Hayashi Shunya

Page 1





2014-2021

Hayashi Shunya


PROFILE

駿哉 / HAYASHI SHUNYA

大阪市立大学工学部建築学科

建築デザイン研究室 ( 宮本・倉方研究室 )

2


QUALIFICATIONS

AWARDS

建築甲子園

審査委員長特別賞

都工卒業設計 建築新人戦 2019

最優秀賞 100 選(一般投票 2 位)

五大学合同講評会 福岡デザインレビュー

優秀賞 57 選

Diploma×KYOTOʼ21 Day3 津川恵理賞

宅地建物取引士 2 級建築施工管理技士学科 測量士補 カラーコーディネーター 2 級 福祉住環境コーディネーター 2 級 計算技術検定 2 級 建築 CAD 検定 2 級 パソコン利用技術検定 2 級

SOFTWARE jwwCAD AutoCAD ARCHICAD Rhinoceros Grasshopper SketchUp

EXPERIENCES

LUMION Illustrator Photoshop

IAO 竹田設計

インターン 1weeks

InDesign

竹中工務店設計部

アルバイト 4years

Premiere

遠藤克彦建築研究所

アルバイト 2years

3


HISTORY 高2

測量士補

パソコン利用技術検定 2 級

計算技術検定 2 級

高3 第 1 課題 軽井沢の住宅

IAO 竹田設計 インターン

空き家の 空き家 リ ノベー リノベーショ ン

B1 竹中工務店設計部 アルバイト開始

基礎製図

B2

カラーコーディネーター 2 級

シェアハウス

宅地建物取引士

第 1 課題 第 ラーニング ラーニ コモンズ

competition

B3

第3課題

第 4 課題

図書館

美術館

competition 東京藝大院試

B4 合同設計 大学

4


1 週間スペイン研修

建築C 検定 2A 級D検定 2 級

competition mpetition

competition あすなろ夢建築 集会所 2 級建築 施工管理技士

卒業設計 隙間世界

福祉住環境コーディネーター 2 級

competition

第 2 課題 住宅

POLUS 学童施設

competition

遠藤克彦建築研究所 アルバイト開始

第 5 課題 小学校

第 6 課題 集合住宅への conversion

competition

卒業論文 新聞紙上における建築家の取り上げられ方の変容 ~近現代の朝日新聞記事の分析を通じて~

卒業設計

5


CONTENTS

8-21

01

工業高校卒業設計

宿泊施設

【高3】

隙間世界 学内1位 Site:京都府亀岡市

22-41

02

設計演習Ⅲ

トロッコ亀岡付近

図書館

【B3】

fall×produce×lead ~the extraordinary hole in the city~ 学内1位

2019 建築新人戦 100 選 ( 一般投票2位 )

Site:大阪市北区中之島 4-3

42-61

03

設計演習Ⅳ

大阪中之島美術館横

【B3】

美術館

回生 ~朽ちゆくモノの中で~

Site:大阪市中央区アメリカ村御津公園(三角公園)

6


62-83

04

設計演習Ⅴ

小学校&幼稚園

【B3】

FLOW LINE SCHOOL ~ 3 つの動線が生み出す多様なコミュニティ~ 学内1位 Site:大阪市西区

84-103

05

設計演習Ⅵ

西船場小学校&幼稚園&公園

集合住宅(conversion)

【B3】

寄生住 ~パラボラ移住物語~ 学内1位

五大学合同講評会優秀賞 福岡デザインレビュー 57 選 Site:長野県佐久市 臼田宇宙空間観測所

104-129

06

卒業設計

集合住宅

【B4】

形象 ~make decaying architecture forever~ Diploma×KYOTOʼ21 Day3 津川恵理賞 Site:大阪市住吉区

住宅地(祖父の家)

7


高校卒業設計

隙間世界

窓から覗く景色を見ると、 なぜか普通に見るより向こう側へ 行ってしまいたくなる。 窓だけでなく建物の隙間、 壁の隙間 から覗く景色もそうである。 隙間の奥の世界が美しく見える。

そこで京都嵐山から亀岡までのトロッコ乗車から伝統的な 川下りへ移る際の通り道としか使われない亀岡市、 その 春夏秋冬姿を変えるこの地域の自然、地域の良さをその 心理を使って再認識させるための宿泊施設を提案する。

8


9


SITE

Site

この京都嵐山付近の亀岡市では自然が豊かで様々な文化があるのにも関わらず観光者は減少し、 住民も減少しつつある。そこで亀岡の伝統的な文化である嵯峨野から亀岡までのトロッコ乗車 と亀岡から嵯峨野までの保津川下りに着目し亀岡の良さを味わわせれる宿泊施設を提案する。

10


RESEARCH 最近では嵯峨野から自然を満喫しながらトロッ コで亀岡まで行き、嵯峨野まで保津川を下って 降りてくるというツアーをしている人が多い。

嵯峨野

亀岡

問題点 観光客はトロッコと川下りで自然を味わいたくて 来たのに亀岡に来た時にはすでに自然に慣れてし まい、当たり前の景色として認識してしまって いる。せっかくの景色なのにもったいない。また、 亀岡をトロッコから川下りまでのただの折り返し 地点としか見ていない。そこで川下りで嵯峨野へ 帰る前に一泊し亀岡の自然を再認識させることにした。

11


DIAGRAM

ボリュームの中心から見 せたい景色の方向を抽出。

ボリュームの中心から見

割れ目からその景色が

中心をくりぬき高さや平行移動

せたい景色の方向を抽出。

見えるように分断する。

などの多少の変化を加える。

慣れてしまった自然から一度遠ざけるために施設全体をあえて閉鎖的にする。 閉鎖的だからこそ、そこから見える景色に魅力を感じる。

分断されたボリューム

斜辺に沿って適度にスライド

中心から外部の景色に向かって天井や

をさらに分断していく。

させると形態に変化をつけれる

壁をつたい放射状にスリットを入れる。

とともに自然と隙間も生まれる。

これらの方法により閉鎖的な空間からスキマを通して外部を見るというシーンを多数生み出す。

12


CONCEPT

窓やスキマを使って切り取られた景 色をそれと対照的な空間である室内 から覗くことでその景色を魅力的 に感じ、そっち側へ行きたくなる。 一日目のトロッコ体験の後、このよ うな空間を通して亀岡の自然を再確 認し、外への期待値をあげてから次 の日の川下りへの向かうことが出来る。

13


PLANNING

16000 6000

8000

4000

8000

8000

B→

EV 男子便所 ↑A

事務室

8500

7000

会議室 倉庫

受付

警備室

事務室

女子便所

↑A”

6500

多目的便所

客室 男子便所

5000 5000

グッズショップ 客室

客室

厨房

客室

B”→ 7500

7500 15000

4500

4000

8500

一階平面図 S=1:300

14

18500

レストラン

5000

10000

10000

女子便所

8500

レストラン


外の切り取りがスキマを通して建物内に引き込まれ、内部と繋げ ることができるので同じ空間を共有しているかのように感じる。

スキマから覗く世界に引き寄せられる。 15


PLANNING

16000 6000

8000

8000

4000

8000

B→

7000 6500

宴会場

展示室

↑A

8500

EV ↑A”

客室

客室

カフェ

8500

大浴場

カフェ

5000 5000

大浴場 客室

客室

客室

7500

7500 15000

二階平面図 S=1:300

5000

10000

10000

脱衣所

B”→

16

18500

脱衣所


内側に開けた中庭では交流スペー スになるだけでなく、それぞれの 棟のスキマから見える景色によっ て、ソトへの興味を誘発させる。 17


5000

客室

500

4000

宴会場 便所

EV

事務室

受付

事務室

500 3200

9500

客室

2500

▼RFL 展示室

▼2FL ▼1FL ▼GL

A-A”断面図 S=1:300

▼GL

南立面図 S=1:300

18


5000

グッズ ショップ

500

500

受付

4800

4000

9500

▼RFL

▼1FL ▼GL

B-B”断面図 S=1:300

▼GL

東立面図 S=1:300

19


20


あとがき 工業の卒業設計ということで高校3年間の集大成。 といっても設計が始まったのは3年生から。最初が 住宅設計でその次が卒業設計、 あとは自分でコン ペに出して場数を踏もうとしていた。当時は図面を CADですることもあったがほとんどが手書き。 さら に、 工業高校ということで大学と違い面白いコンセ プトよりもどれだけ現実性があるのかという部分を 求められることが多く、 きれいに収まっていればコ ンセプトすら求められない感じ。 その中でも自分な りに形に理由をつけたくてコンセプトをよく考えていた。 21


回生 ~朽ちゆくモノの中で~

この美術館は一人のアーティストの作品を展示するだけでなく その考えやメッセージをそのまま体感出来るようになっている。

人は朽ちていくモノの中で死にゆくモノの中で何を感じるのか。 普段私たちは生死についてなど、 なにも考えずに当たり前の ように生きているが実際に 「死」 というものを身近に感じると、 おそらく、今までのようにはいかないであろう。 そして、心に 何かしらの変化が起き、 この美術館に入る前と入る後で は「生」 というものの捉え方が変わるのではないのだろうか。

42


43


Artist 七搦綾乃

彫刻家

子供の彫刻から朽ちていく自然の生き物の彫刻にテーマが変化して今では人間の死をテーマに彫刻をしている。

Artistʼ s message 生き物が朽ちていく姿に「美しさ」を感じる。私たちは普段「生」について深く考えることはないが「生」が終わりかけて 死に向かって行くと実感したときに初めて「生きていた時間」が見えてきて、今までの日常が「生」として強く認識させられる。 そこで、このアーティストが表現している「生」というモノを強く感じることが出来る体感型の美術館を提案する。

44


SITE

大阪市中央区アメリカ村御津公園(三角公園)

SITE

周辺図 S=1:800

N

敷地であるアメリカ村には個性的な人が集まり、多様な表現で溢れかえっている。 死とは無縁の関係のこの場所だが、生と死はいつも隣り合わせで突然現れるもの。 どの町よりも活気溢れるアメ村だからこそ「生」を再認識するための場所として選んだ。

45


CONCEPT

「生」を強く感じるようにするためには

「死」を徐々に実感していく必要がある。 中心に向かって進めば進むほど段階的に 「死」を実感できるような順路を提案する。

46


DIAGRAM

2

鑑賞者の動線を円を描いて

その動線に沿って展示空間

中心に向かうように設定。

となるボリュームを配置。

3

4

中心に進むにつれて展示

展示空間の上下の空いたス

空間を徐々に壊していく。

ペースに事務室、トイレな どのボリュームを配置。

47


倉庫

第八 展示室 休憩所

事務室

最終 展示室

↓A”

↓A

機械室

便所 受付

第七 展示室 第一 展示室

一階平面図

S=1:200

廊下

便所

レクチャー室

第六 展示室

3400

▽RFL 展望台

機械室

第七 展示室

最終 展示室

第一 展示室

A-A” 断面図

48

便所

S=1:200

受付

300 4000

▽2FL

▽1FL ▽GL


倉庫

第五 展示室

事務室

第四 展示室

休憩室

レクチャー室 ↓A”

↓A

第六 展示室

展望台

便所

第二 展示室

二階平面図

S=1:200

S=1:200

西側立面図

第三 展示室

2

4

6

8

10

12

14

16 (m)

49


CONCEPT

一階の受付から左図の A の展示室を 通り、そこから二階に上がり BC 含 めた5個の展示室を通り、もう一度 一階に向かい D を通って中央の展示 室まで到達する。計 9 個の展示室を 進み、美術館の中央まで堪能したあ と、受付の方へ帰っていくという順路。 50


中心に向かって進んでいくにつれて徐々に建物が朽ちていき、RC造の死を連想させる鉄筋がむき出しになっていく。

また、年々アーティストの朽ちる表現が露骨になってきているので作品を進む順路に沿って年代順 に並べていくと進むにつれて美術館だけでなく、作品自体も徐々に朽ちていくようになっている。

これらより、まるで建物内の時間が急速に流れているかのように建物が朽ちていき、その中で朽 ちていく作品を見ながら進んでいくので自分までも徐々に死に向かっているような感覚を味わう。

51


休憩所

受付

52


第一展示室

第二展示室

53


第三展示室

第四展示室

54


第五展示室

第六展示室

55


階段

1 階へと繋がる階段。1 階の暗い雰囲気を 感じることができ、足が重くなっていく。

第七展示室

ここまで来ると、壁よりも鉄筋の割合 が過半数を占めるようになってくる。 56




そこで、重なり合った鉄筋をフレ ームのようにしてアメ村の活気溢 れる「生」を捉えることができる。 さっきまで当たり前のようにそ っち側にいたのに、まるでさっき とは全く違う美しい世界に見え、 朽ちていく恐怖を実感したから こそ生きていた時間を強く感じ 「生」を再認識することができる。 これがアーティストの伝えたい ことであり、この美術館を出た 後のあなたは同じ景色でも違う 日常を感じることになるであろう。

59


60


あとがき この課題はなかなかしっくりこないことが多くて 毎週のエスキースごとに何度も案を1から考え直 した。実はこの作品も中間講評の時のもので最 終講評とは全く別の案。 エスキースごとに深くほ りさげていく本来の設計と違い、 案を変えてばか りいると1つの案が浅くなって突っ込みどころが 多くなっていく。 この作品も新築を人間の手で朽 ちさせるという点や、 そう簡単に人間の感情は思 い通りにならないという点でよく突っ込まれた。 61


FLOW LINE SCHOOL ~ 3 つの動線が生み出す多様なコミュニティ~

現在の学校では同じ年齢で同じ内容の授業を同じ場所 で学び、子供たちの多様性や主体性を閉じ込めて しまってるのではと考えられる。 さらに、地域から学校 が隔離されていることにより子供たちの交流・行動が クラス内部あるいは学校内部で完結してしまっている。

これらに対し,今回提案するのは子供たちがまるで町を 歩き回る感覚で自由に学び、 外部と常に触れ合うことが できる。 どこででも地域の人々と交流でき、 多様性溢れる 刺激的な 「まちなかコミュニティスクール」 を提案する。

62


63


SITE

SITE

敷地となるのは大阪市立西船場小学校と幼稚園、その南側に隣接する公園である。 小学校は周囲に対して閉鎖的で地域とのかかわりは一切ない。公園やその間の道 にもただ人が通り過ぎるだけでビジネス街であるにも関わらず活気を失っている。

64


CONCEPT 小学校

人が歩くところには必ず「道」が存在 する。その誰もが移動するために使う 「道」を使用し、流動的にアクティ

幼稚園

ビティが生まれるように組み立てる。 さらに、その道を小学校領域、幼稚園 領域、地域領域の 3 つの属性に分け、

地域

それぞれの動線を操作して「まちなか コミュニティスクール」を設計する。

DIAGRAM

コアを建てる。

3種類の「道」を巻き つけ交わらせていく。

小学生は小学生だけの道を通り、幼稚園児 は幼稚園児だけの道、地域は地域だけの道 を通る。そして、右図のようにお互いが同 じ空間を共有できるので学校では味わうこ

空間を共有

とのないコミュニティが生まれる。しかし、 3つの動線は交わることはないので安全性 は確保され、学校と地域の秩序は保たれる。 子どもたちは学校という固い縛りから開放 され安全が確保された上でまるで街を冒険 するかのように自由に行き来すことができ、 交流しながら主体的に学ぶことができる。 65


屋根

ROOF PLANNING

小学校の道

幼稚園の道

ROAD PLANNING

地域の道

コア

建具等

66

CORE PLANNING


ROOF PLANNING 道だけでは屋根も壁もできず内部空間が作れないので建築にならない。そこで道の 流動的なイメージにあわせて流れる雲のように形を展開させながら屋根をかける。

半外部

外部

屋根 壁

外部

半外部 内部

内部

屋根が壁になり最後は内部を作るボリュームに まで連続的に変化する。また、外部、内部、 半外部という空間ができることで、例えば、 コアが柱となり屋根を支える半外部では人々 を引き寄せるエントランス的な存在になったり だとか、道という空間に多様性を生むこと ができる。これにより道という非建築的なもの から実際に空間を構成する建築へと変化する。 67


CORE PLANNING

平面

断面 エレベーター 職員室 CR

子供の動線 CR

CR

職員室 CR

職員室 EV

CR CR

先生の動線

職員室 CR

CR CR 子供の動線 先生の動線

先生はコアを通る縦の動線を使いそれぞれの教室に

68

最短で移動できる。先生と子どもたちの動線を分け

子どもたちは道の上に自由にイスを置いて学ぶ。先

ることにより子どもたちは先生の管理から外れ、自分

生は中心の職員室から教室の黒板の横に直接出るこ

たちで考え行動するという主体性を生むことができる。

とができ、授業がすぐにできるようになっている。


教室 道という流れの中で主体的に授業を受けることが出来る。

職員室 コアに配置された職員室。縦方向に移動して 各教室へ最短距離で到達することが出来る。 69


B”

店舗

店舗 便所倉庫

図書館 大エントランスホール

フィットネスジム 待合室

便所倉庫

ロッカーエリア

浴室 警備室 便所

小学校の体育館 老人ホーム

A

A”

機械室

体育倉庫

木の広場

グラウンド 職員室

調理室 食堂 自習室

集会場

B”

70

便所 倉庫

一階平面図 S=1:800


B”

CR

多目的エリア

職員室

職員室 CR

CR

吹抜け

治療室

レクチャー室

職員室 ビリヤード 図工室

家庭科室

吹抜け CR 職員室 CR 職員室

職員室 A

A”

シアタールーム

職員室

CR

吹抜け

B”

二階平面図 S=1:800

0

5

10

15

20

25

30(m)

71


B”

職員室 CR

職員室

実験室

CR

コンピューター室

卓球室 発表室

職員室 CR 職員室

職員室

CR

CR

A

CR 職員室 CR

職員室 CR

カフェ

B”

72

三階平面図 S=1:800

A”


B”

CR 職員室 展望台

便所

視聴覚室

PCルーム

職員室

多目的室

便所

カフェ

会議室 A

A”

職員室 CR

倉庫

屋上庭園 N

カフェ

B”

四階平面図 S=1:800

0

5

10

15

20

25

30(m)

73


4000 4500

職員室

4500

職員室

職員室

CR

職員室

4500

会議室

浴室

▼GL

4000

A-A”断A

4500

農園倉庫

職員室

4500

12000

4500

CR

職員室

職員室

▼GL+600 ▼GL

B-B”断B

74


4000

レストラン

4500

職員室

4500

職員室

4500

断面図 S=1:300 S=1:300

R

CR

職員室

職員室

職員室

CR 職員室

老人ホーム

断面図 S=1:300 S=1:300

75


ROAD PLANNING

①木の広場 オープンで商業的なエントランスとは対象的に自然を感じる空間となっている。 みんなで同じ木を囲み、同じことを感じることで空間の共有を意識させる。

①木の広場

④カフェ、幼稚園遊戯室

②屋上農園、小学校の調理室

⑤図書館

③集会所、小学校の自習室

⑥体育館観覧席 ⑦特別教室密集エリア ⑧老人ホーム、学童施設 ⑨運動場 ⑩小学校の体育館

③集会

地域の

に机へ

たり集 76


②屋上農園、小学校の調理室 幼児、児童共に農家の人といっしょにみんなで協力 して作物を育て、農業を学ぶ。ここで出来た作物は、 すぐ下の調理室で子どもたちが調理することも出来る。

校の自習室 会所、小学校の自習室

小学校が重なり合う場。ここでは道が連続的 の集会場と小学校が重なり合う場。ここでは道が連続的

④カフェ、幼稚園遊戯室

ていき、その机を挟んで勉強を教えてもらっ へと変化していき、その机を挟んで勉強を教えてもらっ

カフェ、幼稚園の遊戯室、小学校の体育館が空間を重ね合

われる催し鑑賞などさまざまな交流が生まれる。 集会所で行われる催し鑑賞などさまざまな交流が生まれる。

わせお互いに見て見られ、存在を意識し合うことが出来る。 77


⑤図書館 この図書館では道がどんどん家具スケールまで落ちていき机になります。 その机によって空間をわけ、かつ、机を挟んで対面に座るので多様なコ ミュニティが生まれる。また、幼稚園児、小学生などは視線の位置が違 うので、床の高さを変えコミュニティが生まれやすいようにしている。

立っている人の目線 座っている人の目線

目線の高さを合わせることで話をしたり、勉強を教 えたりコミュニケーションが比較的取りやすくなる。

小学校の道

幼稚園の道

⑤図書館 78

詳細断面図

S=1:70

地域の道


⑥体育館観覧席 老人ホームの玄関付近から体育館を眺められる。

老人ホーム

小学校の体育館 体育館観覧席

⑧体育館観覧席の詳細断面図

S=1:100 79


⑦特別教室密集エリア 特別教室で行われる授業は音楽室、実験室など興味性が高いものが多いので、 小学校、幼稚園、地域のそれぞれの特別教室を一つに密集させ、内部に開ける ようにすることでお互いに何をしているかが見て分かり、好奇心を沸かせさせる。

⑧老人ホーム、学童施設 普段は老人ホームだが放課後は学童施設と しても使える。高齢者と子どもが交流でき 地域全体で子どもたちを育てることが出来る。 80


⑨運動場 地域にオープンな運動場。地域の人も近くまで行って座り込みことができ、子どもの活動を 見守ることも出来る。また、学校が休みの日にはイベントなどの行事に利用することも可能。

⑩小学校の体育館 外の空気を味わえる外部の体育館。道や屋根が上 部で重なり合い雨は当たらないようになっている。 81


82


あとがき この作品は美術館の時とは違い、最初から最後 まで 「道」 という一つの案を貫き通した。 中間講評 ではコンセプト模型としては面白いが建築になっ ていないという指摘を受け、建築にするための スタディをかなり重ねたのを覚えている。 また、面 白いコンセプトを忠実に落とし込んで少しずつ 建築になっていくことの楽しさを実感できた。 83


寄生住 ~パラボラ移住物語~

世の中が便利になり、人々が一見幸せに過ごしている ような現在。そこの豊かさに疑問を持った人々がいた。

確かに東京は快適かもしれない。それでも足りない 何かは何なのだろうか?彼らはその疑問を追い、東京 を飛び出した。箱根を超え、彼らがたどり着いたのは 長野の山奥。そこには超先端組織である JAXA に 捨てられ今や使われなくなった巨大構築物があった。

彼らはその巨大構築物の機能、特徴を十分に活かし、 まるでそのモノが作り出す養分を吸い取るかのように 「寄生」し、今までにない新たな暮らし方を実現させた。

84


85


STORY

1

人 間 は 元 々 、 そ の 地 形 や天候に逆らわず、自然

しかし、現在東京を中心とする都市では地形を

の形に寄り添って建物を建て、集落を築いてきた。

掘り起こし、もとからあるものを全て壊して新し いものを一から造るようになってしまった。全て を人間によって整えられた世界は快適なのかも しれないが、どこか息苦しいような感じがする。

そこで不満を持った者たちが元からあるものを

彼らはその不動の構築物を目の当たりにし、現在、

壊すのではなくて、寄り添い共に生きる日本古

廃墟問題にひとつである巨大構築物を一つの地形

来の住み方を蘇らせるために東京を飛び出した。

として捉え、集落を創ることを決意した。地形に

そこから新たな場所を探していると今や使われて

寄り添って生きてきた古来のように、人間が残した

いない直径64mの巨大パラボラアンテナに遭遇。

負の遺産に寄り添う。そして現代のように全て人間 の力で成そうとするのではなく元からあるものの形 状、機能から更なる豊かさを生み出すことを試みた。

86


SITE

臼田宇宙空間観測所 研究棟

展示棟

パラボラアンテナ

配置図

1:600

パラボラアンテナ 敷地:「臼田宇宙空間観測所」

直径:64m(日本最大) 最高高さ:70m 機能:人工衛星からの電波を受信

電波 電波

電波

電波

電波

焦点

パラボラアンテナの原理 宇宙から受け取った電波が 円盤のどこに落ちても全て 焦点である副反射鏡に集ま り、最後はまっすぐ受信機

受信機

まで落ちるようになっている。 87


既存 新築

副反射鏡

住戸

反射板

UPPER PLANNING

立体トラス

EV ホール

熱を落とす管

ガラス

住戸

既存

LOWER PLANNING

既存のパラボラを軸にして住戸を 含めた新築を絡めていく。上部で は上部ならではの計画、下部では 下部ならではの計画とそれぞれの 特徴や機能を活かして上部と下部 に分けて合理的な計画を提案する。

88


UPPER PLANNING

パラボラを使った勾配の利用

1

4.7°以下の領域(人が容易に歩ける角度 )

90°

コンヴァージョンをする前にパラボラの反射 板の角度を固定しなければならない。その 際、パラボラ全体の角度を変化させていき、

20°

4.7°の領域(人が容易に歩ける角度 ) が 一番広くなるときの反射板の角度を調べた。 その領域が最大になるときの角度が 29.58。

29.58°

最大領域

89


2

29.58°で固定した場合の角度分布図

70°

50°

40° 30°

4.7° 25° 10° 5°

それぞれの角度から住宅としてできることを抽出し設計に取り入れた。

90


本棚

ボルダリング

80°

階段

寄りかかる

滑る

干す

40°

46°

机、イス

イスに座る

スロープ

25°

座る

15°

18°

寝る

70°

70°

1/12

4.7°

スケボー

91


3

住戸の二面性

共用のコモンスペ ースへ向けた玄関

外部の廊下へ

住戸

向けた玄関

居住者専用 コモンスペース

廊下

共用廊下 EV

中央の EV ホールから放射状に裏のトラスへと廊下が広がりそれぞれの住戸へアプローチできる。 住戸でパラボラを貫通させ、1 つの住戸に内と外の二面性を設けた。外側の玄関からは共用の 廊下へアプローチでき、内側の玄関からは住民限定の共用の中庭であるコモンスペースへ繋がり、 内に開いた小さな町というイメージで住民同士の安全なコミュニティが生まれやすくなっている。

92


4

70°

55°

40°

10°

30°

住戸 2

住戸 1

55°

70°

10°

40°

30°

1 つの住戸内では限られた範囲の角度しか体験 できないが 1 つの住戸を分割して裏で繋ぐことで 一世帯でさまざまな角度を味わえるようになる。

93


LOWER PLANNING

パラボラを使った自然エネルギーの利用

熱 熱

焦点

ミラー

パラボラの特性を活かし下へと熱を 落とす。ここは寒い地域で下から上 熱

住戸

に上がる熱を住戸を通って全体へと 循環させるためにつながりのあるデザ インとした。温めた空気を夜まで持続

熱の対流

させ、夜でも自然の力で暖かくできる。

蓄熱

光 光

焦点

住戸合計 1570 ㎡を暖めるために必

ミラー

要なエネルギーの量を求め、そのエ ネルギーの量を太陽光から集めるため にパラボラアンテナの反射板に設置す る必要なミラーの面積 12 ㎡を求めた。 パラボラの影になりやすい下の空間 を照らすために熱同様パラボラの機

住戸

能を利用し光を下部へ落とす。太陽 の明るい光が差し込む中心を囲むよ 光

94

うにして居住空間、廊下などを配置。


1

2

光を落とす管

既存建物

住戸

パラボラの機能を使い宇宙からの電

光を囲むようにして住戸を配置

波を落とすための筒を再利用し太陽

する。また、下から上に移動す

の光、熱を下へ落とす。筒の一部を

る空気がより循環しやすいよ

ガラスにし周囲を照らすようにした。

うに連続的なデザインとした。

4

板ガラス

すりガラス

下で暖められた空気を無駄なく循

熱で暖めるためのエネルギーを

環させるために板を貼り、螺旋状

取り込むとその光の明るさは膨

に空気が上へと移動するようにした。

大になってしまうので、まぶし い光が直接住戸へ入ってこない ように板を磨りガラスにした。

95


GL+60000

副反射鏡

GL+45000

回廊

EV ホール

GL+20000 住戸

▽GL

A-A”断面図

96

1:500


レール ガラス 住戸

EV

GL+20000 の平面では既存構造体を削

るようにしてガラスが差し込まれており、 エントランス

既存構造体 GL+20000 平面図

その内部に住戸を連続的に配置する。

1:1000

EV ホール 穴 EV EV

裏トラス 公園

机 GL+45000 の平面では中央のエレベー

住戸

ターホールから裏のトラスへと放射状 に廊下が広がり、裏のトラス内とパラ

ミラー

GL+45000 平面図

ボラの円盤上の広場の二面性が現れる。

1:1000

住戸

図書館

GL+60000 の平面では住戸がパラボラ自 体に差し込まれ住戸内でも表と裏の二面 性を設けている。パラボラの表の広場で はその勾配を活かした計画となっている。 N

GL+60000 平面図

1:1000

0

6

12

18

24

30

36

42

48(m)

97


① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ ⑪

98


戸、斜面の部分を各家庭で工夫して使う。 ① 住戸、斜面の部分を各家庭で工夫して使う。

③ 20°の斜面。寝転がってのんびり景色を眺める。

では ② 図書館では 70°という急勾配を壁として使い、 70°という急勾配を壁として使い、

④ 子供たちが遊ぶための公園。

ちが登ったり座ったりできる本棚を提案。 子供たちが登ったり座ったりできる本棚を提案。

25°の勾配は滑り台となる。 99


⑤ トラス側の住戸。住戸内にトラスが共存する。

⑥ EV ホール、ここから放射状に回廊が広がる。

⑦ EV ホールから裏のトラスへとつながる道。 100

⑨ 勾配を利用して、床と机が連続的につながる。

⑩ 4.7°以下の緩やかな勾配では無理なく歩けることができる。


⑧ 裏のトラスの休憩所。コミュニティーの場となる。

⑪ それぞれの住戸に繋がる裏のトラスの廊下。 101


102


あとがき このコンヴァージョン課題は既存構造物を集合住宅に 変えるというもので、既存構造物については宇宙が好き なので宇宙関連のパラボラアンテナを選んだ。JAXAに 問い合わせても見学や、図面を手に入れることができず にネットの情報で調査することにした。 だから住宅の提 案よりもパラボラアンテナの円盤の角度の分析や既存 建物の再現などの方にかなり時間をかけてしまい、 もう 少し住宅の方でもっと掘り下げた提案をしたかったと思う。 103


104


105


SITE

SITE

=

SITE

106


CONCEPT

107


PROCESS

Phase1

Type1

Type2

Phase2

Type3

Phase3


DIAGRAM

T

109


B

A”

A

B” 110

0

5

10

15


RAILROAD

PARK

OCU

=

111


B

A”

A

B”

0

5

10

15


113


114


5000

5

10

15

4400

0

115


116


117


PICK UP

Phase 3 PICK UP

118


119


Phase 1





Phase 3








Hayashi Shunya Architectural Desingn 2021 年 9 月 1 日

2014-2021

初版1刷発行

駿

発行者

駿

発行所

大阪市立大学工学部 建築デザイン研究室

大阪市住吉区杉本3丁目 3-138 郵便番号

558-8585

電話番号

06- 6 6 0 5 - 2 0 1 1

本書の全部または一部を無断で複写複製 ( コピー ) することは、著作権法上での例外を除き、禁じられています。





Turn static files into dynamic content formats.

Create a flipbook
Issuu converts static files into: digital portfolios, online yearbooks, online catalogs, digital photo albums and more. Sign up and create your flipbook.