設計作品集 2019~2021

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設 計 作 品 集 2019­2021 福永尚紀


経歴 1997.5

兵庫県赤穂郡上郡町

出身

2016.3

兵庫県立赤穂高等学校

2016.4

京都産業大学 経済学部 経済学科

2019.4

京都建築専門学校 建築科 二部

2019.3

京都産業大学 経済学部 経済学科

2020.4

ARCO TETTO 株式会社

2021.3

京都建築専門学校 建築科 二部

2021.12

二級建築士試験

卒業 入学 入学 卒業

卒業

合格

技能

福永

尚紀

/

Fukunaga Naoki

JW-Cad

2D 図面

Sketch up

3D モデリング

Twinmotion

レンダリング、パース、簡易動画

Adobe illustrator

レイアウト

Adobe photoshop

着彩、合成、パース加工


目次

01

­

4つの位相

02

­

Room surfing

03

­

その他の設計作品

04

­

実務での活動

「住宅」 木の家設計グランプリ 2020

「住宅7棟」 POLUS design competition

「公園」、「図書館」、「美術館」

西陣の町屋 耐震改修



01 4つの位相

2020/4月 〜 8 月

2021/10 月 〜 12 月

木の家設計グランプリ 2020 ­自然を身方にする家­ 用途:専用住宅 敷地:京都市相国寺門前町

インターネットが普及する現代でリアルな生活の基盤である住宅を、自然という観点から捉え直し、暮らしを再考しようというテーマ。そこで、 住宅の位置する “町” を自然として捉えなおしてみることにした。自然の一部である人間によって、それぞれの時代に様々な思惑をのせて築かれて きた町。政治的、法規的なあれこれや、ささやかな工夫の数々。植物などで飾られた表からは住人の公へのまなざしが垣間見えたり、時にはものの 生い立ちまでも想像できて面白い。そのような気付きがある度に、この場所で暮らすことのリアリティを実感する。町のこれまでについて向き合う ことが、これからの暮らしについて考えることでもあった。



物腰の柔らかい建築

建築や私たちを取り巻く環境は実に多様で複雑で、しかも時々刻々と変化してい る。強固な壁で境界付け、エアコンなどで室温を保てば環境に振り回されない暮ら しを獲得できるかもしれない。けれど、そのような扁平でつるつるした暮らしは退 屈に思う。もっと町の様子に耳を傾けながら、環境の変化も積極的に楽しんだり、 或いは哀しんだりできる方がいい。 周辺環境や町の情報をできるだけ拾い集めながら、1つ1つ丁寧に設計に組み込 んでいきたい。一見マイナスに思える環境に対しても、拒絶するのではなく好意的 な解釈を探ってみる。ここの住人だけでなく、周りや通りすがりの人たちもメリッ トを得られないかと考えてみる。そのような物腰の柔らかい態度で町との関係を築 いていくことで、暮らしは住宅から町へと接続され、拡がりのあるものになってゆ くのではないだろうか。

周辺環境のリサーチについて、4つのスケールを持って読み取る事で、より入念 に情報を収集した。 ・人間スケール ・建築スケール ・風景スケール ・ 都市スケール -

人通りや人溜り、人の振る舞いによる環境 建物の形状、配置などによる環境 敷地から見える風景としての環境 さらに広範囲における町並みやエレメントなど

また、東西南北の4つの部分から場当たり的に周辺と関係を築くように設計をはじ め、いくつか出揃ったところで全体を調整し、また部分にかえるというのを繰り返す プロセスを辿った。これによってリサーチで拾い集めた情報をなるべく捨象する事な く、設計に組み込んだ。



付近見取図

連続する北側隣地の庭

北側隣地の3棟

元中学校の大きな空地

美術館の庭 奥には寺の木々

位置指定道路

パンチングメタルの塀

南東の空地

駐車場

お寺の大きな庭 南へ伸びていく道路

美術館

寺の高くそびえる木々

町屋の連なる街並み













地上3階 軒高 7,840mm 敷地面積 建築面積 延床面積

最高高さ 8,253mm

118.81 ㎡ 67.34 ㎡ (建蔽率 56.68% 許容 60%) 105.62 ㎡ (容積率 88.90% 許容 200%)

1階

41.37 ㎡

2階

43.48 ㎡

3階

20.77 ㎡



02 Room surfing

2022/1 月 〜 3 月 POLUS design competition ­終わらない家­ 戸建て住宅

7棟

­ 建築のデザインは「終わり」を大前提として考えられてきた。竣工などの時間的な終わり、敷地境界線、所有区分といった空間的な終わり。 しかし、よく考えてみると家や敷地という終わりを出ても経験は続いていくし、竣工という終わりを越えて人の生活は続いていく。­

「終わらない」を前提としたデザイン、つまり便宜上設定された 終わり とその 続き が当然のようにつながっていく、そのようなデザイン だと捉え、それによって獲得できる豊さとはなんだろうかと考えながら設計に望んだ。



Site

Concept

終わらない家 = 当然のように続いてゆく暮らし を考えた時、ʻ田舎ならではの風景ʼ が頭をよぎった。縁側で話し込んでいる人たち、扉を開けっぱなしにしていて中の 様子が道から垣間見える、隣人は家の土間までずけずけと入ってきてから声をかけ てくるし、多くとれた野菜 釣りに行ってとれた魚を惜しげもなくくれたりする ... そのような風景をイメージした。 彼らは、軽々と境界を飛び越えて、伸びやかな暮らしを共有しているようだ。 一方で現代的な市街地では、そのような密接なコミュニティはなくとも、実に多様 な価値観が溢れている。様々な出身地、言語、方言、食生活、職種、趣味嗜好 ... を持った人々が各々の暮らし方で生活している。

敷地はこのような市街地に位置する。南西の道路向かいには保育園、 北へ上がると小学校もあり、若々しい活気に満ちた場所にある。

そのような多様な価値観を持った暮らしが、田舎のように境界を越えて行き交う事 はできないだろうか。雑多な人達が、物が、趣味、言葉、リズムがこだましていく ような、現代的な市街地だからこそ、境界を越えた伸びやかな暮らしの風景が見て みたいと思った。


Scheme - 1 田舎ならではの風景をもとに着想したので、素直に従来の一般的な農家からヒントをもらって考えてみることにした。

要素を組み換える

〈 田の字型(農家型)〉 建具を開け閉めする事で、隣室、半屋外空間である 土間、縁側、さらに先の外部との関係を調整する。 縁側で寛ぐ、換気をする、隣人がふらっと立ち寄る、 冠婚葬祭等のイベントまで、即座に対応できる。

平面に展開する

〈 十字型 〉

〈 屏風型 〉

全部屋を二面開口とし、建具は壁内に納まる。グラ デーショナルな外部との関係は失うものの、建具の 開け閉めで部屋の内外が反転し、一体的に内外を使 用する事が可能となる。

表面積を増やしつつ、入隅、出隅によって外部を引 き込んだり、内部を押し出したりして外部との多様 な関係をつくる。また、どの部屋からも内外を出入 りできることが、動線をダイナミックなものにする。

〈配置〉 屏風型を基本型とし、路地、広場のような外部空間のスケールに変化をつくるように配置する。 部分的に壁をほどく事で、ニョロニョロと視線、動線、風が抜けたり、或いは壁が通路のアテ として立ち塞がり、そこでのアクティビティが通路から、道からも見えるようにしている。

これらによって人々の生活は、部屋、半屋外、屋外、隣家の半屋外、隣家の部屋を一体的な空 間として振る舞えるようになり、境界線を越えてゆく伸びやかな暮らしを獲得できると考えた。 また、それらの活きいきとした暮らしぶりが部屋から通路へ、道へ、さらに周辺へと広がり巻 き込んでゆく事を期待する。


Scheme - 2

境界あたりの断面については、内外の動き、アクティビティが活発となるように、 なるべく境界を感じないでその前後をシームレスに行き来できる所、境界まわり に人々の振る舞いが絡まりつくような所を意識的に設けた。










03

その他学内での設計活動

1年後期:公

2年前期:図書館

2年後期:美術館など(卒業制作優秀賞)

京都市木屋町通りの白川に面するタイムズ(設計:安藤忠雄)の

鴨川など、周りに人がいることが、かえって居心地を良くして、

京都市紫明通りの中央分離帯に美術館や公園、遊歩道、展望台な

ある敷地に公園を設計する課題。アクリル板の壁柱で曖昧に領域

安心感を抱かせる空間がある。建築と道、歩いている人と本を読

どを計画し、1㎞にわたる安らぎの道を設計した。安らぎや歩く

をつくることで、移動するたびに景色が変わっていく。ちょうど

む人、座席や机、外と内など、距離感を操作することで人の存在

ことについて日本画より参照し、水の流れ、光の明暗、俯瞰と仰

良い場所を見つけて、川の流れを前に憩うことのできる公園。

が空間を引き立てるように考えた。

望など、揺らぎ移ろいでゆく空間体験を目指した。


04

実務:西陣の町屋 耐震改修

約2年間に渡り、現地調査から、耐震診断、耐震設計、改修工事まで一貫して携わる事ができた。耐震計画については、屋根の軽量化の為、瓦葺きから金属板に葺替え、 耐力壁(荒壁パネル)の設置が主な工事内容であった。既存の土壁、天井はボロボロな部分も多く、工事を進めていく過程でさらにやらなければならない事が見えてくる ような状態であった。また、最初は什器で隠れていたが、二階室の壁には一階の天井裏と繋がる開口部を発見するなど、計画も大きく変更することもあったが、結果とし て、一階リビングから二階へと繋がる伸びやかな空間が出来上がった。 現地の測量から、耐震計算、計画、補助金の申請、スケジュール管理や職人さんとのコミュニケーションに加え、既存架構などの掃除、一部解体、珪藻土の塗装など実 際に手を動かした部分もあり、リアルな建築の緊迫感や生々しさに触れる事ができのは、楽しくも恐ろしくもある経験となった。




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