Architecture Portfolio 2016-2019 Works
Yasunori Fukui
福井靖範|Yasunori Fukui Career 1996 大阪で生まれる 2015 近畿大学 建築学部 ¦ 2019 建築・都市デザイン研究室(松岡聡 教授) Awards 2016-17 学内優秀合同講評会選出
集合住宅
2017-18 学内優秀合同講評会選出
福祉施設
学内優秀合同講評会選出
新しいパブリックスペースのかた
オープンジュリー 9 選 3 位
新しいパブリックスペースのかた
2018-19 卒業設計検定 最優秀
卒業設計
近畿大学卒業設計公開審査 5選佳作(
卒業設計
福岡デザインレビュー 2019 67 選
卒業設計
第 6 回都市・まちづくりコンクール 審査員賞(前田英寿賞)
卒業設計
田賞)
街路ネットワークを活かした塀と蔵とアートによる木密エリア再編の提案 4 回生後期課題 卒業設計(松岡聡 研究室) 近畿大学卒業検定 最優秀 近畿大学卒業設計公開審査 5 選 佳作(
田賞)
第 6 回都市・まちづくりコンクール 審査員賞(前田英寿 賞) 福岡 Design Review2019 67 選
海老江というまちは歴史が古いと同時にこのまちに住む人の高齢化も進んでいる。 高齢化などに伴い人が外に出る回数が減少している近年、街路で人と人とが出会うという事は重要になってきていると感じている。 この街の街路でたたずめる事のできるポテンシャルを持った場所を見つけ出すリサーチの方法と、木密エリアならではの線的な広がりを街路に与える設計手法の提案を示す。
Site
大阪市福島区海老江 4 丁目
海老江のボキャブラリ
蔵の特徴的なエレメント
蔵はこの街ではランドーマークである。 しかし、壁が剥がれ落ちたり、ひびが入ったりと老朽化が目立つ。
鉢巻
1. 蛇行する道 2.
海老江 4 丁目の住宅 plot 図
▪
古い住宅
▪
新しい住宅
でずれる道 3. 蔵
海老江4丁目の高さがある建物 plot 図
▪ ▪ ▪ 蔵
工場
マンション
1 2
3
板貼り
なまこ壁
海老江 4 丁目の公共建築 plot 図
▪ ▪ 店舗
神社・寺
石貼り
開口
従来の木密エリアにおける路地の特徴 従来、木密エリアの路地は道幅が狭くその路地に対して住居からの
れ出しがあり路地までもが住居の一つとして利用されている。
このような路地はどこか歩行者に緊張感を与えてくる。
海老江における路地の特徴 海老江の路地は
れ出しがおき私的性の高い路地はいくつかあるが、従来の木密エリアの路地に比べ公共性の高い路地が多い。
それは、路地に大きな屋敷の塀が面していたりしていることにより公共性の高い道として保たれている。 また、道が蛇行しているなど複雑な都市構造を持っている。この複雑な都市構造と不透過な塀が面していることにより歩行者には高揚感を与えるシークエンスが繰り広げられている。
提案 海老江の街路は同じスケールで連続しており、人が明確に街路の中で滞在できる空間を持たない。 しかし、海老江 4 丁目の道は蛇行した道が複数あったり、
で道と道とがずれているなど大変特徴的で面白い構造をしている。
そこで道の構造と、道に面する建物に着目しリサーチを行った。そのリサーチから木密エリア独自の街路に線的な広がりを与える。 道のシークエンスの計画、道の中で立たずめる場所、居座れる場所の計画を行った。
海老江 4 丁目における路地の中で居場所となり得る可能性を秘めた場所 従来、木造密集地域の街路は住居からの
れ出しがあり街路は生活感で
れた私的性がある。
このような街路は住居からの干渉を受けているようで緊張感があり、この中でたたずむ事は難しい。 しかし、このまちは塀や開口の無い壁面が街路に面している割合が多く見受けられた。 この二つが面する道は建物内から干渉を受けない公共性が高い道で、人がたたずめるポテンシャルがあると感じた。
海老江 4 丁目の連続立面からまちの potential points を見つける 海老江 4 丁目の道に面する建物・塀の連続立面を作成し展開図にする。 開口が全くない壁面にはオレンジ色、増築によりできた開口のない壁面は黄色、開口が一つもしくは小さい開口の壁面には紫色、工場のような時間軸で壁面の開閉度が異なるものには水色のマスクをかける。 この連続立面より海老江 4 丁目の街路の中で滞在できる可能性を秘めた場所を見つけていく。同時に開口のない壁面と道との関係を調べ、海老江 4 丁目の連続立面を全て作成しアーカイブ化する。
6`
5`
19` 30`
4`
30
25 20`
21` 21
6
25`
24` 20 18`
5
3`
24
19 17`
18 15`
2`
14` 4
16` 3
15
17 13` 16
1`
14
29` 23` 13 28` 11` 29 12` 7` 12 11 23 28 27` 10` 26` 2 10 27 26 1
22
22`
8`
9`
9 8 7
■開口が無い壁面・塀 ■波板などの増築 ■玄関や小さな開口のみの壁面 ■時間軸ではオレンジと同じ壁面
1-1` 立面
2-2` 立面
3-3` 立面
4-4` 立面
7-7` 立面
10-10` 立面
11-11` 立面
5-5` 立面
8-8` 立面
12-12` 立面
13-13` 立面
6-6` 立面
9-9` 立面
14-14` 立面
15-15` 立面
16-16` 立面
22-22` 立面
27-27` 立面
17-17` 立面
23-23` 立面
28-28` 立面
18-18` 立面
24-24` 立面
29a-29a` 立面
19-19` 立面
29b-29b` 立面
20-20` 立面
25-25` 立面
21-21` 立面
26-26` 立面
30-30` 立面
1
0
3
8
m
Scale1:600
ポテンシャル分布図
ポテンシャルと周辺環境との関係性
海老江 4 丁目の連続立面で示したオレンジで着色した部分を白地図に示した。
開口の無い壁面・塀と周辺環境辺との関係性に 5 つのパターンが考察できた。
さらに、プランター以外の大きな植栽も白地図に示した。 ここから、海老江 4 丁目の街路でたたずめる可能性を持つ場所を導き出し、計画
▪
エリアを選定する。 開口のない壁面・塀
植栽
壁面に沿って伸びる植栽
塀の連なり+膨らみ
で面しあう開口の無い壁面 道に面する開口の無い壁面
開口の無い壁面による囲み
塀+膨らみ・建築
道の公共性 / 私的性の定義 リサーチより路地の両側の建物に開口がないものは公共性が大変高い道で、 両側に開口や
れ出しがある道は私的性が高い道と考察する。
公共性 強
公共性 中
公共性 弱
計画の上で重要になってくる道・
1. 蔵が見える道
plot/ 計画により影響を受ける建物 / 設計敷地の選定
2. 蔵が見える道と日常利用度が高い道の掛け合わせ
3. 蔵と塀の計画により影響がでる住居
6 1
5 2 3
4. アイストップ
5. 設計計画敷地
4
全体配置図 Site:1:400
全体計画
1.
2.
蔵と塀・開口の無い壁面を中心に計画を行う。
3.
塀・開口の無い壁面を利用し街路に線的なたまりの場を作る。
それぞれを計画するとサーキットのような流れができる。 今回の計画で触れない塀にも滞在できるという認識が連続する。
塀・開口の無い壁面の周辺環境への基本操作
→
塀の連なり+膨らみ
→
膨らみに既存の塀を延長させ、路地を接続 し新たな動線を作る。
で面しあう開口の無い壁面
→
開口の無い壁面と同じ働きのフレームを 挿入し、フレームによるレイヤーを作る。
道に面する開口の無い壁面
→
→
開口の無い壁面を敷地内にオフセットし、 道に対し凹凸をつける。
開口の無い壁面により囲まれた空間
→
開口の無い壁面が持つポテンシャルを街 区のエッジまでオフセットする。
開口の無い壁面・塀+膨らみ・建築
既存の塀を建物に介入させ、建物をコアに 膨らみに対して空間を拡張する。
塀によるたまりの場を作る操作
→
塀を敷地内側にオフセットし塀に厚みを持たす。
→
オフセットした塀で複数のレイヤーを作る。
→
街路を塀によるレイヤーに引き
異なる塀の高さ、開口によりレイヤー同士につな
込み通行人をたまり場へ導く。
がりを与え、線的なたまりの場を街路に設ける。
通りに面するファサードの私的性を公共的に変換する操作
蔵を起点に塀のオフセットで線的な広がりのたまり場を計画している際に左写真のように、道の片側塀で、一方が住居からの生活感が溢れ出している通りがある。 リサーチより、道の両側が塀もしくは開口の無い壁面である道は公共性が高い道だと考察している。 その考察に従い左写真のような通りを公共性が高い道へとする設計手法を提示する。
生活感が
れ出す事で私的性の高い通りとなる。
→
通りに面したメインのファサードを 建物内部に回転させる。
→
新たに建物に抜けが生まれその中で今までど おりの
れ出しを行い、通りに面するファサ
ードから開口等をなくす。
蔵の内部空間の拡張操作
1.
→
塀を蔵に介入させると同時に通りの動線も引き込む。
蔵内部に連続する通りの動線をコアとし、 残りの分節された空間も外部へと開く。
2.
→
オフセットした塀を建物内部に介入させる。
→
介入した塀により内部空間が分節される。
分節された空間を塀によりできたレイヤーへと拡張する。
プログラム
■どの様に計画した塀や壁面を維持する?
蔵をメイン会場とし、操作を施した塀や壁面または既存の塀を 利用して 2 年毎に開催されるビエンナーレを行う。開催されない 期間にビエンナーレの運営によりたまりの場は管理・維持される。
■なぜビエンナーレを利用する?
このまちの特徴でもある複雑な道、道に面する塀や壁面は街路に閉塞感 を与え歩行者には高揚感のあるシークエンスを展開している。この様な 道がアートの展示空間に適していると思いビエンナーレを用いた。
蔵に用いる外壁マテリアル 老朽により外壁が剥がれたりひび割れしている。 今回の蔵を地域へと開く計画と同時に蔵へ新しいマテリアルを用いて修復を行う。新しいマテリアルを見せることで通行人に従来の蔵の認識とは違う認識を与える。
ガラスブロックを用いることにより蔵内部での振る舞いを街路へと垣間見せることができる。 例えば、映像系の展示を蔵内部でしていると街路の一部に明かりが漏れる。
蔵で使われている小舞だけを残し半屋外空間を強調させる。
構造体だけを残し、地域へと解放した蔵へと強調させる。 いわゆる、ピロティ空間である。
a.塀と壁による囲みのたまりの場が通りからのアイストップとなり賑わいを見せる。
設計1
B`
A
A` B
b.通りに対して塀による膨らみが中間領域となり、立ち話をする光景が見られる。 0
1
3
8(m)
Scale 1:100 平面図兼配置図
GL 0
1
3
8(m)
Scale 1:100 A-A`断面図
GL 0
1
3
8(m)
Scale 1:100 B-B`断面図
a
b
設計2
a.道の蛇行のアイストップを利用したたずめる空間を配置。
住居
塀が内外を曖昧にしながら開口により視線に広がりを与える。 塾
塾 住居
b.蔵をコアに空間を分節しながら外部へ拡張を行う。 0
1
3
8(m)
Scale 1:100 平面図兼配置図
Scale 1:100 北側立面図
a
b
設計3
塀が蔵へ介入していき蔵の内部空間が 塀に沿って外部へと拡張する
a.デッキが庇となり塀に沿って たたずめるという認識が生まれる
b.通りからの視線は塀によりできた3つのレイヤーへ視線が抜ける
0
Scale 1:100 北側立面図
1
3
8(m)
Scale 1:100 平面図兼配置図
Scale 1:100 西側立面図
a
b
設計 4 a. 通りからの視線が蔵を抜け塀により拡張されたたまりの場へと抜ける。
b. 住民のコミュニティスペース 各レイヤーでそれぞれがたたずみ、 開口からお互いの振る舞いを見せる。
0
1
3
8(m)
Scale 1:200 平面図兼配置図
Scale 1:100 東側立面図
a
b
設計 5
A
b.塀に開口を開けることで塀の向こう側まで視線が抜ける
A`
a.通りからの視線が塀にあたり、通りの中にたたずめる場所ができる 0
1
3
8(m)
Scale 1:100 平面図兼配置図
GL Scale 1:100 南側立面図
0
1
3
8(m)
Scale 1:100 A-A`断面図
a
b
設計 6
a. 蔵がアイストップとなるので、蔵をピロティ化しピロティの下、子供達が走り回る。
+700
b.視線が壁にぶつかりそこでは机椅子が並べられ 通行人は道の居場所と認識する
土間
倉庫
住居
0
1
3
8(m) 住居
Scale 1:100 平面図兼配置図
Scale 1:100 東側立面図
a
b
せわり屋根 屋根を共有し、防災に強い木造密集地を作る 3回生後期課題 スタジオ設計Ⅰ(志柿スタジオ) 新しいパブリックスペースのかた オープンジュリー 3 位 学内優秀合同講評会選出
火災に対応できるまちをつくる。 しかし、現在の天満市場の複雑な賑わいを整理する訳にはいかない。 そこで延焼防止・避難路の確保の為減築を行う。 ただ減築を行うわけではなく、減築部分に天満が持つバラック要素を転用していく。 更に天満のバラック要素に似た要素を新たに挿入していき経年プロセスをふんでいく。 天満の賑わい・魅力を保ちながら防災という問題に取り組んでいく。
■Site
■天満市場の歴史と現在
大阪市北区池田町(天満市場)
天満市場は梅田のすぐ隣に位置するエリアです。天神橋筋商店街があるなど下町情緒 れるまちである。 豊臣秀吉が大坂城を築かれた頃に中央卸売市場ができ、水路・陸路と交通の便が良いと ころが発展し庶民の暮らしが密着していった一つが天満である。1653 年∼1931 年まで
天満市場は昔から市場として栄えてきた。 現在もレトロな雰囲気をもち下町情緒なエリアである。 また、天満はバラック的要素なものが
れている。
現在も市場としての賑わいがあるが後継者不足などで市場の数は 減少してきている。そこに居酒屋が入ってきている状況である。
天満青物市場があった。庶民の台所として戦中・戦後そして現在まで続いている。 大阪大空襲があり、天満のほとんどが炎上した。 そのあと闇市となり市場が密集した。現在もその市場は残っているが、老朽化により ぷららてんま に移転した。しかし現在も移転することなく営業している店舗も残って いる。 近年はバルなどが入ってきてサラリーマンや若者たちが多く天満に訪れまちの雰囲気も 徐々に変わってきている。
天満には朝と夜の顔がある。時間軸で public のあり方が変わってくる。 朝、地域の人たちが買い物にくる中で減築によりできた小さな空間ではコミュニティーが生まれる。夜になるとその小さな空間ではテーブルが並べられ居酒屋で起きている賑わいが表出している。
■朝の営業店舗
■夜の営業店舗
朝の天満市場
夜の天満市場 時間帯で減築により生まれた小さな空間は異なるパブリックスペースとなる
朝の天満市場 カットパース①
夜の天満市場 カットパース①
朝の天満市場 カットパース②
夜の天満市場 カットパース②
天満市場の通りは、幅員が約 3m で大変狭い。 更に、通りに対して各店舗が商品やテーブル、看板を設置していくので通りの幅は更に 狭く感じる。 火災が起きると間違いなく避難をするのは困難である。 しかし、現状の通りが物や人で
れている光景は楽しいもので活気があり、天満の特徴
でもある。 この活気を担保しながら火災時に困難なく避難できる動線を計画する。
■Diagram
①
②
③
■人を引き込む要素 ■裏のファサード 赤で示したものは人を引き込む要素である。 木造建築物が
間なく立ち並ぶことにより、今ある動線が形成されている。
二階部分のアクティビティは建物内で完結している。
それらは、表のファサードを形成している。 一方、裏のファサードは設備機器がまとわりつき人を近づかせない形成をしている。
↓
↓
ボリュームを減築していき、新たに動線を確保する。 この動線は、今ある動線同士を繋ぐ物となり、人々の動きに選択肢が生まれる。
今まで、人を近づかせない形成をしていたファサードに、表のファサードの要素を足していく。 それにより、今ある通りのシークエンスが、新たな動線にも見られる。 そして新たな動線が人を引き込む作用を持ち出す。
二階部分の外部動線を取り付け人の流れを二階部分に取り込む。
■Diagram
建物からのアクティビティの表出の転用 表出要素
→ →
→ →
→
→
既存建物に共同の屋根を
大きな屋根の下、延焼防止・
屋根を共有する事で領域に曖昧性
新たにかける
避難動線確保の為減築を行う
が生じ、表出の関係が起きる
中央の大きなボイド部分では新たなオモテの振る舞いが起きる
■避難動線計画
■防災プロセス
貯水
1 階 避難動線
幾つかの建物で一つの敷地とする。 その中で避難路と第一消火活動の 場を設ける。 外部階段
第一消火活動の場 カットパース
避難動線 カットパース +200
+200
火災場所に対応できるために 二方向以上の避難動線を設ける。
+200
2 階 避難動線
ファサード Perspective
減築により生まれた新たな動線
■Diagram
減築部分の空間化に天満が持つバラック要素の転用 バラック要素
新たなバラック要素を挿入
バッラク要素が減築空間を豊かにする
A`
+400
+2600
厨房
+3000
厨房
+3000
+3000
厨房
厨房 +200
厨房
+3000
+2600
厨房
+2000
+2600
B
厨房 +200
厨房
+3000
B`
+3000
+3000
厨房
厨房
+200
+200
+2000
厨房
A 1 階平面図 Scale1:300
2 階平面図 Scale1:300
GL
A-A` 断面図 Scale1:200
GL
B-B` 断面図 Scale1:200
GL
GL
東側立面図 Scale1:200
南側立面図 Scale1:200