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おばあちゃんとおじいちゃんとドラムスティック
おばあちゃんとおじいちゃんとドラムスティック
Grandma, Grandpa, and the Drumsticks
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リー・リアン
私の知り合いに、アンティークの肘掛け椅子や華やかな生花、ワインレッドの絨毯がある家に住む高齢夫婦がいました。親しみを込めて「おばあちゃん」と呼ばれていた小柄な奥さんは、ベテラン主婦であり、オペラ歌手であり、熱心な園芸家だった上に、料理の腕も抜群です。
特に好んで作っていた料理の一つは、蒸しポテトとハーブと付け合せを添えたおいしいローストチキンでした。鶏肉の中でも、最もジューシーなももの部分が一番おいしいと教えられて育ったおばあちゃんは、ドラムスティック(下もも肉)が大好きだったのですが、半身の鶏を切り分ける時には、いつもおじいちゃんにその部分をあげていたそうです。
著名な裁判官であるおじいちゃんは物静かな人で、一日の大半を、仕事関係のファイルを調べたり、書斎にある本を読んだりして過ごしていました。おばあちゃんが料理を出すと、おじいちゃんはいつもぽつりと一言、「ありがとう」とだけ言います。
でも、結婚して数年経ったある日、丁重な言い方で、奥さんに「今日は、別のほうをもらってもいいですか」と尋ねました。実は、むね肉のほうが好きだったと言うのです。
それを聞いて、彼女は驚きました。それまでずっと、鶏肉はももの部分が一番おいしいと思い込んでいたので、それを夫に食べてほしかったからです。彼もまた、彼女はむね肉のほうが好きなのだろうから、自分は遠慮しておこうと思っていました。二人とも大笑いし、その時以来、それぞれ自分の好きなほうを食べるようになったそうです。
おじいちゃんとおばあちゃんは50年間連れ添い、互いにこの聖書の言葉どおりに生きました。「何事でも自己中心や虚栄からすることなく、へりくだって、互いに人を自分よりもすぐれた者と思いなさい。自分のことだけではなく、他の人のことも顧みなさい。」*1
正直さと思いやりは、人間関係を成功させるために、最も重要な資質なのではないでしょうか。
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1. ピリピ2:3-4 新改訳第3版
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おそらく思いやりこそが、人間として持つべき一番の特質だと言えるでしょう。勇気や大胆さ、寛容さよりも、また他の何よりも、私はそれを大切にしようと思います。― ロアルド・ダール(1916-1990)
行く先々で愛を広めましょう。あなたのもとに来た人が、より幸せな気分で帰れるようにするのです。― マザー・テレサ(1910-1997)