ARCHITECTURALSHOJIPORTFOLIOKANAU
200経歴0 年 島根県松江市 生まれ 2019 年 島根県立出雲高等学校 卒業 2019 年 横浜国立大学 都市科学部 建築学科 入学 2022 年 同学科 Architectural Design 専攻 昌子 叶 サッカー バスケ 映画 カメラ バイク イラスト趣味Shoji Kanau
06 あきこま05 小さな周期の大きな集合04 鳥居の中の共同体03 谷にそう-見える学びの形-02 防火帯バックボーン01 影と共に移ろい住うCONTENTS二年後期課題 「自然の中の居住単位」三年前期課題 「新しい集合住宅」三年後期課題 「私たちのキャンパスの図書館」四年前期課題 「10,000㎡」第9回POLUS建築・学生デザインコンペティション学生企画プロジェクト
地球上の一点に、人間の生活する場を構想します。計画地は北緯37「自然の中の居住単位」 度7 分36 秒、東経138 度25 分14 秒、標高49m。敷地は十分に広く、豊かな自然に囲まれた場所です。「環境のスケール/ ている都市の住まいとは、まったく異なる居住空間のあり方を発見んしてください。(空間のスケールとはどのように決定されるべきでしょうか。空間の気積、建築の各エレメント(床、壁、柱梁、窓、家具など)を、環境のスケールと人間のスケールの双方から考えて、その大きさやかたちを決めていくことはできないでしょうか。今わたしたちが暮らし人間のスケール」雄大な自然環境の中で、わたしたち人間のための居住課題文抜粋)二年後期課題担当教員:冨永美穂、藤原徹平、萬代基介、南俊允/敷地:新潟県上越市/プログラム:住宅/構造:RC造 職住分離した現在の生活の中で、家は自然環境からだけではなく社会から一時的に避難する”シェルター”のように機能している。このシェルター的機能を求める住まい型の中では、人々は社会生活の喧騒からはなれ、家族とのつつましい時間や自分の趣味にひたる時間を重要とし、そこにある居住は住まい手にとってのユートピアである。社会の喧騒から一歩引いたシェルター的住まい方を、雄大な環境指標をもつ自然の中で移ろいながら暮らしていく住宅として提案する。影と共に移ろい住う 01
雪が降っても車に乗れる。 キッチンが隣接し、積み下ろ しも楽に行える。 服作りを趣味に嗜む妻はリビングから キッチンを挟んだ動線上の少し離れた ところで自分の時間を過ごす。 家族が揃う時間になるとみんな が中心に集まり、自然と隣接す る屋根の下で語らい和む。
晴れた夏の夜、少し離れ た露天風呂に入るのが夏 の楽しみである。 書斎は景色を眼下に一望できる高 台にあり、子供のいない昼間をこ こで一人で過ごす。
玄関のアプローチは、家に近くに連 れて徐々に低くなり。大胆に自然と 人間のスケールを感じさせる。 友人親族をゲストハウスに招 待する。彼らも自然を大胆に 感じながら一時を過ごす。
PLAN 1F S=1:200
○PlanS=1:200 N
お風呂の薪を溜める。 自然の中で自立し暮らす。
L字で構成する
N
敷地は、新潟県の山の上、街を挟んで海が一望できるところである。
街から車で片道30分で、居住者は普段、日中を街中で過ごし、その喧騒から 一時的に逃れる週末住宅ならぬ、”日末住宅”である。街を眺望でき、日光を 最大限に浴びることができる。特に、真西に最大限開けているため、西日に よる生活の変化を存分に楽しむことができる。
diagramcomposition
太陽から逃れて一時的に日陰に入 るように家に帰る。家は、街に出 ていく為の拠点のようなモノでは なく、街から離れ、少しの間休 むシェルターのようなモノとし て提案する。
自然の中で移ろう
影や雪、落ち葉の堆積によって “空間”ができる
1日の中で、日陰の領域は変動し、それによって人々の生 活も移ろい続ける。
地面に対して水平にのびるボリュームは環境から孤立せず、ま た季節と共に装いが変わる。
隙間に入るように
壁と屋根からなるL字の構成材で囲むように空間を作ることによっ て、影の中や、屋根の下などが空間を拡張し内と外を曖昧にする 。また、L字は日、風、雨、雪に変化を与え、生活を移ろわす。
囲われることによって “内部空間”ができる
太陽は、東から登って西に沈む。
雪が積もると地面に埋まるように立ち、隙間を縫うように自然 を身近に感じながら快適な生活を可能にする。
1日の陽と陰の変化に伴う領域の増減を大胆に感じること で心地良い生活を可能にする。
同じ陽のリズムでも季節によって陽の方角は最大で90°変動 し、影の長さも伸び縮みする。
影とともに移ろう
SITE/RESEARCH/PROPOSAL
▲中央の居間では、みんなが集まって団欒する。 ▲雪が覆うと、視界が狭くなり、より包まれているような感覚になる。 ▲居間から出ると大きな屋根下空間となり、雪と触れ合える。 ▲二階に寝室があり、ベランダでは存分に陽に当たる。 ▲影の変化を1日の中で感じながら生活をする。 ▲中央のみんなの居間を中心にそれぞれの居場所が分散する。家族で同士での接し方、自然との接し方を選びながら生活する。
防火帯バックボーン
担当教員:大原一興、畝森泰行、藤岡泰寛、藤原徹平、野沢正光、南俊允/敷地:神奈川県横浜市/プログラム:集合住宅、飲食店、工務店、食堂、卸売販売/構造:RC三年前期課題居集合体とすること。都「新しい集合住宅」市に拠点をおく現代社会者にとって、よりふさわしい集合住宅のあり方を提案すること。いわゆるワンルームマンションのような同じ間取りの住戸が反復される集合住宅ではなく、多様性に富むものとし、建築全体が一つの都市と呼べるような居住住者像は自由設定とし、居住者以外の誰でも立ち寄ることができるパブリックスペースをもち、共有スペースの運営・管理は住民が行えるよう、住民の一部または全部がそれを職業とすることができるモノを考えること。課題文抜粋)造、木造 日々私たちの暮らしは変化していき、5年後10年後には今と全く異なる空間を求めるようになる。そんな変わりゆく暮らしに寄り添い、変化していくことのできる空間こそが今私たちに必要なものではないだろうか。このように暮らし方や空間の変化による小さな周期を支えながら、住む人が町に愛着を持ち続けられるぶれない強さを持つ建築であり続けたい。そして、それは次第に周囲に影響を与え、街の核となっていくだろう。防火帯バックボーン 02
野毛町
福富町 商店街で賑わう町
RESIDENCESHOP SITE/RESEARCH
小さい暮らしとお酒の町 古びたアーケードと歓楽の町
この敷地の吉田町は、中でも雰囲気や主体が異なりながらも栄えている三つの町 「野毛町」、「福富町」、「伊勢佐木町」の中間に位置する町である。
伊勢佐木町
横浜の小さな町は、わずか数百メートルの隣り合う町同士で雰囲気が全く異なる。
現在 5年後10年後 15年後 20年後 40年後 50年後 ➡ ➡ ➡ ➡ ➡ ➡ 防火帯建築 伊勢崎モール 福富町 野毛町 小さな暮らしとお酒 古いアーケードと歓楽 遺産に商店 商店街で賑わう 横浜市中区吉田町ー特徴のある町の中心ー 不安定な生活 吉田町ー防火帯建築の可能性ー 都市にある町には不安定の生活を送る人々が多く存在する。 職をいつ失うかわからないシングルマザー。 相方がいつ他界するかわからない老夫婦結婚や同棲を考え難いサラリーマン。 3 年後などを見据えて部屋を多く持つことが不可能な子連れ家族。 防火帯建築とは、都市の防火を目的として、1952年に施行さ れた耐火建築促進法に基づき指定された防火建築帯内に建設さ れた主に3、4階建ての耐火建築物。 1・2階に商業テナント、3・4階に居住が入る建築である。 60年間存在し続けた防火帯建築は防火としての役割は必要なくな ったが、長い間、町を、横浜を支えてきた、町にとっての「遺産」 である。そのため、今でも町の人々の愛着が宿り、町に開けていく 可能性を持っていると考えられる。
PLAN
1F S=1:600
食堂 託児所 建具屋 庭師 建築家 大工 塗装屋 内装屋 家具屋 土間 畑 バルコニー 中庭 畑 土間
PLAN
3F S=1:600
暮らしが変化するたびに、自分の手で空間をつくり変えていく、「増築」の システムと、それを支え、空間や主体が変ろうとも町のアイデンティの受け 皿となり続ける「基盤」を設計する。
遺産をみんなの広場へ
変わりゆく生活と変わらない基盤
防火帯建築の役割拡張、街に関わる生業や住宅を支える基盤を防火帯建築に 関わり合うように配置する。それらは防火帯建築に力を負担させないように 、構造的コアによって実現する。
1階に今まで続いてきた商店街をそのまま残し、上階をほとんど全て取り払 う。2階部分に新たな活動の流れを生み出す「道ひろば」を通す。
住宅部分は全て基盤を支えるコアに横応力をかけるようにくっつく。住宅の 柱は自重のみを負担し、より軽くなることで可変住宅を可能にする。またコ ア内の柱に水回りや電気の配線を通しておくことで、コアのどの箇所からで も住宅の派生ができる。
防火体建築の構図を継承し、1・2階部分には建物に関わる職人さんたちの集 合を配置する。さらに、町で働く人のために、「みんな食堂」と「託児所」 を設置する。既存の防火帯建築にある商業と近接し、町のコミュニティの核 となる。 暮らしを支える町の生業 構造的コアは、住民にとってのコミュニティの中心になる。中庭、バルコニ ー、共同畑、共同湯など、住宅部分のあり方はそれらコアの種類によって多 様な形が現れる。またそれによって、各住戸が裏と表を変化させながら集合 する。
基盤
基盤の設計
増築
compositionFIREBREAKFOUNDATIONHOUSESdiagramCRAFTSBUILDINGS PROPOSAL
住宅の設計
道に植木が表出し、ここはみんなの休憩所になる。▲植木屋がある風景屋外に机が広げられ、周囲の飲食店からも持ち寄ってみんなで食べる。▲食堂の前 居住者は階段で上階に登るが、その周りは吹き抜けで採光が取れる。▲階段と吹き抜け空間▲工務店がある風景工務店で主に住宅に使う木材が加工され、その形成過程を共有する。 FIRST FLOOR
防火帯建築は遊歩道として生まれ変わる。▲「道ひろば」居住と生業は階を分けて近接する。お互いを感じながら生活する。▲住宅と生業 二階の一部を残してギャラリーとする。▲ギャラリー 二階から一回の生業が見える。▲「道ひろば」と生業 二階から三階の居住が見える。道ひろばで青空カフェが開かれると自然と居住者も降りてくる。▲「道ひろば」と居住 THIRD FLOOR SECOND FLOOR
-見える学びの形-谷にそう
さらに、学問分野を超えた学びの共創や、地域・産業との共創などにより教育の多様化、地方創生へつながる<学ぶ場所>を考え設計してください。(あなたが日常接しているキャンパスの中の図書館を設計してください。<学ぶ場所>の感覚を体現しているのが大学のキャンパス空間だと思います。そして自らの<学ぶ願望>のエッセンスの場所に広場や図書館があると思います。学ぶ願望は普遍的で人間の否定できない欲「私たちのキャンパスの図書館ーこれからの<学ぶ場所>のあり方を求めてー」求でありこれからも一生涯あり続けるでしょう。今、横浜国立大学の学生として人と出会い、様々な刺激を受け、周りの自然に心を開放し、また自らの興味に集中し、探究してゆく、<学ぶ場所>の姿はどんなかたちで構想されるのか、考えてください。課題文抜粋)三年後期課題担当教員:乾久美子、大原一興、中川エリカ、野沢正光、藤岡泰寛、南俊允/敷地:神奈川県横浜市/プログラム:図書館/構造:RC造 大学とは、「何かしたい」「何かやり遂げたい」「知らないことを知りたい」「新しいことを始めたい」「周りから認められたい」このような思いを持つ”アマチュア”が集まる場所である。そんな、大学における図書館は「やりたい」「知りたい」「見せたい」を受け入れる大きな器である。私たちが、好きに調べ、話し合い、表現でき、また、それによって新しく何かに出会える図書館を提案する。谷にそうー見える学びの形ー 03
▲通る図書館 図書館が、道に対して垂直に構えて”入る”従来の施設ではなく、生活の一部となるような”通る”ものであると考える。 これによって、本や、映像、表現の場が日常化し、学びの風景が受動的にもたらされる。
SITE/RESEARCH A Aʼ 文系 理系 LAYOUT S=1:200
大学内は、東西で、文系、理系に分かれており、また、中央を通るメイン ストリートによって、表と裏が存在する。
横浜国立大学は、政令指定都市の横浜に位置し、横浜の中心部からは約 3kmほど離れた丘の上にある。もともとはゴルフ場として栄えていた土 地であり、大学及びその周辺は、当時からの起伏や、植生がそのまま残る。
横浜国立大学 中央広場と提案建築 AA’断面
敷地は、それらが交差する中心にあり、この隔たりを解消するのが今回の 課題である。
EV EV 搬入EV 倉庫 荷解き室 職員ラウンジ 貴重書庫 文書保管庫 機械室電子制御室 オフィス 倉庫 倉庫 カウンター 閉架式書庫 カウンター カウンター ホール 1F S=1:400PLAN GL-2000 GL±0 GL±0 カフェテリア 前面がガラス張りであり メインストリートと内部 空間を視覚的につなげる。 屋外ステージ ピロティ空間で演劇や演 奏会が行われる。 職員のラウンジ 裏にある森を見ながら寛 ぐことができる。 平行移動の裏動線 二階から搬入した本をこ こで製本する。ここから 図書館内に運搬する。
凹凸立面 流れを内部空間に引き込 式書庫での活動が見える。
立面が凹凸形状を持つこ とでメインストリートの
む。 屋外ステージ ピロティ空間で演劇や演 奏会が行われる。 見える閉架式書庫 一階から2m下がった所 に位置し、内部から閉架
集積するステージ
谷型の地形は、視線が他方的に交差し、 見るー見られる関係を増長させる。
大学の学びのかたちー見る/見られる化
柱ユニットと平面計画
分割されたステージは、隣のステージから500mm以上の高低 差を持ち、これによって、「視線は通るけど、目の高さは合わ ない」空間が生まれる。
谷地形を作る
本棚の間を抜けるように、壁柱が空間を構成する。 動線、本棚の配置に流れをうみ、本や、人、作品などとの偶然の出会い を演出する。
PROPOSAL
○typeA ○typeA 角が多く、外側に視線が向く
大学における学びの形は、research-discussion-exhibitionで完結する。この一連の流れが 、学びを自己の一部にする過程であり、この過程が見えることによって、さらに新たなことに 出会い、学びを加速させる。
壁柱は空間を仕切るファーニチャーとなる。
・一人で勉強 ・友達と二人で談笑 ・黙々と読書 ・グループでミーティング ・短期的な展覧会 ・ゼミでの使用
断面が本棚スケールの300mm×1800mmの壁柱と、500mm のスラブで空間を作る。
中心性があり、内に視線が集まる
持ち上がった下は新たな地形となり、バッ クヤード、ピロティとして内部機能と外 部の接続を支援する。
Pilotis Backyard Library ち上げるように谷を構成する。
research discussionexhibition
三本の壁柱と、分割されたスラブ(ステージ)が、ユニットとなり、 これによって大空間(ワンルーム)を構成する。
ステージ上においては、複数のグループの存在を成立させるついたて や、アート展示の展示壁になる。
空間構成
一枚の面を分割し、外側から持
EV EV 搬入EV GL+6000 GL+6500 GL+7000 GL+6000 GL+4000 GL+3500 GL+3000 GL+2500 GL+5500 GL+5000 GL+6000 GL+5000 GL+4500 GL+4000 GL+4500 GL+5000 GL+5500 GL+6000 GL+6000 GL+5500 GL+6000 GL+7000 GL+6500 GL+6000 GL+7500 GL+6000 GL+5500 GL+5000 GL+5000 GL+5000 GL+5000 GL+5000 GL+5000 GL+5500 GL+6000 GL+6000 GL+0 2F S=1:400PLAN 分散するステージ 一人で落ち着きたい人から複数で 勉強したい人までが隣り合い共存 する。 道とつながるホール ただ通り過ぎる人も少しだけ レクチャーを公聴できる。 道のよどみ 道の少し広がった空間で 少しだけ座って歓談する 流れの早い居場所。 裏から抜ける 前面がガラス張りであり 裏動線からも表の通りが 見える。 森の中の図書 裏にある木々に飛び出る ように開架図書が並ぶ。 搬入口 搬入口にあるエレベータ ーでそのまま本を一階の バックヤードまで下ろす。 螺旋階段 螺旋階段によって内部空 間を見渡しながら上る。
バックヤード(閉架式書庫も含む)は、平行移動を基本とし 一階平面を囲う三日月状に配置する 内部と同じように外部空間にもステージが現れ、音を出す等の外部で好まれる表現の場となる。 これによって、メインストリートと内部空間が緩やかにつながる。 谷型の内部空間は、東西方向には文系ー理系を、 南北方向には、表と裏をつなぐ緩衝空間となる 段々状の屋根は、地形を表象するのとともに ハイサイドライトを持ち込み内部を明るく照らす SECTION S=1:300
▲谷に沿う内部空間 中央の谷を中心に、ホール、図書閲覧、勉強机、展示場が立地する。
▲メインストリートからのアプローチ 道に対して凹凸を持ち、人々を引き込み、また活動が溢れ出す。 ▲分節するステージ 大小様々なステージがあり、それによって活動が近接しつつ多様になる。 ▲屋内ホールと道 上階も合理的な動線が廻り、その途中にあるホールは誰でも気軽に公聴できる。 ▲屋外ステージ 内部のステージは屋外にもはみ出る。ここでは、演劇や演奏会が開かれる。 ▲上空から見る鳥瞰 南からのハイサイドライトで内部空間を程よく照らす。
鳥居の中の共同体
4「10,000㎡」年生前期課題は卒業設計のためのスタータープロジェクトです。建築家を目指す学生にとって卒業設計とは1 年間かけて制作する大学4 年間の「まとめ」です。この課題で設定する問題や目標を1 年間継続して研究して下さい。そこで見つけた社会的問題または個人的課題を さらに深く研究し、それを空間という形式で回答を与えることを考えてほしいと思います。とりあえずプロジェクトのスケールだけ決めています。100m の線形空間の拡がりを抱きこむような建築です。それを構想してください。 担当教員:畝森泰行、大西麻貴、高橋一平、西澤立衛/敷地:島根県出雲市/プログラム:共同浴場、東屋、図書館、宿泊施設、共同キッチン/構造:木造 四年前期課題 崇拝が世俗の文化から乖離しつつある現在において、宗教都市はどのような役割を持つのだろうか。 「参詣する」という行為には、ただ単に寺社仏閣に赴き拝むだけでなく、その過程にある鳥居をくぐり、町を探索し、その土地のものを食し、疲れを癒しすというおもてなしをうけ、それから参拝し、また町を通って帰るという一連の行為がそれにあたる。 現代において、この宗教空間における「いっときを共同する暮らし」は新しい公共空間の可能性を持っているのではないか。鳥居の中の共同体 04
床を伸ばし、屋根を伸ばすことで居場所をつないでいき、一本の参道が一つの建築の内部空間のようになる。 この体験が参拝という体験を内部化し、異世界の入り口となる。
出雲大社はいまでも住民によっての愛着の対象である。 〈江戸時代後期〜明治時代〉 背景:庶民信仰の盛、参拝旅の大衆化 物見遊山の旅が増え、商工業者が集積「門前町」形成。 それに伴い、芝居小屋、富くじが並ぶ勢溜の整備、二 つの主要参詣道が確立。 〈遥か昔〜鎌倉時代〉 神様が通る道として、海の方向に参道が伸びていた。
〈提案〉 大社内の参拝をするという体験を門前町に拡大し、境内での活 動と門前での活動が連続することで、参拝という体験が、本来 の鳥居を潜ってから町の人々と一時をともにし、土着の文化に 触れ合い、信仰するという一連の体験にかえる。
海から、俗世を経て神域 街道沿いから、森を抜け、門前町で一時を過ごし、大社へ 車、電車を降りて、すぐ大社へ
ここ出雲には、「出雲大社に参拝する」という目的はそのままに時代によって変遷してきた参道の歴史がある。その変化は常に、参道→道沿い→門前町という順を追っており、それによって参拝という体験自体が変容していった。 現代は、参拝という体験は大衆向けに便利になったが、同時に、時間的、空間的に簡略化され、「参拝する」体験は短くなってしまった。
門前町で一時を過ごし、大社へ
出雲神話が数多く語り継がれる土地で、その中心である 現在も「神迎の道」として残っている。 海の方に、居住が定着し、そこから内陸にいくに連 れて神聖さをましていった。
〈明治45年(1912年)〜〉 背景:二つの参詣道の間に国鉄駅とそれに伴う新道路の形成 この参道周りには、観光客向けの商店が立ち並ぶだけでなく、私 鉄の駅や大型の駐車場が作られ、参拝という体験は大衆向けに便 利になったが、同時に、時間的、空間的に簡略化されてしまった 。
ここで数日を過ごすことが参拝の一部であった。
島根県出雲市杵築町
江戸時代における参拝は非常に長く、門前町で短くても数日を町の人々、他の参拝客とともに過ご していた。町には多くの宿屋や、商店が立ち並び、神楽、人形劇といった娯楽も数多くあった。
境内に入ると、鳥居を潜り、中に進むにつれて生茂る木々によって包み込まれるように感じる。こ の、空間の内部体験化が、神秘性を演出し、「参拝」という体験を一体性のあるものにしている。
江戸時代の参拝体験ー町の中で一時を共有する暮らしー
現在の出雲大社の境内の参拝体験ー内部的空間ー 参道の変遷ー短縮化される参拝体験ー SITE/RESEARCH
LAYOUT S=1:2000 出雲大社 第二の鳥居 神門通り 市場通り
参道を中心に、一つの共同体を形成するために建築を提案する。
参道を内部化する構成要素
phase03 参道を内部化する文化が 徐々に町に派生し、街が一 つの共同体のようになる。
曖昧になる境界
PROPOSAL 駄dsだだダッファファファッファッッフ 駄dsだだダッファファファッファッッファファファ
揺らぐ幅 住民の重なり白に
町にはみ出していく建築の構成要素として、床、屋根、立面を考える。
参道における参拝空間とは、線状の活動である。
道を中心に開けるように 居場所ができる。 既存とともに街が内部空間として一体となっていく 参道が通り土間のように内部空間に属する。
ただ通り過ぎるだけでなく、ゆっくり滞在するために道幅を 揺らぎ、道を含めて大きさの変わっていく空間を作る。
既存の空間が、通り土間を 中心に内部空間と接続する
屋根は、外部空間を包括する。 道に対して開けるように屋根をか けることで、道が内部を包括して いるように感じる。 立面は内部空間と外部空間を隔て る壁である。道に対しての立面を 薄くすることで活動が道を中心と した活動になる。
隣の家に空間が伸びていき、境界が曖昧になる空間をつくる。
□phase02 新たな参道町屋の設計 床
これらが、町の共有言語として派生していくことで参道は内部化し、参道を中心とする共同体ができる。
屋根 立面 日常的に住民が使う溜まり場ができることによって、教科 書にあるような町の歴史、神話だけでなく、方言や郷土料 理など、土着の文化に触れることができる。
参拝空間の形成の順序に沿って設計する。
床は地面より少し上がった空間で ある。床に上がると室内入った安 心感を感じる。
□phase01 新たな参道の設計
これによって、家一つ一つの単位がなくなり、参道を中心とし家同士が合体する。 道
設計のプロセスー道の設計→参道町屋の設計→町の設計ー
phase01 参道を居場所ができるよ うに考え直す
境内の木々に包まれる一つの内部空間にいるような感覚を門前町でも体験することが、参拝体験を拡大した鳥居の中の共同体を作 ることにつながると考える。そのために門前町の形式に沿って、以下の操作をする。
phase02 参道に活動が溢れる参道 沿いの建築を考える
参道を内部化する
既存の駐車場等の参道からセットバックした場所も参道として捉え、その溜まりを中心に建築を提案する。
○仮設的に居間を広げる □phase03 新たな町の設計 参道を内部化する文化が徐々に町に派生し、街が一つの共同体のようになる。 ○お店の待合で寛ぐ ○縁側がつながって井戸端会議 ○仮設的にランドリーをつくる ○客間が家の外に広がる ○参道に空間が広がり一つとなる
05 other works 第9回POLUS学生・建築デザインコンペティション「終わらない家」終わらない、は考えたくない言葉である。課題が終わらない、仕事が終わらない、または、このコンペの提出日までに作業が終わらない等々、「終わる」=「完成」して引き渡すことを前提に成立している現在の契約社会で、「終わらない」はあってはならないこと、である。建築においても、竣工という「時間の終わり」や、敷地境界線や所有区分という「空間の終わり」は絶対的な条件であって、これを大前提、あるいは適応条件として、デザインは考えられてきた。しかし、よく考えると、私たちの生活には時間的にも空間的にも「終わり」はあるのだろうか。部屋という終わりを出て、家や敷地という終わりを出て、時には街や国境という終わりを出ても経験は続いていくし、竣工という建設行為の終わりも超えて人の生活という行為は続いていくものである。つまり「終わる=時間的・空間的な境界」は社会を成立させる便宜的なお約束であって、本質的なデザイン背景ではないのでないだろうか。今回考えてもらいたいのは、時間的、空間的な「終わる」を踏み越えた住宅・住宅群・そして都市について、である。それは例えば、サステナビリティやエコロジーの問題として考えることもできるだろうし、コミュニティや生業の問題として捉えることもできるだろう。更には時間的、空間的な限定を前提とした従来の建築「作品」の定義をも更新することになるのかもしれない。もちろん提示された敷地を超えて建築物というモノを作ることは、現実のプロジェクトと同様に基本的にできないが、それ以外のコトやシステムなどは越境することは可能である。終わらない、をデザインの前提に据えた時に見えてくる、これからの「家」や「街」の可能性や豊かさを提示してもらいたい。人々の活動には、どうしても終わりがある。大学生活は4年間しかないし、社会に出ても急な転勤によって生活を変えなければならないことがある。そんな中で、「何かつながっている」、「何か終わっていないんだ」と感じながら住うことが大切ではないだろうか。人々が自分たちの生活を大切に繕っていきながら暮らせるような建築を提案する。小さな周期の大きな集合
竹藪竹藪工房 工房竹藪 広場 竹倉庫 地下茎 地下茎 ピロティ ピロティ シェアスペース シェアスペース YEAR HOUSE 2 WEEK HOUSE 吹き抜け 10 YEAR HOUSE 10 YEAR HOUSE マダケ モウソウチク ハチク 00 現状:住宅地の始まりと終わり 01 居住周期が異なるものたちが関わる場に 02 システム:周期の違う人々が集うことにより生まれる掛け算のアクティビティ 03 竹の生殖 05 植える竹の種類04 竹の管理サイクル 始 09 配置計画(S=1:300)08 むくりとてり07 竹による空間の拡張 10 断面図(S=1:200) 06 竹で作るアクテビティ 周辺住民を取り込んだ大きな集合となり、始まり続けるコミュニティとなる。小さな周期を持つ人間が大きな周期を持つ竹とともに暮らすことによって、 竹藪 竹藪 広場 1 DAY1 HOUR 不動産開発により住宅が短期 的・同時期に新築 重なる。が形成される。人の年齢層がされ街並み 主婦同士、子供同士の交流 どのアクティビティが起こる。街の賑わいとなる。お祭りなが 街全体が熟齢化 たなアクティビティのわるの関係が希薄となる。新し、教える教 きっか けがなくなる。 さまざまな周期を持った人が同じ土地に混ざり合う 地を共有するコモンとなる。なぐようにアクティビティが連続していく。多様性を持ちながら同じ土ことで、タスキをつ 竹は地下茎 成長する。から無性生殖し、一年間で5~8メートル 60~120年周期で一斉開花、そして地下 茎の枯れたタイミングで一斉に枯れる。 マダケ 周期120年 モウソウチク ハチク やすい。細かく割り柔らかい。たけのこ。家具や食用肉厚。築材料に。工芸品や建通直な竹。取り除く炙り油分を竹を直火で 伐採油抜き 地下茎使用 2 WEEK 工するせて竹を加用途に合わさせる埋めて生殖余った竹を必要な量を竹藪から調達する 120 YEAR2-10 YEAR 50 YEAR らたちで加工しなが建材として、住民 居場所を作る。 具として食材容器や生活道 住民で加 工し共有使用する。 あそび道具 製作して作る。ントなどで1からやイベ 周期60年 周期120年 ブラインド コップ天井ザル扇子たけのこ茶せん塀 竹とんぼ 間仕切り壁やぐら 居住者の循環 り壁で区切り、に合わせて空間を竹の間仕切 部屋を増やしたり共有部を 作ったりする。 竹藪の中に分け入る する。わせて居住部を計画ように、むくりに合 竹が身体を包 み暮らしを彩る。 てりがアクティビ ティの広場を包み込 む く街の人が集う。居住者だけでな オー プンな場所となる。 むくりてり 竹を縄で結ぶことで足場 や仮設屋根をかけること ができる。 広場 男結び 吹き抜け竹見やぐら 吹き抜け 広場 道路へと抜ける通りを歩くと、竹藪と広場のアクティビティが連続する絵巻物のよう な空間体験がある。竹藪をかき分けるように建築が建っている。 2YYY年 5月2XXX年 3月 2WWW年 12月2ZZZ年 8月カメラお花お茶DIY料理 竹細工服本ギター絵合絡りが繋てし介を竹が者居入なまざまさ、みうようにアクティビティが生まれていく。 入居年数の違う人々がタスキをつなぐように文化を継承していく。 通り 通り 通り : 竹細工職人・服好き・本好きがワークショップを行い、敷地中心の通りが1 広場 : DIY職人が組み立てたテーブルで料理を振る舞う。図面を書くのが得意な2竹見やぐら : お花好きとお茶好きが共同で茶話会を主催。趣のある一枚をカメラ好きが撮影。住居 : 竹藪越しにお互いの気配を感じながら、室内で絵描きとギタリストが自分の時間を満喫している。DAYの人々で賑わう。WEEKの学生も手伝う。
06 other works 期間:2022.2~2022.5 場所:横浜国立大学都市科学部棟 プログラム:展示空間 学生企画プロジェクト「あきこま」大学とは、単に講義を受け、それを用いた研究を行うだけの場所であろうか。本来の定義からすれば、公共的な研究機関であるとされるが、実際、大学生活とは、学生にとっては社会に出る一歩前の「自分の興味を見つけ、学び、できる範囲で試行錯誤し、自分の核となる物を作り上げる」ステップであり、大学はそれの舞台となる場である。これは、専門領域に限らず、趣味、興味、思考の中の様々な物が当てはまる。現在のコロナ禍においては、他の人と交流し、新たな興味を開くきっかけに出会う機会が減少している。また、これまで様々な活動を通して、横国において表現する機会がそもそも少ないという意見が多くあった。当企画は、自分の興味を、作品を、思考を“表現したい”という思いを持つ人々による空間形成プロジェクトである。“空きコマを過ごす”という日常の中に、アートによる空間形成によって非日常が介在する。アートが背景となること、ワークショップ形式で進行していくことによって、普段アートに興味がない人でもアート活動を行う個人・団体と接する。これは、学生による4ヶ月に渡る空間形成プロジェクトである。あきこま
4ヶ月間で計15回のワークショップを行い空間を形成した。
アート(作品)が、空間の主役ではなく背景となる ことで表現者、鑑賞者のどちらにとっても居やすい 空間となり、アートを介して居場所ができる。
居場所はみんなでつくるものである。電子ピアノ、 ギターを設置し、写真、絵などの作品で飾られた空 間は、いつもとは違う空間で、自然と音楽好きが集 まり演奏を始める。
concept02
その中には、「作品を展示したいけど、自信がないからしたくない」、「展示したいけど、空間はどうでも良い」など、 様々な意見があり、それらを叶えるために以下のコンセプトとした。
参加人数は40人に及び、その中でそれぞれの作りたい空間を議論しながら進めた。
concept01
企画概要ーアートが背景にー
end