コンプライアンスから パフォーマンスへ ALcontrol Laboratories社の経営陣は、戦略的成長と マネジメントシステム認証には密接な関係があると指摘する。
ALcontrol Laboratories 社 は、 自 ら
リスク削減は大半の企業にとっての戦略
キーとなるコンセプトは、 「ビジネス課題別
の組織としての強みと弱みを徹底的に理
的目標であり、ALcontrol 社のクライアン
審査 (※)」である。これは、LRQA の審
解することで、高い潜在競争力のある分
トの多くは自身のサプライチェーン内のリ
査員が、組織に影響を与えている戦略的
野を特定することができると考えている。
スク削減手段として同認証を求めている。
課題を特定するアプローチであり、特定し
事業を持続可能な成功に導くこの戦略的
英国の食料・水部門のマネージングディレ
た課題を指標化して、組 織のコンプライ
アプローチを支えているのは、管理ツー
クター Mike McCorkell 氏はこう語る。 「マ
アンスとパフォーマンスを改善するために
ルとしてのマネジメントシステム認証に対
ネジメントシステムはリスクコントロールに
適用するものである。
する信頼性である。
おいて非常に重要です。マネジメントシス
ALcontrol 社の経 営陣はこのアプロー
テムを用いることで、リスク緩和のための
チに非常に重要なメリットを見出してい
事業目標との関係
プランに基づき、しっかりと定期的にリス
る。なぜなら、このアプローチによって、
マネジメントシステム認証と戦略的目標の
クを見直すことが担保されます。場当たり
極めて重大な目標に悪影響を与えている
達成には強い関係があると ALcontrol 社
的な試みでリスクを管理しようものならば、
問題を突き止めることが できたからだ。
の経 営陣は考えている。石油 検 査 ゼネ
それは失敗の元となりかねません。マネジ
McCorkell 氏はこう語る。 「一般的に、 『ビ
ラルマネジャーである Bob Cutler 氏は、
メントシステムは系統立てて問題に取り組
ジネス課題別審査』のメリットは、技術的
「我々の目標は第一には、事業と利益の拡
む枠組みを提供してくれるものであり、リ
なものではなく、工夫によってもたらされ
大ですが、これを実現するには環境や品
スクを緩和させる実用的な解決策を見つけ
ます。変化を起こすには、新たな技術に
質、労働安全管理を確実に整備するとい
る助けとなります。これによって事業の耐
多大な投資が必要であるという思い込み
う目標も含めなければなりません。マネジ
性を強化することができるのです。」
を持つことがありますが、スタッフのエン ゲージメントが行動を変化させ、大きな改
メントシステムなしでは、我々がやろうとし ていることをモニタリングしたり、パフォー
パフォーマンス改善の推進
善を生み出すことができたように、工夫を
マンスを維持したりすることは不可能で
ALcontrol 社経営陣の間では、マネジメン
少し加えることで利益が生まれるというこ
す。」と話している。
トシステムとパフォーマンスの改善には強
とが判明しました。」
土地事業部門 ( 英国及びアイルランド )
い相関性があるという明確なコンセンサス
のディレクター Iain Swinton 氏は次のよう
があり、モニタリングすることのメリットや、
エネルギー効率
に言い添える。 「我々は環境を扱う研究
マネジメントシステムによる継続的な改善
マネジメントシステムによって組 織のパ
所として、事業の環境的側面に重点を置
について、ALcontrol 社全役員が認識し
フォーマンスが改善されるもう一つの事例
いているのは明らかであり、環境に関して
ている。同社が経験したことは、Cutler
はエネルギー効率だ。規制強化 (CRC エ
氏の次の言葉に集約さ
ネルギー効率スキームなど ) や、二酸化炭
れ る。 「 我 々 が EMS
素排出量を削減したいという要望に加え、
を 実 施して以 来、 パ
エネルギーコストの上昇により、多くの組
フォーマンスに劇的な
織でエネルギーの使用法に焦点が集まっ
改善が見られました。
ているが、ALcontrol 社もその例外ではな
管理職員とスタッフが
い。同社は EMS の一環として 10 年以上
現状を把握することが
エネルギー効率を改善させる方法を模索し
倫理的な行動をとるこ とが非常に重要です。 我々の EMS は、これ
「マネジメントシステム認証
を可能にしてくれるも
がなければ、主要なクライア
のであり、また、顧客
ントとの取引を獲得すること
が我々を信用し、環境 を扱う我々に対する信
ができなくなるのです。」
できるようになり、自
頼感がグループ全体に 広がっているという確信を与えてくれるも
分たちが何をするべきか、重要な数値指
のです。」
標に対して自分たちの仕事がどれほどの
EMS 認証は、ALcontrol 社の主要なク ライアントの多くが条件のひとつとして要求 している。これは Cutler 氏が扱う石油検
影響を持っているのかを全員が理解して います。」 「我々のマネジメントシステムがあれば、
査部門にとって特に重要だ。 「石油会社な
従業員がパフォーマンスの低下に気付いた
ど我々のクライアントは、自らが運用してい
場合、経営陣の介入をはさむことなく自動
るものと同じ基準をその供給者にも求めて
的に物事を正しい方向へ運ぶことができる
います。そのため、マネジメントシステム認
のです。」
証がなければ、主要なクライアントとの取 引を獲得することができなくなるのです。 」
ALcontrol 社にビジネスアシュアラン スを提供する LRQA のサービスの中でも
※ LRQA ジャパンでは「FABIK」として提供
世界屈指の環境・食料検査企業である ALcontrol 社は、世界中の組織に分析 サービスを提供している。 ALcontrol 社は、30 の研究所およびセン ターで約 1,500 名の従業員が毎年数百万 件ほどの試験を実施しており、土や水、 食料、石油に関する検査及び分析サービ スをクライアントに提供し、法令に対す るコンプライアンスの実践や労働安全環 境目標達成の支援を行っている。 ヨーロッ パ 11 ヶ国の研究所からなるネットワーク と世界の顧客へのサポート提供を通じ、 ALcontrol 社はヨーロッパをリードする 環境・食料検査グループとなることを目 指している。
ており、労働安全環境部門のマネージャー
10 万ポンドを超える費用削減となった。
David Doherty 氏は、これがマネジメント システム認証によって「10 倍の利益が還
従業員のエンゲージメント
元された」例の一つであると考えている。
ALcontrol 社は事業の大半を環境部門が
従業員は同社のEMS認証に 士気を高めていると経営陣 は確信している。
ALcontrol 社 の 経 営 陣 からの主な反
担っているため、従業員は環境に対して既
応は、 「マネジメントシステムに命が宿っ
に高い意識を持っている。その結果、従
た」ようだ、というものだった。例えば、
業員は同社の EMS 認証に士気を高めて
McCorkell 氏はこう語る。 「 我 が 社の 従
いると経営陣は確信している。McCorkell
要なのは評判と信頼である。現在の利害
業員がエネルギー効率問題に全面的に取
氏は、従業員達がプライベートでも環境へ
関係者や、今後、利害関係者となる企業
り組むようになると、当初は想像もつかな
の影響低減に配慮していることについて
( 多くは複数の国々にまたがる企業と思わ
かったようなパフォーマンス改善を実現す
次のように語った。 「従業員は雇用主側も
れる ) が、同社の認証取得が、事業の耐
る方法を探し始めたのです。」
同じ価値観を持つことを期待しています。
性構築に役立っていると評価することであ
エネルギーの削減には多くのイニシアチ
ALcontrol 社では、企業内に環境対策へ
る。第二に、審査員は高度な技術的専門
ブが導入された。例えば次のようなものが
の取り組みに優れた人を数多く輩出し、従
知識を備えている必要がある。ALcontrol
ある。使用状況信号システムにより、安全
業員が目標達成を目指して奮起する中この
社の経営陣がコメントしているように、同
に停止することのできる電気装置を特定す
システムは自然と継続するものとなりまし
産業を理解している熟練した LRQA の審
ることができるようになった。抽出装置は
た。環境マネジメントシステムに関し適切
査員が「独立した目」で客観的に審査す
必要な時だけ動作させ、また、寒い貯蔵
な認証を受け、環境対策に取り組む雇用
ることで、事業にとって真に価値のある改
庫を再編成した。これらの施策を実行し
主の姿勢を職場のスタッフが理解すること
善の機会を見出すことが重要である。
たところ、サービススケジュールの工夫
で、従業員のエンゲージメントは確実に強
やエネルギー使用に対するスタッフ
固なものとなりました。」
Swinton 氏は総括してこう語る。 「マネ ジメントシステムを組織の軸に据えること で、結果として、競争力と事業の耐性の向
の意識の変化なども見られ、結 付加価値
上が、目に見える形で実現しています。即
エネルギー消費を 2 年間で
ビジネスアシュアランスの提供により、審
ち、今日の厳しい市場では、独立したマネ
17%削減することに成功し
査及び認証プロセスで付加価値を生み出
ジメントシステム認証は依然として避けて
た。 これは、 150万キロワッ
すことは極めて重要で、ここでいう付加
通れない命題であり、我々組織の成功に
ト以 上の 節電に 相当し、
価値には、次の二種類がある。第一に重
おいて極めて価値あるものなのです。」
果 として、ALcontrol 社 の