PORTFOLIO Hiroki Kataoka
KATAOKA HIROKI 賞歴
略歴 1993.07.12
三 重 県 三 重 郡 生まれ
2014
久 屋 大 通 再 生プロジェクト コン ペティション 2 位
2013-2017
名 古 屋 大 学 工 学 部 環 境 土 木・建 築 学 科 太 幡 研 究 室
2016.3
スターマイカ デ ザインコンテスト 優 秀 賞
2017-
名古屋大学大学院環境学建築科都市環境学専攻 太幡研究室
2016
第 三 回 構 造デ ザインコン ペティション 奨 励 賞
2017.8
日本 建 築 学 会 2 0 1 7 年 度 支 部 共 通 事 業 日本 建 築 学 会 設 計 競 技 全 国 入 選 佳 作
2017.8
2 0 1 7 年 度日本 建 築 学 会 大 会 学 術 講 演 会 都 市 計 画 委 員 会 若 手 優 秀 発 表 賞
活動 2014-2016
N A G O YA A r c h i F e s 会 場 委 員 会 / 運 送 班 長
2017.10
歴 史 的 空 間 再 編 学 生コン ペティション 2 0 1 7 2 0 選
2014-2018
日建 設 計 名 古 屋オフィス/アル バイト
2018.1
大 東 建 託 株 式 会 社 第 6 回 大 東 建 託 賃 貸 住 宅コン ペ 優 秀 賞
2014-2018
米澤隆建築設計事務所/勉強会
2018.9
木 の 家 設 計グランプリ2 0 1 8 奨 励 賞 、堀 部 安 嗣 賞
2017.5
パリ・ヴァル・ドゥ・セ ーヌ国 立 高 等 建 築 学 校 / 天 津 大 学 建 築 学 院 / 名 古
2018.12
第 一 回アサヒグロー バ ル 学 生 設 計コン ペティション 大 賞
屋 大 学 大 学 院 合 同 建 築・都 市 設 計ワークショップ( 名 古 屋 ) 2017.8
内 藤 廣 建 築 設 計 事 務 所 /インターンシップ
技能
2017.9
パリ・ヴァル・ドゥ・セ ーヌ国 立 高 等 建 築 学 校 / 天 津 大 学 建 築 学 院 / 名 古
Ve c t o r W o r k s
Photoshop
屋 大 学 大 学 院 合 同 建 築・都 市 設 計ワークショップ( パリ)
ArchiCAD
Illustrator
2017.12
山 下 設 計 中 部 支 社 /インターンシップ
SketchUp
InDesign
2018.1
内 藤 廣 建 築 設 計 事 務 所 /アル バイト
Rinoceros
Free Hand
2018.3
伊 礼 智 建 築 設 計 事 務 所 /オープンデスク
AutoCAD
Model
theme
時 間 を 翻 訳 す る 空 間
そ こ にど の よう な 時 間 が 流 れ て い た か 。あ る い は 、こ れ か らど の よう な 時 間 が そ こ に 流 れ て い く か 。時 間 の 流 れ を 翻 訳 し 、人 間 に 語 り か け る 空 間 。そ れ は 、時 に は こ れ ま で 流 れ た 時 間 を 直 訳 す る 空 間 で あ り 、ま た 時 に は 潜 在 的 に 必 要 と さ れ て い る 時 間 を 探 り 意 訳 す る 空 間 と な る 。必 要 と さ れ て い る 訳 し 方 は 場 に よ っ て 異 な り 、そ の 訳 し 方 に 形 を 与 える こと が 建 築 で あ ると 考 える 。
2018年名古屋大学大学院学位論文
第6回 大東建託 賃貸住宅コンペ
複 雑ネットワークとして捉えた建 築 集 合 体 の 分 析 手 法とその 活 用 に関 する研 究
生 活 を 縦 貫 す るじじ ば ば 優秀賞
2017年支部共通事業 日本建築学会設計競技
THE RECONSTRUCTION OF PLANTSCAPE
木の家設計グランプリ2018
田 の 字 に わ の あ る 暮 らし
全国入選 佳作
奨 励 賞 、堀 部 安 嗣 賞
第1回アサヒグローバル学生設計コンペティション
第3回2016構造デザインコンペティション
木 を 主とする 住まい 大賞
名古屋大学修士1年 建築・都市設計実習第2課題
NAGONO CULTURAL CROSS THEATER
Wind-ing road
−リニア中 央 新 幹 線 通 気 塔 再 編 計 画 − 奨励賞
複雑ネットワークとして捉えた建築集合体の分析手法とその活用に関する研究 A STYDY ON ANALYSIS METHOD OF COLLECTIVE FORM AS COMPLEX NETWORKAND ITS APPLICATION
Answer to My Theme 建築集合体はイメージの階層性のなかで建物と都市の中間的な役割を担っ ており、本来その時間変化も建物単体と比べ非常にゆっくりとしている。 集合体の魅力は個々の建物に共通して流れた時間による統一性と、建物ご との特有の時間による多様性が共存することで生まれると考える。集合体 はその土地に流れた時間を翻訳した姿である。本研究では集合体に共通し て流れた時間の痕跡であるリンケージを可視化し、縮小時代に集合体的魅 力を保持する手法を考察する。
2018年度名古屋大学大学院環境学研究科都市環境学専攻 修士課程学位論文
成長時代の建築集合体
個 の 形 態
縮小時代の建築集合体
類 型 的
個 性 的 Scanned with CamScanner
建築集合体の 複雑ネットワーク性
多 様 化 集
建設行為が多発する成長時代 の都市においてはデザインコ ードやマスタープランの 制 定 は、そ の 内 的 な 力 を規制しリ ンケージを作り出す計画とし て効果を発揮してきた。
縮小時代の限られた建設行為 において集合体的魅力を向 上 さ せ る た め に は、「個」の要素 である建築物が集合体 の「部 分」や「全 体」とどのような関 係性をも っ て い る か を 建 設 行 為 のリファレンスとすること が今まで以上に重要である。
[ 名大 ]
Scanned with CamScanner
合
いくつかの「個」が「部分」を 作 り 出 し、さ ら に そ れ らが大 きな部分の一部となる。集合体 の内部にはさまざまなスケー ルのリンケージが多 層 的 に 存 在 し、複 雑 ネ ットワークを形成 している。
[ 南山大 ]
「個」は各々緩やかに異なるが、 「個」はそれぞれ異なり「 、集合」 「集合」の形式は敷地内に様々存 の形も敷地内に様々存在する。 在する。
の 形 式 秩 序 [ 有松 ]
化
「個」は各々緩やかに異なるが、 「集合」の形式は秩序的。
図 1 縮小時代における建築集合体の複雑ネットワーク的認識の必要性
図 2 調査対象の類型化
1. 研究の概要
1-2 研究の目的
1-1 研究の社会的背景
小さな敷地単位で都市の密度が上がったり下がったりすることが予想される縮小時代の都市において集合
戦災復興やベビーブームのもとで都市は成長を続けた。成長時代に建物やその外部空間の集合である建築
体の「個」に関する建設行為が「部分」や「全体」に与える影響は、その「個」の他との関わり方によって
集合体 ( 以下、集合体 ) の魅力や景観の保全を目的として実施されてきた手法にデザインコードやマスター
異なるため、複雑ネットワークにおける「個」と「部分」の関係性や「部分」における「個」の役割を適切
プランの制定がある。これらは新設される建物に対して将来を見据えた全体計画との関わりを規定し、建設
に読み取り、持続的な環境変容のリファレンスとする必要がある。
行為が多発する成長時代の都市空間においては、その力の自由を規制して整える計画として有効に機能して
そのため、本研究の一つ目の目的は複雑ネットワークの分析手法を用いて集合体における個−部分−全体
きた。
の関係性を明らかにする手法の確立することである。二つ目に、複数人のイメージから集合体を抽出し、そ
しかし、建設行為自体が限られたものとなりフローからストックへと移行する縮小時代において規制に
れらを分析することで集合体の全体性を意識しつつ、その場所やその建物ごとの創造的なリファレンスを可
よって力を捌くだけでは集合体的魅力の向上は困難となる。個々の建物の集合体における役割の認識が必要
能とする基礎的資料を作成することを目的とする。
であり、今まで以上に集合体の現状の関係性を的確に捉えることが重要となるであろう。 槇は集合体を作り出す結合である「リンケージ」という概念を提示しそれらを5つのカテゴリーに分類し
2. 複雑ネットワークとして捉えた建築集合体の分析手法の検証
た文 1)。カテゴリーやスケールの異なるリンケージが複雑に関係し合った結果、あるまとまりをもった集合
2-1 調査対象の選定
体として認識されている。そのため集合体の広がりは面として捉えるのではなく建物どうしを結節するリン
本章では、集合体をリンケージの複雑ネットワークと捉え、個−部分−全体の関係性の分析を行う際に有
ケージの集積だと捉えるべきではないだろうか。
効な手法を検証する。本研究は集合体におけるリンケージの複雑ネットワーク研究の基礎的段階であるため、 街の広がりの中で周辺から際立った特徴をもち集合体として比較的認知されやすいものを対象とする。既往
①
②
ベージュ系
ガラスのカーテンウォール
車寄せ
モノトーン系
設備バルコニー
彫りの深いファサード
グリーン系
ボックス型のキャンチ
レッド系
横ルーバー
シルバー系
縦ルーバー
タイル
開口
境界
打ち放しコンクリート
通り抜け空間
機能的なパス
構造体のコーナーから壁
大きさの類似
選択
面の延長線を隣接する構
広場
陸屋根
柱型の現し
庇
スラブの張り出し 水平ルーバー
垂直ルーバー
打ち放しコンクリート
大きさの類似
切妻妻入
エントランスの大庇
素
切妻平入
材
厨子2階
腰
陸屋根
ホワイト系 ブラック系 縦格子
通り
通り抜け空間
壁 蔵窓
広場
境界
なまこ壁
羽目板張り その他
虫籠窓
短い方の線分を空間区分 線とする。
ブリッジによる連結
蔵
山車庫 調 停
塀
通り
境界 機能的なパス 選択
格子戸
図 3 一人の調査員によって各集合体で抽出されたリンケージの要素
250 ㎡以下
平均値以下の壁面
区分空間に接している建 小さく区分された空間 の間隔が10m 以下の場 (250 ㎡以下)は隣接する 築物の幅の平均値を計算 し、壁面の幅が平均値よ 空間に分配する。 合はどちらか一方の空間 り小さい場合でその壁面 区分線を採用する。 から発生する区分線の長 さが壁面幅より大きいと き区分線を消去する。 2本の平行な空間区分線
25
図 4 空間区分法の流れ ランダム・ネットワーク
選択
木
下見板張り
じる2本の線分のうち、
機能的なパス
土壁
10m 以下
造体まで引いたときに生
大階段
色調 赤土色
空間区分線
大半のノードはほぼ 同数のリンクをもつ 非常に多くのリンクを もつノードはない
リンクの数
大半のノードはごく少数の リンクしかもたない 少数のハブが 莫大なリンクをもつ
[%]
[ 名大 ] [ 南山大 ] [ 有松 ]
20
スケールフリー・ネットワーク 建物棟数
通り
リンクをもつノードの数
停
④
ブリッジによる連結
リンクをもつノードの数
ピロティ
調
③
15 10 5 0
リンクの数
図 5 ネットワークのランダム性とスケールフリー性
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
建物が獲得したリンケージの要素の種類
11
12
13 [ 種類 ]
図 6 3 つの集合体のリンケージ・ネットワークの構造の比較
研究文 3) より、集合体の特徴を作り出す要因は様々だが、大きく分けると集合体の要素である「個」が類型
で、卒論において【反復】などのリンケージは目に見える範囲の広がり、もしくはその連続程度の大きさで
的か個性的か、また「集合」の形式が多様であるか秩序があるかによって分けられると考え、時代や用途の
認識されることが確認できたため、空間区分法注 2) を用いて区分空間を導出し ( 図 3)、 【反復】と広場による【調
変化に応じて新たなリンケージを追加し続けてきた集合体として [ 名大 ]、一人の建築家による初期のデザ
停】のリンケージを区分空間内にある建物間でのみ生じると規定する。さらに、通りによる【調停】は各建
インを意識的に踏襲し続けてきた集合体として [ 南山大 ]、過去のある時期の街並みを意識的に保存し続け
物の両隣と道の向かい側三棟に限定する。それに基づき [ 名大 ][ 南山大 ][ 有松 ] それぞれのリンケージの表
てきた集合体として [ 有松 ] を調査対象とした。(図 2)
記を行った。
また、リンケージの複雑ネットワークを扱うに当たってネットワークの可視化とその分析用のソフトウェ
2-4 集合体のネットワーク構造の比較
アである Cytoscape 注 1) を活用した分析を行う。
次に三事例のネットワークの構造を比較して分析を行う。複雑ネットワークの分野では、リンクの数とそ
2-2 リンケージの要素の抽出
の 数 の リ ン ク を 持 つ ノ ー ド の 数 を 軸 と し た グ ラ フ の 形 状 に よ っ て ネ ッ ト ワ ー ク の 構 造 を 分 析 す る。
調査1として、一人の調査員により各集合体の現地調査を行い、集合体を構成する可能性を持つリンケー
Albert-Laszlo Barabasi 文 2) は、あらゆる複雑ネットワークにおいて「成長」とリンクの「優先的選択」が行
ジの要素を抽出した。その結果、[ 名大 ] では 25 個、[ 南山大 ] では 17 個、[ 有松 ] では 25 個のリンケー
われることで、大半のノードはごく少数のリンクしかもたず少数のノードのみが多くのリンクをもつという
ジの要素が抽出された ( 図 3)。
スケールフリー性が生じることを説いた(図 5)。そのグラフはべき乗則の形となり、あるノードが攻撃を
2-3 区分空間の導出
受けても全体に与える影響が小さいネットワークが生まれる。
まず [ 名大 ] において抽出されたリンケージの要素を用いて、Cytoscape によるリンケージの複雑ネット
三事例のリンケージのネットワーク構造を表したグラフが図 6 である。構造が大きく異なり、グラフの山
ワークの可視化を試みた。まず、集合体内の全リンケージを地図上に表記したが、建物間の距離や障害物に
の位置が [ 南山大 ][ 有松 ][ 名大 ] の順に左へ移動していることがわかる。集合体は新築や解体を繰り返すこ
よる視界の遮りなどを考慮できていないため、実際の認識と異なる部分が多々含まれる結果となった。そこ
とで「成長」を続け、文化や経済的な理由によって「優先的選択」が行われるリンケージが発生する。その
名大 1C
野依記念学術交流館
名大 1A
写真 2. 有松線以東の景観 名大 1B
理学部 B・C 館
都市計画道路有松線 写真 1. 有松線以西の景観 教育学部本館
IB 電子情報館
ES 総合館
理学南館
Weak
Strong
0
50
100 50
150[m] 100
N
]
150[m
N
図 7 「名大 ] における調査 1 の ESE 分析
図 8 [ 有松 ] における調査 10 の Mcode 分析
結果リンケージのネットワークにもスケールフリー性に似た状況が生じるのではないだろうか。この点につ
ジの強さの比較が可能となる。[ 有松 ] における Mcode 分析の結果は図 8 である。中央を南北に横切る都市
いては今後の調査が必要であるが、今回は「個の形態」と「集合の形式」の二つを軸にした分類の妥当性が、
計画道路を境にして、西側には結節の強い集合体が分布し、東側では結節の弱い集合体が存在すると言う結
三事例が異なる構造であることから示されたという点でとどめておく。
果となった。どちらも伝統的建造物群保存地区に指定されているが、実際に現地を訪れてみると通り以西 ( 写
2-5 集合体の関係性に関する分析手法の検証
真 1) は塗籠造の建物や [ 虫籠窓 ]、[ 厨子二階 ] のリンケージを持つ建物が多く存在するが、通り以東 ( 写真
集合体の部分と部分の関係性についての分析手法を検証する。ここでは、ノード注 3) が反発しあいエッジ
2) はそれらの建物の間に新しく建てられた建物が多く存在しているため、Mcode 分析の結果は妥当と言え
が バ ネ で あ る と 仮 定 し た 状 態 で、全 体 の エ ネ ル ギ ー を 最 小 化 す る ア ル ゴ リ ズ ム (Edge-weight Spring
るだろう。
Strong
Weak
Embedded Layout、以下 ESE 分析 ) を用いる。それによって関係性の高いノードの集合の抽出とそれらの結 びつきを確認することができる。[ 名大 ] における ESE 分析の結果は図 7 のようになる。IB 電子情報館等によっ
3. 複雑ネットワークとして捉えた建築集合体の分析
て [ 名大 1A] が形成され、ES 総合館や理学南館等によって [ 名大 1B] が形成されている。[ 名大 1A] と [ 名
3-1 調査方法
大 1B] を結節するノードとして情報基盤センターや理学部 B・C 館がはたらいていることがわかる。特に、
前章において集合体の分析手法として Cytoscape の有効性は示せたが、一人の調査員による認識を用いた
理学部 B・C 館は野依記念学術交流館などからなる [ 名大 1C] との結節点にもなっていることが読み取れる。
ため集合体の分析としては客観性にかける。そこで、[ 有松 ][ 名大 ][ 南山大 ] の各集合体において複数人の
これらはキャンパスにおける建物の実際の位置やデザインからして妥当な結果であると考えられる。
調査員による調査 2 を行い、Cytoscape を用いた分析を行う。
2-6 集合体内のリンケージの強さに関する分析手法の検証
調査がやや専門的な知識を必要としたことから、調査員は建築学専攻の学部 4 年生及び大学院生 6 名と
集合体のリンケージの強さについての分析手法を検証する。ここでは、ネットワークの中から強固に関係
した。まず、各調査員に集合体の概念を教示し、次に約 2 時間手渡した白地図の範囲を自由に歩いてもらい
性をもつクラスターを抽出するアルゴリズム (Mcode 分析 ) を用いる。それにより集合体の「部分」のリンケー
ながら、幾つかの質問項目に答えてもらった。
群A 群B 群C
群D
群E 群F
群G
群A
1.建築形態(下見板張り)、2.素材(木)、2.色調 (ホワイト系)
群B
1.建築形態(下見板張り)、(切妻平入り)、(厨 子2階)、2.素材(木)、15.開口(虫籠窓)、(格子 戸)、17.その他(のれん)
群C
1.建築形態(切妻平入り)、2.素材(木)、 15.開口(格子戸)、17.その他(のれん)
群D
1.建築形態(下見板張り)、(切妻平入り)、 2.素材(木)、2.色調(ブラック系)、 15.開口(格子戸)、17.その他(のれん)
群E
1.建築形態(なまこ壁)、2.色調(ホワイト系) 15.開口(格子戸)
群F
1.建築形態(下見板張り)、2.素材(木)、11.塀 15.開口(格子戸)、17.その他(暖簾)
群G
1.建築形態(ホワイト系)、2.素材(木)
群H
1.建築形態(切妻平入り)
群I
8.通り、13.切妻屋根、14.庇、 17.その他(のれん)、18.人
群H 群I
0
20
50
100 [m]
図 9 調査 2 における調査員の記入例
( 手順 1) 白地図の範囲を約 2 時間程度自由に散策し、歩いたルートを地図上に記入する。 ( 手順 2) 集合体を形成していると思った範囲を地図上に囲む。その際、その集合体に名前をつける。 ( 手順 3) 集合体の認識要因となった空間構成要素を抽出する。調査シートには空間構成要素として, 「建築について」4 項目、 「建築以外の構造物について 8 項目 「 , 建築を構成するエレメントについて」 5 項目、「その他の要素について」6 項目の計 21 項目 ( それぞれに「その他」を含む ) が用意され ており、その中で集合体としての認識要因をチェックし、その具体的内容として一言程度のコメ ントを記入する。( 図 9) 3-2 調査員による集合体の認識に基づく分析 調査 2 で得られた [ 名大 ] における ESE 分析の結果は図 10 上である。調査 1 の結果と同様にキャ ンパス内に複数の集合体が存在し、それらが特定の建物を介して関係をもっている状況が確認で きる。しかし、IB 電子情報館や教育学部本館等が含まれる [ 名大 2A] と、ES 総合館や理学南館等 が含まれる [ 名大 2B] の関係が調査1より希薄である。調査1では IB 館や理学部 B・C 館が [ 名大 1A] と [ 名大 1B] を結節するノードとしてはたらいていたが、調査 2 では [ 名大 2A] と [ 名大 2B]
■凡例
色調 ( ベージュ ) 彫りの深いファサード 通り 横ルーバー 縦ルーバー 素材 ( タイル )
が IB 館や理学部 B・C 館と共に理学部 A 館等が含まれる [ 名大 2C] を介して関係をもっているこ とがわかる。また、調査 1 では [ 名大 1A] に含まれていた赤崎記念館等が [ 名大 2D] として認識
図 10 調査 2 における [ 名大 ] の ESE 分析
図 11 [ 有松 ] における調査 2 の ESE 分析
図 12 [ 南山大 ] における調査 2 の ESE 分析
されており、[ 名大 2A] と [ 名大 2D] を結節するノードとして工学部 1 号館が機能していることがわかる。
し合い「全体」が作り出されている。一方、[ 有松 ]( 図 11) は突出した「部分」は認識されておらず「部分」
複数人の集合体の認識を基にした ESE 分析によって「部分」と「部分」を結びつける重要なノードである「個」
どうしが密に関係しあって「全体」を形成している。[ 南山大 ]( 図 12) では少数ではあるが「強固な部分」
を抽出できたため、続いて具体的にそれらを結ぶどのリンケージがどのように重要なのかを分析する。図
が見受けられ、[ 名大 ] と [ 有松 ] の集合体の中間的な位置づけと言え、「全体」を構成する仕組みが異なる
10 下は調査 2 において調査員に認識された理学部 B・C 館を含む集合体の認識範囲とその認識要因となっ
ことがわかる。
たリンケージの要素を表したものである。そして、[ 名大 ] における調査 2 の ESE 分析をそれらの理学部
調査 2 における [ 有松 ] の Mcode 分析は図 13 である。調査1と同様に有松線以西の集合体の方が以東よ
B・C 館に関係するリンケージの要素ごとに表記したものが図 8 下である。これより、理学部 B・C 館は [ 名
り強固なリンケージを形成している。しかし、まつのね橋周辺にも強固なリンケージが認識されている。こ
大 2A] 側の建物とのあいだに [ 素材 ( タイル )] や [ 色調 ( ベージュ )] によるリンケージが形成され、[ 名大
の辺りは比較的新しい住宅が多く存在し、古い街並みの連続の中で異端なものとして逆に強固なリンケージ
2B] 側の建物とのあいだに [ ルーバー ] によるリンケージが形成されており、さらにその一帯の建物とのあ
をもつ集合体として認識されたと考察できる。リンケージの強さが集合体的魅力に直接結びつくわけではな
いだに [ 通り ] によるリンケージが形成されている。理学部 B・C 館は周辺の建物と多種のリンケージを形
いため、仮に集合体内で価値のあるリンケージと価値の無いリンケージを選別する必要性が発生した際は、
成しており、リンケージどうしの結節点として重要であることが明らかとなった。「部分」どうしを結節す
今回行った調査に加えて各々のリンケージが生み出す集合体の魅力の調査が必要であると考えられ、この点
るノードの具体的な重要性が明らかにできたことで、今後理学部 B・C 館自体やその周辺に建設行為を加え
については今後の課題とする。
る際に、デザインコードなどによる画一的な規制ではなく、集合体の全体性を意識したその場所やその建物 ごとの創造的なリファレンスとすることが可能となるであろう。
4. 総括
次に [ 名大 ][ 南山大 ][ 有松 ] の ESE 分析の結果を比較する。[ 名大 ]( 図 8 上 ) の内部には「個」と「全体」
以上、縮小時代において集合体的魅力を持続的に維持するために個−部分−全体の関係を明らかにする手
の間に複数人の調査員によって認識される「強固な部分」とも言える突出した集合体があり、それらが関連
法が必要であるという問題意識から、[ 有松 ][ 名大 ][ 南山大 ] という構造の異なる三つの集合体で複雑ネッ
Weak
Strong
N
図 13 [ 有松 ] における調査 2 の Mcode 分析
トワーク解析ソフトを用いた実験的な分析を行い、その手法の妥当性を示した。続いて、複数名の調査員の 集合体のイメージからリンケージの抽出を行いそれらに基づいて分析を行った。その結果、集合体における 「個」の要素が担う役割や「部分」に働くリンケージの強さの比較が考察された。デザインコードは集合体 の要素である個々の建物を一律に規制することで街並みを整えることを目的としているが、集合体の認識要 因はデザインコードで指定された空間構成要素のみに限らない。今回検証した手法を用いることで、「建物 の立地」なども踏まえてリンケージを意識することが可能となり、これまで見逃されてきた個々の建物の、 集合体の要素としての位置付けを評価することが可能となるだろう。 本研究の調査地は周辺から際立った特徴をもち建築集合体として比較的認識されやすかったが、今後は本 分析モデルの他の街への応用を行うことが一つの課題である。今回の分析モデルを均質な建物が建ち並ぶ校 外型住宅地で行った際、集合体が認識されずこの手法は効果を発揮しない可能性があり、今後検討しなけれ ばならない。しかし、研究の位置付けとして、集合体の存在は住宅地よりも、様々な背景をもつ人々が他の 地から訪れる市街地において、より重要であると考えている。集合体の存在は都市のイメージ形成を助け、 イメージアビリティを向上させる。住宅地においてもイメージアビリティの向上は必要であるが、むしろそ のイメージがもつ意味という側面が重要になってくると考える。
【注釈】 注 1) Cytoscape は分子間相互作用やワールド・ワイド・ウェブなどの複雑ネットワークの可視化と分析に利用されるオー プンソースのプラットフォームである。 注 2) 人が地表に立ったときに建物がつながっていなくても囲まれていると認知できる一定範囲の空間である区分空間 を導出する方法文 2)。 注 3) ここではネットワーク理論の用語の定義に基づき、ネットワークの頂点を「ノード」、それらを結ぶ線を「エッジ」 と呼ぶ。K・リンチ文 5) が用いた「エッジ ( 縁 )」「ノード ( 結節点 )」という用語とは意味的に異なる。 【参考文献】 文 1) 槇文彦:「NOTE ON COLLECTIVE FORM」, JA 1994 年 4 月号 文 2) 石田陽子 , 萩島哲 , 坂井猛 , 有馬隆文 , 日高圭一郎:屋外空間評価のための単位空間設定と指標の構築∼大学キャン パス等を実例として , 日本建築学会学術講演梗概集 , 105-108, 2004.7 文 3) アルバート・ラズロ・バラバシ著 / 青木薫訳:『新ネットワーク思考―世界のしくみを読み解く』, NHK 出版 , 2002 文 4) 大野秀敏 +MPF:『ファイバーシティ 縮小の時代の都市像』, 東京大学出版 , 2016 文 5) K・リンチ著 / 丹下健三 , 富田玲子訳:都市のイメージ , 岩波書店 ,1968
THE RECONSTRUCTION OF PLANTSCAPE Answer to My Theme 石油化学コンビナートは利益と損害を与え、街の歴史を大きく動かした。 時間の流れに揺さぶりをかけた石油化学コンビナートという近代工業遺産 の圧倒的な力を空間体験によって表現し、後世へと受け継ぐための歴史資 料館を提案する。
Project
2017年支部共通事業 日本建築学会設計競技 「地域の素材 から立ち現れる建築」 (修士1年)
Site
三重県四日市市
Duraction
約2ヶ月
Program
歴史資料館
Award
全国入選 佳作
Jury
末廣香織、伊藤恭行、梅沢良三、三分一博志、中山眞琴、 藤浩志、渡辺菊眞
01
Research
工業都市・四日市におけるコンビナートの存在
三重県四日市市は高度経済成長期の 1960 年代に日本初の本格的 な石油化学コンビナートが建造され、大幅な経済成長を遂げた。 しかし、
■石油化学コンビナートから排出される白煙と四日市の街並み
その代償として深刻な大気汚染が発生し、四大公害の一つである「四 日市ぜんそく」を引き起こした。現在でも公害に悩まされている被害者
700
もいる一方で、最近では工場夜景を楽しむツアーが開催されるなど観
600
光資源としても期待がされている。近代産業の発展は様々な面で街に
500
巨大な影響を与えた。
400 300
近年、化学産業の国内需要は低下の一途を辿り、2020 年の日本の
200
化学産業生産量は、現在より約2割減少すると予想されている。石油
100
化学コンビナートも規模の縮小を迫られており、四日市の街に大きな 影響を与え続けてきたその存在が変わりつつある。
生産能力 720万トン
800
0
輸出 190万トン 国内生産量 610万トン
生産能力 640万トン
100万トン
国内需要 420万トン
370万トン
2012年
2020年
国内生産量 470万トン
■エチレン国内生産量の 2012 年から 2020 年までの推移予測
ੴ༉ԽֶίϯϏφʔτͷݐஙૉࡐ 必要施設量
02
Research
560 棟
30 棟
480 棟
120 棟
石油化学コンビナートの設備は高温・高圧の非常に厳しい環境に耐 えるために合理性を最優先に考えられており、構造物の形態に円筒形 や球が多く用いられているのは、そのような過酷な環境に耐えるため の合理的な形態だからである。また、構造物の材料には構造的強度を 確保するためにステンレス鋼やチタン合金などの高強度材料が用いら れる。これらは、石油化学コンビナートの規模縮小に伴い現在の設備 の約1割が廃材になると考えられている。
石油タンク
ガスタンク
蒸留塔
不要となる石油化学コンビナート主要構成物の予測発生量(2020 年まで)
03
Site
石油化学コンビナートと共にある四日市市
時代
出来事
第3コンビナート 1941 年
石原産業㈱四日市工場、大協石油㈱
site
(現、コスモ石油㈱)四日市製油所 などの大手企業が操業開始
1955 年
水質汚濁・異臭魚の出現
1959 年
第 1 コンビナート稼動
1963 年
第2コンビナート稼動
第 2 コンビナート
第 1 コンビナート
この頃から住民運動が活発化 1964 年
公害患者が肺気腫で死亡(公害犠牲
1965 年
四日市市が公害患者の治療費を負担
者第1号)
する制度発足(18 人を認定、うち
伊勢湾
三重県四日市市
14 人が入院患者) (医療費の無料化) 1967 年
四日市公害訴訟始まる
1972 年
第 3 コンビナート稼動
防災緑地
「三重県公害防止条例」改正、施行(全
敷地は四日市コンビナートと住宅街の境界に位置する規模が縮小し た石油化学コンビナートの跡地であり、現在は防災緑地として利用され
住宅地
国で初の本格的な硫黄酸化物の総量 規制 を導入)
石油化学コンビナート
A
四日市公害損害賠償事件 判決→仮執
A
行 (9,500 万円の賠償金を支払う )
ている。石油化学コンビナートの発達と共に街は発展し、それに伴っ 0
て公害の被害も拡大した。縮小に伴い解体することになった石油化学 コンビナートの主要構成物の廃材を用い、それぞれの特徴を活かした 歴史資料館を計画する。
■四日市市におけるコンビナートと公害の経緯
100
200
500[m]
04
Proposal
近代産業が街に与えた影響の空間化
コンビナートはあらゆる面で街に 巨大な影響を与えてきた。
その特徴的な大空間に 四日市のコンビナートは産業の発展や公害以外にも、あらゆる面で
演出を加え再構成する。
街に貢献し、一方で街を害し続けてきた。その影響の巨大さを、コン ビナートの規模縮小に伴って不要となった主要設備がもつ特徴的な大 空間に、空間的演出を加えることで表現し、後世へと継承することが 本提案の目的である。コンビナート特有の大空間や構造的強固さを展
コンビナートが四日市の街へ与え
示空間として活かし、それらをパイプによる導線でつなぎ合わせること
てきた影響の大きさは建築的表現
で一つの建築とする。コンビナートの廃材から立ち現われる建築は、 普段の生活では体験できない非日常的スケールの空間を作り出すこと ができる。
によって後世へと継承される。
0
5
10
20
50[m]
S=1:600 3F Plan
04
Proposal
素材:石油化学コンビナートの主要構成物の廃材
* ৠཹౝ
100m ■充填式蒸留塔 ( 左 ) と棚段式蒸留塔 ( 右 )
20m バブルキャップ 新設スラブ トレイ
バブルキャップ
ɹੴ༉ͷਫ਼Λߦ͏ઃඋͰ͋Γɺେ͖͍ͷͰ ܘN ߴ͞ N ʹ ͳΔɻ෦ۭؒͰؾӷ৮໘ੵΛେ͖͘͢Δ͕ࢪ͞Ε͓ͯΓɺৠཹͷ ํ๏ʹΑΓ୨ஈౝͱॆరౝʹ͚ΒΕΔɻ୨ஈࣜ෦ʹόϒϧΩϟοϓͱ
液体
ݺΕΔ݀Λ։͚ͨ൘͕͍ͭ͘ઃஔ͞Ε͍ͯΔɻॆరࣜ෦ʹॆరΛ ຬͨ͠ɺද໘্Ͱؾӷ৮Λߦ͏ͨΊ෦େ͖ͳۭಎͱͳ͍ͬͯΔɻ
■棚段式蒸留塔の詳細図
トレイ
୨ஈࣜৠཹౝΛར༻ͨ͠ࢢެԂ ୨ஈࣜৠཹౝͷτϨΠͷΛݮΒ͠ɺ෦ΛཱମతͳࢢެԂͱ͢ΔɻόϒϧΩϟοϓ ͷ্෦ʹεϥϒΛ৽ઃ͠ɺԼ෦ʹਫΛྲྀ͢͜ͱͰཱମతͳਫۭؒΛੜΈग़͢ɻ
04
Proposal
素材:石油化学コンビナートの主要構成物の廃材
* ΨελϯΫɺੴ༉λϯΫ
10m
35m
■ガスタンクの解体風景
ɹΨεੴ༉ͷҰ࣌తͳஷଂॴͱͳΔλϯΫʹؾମΛஷଂ͢Δͱܗٿӷ ମΛஷଂ͢ΔͨΊͷԁ͕͋ܗΔɻΨελϯΫେ͖͍ͷͰ ܘNɺੴ ༉λϯΫͰ N ʹͿٴɻน໘εςϯϨε߯Ͱ࡞ʹݻڧΒΕ͓ͯΓɺน
ステンレス鋼板
ް NN ఔͰ͋ΔɻΨελϯΫͷղମํ๏ʮϦϯΰൽΉ͖๏ʯͱݺ ΕɺղମͷաఔͰΒͤΜঢ়ͷమ൘͕ੜ͞ΕΔɻ
■ガスタンクの解体風景
「リンゴ皮むき工法」による解体
ओཁߏͷ֎นΛར༻ͨ͠ΞτϦϜ ΨελϯΫɾੴ༉λϯΫͷେ͖͕͞ҟͳΔน໘ཱ͕ମతʹ༷ʑͳϰΥΠυۭؒΛ࡞Γग़ ͢ɻඇৗతͳεέʔϧͷߏ͕ີʹूੵ͢Δ͜ͱͰѹతͳۭؒମݧΛΓग़͢ɻ
04
Proposal
素材:石油化学コンビナートの主要構成物の廃材
*** ύΠϓϥΠϯ
50mm 7000mm
■ガスタンクの解体風景 1800mm
ステンレス鋼 or チタン鋼 耐火被覆 鉄板 チタン鋼
ɹίϯϏφʔτΛॎԣແਚʹΓճΔύΠϓϥΠϯܘηϯνͷখ͞ ͳͷ͔Β ܘN Λ͑Δͷ·Ͱ͞·͟·Ͱ͋Δɻ෦ेؾѹͷߴ ͍ѹྗ͔ͭඦͷߴԹͰ͋Γɺաࠅͳʹڥ͑ΒΕΔΑ͏ɺνλϯ߯ εςϯϨε߯Λ༻͍ͯ࡞ʹݻڧΒΕ͍ͯΔɻ
ステンレス鋼
■ガスタンクの解体風景
ɹύΠϓϥΠϯΛར༻ͨ͠ϥϯυεέʔϓ ݐલ໘ͷՐʹ͔ͬͯ৳ͼΔύΠϓϥΠϯ͕ɺϥϯυε έʔϓͱҰମͱͳͬͨϑΝχνϟʔՖஃΛ࡞Γग़͢ɻྺ࢙ࢿྉؗ ͷߏ͕ੜΈग़͢ѹతͳεέʔϧ͔ΒৗతͳώϡʔϚϯε έʔϧͱ࿈ଓతʹམͱ͠ࠐΉσβΠϯɻ
■ S=1:400 A-A Section
ɹύΠϓϥΠϯΛར༻ͨ͠ߏͱಈઢ
高強度コンクリート
鉄骨梁
ステンレス鋼パイプ
■パイプラインの CFT 柱としての活用
ɹߴڧͷύΠϓʹίϯΫϦʔτΛॆర͠ $'5 பͱͯ͢͠༻׆Δɻ·ͨɺ ύΠϓϥΠϯ͕͍ͳͰ࣭ۉಈઢͱͯ͠ΞτεέʔϧͷۭؒΛͭͳ͗ɺۭؒ ମݧͷγʔΫΤϯεʹϦζϜΛ༩͑Δɻ
Λ ओ ͱ ͢ Δ ॅ · ͍
Answer to My Theme 「人を主とする住まい」はそれまでの空間と時間の関係を断つことで成長 時代の膨大な住宅需要に応えてきた。それらの住宅が縮小時代へと転じた 今、周辺環境へ悪影響を与えている。住宅需要が低下したことで可能とな った100年という時間を蓄積していく空間が作り出す生活を提案する。
Project
第1回 アサヒグローバル学生設計コンペティション 「100 年先も生き続けるライフデザイン住宅
Site
三重県四日市市
Duraction
約1ヶ月
Program
戸建て住宅10世帯
Award
最優秀賞
Jury
加茂紀和子、吉村靖孝、野呂新吾
01
Problem
土地 と 用 途 の 一 対 一 対 応 が 生 ん だ 環 境 の 悪 化
住 「 住 」 と い う 字 は「 人 」 を「 主 」 と す る と 書 く 。 これまでの100年、人口と共に増加する住宅需要に効率よく対応するために我々人間が主であることを前提とした住宅計画が進められてきた。 しかし、人口規模が縮小しそのような住宅地から主である人間がいなくなりつつある現在、地方のいたるところで荒廃した空き家や空き地が目につく。 人間のための空間から人間が消えることで治安の悪化や安全性の低下を招くという問題が浮上しています。
01
Proposal
蓄積される時間と共存する暮らし
- Now -
- 100 years later -
人 間 が 住 む た め だ け に 土 地 を 開 発 す る の で は な く 、い つ か 自 然 へ 返 す 選 択 肢 を 残 し な が ら 人 間 の 住 む 土 地 を 一 時 的 に 借 り る 。 そして結果的に、世代を超えて人々がこの土地に親しみ続ける生活をデザインします。
02
Research
土地に時間を蓄積する樹木の存在
25
ケヤキ イチョウ
20
樹 高 [m]
クスノキ
15
ソメイヨシノ
10 5 0
クスノキ
ケヤキ
0
20
40
60
80
100
樹齢[年] 16 ソメイヨシノ
枝 張 り [m]
ソメイヨシノ
イチョウ
12
ケヤキ クスノキ
8
イチョウ
4
0
0
20
40
60
80
100
樹齢[年]
人間、建物、そして樹木はそれぞれの成長や更新にかかる時間のスケールが異なる。樹齢が長い樹木は土 地に時間を蓄積する。成長する樹木と共に暮らし、敷地に流れる時間と共存する暮らしを提案する。
03
Proposal
100 年後も樹木と共にある RC 造と借り暮らしを支える木造
1.
2.
Volonoi Line Volonoi Point
100年後の枝張りを考慮し
それらの樹木を基にボロノイ図を作成し
敷地内に均等にシンボルツリーを配置する。
樹木の成長に最も影響の少ない位置を割り出す。
3.
4.
ボロノイ線を軸に建物の基礎となる RC造部分を建て
樹木の成長と並行し住宅需要は失われていく。
それに対し木造部分を付加する。
住む人がいなくなっても、木を主として土地は生き続ける。
[ case.1 階段席のある住まい ]
Light w
Vie
Vo
lon
- Now -
oi
Vo
lon
Lin
e
oi
Lin
e
- 100 years later -
住宅としての需要がなくなったあ と、樹木を愛でる場となる階段席 を内にもつ建物。階段に合わせて 架けられた大屋根に空けられた大 開口から光と緑を取り込みながら ■S=1:100 2F Plan
豊かに暮らす。
Vo l
on
oi
Li n
e
[ case.2 花見舞台のある住まい ]
Volonoi Point
oi Volon
- Now -
Line
Volonoi Point
- 100 years later -
樹木が大木となった頃、 枝葉が少しかかる花見 舞台が内在する住宅。 周囲に対してオープン な1階と静かな2階が緑 ■S=1:100 2F Plan
をめぐる異なる豊かさ を生み出す。
[ case.3 見晴らし塔のある住まい ]
Vie
w
w
Vie
Volonoi Point
- Now -
Volonoi Point - 100 years later -
樹木が成長することで 徐々に緑の中へと姿が消 えていく見晴らし塔を もった建物。部屋ごとに 異なる高さから緑を楽し み、住宅に内在された見 晴らし塔は部屋どうしを 結びつける。
■S=1:100 Section
- Now -
枝張り 4,000[mm]
樹 高 6,000[mm]
S=1:150 Section 0
1
2
5
根 の 広 が り 3,000[mm] 10[m]
小さく住む豊かな暮らし ボロノイ図によって決定された建物配置は、建物によって囲まれたヒューマンスケールの外部空間 の連続を作り出す。樹木を中心としたそれらの庭は小さな暮らしが滲み出る受け皿となり、10棟の 住宅からなる集合体を魅力的で豊かな空間にする。
樹 高 15,000[mm]
枝張り 12,000[mm]
根 の 広 が り 14,000[mm]
時間が蓄積した空間 地方都市における住宅の需要は低下し、この土地は住宅としての用途である必要がなくなる。そこ には人間の住宅需要の変化のスピードのみに対応した土地では得られなかった100年の時間の蓄積 が存在し、魅力的なパワーをもった空間を作り出す。
- 100 years later -
- Now -
- 100 years later -
Shoe Design Craft School
Nagoya Folding Fan
trial Technology Museum
Red Brick Wall Monument
Nagoya Ca
Suehirodo
Sales and Demonstratiof Folding Fan
Leather Studio West
Nagoya Noh Theate
Sweets and Toys Wholesaler Group Mamehuku Head OďŹƒce
Narudan Instrument S
Horikaw
a River
Noritake no mori
Manufacture,Sale and S
emichi
Road
Endoji Shopping Street
Kobiki town
astle
er
School of Taisho Harp
NAGONO CULTURAL CROSS THEATER
Shop
Answer to My Theme 名古屋城の城下町として発展した那古野地区は、その後の時間の変遷の中 でその時々の特徴的な文化を今なお色濃く残している。この土地に流れた 時間を年輪のように刻んだ文化を、現在を生きる人々と結びつける空間を 提案する。
Project
修士1年設計課題
Site
愛知県名古屋市
Duraction
約2ヶ月
Program
廃校利活用
01
Research
名古屋城
那古野に残る文化の年輪
円頓寺商店街
菓子問屋街 堀川 SITE
SITE
栄 名古屋駅
名古屋市西区は、名古屋城の城下町の西端として古くから発展し、 武家屋敷、町屋、社寺が今でも建ち並んでいる。古くから様々な文 化が混ざり合い名古屋扇子などのこの地域固有の伝統産業が育ま れた。戦後は菓子問屋街として発展し商業的にも栄え、名古屋駅が つくられたことで日本屈指の交通の要所ともなった。それぞれの時 代ごとに地域の特色をあらわす文化が今でも残っている。
プライム セントラルタワー
02
Proposal
デジタルアーカイブスによる移動時の文化体験
敷地は名古屋駅と円頓寺商店街や名古屋城を結ぶルート沿いに位置し、 近辺のオフィスの会社員や専門学校の生徒、観光客や近隣住民など、背景の 異なる多くの人々が歩いて通過する光景が見られる。また、旧那古野小学校 の東に位置するコミュニティセンターの方の話によると、名古屋市内から習い 事を受けに来る親子連れも多いという。しかし、これらの背景の異なる人々 は互いに関係をもつことなくそれぞれの活動を行なっている。人々の動きが 活発なこの土地にふさわしい文化の交差点を提案する。 周辺に残る様々な文化を発信する場としてデジタルアーカイブスの公開を 中心としたミュージアムとその関連施設を提案する。この地域の文化を校舎に 用いられた既存の壁を利用し視覚的に表現することで、街の人々が普段の通 勤などの移動の中で地域の文化に触れる機会を生み出す。
03
Stracture
「まち」と呼応するふたつの道
■ P G 工 法 ( P o r t a b l e G r i d 工 法 ) による接 合 ブレースを入れることなく耐震補強も兼ねた 鉄骨とコンクリートの接合を可能とする。
既存 RC 柱 あと施工アンカー コンクリート打設 せん断補強筋 スタッド
既存小学校は廊下などを作り出す 2500mm スパンと普通教室など を作り出す 7200mm スパンからできている。既存の廊下があった校 舎西面を解体し、既存の RC 造より大きなスパンの S 造フレームを増 築する。そこに大階段やスキップフロアを設けることで、人の動きの 活発な街から建物内部へ連続したつながりを作り出す。
■移動空間の拡張 既存小学校の廊下部分を解体し、 新たに鉄骨造によるより大きなスパンの空間を 増築する。建物内に多様なスケールの空間が生まれる。
既存の RC 柱と S 柱との接合には耐震補強時に用いられる PG 工法 (Portable Grid 工法 ) を応用した接合を行う。これによってブレース を入れることなく耐震補強を兼ねることができる。
既存廊下解体部分 新設廊下増築部分
04
Program
環境を操作する形態
READING
WORK SHOP
CAFETERIA
ASSEMBLY
THEATER
PUBLIC VIEWING
EXHIBITION
CRAFT
展示空間は既存教室を活用した小規模な空間と増築部分による大規模な空間を縫うような動線計画と し、学校建築の特徴である多く配された壁面にデジタルアーカイブの投影を行う。体育館や校庭より大規 模な鑑賞向けのスペースとし、規模に応じて使い分けることで多様な文化活動の集合体を作り出す。
Endoji Shopping Street
Junior College
Civic Center
17R x 223.5 16G x 250
UP
1 2 3 4
1
3
2
7
6
5
Kindergarden
UP
4
5
18R x 211.1 17G x 250
UP
1 2 3 4
25R x 224 17R x 223.5 16G x 250
UP
1 2 3 4
5 6
Office (Nagoya Prime Central Tower)
6 5 4 3 2 UP
1
0
5
10
20
40[m]
S=1:600 Plot & 1st Floor Plan
新設部分
0
5
10
20[m]
S=1:400 2nd Floor Plan
0
5
10
20[m]
S=1:400 3rd Floor Plan
5,700
3,800
▽3FL
3,800
▽M2FL ▽2FL
3,800
5,700
600
▽1FL ▽GL
■S=1:250 Section Perth
既存の教室、体育館、校庭といった小学校ならではの異なるスケールの空間を活用 し様々な映像鑑賞の場を提供する。多様な活動を許容する空間は文化活動のるつぼ となり、蓄積された時間を空間に翻訳する場となる。
生 活 を 縦 貫 す る じ じ ば ば
Answer to My Theme 経験と豊富な知識をもつ高齢者の存在は、様々な問題を抱えた若者たちが 生きる現代社会にとって既存価値である。ひとつの建物を時間的に分化し て活用する事で、これまで空間的に分化されてきた高齢者と若者の生活を 結びつける新たな賃貸住宅を提案する。
Project
第6回 大東建託 賃貸住宅コンペ「既存価値を上げる賃貸住 宅 -豊島区編-」
Site
東京都豊島区
Duraction
約1ヶ月
Program
賃貸住宅兼店舗
Award
優秀賞
Jury
千葉学、赤松佳珠子、横川正紀、小林克満、馬場正尊
01
Problem
現代社会の既存価値である「じじばば」
高齢者は効率性と経済性が重要視される都市から排除され続けてきた。その結果、都心に住む若者は高齢者との関わりが少ない。しかし、働く世代が抱えるストレスや 育児に関する社会問題などは、高齢者の知恵や経験によって解決できる事も多いのではないだろうか。高齢化が進み消滅可能性都市にも指定された豊島区の状況を既存 価値と捉え、若者の暮らしと高齢者の暮らしが自然と交わる新たな賃貸住宅を提案する。
02
Site
「じじばば」で賑わう豊島区巣鴨地蔵通り商店街
唐申塚駅
巣鴨駅 SITE
巣鴨地蔵通商店街
0
50
100
200
500[m]
■巣鴨地蔵通商店街の様子
敷地は東京都豊島区の巣鴨地蔵通り商店街の一画。 「おばあちゃんの原宿」と呼ばれ、 多くの高齢者で常に賑わっている。敷地は商店街のメインストリートに面しており、 敷地を挟んでメインストリートと反対側には小さな公園がある。
03
Proposal -System-
住宅と店舗間でのタイムシェアリング
現状
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
zzz
若者
睡眠
朝食
提案
若者 / じじばば
睡眠 朝食・支度
通勤
仕事
帰宅 夕食 入浴
休憩
就寝 zzz
準備
商売
帰宅 夕食
入浴
就寝
zzz
zzz
睡眠 朝食・支度
24
zzz
zzz
じじばば
23
商売
夕食 入浴
休憩
就寝
都心で働く若者たちの自宅での生活時間帯と、高齢者の店舗での商売の時間帯にはズレがある。そのズレを利用したタイムシェアを行うことで、住宅設備の充実と家賃の 低減を実現するとともに、日々の暮らしの中に両者の活動が重なる時間帯が発生し、適度な距離を保った若者と高齢者の関わりが自然と生まれる。
04
Proposal -Architecture-
ふたつの暮らしの軸をもつ賃貸住宅
組合 風呂
風呂
収納
住戸
A
住戸
住戸 B
住戸
C
キッ A
住戸
チン
B
住戸
C
寝室
Y
X
寄り
収納
住戸
銭湯
キッ A
住戸
チン
B
住戸
C
寝室
Y
X
住戸
A住
戸
カフ B住 戸
ェ
C
Y X
一般的な賃貸住宅では、各
住宅の機能を x 方向に整理
寝室、収納など最低限のプライベー
昼 間 は 高 齢 者 の 暮らしの
住戸内に生活に必要最低限
することで、住戸レイヤーを
ト空間以外を X 方向に連結し住民の
軸 、夜間は若者の暮らしの
の機能が割り当てらてる。
機能レイヤーへ転換する。
いない昼間は店舗として貸し出す。
軸が現れる賃貸住宅となる。
場
Housing
Housing
Park
5,460
1,820
28,750 8,190
1,820
5,460
3,000
1,820
1,820
3,000
Public Kitchen
1,820
Warehouse
Meeting Place
Public Bath
Closet
Closet
Warehouse
1,820
10,920
1,820
Rental housing
1,820
Living Room
Shoe Store
Clothes Store
1,820
Hair Salon
Living Room
Shopping District
Dental Clinic
Clothes Store
Furniture Store
0
1
2
5
10[m]
S=1:150 1F Plan
5,460
1,820
8,190
1,820
5,460
Closet
Study Room
3,000
Bedroom
Toilet
Toilet
Lounge
Bedroom
1,820
1,820
Closet
1,820
Laundry Room
1,820
10,920
1,820
1,820
1,820
3,000
28,750
0
1
2
5
10[m]
S=1:100 2F Plan
28,7 3,000
1,820
2,350
1,650
". एऀग़͠ۈɺߴྸऀ͍ͷ४උΛ͢Δ
300
2,450
6,750
8
5,460
毎日の生活の中に若者とお年寄りが自然と関わりを持つ時間帯が発生する。若者の出勤時間にお年寄りは商売の準備を始め、、、
8,1
750 1,820
190
6
5,460
3,000
1. एऀ͠ؼɺߴྸऀ͍ͷย͚Λ͢Δ
若者が帰宅する時間帯にお年寄りの商売の片付けが始まる。これらの時間帯に挨拶やちょっとした会話などの適度な距離を保った交流が生まれる。
0
500
1000
2000
5000[m]
S=1:50 Section
公園と商店街をおおらかにつなぐキッチンとダイニングでは、休日には若者が高齢者 に料理を教えてもらったり一緒に食事をとったりする事ができる。
若者が働きに出ている時間帯は、賃貸住宅の共用部が高齢者を始めとする商店街の 人々によってカフェや銭湯、商店街組合の寄合場として使われる。
lాͷࣈʹΘz ͷ͋ΔΒ͠
Answer to My Theme 大きな庭で小さく暮らし、生活のあらゆる場面で常に庭と深く関わりをも って暮らせればとても気持ちが良いのではないだろうか。郊外のスプロー ル化が進む中で、もう一度庭付き一戸建ての豊かさを引き出す小さな住宅 を提案する。
Project
木の家設計グランプリ2018「もう一度、庭付き一戸建て」
Site
愛知県弥富市
Duraction
約1ヶ月
Program
住宅
Award
奨励賞、堀部安嗣賞
Jury
荻野寿也、竹原義二、松岡拓公雄、横内敏人、伊礼智、 堀部安嗣
01
Concept
暮らしに反応する庭
Private
日本の農家における田の字型プランは四つの均質な場が周
Public
囲の環境に応じてそれぞれの特性を帯び、またその柔軟さ は生活のハレとケを同じ場で演出する。田の字型プランの 住宅のように建物や敷地周辺の環境に敏感で、柔軟な使わ れ方も許容する庭があれば暮らしと庭の関係はもっと深く て気持ちの良いものになるのではないだろうか。
田の字型プランは周辺の状況によってそれぞれの場の特性が決まる。
Member 住人は名古屋市で働く夫と、自宅でピアノ教室を営む若い 夫婦。ピアノ教室に通う子供達や近所のおばあちゃんが日 常的に出入りし、年に数回開催されるピアノの発表会の際 は生徒達の親も集まる。
名古屋市で働く夫と 自宅でピアノ教室を営む妻
ピアノ教室に通う子供達
近所のおばあちゃん
02
Site
愛知県弥富市
名古屋市 Site N
弥富駅
伊勢湾
N
敷地は愛知県弥富市。名古屋市の中心部から電車で20 分ほどの近さにありながら、豊かな田園風景が今もな お残されている。低地には広大な水田が広がり、住宅 は小高い土地に敷かれた道路に沿って線状に密集し集 落を形成している。
03
Proposal
時間をデザインする 田の字にわ
ɹ༨നʹઃ͚ΒΕΔఉ
ɹେ͖ͳఉΛΏΔִͯ͘Δখ͞ͳΒ͠
寝室
書斎
従来の住宅では庭は敷地いっぱいに建物を配置した際の余白
浴室
部分に設けられる。建物と庭のあいだに存在する主従関係。
トイレ
ɹlాͷࣈʹΘz Λͭ͘ΔՈ
サンルーム
ピアノ室
ダイニング
キッチン
玄関 居間
最小限の室を十字の隅と中央に配置することで、庭を緩やかに 建物を小さくし、かつ十字型にすることで庭は田の字型に分
四分割する。室どうしの間の半外部空間も日々の生活における
割され、建物と庭の接触面は増加する。
居場所とすることで生活と庭の距離が近くなる。
ɹʹ͍ޓҾཱ͖ͯ͋͏Ոͱఉ 水田
寝室 自分だけの庭 書斎
朝起きた時に庭が見えるように 寝室には低い位置に窓を設ける
キッチンに なる庭
浴室 トイレ
サンルーム ピアノ室
公園のような庭
玄関
ダイニング キッチン
田園風景を一番よく見える位置に 作り付けの書棚と屋外ベンチを設ける
玄関になる庭
居間
道路 庭は周縁の状況に応じてそれぞれが特徴を帯びていく。それに応じ て家に適切な設えを施す。家と庭が相互に引き立てあう関係。
ヤマザクラがよく見え日当たりの良い窓 際に大きめのソファーを設ける。
キッチンには準備をしながら田園風景と 庭のサルスベリを見えるように窓を設ける。
18,200 7,280
1,820
1,820
1,820
3,640 3,640
マテシバイ h=7m
マテシバイ h=9m
2,730
7,280 910
3,640
3,640
マテシバイ h=7m
サルスベリ h=8m
1,820
シダレエンジュ h=8m
アオハダ h=8m
3,640
サルスベリ h=5m
1,820
3,640
イヌマキ×7 h=2m
サルスベリ h=7m
キンモクセイ h=8m 3,640
5,460
14,560
1,820
5,460
畑
ヤマザクラ h=7m ヤマモミジ h=12m
ヤマモミジ h=10m
ヤマザクラ h=10m ミツバツツジ×9 h=1.5m ■S=1:70 1階平面図兼配置図
N
ɹੜʹڞͱ׆͢Δఉ
子供室 増築エリア
海抜0m地帯であり周辺の住宅は盛り土を施しその上に生垣を植えため、通りに対して非常に圧迫 子供遊び場 増築エリア
■西側立面図 S=1:100
感がある。通り沿いの庭に高い生垣を植えないことで通りに開放感を与え、石垣を腰掛けに使え るようにすることで近所の人たちの井戸端会議の場にもなる。
若い夫婦が暮らすこの家では、将来的に子供 が生まれ家族の人数が増加するかもしれない。 庭にゆとりがあるこの家では、子供室を増築 したり、通りに面した庭に遊具を設けて周辺 に住む友達と一緒に遊べる子供スペースを設 けたりと、長い人生における変化にも対応す ることができる。住民の生活の成長とともに 家と庭も共に成長するゆとりをもつ住宅。
■A-A 敷地面積 320.00㎡ 建築面積 110.97㎡ 建蔽率 34.68% 容積率 34.68%
最小限の室空間の間は半外部空間となるため、建物内での移動の際は必ず半外 部空間を通る。それにより従来の住宅よりも普段の生活と庭の関係が深くなる。
断面図 S=1:100
二つの庭に挟まれた半外部空間は、扉を開け放てば 心地よい風がぬける快適な居場所。
晴れた日にはダイニングとつながる庭で食事。大勢が集 まる食事の際は、ダイニングを挟んで二つの庭を連結す ることで生活のハレの場を演出する。
演奏会などの日には、分割された庭と建物が一体で使わ れ、生活のハレの日を彩る舞台となる。
Wind-ing road
−リニア中央新幹線通気塔再編計画−
Answer to My Theme 我々の生活を支える土木構造物の多くは、それ自体の巨大さやその場所に 流れる強大なエネルギーゆえに我々の普段の生活からは乖離されている。 本提案は大深度地下にて進められているリニア中央新幹線計画において、 我々が日常を生きる「まち」との「呼応」の仕方を考えなおす。
Project
第3回2016構造デザインコンペティション「まち・呼応・ 構造」
Site
東京都町田市
Duraction
約1ヶ月
Program
リニア中央新幹線通気塔
Award
奨励賞
Jury
赤松佳珠子、新谷眞人、大森博司、佐藤淳、竹中司、 永井拓生、彦根茂、和田章
01
Concept
計画ルート
土木と建築の呼応
N
調布市
非常口・換気口 停車駅
稲城市
多摩市
港区
狛江市
世田谷区
八王子市 川崎市 site
町田市
相模原市
横浜市
0
2
4 km
東京ー名古屋間を40分で結ぶリニア中央新幹線計画が 2027 年の開業を目指して進められている。計画では大深度地下をトンネ
1980
1990
2000
2010
2020
ルで通過するため地上への避難口と通気口を兼ねたシャフトが必要 不可欠であり、首都圏では 5km おきに設置が考えられている。こ のように土木的スケールの地下インフラの一部が地上へ現れる際、 その場所へのインパクトは多大なものである関わらず、地上の景観 や文化への配慮が十分になされていないのが現状である。 東京湾トンネル (2012 年 )
そこで私たちは、地上に現れる通気口の再考と、大深度地下を 貫く巨大インフラと地上の建築とが呼応し地域のための公園となる ような場を提案する。 青函トンネル (1985 年 )
首都高「中央環状新宿線」(1985 年 )
東京駅換気塔 (2012 年 )
景観・地域性を無視したデザイン
02
Problem & Proposal
通気塔の問題とその再考
大深度地下を走行するリニア中央新幹線がトンネルに突入する際に圧縮波 が発生する。これらは分岐させて外部へ逃す必要がある。この際に発生する 普段の生活では体感できないほどのエネルギーを備えた風力を、地上の暮ら しや場所に還元することを考えた通気口兼非常口となる縦シャフトの設計を行
従来のような人との関係を無視したデザインでは 無機質で景観を損ねる巨大な構造物になってしまう。
う。
微気圧波の放射 多 孔 板 圧縮波の伝搬
トンネル杭口
圧縮波の形成 ■微気圧波波発生のメカニズム
トンネル内
圧縮波の伝搬
非 常 口
トンネル内
構造物によって風の流れを制御しエネルギーを人やまちへと還元する。
03
Site
「まち」と呼応するふたつの道 計画ルート
非常口・換気口 停車駅
N
調布市 稲城市
多摩市
港区
狛江市
世田谷区
八王子市 川崎市 site
相模原市
町田市
横浜市
0
2
4 km
首都圏に計画されている通気口は9つあり、東京都品川区のよう な都心に計画されるものや神奈川県川崎市などの市街地に計画され るものもあるが、今回は市街地と自然豊かな土地との境界に位置する、 リニア中央新幹線 ( 風の道 )
東京都町田市の通気口設置計画地を対象とした提案を行う。
絹の道
町田市は生糸の輸送ルートとして町田街道 ( 絹の道 ) が利用された ことから、街道沿いの原町田地区が交通の拠点として繁栄し、道とい
site
うインフラがまちと呼応して発展し続けてきた歴史がある。大深度地
時代
出来事
明治時代
絹の道・宿場町として 栄える。
下で都市間を結ぶリニア中央新幹線計画(風の道)を街と道が呼応
1908 年
JR 横浜線開通
し続ける町田市の歴史に織り込み、人々の居場所となる立体公園を
1923 年
小田急小田原線開通
計画する。
2027 年
リニア中央新幹線開通
0
100 200
500
■町田市における交通の発展の経緯
04
Proposal
環境を操作する形態 1. 多様な周辺環境・高低差
2. 動線・非常口
3. 風を拡散する
風
風
温室
標高 141m 風
標高 154m
畑
標高 154m
平地
標高 152m 標高 150m
野球場
標高 150m
標高 150m
計画予定地には 4m ほどの高低差が存在し、 温室や畑、野球場、森など自然の要素に囲まれている
風
風
計画予定の非常口は標高 154m の丘の上に位置する
4. 螺旋を作る
5. 構造を作る
大屋根をかけて穴から吹き出す風をコントロールする
6. 風・動線の変化 建設発生土
自然を眺める
風
階段アーチ
風を感じる 温室 穴
穴
GL+8000
GL+8000 GL+8000
都市を眺める
GL+4000
風
野球を観戦する
動線
動線
螺旋形状にすることで内部に光を取り入れ、屋根に
建設発生土を用い敷地の一部を盛り
階段アーチにより南北方向の風の流れを封じ
登ることで景観や吹き上げる風を楽しむ展望台となる
構造を補強する階段アーチをかける
東西方向に風を集める形態とする。
05
Structure
構造が生み出す地下インフラとの呼応
主に重心によって支えられた不安定 な構造物に対し、通気口から風が吹 き抜ける為リニア新幹線が通り抜け るたびに揺れが生じる構造。 CLT を利用して一体として 作られた「うずまきフレーム」
Vertival Load
通気口を覆うように「ふきだしコーン」を設置する。
通気口からふきだした風が これらによって制御されて吹き抜ける。
Vertival Load
ふきだしコーン
階段アーチ
制振オイルダンパー d
oa
H
n
izo
ir or
L tal
自重は主にうずまきフレームの重心位置に
さらに短軸方向に配置された階段アーチが圧縮力を負担し、う
水平荷重に対しても主にふきだしコーンで対応する。
おいてうずまきフレームによって支持する。
ずまきフレームに沿って制振オイルダンパーを配置する。
制振オイルダンパーは風による揺れを減衰させる。
階段アーチ うずまきフレームの 鉛直荷重の一部を負担
1
うずまきフレーム CLTでできた 渦状のフレーム たわむことで螺旋を形成
3
ふきだしコーン リニアの風はここから吹き出す うずまきフレームを支持する
4
2
1
1 Deck Area 2 Cafeteria
3 BBQ Area
制振ダンパー
4 Air Vent
風による揺れを減衰させる
■S=1:400 1F PLAN
■S=1:1000 Arrangement Plan
大深度地下を走るリニア中 央 新 幹 線 が 生 み 出 す 風 の 強 さ を 減 衰 し、都 市と自然 を 結 び つ ける方 向 に 流 す 。うずまきフレ ーム に よ っ て 斜 面 方 向 に 風 を 流 し 、 尾 根 方 向 は 地 形 によって閉じる。フレームから溢れる風や、制 振ダン パ ー に よ り 制 御 さ れ た うずまきフレ ーム の 小 さ な 揺 れ は 大 深 度 地 下 と ま ち の 呼 応 を 生 み 出 す 。
微気圧波
Scale
0 1 2
5
遅い
速い 風速
■単軸断面における風シミュレーション
微気圧波により1時間に4回 5m/sの風が吹き上がる
10[m]