なぜ今、企業が社会イノベーションに取り組むのか -未来を予見し、セクターの壁を越えることによる社会的価値の創造- Why are Corporations Working for Social Innovation? -Creating social value through collaboration across sectors –
報告書
主催:ブリティッシュ・カウンシル、NPO 法人 ETIC. 協力:公益財団法人日本財団、株式会社富士通研究所、国際大学グローバル・コミュニケ ーション・センター(GLOCOM)、株式会社損害保険ジャパン、 ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社
フォーラム【なぜ今、企業が社会イノベーションに取り組むのか】
9th July 2012
【日時】 2012 年 7 月 9 日(月)13:00-20:00 【場所】 公益財団法人日本財団 【プログラム】 ■第一部 13:00 - 13:10 主催者挨拶 ヒュー・オリファント 〔ブリティッシュ・カウンシル 社会・英語教育事業部 部長〕 町井 則雄 〔日本財団 経営支援グループ CSR企画推進チームリーダー〕 13:10 - 13:30 基調講演 「社会イノベーションの未来」 “The Future of Social Innovation” <スピーカー> アマンダ・フェルドマン 〔Volans エンゲージメント・マネージャー〕 13:30 - 15:00 パネルディスカッション 「セクターを超え、社会イノベーションの創出へ - 変容するビジネスの役割」 <パネリスト> *敬称略、登壇予定順 アマンダ・フェルドマン [Volans エンゲージメント・マネージャー] 伊藤 征慶 [ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社 ヘッド・オブ・コミュニケーション] 市川 アダム博康 [株式会社損害保険ジャパン CSR・環境推進室 室長代理] <モデレーター> 宮城 治男 [NPO 法人 ETIC. 代表理事] ■第二部 15:15 - 18:00 分科会 〔分科会 1〕 Futures: Inspiring Social Innovation ‐ 社会イノベーション x サクセスフ ル・エイジング‐ 主催:ブリティッシュ・カウンシル、株式会社富士通研究所、国際大学グロ ーバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM) 〔分科会 2〕 被災地から日本の未来を考える -被災地の課題と住民が主役のコミュニ ティづくり主催:NPO 法人 ETIC. 〔分科会 3〕 社会イノベーション x 社会との共感共有 主催:公益財団法人日本財団
(C) NPO 法人 ETIC.、ブリティッシュ・カウンシル、公益財団法人日本財団 2 / 11
フォーラム【なぜ今、企業が社会イノベーションに取り組むのか】
9th July 2012
【基調講演】 社会イノベーションの未来 “The Future of Social Innovation” 英国Volansよりアマンダ・フェルドマン氏を迎え、社会イノベーションの本質や、将来世代に とってフェアな社会を構築していくために企業はどのように社会イノベーションを創出していく べきか等をテーマにお話いただいた。
まず、「世代を超えて思考する」ということについて考えたい。社会にどのようなイノベ ーションが必要か、ということについては様々な議論があるが、未来の世代を搾取し ない、ということについては皆の同意が得られると思う。水の利用、種の絶滅、気候変 動など加速的に地球環境が変化している。私たちは、世代を超えたスキームをどう組 むのかを考える必要がある。
現在の若い世代は一般的に主流のビジネスに対して懐疑的であり、社会的に良いこ とをしたいという意志と能力を持っている。グローバル経済の中で、ビジネスが社会的 に良いものである、という認識は一時的に失われている。
一方で、ビジネスが社会に及ぼすインパクトは依然として極めて大きい。一部の企業 は自身の責任と持続性の追求にもとづいて、社会イノベーションに取り組んでいる。 1960 年に社会的責任の拒絶からはじまったこの進化は、1970 年代以降に法令遵守 やコミュニティ貢献を促し、現在は CSR という形として定着している。しかし、これから は社会的価値の創出は追加的活動ではなく、本業であるビジネスに埋め込むことが 必要である。ビジネスそのものに社会の利益が織り込まれていなければならない。
社会イノベーションを生みだすビジネスケースを Volans では 4 つに分類している。 1. 新しい製品やサービスの開発 2. 新しい市場への参入 3. 社員のエンゲージメント促進 4. 競合との差別化・ブランディング
社会イノベーションを創出するのは、社内の起業家(イントラプレナー)である。彼らが 活躍するような環境をつくるためには、彼らにチャンスが与えられ、スキルを向上させ ていける場を設けることが必要である。また、起業家とパートナーシップを組み、学ぶ ことも重要である。例えば、ヒューレット・パッカードは Mothers2Mothers というアフリ カの NGO と協働し、自社の技術を活用しての HIV 感染防止に取り組んでいる。
Volans はブリティッシュ・カウンシルと協働で、日英の企業が様々なプレーヤーとセク ターや国境を通して繋がり、協働を通して社会イノベーション創出を実現するためのグ ローバルプラットフォーム、Futuresを展開しており、このプロジェクトで最初に取り組む
(C) NPO 法人 ETIC.、ブリティッシュ・カウンシル、公益財団法人日本財団 3 / 11
フォーラム【なぜ今、企業が社会イノベーションに取り組むのか】
9th July 2012
日英共通の社会的課題は高齢化社会である。日本はどこよりも早く超高齢社会に突 入しており、少し遅れて英国やその他の国も後に続く。中長期的に企業が高齢化社会 でどのような役割を担い社会イノベーションを創出するのか、多様なステークホルダー が対話の中で見出していく取り組みを進めている。 【パネルディスカッション】 「セクターを超え、社会イノベーションの創出へ –変容するビジネスの役割-」 スピーカーとしてアマンダ・フェルドマン氏に加え、ユニリーバ・ジャパンより伊藤征慶氏、損 害保険ジャパンより市川アダム博康氏、モデレータにNPO 法人 ETIC.宮城治男氏を迎え、 ビジネスと社会価値をどう両立していくか、についてパネルディスカッションを実施した。
【伊藤氏】ユニリーバは世界最大級の日用品・食品メーカーである。マーガリン・ユニと リーバ・ブラザーズが合併した企業である。興味深いのは、それぞれが社会課題へ取 り組む中でうまれたという点だ。公衆衛生に課題があった 120 年前の英国において、 石鹸を製造販売し衛生という概念を世に広めたのが、ウイリアム・ヘスケス・リーバであ る。栄養不足が社会課題となっていたオランダで、高価なバターに代わってマーガリン を提供し始めたのがユンゲルスとバンデンバーグであった。
【伊藤氏】ユニリーバは、ビジネスの収益を 2 倍にしつつ、環境負荷を半減させるという 経営目標を立てた。売上倍増と、環境負荷の半減を全社的な経営目標として並列して 掲げているのが特徴である。また、ユニリーバ・サステナブル・リビング・プランを設定し、 本業を通して社会へ価値を提供していくことを表明している。
【伊藤氏】ビジネスと社会貢献を両立する取り組みのひとつとして、インドで展開してい るプロジェクト・シャクティがある。インドでは人口約 11 億人のうち、7 億人が農村部に 居住している。不衛生な環境によって 5 歳を迎えることなく亡くなる子どもは世界で 350 万人とされ、インドでも少なくない子どもが同じ状況にある。石鹸を通して、いかに 衛生を提供するかがシャクティの挑戦である。チャリティでいくつかの地域を支援するこ とも考えられたが、より広く継続的に支援していくため、ビジネスを通して支援していき たいと考えた。
【伊藤氏】課題は石鹸の価格と販路であった。ユニリーバ製品は都市部の富裕層には 浸透していたが、同じ価格では農村部の人々は購入できない。また、農村部には店舗 がない。シャクティでは、価格の最適化とともに、農村部で働く女性をトレーニングし、訪 問販売を行うことで、収入を向上しつつ石鹸を広範な地域に届けている。現在では 4 万 5 千人の女性が個人事業主として活躍している。
(C) NPO 法人 ETIC.、ブリティッシュ・カウンシル、公益財団法人日本財団 4 / 11
フォーラム【なぜ今、企業が社会イノベーションに取り組むのか】
9th July 2012
【市川氏】損害保険ジャパンの原点は、日本で初めての火災保険会社である。当時は 火事が発生すると木造家屋ゆえに一気に広がってしまうという大きな課題があった。こ のため、消防団を結成し火消しと保険を同時に提供していたのが会社としての始まりで ある。
CSR への取り組みは古く、1990 年に始まっている。2000 年代からは専任部署が設置 され、現在は本業との融合に力を入れている。1992 年には、当時の社長が経団連団 長としてリオサミットに参加している。その影響は大きく、直後に社長室直下に地球環 境室を設置し、取り組みが加速した。
【市川氏】タイの洪水や干ばつに際して、稲作農業者が農機具を売り払ってしまうという 現状に貢献できないかと考え、保険商品を構成した。この「天候インデックス保険」は、 調査員が不要で速やかに保険金支払いができることが特徴である。2012 年度にはタ イの 9 県に販売を拡大するなど順調に契約数は伸びており、現地社会への貢献という 意味で意義深いと考えている。
【市川氏】被災地支援の一貫として、NPO 法人 ETIC.と連携して、現地で活躍する NPO に社員を派遣するという仕組みを進めている。2011 年にブリティッシュ・カウンシ ルとNPO法人ETICが実施した英国スタディツアーに参加した際、ドイツの金融保険企 業が幹部社員を NPO に派遣していた仕組みが参考となった。これを社内に周知し、社 会的事業に関する勉強会を社内で実施し、実現することとなった。
【市川氏】派遣対象は、キャンナスという藤沢に本部がある NPO である。8 千人ほどの 医者、看護師をボランティアとして仮設住宅などに派遣し、血圧計測など、健康維持に 貢献するプロジェクトを実施している。社員が関わることで、オペレーションの構築にお いて貢献できる余地があると考えている。
(なぜ、Volans に参加したのかという問いに対して】【アマンダ氏】私は Volans のミッシ ョンに共感して参加した。Volans の役割は、グローバルなビジネスが社会イノベーショ ンを創出するための支援、そして他セクターの巻き込みや、人つなぎである。現在、多く のビジネススクールが社会的事業をカリキュラムに取り入れている。これはビジネスス クールが、社会イノベーションが未来を構成する重要な要素になる、と考えている証拠 である。私はロンドンで公共政策を学んだ。多くの卒業生が行政セクターに就職する中 で、行政ではカバーできない領域に取り組むため、社会起業家となる人も少なくない。
(企業を中からどのように変えていくのか、という問いに対して)【アマンダ氏】トップマネ ジメントの巻き込みは長期戦である。ビジネスケースを明確にしつつ、社員の巻き込み 可能性を伝えることが重要である。最終的には、倫理観や道徳的価値観に訴えること
(C) NPO 法人 ETIC.、ブリティッシュ・カウンシル、公益財団法人日本財団 5 / 11
フォーラム【なぜ今、企業が社会イノベーションに取り組むのか】
9th July 2012
も必要だ。【市川氏】震災以降は、色々なことがボトムアップで進みやすくなっているよう に感じる。業務外のボランティアではなく、出張扱いで被災地に派遣することを認める など、上層部の理解も深い。社会貢献マインドが、文化として企業内に根付いているこ との重要性を感じる。【伊藤氏】震災直後の月曜日から支援を開始した。グローバル本 社の CEO、COO が早い段階で現地を訪問したことも非常に効果的であった。トップが 率先して取り組むことで、企業姿勢を社内に周知させることができる。 【分科会1】 Futures: Inspiring Social Innovation ‐ 社会イノベーション x サクセスフル・エイジング‐ (主催:ブリティッシュ・カウンシル、株式会社富士通研究所、国際大学グローバル・コミュニ ケーション・センター(GLOCOM)、株式会社フューチャーセッションズ) 今後企業が社会イノベーションのエコシステムの中でどの様な役割を持ち、その他のセクタ ーと協働することによって、どう本業を通して社会に貢献すべきなのかは、日英共通の関心 事である。2012 年 2 月にブリティッシュ・カウンシルとNPO法人ETIC.が実施した英国スタ ディーツアーのアウトカムをもとに、日英の企業が多様なプレーヤーとセクターや国境を越 えてつながり、社会イノベーション創出を促進するためのプロジェクト、Futuresをブリティッ シュ・カウンシル、株式会社富士通研究所、国際大学グローバル・コミュニケーション・センタ ー(GLOCOM)が展開している。今回の分科会はこの Futures の第 1 回セッションとして実 施された。 今回のセッションでは「社会イノベーションXサクセスフル・エイジング」をテーマに、「素敵に 年をとれる社会」を実現するには、企業として、また個人として何ができるのかについて対話 をし、9つの問いを導き出した。 <対話を通して導き出した9つの問い> 問い 1:「世代と地域を超え、どう『つながりという身近さ』を広げていくのか?」 問い 2:「『助けて』が見える仕組みとは?」 問い 3:「何かしたいというコトで繋がる仕組みをどう作るのか?」 問い 4:「人によって違う『幸福感』をどう共有するのか?」 問い 5:「多様な価値観や生き方を許容する社会をどうつくるのか?」 問い 6:「年齢に関係なく、生き方/仕事の選択肢をどう広げていけるのか?」 問い 7:「あらゆる世代が楽しく暮らせるコミュニティータウンをどう提供できるのか?」 問い 8:「今の仕事の他に、どう地域に貢献できるキャリアを築けるのか?」 問い 9:「2030 年、あなたの家族は誰ですか?新たな家族の定義とは?」
高齢化社会の問題の困難な点としては、少子化により高齢者率が尋常ではない値に なるという予測など、以前より繰り返し示されてきた「聞き飽きた課題」であるということ
(C) NPO 法人 ETIC.、ブリティッシュ・カウンシル、公益財団法人日本財団 6 / 11
フォーラム【なぜ今、企業が社会イノベーションに取り組むのか】
9th July 2012
が挙げられる。今回のセッションでは社会がどう変わるのかという「予測」を捨て、「サク セスフル・エイジング社会が来る」ことを前提に、その社会において私たちはどのような 仕事をしていのか、人と人がどのように繋がりあっているのかなど「未来思考」で考え、 変われない理由を考えるよりも、変わってしまったとしたら、自分たちはどうなっている のかに焦点を置いた。
9つの問いの共通点としては、助け合いやつながりをもっと広げたい、多様な生き方・ 働き方を認め合いたいというソーシャル・インクルージョンの側面が含まれているという 点がある
これら個人的な想いや価値観を共有した後、これら将来における人々の意識変化を受 け、企業や市場にどのような影響があるのかを考えることが必要となる。
次回以降の Futures セッションでは、これらの問いをベースに、更に対話をすすめ、高 齢社会の分野で社会イノベーションを起こすにはどのような具体的なアクションが必要 なのか、またそれを実現するためにはどのような協働の姿が求められているのかなど、 さらに議論を進めていきたい。
【分科会2】 被災地から日本の未来を考える -被災地の課題と住民が主役のコミュニティづくり(主催:NPO 法人 ETIC.) 東日本大震災により、東北地方沿岸部のコミュニティでは、これまで埋もれていた様々な社 会課題が表出している。様々な支援が外部から提供される中で、現場では、地域コミュニテ ィによる主体的な取り組みを支援することの重要性が指摘されている。 本分科会では、石巻市牡鹿半島の漁村に暮らすお母さん達による手仕事ブランド 「OCICA」など、地域コミュニティが主役の事業をつくる一般社団法人つむぎや代表の友廣 裕一さんをゲストスピーカーとして招き、被災地内外それぞれの立場から復興に携わってい る参加者を交え、対話による関係構築と相互理解を進めた。
現場に行くと、みんなが集まる場があって、笑顔で皆が話していることの大切さに気づく。 うまくいっている取り組みには、地元の人達とアイデアをおもしろおかしく考えながら発 信し、形にしていくというという特徴がある。やらねばならぬ、ではしんどい。対話から楽 しさを見出すことが、人をひきつける要因である。
地域のニーズを把握するには、地域住民へヒアリングするだけでは不足である。「もう 色々やっていただいてますから」という謙虚な反応をいただくことが多い。一定の距離を
(C) NPO 法人 ETIC.、ブリティッシュ・カウンシル、公益財団法人日本財団 7 / 11
フォーラム【なぜ今、企業が社会イノベーションに取り組むのか】
9th July 2012
おいて、これから必要となってくるのはどのような仕組みなのかを考えることの重要性 を感じる。
地域住民の巻き込みを考える上で、男性の参画を進めるために色々な工夫をしている。 女性はコミュニケーションが得意な傾向があり、場があれば話やコミュニケーションが 成立する。男性は、仮設住宅のベンチをつくろうとか、集まる理由が必要になる。みん なに役割を設定することが重要である。そうすることで、コミュニティへの参画ハードル を下げることができる。
被災地の一部自治体は、高齢化率が 3 割を超えている。今後、日本の自治体の多くも 同じような状況におちいる。企業には、日本市場の未来を見据えた、持続的な被災地 支援を実施して、単なる貢献に終わらず、メリットも併せて享受してもらいたい。
【分科会 3】 社会イノベーション x 社会との共感共有 (主催:公益財団法人日本財団) 社会イノベーションの種をより大きな流れにしていく為には、多くの人の共感を得て認識の 変化と具体的なアクションを誘発する必要がある。このセッションでは社会イノベーションを 多くの人に知ってもらうと共に、共感を持ってもらうにはどのようなことが必要なのかに焦点 をあて、社会イノベーションを広く浸透させていくためのアクションについて参加者とともに模 索した。 前半のプレゼンテーションでは社会的な活動をどうやって社会と共有するかについての話 題提供と問題提起がなされた。プロのデザイナーが社会課題とそのソリューションを表現し た世界を変えるデザイン展、秋葉原のメイドが参加した打ち水イベント、ギャルママによる被 災地支援などの取組を例に、広く一般市民の関心を惹き、ポジティブな印象を与え、積極的 に参加したくなるような仕組み作りが紹介された。社会との共感を創出する為には、活動や 活動主体の信頼性が担保されていること、関心を喚起するようなストーリーがあること、活 動の理念を共有し自分ごととして捉えられること、が重要である。 後半はワールドカフェ形式で日本最大の課題とも言える少子化について以下 3 点を軸に議 論をした。 1.日本の少子化を生み出している主な要因は何か? 2.少子化を取り巻く課題を解決するための突拍子もないアイディアを 10 個あげる 3.10 のアイディアのうち一つを選んで、そのアイディア実現に必要なセクターとそれぞれの 役割を整理する。その際、特に企業・行政・非営利組織・学術機関・市民の連係を意識する。
(C) NPO 法人 ETIC.、ブリティッシュ・カウンシル、公益財団法人日本財団 8 / 11
フォーラム【なぜ今、企業が社会イノベーションに取り組むのか】
9th July 2012
■ 少子化の要因として出された意見 ・ 働き方(長時間労働、女性の職場復帰への不安、共働き) ・ 経済(所得減少、将来への不安、教育費用の負担) ・ 価値観・認識(女性の自立、晩婚化、いじめなど教育環境への不信、一人が楽しい、男 性の草食化) ・ 社会インフラ(保育園不足、地域コミュニティが無い、祖父母が近くにいない) ・ 教育(適切な性教育が無い、不妊に対する知識不足) ■ 少子化を解決する為の突拍子もないアイディア ・ 社員の子供の数に応じて法人税を減税 ・ 多夫多妻制 ・ 子供を 3 人以上産んだ家庭は子供の数に応じて選挙権を付与 ・ 家事分担の法制化 ・ 高校生で子供を産むと学費無料、大学生で子供を産むと就職優先 ・ 子供が 3 人以上いるとタクシー代無料 ・ 小学校からダンスパーティー文化を根付かせる ・ 外国人のメイドにビザを発行する ・ 少子化担当大臣をラテン系の国の人にする ■ セクターを超えた連携について ・ 政府が企業の行動を促すようなインセンティブを提供する(保育園を儲かる仕組みにす る) ・ NPO や学術機関は「ゆるい」情報発信をして市民の意識を変える。 ・ 市民が非営利組織と連携してコミュニティの再構築、地域で子供を育てる仕組みを作る。 ・ そもそも少子化は大きく改善するのは無理なので現状を受け入れることを前提に企業と 政府が協働して新しいビジョンを示すべき。企業はこれまでの成長モデルの固定観念を捨 てて営利から共創の価値観に認識の変化を起こす。
(C) NPO 法人 ETIC.、ブリティッシュ・カウンシル、公益財団法人日本財団 9 / 11
フォーラム【なぜ今、企業が社会イノベーションに取り組むのか】
9th July 2012
【スピーカー プロフィール】 アマンダ・フェルドマン [Volans エンゲージメント・マネージャー] 英国で社会イノベーションの創出支援を手がける組織 Volans のエンゲージメント・マネージ ャー。企業や行政、社会起業家らと連携のもと、社会イノベーション戦略の構築にたずさわ る。未来に対する準備度合いを測る未来指数「Future Quotient」レポートや、新しいタイプ の社会イノベーターに焦点をあてたジョン・エルキントン著「ゼロの時代」(原題:The Zeronauts、2012 年 5 月刊)など、Volans のリサーチ活動にも積極的に寄与しているほか、 ソーシャル・エンタープライズや公衆衛生政策、若者による啓蒙活動などを通して得た自身 の経験を Volans でも活かしている。衛生、貧困、教育に関するグローバル・サービス・プロ ジェクトを立ち上げた若手ボランティア・グループ、NPO ピア・パートナーズ(Peer Partners)の創設者。ペンシルバニア大学卒業、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス行政 学修士。 www.volans.com
伊藤 征慶 [ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社 ヘッド・オブ・コミュニケーション] 1988 年 4 月、ニッポンリーバ BV(当時)に入社。英国本社への出向を経て、1992 年ブラン ドマネジャーに就任し、パーソナルケア、ホームケアブランドのマーケティングに携わる。 1999 年にはダヴを日本市場に導入し、洗顔料市場での No.1 ブランドとした。翌 2000 年 にはマーケティングマネジャ-ヘアケアに就任し、ダヴをヘアケア市場にも展開。シャンプー &コンディショナー市場での企業シェア No.1 獲得に貢献した。その後、リージョナルマーケ ティングマネジャーとして、同社初の男性化粧品ブランド AXE の立ち上げをリードした。 2006 年には、コミュニケーションダイレクターに就任。以降、プレジデント&CEO のビジネ スパートナーとして、企業広報およびサステナビリティへの取り組みを統括。東日本大震災 後は全社をあげての緊急支援・復興支援活動も主導している。2012 年より現職。 www.unilever.co.jp
市川 アダム博康 [株式会社損害保険ジャパン CSR・環境推進室 室長代理] アメリカ、ワシントンD.C.生まれ。高校時代は英国キング・エドワードⅥ世高校に留学、英 国ノッティンガム・トレント大学環境学部を経て、1999 年横浜市立大学商学部経営学科卒。 2000 年に損保ジャパン入社。千葉県と長崎県で自動車保険や火災保険などの保険金をお 支払いするサービスセンター部門に所属。2010 年 4 月からCSR・環境推進室にて、CSR コミュニケーション、CSR・環境マネジメントシステム(ISO14001)に基づくCSRの取り組み の企画・立案を担当。 www.sompo-japan.co.jp
(C) NPO 法人 ETIC.、ブリティッシュ・カウンシル、公益財団法人日本財団 10 / 11
フォーラム【なぜ今、企業が社会イノベーションに取り組むのか】
9th July 2012
宮城 治男 [NPO 法人 ETIC. 代表理事] NPO 法人 ETIC.代表理事。起業家型リーダーの輩出と社会にイノベーションを生み出すこ とを目指し、ベンチャー企業や社会起業家への長期実践型インターンシップ事業等に取り 組む。2002 年より日本初のソーシャルベンチャー向けビジネスプランコンテストを開催する など、社会起業家の育成、輩出にも取り組む。現在は全国各地での若者のチャレンジと地 域変革に取り組むプロデューサーの輩出、支援にも注力。早稲田大ビジネススクール非常 勤講師、地域活性化伝道師、2011 年世界経済フォーラム Young Global Leader に選出。 http://www.etic.or.jp ※登壇予定順、敬称略
(C) NPO 法人 ETIC.、ブリティッシュ・カウンシル、公益財団法人日本財団 11 / 11