

4 掘り起こしたエリアを屋根で覆う。

GL

5 GL は通行エリア。 奥に進むほど発掘深度を増す。



1 2

1

4405

4

3

アプローチ 1698

1698 5638

既存 ( 木造 ) と新築 ( RC / 土壁 )

1698

2242

ファサード 1/150

1564

3940 5638

1400

既存の通気口を再利用

27

2500

2341

2380

6211

6746

3831

1 : 新築 2 : 蔵 3 : 路地 4 : 空き家化した町家部分

太陽との位置関係

28


A'

C'

D'

B'

3104

2

2391

5638

1

E

3

1539

B

E'

7549

2817

803

F'

4

F

A

N

C

D

47517

2500

5303

2803

47517

最低深さ 600mm

最高深さ 1400mm

2817 7549

1 : ショップ 2 : インフォメーション 3 : 遺跡 4 : 歴史書庫 平面図 / 断面図 1/100

9

29

803

E-E'


3000 1000 5938

A-A' 断面図 1/100

31

32


1698 1698 1698 1698

5638 5638

33 2242 2242 1564 1564 1698 1698 5638 5638

2500 2500

2380 2380

2341 2341

3940 3940

1400 1400 2377 2377 4735

6887 6887

初期スケッチ 町家と発掘調査跡

断面図 1/300

4510 4510

C-C' 1817 1817 1689 1689 6370 6370

4681 4681 2391

5303 5303

6746

3384

5838 2793 5838

4558 4558

5303

6211 6211

6746 6746

D-D'

1280 1280

7549

1539

3831 3831

4405 4405

2817

803

B-B' 2391

7549

1539

2817

803

2500 5303

2803

2391

3104

7549

1539

2817

803


2380

6211

3831

既存の小屋組

1698 1564

3940 5638

断面図 1/100

F-F'


民 家 の 再 構 築

3

現 代 の 暮 ら し に

6

7

1

D

9

都心に住む 4 人家族のための民家リノベーション。敷地は、長

4

野県御代田、標高 2568m の浅間山の麓に位置し、冬は、おろし A

風という冷たい風が吹く地域である。対象とした建築は、17 世 紀末に甲府盆地に建てられたと推定されている日本の伝統的な

9

6

民家、広瀬家。広瀬家は、厳しい冬の寒さに耐えるために、軒 は低く、窓は最小限の大きさに設計されていた。また、構造は、 「四つ建て」という中央の柱を中心とした作りであった。こうし た条件の元、既存の良さと敷地の土地環境を活かし、現代の生

B

活スタイルに合う住宅を設計した。 2

1 シラカシ

4 エゴノキ

7 ムクゲ

10 アカマツ

3

11 2

1

8 2

2 コナラ

5 サルスベリ

8 ヤマボウシ

11 イッサイユズ C 10 12

3 イロハモミジ

6 ニシキギ

9 シマネトネリコ

9

D

5

12 キンモクセイ 配置図 1/400 A: 鶏舎小屋 B: 畑 C: 畑 D: 駐車場


N

敷地 1200㎡

39

40


1

2

3 1 簡易模型 2 梁のうねりなどを忠実に再現した軸組模型 3 設計後の模型

41

現代の生活に転用しつつも、ダイナミックな " 梁 " や " 四つ建て " を常に感じられるよう考えた。

42


43

敷地俯瞰パース


A

12

12

13 B

B

2 階平面図 1/250

東立面図 1/300

11

10

1 7 5

3

2

8 B

9

4

6

9

B

A' 南立面図 1/300

1 階平面図 1/250

1: 玄関 2: 土間キッチン 3: ダイニング 4: リビング 5: 本棚 6: 読書スペース 7: 寝室 8: 収納 9: 仕事部屋 10:B 浴室 11: パントリー 12: 子供部屋 13: フリースペース

46


47

48


1 7 A 10

6 9

6

2

11

3

9

6 1 12

A

5

2

9

12 9

5

12 7

5

3

2

上 1: シラカシ 2: コナラ 5: サルスベリ 6: ニシキギ 9: シマネトネリコ 10 アカマツ 11: イッサイユズ 12: キ

上 1: シラカシ 2: コナラ 3: イロハモミジ 6: ニシキギ 7: ムクゲ 9: シマネトネリコ

ンモクセイ A: 鶏舎小屋 下 5: 書棚 9: 仕事部屋

下 2: キッチン 3: ダイニング 5: 書棚 7: 寝室 12: 子供部屋 A-A' 東断面図 1/300

49

A: 鶏舎小屋 B: 畑 D: 駐車場

B-B' 南断面図 1/300

50


道 の ギ ャ ラ リ ー カ フ ェ 作品と風景の親和関係を探求する尹氏のための 常設ギャラリー。私は、彼の思想と作品をもと に、道のような建築を設計した。それは、まる で地面の上に屋根だけを被せたかのような建 築。高台にあり、緑豊かなサンクチュアリに隣 接する土地性を最大限に活かしたものを考えた。


ゆん ひちゃん 尹 煕倉

現在 多摩美術大学工芸学科准教授

素 材 と 手 と 空 間、 そ し て 存 在 を テ ー マ と し て、 陶 製 の 四 角 い 立 体 を 作 り、 周 囲 の 空 間 と の 親 和 関 係 を 探 求 し て き た。2000 年 よ り、 陶 を 粉 体 に し て 画材として絵画制作も並行。近年は都市の発展と川の関係に着目し、川の 砂を採集し画材として絵画制作

既存の道とギャラリーの道 53


1 3

4

2

5

1 : 道のように延長線を描く 2 : 木々の密度が建築のボリュームになる 3 : 内部空間が生まれる。 4 : 居場所が生まれる。 5 : 尹さんの作品が常設される。

55

56


風景のように、尹さんの作品がさりげなく、展示されることを想定した。


A'

B'

A

厨房 ストックルーム

収蔵庫

事務室

A'

B' B' B

A

厨房 厨房 ストックルーム ストックルーム

配置図兼平面図 1/300

収蔵庫 収蔵庫

事務室 事務室

60

B B

59


東立面図 1/400

A-A' 西断面図 1/400

61

62


B-B' 断面図 1/100


町 船渠 造船所

浦 賀 の 辺

かつては、町と造船所の関係が盛んだった

船渠跡は人々の憩いの場となる

造船所が廃止され、町と海に隔たりが生まれた

緑化は町と海の中間領域となる

町と海をつなぐ、造船所跡地の再生

元ある渡り船の船着場が、町と海を近づける

( 共作 )

" 浦賀ドックで大きな船を造っていましたが、私

かつての浦賀の造船所の記憶は、人々と水辺の距

たちが楽しみにしていたのは、進水式というもの

離の近さを物語っていた。当時大きな繁栄をもた

で す 。・ ・ ・ ち ょ っ と し た 津 波 状 態 に な る の を 見

らしたこの造船所は、現在、人々と海の間に隔た

るのが楽しみでした。"

り を 生 ん で い る 。遺 構 を 残 し つ つ 、水 を 引 き 入 れ る 。 そして今も生活で使われている渡し船の、新たな

横須賀 レンガドック活用イベント実行委員会

船着場としての機能を加える。歴史を経て、徐々

(2016)「浦賀ドックと浦賀のまちのかかわり」よ

に開いていったまちと海との距離を再び近づけて

り引用

ゆく。

65

66


Harbor Entrance

平面図 S=1/1500

南断面図 S=1/1500


Harbor

Entrance

Gallery

Courtyard Backyard Information Bathroom

遺構設計箇所

69

70


薪 棚 の あ る 高 架 下 JR 東日本に提案した作品 高架下のポテンシャルを活かし、同時に都市で森の循環を促 す建築的装置の提案。インフラ整備によって生まれた高架下 ( ボイド ) を日本の風土や気候に即した空間の変容ができな いか考えた。高架下の特徴は、雨をしのぎ、常時、日陰を保 てること。また場所によっては、風通しが良い。高架下は、 薪の乾燥場として適している。デザインプロセスは、至って シンプル。高架下のアーチに合わせるように薪棚を設置する のみ。薪は、間伐処理問題が進行している日本の森や雑木林 から運搬される。また、薪ストーブの設置により、高架下を 住人のための新たな拠点として機能することを想定した。


CASE1 ( スチールの薪棚 )

多くの薪を貯蓄できるスチール製の薪棚。コンクリートと木の関係をさりげなく演出する。

73

74


個人による廃材提供や、木材工務店、自治体の協力により、町の人が一体となって高架下に薪棚を作ることを目指す。

断面図 1/75

76


CASE2 ( 木の薪棚 )

スチールの薪棚と異なり、木の薪棚は、空間の暖かみを助長させる。

77

78


圧迫感のない木の薪棚は、高架下の印象を和らげる。

79

80


CASE3 ( 薪棚がない状況 )

高架下の環境は、薪の乾燥エリアとして活かされ、人のたまり場を生み出す。同時に地域の災害時対策にもつながる。 これからの都市と森の循環化に向けた住人レベルでの実験的提案である。

81

82


1763 3000

10013 3300

6000

5000 11574

6000

1950

17000

3186

8 5

11574

2

3300

10013

フェーズフリーコンペティション 2018 入選作品

3

6186

7

3000

6

3000

1763

ま ち の ス ト レ ー ジ と な る 家

6186

薪 で 警 鐘

6000

10500

6000

5000

17000 1950

近年、雑木林や森林の間伐処理が滞り、日本の林業

南立面図 1/400

は衰退している。この住宅は、自然環境の循環を取

東断面図 1/400

り戻すべく、考案した実験的都市住宅である。プラ 住宅

市での生活は、災害国である日本の暮らしの革新に

7

5

1950

森の循環化 薪の流通

1 階平面図 1/400

薪棚と住宅

3000

10013

3000

5 6

3300

5

薪棚

貯める。薪材は製材過程で出てくる余った端材や土

1

1950

フィルターとして役に立ち、住人は冬に向けて薪を

4

2

10013

3

3300

大 き な 薪 棚 を 設 置。 通 常、 薪 棚 は プ ラ イ バ シ ー の

木課、河川組合から提供してもらう。このような都

1763

1 1763

ンは中庭を囲む構成。それに加えファサードとして

2 階平面図 1/400

性を持つ住宅の提案である。

1950

3000

3300

6186

10013

3186

3000

1: 薪棚 2: 中庭 3: キッチン 4: 和室 5: 洋室 6: 収納 7: フリースペース

1763

なるのではないか。都市レベルにまで発展する可能

6000

5000

6186

3186

17000

3000

6000

6000

6000 17000

5000


日常生活で薪を貯蓄することは、災害時の対応だけではなく、家族や近隣住民との交流につながる

86


フ ッ ク の い す

元々布は、糸構造、織り構造さらには繊維集合構 造によって付与されるものであり、皮膚同様の特 質を持っている。繊細かつ人にやさしい素材に対 し、スチールロッドがどう扱われるべきかを追求 し た。8mm ス チ ー ル ロ ッ ド は 通 常、 人 力 で 曲 げ られるものの、元通りに戻る習性がある。初めて この素材に触れた時から、曲げた際に生じるこの ロッドの習性を作品に反映させたいと考えた。互 い の 素 材 の 良 さ を 消 す こ と な く 、力 を 補 完 し 合 い 、 緊張感のある居心地を実現させた。そしてフック と曲げのみで構成されたからこそ生まれる動きと 浮遊感、そして座る人を楽しませることができる 椅子となったのではないかと実感している。


539 539 539

24

888

2424

888888

ハトメφ 12mm( アルミ製 )

270 270

580 580

270

580

帆布 ( 白 )

スチールロッド 8mm 380

400 400 400

400 400

400

380 380

437 437 437

上面図 ( 座面付き ) 上面図 側面図 1/15



み ん な の ま ほ ろ ば 都 市 近 郊 の 住 宅 街 に お け る 公 共 空 間 敷地は板橋区向原。ここは穏やかな住環境が整っているものの、町の公共空間が 減少している。こうした状況に対し、子供の遊び場を中心とした構成と住宅街に 対する建築の佇まいを軸に、公共空間を設計した。

1

住宅街の風景

数十年で簡単に移り変わる住宅街の風 景。 そ の 町 に 都 市 で 働 く 人 が 多 い ほ ど、 建築に対する愛着心が薄れる傾向があ る。

2

問題点

子 供 の 拠 点 で あ っ た 児 童 館 が 廃 止 さ れ、 その機能が小学校の空き部屋に移される ことで、住宅街のネットワークに偏りが 生まれた。

3

ねらい

住 人 の ネ ッ ト ワ ー ク を 取 り 戻 す た め に、 小さな風景を創造し、環境に考慮した建 築を目指した。

93

94


断面図 S=1/400


対象地 : 板橋区向原 1,2,3 丁目

敷地は、向原で最も大きな公共 施設が建ち並ぶエリア。このエ リア一帯の建築や公園は、都市 の住宅需要とともに整備 / 建設 が行われ、住人の活動拠点とし て 使 用 さ れ て き た 。し か し 近 年 、

1

少子高齢化や人口減少の影響に

2 1947

より、児童館の廃止が後を絶た

1963

ず、子供のための公共空間が失

住人動線を分析した。主婦や小

われていた。各建物内部を調査

3

中学生の行動範囲は広い。しか し、高校生や社会人は、家と駅

すると、人が集まる公共空間の 代表的な機能 ( 集会所や休憩ス

間を行き来する頻度が高くなる

ぺース、子供の遊び場など ) は

1 : 公民館

と同時に、公共施設の利用者が

2 : 児童施設

減り、年々、全体的に偏りのあ

整っていた。しかし、高齢者は

3 : 児童公園

る 住 人 動 線 へ と 変 化 し て い た。

公民館に、子供は児童施設を利

現在

用するといった用途によって利 用する年齢層が分けられる傾向 にあり、敷地全体の機能構成に 疑問を感じた。こうした問題を 抱える今、私は、既存の機能を 残し、住人の意見を元にして考

初期ドローイング 幼稚園児

単身者

家族持ち

高齢者

高校生

小学生

主婦

中学生

えた新たな機能を追加し、町の

スタディ模型

小さな複合施設を提案した。

会社員

近年、向原を含む、都市部の公 共空間は、子どもたちが遊べる 公園や児童館など、多くの居場

住宅 住宅

所が減少している。それによっ て子供たちは、家と保育園、家

住宅

日々を送ることになり、遊び場

団地再開発による公園の撤退

が限定され、住宅街の静けさを

←小竹向原駅

街区

と学校の間を行き来する退屈な

オフィス

る。現に、向原に唯一あった児 童館が廃止され、その児童館の

今、 合 理 的 な 政 策 で は あ る が、

児童館機能の移転 敷地

は公共空間の希薄さだと考え

教育施設

た。少子化が進む中、こうした

商業施設 病院

住環境を持つ地域は他にもある だろう。今回、その一例として 板橋区向原を選定した。

千川

アパート

過ぎない。長閑な住環境ではあ すい環境とは言えず、その要因

住宅

住宅

小竹向原駅

町の公共性を低下させる要因に るが、子供たちにとって住みや

立体駐車場

住宅

機能は、小学校の空き部屋とグ ランドに移された。人員不足の

大谷口→

アパート アパート

倉庫

より一層深める要因となってい

マンション

アパート

住宅に囲まれ人気がない公園

←小

竹向

原駅

マンション前

駐車場

住宅

住宅

N

公園

文化施設 / 図書館

敷地 : 板橋区向原 1 丁目 18 ( 3300㎡ )


この複合施設は、町に長くあ

軒を連ねるような、大小様々

年、そして 100 年と周辺住民

り続け、町の象徴として存在

な切妻屋根をベースに考え

と共に建築が経年優化する未

していくことを目指した建築

た。繊細な生き物のような向

来を期待する。より長く、世

である。住宅のような短い時

原の住宅街にとって、なるべ

代 を つ な ぐ 町 の 建 築 。建 築 は 、

間軸とは異なり、長い時間軸

くストレスを与えない建築操

劣化するものであるからこ

の中で、ゆっくりと町の風景

作を心がけた。建築に対する

そ、私たちがそれを優化する

として更新されていく。よっ

愛着が湧けば湧くほど、日常

必要があり、それに適した建

てその長い時間軸を持つ公共

的にその建築に通い続ける人

築を設計する必要がある。そ

施設の構成要素として木造が

は、 増 加 す る。 よ っ て、 そ の

してスケールに関わらず、普

適していると考えた。自然に

ための空間と機能 ( カフェや

遍的に愛される建築が増える

抗うことなく、資源の循環に

図 書 館 な ど )、 そ し て 温 か み

ことは、災害時の拠点場所に

即した公共施設である。建物

のある佇まいを考慮して設計

もなりうる。

の形は、簡素に周辺の住宅と

することにした。10 年、50 経年優化=人に愛され、更新 すること

C

16

15

B'

B 14

13

A'

11

A

12

10

C'

C

平面 ダイアグラム B'

南北につなぐ動線。

一般住宅より少しゆとりある

路地のような抜け道。

2100 グリッド。

住宅の軒並みに合わせる。

大人の休憩スペース。子供の

駐車場の抜け感を活かす。

小さな舞台。

周辺環境から構える機能の配置。

圧迫感のない住宅スケール。

6

9 5

A'

B

7

3

A

4

2

1

8

C'

配置図 兼 1F 平面図 1/400

2 階 兼 3 階平面図 1/400

1: インフォメーション 2: 図書館 3: カフェ / パン屋

10: 図書館 / オープンスペース 11: 児童館 / 入り口

4: 保育園 5: 集会所 6: ホール 7: 離れ 8: 公園 9: 中庭

12: 児童館 / 渡り廊下 13: 児童館 / アトリエ

N

14: 乳幼児施設 / ホール 15: 子どもシアター 16: 屋根裏

100



1977 2100

2100

2100

2100

1977 350 3503

2100

2300

2100

2300

2100

853

6533

2100

2100

2100

2100

2100

2100

2100

899

1600

948 158

2100

2100

2100

2100

2100

2100

400

400

2020

2300

2100 2100

2100

2100

400

2800 2100

3680

2100

2100

2100

2100

2100

2100

4885

2100

2100

2300

2300

2100 2100

2100

2020

2300

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2100

130 2300

2100

2100

2100

2780

2300 2100

2100

899

158 2100

2100

2800 3680

2100

2100

400

2100

2100

4885 130 350

3503 2300 2100

2100

2020

1977 853

6533

350

5480

2100

2100

5733 2300

2100

2100

853

5480 2100

5733

2020

2300 2100

2100

2230

2100

2100

4885

2100

2100

5733 2100

2100

350

2100

2100

2100

6533

3503 2100

1600

2100

2100

2100

2300

2300

5733

2100

2100

2100

2420

2100

948

2100

2780

2300

1900

2100 2100

400 2100

2420

2100 2100

2100

400 2100

2420

400 2100

2300

2100

10

2

350

130

2300 2100

2300

2100

2300

10

3.5

5733

2100

350

5480

5733

130 350 2100

2300

2100

2650

2250

梁 350 × 120 @2100 2100

2020

2020

2300

垂木 240 × 120 @300

400

2100

1900

5733

5733 2250

2650

400 2100

2100

2100

2100

2100

2300 2100

2100

2100

2100

2100

断面検証のスケッチ / 模型 5733

5733

2300

2020

853

低 い 屋 根 を 緩 や か に、 高 い 屋 根

350

5480

6533

2300

2230

2100

2100

2100

2100

2100 2100

2100

2100 2100

2100 2100

2100 2100

2100

2100

2100

2100

2100

2100

2100

2100

2100

2100

2100

2100

2100

2100

2100

2100

2100

2100

2100

を 少 し 急 に す る こ と で、 水 平 方

そ こ で、 参 考 に し た の が、 別 荘

蓼科の家 ( 週末住宅 ) の木造グ

向 に 広 が る 内 部 空 間 を 確 保 し、

の ゆ と り あ る 空 間 で あ る。 住 宅

リ ッ ト 2100。 軒 下 の 高 さ に 合

外観の印象をより自然な佇まい

の よ う で あ る け れ ど、 公 共 空 間

わせ構造の柱や梁の間隔を調整

に な る こ と を 目 指 し た。 ま た、

に適した広がりのある空間を実

し、設計した。

住宅街に溶け込みつつも、非日

現できるのではないかと考えた。

1900 130 350 4680

2100

2300 2100

2100

2100

2100

2100

899

2100

2300

2300 2100

5733

2100 2100

2100

2100

2100

2100

2100

400

400

2100

2100

2100

2100

2100

2100

2100

2100

2100

0

2100 2100

2100

2100

2300

2720

4680

350

130

5733

1900

2100

2100

2100

130 2100

2720

948 158

1600

130 350

2100

2800

2100

3680

2100

2100

1900

2100

2780

2100 2100

2100

2100

参考にした建築は、堀部安嗣の

350 2300

2720

4680

2100 2100

2020

2300

2100 2100

2300

2100 2100

2300

2300

2020

5733

130 350

2100

1900

1900

4680

4680 2300

2780

2230

2100 2100

2100

2100

5733

4885

5733

5733

130 350 2100

2300

2500

2300

2100

2100

2100 2100

1900

2100

1900

2100

常感を漂わせる空間を追求した。

2300

2100

2300

2100

2100

2100

2230

3503 2100

2300

2500

2100

2300

2100

2100

2300

2100 2780

2100

2300

2100

2300

2100

4680

350

130

5733

2300

2500

1900

1977

4680 2780

2300 4680 2100

400

2100

2100

2100

2420

2100 2780

2100

2300

2100

2300

2100

5733 2100

130

350

350

130

5733

2300

1900

1900

4680

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5733

1900

5733

130 350 2780

2300

2100

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2300

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2100

2020

2100

1900

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400

400

2100

2100

3680

2800

158

899

948

350

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1600

2100

130

2100

2100 2100

2100

2100

2100

1900

断面F-F'

2100

2100

2100

2100

2300

2100 2100

2100

2100

2100

2100

2100

2100

2020

5733

104

2300

2500 2100

2230

4680 2780

2300 2100

2300

5733

130 350 2100

2100

2300

4680 2100

上 : 断面図 1/150 下 : 断面図 1/450


一般施設 児童館 乳幼児施設 保育園 休憩所 水回り 事務 公園 たまり場

1 イ ン フ ォ メ ー シ ョ ン 2 図 書 館 3 パ ン 工 房 4 洋 室 5 和 室 6 ホ ー ル 7 更 衣 室 8 勉 N

強 室 9 小 シ ア タ ー 10 筆 談 室 11 朗 読 室 12 絵 本 コ ー ナ ー り 廊 下 16 児 童 館 ア ト リ エ 17 子 供 の 屋 根 裏

フロア プランニング

ア タ ー

24 町 の 休 憩 所 25 カ フ ェ 26 集 会

28 一 般 ト イ レ 29 授 乳 室 30 こ ど も ト イ レ 31 キ ッ チ ン

所 33 倉 庫 / 道 具 入 れ 34 職 員 室 35 機 械 室

105

18 乳 幼 児 施 設 / こ ど も ホ ー ル 19 こ ど も シ

20 食 堂 21 パ ン ト リ ー 22 厨 房 23 遊 戯 室

所 27 は な れ ( 和 室 )

13 受 付 14 入 り 口 15 渡

32 事 務

36 公 園 37 園 庭 38 駐 車 場 39 中 庭 40 畑

106


回廊

1

母屋

回廊

2

半屋外

3

4

1/50 部分模型 屋根の重なり、母屋と回廊の関係をスタディする 1 : 母屋と回廊部が密接状態 2 : 回廊部を母屋から離す / ずらす 3 : 余白 ( 半屋外空間 ) が生まれる 4 : ゆとりある空間となり、広場への視界も広がる

107

108


垂木 45 × 100 @300

H 鋼 300 × 100 最高高さ

軒桁 120 × 120 垂木 240 × 120 @300

図書館は、住宅に最も近いエリア。 10

そ の た め、 窓 の 開 口 部 を 考 慮 し 設

3.5

3974

計 し た。 ま た 住 宅 街 か ら ア プ ロ ー チ で き る 小 道 は、 町 と の 連 続 性 を

図書館

作 り、 住 宅 街 と い う 制 約 の あ る 中 で の 開 放 性 を 実 現 さ せ た。 公 共 施

500

床: フローリング 15t 塗装

設 で あ る が、 ま る で 他 の 家 の 敷 居

構造用合板 12t

を跨ぐような非日常性が生まれる。

根太 45 × 100 @300

8374

2.5FL

梁 120 × 350 @2100

10

2975

柱 120 × 120 @2100 2

左官仕上げ ( リシン掻き落し )

1425

1.5FL

GF±0

2100

2100

図書館 矩計図 S=1/75


top 3.5

最高高さ

10

1851

H 鋼 300 × 100

Eaves hight 軒高

2100

軒桁 120 × 120

500

床:

垂木 240 × 120 @300

428

構造用合板 12t

1000

top

3F

フローリング 15t 塗装 根太 45 × 100 @300

2.5F 480

1089

4955

200

最高高さ

Eaves hight 軒高

10861

2365

児童館

1515

1600

2590

床: フローリング 15t 塗装 構造用合板 12t

1921

軒桁 120 × 120

根太 45 × 100 @300

250

480

140 30

2F 480

梁 120 × 350 @2100

2000

柱 120 × 120 @2100 梁 120 × 350 @2100

保育園

2520

洋室

800

1.5F

GL

GL

2100

111

2100

2100

2100

2100

150 400

150

6160

1100

2F

児童施設 矩計図 1/75

2100

112


113


・構成素材 冊子制作 ( 共作 )

b フルート 2.8mm 両面ダンボール B7 厚手用紙 B7

1 年第 1 課題で出題された「ダンボールで身体を支える」の冊子デザインを担

白いゴムバンド

当した。ダンボールは、商品を緩衝・保護・包装して保管・輸送することを前 提に製造されている。今回、製作したダンボール冊子は、このようなダンボー

・コンテンツ

ルの由来をヒントに製作した。さらに、従来の冊子形式を刷新し、機能あるデ

課題文 :1 枚

ザインを目指した。大きさは、B7 サイズであり、手で持ちやすい、運びやす

個人作品 :83 枚

い理由から決定した。素材は、表紙・裏表紙をダンボール、中のカードを一般

写真 :1 枚

的な厚手用紙にし、それらを包むゴムバンドの 3 つである。ゴムバンドは、伸

教授コメント :3 枚

縮性がよく、ダンボール自体が耐久できるものを選んだ。また、側面は、一番

集合写真 :1 枚

負荷のかかる部分であるため、ダンボールの向きに考慮して設計した。

総計 :89 枚 ( 表紙、裏表紙合わせて 91 枚 )


路 地 な か の 家 ユニバーサルデザインコンペティション 2016 ユニバーサルホーム賞 ( 共作 )

戦 後 の 核 家 族 化 に よ り 、一 戸 建 て 住 宅 が 主 流 に な っ た 現 代 。し か し 一 世 帯 あ た り の 人 数 が 減 り 、 近所同士の関わりが希薄になった今、この住宅のあり方は様々な問題を抱えています。母子家 庭の育児問題や高齢者の孤立化など、行き場を失った小さな家族がまちに溢れています。そこ で私たちが考えたのは、小さな家庭同士を穏やかにつなぐ、路地中の家です。動線を外に出す ことで、お互いの生活がところどころで垣間見れます。母子家庭、老人夫婦、新婚さん、さら には単身同士のシェアハウスにまで発展します。この路地なかの家は現代の数あるライフスタ イルに適応する、新しい共同住宅の提案です。

最 小 限 の 機 能 空 間「 ダ イ

各機能が隙間なく介す独

部 屋 同 士 を 寄 せ た り、 角

ニ ン グ、 寝 室、 水 回 り 」

立 し た 部 屋 と な り、 そ れ

度 を つ け る こ と で、 住 人

をそれぞれ3m ×3m の

が1世帯分のユニットと

の用途によって変化する

大きさに収める。

なる。

隙間が生まれる。


1 階平面図 1/300

2 階平面図 1/300

119

120


F i n

2019/07/20


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