Works 2009-2014
小林 尭礼
Akinori Kobayashi
Biografy 12.1990
静岡県静岡市生まれ
2006-2009
静岡県立静岡高等学校卒
2013
千葉大学工学部建築学科 栗生研究室卒業
2013-2014
千葉大学工学部建築学科 岡部研究室研究生
2014.3
Barcelona Architecture Center Spring 2014 短期留学
2014-
千葉大学大学院工学研究科建築・都市科学専攻建築学コース 岡部研究室修士 1 年
2011-2012
卒業制作合同展示会 TETSUSON2012 副代表
Contents Diploma Works
07. 揺蕩う栖 -tayutausu sumika-
千葉大学工学部建築学科卒用設計 奨励賞
せんだいデザインリーグ 2014 卒業設計日本一決定戦 100 選
Subject in Univ
Subject in Univ
31. 木礫の浮島
47. 都市の肢帯
小学校設計課題 学内 4 選 千葉県 5 大学合同講評会 C League 2011 7 位 千葉県 5 大学合同講評会 C League 2011-2012 書籍掲載
Subject in Univ
65. がらんどう
集合住宅設計課題 学内 8 選
Competition
81. 生時の受け皿
JIA 東海支部設計競技 第 29 回設計競技 銅賞
Competition
89. ある港町の瓦碑
全国陶器瓦工業組合連合会主催第二回甍賞学生アイデアコンペティション 銀賞
103. 季節はずれの風筒
Competition
第 27 回建築環境デザインコンペティション 優秀賞
121. ある建納家の手記 Competition 2014 年度支部共通事業日本建築学会設計競技 全国 12 選佳作
Competition
159. 伝う景水路から
関東学生景観デザインコンペティション 最優秀賞
180.LLOVE Instration Works 永山祐子建築設計 オープンデスク
Instration Works
Published Works
195. 現 -utsutsu-
211.BAC JAPAN 2014 Proposal
建築雑誌 [zeppline] No.124/May.2014 掲載
Produced the Books
215. 他作品
06
揺蕩う栖 -tayutau sumika[ Diploma Project ] 千葉大学工学部建築学科卒業設計 奨励賞 せんだいデザインリーグ卒業設計日本一決定戦 100 選
07
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social problem
proposal
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story
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cross section
social problem
多拠点居住へ
1.
concept
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diagrams
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2.
これまでの硬質化した生活から
plans
entry
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3.
いくつも小さな住処を持つ
気軽に住処を変える流動的な生活環境をつくる
娯楽としての住処 ¦ 1 ¦ 2 ¦
東
郊外のキャンプ場
空
セカンドハウス
山 10
social problem
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site concept ¦1¦2¦ 娯楽としての住処
entry
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郊外のキャンプ場
diagrams
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セカンドハウス
山手外周沿いに拡大する木造密集地帯
1.
東京の変遷
section photos
¦1¦2¦3¦
cross section
空襲で焼野原となった
高密度な建物群
郊外にも高密度化された住まい
山手内周
2.
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空き家、空き地を埋めるように山手外周沿いに広がる住処
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空き地空き家の進行する下町、京島地区 東京下町京島地区。東京大空襲の後、山手内部の人々の避難 地として、急速に高密度に住宅が建てられた。その後土地の 分割を繰り返し今の木造密集地が形成されている。住宅建設 前の農道や水路が現在の路地として残されており、複雑な町 並みと、住宅の密集した人間が織りなす温かみのある生活が 残されている。しかし、この地区も年々空き家や空き地化が 進んでおり、縮小社会への適応変化を余儀なくされている。
13
entry
social problem
proposal
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concept
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cross section
各所でシャッター街が進む中、京島地区には今も活発に地域を支える商店街が存在する。 昭和二年に設立され、歴史あるお店が数多く残る古い街道沿いの商店街で、中元、歳末の大売り出しや、
平成 18 年度完成
長屋は消え、マ
一年を通じて種々のイベントや催しが行われており、地元愛に溢れた場所である。 また、木密密集が生み出した車の通らない小さなスケールの路地が、地域住民の向こう三件両隣の環境を守っている。 密集した家々の間に塀がなく、鉢植えや洗濯物などが表出する路地空間は、 区画整理されたまちには失せてしまった、人々の生活感と温もりが滲み出た魅力溢れたコミュニティの場となっている。
都市計画的区画。十字路
均質な町並みと視線の連続
ほとんどが空き家となっている青
木密地区に見られる T 字路等。 旧農道や水路が路地へと変わっている。
14
複雑な路地構成は不均質で豊かな景観を生む。
大通りに面していても空き店舗が目立つ。 大きなマンションも建ち始めている。
現在も唯一残る京島の銭湯。電気湯。
8 年度完成予定の開発地区。
消え、マンションが建つ。 一連と並ぶ住居から見える洗濯物たち。 各ポケットパークには井戸が。
生活感溢れる。温かみのある風景。
雨水貯蓄。防火。
いたるところに防火タンクがおかれている。 地域のみんなでまちを火から守る。
どの家も、1 階を町工場としていた。 一昔前まであった銭湯跡は、コミュニティ住宅という
1990 年以降、その数は激減。今では殆ど工場を下ろしてしまった。
コンクリートのマンションに。 町の中心に生まれる巣。 駅から町の中へと歩いて入っていくことが、 その地とのつながりのはじまり。
拡張の進む道路。みんなが集う路地の消失。
っている青トタンの長屋たち。
人情、活気溢れるキラキラ橘商店街。 のこぎりの柄をつくる町工場が多かったという。
一方で空き店舗も目に付く。
今でもアスファルトの下には、赤松の端材がたくさん埋まっているという。
週末にはフリーマーケットも開催されている。
赤松の匂いも住民の風景のひとつ。
今年いっぱいで転居となるまちづくりセン
まちづくり公社の移転先は決まっていない
15
精巧な木工加工技術を持つ『日建』
entry
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te
esearch
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cross section
cross section
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いろんな人の活動が透けて見える。
photos
cross section
建具を取り付ける。
壁をつくったら、
縁側で一息つきたくなる。
スペースに植木を置きたくなる。
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18
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cross section
燃え止まり層 燃えしろ層 空き家や余剰な
内装不燃層及び燃えしろ
建具の再利用&ストック
燃えても躯体は残る。 炭が耐火被覆にもなる。
フレームが合わさることで、 耐火性能は向上する。
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20
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23
social problem entry
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social problem research
proposal diagrams
concept
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research
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plans
story
model model of 1:20
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cross section
cross section
N
24
Plan GL+4000
social problem
plans
entry
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site
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N
Plan GL+6500 25
social problem entry
entry image outside
concept
site
story social problem research
plans concept
proposal diagrams
section
model of 1:20 model
concept
site
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story
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cross section
cross section
N
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Plan GL+9500
social problem
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28
cross section
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木礫の浮島 [ Subject in Univ ]
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2011 年 7 月 23 日
フェアトレード東北での震災ボランティアを終え、石巻から沿岸部をつ たって千葉へと戻る。震災から 4 ヶ月経っても、至るところに瓦礫が散乱 している。集められた瓦礫も、小学校などの公共場に堆積し、人々の拠り 所を奪い、復興の妨げとなったいた。かたや東北地方を後にすると、もは や震災があったのを忘れたように、ごく自然な、普段の生活が待っていた。
34
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social problem
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site plan
concept
concept
ow chart
drawing
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entry
social problem
entryconcept
social problem site
diagram
concept
concept
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proposal plansite plan drawing
section
photos
photos
23,000,000,000 kg (2011 年 9 月時点 )
2011.03.11、戦後最大の自然災害が日本を襲った。 M9.0 という未曾有の大地震は、人々の予想を遥かに 超えた津波を東北北関東沿岸部に発生させ、生命を 攫い、土地を奪い、住みどころは瓦礫と化した。 23,000,000,000 kg 今もなお、多くの瓦礫が復興を妨げている。
36
37
entry entry
socialdiagram problem social problem
proposal site plan
concept
concept
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concept story
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photos
photos
70%
震災によって発生した瓦礫の内、約 7 割が木質瓦礫であることがわかった。 木質瓦礫から木質チップを生成、更にチップからへと再生し、日本全土で活用することにより、瓦礫消費を促進する。
38
浮島の間伐材利用
木質ガレキの利用フロー図 木質チップを木質ボード、バイオマス工場へ各地方へ輸送
木質チップ、木質ボードを活用し、需要を促す
中間処理施設にて木質チップ化
木質チップを木質ボード、バイオマス発電に活用
仮集積場での分別 広域処理での海上輸送
木質ボード工場想定一覧 広域処理試算表
前 提
木質バイオマス発電所
・木の繊維
・ノダ
・イワクラ
・ニチハマテックス
・宮古ボード工業
・トーべック加工
・新秋木工業
・ホクシン
被災地で5ヶ所 程度を想定。
④ 積出港側費用
ヤード重機費用
チップ等の 搔き揚げ重機:12m3大型ショベル使用。 オペレータと捜査人員を1名含む(4,5000円/日で25日稼働/月)
船積費用
499G/T船への積込みを前提。 積込み単価 1.5円/kg (大型クレーン2基と作業員含む)
・大建
・大倉工業
・小名浜合板
・永大産業山口平生
・日本ノボバン
・大平工業
前 提 (月間費用)
1現場木くず80トン/dを処理と仮定 単価 単位 数量 ① 0.4BH 本体 13,900 円/日 2機 人工 18,000 円/日 2人工 1.97 ℓ/木くずt (軽油) 燃料費(120円/ℓ) WR 本体 内訳 (リース費) 143,445 円/年 (修繕費) 305,000 円/年 +) (油脂(オイル)) 100,000 円/年 本体(÷150日稼働) 3,653 円/日 1機 人工 18,000 円/日 1人工 燃料費(120円/ℓ) 1.7 ℓ/木くずt − 20㎥車 車体 6,000 円/日 3台 【場内用】 人工 18,000 円/日 3人工 燃料費(120円/ℓ) 60ℓ/台 小計 +粗利5% ② 20㎥車 車体 6,000 円/日 3台 その1 人工 18,000 円/日 3人工 1台8回 燃料費(120円/ℓ) 60ℓ/台 0.4BH 本体 13,900 円/日 1機 積込 人工 18,000 円/日 1人工 燃料費(120円/ℓ) 1.48 ℓ /木くずt 小計 +粗利5% ② 20㎥車 車体 6,000 円/日 4台 その2 人工 18,000 円/日 4人工 1台5回 燃料費(120円/ℓ) 60ℓ/台
② その3
1台3回
小計 ② 20㎥車 その4
1台1回
+粗利5% 車体 人工 燃料費(120円/ℓ)
小計 +粗利5% ③⑧ TG540TX (キャタ試算) 某社(処理ライン) 0.4BH 本体 投入積込 人工 (軽油) 燃料費(120円/ℓ) 小計 +粗利5% ⑦ 50㎥車 常用単価 チップ売価 小計 粗利0% 地代家賃 某社参考 ⑨ 0.4BH 本体 人工 燃料費(120円/ℓ) 分析費 CCA(年2回) ⑩ Cl2(年4回) 小計
6,000 18,000
6,000 18,000
671 8,300 13,900 18,000 1.48 50,000 -10,000 270 13,900 18,000 1.48 14,000 10,000
円/日 7台 円/日 7人工 60ℓ/台 円/日 20台 円/日 20人工 60ℓ/台
合計 円/t(木くず) 348 27,800 450 36,000 236 -
⑤
海上輸送費
船賃 海事検定料
18,000 54,000 21,600 18,000 54,000 21,600 13,900 18,000 24,000 72,000 21,600 42,000 126,000 21,600 120,000 360,000 21,600
円/㎥ ×0.8(管理費別) 円/t 円/日 2機 27,800 円/日 2人工 36,000 ℓ /木くずt 円/日 1台 円/台 円/坪/月 1ha 円/日 1機 円/日 1人工 ℓ /木くずt 円/検体 10 円/検体 10
50,000 -40,000 810,000 13,900 18,000 280,000 400,000
46 225 204 重機稼働率80% 150 450 180 2,403 150 450 180 174 225 A 178 重機稼働率60% 1,425 短距離 300 900 180 +A 2,055 中∼短距離 300 1,575 180 +A 2,764 中距離 1,500 4,500 180 +A 7,095 長距離 3,355 小計 3,691 6,640 小計 7,304 348 450 破砕トータル…8,000円/㎏ 178 重機稼働率60% 1025 5,000 -1,000 4,000 405 ←3,560t/ha集積 174 225 178 重機稼働率60% 14 20 ←年間20,000t処理として 1,016
499G/T船:木チップで2500m3で500㌧/隻積載 499船は、チャーターとして月額で1700万円/ 隻。プラス燃料費(2万5千円/航海時間) ボード会社の生産余力を6000㌧/月とすると 12隻の配船が必要。 右の航海時間より、チャーター船としては 最低2隻は必要。
前 提
備考
船降費用
北海道 10% 関東 30% 中京 15% 近畿 30% 九州 15%
150万円 540万円
405万円 2,940万円 3,400万円
90 Hr
1.8 隻
130 Hr
3.6 隻 1,170万円
150 Hr
1.8 隻
(月間:6,000トンを扱う。)
オペレータ人員を1名含む(4,5000円/日で 24日稼働/月)
②
母材輸送費
③
被災地チップ化処理費用
④
積出港側費用
災害木くず運用に係る概算試算(バイオマス)
①
母材分別費用
②
母材輸送費
左下参照
③
海上輸送費
左下参照
④
積出港側費用
⑥
荷降ろし港側費用
左下参照
⑤
海上輸送費
⑥
荷降ろし港側費用
⑦ ⑧ ⑨ ⑩ ⑪ ⑫ ⑬
小計
諸経費(10%) 合計
合計36,641万円
33,600万円
⑤
50㎥積載(常用) ボード工場への横持ち費 (チップ販売価格相殺) 母材の現地でのチップ化費用 破砕機(80t/日) 重機(0.4BH×2台)投入・積込 1ha=3,560t保管 保管費 0.4BH 1台/ha配置 Cl 4回/年 分析費 CCA 2回/年
4.0
4.0
8.0
8.0
積出港側費用
960万円
保管ヤード 養生費用
項 目
⑦ ⑧ ⑨
∼2年目【全国の工場等で活用】 [ 千円 ]
作 業
仮置き場での分別費用(人・重機・燃料等) Ⅰ.母材ヤード→チップ化施設→港への輸送費 Ⅲ.集積所→母材ヤード Ⅱ.母材ヤード→港への輸送費 Ⅳ.母材ヤード→破砕施設
被災地チップ化処理費用 被災地側のチップ化施設の処理費 荷役費用、保管ヤード費用 荷役費用、保管ヤード費用
ボード工場への横持ち費 チップの工場への物流費 母材の現地でのチップ化費用 港からの母材横持ち費用 チップ化費用(ボード工場への輸送費を含む)
保管費
母材の長期保管
1.0
1.0
⑩
分析費
木くずの分析費用(Cl、CCA、10検体/1回)
25.3
⑪
小計
2.1
2.5
⑫
23.1
27.8
諸経費(10%) 合計
適 用
地元処理15% 29万7千t
混廃重機選別 714,240 重機(0.4BH×2台、WR×1台) 80t/日運搬 1,666,560 20㎥車(2台∼20台常用) 破砕機(80t/日) 重機(0.4BH×2台)投入・積込 2,380,800
隣県処理41% 81万1千t
50㎥積載(常用) (チップ販売価格相殺) 破砕機(80t/日) 重機(0.4BH×2台)投入・積込 1ha=3,560t保管 0.4BH 1台/ha配置 Cl2 4回/年 CCA 2回/年
1,190,400
[ 千円 ]
地元処理44% 227万t
隣県処理27% 141万9千t
357,120
6,338,88 6,972,768
広域処理29% 151万7千t
1,946,880
2,081,280
5,449,920
3,407,040
3,642,240
6,157,120
12,716,480
14,054,040
10,774,960
18,166,400
11,356,800
6,489,600 2,716,900
3,244,800
12,759,250
42,137,150
73,740,012
0
9,083,200
5,678,400
1,387,520
4,541,600 49,957,600
68,708,57
4,995,760
23,111,088 75,579,427
54,953,360
21,010,08
0
おおよそ 5.5年にて 処理完了
12,140,800
21,010,080 68,708,570
1,297,920
720万t
4,754,575
7,291,000
6,937,600
6,338,880
合計 [千円]
2年∼ 【全国の工場等で活用】
広域処理44% 86万7千t
8,030,880
船賃+検定料金
21.0
⑬
ガレキ処理 国庫負担額95% 地方交付税5%
675万円 1,406万円
ヤードの仕切り壁(コンクリート)と飛散防止用のネットの設置。 ヤード1ヶ所につき2,800万円程度×7か所
東日本大震災関係経費 約11兆円
チャータ費
合計 6,340万円
675万円
各費用
保管ヤード費用 とする。管理員2名を含む。(月間 30日)
円/㎏
燃料費 (計)
1.2 隻
3.6 隻
499G/T船からのチップの荷降しを前提。 荷降し単価 1.6円/kg (中型ショベル1基・クラブクレーン・作業員含む)
目標・日量80トン処理として… 地元処理 隣県処理 混廃重機選別 重機(0.4BH×2台、WR×1台 2.4 2.4 80t/日運搬 7.1(Ⅲ) 2.8(Ⅲ) 20㎥車(2台∼20台常用) 2.8(Ⅲ) 2.8(Ⅲ) 破砕機(80t/日) 重機(0.4BH×2台)投入・積込 8.0 8.0
処理総額 400,804,343,000円 総量720万t(木質ガレキの40%)
海上輸送費
50 Hr
ヤード重機費用 12m3大型ショベル使用。
被災地及び隣県運搬処理費等試算表
合計2,362.5万円
60 Hr
被災地で 12ヶ所 程度を想定。
母材分別費用
562.5万円
航海時間 月間配船数 (往復)
ヤード使用のヤード単価を(15円/m2・日で5,000m2/1ヶ所)
①
積出港側費用
900万円
900万円
チップ及びボード工場向け車両への 搔き揚げ・積込み重機:
⑥ 荷降港側費用
3,653 18,000
向先
配送地を北海道、関東・中京・近畿 (中四国含む)・九州の5カ所への供給。
・東京ボード工業
+粗利5% 車体 人工 燃料費(120円/ℓ)
各費用
保管ヤード費用 とする。管理員2名を含む。(月間 30日)
・東北ホモボード工業 ・エヌ・アンド・イー
小計 20㎥車
(月間:6,000トンを扱う。)
ヤード使用のヤード単価を(15円/m2・日で5,000m2/1ヶ所)
木質ボード工場
2,271,360
2,428,160
36,767,640 120,239,997 3,676,764
12,023,999
39 333,325,043
40,444,404 132,263,996
※木質ボードにおける処理試算額 67,479,300,000円
entry
social problem
proposal
concept
site
plan
story
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section
40
photos
53200
3800
45600
3800
00
177
25700
17560
0
20
24
+300 +200 +100
36800
1 2 3 4 5 6
Store room&Equipment room Office Exhibition room (M) Exhibition room (S) Lecture room Cafe 6
3
4700
2 5 1
4
GL+2000 5m 1m
15m
41
social problem
diagram
site plan
concept
flow chart
drawing
entry
social problem
proposal
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section
photos
photos
浮島の床の木くずは雨に濡れ、日に照らされ乾燥し、 人間に踏まれることを繰り返して腐り、小さく、土となっていく。
普段は水辺の広場として、 地域住民の日常に取り込まれる。
木の格子にはカワニナなどの貝が棲みつき、 それにつられハゼやコイ、カモなどの水辺の生物が集まる。
42
entry
social problem
diagram
site plan
concept
concept
ow chart
drawing
photos
43
entry
entry
concept concept story
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social problem
social problem
site concept
research
diagram ow chart
proposal plan
site plan drawing
section
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都市の肢帯 [ Subject in Univ ] 千葉大学小学校設計課題 学内 4 選 千葉県 5 大学合同講評会 C League 2011 7 位 千葉県 5 大学合同講評会 C League 2011-2012 書籍掲載
47
entry
concept
concept
site
entry concept story
concept
drawing
diagram
plans
social problem site
research
diagram plans
photos
section
photos
都市の肢帯
都市の肢帯
__都市と住宅地の狭間に、四つの帯を挿入する。 子、家族、文化、社会。四つの因子は互いを共有し、都市へと放たれる。
___都市と住宅地の狭間に、四つの帯を挿入する。
蠢く都市を支えるために、未来の四肢となるために。 ___
子、家族、文化、社会。四つの因子は互いを共有し、都市へと放た
地域の人材を積極的に教育の場に参画させる、市の推進する静岡版道徳は、
れる。蠢く都市を支えるために、未来の四肢となるために。___
子どもたちと社会、地域を結ぶ。静岡の中心地、静岡駅からほど近い本敷地は、
地域の人材を積極的に教育の場に参画させる、市の推進する静岡版 都心部と未だ住宅地の存在する境界線に位置する。
道徳は、子どもたちと社会、地域を結ぶ。静岡の中心地、静岡駅か この場に、子どもや地域住民、文化推進事業など、様々な活動が交わる複合小学校を計画する。 らほど近い本敷地は、都心部と未だ住宅地の存在する境界線に位置 する。この場に、子どもや地域住民、文化推進事業など、様々な活 動が交わる複合小学校を計画する。
48
49
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social problem
diagram
concept
site
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story
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section
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静岡の中心地、静岡駅に最も近く位置する。 近年、静岡の発展とともに敷地周辺は高層化が進み、住宅街と商業地の境目となりつつある。 対象敷地の周辺は、東海道線の主要駅、静岡駅と国道 1 号線が通る。学校より北側は 商業地区として県内一の発展をみせ、学校より南側は住宅街が広がる。 50
平成 23 年度から、市の教育委員会は総合単元的道徳、 通称「静岡版道徳」という新たな教育方針を導入した。 これは教員だけでなく、地域の人材を積極的に教育の場に 導入することで、子どもたちの総合的学習をより濃いものに しようとするものである。地域主体の教育が求められている。
51
entry concept
entry
social problem
conceptconcept
concept site
drawing plans
diagram research
plans section
story
site
diagram photos
photos
市の中心地に存在し、商と住の境界線を担う この敷地に、双方をゆるやかに繋げ、 地域の拠点となる複合小学校を提案する。 緩やかに繋ぐ
52
diagram
City area
Business support Cultural promotion Regional classrooms
Residential area
Ordinary classrooms
53
entry
social problem
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concept
site
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story
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54
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GL+1000
site
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UP
UP
UP
DN
UP
DN
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DN
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DN
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DN
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DN
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DN
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DN
DN
トイレ
職員室
家庭科室1
生活科室
トイレ
校長室 UP
DN
DN
UP
DN
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DN
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DN
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DN
DN
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UP
DN
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家庭科室2
GL+7000
UP
GL+4000
UP
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DN
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音楽室
DN
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DN
UP
UP
UP
UP
DN
UP
DN
UP
DN
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DN
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UP
DN
DN
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DN
UP
DN
UP
DN
class
GL+10000
GL+13000 57
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story
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section UP
DN
UP
DN
UP
UP
DN
UP
DN
UP
DN
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DN
DN
DN
UP
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UP
UP
UP
UP
DN
DN
UP
UP
DN
UP
DN
UP
DN
UP
DN
UP
DN
GL+16000 UP
DN
DN
DN
UP
class
58
class
UP
DN
UP
DN
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DN
UP
DN
UP
class
class
DN
UP
DN
class
GL+22000
DN
GL+19000 UP
DN
DN
class
class
class
class
class
GL+25000
9F
8F
7F
6F
5F
4F
3F
2F
1F 59
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social problem
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concept
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story
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60
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61
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がらんどう [ Subject in Univ ] 千葉大学集合住宅設計課題 学内 8 選
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plan
66
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がらんどう を設計する。 私たちは誰もが生活の専門家である。 風呂場にトイレ、キッチンや寝室、リビングにダイニング… 効率化、均質化して供給される現在の住宅は果たして人々の生活に適しているの だろうか。人々はみな、それぞれ固有の生活スタイルを持っていて、それが現代 の建築空間によって制限されてしまっているのではないか。 生活者が本来の望むスタイルを想起するような、新たな空間をつくろうと考えた。
67
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concept
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新しいスケルトンのカタチ がらんどう、フレキシブルな空間を構成するフレームを設計する。 このフレームは三種類のモデュールからつくられ、そこから生み出される 6 つのパネル によって、空間を仕切る。これにより、フレームの接続とパネルの追加、除去で、生活 に合わせた柔軟な空間を生む。
-diagram断面構成で考える。
6.6m×6.6m
4.4m×4.4m
2.2m×2.2m
繋がるように積む 68
繋がるように積む
1 つのモジュールから 異なる二つの空間が生まれる 1 つのモジュールから 空間に差別化を図るため、壁を斜めに傾ける
異なる二つの空間が生まれる
空間に差別化を図るため、壁を斜めに傾ける
ex ex
繋ぐことで空間に広がりを生む
更に繋ぐことで、横に広がる、縦に広がるユニットを作り出す
繋ぐことで空間に広がりを生む
更に繋ぐことで、横に広がる、縦に広がるユニットを作り出す
差別化された三つのユニットから空間を構成していく 差別化された三つのユニットから空間を構成していく 69
entry
diagram
concept
plan
フ レ ー ム の 連 結 で、 空間に広がりを生む。
70
photos
エントランス棟は、 個別の玄関によるアクセスで 居住者間のプライバシーを守る。 仕切られているが、空間は繋がっており、 お互いの生活の空気は感じられる。
71
entry
diagram
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72
photos
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entry
diagram
concept
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photos
生活空間は、パネルによって 変動が可能。居住者同士の視界が 交わらないように空間を配置している。 上部からの柔らかな光が降り注ぎ 大きな空間や小さな空間など、 差別化され変化に富む空間は、 居住者本来の生活スタイルを喚起する。
74
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entry
diagram
concept
plan
76
photos
77
entry
diagram
concept
plan
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80
生時の受け皿 [ Competition ] JIA 東海支部設計競技 第 29 回設計競技 銅賞
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concept entry
diagram
section
images
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concept
concept
section entry
diagram
drawings diagram
section
exhibition
images
動
間
動
society
生活の間
時の経過
home
時の間
84
時の間
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concept
section
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drawings
exhibition
85
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diagram
section
images
86
生時の受け皿 ココは、決してみんなの場所ではない。 だからといって、私だけの場所でも、ない。 ココに居るのは、3 人目の私。 仕事のコトとか、家のコトとかは、 2 人の私に任せて良いよね。 ココに居るときは、静かに、この地に身を委ねたいから。 お日様がいて、 雨にふれ、 風をかぎ、 木々や、むし、 人のかなでに、 耳をうるおす。 また今日も私は、ココにとじこもってしまいそう。
3 人目の私。
水に集まる生物たち。 窪みに集まる天からの水。
木々は、窪みの水に向かって枝を伸ばす。
断面図 1m 5m
「生活の間」と「時の間」 動
ある動きとある動きの堺に、「間」は生まれる。
間
動
木々は、葉を落とした。 空は、少し高くなった。
人の一日の生活をマクロに捉えれば、 社会と家の堺にも「間」は存在するだろう。 「間」を顕在化した受け皿を堺に挿入することで、 二分化された人の生活を解消する。
society
生活の間
home
この受け皿に集まる自然は、 長い時をかけて成長し、その一時の「間」を 人と重ね合う。 自らの時と自然の時の共有を増やすことで、 人はその地を少しずつ理解していく。
時の経過 時の間
雲が生き生きとしている。
時の間
ぽつぽつと、雨がリズムを刻む。
屋根伏図 1m
5m
N
10m
87
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しるし
ある港町の瓦碑 [ Competition ] 全国陶器瓦工業組合連合会主催第二回甍賞学生アイデアコンペティション 銀賞
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後世に伝える思いと風景 それまで個々であった屋根をみんなで使う屋根とした場を創る。互 いに共有し、屋根を、その場を、それが織りなす風景を、 みんなで守っていく。今後も続く、度重なる天災に何度失っても、 みんなが一体となり何度もこの屋根の場を再生する。そしてみんな の屋根が復興のシンボルとして思いをひとつにし、時代を経て後世 に自然との対話を語り継ぐ場となるような、新たな風景を創造する。 90
91
entry concept
social problem
section
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3 月 11 日。東北北関東の多くの沿岸部が類をみない巨大津波に襲われた。特に、 岩手、 宮城、福島、の東北三県では多くの地区で 10km を超える津波が家々を、人々の生 活を飲み込んでいった。東北地方各所で、このライン以上の高台への居住地移転計 画など、復興計画が進むが、以前足並みの揃わない状況である。今後も続く天災から、 concept entry
story
復興する思いをひとつにするために、みんなが共有するものが必要である。 concept
diagram
drawings
photos
exhibition
個々であった屋根を みんなの屋根に
時代を経て受け継がれる 一体となって再生する
復興の風景 天災で壊れても
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entry concept
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▼津波で流された居住エリア
▼3.11 津波到達ライン
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▼高台エリア
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photos
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entry concept
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evalation
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photos
しるし
ある港町の瓦碑
01. 津波で失われたまちたち - 津波到達ライン -
02. 連なる屋根の風景
03. 後世に伝える思いと風景
3 月 11 日。東北北関東の多くの沿岸部が類をみない巨大津
傾斜地に連なる家々の屋根、寺社等
それまで個々であった屋根をみんなの使う屋根と
波に襲われた。特に岩手、宮城、福島の東北三県では多くの
の破風により重層した様相をみせる
した場を創る。互いに共有し、屋根を、その場を、
地区で 10m を超える津波が家々を、人々の生活を飲み込ん
屋根など、建築の連なった屋根が織
それが織りなす風景を、みんなで守っていく。今
でいった。右図は、宮城県女川地区における津波到達ライン
りなす風景は、人々の生活の躍動感
後も続く、度重なる天災に何度失っても、みんな
を示している。東北地方各所で、このライン以上の高台への
と、自然との共生を美しい風景とし
が一体となり何度もこの屋根の場を再生する。そ
居住地移転計画など復興計画が進むが、以前足並みの揃わな
て映し出しており、日本人の根源的
してみんなの屋根が復興のシンボルとして思いを
い状況である。今後も続く天災から、復興する思いを 1 つに
風景として強く心象に根付いてい
1 つにし、時代を経て後世に自然との対話を語り
するために、みんなが共有するものが必要である。
る。
継ぐ場となるような、新たな風景を創造する。
個々であった屋根を みんなの屋根に
時代を経て受け継がれる 一体となって再生する
復興の風景 天災で壊れても
津波到達ラインを示す大屋根
連なるみんなの屋根
▼津波で流された居住エリア
▼高台エリア
土に還し、また土から造る瓦
▼3.11 津波到達ライン
紅葉で賑わうみんなの屋根
自然と織りなす銀世界
断面概要図 ( 図面 1:1000)
津波で幾度損壊しても再生する復興シンボル
立面図 1:100
101
102
てがみ
季節はずれの風筒 [ Competition ] 第 27 回建築環境デザインコンペティション 優秀賞
103
104
季節はずれが、季節のおとずれをおしえてくれる。
105
106
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story
system
site
diagram
planting plan
photo
exhibition
地下の空気をそっと取り出してみる。
誘われた地下からの風は 筒から漏れ出して便りとなって ひと足早く春の訪れを告げたり 木々が紅葉している時間を ほんの少しだけ伸ばしてくれる。
まだ冬の名残を残す枯れ木たちの中で ひと足早く咲いた桜の花は より美しく、より鮮やかに感じられ 今まで知らなかった季節の移ろいの 豊かさを気付かせてくれる。
“風筒”が手紙のように “季節はずれ”を知らせてくれるとき その便りにのって 再びこの場所へと足を運ぶだろう。
107
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site
system diagram reseach
planting plan
concept
proposal
type of plants
story
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photo
exhibition
地上と地下の再編
代々木公園
東京メトロ千代田線
代々木公園の地下を東京メトロ千代田線が横断している。しかし公園と地下の関係は断絶され、地下鉄 の換気口は忘れ去られたように公園に置かれている。地下から伸びる換気口を地上面で空間化すること で、都市がつくり出した設備と自然が織りなす美しい風景に着目し、その存在を再編する。
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site
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planting plan
photo
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地下空間の持つ恒温性
[℃]
東京 外気温と地中温度の年間変動
35
30
地下空間は1年を通して温度の変動が少
25
なく、夏は涼しく、冬は暖かく感じられ
20
る。換気口を通して、地下空間の環境を
15
引き込むことで、人のよりどころとなる
10
魅力的な空間を創る。
地上
地下 5m
5 0
1
2
3
4
5
6
7
8
9 10 11 12
[月]
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reseach proposal diagram
planting plan
type of plants
photo
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空気循環システム
地下鉄走行時の圧力差を利用して自然換気が行われる。その際に発生する空気の移動を、土壌の浄化作用により地上 へ還元するとともに地下空間の恒温性がもたらす環境の差異を植物によって視覚化する。 東京の大気 浄化された空気で空間が満たされる。
一定温度の風
緑の香りを伝える風
土壌層 通気層
オゾン混合
進行方向
110
メトロ風
entry
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system
site
diagram
planting plan
photo
exhibition
メトロ風と土による大気浄化
微生物 土中水分
排ガスなど大気中の汚染物質を、土中
土粒子
に普遍的に存在する微生物の分解作用
光合成
と土壌の持つ吸着・ろ過作用によって CO 2
除去し、クリーンな空気を地上に還元 する。また分解され発生した窒素は必 須元素として植物の生育を促進する。
メトロ風
微生物の活動において発生する二酸化 炭素も、地上の植物の光合成のサイク
一酸化炭素 CO
ルに組み込まれ、大気浄化と土壌豊穣
窒素酸化物 NOX
化の融合システムとして構築される。
浮遊粒子物質 SPM
111
story entry
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planting plan
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type of plants
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type
風筒のダイアグラム
112
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風筒のダイアグラム
113
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温熱環境
10℃
20℃
30℃
1年を通した気温差は換気口に近いほど安定し、温熱環境の違いは植生に差異を生じさせる。
114
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system
site
diagram
planting plan
photo
exhibition
植栽計画
温度変化による影響を受ける植物を 風筒の起点に配置することで、 “季節はずれ”の風景が生まれる。
日光を多く必要とする植物は、 筒の開けた空間と連動させて 広場のような空間とし、日照時間を確保する。
115
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type of plants
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117
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type of plants
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第 27 回 建築環境デザインコンペティション
「設備」を可視化した建築
て が み
季節 はずれの 風筒 地下の空気をそっと取り出してみる。 誘われた地下からの風は 筒から漏れ出して便りとなって ひと足早く春の訪れを告げたり 木々が紅葉している時間を ほんの少しだけ伸ばしてくれる。 まだ冬の名残を残す枯れ木たちの中で ひと足早く咲いた桜の花は より美しく、より鮮やかに感じられ 今まで知らなかった季節の移ろいの 豊かさを気付かせてくれる。 “風筒”が手紙のように “季節はずれ”を知らせてくれるとき その便りにのって 再びこの場所へと足を運ぶだろう。
03 空気循環システム
01 地上と地下の再編 代々木公園の地下を東京メトロ千代田線が横断している。しかし公園と地下の関 係は断絶され、地下鉄の換気口は忘れ去られたように公園に置かれている。地下 から伸びる換気口を地上面で空間化することで、都市がつくり出した設備と自然 が織りなす美しい風景に着目し、その存在を再編する。
04 メトロ風と土による大気浄化
地下鉄走行時の圧力差を利用して自然換気が行われる。その際に発生する空気の移動を、土壌の浄化作用により地 上へ還元するとともに地下空間の恒温性がもたらす環境の差異を植物によって視覚化する。 微生物
東京の大気 緑の香りを伝える風
土中水分
浄化された空気で空間が満たされる。
一定温度の風
土粒子
光合成 CO 2
土壌層 通気層 メトロ風
オゾン混合
代々木公園 進行方向
一酸化炭素 CO
メトロ風
窒素酸化物 NOX
東京メトロ千代田線
02 地下空間の持つ恒温性 地下空間は1年を通して温度の変動が少なく、夏 は涼しく、冬は暖かく感じられる。換気口を通して、
浮遊粒子物質 SPM
05 風筒のダイアグラム type
ひらいた空間、とじた空間と変化させることで、 広場となったり、道となったり、多様な空間を生む。
地下空間の環境を引き込むことで、人のよりどこ ろとなる魅力的な空間を創る。 [℃]
微生物の活動において発 生する二酸化炭素も、地 上の植物の光合成のサイ クルに組み込まれ、大気 浄化と土壌豊穣化の融合 システムとして構築され る。
06 温熱環境
07-a
換気口から流れてくる地下空気は1年を通して一定の温度を保つ。半筒状に形成され た曲壁面は空気と熱の滞留所となり、通常の屋外とは異なる環境をもたらす。
風筒によって形成された温熱環境と空間の持つスケールの組み合わせに合わせて植栽 を配置していく。色とりどりの植物を混合させることで“季節はずれ”をより強調し、 色彩豊かなランドスケープをつくり出す。
10℃
植栽計画
東京 外気温と地中温度の年間変動
35
30
地上
25 20
地下 5m
15
scale
20℃ 環境に沿って 筒の大きさを 緩やかに変化させる。
温度変化による影響を受ける植物を 風筒の起点に配置することで、 “季節はずれ”の風景が生まれる。
10 5 0
排ガスなど大気中の汚染 物質を、土中に普遍的に 存在する微生物の分解作 用と土壌の持つ吸着・ろ 過作用によって除去し、 クリーンな空気を地上に 還元する。また分解され 発生した窒素は必須元素 として植物の生育を促進 する。
30℃
1
2
3
4
5
6
7
8
9 10 11 12
1年を通した気温差は換気口に近いほど安定し、温熱環境の違いは植生に差異を生じさ せる。
[月]
日光を多く必要とする植物は、 筒の開けた空間と連動させて 広場のような空間とし、日照時間を確保する。
07-b scale type sun
color
風筒の見えない浄化装置は
風筒のはじまりの場所。
地上に、芽となり実となり現れる。
洞窟のような入り口が、季節はずれの空間へと人びとを誘う。
深紅に染まりつつある森の中で、
公園の木々に囲まれた場所に沿って、
深緑に茂る木々が夏の名残りを描く。
風筒もその身を小さく伸ばす。
119
120
ある建納家の手記 [ Competition ] 2014 年度支部共通事業日本建築学会設計競技 全国 12 選佳作
121
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1. 出会い 6 月某日、知人に紹介された人に会うために神田 を訪れた。 私が会いに来たのは古書店を経営する A さんと、 地主の B さんだ。 A さんの経営する古書店、 「万倉文庫」は創業 30 年の老舗だが、近年のメディア多様化の影響もあっ てか売り上げは激減、年齢のこともあり、もう商 売は引退するとのことだ。 すると困るのは地権者の B さんだ。万倉文庫から の賃料をあてに税金を払っていた B さんだが、後 の入居者は決まる気配がない。そこで建築家であ る私に、解決の糸口を求めたというわけだ。私は、 はたして力になれるのだろうか。
122
万倉文庫オーナーと地権者
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2. 調査 久しぶりに訪れた神田はずいぶんひっそりとして いるように感じられた。
玉突き移転
私は、まず現状を知らないことには何も始まらな いと思い、調査を始めた。 すると、あるワードが飛び込んできた。 「玉突き移
③
②
①
転」である。街がひっそりとしていると感じたのは、 これが一因していた。 次に秋葉原・神田一帯のビルを少しずつ巡り、だ いたいの空室率を記録してまわった。 結果は右図のように神田地区は空室率が高く、秋 葉原との競争に敗れていることが一目瞭然の結果 となった。
124
有楽町など、神田周辺で再開発が行われ、テナントの流出が起きている。
80%
60%
40%
20%
0%
空室率 125
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2-2. 駐車場になっていく現状 街を歩いていて感じたのは、とにかく駐車場が多 いということだ。 これはビルを持っていても家賃収入は得られない し、建て替えるお金もない。ならば駐車場にして 収入を得ようという目論みだろう。だが、 その結果、
メリット:(-) 固定資産税 (-) テナント収入 (0)
虫食い状に駐車場が侵食し、なんとも殺風景な街 になってしまった。 また、住宅へのコンバージョンも多く試みられて いるようだったが、結果はあまり芳しくないよう だ。 壊すのでも、造り替えるのでもない新たな手法を 考える必要があると感じた。
126
メリット:(-) 固定資産税 (0) 駐車場収入 (+)
2-3. 住宅へのコンバージョンがうまくいかない理由 ◯住宅へのコンバージョンのメリット
×うまくいかない理由
・商業地区にあるため好立地
・バルコニーが後付けで設置できない
・普通の住宅に比べ階高が高い
(住宅は二方向の確保のために取り付ける
・ワンフロアに一住戸
義務がある) ・遮音性 ・採光 ・同賃料の普通の住宅との差別化
127
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街で見かけた解体現場①
街で見かけた解体現場② 128
3. 独白
以前から考えていたことをここで記しておく。 日本の建築は歴史上、風土上の理由から「使い捨 てられる」運命にある。 そこに西欧の建築のような恒久性を求める必要は ないだろう。しかし、近年の建築の使い捨てっぷ りには酷いものがあるのではないか。 名も無きビル達にもささやかな歴史があるのにも かかわらず、壊すと決めれば、人目につかないよ うに囲われて、私たちの知らないところで重機で 無惨に破壊されていく。 簡単に取り壊せるという思い込みが、土地や建築 に対する「敬意」のようなものを失わせ、神田で 起きているような、いらなくなったら壊して駐車 場にして金を儲けよう、というような安易な発想 が、何の疑いもなく受け入れられているのだ。 129
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4." 納める " ということ / 地還祭
建築として人に使われる時間
この場所において、私の考えが行き着いたのは、 「納 める」ということであった。売地となった土地を みて、ああ、ここには何か建物が建っていたのかと、 建物を見て、ここには昔どのような土地があった のだろうかと思いふける時がある。いつから私た ちは、つくるかつくらないかと二分して考えてし まっていたのだろうか。もう少し、建物には土地 としての余白を、土地には建物としての余白があっ て良いのではないか。そこに建築の新たないのち を見いだせるのではないか。そしてそれが、今回 この場所で行うべきことではないか。建物である 必要性を欠いた場所が土地である必然性はないは ずだ。そこは逆もしかりであろう。これまで、対 峙的であった場所の状態を、その地にあった新た な状態へとする。これを「納める」として、私は 活動しようと思う。 130
土地として人に使われる時間
131
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「納める」ことで 環境をデザインする イベントコンサルタント
5. 建納家というシゴト 私は今まで、駆け出しではあるが、建築家として 仕事をしてきた。 しかし、今回、この万倉文庫と土地に出会い、現 状を知り、ただ 0 を 1 にするだけの建築家として の仕事に行き詰まりを感じ始めた。 今回、私がここでやろうとしていること、建築で も土地でもない、適切な新たな環境へとリデザイ ンすることは、新たな職能として定義できるので
コンバーター 建築家でもある
はないかと考え、それを「建納家」と呼ぶことに した。 132
解体した建築の廃材ストックを持つ
つくることでデザインする
建築家
建納家 納めることででザインする
133
social problem
proposal
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story
research
schedule
photos
6.. 建築納めと閉店セール 万倉文庫における納め方、この土地にふさわしい
閉店セール
新たな環境とはなんだろうか。私が今回提案した のは大きく分けて二つである。
解体工事
一つは、解体工事と閉店セールを同時に行うこと。 これは建築の、街に対する別れの挨拶を意味し、 それと同時に在庫を一掃することで、ささやかな
phase1
phase2
利益をあげることができる。 もう一つは、隣戸、地域環境を向上させることで ある。地域にポケットパークを提供するだけでな く、隣戸の資産価値を上げることに寄与し、その 見返りとして、万倉文庫の地権者にもわずかなが ら収益が上がるようにすることに加え、会所地の ような隣戸との共有地とし、固定資産税を分割し、 損益を減らすことができる。 134
閉店セール
phase3
after final phase ・地域の環境が良くなる ・緑地が増える ・延焼防止 ・避難経路の確保 ・閉店セールで在庫処分 ・両隣の不動産価値向上 ・共用地とすることによる負 担の分散 ・解体時に出る建材ストック ・産廃処理費の減額
135
social problem
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research
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6-1. 建築納めと工期 建築納めと閉店セールを、約 1 ヶ月かけて行うこ ととした。 1 階から手を入れ、4 階まで行う。週末に各階の閉 店セールのイベントを取り入れ、解体されゆく建 築の中で、別れの祝祭性を地域の人々と共有する。 全体を一週間で行うと閉店という祝祭性を失うだ ろうし、まして 1 年などとすると、地域の人も私 たちも疲れてしまう。やはり祝祭は、一時的なも のであるべきだ。そこで、各階 1 周間をかけ、全 部で 4 階、万倉文庫を一ヶ月かけて納めていくこ とした。 136
Monday
Tuesday
28
8/27 万倉さん、山崎さん、 林さん ( 造園家 ) との打合せ 10:30~ 全階整理片付け 1 階掃除 錦戸さん、垂れ幕発注 13:30 3 日納期
3
ガス閉栓・仮設電気 ~11:00 ダンボール受け取り 13:00 仮設部材受け取り (1 階保管 16:00) 各部養生・梱包・掃除
4
休み
10
防塵幕 1・2・3 階 ~12:00 3 階本整理・梱包 養生・2 階壁崩し 廃材→1 階へ
11
休み
17
防塵幕全階 ~11:00 4 階本梱包 3 階壁崩し 14:00 1 階資材運び込み
18
休み
24
片付け・後始末
31
29
Thursday
30
防塵幕 1・2 階 9:00~ 2 階前面・床スラブ抜き 廃材 1 階保管 散水
6
3 階前面・床スラブ抜き ~17:00 散水
資材 1 階移動・分別 産廃処理材運び出し 14:00 仮設棚設置 16:30~17:00 本移動 ~18:00
12
13
2 階 4 階床スラブ抜き 4 階前面抜き ~17:00 散水 林さん打合せ ( 土発注 )
19
25
26
片付け・後始末予備日
資材 1 階移動・分別 産廃処理運び出し 14:00 仮設棚設置 16:30~17:00 本移動 ~18:00
20
全階コア解体 2 日目 防塵幕 全階 1 階コンクリ撤去 散水 資材 1 階移動・分別
Friday
全階掃除 9:00~ 産廃処理運び出し 14:00 土受け取り 15:00 16:00 万倉さん、山崎さん、 林さんとの打合せ
27
イベント 1
31
10:00~17:00
垂れ幕出し 8:30 防塵幕引上げ 本移動・整理 17:00~18:00
イベント 2
7
10:00~17:00
垂れ幕出し 8:30 3 階防塵幕引上げ 児童書特集 本移動・整理 17:00~18:00
14
イベント 3 10:00~17:00
垂れ幕出し 8:30 4 階防塵幕引上げ 廃材フェア 1 階 ポスターフェア 4 階
21
イベント 4 10:00~17:00
土敷き 8:00~18:00 苗受け取り 14:00
28
9/1
イベント 1 10:00~17:00
Sunday イベント 1
2
10:00~17:00
万倉さん、山崎さん打合せ @4 階 10:30~ 空いた棚→1 階へ 本整理・移動 17:00~18:00
8
イベント 2 10:00~17:00
万倉さん、山崎さん打合せ @4 階 10:30~ 空いた棚→1 階へ 本整理・移動 17:00~18:00
15
イベント 3 10:00~17:00
万倉さん、山崎さん打合せ @1 階 10:30~ 空いた棚→1 階へ 本整理・移動 17:00~18:00
22
イベント 4 10:00~17:00
草花植えワークショップ
29
余った本→3 階移動 空いた棚→1 階移動 本整理・移動 17:00~18:00
9
イベント 2 10:00~17:00
余った本 4 階へ 柳森保育所・小学校に寄贈 垂れ幕引き 本移動・整理 17:00~18:00
16
イベント 3 10:00~16:00
本整理・梱包 16:00~18:00 残った本→図書館寄贈 垂れ幕引き
23
イベント 4 10:00~17:00
草花植えワークショップ 建築納め
30
17:00 万倉さん、山崎さん、 林さん、打ち上げ
休み
2
Saturday
10:00~17:00
防塵幕引上げ 産廃処理材運び出し 14:00 2 階仮設棚設置 ~14:30 掃除 本移動 15:00~ 垂れ幕受け取りへ 17:30
5
全階コア解体 1 日目 給水管工事 9:00 防塵幕 全階 散水 資材 1 階移動・分別
10/1
休み
Wednesday
前面・外壁:ウォールソーイング ( 一部コアドリリング ) 床:フラットソーイング ( 一部コアドリリング ) イベント 工事
1階 2階 3階 4階
MEMO
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 137
social problem
proposal
entry
site
diagram
plans
story
research
schedule
photos
――――1 周目。
138
X1
4000
X2
1950
5000
4500
5000
8 月 31 日
16450
Y1
Y2
Y3
最初のイベントが始まった。
Y4
この日は 2 階部分の外壁を
1 階平面図 S=1:150 N
壊し、そこに仮設足場で棚 X1
を設け、その階の在庫を売っ た。
4000
イベント階には小さなカ フェも設け、買った本をそ の場で読めるようにしてあ X2
1950
5000
4500
1950 執務空間とイベント空間は
5000
カーテンで緩やかに仕切り、
16450
Y1
Y2
る。
Y3
Y4
2 階平面図
お互いの空気が繋がるよう
S=1:150 N
にした。
Y1
139
5000
X1
X1 4000
4000
X2
X2
000
1950
5000
4500
5000
16450
Y4
Y1
Y2
Y3
Y4
3 階平面図 S=1:150 N X1
X1 4000
4000
イベント時などに残った在庫 X2
X2
は、梱包して上階へ移動。 5000
その後、イベント階を一部解体
1950
5000
4500
していく。次のイベントに備え、
5000
16450
上階で次なる整理整頓と、梱包 Y4
作業をしていく。 140
Y1
Y2
Y3
Y4
4 階平面図 S=1:150 N
141
social problem
proposal
entry
site
diagram
plans
story
research
schedule
photos
――――2 周目。
142
X1
4000
X2
1950
5000
4500
5000
16450
Y1
Y2
Y3
Y4
9月7日
1 階平面図 S=1:150 N X1
2 周目のイベントが始まっ た。 イ ベ ン ト 空 間 は 3 階 に 移り、2 階は一部解体を行う。
4000
解体現場を貫く階段を設け、 お客さんが工事の様子を見 X2
1950
5000
4500
セスできるようにした。 1950
5000
2 階平面図 Y2
5000
仮設足場は不思議な祝祭感
16450
Y1
ながらイベント階へとアク
Y3
Y4
S=1:150 N
を生み、多くの人が足を止 めてくれているようだった。 Y1 143
X1
X1 4000
4000
X2
X2
000
1950
5000
4500
5000
16450
Y4
Y1
Y2
Y3
Y4
3 階平面図 S=1:150 N X1
X1 4000
4000
日々変わり続ける万倉文庫
5000
ずだ。
X2
X2
内。毎日通っても楽しいは 1950
5000
4500
そ し て 二 周 目 が 終 わ れ ば、
5000
16450
さらに上階、三階へと移動 していく。 Y4 144
4 階平面図 Y1
Y2
Y3
Y4
S=1:150 N
145
social problem
proposal
entry
site
diagram
plans
story
research
schedule
photos
――――3 周目。
146
X1
4000
X2
1950
5000
4500
5000
16450
Y1
Y2
Y3
Y4
1 階平面図 S=1:150 N X1
4000
1、2 階はイベントとしての 空間をほぼ終え、生まれく X2
1950
5000
4500
切りを設け、動線を確保し
16450
Y1
Y2
るさなぎのように白い防塵 1950 幕に覆われる。その中で仕
5000
Y3
Y4
2 階平面図 S=1:150 N
て上階のイベントスペース へと繋ぐ。
Y1
147
5000
X1
X1 4000
4000
X2
X2
000
1950
5000
4500
5000
16450
9 月 14 日 Y4
Y1
Y2
Y3
Y4
3 階平面図
いよいよ今日からファイナ
S=1:150 N
ルセールだ。
X1
X1
建物全体が白い幕に覆われ、 街に最後の別れを告げてい 4000
4000
るかのようだ。隣戸の住民 も、ベランダに出てきて一 時のお祭りを楽しんでいる。
X2
X2
こうして、万倉文庫のささ 5000
やかな歴史は幕を閉じたが、
1950
5000
4500
その最後の一瞬は、街を包
5000
16450
み込み、人々の心に深く刻 Y4 み込まれただろう。
148
Y1
Y2
Y3
Y4
4 階平面図 S=1:150 N
149
social problem
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story
research
schedule
photos
――――最終週。
150
1 階平面図
9 月 21 日
S=1:150 N
X1
今日は街の人々にこの建物 の新しい姿をお披露目する
4000
日だ。周辺に住む多くの人 が集まってくれた。仮囲い X2
1950
5000
4500
5000
Y2
に顔を出した。1 階には神田 1950
川の水を引き込んだ親水空
16450
Y1
を取り払うとその全容が街 5000
間を設け、2 階にはそれを見 Y3
Y4
2 階平面図
下ろす小さなロフトとなる
S=1:150 N
ようにスラブを残した。
Y1
151
X1
X1 4000
4000
X2
X2
5000
1950
5000
4500
5000
16450
3 階は木を取り囲むように Y4
Y1
スラブを残し、空中公園の
Y2
Y3
Y4
ようした。 X1
X1
4 階には神田川にせり出す デッキを付け足し、川を一 4000
4000
望できるようにした。 今まで陽の入らなかった隣 のマンションの窓からは、
5000
思議な一体感を楽しんで
X2
X2
住 民 た ち が 顔 を 出 し、 不 1950
5000
4500
いる。隣のテナントオフィ
5000
16450
スからもデッキが伸びてき て、この建物と繋がった。 Y4 152
Y1
Y2
Y3
Y4
153
154
このプロジェクトを通して、神田のような空洞化が進む地区の、新しい土 地利用の在り方を少しは示せたのではないかと思う。 万倉文庫のオーナーの A さん、地権者の B さん、周辺住民の嬉しそうな 顔を見て、満足して現場を後にした。
155
1. 出会い
2. 調査 2-2 駐車場になっていく現状 街を歩いていて感じたのは、とにかく
久しぶりに訪れた神田はずい ぶんひっそりとしているよう
これはビルを持っていても家賃収入は
固定資産税(-)
私は、まず現状を知らないこ
得られないし、建て替える金もない。
テナント収入(0)
とには何も始まらないと思 万倉文庫
駐車場が多ということだ。
メリット:(-)
に感じられた。
ならば駐車場にして収入を得ようとい う目論みだろう。だが、その結果、虫
い、調査を始めた。
万倉文庫オーナーと地権者
食い状に駐車場が浸食し、何とも殺風
するとあるワードが飛び込ん
景な街になってしまった。
できた。下図に示した「玉突
また、住宅へのコンバージョンも多く
き移転」である。街がひっそ
6 月某日、知人に紹介された人に会うた めに神田を訪れた。 私が会いにきたのは古書店を経営する A さんと地主の B さんだ。
試みられているようだったが、結果は
りとしていると感じたのはこ
メリット:(0)
れだったのだ。
固定資産税(-)
次に、秋葉原・神田一帯のビ
駐車場収入(+)
あまり芳しくないようだ。 壊すのでも、造り替えるのでもない 新たな手法を考える必要があると感じ
ル を 少 し ず つ 巡 り、 だ い た
A さんの経営する古書店、「万倉文庫」
た。
いの空室率を記録してまわっ
は創業 30 年の老舗だが、近年のメディ
た。
アの多様化の影響もあってか売り上げは
結果は右図のように神田地区
激減、年齢のこともあり、もう商売は引
2-3 住宅へのコンバージョンがうまくいかない理由
が空室率が高く、秋葉原との
退するとのことだ。
競争に破れていることが一目
すると困るのは地権者の B さんだ。万倉
○住宅へのコンバージョンのメリット
瞭然の結果となった。
書房からの賃料をあてに税金を払ってい
20% 以下
40%
60%
80%
・商業地区にあるため好立地
100%
・普通の住宅に比べ階高が高い
た B さんだが、後の入居者は決まる気配
・ワンフロアに一住戸
がない。
2-1 玉突き移転
そこで建築家である私に、解決の糸口を
①
求めたというわけだ。
①再開発ビルができる
×うまくいかない理由
②より良い条件のビルを求めて、中規
②
私は、はたして力になれるのだろうか。
・バルコニーが後付けで設置できない
模ビルのテナントが移転
③ ④
(住宅は二方向避難の確保のために
③空いた中規模ビルに、同じ理由で小
取り付ける義務がある)
規模ビルからテナントが移転
・遮音性
④ペンシルビルのような小規模ビルに
・採光
空室が大量発生
3. 独白
・同賃料の普通の住宅との差別化
4." 納める " ということ / 地還祭 4-1 新しい土地サイクル
日本の建築は歴史上、風土上の理由から「使い捨てられる」 運命にある。 そこに西欧の建築のような恒久性を求める必要はないだろう。 ではないか。 名も無きビル達にもささやかな歴史があるのにもかかわらず、 壊すと決まれば、人目につかないように囲われて、私たちの 知らないところで重機で無惨に破壊されていく。 簡単に取り壊せるという思い込みが、土地や建築に対する「敬 意」のようなものを失わせ、神田で起きているような、いら
私は今まで、駆け出しではあるが、建築家として仕事 をしてきた。
0(土地)と 1(建物)
しかし、今回、この土地に出会い、現状を知り、ただ 0
の繰り返し 0
1
0
1
を 1 にするだけの建築家としての仕事に行き詰まりを 感じ始めた。 今回、私がここでやろうとしていること、建築でも土
これから
しかし、近年の建築の使い捨てっぷりには酷いものがあるの
5. 建納家というシゴト 建築として人に使われる時間
今まで
以前から考えていたことをここで記しておく。
地でもない、適切な新たな環境へとリデザインするこ とは、新たな職能として定義できるのではないかと考 え、それを「建納家」と呼ぶことにした。
仮設物の祝祭性
土地として人に使われる時間
4-2 土地に応じた納め方
ないか。そこに建築の新たないのちを見いだせるのではないか。そしてそれが、今
解体した建築の廃材ストックを持つ
回この場所で行うべきことではないか。建物である必要性を欠いた場所が土地であ る必然性はないはずだ。それは逆もしかりであろう。これまで、対峙的であった場 街で見かけた解体現場①
街で見かけた解体現場②
所の状態を、その地にあった新たな状態へとする。これを「納める」としようと思う。
6. 建築納めと閉店セール 万倉文庫における納め方、この土地にふさわしい新たな環境とは なんだろうか。私が今回提案したのは大きく分けて二つである。 一つは、解体工事と閉店セールを同時に行うこと。 これは建築の街に対する別れの挨拶を意味し、それと同時に在庫 を一掃することで、ささやかな利益をあげることができる。 もう一つは、隣戸、地域環境を向上させることである。地域にポケッ トパークを提供するだけでなく、隣戸の資産価値を上げることに 寄与し、その見返りとして、万倉文庫の地権者にもわずかながら 収益が上がるようにすることに加え、会所地のような隣戸との共 有地とし、固定資産税を分割し、損益を減らすことができる。
Monday
28
万倉さん、山崎さん、 林さん ( 造園家 ) との打合せ 10:30~ 全階整理片付け 1 階掃除 錦戸さん、垂れ幕発注 13:30 3 日納期
ガス閉栓・仮設電気 ~11:00 ダンボール受け取り 13:00 仮設部材受け取り (1 階保管 16:00) 各部養生・梱包・掃除
3
閉店セール
phase2
4
休み
10
解体工事
phase1
after final phase
休み
閉店セール
17
・地域の環境が良くなる ・延焼防止
防塵幕 1・2・3 階 ~12:00 3 階本整理・梱包 養生・2 階壁崩し 廃材→1 階へ
11
phase3
・緑地が増える
Tuesday
8/27
休み
24
防塵幕全階 ~11:00 4 階本梱包 3 階壁崩し 14:00 1 階資材運び込み
Wednesday
Thursday
防塵幕 1・2 階 9:00~ 2 階前面・床スラブ抜き 廃材 1 階保管 散水
防塵幕引上げ 産廃処理材運び出し 14:00 2 階仮設棚設置 ~14:30 掃除 本移動 15:00~ 垂れ幕受け取りへ 17:30
29
30
5
6
3 階前面・床スラブ抜き ~17:00 散水
資材 1 階移動・分別 産廃処理材運び出し 14:00 仮設棚設置 16:30~17:00 本移動 ~18:00
12
13
2 階 4 階床スラブ抜き 4 階前面抜き ~17:00 散水 林さん打合せ ( 土発注 )
18
19
全階コア解体 1 日目 給水管工事 9:00 防塵幕 全階 散水 資材 1 階移動・分別
全階コア解体 2 日目 防塵幕 全階 1 階コンクリ撤去 散水 資材 1 階移動・分別
25
26
資材 1 階移動・分別 産廃処理運び出し 14:00 仮設棚設置 16:30~17:00 本移動 ~18:00
20 全階掃除 9:00~ 産廃処理運び出し 14:00 土受け取り 15:00 16:00 万倉さん、山崎さん、 林さんとの打合せ
27
Friday イベント 1
31
10:00~17:00
Saturday
9/1
イベント 1 10:00~17:00
Sunday イベント 1
2
10:00~17:00 10:00~17:00
垂れ幕出し 8:30 防塵幕引上げ 本移動・整理 17:00~18:00
イベント 2
7
10:00~17:00
垂れ幕出し 8:30 3 階防塵幕引上げ 児童書特集 本移動・整理 17:00~18:00
14
イベント 3 10:00~17:00
垂れ幕出し 8:30 4 階防塵幕引上げ 廃材フェア 1 階 ポスターフェア 4 階
21
イベント 4 10:00~17:00
土敷き 8:00~18:00 苗受け取り 14:00
28
万倉さん、山崎さん打合せ @4 階 10:30~ 空いた棚→1 階へ 本整理・移動 17:00~18:00
8
イベント 2 10:00~17:00
万倉さん、山崎さん打合せ @4 階 10:30~ 空いた棚→1 階へ 本整理・移動 17:00~18:00
15
イベント 3 10:00~17:00
万倉さん、山崎さん打合せ @1 階 10:30~ 空いた棚→1 階へ 本整理・移動 17:00~18:00
22
イベント 4 10:00~17:00
草花植えワークショップ
29
余った本→3 階移動 空いた棚→1 階移動 本整理・移動 17:00~18:00
9
イベント 2 10:00~17:00
余った本 4 階へ 柳森保育所・小学校に寄贈 垂れ幕引き 本移動・整理 17:00~18:00
16
イベント 3 10:00~16:00
本整理・梱包 16:00~18:00 残った本→図書館寄贈 垂れ幕引き
23
イベント 4 10:00~17:00
草花植えワークショップ 建築納め
30
・避難経路の確保
・閉店セールで在庫一掃 ・両隣の不動産価値が上がる ・デメリット: (0)
片付け・後始末
31
10/1
・共用地とすることによる 負担の分散 ・産廃処理費の減額 休み
156
片付け・後始末予備日
17:00 万倉さん、山崎さん、 林さん、打ち上げ
休み
2
前面・外壁:ウォールソーイング ( 一部コアドリリング ) 床:フラットソーイング ( 一部コアドリリング ) イベント 工事
1階 2階 3階 4階
MEMO
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31
とこ しずめ のまつり
建築家でもある
コンバーター
し、建物には土地としての余白を、土地には建物としての余白があって良いのでは
地鎮祭
たちは、つくるかつくらないかと二分して考えてしまっていたのだろうか。もう少
つくることでデザインする
ここには昔どのような土地があったのだろうかと思いふける時がある。いつから私
建築家
売地となった土地をみて、ああ、ここには何か建物が建っていたのかと、建物を見て、
とこ おくり のまつり
環境をデザインする
この場所において、私の考えが行き着いたのは、 「納める」ということであった。
地還祭
「納める」ことで
こわすことでデザインする
イベントコンサルタント
な安易な発想が、何の疑いもなく受け入れられているのだ。
建納家
なくなったら壊して駐車場にして金を儲けよう。というよう
X1
4000
X2
1950
5000
4500
5000
16450
Y1
Y2
Y3
Y4
4 階平面図 S=1:200
X1
N
X1
4000
4000
X2
1950
5000
4500
5000
16450
X2
8 月 31 日 Y1
最初のイベントが始まった。
Y2
Y3
Y4
N
3 階平面図 S=1:200
1950
5000
4500
X1
この日は 2 階部分の外壁を壊し、そこに仮設足場で棚 4000
イベント階には小さなカフェも設け、買った本をその
Y1
X2
場で読めるようにしてある。
5000
16450
を設え、その階の在庫を売った。
1950
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執務空間とイベント空間はカーテンで緩やかに分け
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お互いの空気が繋がるようにした。
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1 階平面図 S=1:200
イベント階(2 階)平面図 S=1:100
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4 階平面図 S=1:200 X1
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2 週めのイベントが始まった。
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9月7日 Y2
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2 階平面図 S=1:200
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階に入った。 解体現場を貫く階段を設け、客が工事の様子を見なが
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らイベント階へとアクセスできるようにした。
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イベント空間は 3 階に移り、2 階は本格的な解体の段
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仮設足場は不思議な祝祭感を生み、多くの人が足を止
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めてくれているようだった。
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1 階平面図 S=1:200
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3 階平面図 S=1:200
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イベント階(3 階)平面図 S=1:100
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9 月 14 日 Y1
いよいよ今日からファイナルセールだ。
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いるかのようだ。
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隣戸の住民も、ベランダに出てきて、ひとときのお祭
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りを楽しんでいる。 こうして、万倉文庫のささやかな歴史は幕を閉じたが、
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建物全体が白い幕に覆われ、街に最後の別れを告げて
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その最期の一瞬は、街を包み込み、人々の心に深く刻
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まれただろう。
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1 階平面図 S=1:200
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4 階平面図 S=1:200
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3 階平面図 S=1:200
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2 階平面図 S=1:200
イベント階(4 階)平面図 S=1:100
9 月 21 日 今日は街の人々にこの建物の新しい姿をお披露目する X1
日だ。多くの人が集まってくれた。 4000
仮囲いを取り払うとその全容が明らかになった。
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1 階には神田川の水を引き込んだ親水空間を設け 2 階にはそれを見下ろす小さなロフトとなるようにス
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ラブを残した。
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3 階は木を取り囲むようにスラブを残し、空中公園の
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ようにした。 4000
4 階には神田川にせり出すデッキを付け足し、川を一
今まで陽の入らなかった隣のマンションの窓からは住
X2
望できるようにした。 1950
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民たちが顔を出し、不思議な一体感を楽しんでいる。
Y1
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隣のテナントオフィスからもデッキが伸びてきて、こ
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の建物と繋がった。 4000
このプロジェクトを通して、神田のような空洞化が進
ではないかと思う。 クライアント、地域の人々の嬉しそうな顔を見て、満 足して現場を後にした。
X2
む地区の、新しい土地利用のあり方を少しは示せたの 1950
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N 1 階平面図 S=1:100
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伝う景水路から [ Competition ] 関東学生景観デザインコンペティション 最優秀賞 ~崖線の地形を生かした景観デザイン~
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足元から聞こえてきたのは、水の流れる音だった―――。
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Site: 東京都板橋区赤塚公園周辺
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1. 豊かな地形 - 赤塚周辺の谷戸と水 対称敷地の赤塚周辺は、武蔵野台地の北端にあた り、複雑に高低差の富んだ地形が巡る。坂道が多く、 すり鉢状の谷戸地形が造成されずに現在も残され 湧水による溜池
ている。周辺の崖地には、昔のままの緑豊かな自 然が残されており、かつてはいたるところで地下 水が湧き出ていたという。赤坂不動の滝もこの自 然の湧き水によるもので、霊山に発拝する際の地 元の人々のみそぎ場として扱われていた。近年は 水量が減少し、かつてほど湧き水を見ることが出 来ないが、それでもなお崖地には、湧き水による 自然池が未だ存在し、豊かな地形による赤塚固有
かつて禊の場であった湧水、赤坂不動の滝
の風景を生み出している。
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現在の湧水箇所 164
降水 涵養域
2. 減少する湧水 近年、湧水量が減った大きな理由 として、宅地開発による、涵養域
浸透
湧水箇所 上向流出
の減少が挙げられる。涵養域は水 田、畑地、草地、林地、水域など、 地下水を染み込ませ蓄えておける 場所であり、住宅やアスファルト 整備された駐車場ができて涵養域 が減少すると、地下水の減少に直 結 す る。 対 象 敷 地 の 崖 線 帯 で は、 崖上の涵養域で浸透した地下水が、 上向流出によって崖下で湧水とし て、再度地表に姿を表している。 165
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2014 年現在、30 年で増えた建物 166
1979 年当時の建物
水田や畑地、草地など涵養域とな る場所。降水は、そのまま地面に 浸透し、地下水となっていく。
住宅や駐車場ができると、地面は アスファルトやコンクリートに よって閉ざされ、降水は側溝へと 流れて地下水とならない。
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3. 現状の側溝 谷戸の地形が残された赤塚公園周辺 であっても、道路整備に附随して側 溝が張り巡らされており、地形に正 直に流れるというわけではなく、道 路に合わせて線的に水が流れてい る。側溝がコンクリート化されたこ とで大半の水が地下水へと浸透せず に河川へと運ばれているのが現状で あり、近年頻繁に起こるようになっ た鉄砲水といった顕著な水害問題の 原因ともなっている。
168
4. 涵養的環境へ ポーラスコンクリートを活用 し、排水しつつも水が浸透し て地下水へと流れていくよう な環境にする。側溝自体を涵 養域へと変換することで、こ れまで線的な流れであった水 の動きを面的に、地面に浸透 する水の量を増やすことがで きる。
水が面的に地面に浸透する
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マグネシウムセメント
マグネシウムポーラスコンクリートの活用
植物・微生物の育成 骨材
結合材 : マグネシウムセメント
マグネシウムセメントを使った ポーラスコンクリートの活用 マグネシウムセメントを使用して、ポ―ラスコンク リートを生成する。海水から抽出するマグネシウム
連続空隙によって 水が浸透する
セメントは、植物、生物に全く無害なセメントで、 長い年月をかけて肥料となる。 170
ポーラスコンクリート断面
ポーラスコンクリートの状態
日当たりの良い環境を好む草花
側溝に POC コンクリートを活用し
駐車場の床面を草花の茂る地面へ
て、雨水を地下に浸透させていく。
と変換する。
ニリンソウなど湿地を好む草花
5. 新たな涵養域をつくる
崖線沿いの湧水の貯まる場所であ り涵養域でもある。ゆっくりと水 が湧き、浸透していく。
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豊潤期には湧水が面を張って流れる 空と木々を写しだす
断面概要図
ポーラスコンクリート自体が湿潤な環境 となって、ニリンソウなど湿潤な地を好 む草花が育つ
水辺を好むハクセキレイなど
崖線下部に設置する湧水のたまり場 涵養域でもあり、水が湧き出で、ゆっく りと地下水へ戻っていく
新河岸川 173
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涵養域となった駐車場。住宅地における緑豊かな風景をつくりだす。
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豊潤期になると崖線を流れ落ちる湧水。空や木々を反射させ、薄暗い崖地を少し明るくする。
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等高線を示すように、 溜まる湧水。
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マグネシウムポーラスコンクリートのモックアップ
1979 年 -2014 年の変遷敷地模型 180
湧水路部分模型 S=1:50 181
涵養域となった駐車場。 住宅地における緑豊か な風景をつくりだす。
伝う景水路から
かつてこの場所に存在していた風景を、少しだけ夢足して描く。 崖に沿って伸びる水の路を歩く。 水のうつろいが、この土地の豊かさを伝えてくれる。
1. 豊かな地形 - 赤塚周辺の谷戸と水 -
2. 減少する湧水
3. 現状の側溝
5. 新たな涵養域をつくる
対称敷地の赤塚周辺は、武蔵野台地の北端にあたり、複雑に 近年、湧水量が減った大きな理由として、宅地開発による、涵
谷戸の地形が残された赤塚公園周辺
高低差の富んだ地形が巡る。坂道が多く、すり鉢状の谷戸地 養域の減少が挙げられる。涵養域は水田、畑地、草地、林地、
であっても、道路整備に附随して側
形が造成されずに現在も残されている。周辺の崖地には、昔 水域など、地下水を染み込ませ蓄えておける場所であり、住宅
溝が張り巡らされており、地形に正
のままの緑豊かな自然が残されており、かつてはいたるとこ やアスファルト整備された駐車場ができて涵養域が減少すると、
直に流れるというわけではなく、道
ろで地下水が湧き出ていたという。赤坂不動の滝もこの自然 地下水の減少に直結する。対象敷地の崖線帯では、崖上の涵養
路に合わせて線的に水が流れている。
の湧き水によるもので、霊山に発拝する際の地元の人々のみ 域で浸透した地下水が、上向流出によって崖下で湧水として、
側溝がコンクリート化されたことで
側溝に POC コンクリートを活用
そぎ場として扱われていた。近年は水量が減少し、かつてほ 再度地表に姿を表している。
大半の水が地下水へと浸透せずに河
して、雨水を地下に浸透させて
川へと運ばれているのが現状であり、
いく。
ど湧き水を見ることが出来ないが、それでもなお崖地には、
降水 涵養域
湧き水による自然池が未だ存在し、豊かな地形による赤塚固
POC コンクリートの状態
近年頻繁に起こるようになった鉄砲 水といった顕著な水害問題の原因と
有の風景を生み出している。
もなっている。
湧水箇所
4. 涵養的環境へ
上向流出 浸透
POC コンクリートを活用 し、排水しつつも水が浸
水田や畑地、草地など涵養域とな る場所。降水は、そのまま地面に 浸透し、地下水となっていく。
透して地下水へと流れて
植物・微生物の育成 骨材
日当たりの良い環境を好む草花
結合材
駐車場の床面を草花の茂る地 連続空隙によって 水が浸透する
面へと変換する。
い く よ う な 環 境 に す る。 POC コンクリート断面 側溝自体を涵養域へと変 換することで、これまで 線的な流れであった水の
住宅や駐車場ができると、地面は 動きを面的に、地面に浸 アスファルトやコンクリートに 透する水の量を増やすこ よって閉ざされ、降水は側溝へと とができる。 湧水箇所
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流れて地下水とならない。
水が面的に地面に浸透する
ニリンソウなど湿地を好む草花
崖線沿いの湧水の貯まる場所 であり涵養域でもある。ゆっく りと水が湧き、浸透していく。
崖線に沿って伸びる遊歩道は、湧水のた まり場であり、湧水が地下水に戻る場所 でもある。湿潤な POC コンクリート上に ニリンソウが水帯に沿って共生する。
豊潤期になると崖線 を流れ落ちる湧水。 空や木々を反射させ、 薄暗い崖地を少し明 るくする。
等高線を示すように、 溜まる湧水。
豊潤期には湧水が面を張って流れる 空と木々を写しだす
POC コ ン ク リ ー ト 自 体 が 湿 潤 な 環 境 と なって、ニリンソウなど湿潤な地を好む 草花が育つ
水辺を好むハクセキレイなど
崖線下部に設置する湧水のたまり場 涵養域でもあり、水が湧き出で、ゆっく りと地下水へ戻っていく
新河岸川
断面概要図
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LLOVE [ Installation ] 永山祐子建築設計 オープンデスク
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テーマは「Still in LLOVE」 (まだ愛してる) 。ゲストがその日の気分で気ままに過ごせるように、サービスをしすぎないのがコン セプト。これは、オランダの人気デザインホテル「LLOYD HOTEL」のディレクター、スザンヌ・オクセナーの着想で、以前彼 女が来日した際、日本のラブホテルにみた「必要最低限のフロント」と「その日の気分で自由に選べる部屋」がある、 「愛が詰まっ たホテル」という解釈によるもの。(HP より引用 ) 開催場所は、東京代官山の 1 スタジオ。永山祐子氏設計の下、およそ四週間の 施工を経て、完成した。まるで自然の中でキャンプするように、人が場所に馴染んでいく部屋を追求した。
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Photo:Takumi Ota
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Photo:Takumi Ota
Photo:Takumi Ota
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Photo:Takumi Ota
Still in LLOVE http://llove.jp
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現 -utsutsu[ Installation ] CUAD ×呼吸インスタレーション
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Chiba
Nishi-Chiba
Midori-town
イ ン ス タ レ ー シ ョ ン の 展 示 を 行 っ た , 千 葉 大 学 か ら 徒 歩 5 分 の 場 所 に 位 置 す る 飲 食 店 「 呼 吸 」。
「 呼 吸 」 で は 、映 画 上 映 会 、作 品 展 示 、ラ イ ヴ な ど の ク リ エ イ テ ィ ブ な 活 動 が 積 極 的 に 行 わ れ て お り 、 私たち CUAD が所属する千葉大学工学部建築学科の学生ともなじみのあるお店である。
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outsideプロジェクト2012
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うつつ 【現】
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この世にたしかに存在しているもの。現実・夢・虚構などに対していう。「夢か現か幻か」
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現実に生きている状態。現存。死に対していう。「現の人々の中に忍ぶるこよだに、隠れうる世の中かは」
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インスタレーションのテーマは「呼吸」。 私たち人間は呼吸することによって生きている。 すなわち呼吸することは私たちが生きている事の証であり、 今現在たしかにここに存在していることの印。
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何か自分を動揺させるような出来事があったときに深く呼吸することで自分 の気持ちを落ち着けることができる。今一度、自分自身が「呼吸」している ということを美しい空間体験とともに感じることで、自分自身が生きている という事を再認識できるのではないか。
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呼吸のリズムに合わせてゆっくりと光を点滅させる。
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今回のインスタレーションで用いた素材は「 水 」。 水は絶えずゆらめき、特定の形をもたない。 そんな実体のない水に光りをあてることにより、波紋として空間のなかに現す。
普段、建築の素材としてほとんど使われることのない水を用いて空間をつくることで、 今までにない幻想的な空間をめざした。
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水面は常にゆらめき、光によってつくられた波紋は絶えず干渉を繰り返す。
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my design movie http://www.youtube.com/watch?v=iJ_nBuiE9vk 208
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Produced the Books
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