ガイド
鉄道観光 コース1(3時間) 蒸気機関車観光
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コース2(2時間30分) モスクワ鉄道小環状線
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コース3(3時間30分) 蒸気機関車トリプティク
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コース4(1日) モスクワ~コロムナ
8 この旅行ガイドは、モ
コース5 (1日) モスクワ~アレクサンドロフ~ ペレスラヴリ・ザレスキー
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コース6(1日) 蒸気機関車と空 モスクワ~ツィオルコフスカヤ~モニノ
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コース7(1泊2日) モスクワ~カルーガ~スモレンスク
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コース8(1泊2日) モスクワ~トゥーラ~リャザン
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コース9(1泊2日) モスクワ~ウラジーミル~スーズダリ~コス トロマ~ヤロスラヴリ
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コース10(2泊3日) セリゲル湖へ モスクワ~ボロゴエ~ オスタシコフ~トルジョーク
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コース11(3泊3日) ジェド・マロースの故郷 モスクワ~ヴェリキイ・ウスチュグ
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シベリア鉄道 寝台列車「黄金の鷲号」 で鉄道の旅 個人旅行 補足情報
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スクワの住人および旅 行者の皆様に、ロシア と鉄道の歴史をご紹介 し、レトロな機械と触 れ合えるプログラムに ご案内するものです。 すべての観光コースま たはその一部で、蒸 気機関車が使用されま す。 蒸気機関車の等級に は、リクライニングシ ートの「スタンダー ド」、4人掛けシート の「インテリア・ワゴ ン」、2人乗りまたは 4人乗りの「コンパー トメント」、1人乗り または2人乗りのシャ ワー室付き「デラック ス」があります。 観光やコース、時間、 プログラム、車両等級 や種類についての詳細 な情報は、このガイド の最後のページに記さ れた観光業者にお問合 わせいただけます。
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モスクワ • 鉄道観光
リガ駅(旧名はヴィンダフ 駅、 バルト駅、 ルジェフ駅) は、 モスクワでもっとも美 しく、保管状態の良い駅 舎で、Y.F.ディジェリフス 指導のもと、建築家S.A.ブ ロジョゾフスキーが設計 し、1901年9月11日に開 業しました。 この美しさの 要素は、 モダニズムと擬ロ シア様式です。 駅の建設により、公園が壊 され、送水管が敷かれ、道 路が整備され、 モスクワの クレストフスク塔周辺地区 の景観が大きく変わりま した。 今日、 ほとんどのモスクワ の蒸気機関車の観光がこ こから始まります。 駅舎の増設部分にはロシ ア最大の鉄道模型があり、 蒸気機関車から飛行機ま で、 あらゆる種類の交通機 関が、生きた地図のような 世界に展示されています。 また、 ロシアや外国の鉄道 模型を販売しているお店も ここにあります。
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蒸気機関車観光
コース1(3時間)
「蒸気機関車観光」 は、 モスクワ中心 部を蒸気機関車で巡り、歴史に触れ、 かつての鉄道の生活を体験できる、3 時間のとてもユニークな観光です。蒸 気が立ち上る機関車に数分乗るだけ でも、忘れがたき思いでとなるでしょ う。汽笛を聞き、煙突からモクモクと はき出される蒸気を見て、 ロシアのお もしろい鉄道史に耳を傾け、1:1の縮 尺の機関車を隅々まで観察して、本物 の機関庫に行くのです。 リガ駅からこ の観光にご出発されると、 これらすべ てを楽しくご体験いただけます。 「蒸気機関車観光」 は、 リガ駅の鉄 道技術歴史博物館から始まります。 ロ シア内戦の時、蒸気機関車を乾燥ヴ ォーブラ (カスピ海産のコイ科の魚) で温めた話、大祖国戦争の時、蒸気 機関車の炭水車の穴を木でふさいだ 話、機関士の手提げ箱を 「シャルマン カ (手回し風琴)」 と呼んでいた話、蒸 気機関車のテール信号を 「岳母」 と呼 んでいた話、人間は何平方メートルの 燃焼室を手作業で温めることができ るか、昔のVIPは一等車両でどのよう
ガイド
モスクワ郊外機関庫 かつて、 モスクワ郊外駅ま でしか電車が走らなかっ な旅をしたかなど、 さまざまな秘話が た時代がありました。 マリ ここで説明されます。 イナ・ロシャを通過し、 クレ 20世紀半ばの修理された蒸気機関 ストフスク関所の駅までを 車の、2等級車にガイドが乗ります。 モスクワ・ヴィンダフ線を リガ駅と同じ時期に建てられた、 モス 結ぶ鉄道を敷設するのが クワ郊外駅機関庫に進みます。2011 高額だったため、当時の政 年、 ここにロシア初の蒸気機関車修 府は予算的に問題をなか なか解決できませんでし 理会社が設立されました。蒸気機関 た。 モスクワ郊外駅の近く 車の炭水車の水や操車、 また歴史的 建造物に認定された独特な建築など には、古いフセフスヴャツ をご覧いただけます。熱い紅茶をお飲 コエ村しかなく、林、菜園、 みになったり、蒸気機関車をモチーフ 野原が広がっていました。 このような辺鄙な場所で、 にした土産物などをお選びいただい 揚水ポンプ施設付き給水 たりと、観光ならではの楽しみも用意 塔、扇形の建物、機関庫な されています。 ど、鉄道建築家が見事な 外観の技術施設を建設し たことに、 ただただ驚くば かりです。技術的芸術品の 遺産であり、作業場建築の 美であるこれらの建築物を、 「蒸気機関車観光」 のガイ ドは喜んでご案内いたしま す。 モスクワ市政府決定に より、 モスクワ郊外機関庫 は、街の遺産として管理さ れています。
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モスクワ • 鉄道観光
モスクワ川にかかるモス クワ環状鉄道の橋は、 モ スクワ史の詩情豊かな1 ページになっています。 セ ルギエフ橋(現在のアンド レエフ橋)、 ニコライ二世橋 (現在のルジニキ橋、 その 前のクラスノルガ橋)、 ドロ ゴミロフ橋の3本の橋は、 優れたロシア人建築家の L.D.プロスクリャコフが設 計し、A.N.ポメランツェフ 教授が芸術的装飾を考案 しました。 ダニロフ橋(以前 のアレクセエフ橋) は、才能 ある建築家のN.A.ベレリュ プスキーとN.A.ボグスラフ スキーが造りました。橋は、 モスクワ市の雀が丘、 アン ドレエフ修道院、 ノヴォデ ヴィチ女子修道院、 クツゾ フ大通り地区の美しい装 飾となりました。2001年 の改築工事の際、 クラスノ ルガ橋とアンドレエフ橋の 区間の古い建築が移築さ れ、歩行者専用の橋に変わ りました。
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モスクワ鉄道小環状線
コース2(2時間30分)
モスクワ環状鉄道は、 モスクワに集ま る9本の鉄道をつなげるため、技術者 兼建築家のP.I.ラシェフスキーの指導 の下で建設され、1908年に開業しま した。形は楕円形に近いものの、簡単 に小環状と呼ばれています。 モスクワ 北西部では12キロ、南部ではクレム リンから5キロ伸びています。1917年 から1960年まで、 すなわちモスクワ 環状道路が開設されるまでは、 モス クワ市の正式な境界線でした。小環 状線は、支線を除いて長さ54キロし かありませんが、独特な技術的設備 で、世界には類似のものが存在しませ ん。科学的にも文化的にも価値の高 い鉄道です。 この建設に加わった関係 者は、 モスクワ郊外の森や空き地など に、大きな美しい未来のモスクワがや って来ると考え、前もって美しいデザ インにしたのです。 1930年代まで、 ここでは普通の旅客 列車以外にも、観光列車が走ってい たことは興味深い事実です。独特な鉄 道やモスクワの景色が、 ここから紹介 されたのです。小環状線は、現在貨物 列車の走行が中心で、未だに旅客列
ガイド
車が復活していないため、 ここについ て知っている人はあまり多くありませ ん。 この観光の目的は、 このような残 念な街の欠点を補うことも一つです。 蒸気機関車はモスクワ川の有名な橋 を4回横断しますが、河岸通り、大通 り、公園などの、街でもっとも美しい パノラマが目の前に広がります。 そし て、昔を実感させるノヴォデヴィチ女 子修道院と、近未来を予感させるモ スクワ・シティーの摩天楼が見えてき ます。 今日、小環状線には、運用されている 駅が12駅あり、 モスクワの産業企業 159社の引込線131線がつながって います。 この観光の蒸気機関車は20世紀半 ばに製造された本物で、石炭がくべら れます。豪華な蒸気機関車の操車を 見たり、写真撮影をしたりできる、 良 い機会です。 1980年代製造の、 リクライニングシ ートがある2等級車両や、 「インテリ ア」車両にガイドが乗ります。香り豊 かな紅茶や、蒸気機関車をモチーフと した土産物などが用意されています。 「産業の昔」写真展もご覧いただけ ます。
モスクワ環状鉄道の様式 この鉄道では、矛盾してい ることがたくさんあります。 例えば、 モスクワ中心部か ら遠く離れた場所の質と 美です。鉄道が建設された 当時、 ロシヌゥイ島のベロ カメンナヤ駅(白石駅) 周 辺などの場所では、松林の 間を通っていたり、他の場 所では、町はずれの産業地 区を通っていたり、 またカ ナチコヴァヤ・ダーチャで は、元墓地だった場所を通 っていたりと、辺鄙なところ にありました。鉄道を建設 したP.I.ラシェフスキーや A.P.ポメランツェフは、 な ぜこのような場所に、 これ ほどの美しい外観で、独特 で、優れた様式の頑丈な鉄 道を造ったのでしょうか。 そう、将来を見越していた のです。時間の経過ととも に、鉄道が街の境界線とな り、子孫たちがこの美に注 目すると。 また、大きな橋の 名称にも表現されているよ うに、大国をイメージして いたのです。 この鉄道に使 用された建材は、 すべて国 内で調達されました。
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モスクワ • 鉄道観光
パヴェレツ駅 (以前はサラ 蒸気機関車トリプティク トフ駅) は、1900年に開業 コース3 (3時間30分) しました。建築家Y.F.ディジ ェリフスが設計者です。最 は、2カ所 初は列車がヴェニョーフま 「蒸気機関車トリプティク」 で走っていましたが、 すぐ の博物館、 リガ駅の鉄道技術歴史博 にアストラハンまで延長さ 物館、 パヴェレツ駅のモスクワ鉄道博 れました。 この駅は1980 物館を訪れ、 モスクワ鉄道小環状線 年代に改築された際、 ソ連 時代の駅舎建設で初めて、 のもっとも美しい場所を通過する観 光です。 昔の外観保存法が部分的 に導入されたことで有名 屋外に本物の機関車や車両などの です。 その価値はありまし 展示品が置かれたリガ駅の博物館か た。擬ロシア様式の要素が ら、 観光は始まります。次に、 モスクワ 取り入れられた大きな建 鉄道小環状線を通ってパヴェレツ駅 物は、 かつて春になるとよ く浸水していた、遠く離れ までの楽しい旅に出発です。 ここは、 たザツェパ広場を変貌さ モスクワ川にかかる有名な橋もある、 せました。 この駅の歴史に 美しくて魅力的な小環状線地区です。 は、 ロシアでもっとも規模 秘密めいた鉄道を進みながら、蒸気 が大きくて独特な鉄道の の下に見える窓の外のモスクワは、大 ひとつ、 リャザン-ウラル 鉄道路線と関係がありま きな印象を与えるでしょう。 す。1924年、V.I.レーニン パヴェレツ駅に到着すると、 モスクワ の遺体を乗せた霊柩列車 鉄道博物館の一新された展示品の観 がこの駅に乗り入れまし 覧が始まります。 ここには、独特な蒸 た。駅は、肥沃なロシアの 南部との交通路として有名 気機関車V.I.レーニンの霊柩列車や、 で、大きな倉庫がすぐにイ 昔風のデザインの車内、 またそこに座 メージされます。10月革命 る人気のある映画の主人公に似たマ までは、 モスクワの大手貿 ネキンがあります。 たくさんの写真が、 易会社の倉庫の中心にな かつてのモスクワ鉄道を物語ります。 っていました。
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ガイド
ロシアの技術史でもっとも価値ある 遺産のひとつ、蒸気機関車U127が、 霊柩列車の先頭となっています。特に 優れた技術的特徴があるわけではあ りませんが、独特な車輪の配置となっ ているこの旅客蒸気機関車は、1000 両ほど存在した中で唯一保存されて いる1両なのです。1959年から屋内 に保管されていて、製造後の姿をほぼ そのまま残しています。 この貴重な遺 産に負けないほどの優れた展示品は、 蒸気機関車に連結された、20世紀初 めの貨物車両で、 こちらも唯一の保存 品となっております。
リガ駅の鉄道技術博物館 は、 鉄道史愛好家の長年 の夢をかなえた特別な博 物館です。2004年に開館 したこの博物館には、 ロシ アでもかなり貴重なコレク ションを含む、60両以上の 機関車や車両が所蔵され ています。1903年に建造 された蒸気機関車「オヴェ チカ」、 ドイツ製軍用列車「 フラオ」、 ロシア製「ポベダ」 、 もっとも人気の高いSuシ リーズの旅客蒸気機関車「 サムィエ・サムィエ」、 ヨー ロッパ最大の 「フェリクス・ ジェルジンスキー」、 ギネス ブックに記録された伝説の 「エムカ」、 もっとも省エネ 型の蒸気機関車LVシリー ズなどがあり、 「鋳鉄製鉄 道」時代を肌で感じること ができます。本物の火室が ある機関室、1940年から 1970年のモスクワ中心路 線の電車、 ディーゼル機関 車、電気機関車、恐竜をイ メージしてしまう大きな工 事用列車、国家首脳専用 車両などもあります。
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モスクワ • 鉄道観光
カザン駅(最初はリャザン 駅) は、 モスクワの歴史的 建造物です。1864年に開 設された最初の建物はと ても小さく、非常に利用し にくかったため、19世紀末 まで風刺コラムニストの格 好のターゲットとなってい ました。乗客数の増加に伴 い、新しい駅舎の建築が 必要となり、建築家A.V.シ ュセフの大きなプロジェク トが、1913年にようやく 起工しました。 モスクワ市 民の想像を超えたプロジ ェクトは、 ロシア最大とな るはずでしたが、第一次世 界大戦の勃発と、実業家 N.K.フォン・メックの構想 により、一部しか実現され ませんでした。建物の装飾 プロジェクトには、N.K.レ リフ、E.E.ランセル、B.M.ク ストジエフ、Z.E.セレブリャ コフなどの芸術家が参加 しました。今日の駅の外観 は、1990年代に造り上げ られたものです。 中央駅舎 はカザン・クレムリンのシュ ユンビケ塔の特徴を真似 ています。
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モスクワ~コロムナ
コース4(1日)
コロムナは、 モスクワから南に 114km、 モスクワ川とオキ川の合流 点に位置する、 モスクワ郊外でもっと も歴史的に価値の高い街のひとつで、 歴史的な中心地がしっかりと保存さ れている、古代の至宝です。 モスクワ川の橋を渡ってコロムナに近 づくと、蒸気機関車の煙の中から、教 会やコロムナ・クレムリンの大聖堂が 建ち並ぶ、 古代の街の壮大なパノラマ が広がってきます。 モスクワ川河岸の広大な草原の中に 建つ古きボブレネフ修道院の全景は、 まるで栄光を受けるに値する重要な できごとを静かに語りだすかのようで す。 モスクワ川の舟橋を渡って修道院 に向って歩き、対岸から街の驚くよう な美しい姿をぜひご覧ください。門の 上の大きな聖母のイコン像に一礼し た後、 マリーナ・ムニシェクが裏切り の罪で収容されていたマリンキナ塔 を通り、 コロムナの昔の世界に潜りこ みます。 そこに広がる光景は忘れがた き思い出となるでしょう。 旧コロムナ の入口にあるしま模様の番小屋の脇
ガイド
には、帝政ロシアの巡査が立っていま す。前々世期と前世期の1階建ての建 物には、 ここで生活していた作家I.I.ラ ジェニチコフとB.A.ピリニャクについ て書かれた記念碑や、前世期のロシ アの保険会社の社標などがあります。 この街の寺院を一日ですべて見学す るのは不可能ですが、 円屋根などの 外観を楽しむだけでも十分に価値が あります。彫刻装飾枠やペチカの煙突 などがある古き道は、詩的な情緒に 満ち溢れています。 モスクワ近郊で、 こ れほど大きな規模で保存されている 昔の街並みは少ないです。 内容の濃い 「コロムナ~私の古き街」 観光プログラムには、 コロムナ・クレム リンの徒歩観光、貴族と商人の邸宅、 コロムナとモスクワの川が合流するブ リュデチコ、大聖堂広場の見学、 ノヴ ォ・ゴルトヴィン修道院、 コロメンスキ ー・クルチンツキー府主教の邸宅、 ピ ャトニッツァ門、 ドミトリー・ドンスキ ー像、聖キリル・聖メフォディー像、 ポ サドのニコラ教会、 コロムナ焼き菓子 博物館(鑑定や茶会あり)、名物はち みつジュースをお土産用に購入でき る 「ゾロトイ・ウレイ」店などの訪問が 含まれています。
コロムナ工場は、 コロムナ 市近くに位置している、軍 事技術者A.E.ストルヴェ によって1863年に建てら れた工場です。工場の最 初の製品は、 コロムナにか かるオカ川の橋でした。 そ の後、蒸気脱穀機や橋か ら蒸気機関車、蒸気船、潜 水艦まで、 さまざまなもの を生み出しました。 ロシア の機械建造史でも特別な 存在です。1869年に蒸気 機関車、1907年に世界 初のディーゼル設備の搭 載された船、 ロシア革命後 に量産ディーゼル機関車 EEL、電気機関車VL19が 造られました。1956年に は、 ソ連最高の蒸気機関車 と言われた旅客蒸気機関 車P36が、最後の出荷を 迎えました。 その後旅客蒸 気機関車TEP60、TEP70 が大量生産され、今日は 最新型のディーゼル機関 車TEP70BCと電気機関 車EP2Kが生産されていま す。 コロムナ行きの観光蒸 気機関車も、 ここで生産さ れたものかもしれません。
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モスクワ • 鉄道観光
セルギエフ・ポサード モスクワ発セルギエフ・ポ サード着の初の鉄道路線 が、 未来のシベリア鉄道の きっかけとなったのは、 決し て偶然ではありません。 至聖三者聖セルギイ大修 道院は、 ロシアの偉大な聖 地で、 同時に苦難の時期に 主イエス・キリストがお守り くださった要塞でもありま す。 ロシアの地の偉大な苦 行者、 ラドネジの聖セルギ イが創設しました。 ここは 常に国家独立の砦で、 例え ば17世紀初めのロシア・ポ ーランド戦争の時には、 見 事な防衛を果たしました。 ソ連時代には、 大修道院が 正式に閉鎖され、 博物館に 代わり、 神学校しか活動し ていませんでしたが、 宗教 的な生活は守られました。 現在は、 ロシア各地から人 が集まる最大の巡礼の中 心、 魂の重要な砦、 合唱を 含む正教の伝統が受け継 がれている場所となり、 ま た国内でもっとも美しい修 道院のひとつに数えられて います。 鉄道から望む大修 道院の景色は、 忘れがたき 思いでとなるでしょう。
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モスクワ~アレクサンドロフ~ペ レスラヴリ・ザレスキー コース5(1日)
セルギエフ・ポサードの次は、蒸気機 関車がアレクサンドロフに到着しま す。 ロシア革命前の鉄道の伝統に従 い、最近駅の脇に教会が建てられまし たが、駅舎も歴史的建造物です。 この 街では、宮殿の建築群を見たり、鐘の あるポクロフスキー寺院で合奏団の 歌を聴いたり、 イヴァン雷帝の食事の メニュー「カワスマスの頭のニンニク 煮」 を味わったりすることができます。 次に蒸気機関車が到着するのはペレ スラヴリ・ザレスキーで、 プレシェエヴ ォ湖の先の高い山から美しいパノラ マが広がります。続く街の観光では、 赤の広場と救世主変容大聖堂(ウラ ジミール・スズダリ建築)、古代都市 の障壁の見学や、聖アレクサンドル・ ネフスキー、聖ニキータ男子修道院、 聖ニコライ女子修道院の話をお楽し みいただけます。天気が良ければ、街 からそう遠くない松林の中にあるペ レスラヴスキー狭軌博物館を訪ねた り、 またアイロン博物館やサモワール 博物館を見学したりすることが可能 です。
ガイド
蒸気機関車と空 モスクワ~ツィオ ルコフスカヤ~モニノ コース6(1日) 早朝に、蒸気機関車で、 ロシアのもっ とも魅力的な宇宙の街「星の街」 に出 発です。 モスクワからはわずか1時間 です。 ここは閉鎖都市だったため、最 近までは訪れることが厳しく制限され ていました。現在でも通行システムが 厳しく、 このような観光が、 この伝説 的な宇宙飛行士訓練センターに行く 唯一の手段です。星の街に到着する 前に、 「1954年から1961年の宇宙 と蒸気機関車の歴史」 をガイドがご 説明いたします。 蒸気機関車は、時刻表通りにこの街 に到着します。 この観光では、Y.A.ガ ガーリン宇宙飛行士訓練センターの 創設や、星の街の建設、 また宇宙飛行 士の人生や、宇宙飛行について知るこ とができます。 ここには世界最大のセ ントリフュージや、宇宙ステーション のモジュール模型が入った大型プー ルのある水力研究所があり、宇宙飛 行士は宇宙に飛び出す練習をしてい ます。蒸気機関車の観光客は、特別に プラネタリウムに招かれます。地球か ら500キロ離れた夜の空と、9000個 の星をご覧いただけます。
モニノ空軍博物館 蒸気機関車もいいですが、 飛行機もまた格別です。 こ の博物館には、 世界で有 名な飛行機コレクション があります。 モスクワから 東に38キロ、 モスクワ郊 外でもっとも美しい場所の ひとつ、 チカロフスキー空 港のそばに位置していま す。 1958年11月28日、 航 空機修理基地に、 Y.A.ガガ ーリン空軍アカデミー付 属の施設として設立され ました。 1960年2月23日、 最初の訪問者を受け入れ ました。 独特な 「イリヤー・ ムーロメツ」 「 、ヴォアザン」 、 SU-35、 TU-95、 PO-2 、 PE-2、 TU-2、 DB-3 、 SB、 IL-10、 TU-114、 TU144、 M-3など、 586機が 所蔵されています。 世界の 航空大国は、 ここをもっと も規模の大きな航空機博 物館のひとつに数え、 飛行 機のコレクションは非常に 魅力的だと考えています。 コ レクションは、 最初の飛行 機やヘリコプターからの航 空発展史を披露していま す。 貴重な機会に違いあり ません。
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モスクワ • 鉄道観光
キエフ駅(以前のブリャン スク駅) は、 モスクワでもっ とも大きな駅のひとつで す。最初の駅舎は1899年 に建築されましたが、現在 は残っていません。灯油ラ ンプを照明として使用し た、使い勝手の悪い建物 だったため、 当時の風刺の 標的にされました。 それで も、 ベレシキ菜園と呼ばれ たドロゴミロヴォ地区の景 観を大きく変え、空き地を モスクワ川河岸の街に仕 上げました。 モスクワ~キ エフ~ヴォロネジ鉄道の 幹部は、風刺に疲れ、15年 後にまったく別の駅舎で市 民を驚かせようと決意しま した。旅客上屋、 ワシの装 飾、最近まで機械式だった 51メートルの時計台など のある、新古典主義と擬古 典主義が融合した建築家 I.I.レルベルグの新しい建 築物には、価値ある建築物 として、 また技術的な芸術 作品として、高く評価され ました。
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モスクワ~カルーガ~ スモレンスク
コース7(1泊2日)
蒸気機関車の汽笛や蒸気の噴き出す 音を聞きながらの、3時間のロマンテ ィックな旅の後、 カルーガに到着しま す。朝のバスの観光で、 「上後方の」聖 ゲオルギー教会、 コロボフ宮殿、 ベレ ズイスキー谷のカメンヌイ橋(石橋) 、官庁群、 マーケット、至聖三者大聖 堂、 などの、独特な古代ロシアの世界 に引き込まれて行きます。古い県庁所 在都市の時代がほぼそのまま残って いる復活通りは、非常に印象の強い 一角です。国立K.E.ツィオルコフスキ ー宇宙飛行士史博物館とプラネタリ ウムは、 カルーガの街でも魅力的な観 光スポットです。 ここには、Y.A.ガガー リンが地球に戻る時に乗っていた、焼 け焦げた帰還機があります。戦火を 逃れた旧ゾロタリョフ邸には郷土博 物館があり、 モスクワへの南西接近路 で、境界部分をモンゴル軍やナチスド イツ軍から守った、 カルーガ州の武勇
ガイド
伝について多くの興味深い事実を学 べます。 夜にスモレンスクへ出発します。 朝に、 スモレンスクのバス観光が始ま り、 スモレンスク・クレムリン、生神女 就寝大聖堂、功績をあげた英雄の公 園などを訪れ、大聖堂の丘の建築群 から街とドニエプル川河岸の草原の パノラマを望み、 スモレンスクの勇敢 な防衛に捧げられた、1812年ロシア 戦役や大祖国戦争の記念碑を見ま す。 スモレンスクは防衛の街というだ けではありません。作曲家M.I.グリン カの銅像は、 その美しいメロディーを いつも奏でているかのようです。 「スモ レンスク亜麻」博物館では、手織り工 芸品が販売されています。昼食後、聖 ピョートル・聖パーヴェル教会、使徒 ヨハネ教会、大天使ミハイル教会など の 「モンゴル侵入以前の教会」 の見学 となり、神聖な世界へご案内いたしま す。最後に街の中心、 レーニン通りを 散歩します。 夜には蒸気機関車がベラ ルーシ駅に到着します。
ベラルーシ駅 (以前はスモ レンスク駅、 ブレスト駅、 ア レクサンドロフ駅、 ベラルー シ・バルト駅) 1870年に、 モスクワのトヴ ェリ関所とヤムスクの通り の区域に、 最初の駅舎が建 設され、 当時の刊行物では 「とても美しい」 と表現さ れていたものの、 大きさは それほどではありませんで した。 鉄道がブレストまで 延長されると、 乗客にサー ビスを行うには駅舎が小さ くなってしまい、 1896年、 ニコライ二世の戴冠式に 合わせてモスクワに移動 するために、 ブレスト駅の 脇には皇帝別館が増設さ れました。 現在そこは地下 鉄ベラルーシ・ラジアル駅 となっています。 1912年、 ボロジノの戦い100周年 を記念して、 建築家I.I.スト ルコフ設計の立派な駅舎 が開設されました。 2カ所 のウィングがあり、 まっすく ではなく傾斜してひとつに なっているところが独特で す。 1941年、 「聖なる戦い」 の歌が初めてここで披露さ れるなど、 おごそかなイメ ージが確立されました。
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モスクワ • 鉄道観光
クルスク駅 モスクワ-クルスク鉄道の 歴史は長いですが、始発・ 終着駅のクルスク駅は比 較的新しく、1896年に建 てられました。 クルスクとニ ジニ・ノヴゴロド方面の駅 は、 カメル・コッレギイ障壁 の後ろ、 すなわち当時の街 の境界線の外のポクロフ スキー関所(現在のアベリ マノフスキー) にありまし た。現在この場所に駅はな く、 当時の面影をすっかり なくしてしまいました。 ロゴ ジ関所近くのクルスク-ト ヴァルナヤの駅の新しい駅 舎とプラットフォームのお かげで、 当時の市役所は管 区内すべての道路を舗装 できたのです。L.N.トルスト イも利用したクルスク駅の 歴史的な建造物は、1972 年、全面的な改装の際、新 たに建てられた建築物に 覆い隠されてしまいまし た。古い壁はプラットフォ ームから見ることができま すが、優雅なレリーフ装飾 などのインテリアが保存さ れています。
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モスクワ~トゥーラ~リャザン
コース8(1泊2日)
クルスク駅から、多くのロシアの古典 主義作家にとって、運命の道となった 鉄道を進みます。窓の外には現代的 なモスクワ郊外のパノラマ、修道院の あるセルプホフの景色、豪華で広々と した風景に囲まれたオカ川の橋が見 えます。戦争と労働の栄光に満ちた古 き街、 トゥーラに到着すると、 かつての 職人の生活を彷彿とさせる古い通り が出迎えてくれます。 16世紀、 トゥーラは武器の鍛冶場で した。 トゥーラ・クレムリンとその内部にあ る、 ロシアでもっとも古い武器博物 館、 またプリャーニク (はちみつパン) 博物館やサモワール博物館を巡りま す。 古いコズロヴァ・ザセカ駅では、 ロシ アの鉄道建築物の歴史的修復を見る ことができます。駅はL.N.トルストイ の時代とまったく変わっていません。 駅には小さな鉄道博物館があります。 ここから5キロ先には、世界でも有名 なヤースナヤ・ポリャーナの邸宅があ り、 ここを訪れると偉大な作家とロシ アの文化に触れることができます。屋 敷内の庭園は、考え事にふけったり、 のんびりとした休息の時間を過ごす
ガイド
モスクワ-クルスク鉄道、 モスクワ-リャザン鉄道 モスクワ-クルスク鉄道 のに最適で、 ゆっくりと散歩すると、特 は、 1866年に建設されま 別な印象を受けます。 した。 当時の連絡線省の さて出発の時間がやってきました。 蒸 P.P.メリニコフ大臣は、 この 気機関車の汽笛で、 リャザンへの出発 建設によって、ロシアの鉄 が知らされます。 道建設が官費だけでまか 朝、古き栄光の街、 リャザンに到着で なえることを証明しました。 多くのロシアの作家がこの す。教会、修道院、 ロシアの偉大な詩 人セルゲイ・エセーニンの銅像のある 鉄道を利用したため、作家 街の中心部は、 感動的です。 モンゴル・ の鉄道と言っても過言では ありません。 A.P.チェーホ タタールの襲来に勇敢に立ち向かっ フ (ロパスニャ駅は現在チ た、最初のリャザン・クレムリンの模 ェーホフ駅に変わっていま 型をご覧いただけます。次にエセーニ す)、L.N.トルストイ、I.S.ツ ンの故郷であるコンスタンチノヴォ村 ルゲーネフ、I.A.ブーニンな にバスで向います。 エセーニンの生家 どがその例です。 また、 クリ や、 エセーニン博物館となっている地 ミア半島やコーカサスなど 主の旧カシナ邸と、丘から見下ろすオ の保養地へ行く路線とし て、 国内でもっとも有名で カ川の景色は、 とても優美です。 コン す。 大きな駅では、 台の上 スタンチノヴォ村から約13キロ離れ に蒸気機関車が飾られて たディヴォヴォ村には、 モスクワ往復 の列車が運行しているディヴォヴォ駅 います。実業家K.F.フォン・ メッカ (妻のN.F.フォン・メ があり、 エセーニン自身も利用してい ッカは、 有名な作曲家P.I.チ ました。駅から人を輸送する辻馬車 ャイコフスキーの後援者) はとても高価だったため、 エセーニン とP.G.フォン・デヴィスの指 は徒歩で実家まで帰っていました。現 揮の下で建設された、モス 在、駅前にはエセーニンの銅像があり クワ-リャザン鉄道は、ロ ます。夜、蒸気機関車はモスクワのカ シア唯一の左側通行の鉄 道として有名です。 ザン駅に到着します。
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モスクワ • 鉄道観光
ヤロスラヴリ駅 (以前はセ ヴェルヌイ駅) は、 トロイツ ァ鉄道の開業が祈祷とシ ャンペンで盛大に祝福され た1862年に建設されまし た。 モスクワ市民が信仰の 鉄道を呼んだように、至聖 三者聖セルギイ大修道院 に向っていました。 ヤロス ラヴリからコストロマまで 開通し、 モスクワ郊外に工 場や別荘がたくさん建設 されるようになると、 駅舎 が手狭になりました。実業 家S.I.マモントフは、建築家 F.O.シェフテリにまったく 新しい駅舎の設計を、 また 芸術家のK.A.コロヴィンに 装飾デザインを依頼し、現 在のヤロスラヴリ駅となっ ている、 モダニズムと古代 ロシア様式の特徴を組み 合わせた美しい建物が建 設されました。 デザイン案 がすべて採用されたわけで はないものの、駅舎の外観 はそれまでと同じように、 ロシア北部の栄光の時代 と偉大な鉄道を映しだし ました。
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モスクワ~ウラジーミル~スーズ ダリ~コストロマ~ヤロスラヴリ
コース9(1泊2日)
早朝、美しい汽笛の音とともに、蒸気 機関車はクルスク駅からウラジーミ ル駅に出発し、不朽の美を誇る古代 都市、 スーズダリに出発します。街の 観光では、街の歴史、 スーズダリ・クレ ムリンの建築、 クレストーヴァヤ宮殿( 十字架宮殿)、 またスーズダリでもっと も古い遺産のロジュデストヴェンスキ ー宮殿(降誕宮殿) を見学します。救 世主エフフィミエフ修道院・要塞の観 光は、思い出深いものとなるでしょう。 救世主変容大聖堂には、17世紀の偉 大な芸術家グーリー・ニキチンとシー ラ・サヴィナのフレスコ画があります。 鐘のコンサートや、 ロシアの貴族出身 の女性の終身流刑の場となっていた、 ポクロフスキー修道院のパノラマも 魅力的です。 昼食後、 ウラジーミルに戻ります。 ここ は1108年に創設された、 「黄金の環」 の至宝の街です。丘の上に建ち並ぶ 教会の豪華なパノラマ、広大なクリャ ージマ川河岸の草原、12世紀の歴史 的建造物である生神女就寝大聖堂や 使徒ドミトリー大聖堂は、一見の価値
ガイド
があります。古き県庁所在都市の典 型的な通りは、有名な黄金の門に続 き、官庁には、郷土展「ロシアの家」 が あります。 夕食後、蒸気機関車はコストロマに出 発します。朝に、 コストロマのバス観 光が始まり、地元市民が 「フライパン」 と呼ぶ円い中央広場と、 その周辺の 前世期の建築物や火の見やぐら、美 術館や郷土博物館(以前のロマノフス キー博物館)、商店街、偉大な劇作家 A.N.オストロフスキーの東屋、A.N.オ ストロフスキーの戯曲から飛び出して きたような、 ヴォルガ川河岸に下るモ ローチナヤ・ガラー通り、 デブリャの 復活教会、 イパーチー修道院とその 建築群、貴族ロマノフの宮殿、至聖三 者教会、本物の昔の 「百姓小屋や望 楼風のやかたがある木造郷土博物館 などをまわります。 昼食後はヤロスラヴリに行き、街を一 望して、救世主変容大聖堂、 イリヤ・ プロローク教会、 グベルナートルスキ ー・ドーム (県知事の家) の絵画ギャラ リー、府主教宮殿のイコン博物館を 見学します。 夜、 モスクワのヤロスラヴリ駅に到着 します。
鉄道とマモントフ 1860年代初め、実業家 I.F.マモントフは労働者や 自分の子供までクレストー フスキー関所に送り、 モス クワからトロイツァ・セルギ エフ、 またその反対のルー トを通り歩行者や馬車の 数を数えさせました。数え た子供の一人、息子のサッ ヴァ・イワノヴィッチ (写真) は、後にロシアの文化と産 業に大きく貢献し、 「偉大 なるサッヴァ」 と呼ばれま した。計算を行った後、 モ スクワからトロイツァまで の鉄道建設(1862)、続い てヤロスラヴリまでの鉄道 建設(1870) に出資する 決定がなされました。 こう して、 モスクワ-ヤロスラ ヴリ-アルハンゲリスク (そ の後セヴェルナヤ)鉄道の 歴史が始まり、100年後に はヴォルクタまで開通し、 シベリア鉄道へと発展しま した。 この路線は木造郷土 博物館で有名で、偉大なる サッヴァは、 「鉄道は輸送 手段のみならず、国民の教 育手段でもある」 と言って います。
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モスクワ • 鉄道観光
レニングラード駅(以前は セリゲル湖へ モスクワ~ボロゴ ペテルブルク駅、 ニコラエ エ~オスタシコフ~トルジョーク フ駅、 オクチャブリ駅) は、 コース10 (2泊3日) ロシアでもっとも古い駅の ひとつです。1851年、 ロシ 蒸気機関車はモスクワのレニングラ ア初の鉄道路線サンクト ード駅から出発し、蒸気が噴き出す ペテルブルク-モスクワと 音を聞き、 もくもくと上がる蒸気を窓 ともに開業しました。建築 の外に見ながら、数時間後にはボロ 家K.A.トンが設計してい ゴエ駅を通過します。 そして、 クジェン て、 サンクトペテルブルクに キノ駅に到着します。 駅舎は20世紀 あるモスクワ駅とほぼ同じ 初めの歴史的建築物です。 徒歩観光 外観をしています。 当初は 「鋳造鉄道史への旅」 が始まります。 モスクワ中心部に駅を建 土のプラットフォーム、A.P.チェーホ 設する予定でしたが、 ひっ フの短編小説に登場する中二階のあ そりとしたカランチョフス る木造駅舎、兵舎、保線工夫の建物、 ク平野に変わりました。塔 古代ローマのモニュメントのような給 や旗ざおなど、 ニコライ1 水塔、灯油庫など、業務用の建築施 世時代の強国の特徴が現 設を見学することが可能です。幸運な れている建物は、 ロシア・ビ 旅行者の方は、手動転てつ機に触れ ザンチン様式とヴェネチア ることができるかもしれません。 さて、 様式になっていて、鉄道を 蒸気機関車の汽笛がこの先の旅を知 建設したP.P.メリニコフの らせます。朝になると、 オスタシコフに 銅像がある広場に面した 到着し、 セリゲル湖岸の街、 オスタシ 部分は、 ロシアの輝かしい コフのバス観光で街をまわり、 郷土博 鉄道史を具現化していま 物館を訪問して、 その鐘楼から街の す。1934年から2012年 美しい景色を一望します。次に、 セリ の間に、駅にはさまざまな ゲル湖に浮かぶストルブヌイ島に行 改築がなされ、 まったく新 1594年に建設され、20世紀初め しいロビーも建設されまし き、 たが、外観はそのまま保存 に聖地として訪問する人が多かった、 男子修道院のニロヴァ修道院を見学 されています。
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ガイド
します。 木々の合間に見えるたまねぎ 屋根の景色はとても贅沢です。 ウハー (スープ) やアコーディオンパンを用 意して、 楽しい湖岸のピクニックをし、 その後はヴォルガ川の源流までバス で移動して、 川と自然を満喫します。 夜、蒸気機関車に戻り、 トルジョーク に出発します。 偉大な詩人のA.S.プーシキンが 「ト ルジョークのポジャールスキーで昼 食を取り、揚げたカツレツを味わえ」 と詩を詠んだほど、 おいしいカツレツ がありましたが、朝食でカツレツが出 てくるかもしれません。次に街の観光 です。 トルジョークには教会、寺院、 大聖堂、修道院などが20カ所保存 されていて、救世主変容大聖堂、聖 ボリス・聖グレブ修道院、復活修道院 などが有名です。 その後トヴェルツァ 川河岸を散歩します。 プルトニャ村で は、A.S.プーシキンの詩「忘れない、 あの美しいひととき」 で詠われている 主人公、A.P.ケルンの墓を訪れること ができます。 ヴァシリョフ村の建築・民 俗誌野外博物館、 ヴェルンヌイ橋また は地元住民がチョルトフ橋と呼ぶ橋 を見学します。昼食後に蒸気機関車 に乗ると、夜はモスクワのリガ駅に到 着です。
ボロゴエ-ポラツクは、 歴 史的に独特で、奇跡的に残 っているロシア中央部の鉄 道路線です。最初はそれほ ど大きな印象は受けない かもしれませんが、全体的 に独自の魅力があります。 鉄道の昔の話はそれほど 歴史的に人を魅了するよう なものではありません。 1907年に、 この鉄道で定 期的に列車が走るようにな りました。施設はロシアの 他の場所ほど大きく変わっ ているわけではなく、20世 紀の駅の建物群や保線工 夫の建物は、 同じ建築様式 で立てられ、 そのままの姿 を残しています。駅舎や道 沿いには第二次世界大戦 の記念碑があります。 この 路線では、未だに前世期半 ばの腕木式信号機や手動 転てつ機が使用されてい て、土のプラットフォームも 複数の駅で残っています。 果てしなく続く林の中を蒸 気機関車で走りながら、汽 笛の音を聞いていると、21 世紀であることを忘れてし まいます。
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モスクワ • 鉄道観光
ヴェリキイ・ウスチュグは、 ヴォログダ州北東辺境で、 北ドヴィナ川の源流、 スホ ナ川河岸に位置する古い 街です。 最初の街の記録 は1207年のもので、長い 歴史の中でモスクワの一 部となったこともありま す。1999年、 モスクワ市政 府はここで 「偉大なウスチ ュグ~ジェド・マロースの 故郷」 プロジェクトを始め ました。 ウスチュグの観光 シーズンは冬で、多くの列 車が行き交うようになりま すが、 どの季節でも美しく て魅力的です。今日、古き 建築を全体的に保存して いる、 ロシアでも独特な街 のひとつとなっています。 こ こに二十数カ所ある教会 のうちの多くは、修復工事 の後に復活しています。 ヴ ェリキイ・ウスチュグは、 そ の古さと風景の豪華さや、 レース細工、 白樺の樹皮の 彫刻品、世界中で有名な 「 セヴェルナヤ・チェルニ」工 場の銀工芸品など、手工業 などで知られています。
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ジェド・マロースの故郷 モスクワ-ヴェリキイ・ウスチュグ
コース11(3泊3日)
ヤロスラヴリ駅のプラットフォームに は 「冬のエクスプレス」 が待機し、乗客 の皆様をジェド・マロースのもとへと ご案内します。車内はクリスマスツリ ーなどで美しく装飾され、 ジェド・マロ ースへのプレゼントを用意したり、新 年の絵とお祝いの言葉を書いたり、詩 や歌をつくったりと、楽しい時間が流 れます。翌日、 エクスプレスはヴェリキ イ・ウスチュグに到着すると、 ジェド・ マロースのお使いが出迎えてくれま す。 その後街の観光が始まりますが、 河岸通りの昔の商人の邸宅、古い大 聖堂の敷地、聖プラコピイ・プラヴェド ヌイ大聖堂、17世紀の美しい白壁づ くりの主の昇天教会など、 この街には
ガイド
必見の場所がいろいろとあります。次 にスホナ川河岸や復活した昔の商人 の街を散歩し、 お祝いのテーブルで食 事をした後で、 いよいよジェド・マロー スの家に到着です。 また、美女職人た ちが、 ヴォログダ州のレース編み、驚 きのシェモグサ白樺樹皮彫刻、北部 の絵付けなどを手ほどきします。 つか の間の楽しい時間です。 シベリア鉄道は、世界で もっとも長い鉄道です。 モ 寝台列車「黄金の鷲号」 スクワのヤロスラヴリ駅に で鉄道の旅 は、 0キロからの距離を示す シベリア鉄道 「0」 と 「9298」 という数字 の入った、 20世紀初めの 快適なこの寝台列車での旅は、20世 紀初め頃の有名な 「オリエント急行」 鋳鉄製里程標の複製があ の旅がよみがえったかのようです。 こ ります。 シベリア鉄道はヨ のヨーロッパからアジアを通過する ーロッパからアジアまで、 貴重な鉄道は、列車の窓からロシア 標準時7時間の時差を越 の雄大な自然や街並みをご覧いただ えて、 ロシアの87都市をつ け、停車先でガイドがさまざまなご案 ないでいます。主要な区域 内をします。 クレムリンやシュユンビケ 塔のあるカザン市、 ウラル地方の天然 は1891年から1916年に 資源や悲劇の街エカテリンブルク市、 建設されました。極東から ノボシビルスク市の大きなオビ川、 そ とモスクワからバイカル湖 してシベリアの真珠と呼ばれるバイカ に向った鉄道は、バイカル ル湖、 ハマル・ダバン山脈のふもとのス 湖沿いの「黄金の留め金」 テップなど、地球の 「陸地の6分の1」 と呼ばれる、もっとも困難 と言われるロシアの広大な土地が、 目 で感動的な場所で合流し の前に広がって過ぎて行くのです。 ウ ました。 この鉄道と平行し ラジオストクが終着駅です。何とも遠 て複数の鉄道が建設され く、何とも近い街でしょうか。 すべての たため、モスクワからのシ 街で楽しい観光が用意されていて、列 ベリア鉄道や、 クルスク駅 車内の旅は快適でサービスの質も高 く、時間はあっと言う間に過ぎて行き からウラジーミルを通過す またカザ ます。果てしなく広がる風景の中で、 るシベリア鉄道、 ン駅からカザンやチェリャ 永遠に続くと錯覚してしまうような、 ビンスクを通過するシベリ 厳しくもあり優しくもあるこの鉄道の 雰囲気は、 記憶にずっと残るでしょう。 ア鉄道があります。
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モスクワ • 鉄道観光
個人旅行 超高速列車 サンクトペテルブルクまたはニジニ・ノ ヴゴロドまで、 またその他の遠い街へ 行くには、夜行列車を利用することが 可能です。時間があまりないという方 には、超高速列車「サプサン」 があり、 サンクトペテルブルクまたはニジニ・ノ ヴゴロドまで、約4時間でご到着いた だけます。詳細な情報のご閲覧および 乗車券のご購入は、www.rzd.ruにて可 能です。 サンクト ペテルブルク
オクロフカ
チュドヴォ
ヴイシニー・ ヴォロチョーク ボロゴエ
シーメンスVelaro RUS列車 クルスク駅
ウラジーミル
モスクワ
トヴェリ
ニジニ・ ノヴゴロド
ジェルジンスク
レニングラード駅
デラックス車両 快適な移動に、 コンパートメント、寝 台、 VIPなど、 車両の等級をお選びいた だけるようになっています。快適性は、 最新の一流ホテルと同等です。 詳細情報は、www.rzd.ruにてご覧くだ さい。
長距離列車 モスクワから遠く離れた街へ移動す るには、長距離列車が主要な手段と なっています。 デラックス、2人乗りコ ンパートメント、4人乗りコンパートメ ント、 エコノミーなど、 等級をお選びい ただけます。 どの等級でも、寝具をご 利用いただけ、 また熱いお茶もお飲み いただけます。 ほとんどの列車に食堂 車があり、 ゆっくりとお食事いただけ るようになっています。乗車券は、駅の 窓口、 ターミナル、 またはインターネッ トのサイトwww.rzd.ruにてお求めいた だけます。
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長距離列車は、 モスクワを パリから北京までのさま ざまな街とつなぎ、旅の長 さは1週間になる場合も あります。
ガイド
高速列車 モスクワから半径200キロに位置する さまざまな街に移動するには、高速列 車が便利です。各駅停車することなく、 大きな街や州都などへ3時間以内で行 くことが可能です。 時刻表は、www.rex-express.ru www.rzd.ru、 にてご覧いただけます。 トルジョーク
ヴォロコラムスク
ドゥブナ
ヤロスラブリ
リホスラヴリ ボリシャヤ・ ロストフ トヴェリ チスメナ ヴォルガ アレクサンドロフ クリン ドミトロフ ポドソネチナヤ (ソネチノゴルスク) セルギエフ・ポサード クリュコヴォ (ゼレノグラード) 2 3 1 4 ウラジーミル モスクワの駅 ペトゥシキ ガガーリン ヴャジマ 8 9 1. レニングラード モジャイスク 5 7 6 2. リガ 88km (ヴォスクレセンスク) 3. サヴョロフ バラバノヴォ 4. ヤロスラヴリ ゴルトヴィン (コロムナ) 5. カザン オブニンスコエ セルプホフ ルホヴィツィ カシーラ 6. パヴェレツ 7. キエフ マロヤロスラヴェツ タルスカヤ ルイブノエ 8. ベラルーシ 9. クルスク
カルーガ
トゥーラ
オジェリェリエ
リャザン
空港エクスプレス
すぐにお乗りになりたい場合、携 帯電話のSMSを利用して出発時 間をお調べいただくことも可能で す。3115の番号に、 ヴヌーコヴォ 国際空港なら 「ae v」、 シェレメー チエヴォ国際空港なら 「ae s」、 ド モジェドヴォ空港なら 「ae d」 の 文字をSMSでお送りください。
空港へタクシーで移動すると、渋滞に 巻き込まれることがございます。飛行 機に乗り遅れないために、 モスクワの 3空港まで高速列車「アエロエクスプ レス (空港エクスプレス)」 をご利用い ただくと、確実です。 ベラルーシ駅か らシェレメーチエヴォ国際空港、 キエ フ駅からヴヌーコヴォ国際空港、 パヴ ェレツ駅からドモジェドヴォ空港に出 ています。 エクスプレスは1時間ごと に出発し、所要時間は35分から45 分です。 駅の空港エクスプレスへの入口は、 わ けられています。 詳細な情報や時刻表は、 www.aeroexpress.ruにてご覧いただけ ます。
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モスクワ • 鉄道観光
補足情報
工技術博物館
技術博物館 ノーヴァヤ・プロシャジ3/4 出入口NO.1 地下鉄「ルビャンカ」駅、 「キタイ・ ゴロド」駅 電話 +7 (495) 625-06-14 火曜日~日曜日 10:00~18:00 (受付17:00まで) 最終週の金曜日は休館 www.polymus.ru
モスクワ鉄道博物館 コジェヴニチェスカヤ通り2 地下鉄「パヴェレツカヤ」駅 電話 +7 (499) 623-39-78 水曜日~土曜日 10:00~19:00、 日曜日 10:00~17:45団体のみ リガ駅鉄道技術博物館 リガ駅広場1 地下鉄「リガ (リシュスカヤ)」駅 電話 +7 (499) 266-82-08、 +7 (499) 266-82-21 水曜日~日曜日 10:00~16:00
鉄道観光運営会社
モスクワの鉄道の博物館についての詳細 な情報は、 www.mzd.rzd.ruにてご覧ください。
国立N.E.バウマン・モスクワ工科大 学博物館 バウマンスカヤ通り2、5号館1棟 地下鉄「バウマンスカヤ」駅 電話 +7 (499) 263-63-86 月曜日~金曜日 10:00~17:00 事前予約のみ www.museum.ru/M1743
公開株式会社「フェデラリナヤ・パサ ジルスカヤ・カンパニヤ」北西支店「モ スクワ」車両庫歴史博物館「モスクワ」 コムソモリスカヤ広場3/32 地下鉄「コムソモリスカヤ」駅 車輪・ローラー工場倉庫の建物の脇 が入口電話 +7(499) 260-27-48 金曜日 11:00~15:00事前予約のみ www.museum.ru/M1736
モスクワ地下鉄歴史博物館 ホモヴニチェスキー・ヴァル通り36 地下鉄「スポルチブナヤ」、南ロビー 電話 +7 (495) 622-73-09 月曜日 10:00~16:30 火曜日~木曜日 9:00~16:30 金曜日 9:00~15:00 最終週の月曜日は休館、団体見学は 事前予約のみ
www.museum.ru/M375 www.mosmetro.ru/about/history/museum/
GK 「プロエクト・レトロポエズド」電話 +7 (495) 608-01-58 www.retropoezd.ru 旅行会社 「オテチェストヴォ」電話 +7 (495) 518-36-42 www.homeland-tour.ru GK 「トランス・シビルスキー・エクスプレス」電話 +7 (495) 680-33-32、 266-57-64 www.transsib-express.ru OOO 「SBEオルフェイ」電話 +7 (495) 925-51-25 www.orfey.net OAO 「ジェド・マロース」電話 +7 (81738) 2-66-73, 2-23-04 www.oao-dedmoroz.ru
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