Genron 9 Series 1 Final Issue English Translations and Abstracts Full Text E02
J028
Hiroki Azuma
On the Language of Love Translated by Christopher Lowy
Abstracts
Translated by Michael Chan, John Person, and Ko Ransom
Russian Contemporary Thought III E 07
J0 0 5
Hiroyuki Itsuki + Mitsuyoshi Numano + Hiroki Azuma
An Ethics of the Déraciné and A Philosophy of the Tourist
Criticism in Contemporary Japan IV E08
J038
Tadashi Karube + Satoshi Osawa + Akinaka Senzaki + Hiroki Azuma
150 Years of Japanese Thought: Intellectuals, Literature, and the Emperor
The Age of Games II E09
J080
Masanori Tsujita
War Games and the Possibility of Gamic Subjectivity: Beyond Serious Games and Propaganda E10
J093
Nobuaki Doi
E11
J110
Tetsuya Matsushita
E12
J123
Takamitsu Yamamoto
E13
J204
E14
J229
E15
J240
E16
J261
Pattern and Symmetry: Indie Games from the Perspective of Animation Films Playing and Metagames: Gamic Vision as Symbolic Form Preface to a Fundamental Theory of Games: From the Perspective of Games as Playing with Cause and Effect
Yohei Kurose
On Other Surfaces │7│ Reign of the Civil Engineering Gods Kenro Hayamizu
On Independent States │8│ Independent Osaka Marron Shibukawa
The Genealogy of chelfitsch(s): On the New “Crowd” Fiction
Tokio Amasawa
The Lagos Biopolis E17
J333
Novel
Melon Uminekozawa
The Pigeon Clock of Dischronia│Afternoon VIII│ E18
−
Contributors and Translators
* Exx refers to pages of translations or abstracts in English language, while Jxx refers to the original texts in Japanese.
ゲンロン9
第Ⅰ期終刊号
Genron 9 Series 1 Final Issue
発行日
次号予告
2018(平成30)年10月31日 第1刷発行
ゲンロン10
編集人 あずま ひろ
東浩紀(編)
東浩紀
2019年4月刊行予定
発行人
ゲンロン第Ⅱ期 再 刊号
東浩紀 発行所
批評 無力
株式会社ゲンロン
批評 現実 対峙 人文知
輪郭
批評 雑談 知 再起動 乞
期待!
141-0031
溶解
区別 輝
東京都品川区西五反田1-16-6
消
時代
取 戻
原点回帰
イルモンドビル2F TEL : 03-6417-9230 FA X : 03-6417-9231 info@genron.co.jp https://genron.co.jp/ & 加藤賢策(LABOR ATORIES) 印刷 株式会社シナノパブリッシングプレス 編集 上田洋子 徳久倫康 原光樹 横山宏介 DTP 北岡誠吾(LABOR ATORIES)
定価
裏表紙
本書
無断複写(
表示
落丁本・乱丁本
。 ) 著作権法
取 替
©2018 Genron Co., Ltd. Printed in Japan ISBN 978-4-907188-28-3
例外 。
除 、禁
。
アい 送 ゲ ゲ人 新 反も まり ン 文 し 時っク ロ ン書 い 代とチ も ュ 出ン シ 的もアっ す が ロリ な ル と 、 で も ー ンズ ﹃ ﹃ 叢 新し │ 新記 以 い 号 書 目の 論 下 第2弾
第3 弾
創 刊 !
渡 邉 大 輔 ﹃ ポ ス ト シ ネ マ 論 ﹄
黒 瀬 陽 平 ﹃ 現 代 美 術 の 起 源 ﹄
大 山 顕 ﹃ ス マ ホ の 写 真 論 ﹄
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プ ラ ー プ ダ ー ・ ユ ン
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石 田 英 敬 + 東 浩 紀
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第1弾
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寄稿者一覧 六 四 年 生 。 批 評 家 、 音 楽 レ ー ベ ル
佐 々 木 敦 ─ さ さ き ・ あ つ し
HEADZ 主 宰 。 ︿ ゲ ン ロ ン 佐 々 木
速 水 健 朗 ─
ソ ワ ・ ラ ブ レ ー の 作 品 と 中 世 ・ ル ネ ッ サ ン ス の 民 衆 文 化 ﹄ ︵ せ り
梅表 沢紙 和 木 |
く ろ せ ・ よ う へ い
フ ォ ニ ー 、 カ ー ニ バ ル 等 の 概 念 を 生 み 出 し た 。 主 な 邦 訳 に ﹃ フ ラ ン
一 八 九 五 年 生 、 一 九 七 五 年 没 。 ロ シ ア の 哲 学 者 、 文 芸 批 評 家 。 ポ リ
︵ ゲ ン ロ ン 、 第 七 一 回 毎 日 出 版 文 化 賞 受 賞 ︶ な ど 。
く ま 新 書 ︶ な ど 。
﹃ 日 本 思 想 史 へ の 道 案 内 ﹄ ︵ N T T 出 版 ︶ ﹃ 、 日 本 思 想 史 の 名 著 30 ﹄ ︵ ち
ミ ハ イ ル ・ バ フ チ ン ─
︵ 講 談 社 ︶ 、 ﹃ 弱 い つ な が り ﹄ ︵ 幻 冬 舎 ︶ 、 ﹃ ゲ ン ロ ン 0 観 光 客 の 哲 学 ﹄
七 一 年 生 。 思 想 家 、 作 家 。 ゲ ン ロ ン 代 表 。 著 書 に ﹃ 一 般 意 志 2 ・ 0 ﹄
六 五 年 生 。 東 京 大 学 法 学 部 教 授 。 専 門 は 日 本 政 治 思 想 史 。 著 書 に
談 社 ︶ な ど 。 レ ム 、 ナ ボ コ フ 、 チ ェ ー ホ フ 等 の 翻 訳 多 数 。
東 浩 紀 ─ あ ず ま ・ ひ ろ き
苅 部 直 ─ か る べ ・ た だ し
ド 文 学 。 著 書 に ﹃ ユ ー ト ピ ア 文 学 論 ﹄ ︵ 作 品 社 ︶ 、 ﹃ チ ェ ー ホ フ ﹄ ︵ 講
五 四 年 生 。 東 京 大 学 文 学 部 教 授 。 専 門 は 近 現 代 ロ シ ア ・ ポ ー ラ ン
ト の 革 命 ﹄ ︵ 監 修 、
︶ な ど 。
︵ 水 声 社 ︶ 、 ナ ボ コ フ ﹃ 偉 業 ﹄ ︵ 光 文 社 古 典 新 訳 文 庫 ︶ な ど 。
き 裂 か れ た 祝 祭 ﹄ ︵ 論 創 社 ︶ 、 訳 書 に ゴ ロ ム シ ト ク ﹃ 全 体 主 義 芸 術 ﹄
沼 野 充 義 ─ ぬ ま の ・ み つ よ し
の 中 ﹄ ︵ 共 訳 、 松 籟 社 ︶ 、 近 刊 に ア リ ョ ー ヒ ナ ﹃ プ ッ シ ー ・ ラ イ オ ッ
舞 伎 と 革 命 ロ シ ア ﹄ ︵ 森 話 社 ︶ 、 訳 書 に ク ル ジ ジ ャ ノ フ ス キ イ ﹃ 瞳 孔
六 三 年 生 。 ロ シ ア 文 学 者 、 早 稲 田 大 学 文 学 学 術 院 教 授 。 著 書 に ﹃ 引
貝 澤 哉 ─ か い ざ わ ・ は じ め
庫 S F ︶ 等 多 数 。
な 絶 メ 九 ど 滅 タ 一 。 に ・ 年 向 ポ 生 か レ 。 っ ミ 批 て ッ 評 ク 家 ス 。 主 レ ﹂ ︵ イ ﹃ な ・ ユ 寄 ブ リ 稿 ラ イ に シ カ ﹁ ﹃ エ ﹄ ポ 論 一 ス 二 ﹂ ︵ ﹃ 年 ト 現 一 ・ 代 〇 ケ 思 月 ー 想 号 ジ ﹄ ︶ 主 一 、 ﹁ 六 聴 義 年 く ﹄ を 一 こ め 月 と ぐ 号 の る ︶
│
七 四 年 生 。 ロ シ ア 文 学 者 、 博 士 ︵ 文 学 ︶ 。 ゲ ン ロ ン 副 代 表 。 編 著 に ﹃ 歌
上 田 洋 子 | う え だ ・ よ う こ
ド ・ プ レ ミ ア 。
出 文 庫 ︶ 、 訳 書 に コ ニ ー ・ ウ ィ リ ス ﹃ ブ ラ ッ ク ア ウ ト ﹄ ︵ ハ ヤ カ ワ 文
大 森 望 S F 創 作 講 座 ﹀ 主 任 講 師 。 著 書 に ﹃ 新 編 S F 翻 訳 講 座 ﹄ ︵ 河
仲 山 ひ ふ み | な か や ま ・ ひ ふ み
目 の 長 編 映 画 ﹃ 現 れ た 男 ﹄ が 、 第 三 〇 回 東 京 国 際 映 画 祭 で ワ ー ル
ク ス ・ ジ ャ パ ン ︶ 、 ﹃ パ ン ダ ﹄ ︵ 東 京 外 国 語 大 学 出 版 会 ︶ な ど 。 二 作
六 一 年 生 。 書 評 家 、 S F 翻 訳 家 、 S F ア ン ソ ロ ジ ス ト 。 ︿ ゲ ン ロ ン
大 森 望 ─ お お も り ・ の ぞ み
第 二 期 の 最 優 秀 賞 に あ た る ﹁ 第 二 回 ゲ ン ロ ン S F 新 人 賞 ﹂ を 受 賞 。
八 五 年 生 。 ︿ ゲ ン ロ ン 大 森 望 S F 創 作 講 座 ﹀ 第 一 期 、 第 二 期 を 受 講 し 、
ト キ オ ・ ア マ サ ワ
域 は 多 岐 に わ た る 。 邦 訳 に ﹃ 鏡 の 中 を 数 え る ﹄ ︵ タ イ フ ー ン ・ ブ ッ
七 三 年 生 。 作 家 、 グ ラ フ ィ ッ ク ア ー テ ィ ス ト 、 映 画 監 督 な ど 活 動 領
プ ラ ー プ ダ ー ・ ユ ン |
ปราบดา หยุ่น
う め ざ わ ・ か ず き
黒 瀬 陽 平 ─
DU BOOKS
CASHI
八 五 年 生 。 美 術 家 。 武 蔵 野 美 術 大 学 造 形 学 部 映 像 学 科 卒 業 。
八 三 年 生 。 美 術 家 、 美 術 批 評 家 、 キ ュ レ ー タ ー 。 東 京 藝 術 大 学 大 学
ハ ビ リ テ ー シ ョ ン ﹄ ︵ 筑 摩 選 書 ︶ な ど 。
士 ︵ 学 術 ︶ 。 著 書 に ﹃ 批 評 メ デ ィ ア 論 ﹄ ︵ 岩 波 書 店 ︶ 、 ﹃ 教 養 主 義 の リ
ア ー ト 社 ︶ な ど 。
浩 満 と の 共 訳 、 朝 日 出 版 社 ︶ な ど 。
七 八 年 生 。 批 評 家 、 メ デ ィ ア 研 究 者 。 近 畿 大 学 文 芸 学 部 准 教 授 。 博
大 澤 聡 ─ お お さ わ ・ さ と し
ニ ー ﹄ 、 ﹃ 21 世 紀 の ア ニ メ ー シ ョ ン が わ か る 本 ﹄ ︵ い ず れ も フ ィ ル ム
八 一 年 生 。 株 式 会 社 ニ ュ ー デ ィ ア ー 代 表 。 著 書 に ﹃ 個 人 的 な ハ ー モ
土 居 伸 彰 ─
﹃ 投 壜 通 信 ﹄ ︵ 本 の 雑 誌 社 ︶ ほ か 。 訳 書 に ﹃ 先 史 学 者 プ ラ ト ン ﹄ ︵ 吉 川
﹃ ﹁ 百 学 連 環 ﹂ を 読 む ﹄ ︵ 三 省 堂 ︶ ﹃ 、 文 学 問 題 ︵ F + f ︶ + ﹄ ︵ 幻 戯 書 房 ︶ 、
七 一 年 生 。 文 筆 家 、 ゲ ー ム 作 家 。 著 書 に ﹃ 文 体 の 科 学 ﹄ ︵ 新 潮 社 ︶ 、
ど い ・ の ぶ あ き
談 社 現 代 新 書 ︶ な ど 。
日 文 学 賞 受 賞 。 小 説 の ほ か ル ポ に ﹃ 明 日 、 機 械 が ヒ ト に な る ﹄ ︵ 講
ビ ュ ー 。 ﹃ キ ッ ズ フ ァ イ ヤ ー ・ ド ッ ト コ ム ﹄ ︵ 講 談 社 ︶ で 第 五 九 回 熊
七 五 年 生 。 文 筆 業 。 ﹃ 左 巻 キ 式 ラ ス ト リ ゾ ー ト ﹄ ︵ 星 海 社 文 庫 ︶ で デ
な 新 八 ど 書 四 。 ︶ 年 、 ﹃ 生 文 。 部 文 省 筆 の 家 研 、 究 近 現 ﹄ ︵ 代 文 史 春 研 新 究 書 者 ︶ 。 、 ﹃ 著 空 書 気 に の ﹃ 検 大 閲 本 営 ﹄ ︵ 発 光 表 文 ﹄ 社 ︵ 新 幻 書 冬 ︶ 舎
山 本 貴 光 ─ や ま も と ・ た か み つ
著 書 に ﹃ ヘ ン リ ー ・ フ ュ ー ズ リ の 画 法 ﹄ ︵ 三 元 社 ︶ 。
学 非 常 勤 講 師 。 専 門 は 英 ロ マ ン 主 義 絵 画 を 中 心 と す る 近 代 美 術 史 。
海 猫 沢 め ろ ん ─
時 代 ﹄ ︵ 角 川 新 書 ︶ 、 ﹃ 七 〇 歳 年 下 の 君 た ち へ ﹄ ︵ 新 潮 社 ︶ な ど 。
う み ね こ ざ わ ・ め ろ ん
辻 田 真 佐 憲 | つ じ た ・ ま さ の り
八 一 年 生 。 美 術 史 家 、 國 學 院 大 學 文 学 部 兼 任 講 師 、 川 村 学 園 女 子 大
福 澤 諭 吉 ﹃ 文 明 論 之 概 略 ﹄ ︵ 角 川 ソ フ ィ ア 文 庫 ︶ な ど 。
松 下 哲 也 ─ ま つ し た ・ て つ や
社 ︶ 、 ﹃ 青 春 の 門 ﹄ ﹃ 親 鸞 ﹄ ︵ い ず れ も 講 談 社 ︶ 、 近 著 に ﹃ デ ラ シ ネ の
代 表 作 に ﹃ 蒼 ざ め た 馬 を 見 よ ﹄ ︵ 文 藝 春 秋 ︶ 、 ﹃ 戒 厳 令 の 夜 ﹄ ︵ 新 潮
三 二 年 生 。 作 家 。 六 六 年 に ﹃ さ ら ば モ ス ク ワ 愚 連 隊 ﹄ で デ ビ ュ ー 。
復 権 ﹄ ︵ ち く ま 新 書 ︶ 、 ﹃ 未 完 の 西 郷 隆 盛 ﹄ ︵ 新 潮 選 書 ︶ 、 現 代 語 訳 に
七 五 年 生 。 日 本 大 学 危 機 管 理 学 部 教 授 。 著 書 に ﹃ ナ シ ョ ナ リ ズ ム の
先 崎 彰 容 ─
の 問 い ﹄ な ど 。
﹃ デ ジ タ ル オ ブ ジ ェ ク ト の 存 在 に つ い て ﹄ 、 ﹃ 中 国 に お け る 技 術 へ
八 五 年 生 。 ロ イ フ ァ ナ 大 学 リ ュ ー ネ ブ ル ク で 教 鞭 を と る 。 著 書 に
せ ん ざ き ・ あ き な か
五 木 寛 之 ─ い つ き ・ ひ ろ ゆ き
高 円 寺 劇 場 創 造 ア カ デ ミ ー 四 期 修 了 。 批 評 誌 ﹃
LOCUST
か 書 房 ︶ 、 ﹃ ド ス ト エ フ ス キ ー の 詩 学 ﹄ ︵ ち く ま 学 芸 文 庫 ︶ な ど 。
は や み ず ・ け ん ろ う
お よ び カ オ ス * ラ ウ ン ジ に 所 属 。
院 美 術 研 究 科 博 士 後 期 課 程 修 了 。 ア ー テ ィ ス ト ・ グ ル ー プ ﹁ カ オ
Михаил Бахтин
七 三 年 生 。 ラ イ タ ー 。 著 書 に ﹃ ラ ー メ ン と 愛 国 ﹄ ︵ 講 談 社 現 代 新 書 ︶ 、
ス * ラ ウ ン ジ ﹂ 代 表 。 著 書 に ﹃ 情 報 社 会 の 情 念 ﹄ ︵ N H K 出 版 ︶ 。
﹄ 編 集 部 員 。
許 煜 | ほ い ・ ゆ く
名 義 ︶ な ど 。
学 術 院 准 教 授 。 著 書 に ﹃ 紙 の 本 が 亡 び る と き ? ﹄ ︵ 青 土 社 、 ﹁ 前 田 塁 ﹂
八 七 年 生 。 ︿ ゲ ン ロ ン 佐 々 木 敦 批 評 再 生 塾 ﹀ 三 期 総 代 、 演 出 家 。 座 ・
渋 革 ま ろ ん ─
覚 書 ﹄ ︵ 風 響 社 ︶ な ど 。
八 六 年 生 。 タ イ 文 学 研 究 者 、 タ イ 語 翻 訳 者 。 著 書 に ﹃ タ イ 現 代 文 学
ゲンロン 9
し ぶ か わ ・ ま ろ ん
七 一 年 生 。 文 芸 批 評 家 、 ﹃ 早 稲 田 文 学 ﹄ 編 集 委 員 、 早 稲 田 大 学 文 学
市 川 真 人 |
新 書 ︶ 、 ﹃ 新 し い 小 説 の た め に ﹄ ︵ 講 談 社 ︶ な ど 。
敦 批 評 再 生 塾 ﹀ 主 任 講 師 。 著 書 に ﹃ ニ ッ ポ ン の 思 想 ﹄ ︵ 講 談 社 現 代
福 冨 渉 ─ ふ く と み ・ し ょ う
い ち か わ ・ ま こ と
﹃ 1 9 9 5 年 ﹄ ︵ ち く ま 新 書 ︶ 、 ﹃ 東 京 β ﹄ ︵ 筑 摩 書 房 ︶ な ど 。
354
261
大 き な 丸 い 皿 を は め た ム ル シ 族 の 店 主 は 首 を か し げ た 。
光 し て 見 え た 。
い 海コ し 、 賊ピ ー 版キ 値 販ャ 付 売ッ け 人ト も は し こ て う な し い た ﹂ 裸 の 商 品 も 安 く 買 い 叩 く 。 然 る 後 に 内 容
一 枚 の 円 盤 だ け が 、 比 喩 じ ゃ な く 物 理 的 な 意 味 で 、 ピ カ ピ カ と 発 ﹁ こ い つ は 駄 目 だ 。 検 品 前 で ね 。 見 て の 通 り ジ ャ ケ ッ ト も 着 せ て な
﹁ ﹁ し ﹁ 手 そ た ア あ 製 店 悪 い 。 ッ っ の 主 い つ シ ち 紙 が が が ュ の ジ 数 た 光 は を ャ 枚 だ を カ 見 ケ の の 放 ウ せ ッ デ ノ っ ン て ト ィ リ て タ く に ス ウ る ー れ 収 ク ッ の に ﹂ 容 を ド は さ 押 ・ 身 、 れ し ス を 一 た つ ペ 乗 体 古 け ク り ど 臭 て タ 出 う い く ク し い D る ル て う V の に 店 わ D を は 主 つ 興 け の だ R っ 味 背 ? 。 ぱ が 後 ね な ﹂ の た く 棚 。 て を 海ブ ー ね 指 ﹂ 賊ト レ 版グ さ 。 し て い る 。
ラゴス生体都市
ノ た ー顔 。 ブ A ラナ m ン a ド z もシ o n の 。 や 表 A 面 v の o 色 x は 製 黒 じ 。 ゃ 近 な く い で 、 見 メ る ー と カ ま す ー ま の す 刻 強 印 く の 発 な 光 い
店 主 は 棚 か ら 一 枚 を 取 り 出 し て カ ウ ン タ ー の 上 に 置 い
﹁ こ れ か い ? ﹂
デ ィ ス ク ﹂ と ア ッ シ ュ は し つ こ く 言 っ た 。
﹁ ピ カ ピ カ 光 っ て る 。 そ こ の 、 透 明 の ビ ニ ー ル で 梱 包 さ れ た 、 裸 の
創 作
ト キ オ ・ ア マ サ ワ
1
Tokio A masawa
を 検 め 、 ネ ッ ト か ら 当 該 タ イ ト ル を 探 し 出 し て カ ラ ー プ リ ン ト し 、
せ て い る 。 口 元 が 多 幸 感 に 弛 緩 し て い る 。
フ ェ ミ ニ ン な 花 柄 の チ ュ ニ ッ ク を 着 た 店 主 は 、 電 子 ハ シ シ を 燻 ら
The Lagos Biopolis
﹁ お 客 さ ん 、 キ マ っ て る ? ﹂
ラ ゴ ス 生 体 都 市
第 2 回 ゲ ン ロ ン S F 新 人 賞 受 賞 作
﹁ い い や 。 あ ん た に 言 わ れ た く な い よ ﹂
トキオ・アマサワ
い わ ず も が な 、 九 〇 年 代 は イ ン タ ー ネ ッ ト 社 会 へ の 転 換 期 に
化 も さ れ て い な い 。 し た が っ て 、 次 な る 時 代 の ビ ジ ョ ン を 構 想
だ 死 ん で い な い 。 に も か か わ ら ず 近 い 過 去 で あ る が ゆ え に 歴 史
﹃ 1 9 9 0 年 代 論 ﹄ を 編 集 し た 大 澤 聡 い わ く 、 九 〇 年 代 は い ま
て い る の だ 。
が ゆ え の ︿ 身 体 ﹀ の 忌 避 と で も い う べ き 感 覚 を 陰 画 的 に 表 現 し
て い る 。 い わ ば ﹃ 1 9 9 0 年 代 論 ﹄ は ︿ 身 体 ﹀ の 危 う さ を 知 る
し て 捉 え う る 視 座 の 奪 還 。 そ れ が 本 書 の ミ ッ シ ョ ン だ [ 。 ★ 1 ]
実 の と こ ろ 、 こ の 身 体 論 の 欠 如 は 九 〇 年 代 の 身 体 を 逆 照 射 し
が 意 味 を な さ な い デ ィ ケ イ ド だ っ た と 言 え る だ ろ う か ?
れ て い る
九 〇 年 代 的 な も の 〟 を あ ら た め て 問 題 と
件 の 大 部 分 は む し ろ 〝 九 〇 年 代 的 な も の 〟 に よ っ て 構 成 さ
い と い う こ と だ 。 当 時 を 振 り 返 っ て み た 時 、 九 〇 年 代 は 身 体 論
し か し ﹁ 演 劇 ﹂ の よ う な 上 演 系 ジ ャ ン ル が な い と は 身 体 論 が な
[ 中 略 ] 〝
論 考
演 劇 批 評 の 書 き 手 が い な い と い う 単 純 な 理 由 か も し れ な い 。
渋 革 ま ろ ん
九 〇 年 代 と ︿ 身 体 ﹀
九 〇 年 代 は 亡 霊 化 し て な ど い な い 。 私 た ち を と り ま く 条 論 ﹄ に は ﹁ 演 劇 ﹂ が 欠 け て い る 。 な ぜ か ?
体 を メ デ ィ ア と し た ラ イ ブ 的 な も の 、 す な わ ち ﹃ 1 9 9 0 年 代
な も の ﹂ の 文 化 的 想 像 力 に は 、 あ る ジ ャ ン ル が 欠 け て い る 。 身
The Genealogy of chelfitsch(s): On the New “Crowd”
あ た る 。 そ の 時 代 の 変 化 と 歩 調 を 合 わ せ る よ う に 、 小 劇 場 演 劇
す る た め に も 九 〇 年 代 を 歴 史 化 せ ね ば な ら な い 。 と こ ろ が 、 ア
Marron Shibukawa
ニ メ ・ 映 像 ・ ゲ ー ム と 視 覚 メ デ ィ ア か ら は じ ま る ﹁ 九 〇 年 代 的
チ ェ ル フ ィ ッ チ ュ ︵
批 評 再 生 塾 第 3 期 最 優 秀 賞 受 賞 論 文
ズ ︶
の 系 譜 学
│ 新 し い ︿ 群 れ ﹀ に つ い て
ゲンロン 9
240
能 性 を 消 し 去 る 投 票 結 果 で も あ っ た 。
だ 。 そ の 意 味 に お い て 、 東 京 一 極 集 中 と は 違 う 日 本 の 未 来 の 可
例 え ば 〝 ポ ピ ュ リ ズ ム 〟 。 大 衆 メ デ ィ ア を 利 用 し エ リ ー ト を
だ っ た の は 、 そ の 下 に ぶ ら 下 が っ て い た 副 次 的 な テ ー マ で あ る 。
政 が 生 む 無 駄 を 解 消 す る か 否 か は さ し て 重 要 で は な か っ た 。 重 要
て い た ら 、 そ こ か ら 他 の 地 域 に も 地 域 主 義 の 輪 は 広 が っ た は ず
の 機 能 を 強 め る か 否 か の 選 択 で も あ っ た の だ 。 大 阪 都 が 生 ま れ
地 方 分 権 に と っ て の ラ ス ト チ ャ ン ス だ っ た 。 都 構 想 は 地 方 自 治
独立国家論 第 8 回
く 重 要 な 政 治 的 な 転 換 点 で も あ っ た 。 大 阪 府 と 大 阪 市 の 二 重 行 さ ら に は 〝 中 央 集 権 か 地 方 分 権 か 〟 の 論 点 も 存 在 す る 。 正 直 、
票 は 胸 躍 る も の だ っ た 。 単 に 世 間 を に ぎ わ し た と い う だ け で な れ な い と い う こ と を 、 こ の 住 民 投 票 は は っ き り と 突 き つ け た 。
い ま 思 い 返 し て も 、 二 〇 一 五 年 の 大 阪 の 都 構 想 を 巡 る 住 民 投 高 齢 層 の 人 口 比 が 大 き く 、 圧 倒 的 に 投 票 率 が 高 い 現 状 は 変 え ら
速 水 健 朗
大 阪 独 立 を 巡 る 〝 国 民 〟 投 票
は 高 齢 者 世 代 と 、 く っ き り 世 代 間 の 意 見 の 相 違 が 生 ま れ て い た 。
都 構 想 = 〝 変 革 〟 を 支 持 し た の は 若 い 世 代 で 、 支 持 し な か っ た の
独 立 国 家 論
論 考
─ ─
Independent Osaka
キ ー ワ ー ド で 示 す な ら 、 ポ ピ ュ リ ズ ム 、 シ ル バ ー 民 主 主 義 、
こ き 下 ろ す 政 治 手 法 。 ﹁ ○ ○ は 現 場 を 知 ら な い ﹂ は 、 当 時 の 橋
8
229
下 徹 大 阪 市 長 の 常 套 句 だ っ た 。 ポ ピ ュ リ ズ ム の 世 界 的 な 波 は 、
On Independent States
中 央 集 権 と い う 現 代 の 日 本 の 政 治 問 題 と し て 重 要 な 要 素 を す べ
ブ レ グ ジ ッ ト 、 ト ラ ン プ 旋 風 と 、 大 阪 住 民 投 票 の 直 後 に 巻 き 起
Kenro Hayamizu
こ っ た 現 象 だ っ た 。 無 関 係 で は な い 。
第 8 回
大 阪 独 立 論
次 に 〝 シ ル バ ー 民 主 主 義 と 世 代 間 闘 争 〟 も 論 点 の 一 つ で あ る 。 速水健朗
東 北 出 張 は 四 ヶ 月 に も わ た り 、 そ の 間 に 一 〇 点 の 油 彩 画 を 完 成
る た め で あ る 。 記 録 に よ れ ば 帰 京 は 一 一 月 と あ る の で 、 由 一 の
制 作 、 お よ び 三 島 が 推 進 し て い た 同 県 下 の 大 土 木 事 業 を 記 録 す
殖 産 興 業 政 策 の 一 部 と し て 振 興 さ れ て い た 洋 画 も ま た 、 大 き な
か ら 転 換 し 、 資 本 主 義 経 済 の 下 地 を 作 り つ つ 、 立 憲 政 治 の 確 立
れ る よ う に 、 明 治 一 〇 年 代 は 維 新 期 の 富 国 強 兵 、 殖 産 興 業 政 策
そ し て 松 方 正 義 に よ る デ フ レ 政 策
へ と 日 本 が 移 行 し て い っ た 時 期 で あ る 。 そ ん な な か 、 そ も そ も
︵ 一 八 八 一 年 ︶
な ど に 象 徴 さ
嘱 さ れ た ︽ 大 久 保 甲 東 像 ︾ ︵ 大 久 保 利 通 像 ︶
と ︽ 上 杉 鷹 山 像 ︾ の 策 の リ ー ダ ー で あ っ た 内 務 卿 ・ 大 久 保 利 通 の 暗 殺 ︵ 一 八 七 八 年 ︶
、
初 め て の 東 北 旅 行 へ 出 発 す る 。 初 代 山 形 県 令 ・ 三 島 通 庸 か ら 委 西 南 戦 争 終 結 に よ る 政 局 の 安 定 ︵ 一 八 七 七 年 ︶
、 殖 産 興 業 政
明 治 一 四
黒 瀬 陽 平
1
︵ 一 八 八 一 ︶
年 の 七 月 三 一 日 、 高 橋 由 一 は 、 人 生 で な り つ つ あ っ た 。
尽 力 し て い た 由 一 の 立 場 は 、 こ の 時 期 、 明 ら か に 危 う い も の と
は じ め て い た 。 し か し 、 ﹁ 近 代 洋 画 の 父 ﹂ と し て 洋 画 の 普 及 に
他 の 平 面 論
論 考
─ ─
Reign of the Civil Engineering Gods
さ こ せ の た 時 。 、 由 一 は 五 三 歳 。 六 六 歳 で そ の 生 涯 を 終 え た 由 一 に と っ
7
転 換 期 を 迎 え る こ と に な る 。
On Other Surfaces
て 、 晩 年 と 呼 ぶ べ き 時 期 で あ る 。 同 年 三 月 に は 、 第 二 回 内 国 勧
Yohei Kurose
業 博 覧 会 に て 妙 技 二 等 賞 牌 を 受 け 、 五 月 に は 独 自 の 美 術 館 構 想
第 7 回
土 木 の 神 が 支 配 す る
を ま と め た ﹁ 螺 旋 展 画 閣 創 築 主 意 ﹂ を 作 成 し 、 各 方 面 へ 配 布 し
ゲンロン 9
204
い う 国 を 離 れ て 、 シ キ ホ ー ル の よ う な 島 で 余 生 を 過 ご す 淑 人 さ
191
世 界 の 最 先 端 を 走 り 、 喧 騒 を 極 め た 国 の ひ と つ で あ る 日 本 と
ン タ ー ネ ッ ト を 通 じ て 現 代 の 流 行 か ら 影 響 を 受 け て い る よ う に
に と て も 飢 え て い て 、 世 界 中 の 若 者 と 同 じ よ う に 、 テ レ ビ と イ
ク ス に 関 し て は 不 思 議 に 思 わ な か っ た 。 こ の 青 年 は 海 外 の 文 化
に 親 戚 が い て 、 そ こ に 移 住 す る か も し れ な い と 言 っ て い た 。 マ ッ
へ 留 学 す る こ と に な る だ ろ う 。 エ ド ウ ィ ン の ほ う は 、 ア メ リ カ
ん で い た 。 マ ッ ク ス は お そ ら く 、 淑 人 さ ん の 支 援 を 受 け て 日 本
生 涯 を そ こ で 過 ご し て き た 人 た ち に と っ て は 。
須 の 条 件 と は な り え な か っ た よ う だ 。 特 に 、 そ の 場 所 で 生 ま れ 、
質 素 さ も 、 自 然 と の 近 さ も 、 誰 か ひ と り の 生 活 を 成 立 さ せ る 必
だ が 結 局 の と こ ろ 、 シ キ ホ ー ル の よ う な 楽 園 の 島 の 美 し さ も 、
す る 目 的 で あ り 、 黒 魔 術 で 人 々 を 呪 う た め で は な い こ と は 理 解 し た ︶
た に せ よ 、 こ の ﹁ 治 療 ﹂ こ そ が シ キ ホ ー ル に マ ナ ナ ン バ ル た ち が 存 在
新しい目の旅立ち 第 6 回
。
マ ッ ク ス も エ ド ウ ィ ン も 、 シ キ ホ ー ル か ら 出 て い く こ と を 望 バ ル た ち の ﹁ 治 療 ﹂ 法 が 正 し く て 効 果 が あ る と い う こ と は 信 じ な か っ
プ ラ ー プ ダ ー ・ ユ ン
3 ─ ま や か し ︵ 承 前 ︶
訳
─ 福 冨 渉
つ い に 、 そ の 通 り だ と 考 え る よ う に な っ た の だ っ た ︵ マ ナ ナ ン
る だ け な の だ と ぼ く に 諭 し て く れ た 人 間 だ っ た 。 そ し て ぼ く は
に も と づ く 儀 式 が あ る の み で 、 呪 文 も 存 在 せ ず 、 病 の 治 療 が あ
ตืน่ บนเตียงอืน่ │ 6 │
ん と い う 人 が い る 。 マ ッ ク ス や エ ド ウ ィ ン の よ う に 、 シ キ ホ ー
見 え た 。 し か し 少 な く と も エ ド ウ ィ ン は 、 故 郷 の 島 に つ い て の
โช ฟุกโุ ตมิ
深 い 知 識 と 理 解 を も っ て い た 。 彼 こ そ が 、 シ キ ホ ー ル は 黒 魔 術
の 島 で は な く 、 魔 女 と 祈 祷 師 は 実 在 せ ず 、 伝 統 医 と 習 慣 的 信 仰
新 し い 目 の 旅 立 ち
随 筆
第 6 回 ︵ 最 終 回 ︶
☆ = 訳
プラープダー・ユン
シ に け ス 、 ぼ 中 り 国 に 人 し と た て 呼 ち し ん は ま で 、 う い ギ 。 た リ た カ シ と テ ア え ゴ 人 ば リ た 、 ー ち 本 の が 書 等 テ 第 価 ク 一 物 ネ 部 を ー で 議 ま 論 っ す た く 、 る も ピ よ っ ュ う
の 変 容 が 、 か つ て 適 用 さ れ て い た 古 代 の 諸 カ テ ゴ リ ー を 置 い て
て い な い 。 し た が っ て 中 国 に お い て 技 術 の 力 は 、 実 践 と 理 論 と
3 ─ 技 術 的 断 絶 と 形 而 上 学 的 統 一 性
と た の 実 し ﹁ 齟 践 て 根 齬 の こ は あ ぎ 、 い 開 単 だ 示 な の さ る 不 れ 不 整 る 都 合 。 合 の 近 と 結 ﹂ 代 し 果 と 技 で 術 し て あ に て で る な 。 よ く し っ て あ 、 か も る ハ し た 全 イ 東 ら 体 デ 洋 さ 的 ガ に れ な ー お た 非 が い 諸 連 記 て 実 続 述 、 践 性 し こ
訳
─ 仲 山 ひ ふ み
│
│
3
ち 望 ん で い る あ る 断 絶 を 作 り 出 す の で あ る 。 も ち ろ ん こ の こ と
許 煜
ホ イ ユ ク
す で に 概 略 を 示 し た 宇 宙 技 芸 の 概 念 が 暗 示 す る と お り 、 本 稿
The Question Concerning Technology in China: An Essay in Cosmotechnics Introduction
は 東 洋 で の み 生 じ た 事 柄 で は な い 。 西 洋 で は 、 ハ イ デ ガ ー が 記
Hifumi Nakayama
で 与 え ら れ る 技 術 の 説 明 は 歴 史 的 ・ 社 会 的 ・ 経 済 的 レ ベ ル に 限
の 形 而 上 学 的 統 一 性 を 解 体 し 、 あ る 断 絶 を 、 い ま も 統 一 化 を 待
る 形 而 上 学 的 統 一 性 へ と 向 か わ な け れ ば な ら な い 。 ﹁ 統 一 性 ﹂
Yuk Hui
定 さ れ な い も の で あ る 。 こ れ ら の レ ベ ル を 超 え て 、 私 た ち は あ
[ ☆ 1 ]
性 の こ と 、 あ る い は よ り 正 確 に 言 っ て 、 あ る 共 同 体 が も つ
Entwurzelung
と い う 言 葉 に よ っ て 私 が 意 味 す る の は 、 政 治 的 な い し 文 化 的 な
ず し も 調 和 で は な い に せ よ ︶
physis
述 し た よ う に 、 ﹁ 技 術 ﹂ と い う カ テ ゴ リ ー の 出 現 は も は や テ ク
の こ と だ 。 ヨ ー ロ ッ パ 諸 国 と 非 ヨ ー
ア イ デ ン テ ィ テ ィ の こ と で 一 は 貫 な し く た 、 ま 実 と 践 ま と り 理 を 論 保 の 持 あ す い る だ よ の う ︵ 統 な 必 一
生 活 形 式
form of life
ロ ッ パ 諸 国 の 双 方 に お け る 生 活 形 式 の 断 片 化 は 総 じ て 、 理 論 と
★ = 原 ☆ = 訳
中 国 に お け る 技 術 へ の 問 い
集 中 掲 載
│
宇 宙 技 芸 試 論 序 論 ︵ 3 ︵ ︶ 最 終 回 ︶
・ 編 集 部 ︹ ︺ = 訳 者 補 足
ゲンロン 9
168
七 〇 年 代 初 期 の 作 業 ノ ー
の な か で 、 活 字 化 の 作 業 の 前 の 人 間 ﹂ 、 ﹁ 笑 い の 精 神 か ら の 小 説 の 誕 生 ﹂ の 邦 訳 は 文 字 通
の 死 後 に 残 さ れ た 大 量 の 未 刊 行 の 草 稿 に つ い て は 、 ソ 連 解 体 後
い ず れ も ミ ハ イ ル ・ バ フ チ ン の ノ ー ト の 断 片 で あ る 。 バ フ チ ン
業 ノ ー ト
[ 抜 粋 ]
﹂ は 、
﹂ 、 ﹁ 六 〇 七 〇 年 代 初 期 の 作
の ⋮ 人 ⋮ こ 間 こ に 訳 出 し た ﹁ 修 辞 学 ﹂ 、 が ﹁ 、 笑 そ い の の 嘘 精 偽 神 り か の ら の ﹂ 程 小 、 ﹁ 度 説 鏡 に 応 の 誕 の じ 生 前 て
で の 推 だ い は ﹁ ち あ 名 定 が る 、 修 な る の さ 、 。 同 辞 み 。 と れ 一 ﹁ じ 学 に お る 九 笑 一 が ﹁ り 。 三 い 九 、 そ 修 晩 ﹁ 九 の 四 の 六 精 年 三 嘘 辞 年 学 の 〇 か 神 年 偽 か ら に り が 六 、 〇 七 四 ら 書 の 〇 〇 の か 程 そ 年 の 代 年 年 小 れ 度 嘘 か 代 代 説 た に 偽 ら 初 初 の も 応 り 七 期 期 誕 の じ の 〇 の の 生 で て 程 年 作 あ ﹂ 内 ⋮ 度 代 業 い は 容 ⋮ に 初 ノ だ 、 的 ﹂ 応 期 ー に 正 に と ﹁ じ に ト 記 確 も 鏡 [ な さ 深 の て 綴 ⋮ ら 抜 れ 日 く 前 粋 ⋮ れ ] た 付 連 の ﹂ た ﹂ も は 関 人 、 ﹁ も は の 不 し 間 鏡 の そ と 明 て ﹂
解 説
貝 澤 哉
От феноменологии к теории смеха и романа
り こ れ が 初 め て と 思 わ れ る が ﹁ 、 六 〇
︵ 全 六 巻 七 冊 ︶
の 一 九 九 六 年 か ら 二 〇 一 二 年 ま で 本 国 ロ シ ア で 刊 行 さ れ て い た
Хадзимэ Каидзава
ト 訳 ト さ ﹂ ﹄ ︵ 新 れ の 時 た 抜 代 ﹃ 粋 社 ミ 部 、 ハ 分 一 イ は 九 ル 、 八 ・ 過 八 バ 去 年 ︶ フ に の チ ソ な ン 連 か 著 時 に 作 代 集 の 、 ﹁ ⑧ ロ 一 シ 九 こ ア 七 と 語 〇 ば 版 作 七 対 品 話 一 集 年 テ か の キ ら 覚 ス 翻
最 新 の バ フ チ ン 著 作 集
<Риторика , в меру своей лживости ...>
が 精 力 的 に 進 め ら れ て き た が 、 現 在 ま で の と こ ろ 、 わ が 国 で は
Человек у зеркала
そ の 内 容 に つ い て 紹 介 や 翻 訳 は ほ と ん ど な さ れ て い な い 。 今 回
Рождение романа из духа смеха
の 翻 訳 は 、 こ の 最 新 版 の バ フ チ ン 著 作 集 に 収 録 さ れ た 未 邦 訳 の
Рабочие записи 60-х ‒ начала 70-х годов
テ ク ス ト の 一 部 を 紹 介 す る 試 み で あ る 。
現 象 学 か ら 笑 い と 小 説 の 理 論 へ
ゲンロン 9
小 特 集
─
ロ シ ア 現 代 思 想 Ⅲ
160
叙 事 詩 は 、 価 値 と い う も の を ま る ご と 叙 事 詩 的 な 過 去 の 遠 い
︵ こ う し た 情 動 は 、 古 典 修 辞 学 に よ っ て も 強 調 さ れ
れ は 過 去 に 参 入 す る こ と で あ り 、 そ こ に 価 値 の 中 心 が あ る 。
ま さ に 恐 怖 あ る い は 希 望 で あ る 。 そ れ は 、 修 辞 学 的 な 言 葉 の 本 [ ☆ 1 ]
修 辞 学 が 、 そ の 嘘 偽 り の 程 度 に 応 じ て 引 き 出 そ う と す る の は 、
一 九 四 三 年 一 〇 月 一 二 日
死 者 が を 書 祖 い 先 て ら い の る 集 。 会 叙 に 事 参 詩 入 的 さ なイ せ 像メ ー る ジ 信 仰 に [ つ ☆ 2 い ] て の ポ 座 リ 標 ュ 軸 ビ 、 オ そ ス
賞 賛 と 罵 倒 の 融 合 。
高 次 の 芸 術 的 客 体 性
修 辞 学 が 、 そ の 嘘 偽 り の 程 度 に 応 じ て ⋮ ⋮
ミ ハ イ ル ・ バ フ チ ン
訳
─ 貝 澤 哉 Хадзимэ Каидзава
衰 退 で し か
芸 術 や 認 識 が 目 指 す の は 、 反 対 に 、 こ う し
質 に 属 し て い る
︵ 全 き も の の 声
голос целого
︵ 子 孫 で あ れ 、 現 在 の 人 々 で あ れ ︶
次 元 に 預 け て し ま う 。 叙 事 詩 か ら 見 る と 、 お よ そ 未 来 に 属 す
て い た ︶ 。 ︵ 本 物 の ︶
образ
︵ ﹁ そ う 、 わ し ら の 時 代 に は い た も の さ ⋮ ⋮ 英 雄 た ち が な 、
る も の は 例 外 な く
た 恐 怖 や 希 望 の 感 情 か ら の 解 放 な の で あ る 。 い ろ い ろ な 仕 方 で
Михаил Бахтин
あ り え な い
そ れ ら 恐 怖 や 希 望 か ら 解 放 し て く れ る の が 悲 劇 で あ り 、 ま た 笑
︶
と し て の 、
☆ = 訳 ︹
特 別 掲 載
Теория романа из «Философского удивления»: из рабочих записей 1940–1970-х годов
い で あ る 。
﹁ 哲 学 的 な 驚 き ﹂ か ら
小 特 集
─
ロ シ ア 現 代 思 想 Ⅲ
│ 一 九 四 〇 七 〇 年 代 の 草 稿 断 片 よ り
︺ = 訳 者 補 足
ゲンロン 9
142
小特集
ロシア現代思想 III Russian Contemporary Thought III
1 ─ ゲ ー ム を つ く る こ と は 世 界 を つ く る こ と
解 さ は い っ そ う 際 立 つ 。 と い う わ け で 、 ゲ ー ム と そ の 遊 び の 経 験 に つ い て 、 今 後 探
こ に は さ ま ざ ま な 謎 が あ る 。 こ と に ゲ ー ム を つ く る 立 場 か ら 眺 め る と き 、 そ の 不 可
で 遊 ん で み れ ば 、 誰 も が な に か を 経 験 す る か ら 。 だ が 、 一 歩 踏 み 込 ん で み る と 、 そ
よ う に 捉 え ら れ る の か 。 一 見 分 か り き っ た こ と の よ う に 見 え る 。 な ん ら か の ゲ ー ム
ム で 遊 ぶ と き 、 私 た ち は い っ た い な に を 経 験 し て い る こ と に な る の か 。 そ れ は ど の
で も 構 わ な い 。 ゲ ー ム の ル ー ル と 表 現 は こ の よ
123
で き れ ば 十 円 玉 と 百 円 玉 で も 、 リ ン ゴ と ミ カ ン
る 必 要 も な く 、 二 人 の プ レ イ ヤ ー の コ マ を 区 別
ば 、 ど ん な 物 質 を 使 っ て も い い し 、 ○ と × で あ
× を 書 き 込 ん で い く 遊 び 方 も あ る 。 さ ら に 言 え
描 い た マ ス 目 に 二 人 の プ レ イ ヤ ー が 交 互 に ○ や
ゲーム原論序説
﹁ 三 目 並 べ ﹂ に は 、 紙 や ホ ワ イ ト ボ ー ド な ど に
こ こ で は ゲ ー ム と そ の 遊 び を 材 料 に し て 、 人 間 の 経 験 に つ い て 考 え て み よ う 。 ゲ ー
★ 1
★ 2 う に い っ た ん 分 離 し て 考 え る こ と が で き る 。 で
本 稿 で は 両 者 を 厳 密 な 区 別 な く 使 っ て い る 。
観 的 、 ﹁ 体 験 ﹂ は 主 観 的 と い っ た 区 別 も あ る が 、
た い 。 と こ ろ で ﹁ 経 験 ﹂ は い ず れ か と い え ば 客
本 文 に 関 連 す る 事 柄 に つ い て 補 足 的 に 述 べ て み
説 、 あ る い は コ メ ン タ リ ー の よ う な も の と し て 、
い る 。 こ の 注 釈 欄 で は 、 い わ ば 映 像 の 副 音 声 解
具 体 例 や 関 連 す る 事 柄 に つ い て は こ れ を 省 い て
は 探 究 す べ き 問 い の 所 在 を 示 す こ と を 優 先 し て 、
題 の 骨 格 を で き る だ け 明 確 に 示 す た め 、 本 文 で
は ゲ ー ム を 経 験 と い う 観 点 か ら 眺 め て み る 。 課
冒 頭 で 述 べ た よ う に 、 こ の 試 論
論 考
山 本 貴 光
Preface to a Fundamental Theory of Games: From the Perspective of Games as Playing with Cause and Effect
ゲ 例 ー え ム ば を 、 つ 白 く い る 紙 と を い 一 [ う 枚 ★ 、 1 こ ] と テ 。 は ー 、 ブ そ ル れ に が 置 ど く ん 。 な そ に こ 小 に さ ペ な ン も で の 三 で × あ 三 れ の 、 マ ひ ス と 目 つ を の 描 世 く 界 。
究 す べ き 課 題 を ス ケ ッ チ し て 共 有 し て み よ う と い う 次 第 。
Takamitsu Yamamoto
を つ く る よ う な も の だ
ゲ ー ム 原 論 序 説
小 特 集
─
ゲ ー ム の 時 代 Ⅱ
│ 因 果 の 遊 び と い う 相 の 下 で
︵ エ ッ セ イ ︶
で
山本貴光
パ ー ソ ナ ル コ ン ピ ュ ー タ 、
翻 っ て 、 今 日 の 我 々 は 、 こ の 種 の 映 像 が 持 つ 視 覚 的 な 特 徴 を
分 水 嶺 で あ っ た と 筆 者 は 考 え て い る 。 湾 岸 戦 争 を 伝 え る テ レ ビ
が 開 始 さ れ た こ の 日 が 、 ﹁ ゲ ー ム の 時 代 ﹂ と そ れ 以 前 の 時 代 の
考 え ら れ る 。
親 し ん で い た 映 像 の ス ペ ク タ ク ル と は 別 種 の 、 ま る で ビ デ オ ゲ ー
う 名 で 呼 ば れ る よ う に な っ た 。 こ の 言 葉 は 、 当 時 の 人 々 が 慣 れ
は ﹁ フ ァ ミ コ ン 戦 争
ム の よ う な 視 覚 性 に 対 す る 違 和 感 や 嫌 悪 感 の 表 明 で も あ っ た と
︵ ま た は 任 天 堂 戦 争 、
︶
﹂ と い
論 考
一 九 九 一 年 一 月 一 七 日 。 湾 岸 戦 争 に お け る ﹁ 砂 漠 の 嵐 作 戦 ﹂ 像 が ま る で ビ デ オ ゲ ー ム 画 面 の よ う に 見 え た ら し く 、 湾 岸 戦 争
松 下 哲 也
象 徴 形 式 と し て の ゲ ー ム
│
湾 岸 戦 争 以 後
淡 々 と 殺 さ れ 、 破 壊 さ れ て い く 。 当 時 の 批 評 家 た ち に は こ の 映
白 一 色 の 照 準 が 表 示 さ れ て お り 、 ね ら い を 定 め ら れ た 目 標 が
度 は 低 い 。 チ ー プ な ド ッ ト 絵 の よ う に も 見 え る そ の 画 の 上 に は
Playing and Metagames: Gamic Vision as Symbolic Form
こ と さ ら に 強 調 す る で あ ろ う か ?
ニ ュ ー ス で は 、 ア メ リ カ を は じ め と す る 多 国 籍 軍 が 使 用 し た ハ
Tetsuya Matsushita
ス マ ー ト フ ォ ン 、 コ ン ソ ー ル ゲ ー ム 機 、 デ ジ タ ル カ メ ラ ⋮ ⋮ あ
や イ テ ク 兵 器 ア 越 パ し ッ の チ 映 に 像 よ 、 る た 夜 と 間 え 攻 ば 撃 暗 、 視 装 置 を ス 通 テ し ル た ス 緑 攻 色 撃 の 機 光 に 景
Nintendo War
ら ゆ る 電 子 デ バ イ ス 越 し の 映 像 は 今 や 我 々 に と っ て ま ご う こ と
搭 載 さ れ た レ ー ザ ー 誘 導 爆 弾 に よ る ピ ン ポ イ ン ト 爆 撃 の 様 子 が
F-117
R 毎 ︵ 日 前 の 方 よ 監 う 視 型 に 赤 放 外 送 線 さ 装 れ 置 た ︶ 。 を 攻 通 撃 し ヘ て リ 画 や 面 ス に テ 映 ル し ス 出 攻 さ 撃 れ 機 る の 攻 F 撃 L 対 I
AH-64
象 の 形 態 は 、 き わ め て 平 面 的 で 、 そ の 色 も モ ノ ク ロ で あ り 解 像
プ レ イ ン グ と メ タ ゲ ー ム
小 特 集
─
ゲ ー ム の 時 代 Ⅱ
│︿ 象 徴 形 式 ﹀ と し て の ゲ ー ム 的 視 覚
ゲンロン 9
110
の 二 本 の ゲ ー ム を リ リ ー ス し て い る 。 可 能 性 を 掘 り 下 げ て 考 え た 。 ポ リ ゴ ン を ポ リ ゴ ン と し て 前 景 化
093
個 人 の マ シ ン パ ワ ー で 取 り 扱 え る よ う な C G ア ニ メ ー シ ョ ン の
作 家 デ イ ヴ ィ ッ ド ・ オ ラ イ リ ー で あ る 。 オ ラ イ リ ー は こ れ ま
れ ば 、 そ の こ と は 容 易 に 理 解 で き る 。 そ ん な な か オ ラ イ リ ー は 、
ズ の 資 本 と 人 材 が 必 要 に な っ て く る 。 ハ リ ウ ッ ド 製 の C G ア ニ
メ ー シ ョ ン を 見 れ ば 、 も し く は ゲ ー ム で も A A A タ イ ト ル を 見
パターンと対称性
考 察 の 始 ま り と し て 取 り 上 げ た い の は 、 C G ア ニ メ ー シ ョ ン ト す る 方 向 に 傾 き が ち だ 。 そ の た め に は 、 き わ め て 巨 大 な サ イ
る も の で あ る 。
一 般 的 に C G ア ニ メ ー シ ョ ン は 、 世 界 を 写 実 的 に シ ミ ュ レ ー
と し て 見 出 す 例 が 増 え て い る 。 本 稿 は 、 そ の 理 由 を 探 ろ う と す G ア ニ メ ー シ ョ ン 作 品 の 美 学 を 打 ち 立 て る こ と に よ っ て で あ る 。
論 考
近 年 、 個 人 ア ニ メ ー シ ョ ン 作 家 が 、 ゲ ー ム を 新 た な 表 現 の 場 な 存 在 で あ っ た 。 な に に よ っ て か と い え ば 、 個 人 制 作 に よ る C
土 居 伸 彰
イ ン デ ィ ・ ゲ ー ム に
デ イ ヴ ィ ッ ド ・ オ ラ イ り リ 着 ー く は
オ ラ イ リ ー は そ も そ も 、 ア ニ メ ー シ ョ ン 界 に お け る 革 命 児 的
界 の み な ら ず 、 ゲ ー ム 業 界 に も 確 か な イ ン パ ク ト を 与 え て い る 。
さ れ る ゲ ー ム ら し さ を 排 し た こ れ ら の 作 品 は 、 ア ニ メ ー シ ョ ン
Nobuaki Doi
二 〇 一 七 年 ︶
﹃ で 、 宙 に 浮 ﹄ ︵ き 二 つ 〇 つ 一 ゆ 四 っ 年 く ︶ 、 り そ と し 回 転 て す 極 る 小 山 か を ら 眺 極 め 大 る ま だ で け ス の ケ ゲ ー ー ル ム
特 に 目 的 も は っ き り と し た エ ン デ ィ ン グ も な く 、 一 般 的 に 想 像
Pattern and Symmetry: Indie Games from the Perspective of Animation Films
﹄ ︵
を 変 え な が ら あ ら ゆ る も の に 憑 依 で き る 〝 万 物 シ ミ ュ レ ー タ ー 〟
Mountain
Everything
﹃
パ タ ー ン と 対 称 性
小 特 集
─
ゲ ー ム の 時 代 Ⅱ
│ ア ニ メ ー シ ョ ン 映 画 か ら イ ン デ ィ ・ ゲ ー ム を 眺 め て
土居伸彰
ア メ リ カ 軍 の 軍 人 は い ま や 、 遥 か 遠 く の 安 全 地 帯 か ら 、 ま る そ れ は そ れ で も っ と も で は あ る も の の 、 ゲ ー ム と 戦 争 を 切 り
な く 取 り 払 い つ つ あ る 。
な 戦 争 ﹂ は 、 こ の よ う な 倫 理 的 な 反 発 を 招 か な い で は お か な い 。
ジ タ ル ゲ ー ム は 、 軍 人 と ゲ ー ム プ レ イ ヤ ー の 垣 根 を こ れ ま で に 悲 惨 な 戦 争 を 遊 び の 延 長 で や る な ん て
│ 。 ﹁ ゲ ー ム の よ う
そ れ か ら 二 七 年 。 ま す ま す 高 度 に 進 化 す る ハ イ テ ク 兵 器 と デ は も は や 夢 物 語 で は な く な っ た 。
争 の こ と で あ る 。
ゲ ー ム の 優 秀 な プ レ イ ヤ ー が 優 秀 な 軍 人 に も な る 。 そ ん な 世 界
と い わ し め た 。 一 九 九 一 年 、 多 国 籍 軍 が 介 入 し て か ら の 湾 岸 戦
の 数 々 は 、 ア メ リ カ の メ デ ィ ア を し て ﹁ ニ ン テ ン ド ー ・ ウ ォ ー ﹂
命 中 す る 巡 航 ミ サ イ ル
│ 。 ま る で テ レ ビ ゲ ー ム の よ う な 映 像
い 感 す ﹂ 覚 る [ ★ だ 、 1 。 ア ] 。 ち メ ﹁ ょ 例 っ リ の と カ プ 残 軍 レ 虐 関 イ に 係 ス な 者 テ る の ー 場 証 シ 合 言 ョ も は ン あ 生 2 る 々 と 。 し い だ い う が 。 や 、 ﹁ つ と テ ★ は に レ 2 、 か ビ ] 。 実 く ゲ 戦 に す ー 争 効 ご ム 果 が あ る ﹂ ﹁ イ ラ ク で の 訓 練 用 に 二 百 台 購 入 し た ﹂ [
論 考
夜 空 に ピ カ ピ カ と き ら め く 対 空 砲 火 、 目 標 に ピ ン ポ イ ン ト で
﹁ ニ ン テ ン ド ー ・ ウ ォ ー 2 ・ 0 ﹂
ア メ リ カ の 政 治 学 者 、 ピ ー タ ー ・ ウ ォ レ ン ・ シ ン ガ ー が 紹 介
の 軍 事 用 ド ロ ー ン や ロ ボ ッ ト 兵 器 を 自 由 自 在 に 操 っ て い る 。
辻 田 真 佐 憲
ン グ ︵ F P S ︶
を プ レ イ す る よ う に 、 イ ラ ク や ア フ ガ ニ ス タ ン
War Games and the Possibility of Gamic Subjectivity: Beyond Serious Games and Propaganda
離 す こ と は さ ほ ど 容 易 で は な い 。 戦 争 を ﹁ 究 極 の ゲ ー ム ﹂ と い っ
Masanori Tsujita
で フ ラ イ ト シ ミ ュ レ ー タ ー や フ ァ ー ス ト ・ パ ー ソ ン ・ シ ュ ー テ ィ
│戦 シ 争 リ ア ゲ ス ゲ ー ー ム ム と は プ ロ わ パ ガ れ ン わ ダ を れ 超 え に て 何 を も た ら す か
ゲンロン 9
小 特 集
─
ゲ ー ム の 時 代 Ⅱ
080
小特集
ゲームの時代 II The Age of Games II
の 三 つ の 問 い は 、 最 終 的 に ﹁ こ の 国 で 一 般
え ば 、 ﹁ 知 識 人 ﹂ ﹁
の 表 現 を 期 待 さ れ た の か 。 そ し て 、 天 皇 は 、
て き た の か 。 日 本 の 文 学 は 、 な ぜ 一 般 意 志
本 の 知 識 人 は 、 ほ ん と う に 一 般 意 志 に 触 れ
題 に 帰 結 す る の か な と 思 っ て い ま す 。 日
意 志 を 担 う の は な に か / だ れ か ﹂ と い う 問
文 学 ﹂ ﹁ 天 皇 ﹂ と い う こ
司 会 役 を 逸 脱 し て あ ら か じ め 言 っ て し ま
が 、 ﹃ 南 洲 翁 遺 訓 ﹄ を 読 む と 、 征 韓 論 的 な
た 人 物 と し て 批 判 さ れ る こ と も 多 い の で す
評 価 さ れ て き た 。 西 郷 は 、 征 韓 論 を 主 張 し
張 し た 最 初 の 本 と し て 、 右 か ら も 左 か ら も
訓 示 年 し ま ﹄ ︵ 一 た で 八 書 の 九 で 日 〇 す 本 年 。 の ︶ 対 あ は し る 、 て べ 反 、 き 近 西 流 代 郷 れ の の を 価 ﹃ 最 値 南 初 観 洲 に を 翁 指 主 遺 し
の 近 代 化 の マ ニ フ ェ ス ト で あ り 、 一 九 四 五
こ し で も 触 れ る こ と が で き れ ば と 思 い ま す 。
と は 日 本 思 想 に と っ て な ん だ っ た の か 、 す
も 来 年 は 代 替 わ り が 予 定 さ れ て お り 、 天 皇
の ﹃ 文 明 論 之 概 略 ﹄ ︵
で す 。 竹 内 好 の 解 釈 に 則 れ ば 、 福 澤 諭 吉
は 先 、 崎 福 彰 澤 容 諭 吉 ま と ず 西 明 郷 治 隆 初 期 盛 で と 取 陸く が り 羯か つ 上 な 南ん げ の た 三 い 人 の
一 八 七 五 年 ︶
は 、 日 本
た こ と を あ ら た め て 実 感 し ま し た 。 く し く
い て 、 さ ま ざ ま な か た ち で 考 え つ づ け て き
の 思 想 家 た ち が 天 皇 と い う 存 在 の 意 味 に つ 第 三 項 と し て の 国 民 主 義
リ ス ト に 挙 が っ た 著 作 を 読 み 直 し て 、 日 本
あ り ま す 。 そ し て 最 後 に 天 皇 の 問 題 で す 。
福澤諭吉『文明論之概略』
039
日本思想の一五〇年
西郷隆盛『南洲翁遺訓』
(角川ソフィア文庫 )
﹁ 教 養 ﹂ の 問 題 と 大 き く 関 わ り ま す 。 ま た ﹁ 現
こ れ は 、 苅 部 さ ん 、 大 澤 さ ん の 関 心 で あ る
言 わ れ ま す が 、 な ぜ そ れ が 必 要 だ っ た の か 。
芸 批 評 が 思 想 の 機 能 を 担 っ て き た と よ く
ま 選 期 す 書 の そ 。 と 思 れ 絡 想 で め の は つ 可 さ つ 能 っ お 性 そ 話 に く し つ で い い す た て が だ 、 、 け 先 ま れ 崎 ず ば さ は と ん 明 思 か 治 い ら 初
1 | 明 治
が 、 ま ず は ぼ く の 意 図 で す 。
(角川ソフィア文庫 )
代 日 本 の 批 評 ﹂ の 企 画 と 直 結 す る 問 題 で も
入 す る こ と で 、 対 立 を 突 破 し た い と い う の
や や マ イ ナ ー な 陸 羯 南 の ﹁ 国 民 主 義 ﹂ を 導
と し て あ る 一 定 の 有 効 性 が あ っ た 。 そ こ に 、
い う 竹 内 図 式 は 、 明 治 思 想 史 の 紋 切 り 型
代 主 義 の 福 澤 ﹂ 対 ﹁ 反 近 代 主 義 の 西 郷 ﹂ と
つ め が 文 学 と 思 想 の 関 係 で す 。 日 本 で は 文
人 に と っ て 大 衆 と は な ん だ っ た の か 。 ふ た
る の か 。
日 本 国 民 の 一 般 意 志 と ど の よ う な 関 係 に あ
と つ の 西 郷 像 が 浮 か び 上 が っ て く る 。 ﹁ 近
西 郷 と は 別 の 側 面 、 近 代 に 懐 疑 的 な も う ひ
苅部直+大澤聡+先崎彰容+東浩紀
権 支 持 / ﹁ 反 ア ベ ﹂ と い っ た 対 立 が 先 鋭 化
党 、 保 守 / リ ベ ラ ル 、 改 憲 / 護 憲 、 安 倍 政
日 本 の 政 治 的 言 説 は 、 右 / 左 、 与 党 / 野
能 性 を 取 り 出 せ れ ば と 考 え て い ま す 。 い ま
の で は な く 、 日 本 思 想 の ア ク チ ュ ア ル な 可
か ら ﹃ ゲ ン ロ ン 4 ﹄ ま で 、 ぼ く と 大 澤 さ ん
思 い ま す 。 ま た 、 こ の 討 議 は ﹃ 、 ゲ ン ロ ン 1 ﹄
談 会 で も 多 く の 重 要 な 人 名 が 落 ち て い る と
数 時 間 で 語 り 尽 く せ る わ け は な く 、 こ の 座
な い と い う こ と で す 。 一 五 〇 年 の 思 想 史 を
は け っ し て 網 羅 的 な 振 り 返 り を す る 場 で は
方 に 申 し 上 げ て お き た い の は 、 こ の 座 談 会
と に 討 議 を 進 め て い き ま す が 、 ま ず 読 者 の
衆 と 向 き 合 っ て き た の か 。 ま た 日 本 の 知 識
人 は 一 五 〇 年 の 歴 史 の な か で ど の よ う に 大
ひ と つ め は 知 識 人 の 役 割 で す 。 日 本 の 知 識
を さ し あ た っ て 三 つ ほ ど 考 え て み ま し た 。
わ け で す が 、 議 論 の 焦 点 に な り そ う な こ と
て 再 考 で き れ ば と 考 え て い ま す 。
状 況 を つ く り 出 し て い る 歴 史 や 環 境 に つ い
こ こ か ら み な さ ん の 話 を う か が っ て い く
今 日 の 討 議 で は 、 た ん に 歴 史 を 振 り 返 る
し て お 話 を う か が う こ と に い た し ま し た 。
さ ん 、 先 崎 彰 容 さ ん 、 大 澤 聡 さ ん を お 迎 え
思 想 の 一 五 〇 年 ﹂ と い う テ ー マ で 、 苅 部 直
い た だ き ま し た ︵ 七 八 頁 ︶
。 今 日 は そ れ を も
﹁ い ま 再 注 目 す べ き 著 作 ﹂ を 事 前 に 選 ん で
ん に 、 そ の よ う な 狙 い を お 話 し し た う え で 、
年 さ か の ぼ る か た ち で 、 い ま の 日 本 の 言 論
代 日 本 の 批 評 ﹂ の 時 代 か ら 、 さ ら に 一 〇 〇
一 九 七 五 年 以 降 の 四 〇 余 年 を 検 討 し た ﹁ 現
定 さ れ て い ま す 。 そ こ で 本 誌 で は 、 ﹁
目 の 年 で あ り 、 ま た 来 年 に は 代 替 わ り 日 も 本 予 討 議 に あ た り 、 ま ず 先 崎 さ ん と 大 澤 さ と い う 位 置 づ け に も な っ て い ま す 。 今 日 は 、
東 浩 紀
今 年 は 明 治 維 新 か ら 一 五 〇 年 の 節
を 確 保 で き れ ば と 思 っ て い ま す 。
を 辿 り 、 読 者 が そ う し た 対 立 を 逃 れ る 視 座
批 評 ﹂ と い う 長 い 企 画 の 、 補 足 的 な 第 四 弾
を 中 心 に 三 回 に 分 け て 行 っ た ﹁ 現 代 日 本 の
苅 部 直 + 大 澤 聡 + 先 崎 彰 容 + 東 浩 紀
共 同 討 議
150 Years of Japanese Thought: Intellectuals, Literature, and the Emperor
し 、 た が い に 連 動 し て 身 動 き が 取 れ な い 状
Tadashi Karube + Satoshi Osawa + Akinaka Senzaki + Hiroki Azuma
況 に な っ て い ま す 。 一 五 〇 年 の 複 雑 な 歴 史
日 本 思 想 の 一 五 〇 年
小 特 集
─ 現 代 日 本 の 批 評 Ⅳ
│ 知 識 人 、 文 学 、 天 皇
ゲンロン 9
038
小特集
現代日本の批評 IV Criticism in Contemporary Japan IV
の で あ っ て も な ら な い か ら で あ る 。
029
か ら で あ る 。 そ し て そ の 場 は 、 批 評 家 の 専 有 物 で あ っ て は な ら な い し 、 特 別 の 知 識 を 要 求 す る も
も の で あ る 。 な ぜ な ら ば 、 批 評 を 再 生 す る と は 、 ほ ん と う は 批 評 の 場 そ の も の を 再 生 す る こ と だ
け れ ど も 、 批 評 の 再 生 は 、 次 世 代 の 育 成 や 歴 史 の 教 育 に と ど ま る も の で は な い 。 も っ と 大 き な
愛について
成 し 、 過 去 の 蓄 積 を 学 ん で も ら う 必 要 が あ る と 考 え た か ら で あ る 。
号 に わ た っ て 批 評 の 歴 史 を 特 集 し て い る 。 批 評 を 再 生 す る た め に は 、 ま ず は 次 世 代 の 批 評 家 を 育
い る 。 実 際 、 ゲ ン ロ ン は ﹁ 批 評 再 生 塾 ﹂ と 名 づ け ら れ た ス ク ー ル を 運 営 し 、 ﹃ ゲ ン ロ ン ﹄ で も 三
い ま ﹁ 批 評 の 再 生 ﹂ と 記 し た 。 ご 存 じ の と お り 、 ゲ ン ロ ン は 批 評 の 再 生 を ミ ッ シ ョ ン に 掲 げ て
の 再 生 の た し か な 手 応 え を 感 じ て い る 。
い る の は 、 そ の よ う に し て 集 ま っ た 多 様 な 方 々 の 支 援 が あ る か ら で も あ る 。 ぼ く は そ こ に 、 批 評
の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 場 へ と 循 環 す る よ う に も な っ た 。 弊 社 の 経 営 が ま が り な り に も 成 立 し て
者 に と ど ま ら ず 、 弊 社 が 運 営 す る カ フ ェ や ス ク ー ル を 通 し て 、 さ ま ざ ま な 職 業 や 背 景 を も つ 人 々
評 の 意 義 を 理 解 す る コ ミ ュ ニ テ ィ は 確 実 に 大 き く な っ た 。 ゲ ン ロ ン が 発 す る 言 葉 は 、 専 門 的 な 読
け れ ど も 、 こ の 三 年 で 、 ゲ ン ロ ン と ﹃ ゲ ン ロ ン ﹄ の ま わ り に 集 う 人 々 の 数 は 何 倍 に も な り 、 批
社 で 、 資 金 繰 り も つ ね に 綱 渡 り だ 。
た わ け で は な い 。 流 行 語 を 生 み 出 し た わ け で も な い 。 ゲ ン ロ ン は い ま だ 知 る ひ と ぞ 知 る 小 さ な 会
に も か か わ ら ず 、 ﹃ ゲ ン ロ ン ﹄ は 意 外 と う ま く 行 っ た 。 む ろ ん 、 売 り 上 げ で 大 き な 成 功 を 収 め
か っ た だ ろ う が 、 だ れ よ り も ぼ く 自 身 が 首 を 傾 げ て い た 。
東浩紀
る 逆 風 の な か 、 大 学 を 飛 び 出 し た 一 介 の 批 評 家 に な に が で き る の だ ろ う か 。 首 を 傾 げ た 読 者 も 多
い と 言 わ れ て い た 。 老 舗 出 版 社 が つ ぎ つ ぎ に 倒 産 し 、 良 書 を 揃 え る 有 名 書 店 が 相 次 い で 店 を 閉 め
社 員 数 人 の 零 細 企 業 で 、 ぼ く は 経 営 者 と し て は ま っ た く の 素 人 だ っ た 。 そ も そ も 人 文 書 は 売 れ な
し く は な い 。 け れ ど も 創 刊 時 に は 、 前 記 の 目 標 す ら 達 成 で き る か ど う か 不 安 だ っ た 。 ゲ ン ロ ン は
﹃ ゲ ン ロ ン ﹄ は 発 行 部 数 が 万 に 届 く か 届 か な い か の 雑 誌 で あ る 。 継 続 は 本 来 な ら そ れ ほ ど む ず か
指 し た 。
﹃ ゲ ン ロ ン ﹄ は 二 〇 一 五 年 の 末 に 創 刊 さ れ た 。 年 三 回 の 刊 行 で 、 と り あ え ず 三 年 続 け る こ と を 目
号 ﹃ ゲ ン ロ ン 10 ﹄ が 刊 行 さ れ る 予 定 だ 。
﹃ ゲ ン ロ ン ﹄ は 次 号 よ り 第 二 期 に 入 る 。 第 二 期 は 年 二 回 の 刊 行 と な り 、 二 〇 一 九 年 の 春 に 最 初 の
や 論 考 を 収 め た 。
い 。 か わ り に 、 第 一 期 に 展 開 し た 三 つ の 特 集 を 補 う 小 特 集 を 設 け 、 第 二 期 の 企 画 に つ な げ る 討 議
愛 に つ い て
﹃ ゲ ン ロ ン 9 ﹄ を お 送 り す る 。 今 号 で ﹃ ゲ ン ロ ン ﹄ の 第 一 期 は 終 了 と な る 。 今 号 全 体 の 特 集 は な
東 浩 紀
ゲンロン 9
028
光 ﹂ に つ い て 、 踏 み 込 ん だ お 話 が で き れ ば と 思 い ま す 。 ど う ぞ
し た 。 五 木 さ ん と 三 人 で 、 ロ シ ア 、 そ し て ﹁ デ ラ シ ネ ﹂ と ﹁ 観
五 木 さ ん の 愛 読 者 で も い ら っ し ゃ る 沼 野 充 義 さ ん を お 招 き し ま
り な が ら 世 界 の 多 様 性 の 意 味 を 探 る 。 今 日 は 、 ロ シ ア 文 学 者 で 、
無 し 草 と し て ア イ デ ン テ ィ テ ィ を 求 め 、 も う 一 方 は 、 故 郷 は あ
客 ﹂ は 近 い 概 念 な の か も し れ ま せ ん 。 か た や 故 郷 を 持 た な い 根
﹁ ロ シ ア ﹂ と 言 え ば 、 ド ス ト エ フ ス キ ー の よ う な 重 厚 な 文 学 で
時 と し て は 非 常 に め ず ら し か っ た か も し れ ま せ ん 。 あ の こ ろ は
五 木 寛 之
違 え た ひ と も い た と い う 話 を 聞 い た こ と が あ り ま す
耳 慣 れ な い タ イ ト ル な の で 、 ﹁ さ ら ば 息 子 は 愚 連 隊 ﹂ と 聞 き 間
書 く と い う の は 、 そ れ 自 体 が き わ だ っ て 先 進 的 だ っ た は ず で す 。
エ ン タ ー テ イ ン メ ン ト と し て ロ シ ア を 扱 う の は 、 当
︵ 笑 ︶
。
考 え て み れ ば 、 五 木 さ ん の お っ し ゃ る ﹁ デ ラ シ ネ ﹂ と ﹁ 観 光 モ ス ク ワ 愚 連 隊 ﹂ で し た 。 当 時 、 モ ス ク ワ を 舞 台 に し て 小 説 を
縮 し て い ま す 。
光 客 の 哲 学 ﹄ ︵ 二 〇 一 七 年 ︶
も お 読 み い た だ い た と の こ と で 、 恐 ビ ュ ー が 一 九 六 六 年 に 雑 誌 ﹃ 小 説 現 代 ﹄ に 掲 載 さ れ た ﹁ さ ら ば
す ね 。 そ し て 、 東 さ ん か ら も ご 指 摘 の あ っ た と お り 、 作 家 デ
る と は 予 想 し て お ら ず 、 驚 き ま し た 。 ぼ く の ﹃ ゲ ン ロ ン 0
ま さ か 五 木 さ ん が ﹃ ゲ ン ロ ン ﹄ の ロ シ ア 特 集 に 反 応 し て く だ 観 さ 五 木 さ ん は 、 早 稲 田 大 学 の ロ シ ア 文 学 科 ︵ 露 文 ︶
の ご 出 身 で
話 し で き れ ば と 思 い ま す 。
ワ 愚 連 隊 ﹂ ︵
ロ シ ア を 題 材 に し た 作 品 を 多 く 執 筆 さ れ て い ま す 。 と は い え 、
を は じ め 、
代 に は 見 え に く く な っ て い る の で は な い か 。 ま ず は そ こ か ら お
ロ シ ア こ そ 五 木 文 学 の 原 点 で あ る と い う こ と は 、 い ま の 若 い 世
︵ と も に 二 〇 [ 一 ★ 七 1 ] 年 。 ︶
た こ と で す
﹃ 小 説 現 代 五 を ﹄ 、 木 取 一 さ り 九 ん あ 六 は げ 六 、 、 年 デ 記 六 ビ 憶 月 号 ュ の 初 ー 問 出 作 題 の を ︶ [ ★ 2 ]
﹁ さ ら ば モ ス ク
論 じ て く だ さ っ
木 文 学 が じ つ は ロ シ ア と 深 い 関 わ り が あ る 、 い や そ れ ど こ ろ か
れ も 大 ベ ス ト セ ラ ー と な り 、 広 く 読 ま れ て い ま す 。 し か し 、 五
イ ﹄ の 連 載 コ ラ ム ﹁ 流 さ れ ゆ く 日 々 ﹂ で 、 ﹃ ゲ ン ロ ン 6 ﹄ ﹃ 7 ﹄ れ に ﹃ 青 春 の 門 ﹄ ︵
こ の 鼎 談 の き っ か け に な っ た の は 、 五 木 さ ん が ﹃ 日 刊 ゲ ン ダ 一 九 九 九 年 ︶
や ﹃ 親 講 鸞 談 ﹄ ︵ 社 、 第 一 部 初 版 刊 行 一 九 七 〇 年 ︶
講 談 社 、 第 一 部 初 版 刊 行 二 〇 〇 な 九 ど 年 ︶
け ま し た 。
沼 野 充 義
五 木 さ ん の 著 作 は 、 ﹃ 大 河 の 一 滴 ﹄ ︵
幻 冬 社 、 、 文 ど そ 庫 、
代 に お け る 人 間 の 本 質 を 鋭 く 分 析 さ れ て お り 、 ぼ く も 感 銘 を 受
︵ 角 川 新 書 ︶
で は 、 ﹁ デ ラ シ ネ ﹂ = 根 無 し 草 を キ ー ワ ー ド に 、 現
六 〇 年 代 を 目 撃 し た エ ン タ ー テ イ ン メ ン ト
ゲンロン 9
い た だ い て い ま す 。 今 年 の 二 月 に 刊 行 さ れ た ﹃ デ ラ シ ネ の 時 代 ﹄
東 浩 紀
本 日 は 作 家 の 五 木 寛 之 さ ん に ゲ ン ロ ン カ フ ェ に お 越 し よ ろ し く お 願 い い た し ま す 。
006
小特集│ロシア現代思想 III
鼎談
五 木 寛 之+沼 野 充 義+東 浩 紀
Hiroyuki Itsuki + Mitsuyoshi Numano + Hiroki Azuma
観と 光 客 の 哲 学
デ ラ シ ネ の 倫 理
An Ethics of the Déraciné and A Philosophy of the Tourist
204
191
論
論
随
作
考
考
筆
土 木 の 神 が 支 配 す る
─ 黒 瀬 陽 平
第 6 回 ︵ 最 終 回 ︶
─
プ ラ ー プ ダ ー ・ ユ ン Prabda Yoon
Yohei Kurose
Marron Shibukawa 解 説
─ 佐 々 木 敦
第 7 回
: :
新 し い 目 ─ の ─ 旅 立 ち
6
渋 革 ま ろ ん
他 の 平 面 論
Wake Up New
─
─ 速 水 健 朗
─
Reign of the Civil Engineering Gods
新 し い ︿ 群 れ ﹀ に つ い て
大 阪 独 立 論
─
7
│
─
第 8 回
On Other Surfaces
の 系 譜 学
独 立 国 家 論
Kenro Hayamizu
Melon Uminekozawa
解 説
─ 大 森 望
賞 受 賞 作
秀 賞 受 賞 論 文
Independent Osaka
ト キ オ ・ ア マ サ ワ
ズ ︶
─
8
─
チ批 ェ評 ル再 生 フ塾 ィ第 ッ3 チ期 最 ュ ︵優
On Independent States
人 上 渉 10 田 ─ 洋 辻 子 田 真 佐 憲
ラ第 ゴ2 回 スゲ 生ン ロ 体ン 都S F 市新 人
The Genealogy of chelfitsch(s): On the New “Crowd”
賭 ロ タ 軍 イ 博 シ ア 現 歌 は 語 世 夢 で 代 文 界 旅 学 未 す ノ を 来 る ー ど う # 世 ト 21 界 # 変 ─ # 7 え 市 8 ─ た 川 ─ 福 か 冨 # 真
229
創
Tokio A masawa
海 猫 沢 め ろ ん
240
─
コ ラ ム
The Lagos Biopolis
─
午 後 の 部 Ⅷ
261
356
English Translations and Abstracts
﹃ ゲ ン ロ ン ﹄ 既 刊 紹 介
─
Afternoon VIII
﹃ ゲ ン ロ ン β ﹄ 既 刊 紹 介
デ ィ ス ク ロ ニ ア の 鳩 時 計
312
The Pigeon Clock of Dischronia
寄 稿 者 一 覧
E01
表 紙 ・ 扉 イ メ ー ジ ─ 梅 沢 和 木
編 集 後 記 ・ 支 援 者 一 覧
355
︶
今 井 晋 ﹁ ゲ ー ム の 時 代 一 〇 の 論 点 ﹂ # 2 の 掲 載 は な く な り ま し た 。
354
LABORATORIES
︵
360
ア ー ト デ ィ レ ク シ ョ ン & デ ザ イ ン ─ 加 藤 賢 策
安 天 ﹁ 韓 国 で 現 代 思 想 は 生 き て い た ﹂ は ﹃ ゲ ン ロ ン 7 ﹄ 掲 載 の # 22 を 最 終 回 と し て 連 載 を 終 了 い た し ま し た 。
316
作
321
327
333 創
訳
─ 福 冨 渉
The Age of Games II Masanori Tsujita
Tetsuya Matsushita
Nobuaki Doi
War Games and the Possibility of Gamic Subjectivity: Beyond Serious Games and Propaganda
Pattern and Symmetry: Indie Games from the Perspective of Animation Films
Playing and Metagames: Gamic Vision as Symbolic Form Takamitsu Yamamoto
Russian Contemporary Thought III ─
Theory of the Novel from “Philosophical Wonder”: From the Notes of the 1940s -1970s
Hajime Kaizawa
3
Mikhail Bakhtin
七 〇 年 代 初 期 の 作 業 ノ ー ト [
ミ ハ イ ル ・ バ フ チ ン
The Question Concerning Technology in China: An Essay in Cosmotechnics Introduction Yuk Hui
Preface to a Fundamental Theory of Games: From the Perspective of Games as Playing with Cause and Effect
山 本 貴 光
080
142
─
序 論 ︵ 3 ︶ ︵ 最 終 回 ︶
From the Phenomenology to the Theory of Laughter and Novel
貝 澤 哉 宇 宙 技 芸 試 論
093
160
土 居 伸 彰
象 徴 形 式 ﹀ と し て の ゲ ー ム 的 視 覚 ─ 松 下 哲 也
│︿
│
110
168
─
ア ニ メ ー シ ョ ン 映 画 か ら イ ン デ ィ ・ ゲ ー ム を 眺 め て
現 代 思 │一 想 九 四 Ⅲ 〇
訳
特 別 掲 載
123
│
│
因 果 の 遊 び と い う 相 の 下 で
七 〇 年 代 の 草 稿 断 片 よ り
シ ア ─ 仲 山 ひ ふ み
訳
の 時 代 Ⅱ
わ れ わ れ に 何 を も ─ 辻 た 田 ら 真 佐 す 憲 か ?
シ リ ア ス ゲ ー ム と プ ロ パ ガ ン ダ を 超 え て
解
説
─ 貝 澤 哉
│戦 争
パ タ ー ン と 対 称 性 プ レ イ ン グ と メ タ ゲ ー ム ゲ ー ム 原 論 序 説
ロ
﹁ 哲 学 的 な 驚 き ﹂ か ら
修 辞 学 が 、 そ の 嘘 偽 り の 程 度 に 応 じ て ⋮ ⋮ / 鏡 の 前 の 人 間 / 笑 い の 精 神 か ら の 小 説 の 誕 生 / 六 〇
現 象 学 か ら 笑 い と 小 説 の 理 論 へ ─ 中 国 に お け る 技 術 へ の 問 い 許ホイユ 煜ク
抜 粋 ]
ゲ ゲ ー ー ム ム は
考
小 特 集 論
小 特 集 集 中 掲 載
目 次
2018 October
Russian Contemporary Thought III
An Ethics of the Déraciné and A Philosophy of the Tourist Hiroyuki Itsuki + Mitsuyoshi Numano + Hiroki A zuma
Hiroki A zuma
On the Language of Love
─ 東 浩 紀
Criticism in Contemporary Japan IV
│
150 Years of Japanese Thought: Intellectuals, Literature, and the Emperor
知 識 人 、 文 学 、 天 皇
五 木 寛 之 + 沼 野 充 義 + 東 浩 紀
愛 に つ い て
005
9
デロ ラシ シア 現 ネ代 の思 倫想 理Ⅲ と 観 光 客 の 哲 学
談
日現 本代 思日 本 想の の批 一評 五Ⅳ 〇 年
Tadashi Karube + Satoshi Osawa + A kinaka Senzaki + Hiroki A zuma
苅 部 直 + 大 澤 聡 + 先 崎 彰 容 + 東 浩 紀
028
038
小 特 集 鼎
小 特 集 共 同 討 議
東 浩 紀
編
genron triannua l Edited by Hiroki Azuma
9 Tokio Amasawa Hiroki Azuma Mikhail Bakhtin Nobuaki Doi Sho Fukutomi Kenro Hayamizu Yuk Hui Makoto Ichikawa Hiroyuki Itsuki Hajime Kaizawa Tadashi Karube Yohei Kurose Tetsuya Matsushita Mitsuyoshi Numano Nozomi Ohmori Satoshi Osawa Atsushi Sasaki Akinaka Senzaki Marron Shibukawa Masanori Tsujita Yoko Ueda Melon Uminekozawa Takamitsu Yamamoto Prabda Yoon