BREAKTHROUGH TECHNOLOGY: AURANTIOCHYTRIUM オーランチオキトリウム
藻類はオイルをつくりさすことが可能で、そ の中でもオーランチオキトリウムはその生産 能力がとても高く、また、産生するオイルは 重油に相当する炭化水素であり、使い道が広 く、ジェット燃料にまで応用できる。 さらに、オーランチオキトリウムを利用する と具体的にどのくらいのオイル生産が可能と なるのか? 1ha の広さに深さ 1mの培養装置 を作ったとしよう。4 日ごとに収穫していく とすると、年間約 1,000t のオイルがとれるこ とになる。倍加時間を 4 時間として 4 時間ご とに 67%を収穫し、同量の新鮮培養液を継ぎ 足すという連続生産システムにすれば年間 1 万トン以上のオイルがとれることになる。
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planT/Energy
239
オーランチオキトリウム を活性汚泥として投入
有機排水
固形物を 沈殿される
一次処理水 (容存有機物が多い)
オイルを生産
ボトリオコッカスを投入
二次処理水 (窒素やリンが多い)
オーランチオキトリウム残骸
Tons of Oil/ha/Year
オイルを生産
ボトリオコッカス残骸
Corn トウモロコシ
0.2
メタン発酵
Soybeans 大豆
0.5
家畜の飼料
0.8 1.0 Rapeseed アブラナ
1.2
Oil Palm アブラヤシ
6.0
Aurantiochytrium& Botryococcus オーランチオキトリウム& ボトリオコッカス
1.9 億t
47-140 1,000-10,000
=
Micro Algae 微細藻類
日本が一年間に輸入する石油
約
2 万 haの面積が必要
日本の耕作放棄地
28.4 万 ha
東日本大震災で被害を受けた農地 約 2.6 万 ha 宮城と福島の被害面積だけでも 約 2.1 万 ha
楢
茨 茨 茨
槌 釜
竈
オーランチオキトリウムの未来 藻類産業創成コンソーシアム * 発起人・機関(順不同) * 渡邉 信 筑波大学大学院教授 * 井上 勲 筑波大学大学院教授 * 白岩善博 筑波大学大学院教授 * 彼谷邦光 筑波大学大学院教授 * 堀岡一彦 東京工業大学大学院教授 * 細矢 憲 東北大学大学院教授
渡邉 信 筑波大学大学院教授
* 河地正伸 国立環境研究所主任研究員
オーランチオキトリウムによるオイル生産は実用化されるのか ? されるとしたら何年後なのか?
*(株)デンソー
渡邉先生は 10 年をめどに考えている。「10 年以内に実用化できないと、世界が持たない。ただし、実用化にあたっては、
*(株)コスモステクニカルセンター
スケールが大きい実験が必要。実験室内ではなく、プラントレベルでの実験を行い、コストの計算をしなければなりませ
* 巴工業(株) *(株)ネオ・モルガン研究所
ん。それには予算も、人手もかかります。日本はどこまで投資する気があるのか?そこが一番の問題です。」 今の私たちの生活は液体燃料なしに成り立たない。液体燃料=エネルギーの確保は国家の根幹なのである。 「アメリカはエネルギーが国を守るという考えが非常にクリアです。そのための技術革新に対して国としてお金をつぎ込
* 三和農林(株)
んでいる。日本はどうか?そこまでの危機感はあるのだろうか?」
* 出光興産(株)
アメリカは藻類エネルギープロジェクトに軍も関与しているため全貌は不明であるが、わかっているだけで 1500 億円相
*(株)地球快適化インスティテュート
当を投資しているという。一方、日本では藻類エネルギ―プロジェクトに投資している金額は数十億円に過ぎない。それ
* キッコーマン(株) *(株)旭リサーチセンター *(株)豊田中央研究所 *(株)新産業創造研究所 *(株)熊谷組 *(株)TOZEN *(株)日揮 * 住友重機械工業(株)
でも渡邉先生は日本でこの研究を進めることにこだわる。 「ここまでの研究は日本の税金で行われてきました。日本の皆さんに還元しなければなりません。そして、藻類からオイ ルを作りだす技術は日本だけではなく、世界全体を救うために必要です。技術で社会をいい意味で変える。これがイノベー ションです。ほら吹き扱いもされていますが、私は日本を石油輸出国にしてみせますよ!」