Change vol14

The Educational Research Center for Anthrozoology Newsletter

www.ercaz.jp

和 製ヒトと 動 物 の 関 係 学 の た め に

CHANGE

By ANTHROZOOLOGY in Japan

巻頭言 カート・コートショー博士 & アンドレア・ビーツ博士

崇拝から伴侶としての動物、 そして動物介在療法まで 新説イヌ 第 8 回

「 犬 と 猫 」優 れ て い る の は ど っ ち ？ ERCAZ レポート

犬との授業～動物ふれあい教育事業の実践～

ニュースレター July 2012

14

Vol.

第 7 回JAPDTカンファレンスプログラム一覧

パピートレーニング・基礎から実践へ！ 2012年8月24日(金)～26日(日) 会場： 麻布大学（神奈川県相模原市）

第1会場（8501教室） Puppy Care

10:00 11:50

８/

13:00

24

13:50

藤井仁美

ペットの衛生管理

Ｏｗｎｅｒ

小林豊和

Puppy Care

ヘルス・スパンをのばす 食生活

10:00

杉山尚子

山本央子

解る、出来る、伝えるための 学習理論

13:00

14:50 15:00 16:50

16:50

The influence of nutrients Ｏｗｎｅｒ Lore I. Haug on behavior. 行動に影響を与える栄養素

第1会場（8501教室） Ｖｅｔ, Ｎｕｒｓ

10:00

山崎千佳 11:50

8/

25

13:00 14:50

森山敏彦

（土） 15:00

Puppy Care

パピークラスを運営する際に 必要なこと & 大切なこと

ドッグトレーナーのための マーケティング Puppy Care

千葉陽子

16:50

ドッグトレーナーのための 犬の解剖学

11:50 13:00

Raining Dominance

26

15:00

Ｖｅｔ, Ｎｕｒｓ

（日）

Ｏｗｎｅｒ

14:50

Puppy Care

～問題行動の予防のために～

家庭犬のトレーニングにフライボール を取り入れて楽しくトレーニング

Ｄｅｍｏ

第3会場（大教室） Ｄｅｍｏ

犬の生理学

11:50

14:50

11:50

Beyound Counterconditioning.

13:00

株式会社 ヒーロー

仮題） ディスクドッグ Ｄｅｍｏ

13:00

Lore I. Haug 逆条件づけ（拮抗条件づけ）を超えて

小木曽薫子

～行動修正の補助的なテクニック～ 14:50

ケーナインフリースタイル Back to Basics!

※各会場や出展会場 の詳細については、当日の会場案内をご覧ください。

カンファレンスのここに注目！

事前申し込み

8/20

まで

●一般の飼い主の方にも オススメ ！

普段の犬との生活のなかでも、特に気に かけていないとつい見落としがちな重要な 問題が隠れています。この講演を機会に皆 様で考えてみてはいかがでしょうか！

人と犬の生活圏が近くなるにつれて様々な問 題が目立つようになってきました。これらの問題 行動の予防や治療方法が注目されています。 今回のカンファレンスでは病院内でのパピークラ スや行動治療の内容も開催しますので、一度聞 いてみてはいかがでしょうか！ Ｖｅｔ, Ｎｕｒｓ

川野信哉

16:50

10:00

※講演タイトル、内容は変更することがありますのでご了承ください。

●獣医師・看護師の方に オススメ！

飼い主のモチベーションを上げる オビディエンストレーニングの応用

第2会場（8502教室）

家庭内でのパピーの飼い方

Ｄｅｍｏ

Ｄｅｍｏ

田中浩美

15:00

～行動治療に入る前に チェック！チェック！～

太田光明

「テリントンTタッチ ワークショップ」 ～Tタッチを トレーニングに取り入れる～

16:50

Puppy Care

～行動に影響をあたえる要因～

鹿野正顕

15:00

13:00

疾患で生じる問題行動！

内田佳子

16:50

犬の行動学

13:00

油木真砂子

～何故、我々は陽性強化法を 14:50 用いた方が良いのか～

10:00

11:50

14:50

第3会場（大教室）

Lore I. Haug 流れゆく優位性

14:50

仮題） 避妊去勢が関与する 問題行動 Ｄｅｍｏ

Separation Related Distress 10:00 in Dogs. 分離がもたらすイヌへの苦痛 11:50

Lore I. Haug

Puppy Care

長谷川成志

Ｖｅｔ, Ｎｕｒｓ

水越美奈 11:50

第2会場（8502教室） 10:00

第1会場（8501教室） 10:00

8/

第3会場（大教室）

行動分析学とは何か ドッグトレーニングの技術を 生み出す心理学

11:50 13:00

(金） 14:00 14:50 15:00

第2会場（8502教室） 10:00

Ｏｗｎｅｒ ●パピーケアに必要な項目とは ！ パピーの時期に教えておきたいこと、知って おきたいことはたくさんあります。下記のマーク が入っている講演は、パピーケアに関する情報 が盛りだくさんの講演となっています。 また、この講演を受講いただくと、JAPDTより パピーケア修了証を発行いたします。 Puppy Care

出展会場：8号館 5階 8503教室 8/24（金） １１：５０ 開場 8/26（日） １５：００ 終了

当日 事前

￥12,000 ￥8,000

￥3,000

￥15,000

￥2,000

￥10,000

当日 事前 当日

￥18,000

￥4,500

￥30,000

￥12,000

￥3,000

￥20,000

￥22,500

￥6,000

￥45,000

事前

￥15,000

￥4,000

￥30,000

※事前申込割引料金でのお申し込みは8月20日までとなります。 ※お申込はウェブサイト（http：//www.japdt.com）をご覧ください。 ※学校団体様向け 学生パック割引料金がございます。 詳しくはウェブサイトをご覧ください。

JAPDTは、米国ペットドッグトレーナーズ協会(APDT)と連携し、トレーニングや適切な健康管理 に関する知識と技術を持った優れたトレーナーの参画のもとに、健全なペットとの共生社会に 寄与しています。

〒252-5201 神奈川県相模原市中央区淵野辺1-17-71 麻布大学 介在動物学研究室 TEL：042-786-7549 FAX：042-786-7147

CHANGE July 2012 Vol 14

C o n t e n t s ERCAZ featur e 4

Special Comment 巻頭言

July 2012 Vol.6

カート・コートショー博士 ( ウィーン大学 )& アンドレア・ビーツ博士 ( ロストック大学 )

崇拝から伴侶としての動物、 そして動物介在療法まで 10

ERCAZ R epor t 犬を用いた教育支援事業報告

犬との授業～動物ふれあい教育事業の実践～ 12

Ser ies of ne w t h e o ry ” D o g ” 新説イヌ 第 8 回

「犬と猫」優れているのはどっち？

Model Animal Dai, Tono

Publishing Director

ERCAZ-JAPDT joint 18

Ev ent&Topics

Mitsuaki Ohta

JAPDT featur e Chief Editor Junko Akiyama

19

Confer ence R epo r t & S t u d y 第 6 回 JAPDT カンファレンスレポート

イヌのハンドリングとジェントリング（講師 福山貴昭）

Editor Yuta Okamoto Masaaki Kano Miyako Kano

Photographic

22

24

Masaaki Kano CHANGE 14 号／ Bridge 6 号 2012 年 7 月 1 日発行 発行所： ヒトと動物の関係に関する 教育研究センター (ERCAZ) ／ NPO 法人日本ペットドッグ トレーナーズ協会（JAPDT） 〒 252-5201 神奈川県相模原市中央区淵野辺 1-17-71 麻布大学介在動物学研究室 Tel:042-786-7027 Fax:042-786-7147 info@ercaz.jp

本誌記事・写真等の無断転用を固く 禁じます ©ERCAZ 2012

26

Dogs

犬種紹介 ダックスフンド R esearch

研究

イヌにおける人の表情に対する弁別能力 ～飼い主の笑顔でイヌとのより良い関係を築く～

R epor t JAPDT 事務局より

2011 年度 第 7 回 JAPDT 定期総会 Model's Profile 「ダイ」 木曽馬 （せん馬）

「トノ」 ジャーマン・シェパード ( ♂ ) 愛嬌ある表情の木曽馬のダイは、研究室創設時（1996 年）からの仲間です。来た当初は訓練されていない馬で したが、今では人とのふれあいや乗馬を安定して任せら れ、子どもたちに一番人気のある馬となりました。 シェパードは、本誌の第 7 号で取り上げたように、高 い運動能力、優れた訓練性能を持ち、飼い主と強い絆を 築く犬種です。殿（トノ）は、見た目は怖くて強そうで すが、気の優しい性格です。

ん？寝ているところをキャッチさ れたトノ君。

本誌は ERCAZ および JAPDT の機関誌です。次号は 10 月 1 日（秋）発行予定です。

種間の社会生活、絆形成と愛着

て 説 明 し ま す。 最 後 に、 種 内、

える上で明らかな二面性につい

らパートナーの社会的欲求を考

とが可能か、二つの異なる種か

と社会的にかかわろうとするこ

ます。二番目に、人は他の動物

に興味を持つ理由について述べ

が、実質的に動物と暮らすこと

こ の 寄 稿 文 で は、 ま ず 最 初 に、あらゆる文化の多くの人々

の信頼を発達させる能力や、情

そうした愛着の表出は、他者へ

ら 抱 え る こ と に な る で し ょ う。

ばれる負担を人生のスタートか

「不安定で混乱した愛着」と呼

切でなければ、子どもにとって

し、主の介護者による世話が適

て大部分が形成されます。しか

性のある初期の養育行動によっ

つ哺乳類において、確かな感受

おそらく他の複雑な社会性を持

一つを示します。 これは人間と、

システムの重要なメカニズムの

Com cial men t

Spe Com ci me

Spe Com cial men t From Animal Totems to Animal Companionship and Animal Assisted Therapy Kurt Kotrschal and Andrea M. Beetz

崇拝から伴侶として の動物、そして 動物介在療法まで カート・コトルシャル博士とアンドレア・ビーツ 博士による寄稿文の第 2 回目は、人と動物の関係 における絆の形成や愛着のメカニズムを紹介しま す。なぜ人は動物に興味を持ち、絆を形成するこ とができるのか、どうして子どもの成長に動物が 重要な役割を果たすのか、人が持つ絆形成のメカ ニズムによって解くことができるのです。

Kurt Kotrschal, PhD カート・コートショー博士

University of Vienna Depatment of Behavioral Biology and Konrad Lorenz Forschungsstelle Grünau, Austria 1953 年生まれ、ウィーン大学行動生物学部で動物学の教 授。1990 年よりオーストリアのグリューナウにあるコン ラッドローレンツ研究所（Konrad Lorenz Research Station, www.klf.ac.at）の所長を務め、オオカミ科学センター（Wolf Science Center ,www.wolfscience.at）の共同創立者である。 200 の原著論文と数冊の書籍、共著を持つ。ASAB と ISAZ の役員である。最近の科学的興味の中心は、経済学的環境と 哺乳類・鳥類の社会学的、認知学的な進化の関係性について である。この研究は、人と動物の関係学、オオカミや犬の比 較研究の分野にも展開する。

ERCAZ/JAPDT Newsletter / July 2012/ 4

バイオフィリアの連鎖について

けるのかについて、例を挙げて

会的支援者として、子どもを助

が、信頼への扉を開くことで社

す。どのようにして友好的な犬

取ることを減らしてしまいま

緒的、社会的支援を与え、受け

どもが話す最初の言葉の中に動

す。あらゆる分化を越えて、子

物に対して著しく注意を向けま

ちゃんは他の物体よりも動く動

明確です。生まれて数か月で赤

れは、小さな子どもではもっと

興味を発達させてきました。こ

然や生き物へ対し鋭く本能的な

オカミから出現したことついて

前に、中央中国から数千の雌オ

の仲間である犬は、１万６千年

ています。長きにわたって我々

） 。少なくとも事実上の家 2000 畜化の事象は、精神的に根付い

める治療の一部です（

は、 殺 さ れ た 母 親 の 精 神 を 慰

（ Ａ Ａ Ｔ ） や 活 動（ Ａ Ａ Ａ ） に

育 て て い ま す。 動 物 介 在 療 法

、 www.wolfscience.at ） ac.at のために、動物のパートナーを

ことが簡単でも安全でもないこ

De いったいどのように説明し、飼 いならされたオオカミと暮らす

照） 。これは一般的な約束であ

る（ＩＡＨＡＩＯ東京宣言を参

おさら適した倫理的に選択され

りに対して家畜された動物はな

www.klf.

とをいつ理解することができる

オ オ カ ミ な ど、 参 照

Eriksson す。この方法でなお、今日の認 知 の 研 究（ カ ラ ス、 ガ チ ョ ウ、

ことができたような育て方で

説明したい。

でしょう。事実、オオカミは北

る の で、 家 畜 化 さ れ た 動 物 は、

価値を持った感覚ある生き物と

です。狩猟・収集者は、同様の

として狩猟されるものに対して

絆が生まれますが、とくに食料

が動物を近い距離から観察する

）。 Hemetsberger et al. 2010 すでにコンラッド・ローレンツ

す（ そ の 逆 も 同 様 に ） （例えば

よって人間と交流が可能で

哺 乳 類 や 鳥 類 は 通 常、 社 会的に関連した人工保育に

ジーを、６千万年前にオオカミ

ヒトは６００万年前にチンパン

可能であるのはなぜか

人間と他の動物の社会的関係が

を感じていないことです。

対して過敏になりすぎず、恐怖

対するのと同様に動物との関わ

人のバイオフィリアの一部 は、ある社会的関係において飼

半球における最も強い象徴的な

野生のものと比べて一般的に穏

物の声や名前があるのです（

いならされた動物と暮らすこと

動物として君臨しているので

やかで、人に協力的で、環境に

生物学的な人と動物との交流

生 き 物 で す（ Wilson 1984 ） 。 つまり私たちは、長い進化と文

への興味であるようです。これ

す。

） 。 Loache et al. 2011

化的な歴史において、大きな脳

は大抵、狩猟・収集社会に共通

人は「バイオフィリア的」な

を持った狩猟・収集者として自

みなしているのです。若くして

の 形 で す（ Serpell 1986 ） 。そ こでは周囲の動物との精神的な

母親が死亡し食べられた育児

5 / ERCAZ/JAPDT Newsletter / July 2012

す。つまり、ヒトとオウムは社

が、 ヒ ト と 鳥 類 の 間 に あ り ま

椎動物の系統発生の歴史の半分

ンジーだけではありません。脊

トと近親である仲間は、チンパ

通の祖先とします。しかし、ヒ

を、２億３千万年前に鳥類を共

会的組織は明確な生態学的制約

で、基本的にすべての動物の社

分は進化の変化に対して不活性

な理由として、脳の確立した部

類似点があります。いくつか主

動物には高い割合で社会認知の

定値を適応することで、早期の

に、このストレス系の個々の設

れ（性格）を含みます。オキシ の 性 戦 略 に よ の で す（ Trivers ト シ ン の「 落 ち 着 き 」 と 同 様

の も と で、 繁 殖 成 功 率 の た め

社会性が大きな役割を持ちます

型」系の中の行動的表現型の表

系 に 付 随 す る「 予 見 型 ― 対 応

トレスに対処する進化の保存

） を 含 ん で い ま す。 行 動 2008 の組織の他の共通の原理は、ス

「ニドパリウム帯（

り ま す。 鳥 類 で は、 い わ ゆ る

を抑制させる「前頭前野」があ

かける能力があり、そして衝動

を作り、感情的な判断や事実情

ます。哺乳類では、カテゴリー

の部分間には確かに収束があり

）。高い知脳レベルを作る 1988 （社会的な）決定を組織する脳

） 、共感 機 能（ Panksepp 1998 会的に知的な脳を選択します や 利 他 的 な 誘 発 因 子（ DeWaal （ 「社会脳説」 Byrne & Whiten

会的に親密さを示すように、互

脊 椎 動 物 の 脳、 行 動 と 身 体

の 多 く の 構 築 と 機 能 は、 進 化

（

de Vries et al. 2003, Uvnas-

す。どうしてそれが可能なので し ょ う か？ ヒ ト は、 他 の 動 物

）。 2005

と を し て い ま す（ Gunturkun

乳類の前頭前野と全く同じこ

） 」が同一の神経 caudolaterale 物 質 か ら 並 行 し て 進 化 し、 哺

Nidopallium

報を統合し、目標に集中し追い

に対して里親を割り当てること

の過程を保存し維持していま

）。 Moberg & Peterson 2005 したがって、哺乳類と鳥類が持

いの頭に毛づくろいし合いま

が 許 さ れ る の で し ょ う か？ こ

す。 こ れ は「 社 会 行 動 ネ ッ ト

） 。 1985

れは社会脳、気質と同時に発達

ワーク」 （

は優れた「機械的」基盤は、進 化連続性に基づいています。

い脳と新しく制御された脳の両

） 、ホ Goodson 2005

した必要なものに基づいている

にかく基本的な脊椎動物の脳は

つ社会的行動の「本能」あるい

の で し ょ う か？ あ る い は、 と

スティング絆形成機能（ Curley ） 、感情の and Keverne 2005

社 会 脳 で あ り、 「ダーウィンの

方が必要です。穏やかな交流と

連 続 体 」、 た と え ば 共 通 の 祖 先 しかし、これはカラスやオオ

カミ、ヒトでみられる社会的複

社会的関係の枠にあるヒトと

動物の関わりについて進化の古 雑さを考慮するものではありま

による多くの社会的機能を共有

ことでありませんが、両方を少

し て い る の で し ょ う か？ 驚 く

成の機構を活性化します。たと

共通の行動は時間とともに絆形

しづつ取り入れているのです

せ ん（ Kotrchal et al. 2010 ）。 社 会 的 な 複 雑 さ は、 大 き く 社

（ Kotrshal 2009 ） 。 実 は、 脊 椎

ERCAZ/JAPDT Newsletter / July 2012/ 6

S p e c i a l Comment

めの有効なインパルス制御を発

主を好きになり、丁寧に扱うた

犬は、前頭前野を経由して飼い

相互に恩恵を受けます。 同時に、

すだけでなく、寄り添うことで

よって、互いに身体の接触を許

ン放出、ストレス軽減や休息に

えば人とその犬は、オキシトシ

で、ヒトの社会的支援者ではそ

作動させるからでしょう。一方

がオキシトシン鎮静システムを

表現を作動させず、そして、犬

い経験によって形成された嫌悪

） 。 お そ ら く こ の 理 由 は、 2011 犬は初期の養育での好ましくな

とが分かりました（

況での鎮静効果を得られるこ

で社会的なストレスのある状

認知表現から対応していると考

は、絆を形成するパートナーの

ンの組み合わせとしての愛着心

ます。今日、基本のオキシトシ

め の 枠 組 み と し て 働 き ま す が、

ヒトのパートナーと関わりのた

このモデルは、潜在的に新しい

で 無 秩 序 な 愛 着 心 と な り ま す。

ワーキングモデルによって不安

早期の養育は、マイナスの内的

作用しています。最適ではない

ンの「鎮静」システム（ Uvnas-

のです。そのようなオキシトシ

は、後の人生において他者を信

ます。一般的にこうした子ども

秩序な愛着様式の発達がみられ

育、ネグレクト、虐待による無

およそ ～ パーセントの子

どもに、信頼できない早期の養

子 の 近 接、 つ ま り 確 実 な 養 育

ま す。 そ の 主 な 機 能 は、 母 と

益な関係を維持する中核を成し

性の動物において、長期間の有

シトシンを持つヒトを含む社会

絆の形成と愛着は、脳の絆形 成システムの主要素であるオキ

かな愛着心を育てることが、後

る）によって、個人がいつも確

育（たとえば、慎重で信頼でき

ル で あ る よ う で す。 最 適 な 養

動物にも同様の一般的なルー

します。特にこれはヒト以外の

システムが早期養育の質に順応

性を持つ動物ではオキシトシン

）。 ン グ モ デ ル 」 Bowlby 1989 ヒトやおそらく他の複雑な社会

に愛着のパートナーとして重要

愛着しかない人々にとって特別

る動物）は、不安定で無秩序な

な特徴です。ペット（友人であ

様に、確実な愛着の関係に重要

とヒトあるいはヒトと動物も同

従って、愛着心の象徴に接近 によるストレスの調節は、ヒト

わらないようです。

）は、 Moberg & Peterson 2005 ストレス対処システムと相互に

達させて、指示に従います。

うならず、さらにストレスをも

動物との関係について完全に伝

頼しストレスのない関係を築く

を 維 持 す る た め で す（

な役割を果たします。彼らは単

Beetz et al.

ヒトと動物の関わりの中核を成

え ら れ て い ま す（ 「内的ワーキ

ことが難しいです。下記のよう

に、信頼できる社会的サポート

に人間のパートナーの代わりと

7 / ERCAZ/JAPDT Newsletter / July 2012

たらします。

な最近の研究で、無秩序で不安

） 。同じシス & Keverne 2005 テムは、配偶者同士が二親性の

の関係にかかわることができる

15

す絆の形成と愛着心

定な愛情で育った子どもは、親

養育を確保するために活性化し

Curley

切な大人でなく、犬がいること

10

す る こ と が で き ま す。 以 前 に、

トと信頼できる関係をサポート

橋渡しとして動物が新たに、ヒ

もっています。また、砕氷船や

物の関係は独自の良い性質を

しての役割ではなく、ヒトと動

ローチには莫大な可能性があり

らかに動物介在療法によるアプ

明確さは当然のことでした。明

ました。反応の大きさと結果の

レス反応が明らかに少なくなり

子どもが犬を撫でるほど、スト

も有意に低くなりました。 また、

ます。これは、愛着障害を持つ

子どもに対して特に有効で、セ

ラピストとの信頼関係が、マイ

人の不安定な無秩序な愛着を

持った７～ 歳の男児について

研究を行いました（

11

Beetz et al.

です。

ナスの内的ワーキングモデルに

９ = ）より恩恵 を受けているだろうと予測しま

さ ら に、 絆 の 形 成 と 愛 着 は、 人間同士の親しい間柄だけでな

よって妨げられることで療法的

した。子どもは、知らない二人

く、ヒトと動物の関係において

）

の前で物語を完成し、いくつか

もおそらく重要なメカニズムで

）。子どもにとって社会的 2011 ストレスある状況で、社会的支

の計算を行いました。ストレス

す。このヒトと動物の関係につ

援 者 の 犬 が い る こ と（ Ｎ ＝

レベルは、ストレス状況の前後

いての包括的な説について、間

介入が困難で長期にわたるとき

と最中の５回、唾液コルチゾー

もなく出版される新刊書で取

は、親切な人（Ｎ＝ ）やおも

ルを計測し、子どもの行動をビ

ち ゃ の 犬（ Ｎ

デオの記録から符号化しまし

り 上 げ て い ま す（ Julius et al.

） 。 2012

た。唾液コルチゾールは、本物

の犬の方が他の二つの状況より

11

12

31

文献 • Bowlby, J. (1989). The role of attachment in personality development and psychopathology. In S. Greenspan, & G. Pollock (Eds.), The course of life, Vol. 1: Infancy (pp. 229-270). Madison, CT: International Universities Press.

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• Wilson, E.O. (1984). Biophilia. Cambridge, MA: Harvard University Press.

ERCAZ/JAPDT Newsletter / July 2012/ 8

S p e c i a l Comment From Animal Totems to Animal Companionship and Animal Assisted Therapy Kurt Kotrschal and Andrea M. Beetz

of the oxytocin-“calming” system (de Vries et al. 2003, Uvnäs-Moberg & Peterson 2005) early socialization plays a big role. Hence, the “instinctive” or better “mechanistic” base of bird and mammalian social behaviour is based on evolutionary continuity.

In this contribution, we will first discuss why many humans in virtually all human cultures are interested in living with animals. Second, we will explain why it is at all possible that humans can actually engage in social interactions with other animals and why this may even be relatively symmetric concerning the social needs of the partners from the two different species. And finally, we will present one of the core mechanisms for within-species and betweenspecies socializing, the bonding and attachment system. This is predominantly shaped by reliable and sensitive early caregiving in humans and probably, in other socially complex mammals. However, if the care provided by the main caregiver is suboptimal, children may start with a burden into their lives, called “insecure or disorganized attachment”. Such a representation of attachment will decrease their ability of developing trust in others and to give and receive emotional social support. We will finally close the cycle to biophilia with an example on how a friendly dog may assist such children as a social supporter and by opening a door into their trust.

But this is not what would allow for the social complexity we see in ravens, wolves or humans (Kotrschal et al. 2010). Social complexity selects for large and socially intelligent brains (“social brain hypothesis” Byrne & Whiten 1988). And there is indeed convergence between those parts of the brain which organize (social) decision making on a higher cognitive level. In mammals, it is the prefrontal cortex which provides the ability to form categories, to integrate affective judgement and factual information, to concentrate and pursue goals and which allows to control the impulses. In birds, the so-called “Nidopallium caudolaterale” evolved in parallel, from identical neuronal materials, and does exactly the same as the mammalian prefrontal cortex (Güntürkün 2005).

Biophilic humans socialize with animals Humans are „biophilic“ (Wilson 1984). Because of our long evolutionary and cultural history as big-brained hunter-gatherers – so the story goes – we have developed a keen and nearly instinctive interest in nature and in living beings.

This is especially evident in small children. Only months after birth, babies are significantly more attentive to living animals than to any other category of objects and across all cultures, animal sounds and names are among the very first words children learn to speak (De Loache et al. 2011).

Part of the human biophilia also seems to be the interest in living with tame animals in kind of a social relationship. This was already a common feature in hunter-gatherer societies (Serpell 1986). There, spiritual bonds with the surrounding animals were established, particularly to those hunted for food; all hunter-gatherers considered animals as sentient beings at same level. The raising of the young of mothers killed and eaten may have been part of the consolation procedure for the spirit of the killed mother (Eriksson 2000).

Virtually all domestication events at least partly rooted in spirituality. How else could be explained that our longest animal companion, the dog, emerged from a few thousand female wolves in central China some 16 000 years ago (Pang et al. 2009), when appreciating that living with a tame wolf is neither easy nor safe. In fact, wolves were always among the most powerful totem animals of the Northern hemisphere.

Mammals and birds can usually be socialized with humans (and vice versa) by socially involved hand raising (e.g. Hemetsberger et al. 2010). This is the way already Konrad Lorenz raised his animals to be able to observe them from a close distance. This way we still raise our animal partners for cognition research today (ravens, geese, wolves, see www.klf.ac.at and www.wolfscience.at).

For private animal companionship as well as for animal assisted activities (AAA) or animal assisted therapy (AAT) domesticated animals are a much more suitable and ethical choice (see also IAHAIO Tokyo declaration at http:// www.iahaio.org/). This is because as a general rule, domesticated animals are generally more calm and cooperative with humans and generally less reactive and neophobic towards the environment as compared to the wild type (Herre & Röhrs 1973).

Why social relationships between humans and other animals are possible Humans have a common ancestor with chimpanzees some 6 million years ago, with the wolves some 60 million years ago and with birds some 230 million years ago. However, the closest animal companions of humans are not domesticated chimps, but dogs and even parrots, despite the fact that half of the vertebrate phylogenetic history is between us and birds. But still, humans and parrots groom each others head, indicating social closeness. How is this possible? How is it possible that humans make appropriate foster parents for other animals? Is this based on social brains, dispositions and needs developed in parallel? Or is the basic vertebrate brain a social brain anyway, and we share many social mechanisms due to the “Darwinian continuum”, i.e., common ancestry? No surprise, it is a bit of both (Kotrschal 2009). In fact, there is a high degree of socio-cognitive similarities among the vertebrates, for a few main reasons: because already established parts of the brain are inert against evolutionary change and because social organization in all animals in essence results from the strategies of the sexes in their strive for reproductive success under certain ecological constraints (Trivers 1985).

Many structures and functions of the vertebrate brain, behaviour and physiology were conservatively maintained over the course of evolution.

This includes a “social behaviour network” (Goodson 2005), hosting bonding mechanisms (Curley and Keverne 2005), emotional systems (Panksepp 1998) and even the neural base for empathy and altruistic impulses (DeWaal 2008).

Other common principles of behavioural organization include the expression of behavioural phenotypes (“personalities”) along a “proactive-reactive” axis, which is contingent upon evolutionary conservative systems for coping with stress. In adjusting the individual set points of these stress-systems as well as

9 / ERCAZ/JAPDT Newsletter / July 2012

For human-animal companionship in the frame of social relationships, both, the evolutionary ancient brain and also, the novel control brain is needed.

Gentle interactions and common action over time activate the bonding system, allowing for example a human and his/her dog not only to tolerate each other in body contact, but to cuddle and to mutually profit from oxytocin release and from the stress reduction and relaxation which follows. At the same time, the dog will like its master and, via its prefrontal cortex, will develop sufficient impulse control to treat her/him with respect and to obey her/his commands.

At the core of human-animal relationships: bonding and attachment Approximately 10-15% of children develop a disorganized attachment pattern due to unreliable early caregiving, neglect or abuse. These children generally have difficulties engaging in trustful, non-stressful relationships with other humans later in life. In a recent study (below) we showed in children with disorganized or insecure attachment that the presence of a dog, but not of a friendly adult has calming effects in a socially stressful situation (Beetz et al.

2011). The reason for this is probably that a dog does not activate the negative representations formed due to the unfavourable experiences with the primary caregiver and therefore, the dog activates the oxytocin-calming system, whereas the human social supporter does not, or causes even more stress.

Bonding and attachment are at the core of maintaining long-term valuable relationships in social animals including humans, with oxytocin being the main element of the brain bonding system. Its primary function is to maintain proximity between mothers and offspring and thereby, secure caregiving (Curley and Keverne 2005). The same system is also active in keeping pair partners together to ensure biparental care. Today, we consider attachment as the combination of the basic oxytocin response with a cognitive representation of the bonding partner (the “internal working model”; Bowlby 1989). In humans and probably in other socially complex animals the oxytocin system adjusts to the quality of early caregiving. Essentially this seems a general rule for nonhuman animals as well. With optimal caregiving (i.e. sensitive and reliable), individuals usually develop a secure attachment and are later able to engage in trustful, socially supporting relationships. Such, the oxytocin “calming” system (Uvnäs-Moberg & Peterson 2005) interacts with the stress coping systems.

Sub-optimal early caregiving may result in insecure or even disorganized attachment, with a negative internal working model. This model serves as a template for interaction with potential new human partners, but does not seem to be fully transmitted to relationships with animals.

Hence, the regulation of stress by proximity to an attachment figure is a key feature of a secure attachment relationship, human-human or human-animal alike. Animal companions may have an important role as attachment partners particularly in persons with an insecure or disorganized attachment. They do not serve as a mere substitute for human partners, but the human-animal relationship has an own positive quality. However, as icebreakers and bridgebuilders animals can support also new, trustful relationships with humans.

Previously, westudied 31 male children, 7-12 years of age, with insecure/ disorganized attachment (Beetz et al. 2011). We predicted that these children would profit more from the presence of a dog (N=11) than of a friendly human (N=11) or a toy dog (N=9) as social supporters during a socially stressful situation. Children were asked to complete a story and do some calculations in front of two unknown persons. Stress levels were assessed via salivary cortisol measured five times before, during, and after this stressful situation and the behavior of the children was coded from video recordings. Salivary cortisol was significantly lower in the real dog condition than in the other two conditions.

Also, the more the children petted the dog, the less pronounced was their stress reaction. This was not surprising, but the magnitude of the response and the clarity of this result was. Clearly, there is a huge potential for animal-assisted therapeutic approaches. This is particularly true for children with attachment disorders, where therapeutic interventions are difficult and long-lasting, since building a trustful relationship to a therapist is hindered by the negative internal working model.

Moreover, we suggest that bonding and attachment are probably the core mechanisms not only in close relationships between humans, but also in human-animal relationships. This comprehensive theory of human-animal relationships is covered by a new book to appear soon (Julius et al. 2012).

年度 相模原市協働事業による活動報告

子どもの表情は穏やかでにこや

なった。犬を触っているときの

ができる。

の感動や気付きを表現すること

かだった。被災地から来ていた

●陽光台小学校の実践例

クラスを実施した。毎年の実施

学校、陽光台小学校の３校、

年度には、川尻小学校、桜台小

校、９クラスを実施し、平成

上で犬と触れ合い、観察を行っ

からブルーシートを敷き、その

はアレルギーの児童もいること

年生は体育館で実施した。教室

実施場所は、１年生は教室、２

教科「生活科」 ・対象１、 ２年生・

深め、それらの成長や命の尊さ

して、生き物への関心と愛着を

り、世話をしたりする活動を通

ねらい：生き物とふれあった

教科「生活科」 ・対象１、２年生・

●川尻小学校の実践例 10

るべく対象を増やしたいという

23

犬を用いた教育支援活動 平成

教科「生活科」「図工」・対象１

平成 年度の実施校の子ども たちと交流し、多くの子どもた

児童は、翌日に帰る前に活動に

打ち合わせは授業の目的や教 員が求めることを聞いて、犬を

年生（３クラス）

参加し、家の犬が津波に流され

介在してできることを提案す

ちに犬を知ってもらうことがで

平成 年度に相模原市協働事 業提案制度に応募し、プレゼン

る。事前に調査することは、犬

生 活 科 の 時 間 に 犬 と の 約 束、 ふれあう時間を持ち、観察や犬

きた。３年間の事業で、継続を

テーションや担当課との打ち合

に関するアレルギーや犬への感

が好きなことを一緒にする時間

てしまった経験について話をし

わせを経て採択され、平成 年

情について保護者に聞いてもら

てくれたが、犬とふれあいをと

度から「動物ふれあい教育事業」

う。教師の理解と保護者の理解

をとった。具体的には、水を飲

希望する学校も多かったが、な

としてスタートした。平成 年

む、ご飯を与える、散歩するな

ても喜んでいた。

度は、広田小学校、若松小学校、

の上で、犬との授業は成り立っ

クラスを実施した。平成 年

は希望学校が多数のため、抽選

た。 「 温 か い、 ふ わ ふ わ、 さ ら

なる。

にて実施校を決定した。

や温かさを気付くとともに、そ

淵野辺小学校、中央小学校の４

どそれぞれの犬で実施内容は異

田名北小学校、 緑中学校の４校、

21

21

22

さら」など犬ごとに感想が異

23

23

●桜台小学校の実践例

ている。

犬との授業 ～動物ふれあい教育事業の実践～

23

今回は、平成 年度実施校に

ついて報告する。

生きている音（心臓や呼吸の音）を、直接耳 ふれあいの前に、犬との約束、犬との接し方 を付けて聞いた。耳を付けることでふわふわ について詳しく説明する した感触や温かさを直接感じることができ た。

20

度は、大沼小学校、弥栄小学校、

11

ERCAZ/JAPDT Newsletter / July 2012/ 10

年度は

て、 平 成

れるとし

が見込ま

きな効果

として大

たな活動

の中で新

学校教育

だ い た。

価をいた

の高い評

係者から

り学校関

の実績よ

の３年間

た が、 こ

た、単発の活動実施をどのよう

保する必要性を強く感じた。ま

門的に実施できる人と動物を確

を実施することもあるため、専

し、半日～１日かけて数クラス

力を得ているが、実施校が増加

ト」のボランティアの方にも協

と一緒に教育支援プロジェク

研究室の学生が中心となり、「犬

の 育 成 が 必 要 で あ る。 現 在 は、

トする人を含める「教育支援者」

説明を行うハンドラーとサポー

ハンドリングし子どもに適切な

ができる訓練された犬）と犬を

いに沿った内容を実施すること

の子どもを対象に、授業のねら

点として、 「教育支援犬」（集団

けられたことが大きな成果であ

教育委員会の事業として位置付

また、 小学校教員の方々からは、

者 の 方 々 か ら 喜 び の 声 が あ り、

ら関わってきた市の職員や関係

協働事業提案制度の立ち上げか

い 教 育 事 業 の 継 続 に つ い て は、

ントをいただいた。動物ふれあ

あり、発表後に感動したとコメ

において

７月下旬、平成 年度相模原 市協働事業提案制度公開報告会

考える。

うな仕組みを作っていきたいと

した体験を継続して生かせるよ

る。今後の授業において、こう

温もりを感じるという体験であ

の採択事業の報告が

23

施 に な ら ざ る を 得 な か っ た が、

では、予算の関係上、単発の実

あった。動物ふれあい教育事業

新規の学校を優先した選考で

事 業 方 針 に よ り、 残 念 な が ら、

松小学校校において犬との授業

が決定している。７月から二本

決定した。本年度は４校の実施

事業として継続実施することが

教育委員会学校教育課独自の新

相模原市

ことがよくあり、私は子どもた

「犬がかわいかった」で終わる

と考えている。単発の実施では

員会や教員と相談して進めたい

のにしていくかについて教育委

にして長期的に行い、有効なも

が、この成果によって子どもた

ある。まだ改善すべき点はある

世界的に証明されていることで

長 に 動 物 が 貢 献 で き る こ と は、

いと思う。子どもの健やかな成

だ実践例といっても過言ではな

協働事業として良い方向に進ん

ると喜んでいただいた。これは

ちの教育に大いに活かせる手ご

ちにそれだけで終わってほしく

わりは、近くで観察して自分と

たえを感じた。

報告 鹿野 都

の違いを知ったり、生きている

はないと思っている。犬との関

学校では、９月、 る予定である。

10

この事業を継続する上で改善

11 / ERCAZ/JAPDT Newsletter / July 2012

19

月に実施す

24

がスタートした。ほか３つの小

（右）児童の作文。心臓の音や、息をしている様子を観察した り直接耳を付けて聞いてみた。そこから感じたことを文章で表 現できている。 （中）授業実施後に書いた犬の絵。スタンダー ドプードルの毛のふわふわとした感じがよく描かれている。 （左）柴犬の耳が立っている特徴をとらえて描いている。

将来的には継続できる制度とな

犬との挨拶の様子。様々な犬種が参加したの 図工では、犬が絵画のモデルになり、観察し で、犬種や個性の違いにも気づくことができ ながら絵を書いた。子どもたちは、よく観察 た。 し、毛の１本１本まで丁寧に描いた。

ることが望ましい。

平成 年度で、相模原市協働

事業としての取り組みは終了し 23

53,100

12,466

深いものでした。記事は新しい

とてもきれいです（犬よりはる

ドに忠実に従い、かつその様は

と こ ろ、「 ス ワ レ！」 の コ マ ン

9,100

ドイツ

7,700

イギリス

7,700

犬は、 「スワレ！」 、 「フセ！」 、

「 マ テ！」 な ど の 人 の コ マ ン ド

す。

た。ここでは、その記事の一部

ど っ ち？ の 記 事 を 目 に し ま し

き、 「犬

影響を測れば、犬より大きな変 猫」優れているのは

6,900

タイ

80,000

60,000

40,000

20,000

0

犬・猫の飼育頭数の多い上位 10 カ国（2009）

千頭

上 位 カ 国 の 総 数 は、 犬 が １ 億 ７ ３ ０ ０ 万 頭 で、 猫 が

飼 育頭数

南アフリカ

猫飼育頭数

イタリア

7,600

かに品があります） 。おそらく、

に対して忠実に従い、かつ犬の

を私の考えとともにお伝えした

7,350

ウクライナ

犬飼育頭数

9,400

8,150

ても新鮮に移りました。その理

これらの行動は人の前頭葉に良

いと思います。

化が期待できます。そうしたと

い刺激を与えます。しかし、最

9,600

フランス

最新の脳血量測定装置で人への

年

月のものです。しかし、と

日本

9,600

第八回

7,300

9,600

「犬と猫」

12,700

ロシア

優れているのはどっち？

76,430

近、猫のトレーニングを始めた

7,520

ポーランド

新 説「 イ ヌ 」 を や や 中 断 し、 今 回 の テ ー マ を「 犬 と 猫 」 に

ているのはどっち？ について、

30,051

ブラジル

し ま し た。 最 近、 あ る 雑 誌 ）の記事が目にと （ NewScientist 猫」優れ ま り ま し た。 「犬

61,080

アメリカ合衆国

ものではありません。２００９

多角的に評価したもので、興味

22,908

中国

vs

す。この日本の現状をどのよう

ルは犬の方が多い傾向にありま

多いようですが、日本とブラジ

す。世界的には猫の総数の方が

に対して猫が７６００万頭で

にアメリカでは犬６１００万頭

い結果になっています。ちなみ

２億４００万頭で、猫の方が多

10

vs

由は、私の研究室の猫の存在で

12

光明 太田

ERCAZ/JAPDT Newsletter / July 2012/ 12

方から人に近づいて来ることは

なります。今も昔もオオカミの

したが、家畜化の発端はやや異

犬はオオカミから、猫は（リ ビア）ヤマネコから家畜されま

ないのです。

場合は、犬も猫も複数飼いは少

「 複 数 飼 い 」 し ま す が、 日 本 の

れません。多くの国では、猫は

おそらく飼育頭数の問題かもし

に 考 え れ ば よ い の で し ょ う？

論みは達成していないのかも知

す。日本では、まだ猫たちの目

して確固たる地位を築いたので

ので、今や人のコンパニオンと

と人を手名付けるのは得意です

ンパニオンとして、新たな 仕 ″ 事〟を見つけたのです。もとも

事が少なくなると今度は人のコ

事〟をしてきましたが、その仕

ミ 捕 り の プ ロ と し て 長 く〝 仕

近したと言われています。ネズ

猫（ヤマネコ）の方から人に接

です。しかし、 猫の場合は逆で、

はどうなっているのでしょう？

いことがあります。では、「脳」

うに、人の思い通りにはいかな

その理由の一つに、猫は犬によ

アメリカ人の多くは、犬より 猫 の 方 が 賢 い と 思 っ て い ま す。

ます。

として永遠に生き続けると思い

ます。そして人のコンパニオン

ぐのは時間の問題であると思い

れません。しかし、猫が犬を凌

り上げ、ニューロンの数は犬の

経細胞（ニューロン）の数を取

し か し、 今 回 の NewScientist では、情報処理能力に重要な神

（ハ）ンドウイルカは０・６２で、

賢さになります。ちなみは、バ

みれば、犬と猫は同じぐらいの

す。したがって、脳化指数から

く知られています。

しれないことはその世界では良

カがチンパジーよりも賢いかも

ス は ０・１ ５ ぐ ら い で す。 イ ル

チ ン パ ン ジ ー は ０・３ １、 カ ラ

なく、人からオオカミに接近し、

脳は？

手名付けたと考えるのが一般的

１ 億 ６ ０ ０ ０ 万 に 対 し、 猫 は

３億個もあり、猫の方が犬より

グラ グラムです。重さ

犬の脳の平均的な重さは

「賢い」としています。

を体重（Ｗグラム）の３分の２

よ う に、 脳 の 重 さ（ Ｂ グ ラ ム ）

あります。より「賢さ」を表す

ります。迷路実験は動物を迷路

実験」や「弁別学習」などがあ

るために用いる手法には「迷路

般的です。前者の学習能力を知

動物の賢さは、学習能力と記 憶力によって評価されるのが一

動物の賢さは？

乗で割って示す脳化指数（Ｂ／

がって、体重比で考える必要が

Ｗ ） と い う も の が あ り ま す。

体重の重さに比例します。した

のですが、一般的に脳の重さは

だけで比べれば、犬の方が重い

ムで、猫は

64

人 の 脳 化 指 数 は ０・８ ４ で、 犬

置き、たどり着けるかどうかを

に入れ、ゴールには普通は餌を

13 / ERCAZ/JAPDT Newsletter / July 2012

25

や 猫 は と も に ０・１ ５ ぐ ら い で

2/3

トの色覚を調べるとき、赤色に

のが弁別学習です。たとえばハ

る反応をするように学習させる

す。一方、刺激を区別して異な

がネズミのためのもの S. Small を作ったのが最初とされていま

学習能力と記憶力のいずれも犬

）がありま （ Kaminski et al. 2004 す。おそらく、ほとんどの人が

言葉を理解したとの確かな報告

ボーダーコリーが２００以上の

が、例えば、ドイツでの実験で、

こうしたさまざまな方法を用 いて、動物の賢さを評価します

W. す。

点灯しているボタンをつつくと

試すものです。１９０１年に

餌が出て、青色に点灯している

の犬は３億個の嗅覚受容器（細

犬の嗅覚は大変優れていま す。 た と え ば 酢 酸 を 嗅 ぎ 分 け

個より劣るとの考えでありま

く、猫の平均的な数である２億

す。しかし、犬は個体差が大き

胞）を持っているようで、人の

る能力を弁別学習で調べたと

感覚の優劣は？

法にやや問題があると思ってい

き、犬は人の１億倍優れていた

の方が猫より優れていると感じ

ま す。 「餌」をご褒美として学

す。また、可聴域に関して、猫

て お ら れ る と 思 い ま す。 し か

の色が点灯してもつつき反応が

習能力などを評価するとき、餌

と の 報 告 が あ り ま す。 し か し、

ボタンをつついても餌が出ない

生じますが、試行錯誤を経てし

に対する執着心が強く影響しま

というように設定しておきま

だいに赤色ボタンだけをつつく

す。 猫 の 餌 に 対 す る 執 着 心 は、

倍（人は５００万個）の数で

ようになるでしょう。このこと

し、 事 実 で し ょ う か？ 私 は 方

からハトは赤と青を弁別可能で

す。すると最初のうちはどちら

シ ア ト ル の 病 院 で は、3000 枚 の 猫 の 写真にゴロゴロ音をつけてスライド ショーを作成し患者にプレゼントした。 2012/08/07(CNN)

に よ れ ば、 嗅 覚 細 NewScientist 胞の数、視覚の反応性、可聴域

から６万４千ヘルツに対し 犬よりはるかに弱いものがあり

が勝っているとのことでありま

の範囲の広さのいずれも猫の方

す。

で、明らかに猫の勝ちになりま

て、犬の

から４万５千ヘルツ

あ る こ と が わ か り ま す。 ま た、

ます。

の声にお手をしたときには無視

ように学習させるには、 「マテ」

「オテ」のときだけお手をする

う イ ヌ に 対 し て。 こ の イ ヌ に

ウンドの代表的な犬種です。こ

覚力の優れたセント（嗅覚）ハ

ハウンド種の中でもとりわけ嗅

時 代 を 起 源 と す る 古 代 犬 種 で、

ハウンド犬はギリシャ、ローマ

す。嗅覚に関して、ブラッド・

猫はそうした仕事には不向きな

な ど 極 め て 有 益 な 動 物 で あ り、

犬は盲導犬、麻薬探知犬、爆 弾探知犬、警察犬、災害救助犬

人の健康への効果は？

し、「 オ テ 」 の 声 に お 手 を し た

67

ときにだけ餌を与えるなどしま

テ」と言ってもお手をしてしま

飼い主が「オテ」と言っても「マ

の

60

45

ERCAZ/JAPDT Newsletter / July 2012/ 14

と歩くことが人の副交感神経活

性 を 上 昇 さ せ る こ と か ら、 「犬

との散歩」は健康に良いとの結

論になります。つまり、特別な

こ と を 行 う の で は な く、 「犬を

飼う」ことは「散歩をする」こ

1万 5千

0

0

0.5

0.5

1

時間 ( 秒 )

1

猫のゴロゴロ音：1 秒間に精確 に 25 個のまっすぐな線が出てい ます。実はこの感じはイルカの クリックス音とよく似ています。

猫

2万 1.5 万

犬の鳴き声（ワン）： とても層状の波形には見えませんが、よ く見ると層状になっています。しかし猫 と比べるとまさに雑音です。

1万 5千 0

0.5

猫の鳴き声（ニャー）： きれいな層状の波形で、人も含めいろい ろな動物の音声は層状の波形ですが、こ れほどきれいな波形を示す動物はいませ ん。

1

時間 ( 秒 )

犬（上）と猫（下）の鳴き声の比較

とで、そのことが偶然健康に良

かったのです。

そのとき、猫はそうした特性 が あ る の で し ょ う か？ 猫 の 鳴

き声を聞いてみて下さい。ゴロ

ヘルツは明らか

25

ゴ ロ 音 と き れ い な 層 状 音 を！

ゴロゴロ音の

に治癒効果があります。 同様に、

猫 の″ ニ ャ ー ニ ャ ー〟 の 鳴 き 声

ほどきれいな音はないように思

います。この猫の鳴き声に比べ

ると、犬の鳴き声はまさに雑音

15 / ERCAZ/JAPDT Newsletter / July 2012

です。

皆さんも犬と猫の評価をしてみてください

アメリカではエイズ患者の多 くが猫を飼育しているとの報告

があります。エイズが改善され

たとの報告はありませんが、延

命効果があるとの〝うわさ〟が

あります。

Juliane Kaminski, Josep Call, Julia Fischer. 2004 Word Learning in a Domestic Dog: Evidence for "Fast Mapping".

Science 304, 5677, 1682-1683

1.5 万

周 波 数 ︵ ヘ ル ツ ︶

動物です。しかし、人の心身の

健康への効果は、犬より猫の方

が良いかも知れません。動物の

人の健康への効果は、まさに動

物の特性に関わるものです。た

とえば、散歩が欠かせない動物

文献 Kate Douglas. 2009 Dogs vs cats: The great pet showdown, NewScientist 2738, 32-37

猫

犬

2万

ERCAZ/JAPDT Newsletter / July 2012/ 16

E ve n t & T o p i c s ヒトと動物の関係に関する今後の予定を紹介します

JAPDT 後援催事 interpets （インターペット） ー人と ペットの豊かな暮らしフェア開催 ペット産業国際見本市「インターペット」の第 二回目が開催される。ペット関連製品にとどま らず、” 人とペットのより良い暮らし " のための あらゆるアイテム、サービス、アイデアが国内 外より集結する。 ■日時…2012 年 8 月 23 日 ( 木）～ 26 日（日） ■会場…幕張メッセ 9 ホール ■主催…一般社団法人ペットフード協会／メサ ゴ・メッセフランクフルト株式会社 ■問い合わせ…メサゴ・メッセフランクフル ト株式会社、インターペット事務局（TEL:033262-8460） ■本イベントの詳細はホームページ（http:// www.interpets.jp/）をご覧ください

資

格

認

定

JAPDT 認定 ペットドッグパートナーズ 試験 随時開催

学 会・ セ ミ ナ ー APDT 2012 カンファレンス ノーザンケンタッキー・シンシナティ にて開催 Association of Pet Dog Trainers; APDT（ ペ ッ ト ドッグトレーナーズ協会） は、アメリカ最大のドッグ トレーナーの組織であり、 年次大会と合わせて展示会 も開催される。 ■日時…2012 年 10 月 17 日～ 21 日 ■会場…ノーザンケンタッキーコンベンション センター（KY） ■主催…APDT ■早期割引は 9 月 12 日まで ■申込み方法などの詳細・最新情報はホームペー ジ（https://www.apdt.com/）をご覧ください

2012 PATH Intl. カンファレンス ベルビュー（ワシントン ) にて開催

犬を飼う上で必要な知識を問い（筆記試験） 、 Professional Association of Therapeutic またさまざまな環境で適切に犬を扱うことがで Horsemanship International（PATH Intl.；治 きるかどうかを試験します（実地試験） 。合格 療的乗馬に関する国際的職業団体）の年次大会 した犬と飼い主さんには、JAPDT から公式の がワシントン州のベルビューで開催される。業 合格証が発行されます。 界の専門家による教育セッションや、馬の博覧 ■試験日…日程は随時開催しますのでお問い合 会と基調講演が行われる。 わせください ■会場…スタディ・ドッグ・スクール ® 他 ■日時…2012 年 10 月 31 ～ 11 月 3 日 ■主催…日本ペットドッグトレーナーズ協会 ■会場…ハイアットリージェンシーベルビュー ■試験料…筆記試験：3,000 円（税込） ・実技試 （Bellevue, WA） 験：3,000 円 （認定料金：3000 円） ■主催…PATH Intl.

■申込み方法・問い合わせ：各申込み会場へ直 ■申込み方法などの詳細（最新情報）はホー 接お問い合わせください。ホームページ （http:// ム ペ ー ジ（http://www.pathintl.org/path-intlwww.japdt.com/shakaika/index.html） を ご 覧 conferences/）をご覧ください ください

ERCAZ/JAPDT Newsletter / July 2012/ 18

せる方法です。前足を突っ張って緊張してい

Ⅹ 拒否テスト （ハンドラーの安全確保のための）

るイヌのお尻を持ち上げて、ゆっくり前足を 台に降ろし、頭を上げた状態で立たせます。 その時に、ご褒美を与えてその状態を維持さ せます。ご褒美を与えたまま体中を手のひら でゆっくり撫でてリラックスさせて姿勢を維 持させます。この保定技術が効率よくできる ようになると、２～３分あれば、不安や緊張 しているイヌをリラックスさせてテーブルの 上で保定できるようになるということです。 この作業の中には、①イヌは頭を上げると前

図 4. 保定作業や診療作業、トリミング作業などにおいて、 犬の肉球の後ろを触ったときの拒否反応をみて予測するこ とができる。ハンドラーの安全確保に必要なテストである。

足を上げて抵抗したり、突っ張ったりできな

を持っていればグルーミング作業によって、

くなる。②お尻を上げると前足を真下に降ろ

人を噛むようになるイヌの数は経験上少な

すことができる。③体を撫でるときは手の平

く、また、高い攻撃性を持っているイヌでも

で行う。④しっかりと立位姿勢が取れる体勢

適切な対応を取ればグルーミング作業を受け

に誘導してご褒美を与える。などのポイント

入れるようになると言っています。 もちろん、

があります。①と②は解剖学的な知識を応用

攻撃性の高いイヌの保定作業は、相応の知識

していますし、③に関して、イヌは指先など

と技術、経験が必要になりますが、攻撃性を

の点で触られるより手の平などの面で触れら

軽減することができれば前述したテーブルト

れるほうが不安や緊張を和らげる効果があり

レーニングのように制御を受け入れさせるハ

ます。④では適切な立位姿勢時にご褒美を利

ンドリングが可能となります。

用して、良い経験に結び付けています。講演 の中では動画で説明していただきましたが、

稀に、イヌを扱う現場ではアジリティーや

イヌを無理やり抑え込んだり、イヌが抵抗を

防衛訓練などのトレーニング性能は高いけれ

強めていくこともなく、緊張していたイヌは

ども、足を触ると唸ったり、口元を触ると噛

時間が経過するごとにリラックスしていきま

んだりする個体に遭遇することがあります。

した。

人とイヌの生活空間は限りなく近接し、以前

ハンドラーの安全を確保し犬の保定を行う

の番犬としての役割は少なくなっていて、最 近では直接的に触れ合う環境・状況が増えて

最後にハンドラーの安全確保のために用い

います。トレーニングはイヌをコントロール

るテストをご紹介します（図４）。保定作業

するための重要な課題の一つですが、コマン

や診療作業、トリミング作業など、どの程度

ド・作業を成立させることだけに注目するあ

の拒否反応を持っているか予測することがで

まり、根本的な部分を忘れてはいないでしょ

きるテストで、肉球の後ろを指先で触ったと

うか。今回は、保定作業の方法・技術などの

きの反応が強い個体は拒否反応が強く出るよ

お話をいただき、保定作業を通して、ハンド

うです。反応性が強い個体に関しては予め口

リングとジェントリングの重要性、つまり、

輪を準備するなどして、より安全に効率の良

イヌが人から制御されることに安心して、人

い保定ができる環境を整えます。

に体を委ねられるといった、人とイヌの根本

福山講師は講演の中で、実際のグルーミン

的な関わりについて再認識させられた講演で

グの現場において、適切な保定スキル・知識

した。

19 / ERCAZ/JAPDT Newsletter / July 2012

文・岡本雄太

Ⅳ 保定者に必要な知識

Ⅳ 保定者に必要な知識 １．保定中にイヌが受けるストレスを知る 視線・表情 声 人・器具の臭い 器具の味 圧 伸展 体温

Ⅳ 保定者に必要な知識

２．保定中の観察ポイントを知る

ストレスサイン

保定前 → 健康状態 口腔内、泉門開存 など

①全身の震え ②パッドの湿り具合 ③あくびをする ④瞬きを多くする ⑤白眼の突出 ⑥よだれ（流涎）

保定中 → 呼吸状態、舌の色、可視粘膜 ストレスサイン（※）

⑩床のニオイを嗅ぐ

・・・など

Ⅳ 保定者に必要な知識

Ⅸ 保定の心得

・・・など

Ⅸ 保定のコツ

３．解剖・習性を知る

身体的な抵抗を保定で制御することにのみ 集中していると良い結果は得られ難い

柔軟性（関節可動域等） 形態 性質 傾向 習性

身体的な保定をもってマインドコントロール ⇓ イヌが抵抗できないように保定することより、

・・・・等

⑦体を掻く ⑧フケ（鱗屑）が出る ⑨声をあげる

イヌが抵抗しない／抵抗しないようになる保 定を心掛ける

×押さえ込む ⇒ ○動き出しを止める

×全身の制御 ⇒ ○なるべく少なく （頭・頸・肩） ×すばやい動き ⇒○適切な速さ （イヌが予測できる）

図 2. 保定者の知識と心得について。保定には、犬の特性を理解した上で、状態をよ く観察し、動きをコントロールしリラックスした位置で維持することが求められる。

きるので人に制御されることに対して良い経

興奮したりすると呼吸が困難になることがあ

験をさせることができます。

るため特別な配慮が必要です。他にもイヌの

しかし、診療やトリミングの現場では業務

習性として引っ張られた方向と逆に動く、押

効率などを考えると、それほど長く時間をか

された方向と逆に動くなど、手元にイヌを寄

けていられません。現場でイヌを扱う場合、

せるときに引っ張るよりも奥から押した方が

短時間で効果的な保定を行うことが仕事の効

寄せやすいなどの保定技術があります。保定

率も上がり、イヌにも人にも余計なストレス

は、イヌの特性を良く理解したうえで、次の

を与えることが回避できます。福山講師は、

動作を予測し制限しつつリラックスさせるこ

保定技術に関して、保定とはイヌを押さえつ

とが重要になります。

けることではなく、イヌの初動作をどれだけ

図３の写真は、短時間でテーブルに慣れさ

コントロールしてリラックスできる位置 で体勢を維持するかで、その後の作業効 率が左右されると言っています。理想的 な保定を行うには、イヌの状態を良く観 察することが重要で、前述にもあったよ うに、前足の緊張などはイヌのストレス 度合いを測定する際のわかりやすい判断 基準です。緊張・恐怖を感じているイヌ の前足は強張り、突っ張ります。 また、解剖学的な知識としてイヌ種ご との関節可動域を知る必要があります。 どの程度までイヌが動くことが可能か予 測するためには解剖学的な知識がないと できません。またイヌ種によっても違い、 短頭イヌ種のパグは関節可動域は狭く、

図 3. 不安や緊張している犬を保定技術によって短時間でテーブ ルに慣れさせることができる

ERCAZ/JAPDT Newsletter / July 2012/ 20

JAPDT カンファレンスレポート 要なポイントとなり

「イヌのハンドリングと ジェントリング」

ま す。 し か し、 こ の

講師 福山貴昭 ヤマザキ学園動物看護短期大学講師 （2011 年 8 月 26 日講演）

第 6 回 JAPDT カンファレンスより今回の レポートは、ヤマザキ学園動物看護短期大学 の福山講師の講演の中から、イヌと生活して いく中で避けては通れない「保定」について 紹介します。

ような保定作業に慣 れ て い る だ け で は、 診療やグルーミング をすんなり受け入れ る と は 限 り ま せ ん。 この基本保定姿勢の 状態から、診療では聴診器をあてられたり、 トリミングではハサミでカットされたり、爪 切り、耳掃除など様々な刺激を受けることに

日常生活に必要な保定トレーニング について考える

なります。つまり、基本保定姿勢の状態から 様々な作業を受け入れるようにトレーニング を行う必要があります。最近では、そのよう

日常生活の中においてイヌを保定する状況

な作業に慣れさせる一つの方法として系統的

は、診察やグルーミングなどで特に必要とな

脱感作があります。例えば、爪を切るトレー

ります。しかし、人から体の動きを制限され

ニングにおいては、まず爪切りを見せてご褒

ることや制御される状況に対して、日頃から

美を与えてから徐々に体に触れさせてご褒美

慣れていないイヌの多くは抵抗します。

を与え、最終的には爪を切ってご褒美を与え

写真（図１）では主要な保定方法を紹介し

るといった、弱い刺激から徐々に慣れさせて

ています。横臥位、伏臥位、立位、坐位、こ

いく方法です。この方法は、日常的にトレー

れらの保定は、診察やグルーミングで実際

ニング項目の一部として普段から実施するこ

に行われている保定作業です。福山講師は、

とが重要で、順序良く時間をかけることがで

イヌの緊張状態を見分ける際の 判断基準として、前肢の緊張と、 目線に注目すると言っています。 これらの写真を見るとおり、前 肢の突っ張りや踏ん張りもなく、 目線も保定部位への注視がなく ゆったりと前を向いていること からも、このイヌたちは保定作 業に対して不安や緊張を持って いないことがわかります。 保定トレーニングに必要な項 目を考える際、まずは、イヌを 飼育管理していく上での診療や グルーミング時に行われる保定 作業にはどのようなものがある かを把握して、予めその状況を イヌに経験させておくことが重

図 1. 診察やグルーミングでの保定作業。犬の緊張状態を見分けるために、 前肢の緊張と目線に注目する。

21 / ERCAZ/JAPDT Newsletter / July 2012

ズになるかもしれない。しかし、飼いやすさやし

10

つけの面で果たして小型犬は大型犬より飼いやす

8

いと言えるのだろうか？

6

スタンダード・ダックスフンドの行動評価（図

4

１）を見てみると、攻撃性に関する「領土防衛」、

2 0

「警戒咆哮」、「他犬への攻撃性」などの項目が高 遊 び 好 き

い た ず ら 好 き 探索

ト イ レ の し つ け

服 従 性

訓練性能

反 抗 性

他 犬 へ の 攻 撃 性

警 戒 咆 哮

攻撃性

領 土 防 衛

人 な つ こ さ

無 駄 吠 え

子 供 を 咬 む

一 般 的 な 活 動 性

過 敏 性

機敏性

図 1. スタンダード・ダックスフンドの行動評価（Hart & Hart)

い傾向く、スタンダードのサイズを小さくしたミ ニチュアに関しても、「散歩中に他の犬に吠えか かる」、「来客が来た際に過剰に吠える」といった 問題行動が良く見受けられる。アナグマを追い立 てるために改良されたダックスの攻撃性に関わる

タイプ」といった被毛のタイプも、猟の目的に応

項目が高いのは必然ではあるが、日本のような過

じてつくりだされた。猟犬としてすばらしい素質

密した環境では他の犬との物理的な距離も縮まり

を持ったダックスフンドは、穴の中だけなく地上

縄張りを巡る様々な問題行動に発展しやすく、集

での猟にも使われるようになり、さらにその狩猟

合住宅などでは他の住民に対して警戒心を持ちや

能力を高めるためにスムースヘアード・スタン

すい特性であると言える。また、過敏性の項目が

ダード・ダックスフンドとスパニエル系の犬種と

高い傾向にあるが、一般的に小さくなるほど過敏

交雑し、ロングヘアードのダックスを作出した。

性は高まる傾向があるため、「犬とゆっくりと落

また、穴の中から獲物を追い続ける際、藪の中な

ち着いた時間を過ごしたい」と考えている飼い主

どをかいくぐって進んでいくため、よりしっかり

にとっては、いたずら好きで過敏性、無駄吠えの

と身を守る強い被毛が必要となりスムースヘアー

多いミニチュアダックスはあまり向かず、かえっ

ド・スタンダード・ダックスフンドにテリアをか

て一緒に生活することで気が休まらなくなるかも

けあわせてワイヤーヘアードのダックスをつくり

しれない。

だした。

日本では、見た目や体の大きさで飼育する犬種

このように、ダックスフンドは猟犬として 9

を判断する傾向があるが、それぞれの犬種には作

種類のタイプが作り出されたが、現在では、実猟

出した目的があり、その目的に応じた犬種特有の

に使われることはほとんどなく、日本を初め多く

行動特性をもっている。そのため、犬を飼う際に

の国で家庭犬として高い人気を集めている。

はその行動特性を十分に理解した上で自分のライ

ダックスフンドの行動特性

フスタイルに合った犬種かどうかを判断し、適切 なしつけを行っていかなければ必ず何かしらの問

日本では、大型犬に比べ広い飼育スペースを必

題行動を抱えることとなり、飼い主にとっても犬

要とせず力の弱い小型犬の方が一般的に好まれる

にとっても一緒に生活することが苦痛になってし

傾向がある。ダックスにおいても、社団法人 ジャ

まう。特にダックスフンドは、活発で気が強いと

パンケンネルクラブの 2011 年の登録頭数では、

いった見た目の可愛らしさからは想像できない一

9kg を越えるスタンダードが 59 頭に比べ、5kg

面も持ち合わせているので、ブームに流されるこ

以下のミニチュアは 39,153 頭と圧倒的に多く飼

となく十分にダックスの魅力を理解した上で飼育

われている。日本での登録が比較的新しいカニン

をしていただきたい。

ヘンは 6,218 頭とミニチュアに比べると少ない

文献

が、年々増加の傾向にあるため、今後はダックス の中で一番小さいカニンヘンが最も飼われるサイ

生涯の友を得る愛犬選び－一目でわかるイヌの性格と行動 － , 著：Benjamin L. Hart, Lynette A. Hart ( 翻訳：増井 久代 ), 日経サイエンス

ERCAZ/JAPDT Newsletter / July 2012/ 22

Seriese of Dog Guide

文・鹿野正顕

活発で気の強い犬種 アクティブな生活を好む人向け

ダックスフンド

Dachshund

日本におけるダックスフンド（ダックスフント）

足の短い体に改良された。

の人気は不動のもので、社団法人 ジャパンケン

ダックスフンドは、サイズによって「スタンダー

ネルクラブの登録頭数では、1999 年から 2007

ド」、「ミニチュア」、「カニンヘン」と 3 つに分

年の 8 年間連続トップ、2008 年以降はプードル

けられており、現在でも使役犬として用いている

にトップの座を奪われたものの、現在でも常に 3

原産国のドイツでは、体重や体高ではなく対象と

位で安定した人気を保っている。そこで今回は、

なる獲物が住む穴の大きさに適合する「胸囲」で

不動の人気をもつ犬種「ダックス」を取り上げて

区分している。もとの用途であるアナグマを捕る

みたい。

ために用いられているスタンダードは 35cm 以

ダックスフンドの分類

上、アナグマよりも小さな穴にすむキツネを捕る ためにつくられたミニチュアは 30 ～ 35cm、更

ダックスフンドという名前は、ドイツ語でアナ

に小さな穴に住むウサギを捕るためにつくられた

グマを表すダックス（Dachs）と、犬を表すフン

カンニヘンは 30cm 以下とされている。ちなみに、

ト（Hund）を合わせたもので、もとの用途であ

「Kaninchen（カニンヘン）」とはドイツ語で、 「ウ

るアナグマ猟に使われていたことに由来する。猟

サギ」という意味であり、その名前はウサギ猟に

をする際、狭い穴に入って獲物を追い立てるため

使われていたことに由来する。

に用いたため、ダックスフンドに特長的な胴長で

さらに、短毛の「スムースタイプ」、滑らかな 長毛の「ロングタイプ」、ピンと張った太く硬い 毛で覆われた「ワイヤータイプ」と、被毛によっ ても 3 つのタイプに分けられており、全部で 9 タイプに分類されている。

ダックスフンドの起源 ダックスフンドの起源は古く、古代エジプトの 彫刻に 3 頭の四肢の短い犬が描かれており、こ れがダックスフンドの祖先といわれている。現在 のダックスフントは、スイスのジュラ山岳地方の ジュラ・ハウンドが祖先と言われていて、12 世 紀頃、ドイツやオーストリアの山岳地帯にいた中 型ピンシャーとの交雑によって、スムースヘアー ド・スタンダード・ダックスフンドの基礎がつく られアナグマ猟に用いられてきた。その後、アナ グマよりも小さな穴にすむキツネやウサギを捕る

スムースヘアード・ミニチュアダックス（左上） ロングヘアード・ミニチュアダックス（右上） ワイヤーヘアード・ミニチュアダックス（下）

23 / ERCAZ/JAPDT Newsletter / July 2012

ため、より小さなサイズのミニチュアやカニンヘ ンをつくりだした。 「スムースタイプ」、 「ロングタイプ」、 「ワイヤー

Reference： 村井謙介（2009）イヌにおけるヒトの二次元的表情の視覚的弁別能力 に関する研究 , 麻布大学修士論文 （一部改変） （正解）

（不正解）

個体のみテスト試行へと移行した。

テスト試行は対象個体が第二段階で弁別し

た「笑顔」に対して、般化し、類似した「笑顔」

に同様に反応できるかを実験した。ここでは、 飼い主の他にイヌの見知らぬ男女 1 名ずつ の「笑顔」と「無表情」の写真を用いた。

その結果、4 頭中 3 頭が第二段階の基準 を達成し、テスト試行においては基準を達成

した 3 頭の平均値が「飼い主」で 80% 以上、

「見知らぬ男性」、「見知らぬ女性」において も 70% 以上の正解率を示したことから、 「笑 顔」を弁別学習したものと考えられる。

また、コントロール試行①では、両個体に おいて、 「笑顔 vs. 笑顔」、「無表情 vs. 無表

情」のセッションで、「笑顔 vs. 無表情」よ りも明らかに正解率が低下した（図 )。一方

で、 個体 A は「笑顔 vs. 笑顔」 （1.6 ± 0.4 秒） において、 「無表情 vs. 無表情」 （0.7 ± 0.2 秒）

よりも写真に触れに行くまでの時間が長く、 写真の選択の際に「笑顔」（正解）の刺激が

2 つあることにより明らかに躊躇している様 子がうかがえた。このことから、「無表情を

選択しない」という学習をしていた可能性も 示唆されたが、コントロール試行②の「無表 情 vs. 怒った顔」では、怒った顔を選択する

割合が低かったことから、イヌが「笑顔」に 対して弁別学習を成立させたことが考えら

れ、イヌがヒトの「笑顔」に対して、般化し たと考えられる。

本研究より、イヌは適切な飼育下で飼い主 と接することで「笑顔」を認知することがわ かった。しかしながら、明らかな個体差もみ られた。テスト試行において、見知らぬ男女 の試行に関しては、飼い主と同性の試行で正 解率が高い傾向にあり、飼い主の性別が影響

イヌは写真のヒトの笑顔を認識することができた。イヌはヒト の表情から様々な情報を得ている。

している可能性が示唆された。 よって、 「笑顔」 を見る経験が笑顔の認知に影響していること が考えられ、この個体差をもたらす要因とし て、飼い主の接し方などの飼育環境があげら れる。すなわち、 狩猟や護衛など、 目的によっ

てイヌが育種・改良されてきたことによる遺 伝要因が視覚認知能力に差をもたらしたこと も考えられるが、ここでは特に飼育環境によ る影響が強いと考えられる。

一方で、本研究で用いられた刺激は二次元 的であり、静止した写真であった。イヌの視 覚は静止しているものよりも動いているもの に対してより感受性が高いことが知られてい る。よって、常に変化する実際のヒトの表情 であれば、イヌにとってより認知しやすいと 考えられ、イヌがヒトの表情から様々な情報

を得ていることが示唆された。このことは、 イヌの正の強化法にも応用することができる と考えられる。遊びやトレーニングに用いる 報酬として、 「餌」や「玩具」などの生得的

な強化子を与えるだけでなく、 ヒトが「笑顔」 で接することによって、楽しいこととヒトの

「笑顔」をイヌが関連学習し、ヒトの「笑顔」 そのものが二次的強化子となると考えられ

る。これらのことから、本研究の成果は、ヒ トとイヌのより良い関係の構築に重要な情報 を与えるものとなった。

ERCAZ/JAPDT Newsletter / July 2012/ 24

人と動物の関係をもっと知りたい！調査研究を紹介します

イヌにおける人の表情に対する弁別能力

～飼い主の笑顔でイヌとのより良い関係を築く～

「イヌは最も利口な霊長類よりもはるかに

訓練は二段階

年ノーベル生理学医学賞）は述べている。

す な わ ち、 第 一

人間的である」と Konrad Lorenz（1973 Lorenz は、唇や耳、目といった表情を構成

する要素を基に、イヌの表情を 9 つに細か

く分類し、その組み合わせによってイヌが攻

にわけて行った。 段 階 と し て、 見

分けやすいと思 われるヒトの

撃と恐怖を表すことを示しており、イヌ同士

「顔」と「後頭」

の変化が手掛かりとなっていることが示唆さ

用 い た。 こ こ で

のコミュニケーションにおいて、細かな表情 れる。視覚的なコミュニケーションはイヌ対 イヌだけでなく、イヌ対ヒトにおいても主要 な表現手段であるという報告もあることか

ら、ヒトとイヌにおいて視覚を介したコミュ

ニケーションが鍵となると考えられる。また、 祖先のオオカミには見られないイヌ特有の能 力の一つが凝視や指差しといったヒトから

の社会的伝達行動（Social-communicative behaviors）を読み取る能力である。ヒトか

らの社会的伝達行動に対する感受性の高さ

が、イヌがヒトにとって最も身近な動物と なった理由として報告されている。

本研究では、イヌの認知能力に関する研究 として、ヒトの「表情」に着目し、イヌがヒ トの表情の違いを視覚的に認知できるか、明 らかにすることを目的として、ヒトの顔写真 を用いて二次元的に検証した。実験は、過

去にイヌにおける視覚に関する研究として

Pretterer らや Range らが用いていた二者 択一弁別課題を手法とし、はじめに、飼い主 の「笑顔」と「無表情」の弁別を行い、表情 の違いを弁別学習できるかどうかを明らかに した。表情の違いを弁別学習できた場合、次 に、その学習した「笑顔」という表情を般化 し、飼い主以外の表情に対しても同様に反応 できるかどうかを調べた。

25 / ERCAZ/JAPDT Newsletter / July 2012

のカラー写真を の正刺激は次の 段階に移行しや

すいように、ヒトの表情の見える「顔」とし た。次に、第二段階として実際の弁別刺激と なる「笑顔」と「無表情」の弁別トレーニン グを行った。ここでは、 飼い主の 「笑顔」 と 「無

表情」の写真を用い、 正刺激を「笑顔」とした。 第一段階、第二段階はともに 30 試行を 1 セッションとして行った。それぞれの段階の 達成基準として、第一段階では、連続した

3 セッションで 30 試行中 21 試行以上の正

解（正解率 70% 以上）とし、第二段階では、 連続した 4 セッションで 30 試行中 24 試行

以上の正解（正解率 80% 以上）とした。第 一段階、第二段階の両段階の基準を達成した （%） （Mean ± S. E.）

100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 笑顔 vs. 無表情

無表情 vs. 無表情

笑顔 vs. 笑顔

図 . イヌの弁別実験 コントロール試行①における正解率の平 均値。 「笑顔 vs. 無表情」では 90% 以上の正解率と高く、 「無 表情 vs. 無表情」 、 「笑顔 vs. 笑顔」では 40% 程度と正解率が 低かった。

顧客への指導方法 ②経験内容

ネットによる受験を行う。ドッグトレーナー（一 級 ） は、Certification Council for Professional

CPDT と同様に、パピークラスの最低実務経

Dog Trainers (CCPDT：アメリカのプロフェッ

験を設定し、その条件を満たすことと、同僚、

ショナルドッグトレーナーズ資格認定協会 ) が

獣医師、顧客から推薦状を記載してもらう。

認 定 す る Certified Professional Dog Trainer -

• 今後の活動予定

Knowledge Assessed（CPDT-KA）とする。

①カンファレンスでの認定講座の開催

○筆記試験

パピートレーニングに必要となる講座を、第

• 出題数：60 題 /h

７回カンファレンスで実施し単位認定を行う。

• 出題内容：動物行動学、動物管理学 ( 犬、猫の

必要講義は以下を検討する。 生理学

疾病、感染症を含む )、犬学 ( 犬、猫の解剖、 生理学を含む )、法律

解剖学

• 受験方法：インターネットによる受験

行動学

• 合格基準：正答率 80% 以上

衛生管理

• 受験料：￥3,000

栄養学

○実技試験

パピートレーニング①（クラス運営方法）

• 出題数：30 題 /h

パピートレーニング②（家庭での管理、環境

• 出題内容：犬のトレーニング、ハンドリング

設定） 顧客への指導方法

の知識を動画で問う • 受験方法：インターネットによる受験

② E-learning での受講のシステム構築

• 合格基準：正答率 80% 以上

③認定者の普及

• 受験料：￥3,000

動物病院、ペットショップ、ブリーダーなど

○筆記試験の免除に必要な履修科目

に認定者の紹介をし、活躍の場を促す。

• 動物行動学（学習理論、問題行動など）：22.5 時間以上

3) ペットドッグパートナーズ試験 Basic 試験の 実施

• 動物管理学など ( 犬、猫の疾病、感染症を含む )： 22.5 時間以上

引き続き、ジャッジ講習会、試験の実施を行い広

• ペットの解剖生理学：22.5 時間以上

く普及活動を行う。

• トレーニング実習（90 時間以上）

• ジャッジ講習会の開催…第七回カンファレン

※今後の予定として、専門学校の授業カリキュラ

スを初め、ジャッジ講習会を開きジャッジの

ムをリサーチし、免除に可能なカリキュラムに関

数を増やす。

して検討を行っていく

• 各会場での試験の実施 4) ニュースレターによる情報発信

3 役員の改選について ( 役職名

氏名 )

引き続き、ニュースレターによる情報発信を行う

理事長 太田光明 重任

ことで、JAPDT の認知度を高めると共に、会員

理 事 前田浩志 重任

サービスの充実化を目指す。

理 事 山﨑 薫 重任 理 事 大谷伸代 重任

5) ドッグトレーナー（二級）認定

理 事 水越美奈 重任

家庭犬のトレーナー「ドッグトレーナー（二級）」

理 事 鹿野正顕 重任

を認定する。また、各大学、専門学校で筆記試験

理 事 西川文二 重任

の免除に必要な履修科目を取得したものは、イン

監 事 細井戸大成 重任

ターネットによる「ドッグトレーナー（二級）」

監 事 矢花公平 重任

の筆記試験を免除する。また、実地試験もインター ERCAZ/JAPDT Newsletter / July 2012/ 26

JAPDT 事務局より 杉山尚子（日本行動分析学会理事）

①講義（案）

Lore I. Haug DVM, テ キ サ ス Veterinary

生理学（2）

Behavior Services で問題行動治療をしている

解剖学（2）：外科的に起こりやすい病気・ケ

③カンファレンスデモ コンテンツ（案）

ガなど

作業犬やドッグスポーツの簡単な内容を飼い主

基本的な行動学（4）：行動の発達を含む 衛生管理 (4)：感染症、ワクチンなど

指導に盛り込む、トレーニングの幅を広げる。デ

栄養学（4）：子犬～成犬～老犬

モでは、飼い主への簡単な指導方法を講師からト

パピートレーニング①（2）：クラス運営やプ

レーナーに伝える。

ログラムに関する項目

災害救助犬の捜索

パピートレーニング②（2） ：家庭での管理（環

警察犬の臭気選別

境設定、飼い主指導内容）

アジリティ

顧客への指導方法（2）：しつけ教室のコーチ

ドッグダンス

ングに関する講義

フリスビー アシスタントドッグ（介助項目など）

子犬のワクチン接種の現状（2）：他国と日本

• その他…ペットドッグパートナーズジャッジ

の現状等を比較し、 日本が目標とするイヌとの共生とは？（2）：

講習会の開催、パピーケアートレーナー認定

国内と海外との犬事情を比較する

試験の実施予定

ブリーディングの現状（2）：日本の状況と海 外の比較。

2) パピーケアートレーナー認定の実施

行動分析学の基礎（2）

• 目的：パピーケアトレーニングについては、

行動分析学の実践（2）

JAPDT のカンファレンスでも過去 2 年に渡り

病気から生じる問題行動（2）

パピーケアトレーニングをテーマに掲げ、力

避妊去勢に関わる問題行動（2）

を入れてきた。今後も継続して、パピーケア

災害時に必要なこと（2）

トレーニングの普及に関する事業を推進し、

計 38 コマ（その他外国人講師）

今年度はパピーケアートレーナー認定試験の 実施を目指す。また、パピーケアートレーナー

②講師（案）

認定者の活躍の場を広げるために、広く普及

テンプル・グランディン（コロラド州立大学

活を行っていく。

准教授）

• 認定内容

藤井仁美：JAPDT 委員、獣医師（海外と日本

以下の①、②の内容を満たしたものに認定資格

の犬事情）

を与える ①知識に関する内容

第六期(平成23年度） 特定非営利活動に係わる事業会計貸借対照表 （単位：円）

特定非営利活動法人 日本ペットドッグトレーナーズ協会 資 産 の 部 科 目

金 額

科 目

【流動資産】

未 払 金

金

6,337

普通 預金

925,325

現金・預金 計

931,662

（棚卸資産） 商

品

棚卸資産 計

その他流動資産 計 流動資産合計

377,735

【固定負債】

13,141 13,141 247,312

9,300,000

固定負債 計

9,300,000

負債の部合計 正 味 財 産 の 部

9,677,735

【正味財産】

247,312 1,192,115

正味財産 うち当期正味財産増加額

正味財産 計 正味財産の部合計 資産の部合計

6,000

流動負債 計 長期借入金

（その他流動資産） 未収 収益

371,735

預 り 金

1,192,115

負債・正味財産の部合計

27 / ERCAZ/JAPDT Newsletter / July 2012

以下の項目の講義を受講し、必要単 位を取得したものは受験資格が得ら れる。

金 額

【流動負債】

（現金・預金） 現

2012年 3月31日 現在

負 債 ・ 正 味 財 産 の 部

△ 8,485,620 △ 697,266 △ 8,485,620 △ 8,485,620 1,192,115

生理学 解剖学 行動学 衛生管理 栄養学 パピートレーニング①（クラス運営 方法） パピートレーニング②（家庭での管 理、環境設定）

ためのしつけ方教室および、エントリーテス

5) ニュースレターによる情報発信

トの実施。2011 年動物感謝デー出展ブースに

• ニュースレター Bridge（A5 カラー、32 ページ） を年 4 回発行し、情報発信を行う。

て、広報活動を実施。 第 6 回 JAPDT カンファレンスにて、試験内容

• 2011 年 9（創刊号）、2012 年 1 月（合併）、2

の説明およびジャッジ講習会を行い、ジャッ

回発行し、次年度は 4 月、7 月、10 月、1 月

ジ希望者を募集。

に予定している。

③ペットドッグパートナーズ Basic 試験の実施 10 月 1 日（土） ：ペットスタジオホッチ

2 第 7 期事業計画及び予算（案）

1) 第 7 回 JAPDT カンファレンス開催の実施

10 月 15 日（土） ：スタディ・ドッグ・スクール

• テーマ： （案①）こころの健康とからだの健康、

1 月 29 日（日） ：スタディ・ドッグ・スクール

（案②）基礎から実践へ

3 月 10 日（土） ：ペットスタジオホッチ

• 会場：麻布大学（8 号館、大教室） • コンセプト：資格取得（パピーケアトレーナー）

4) パピーケアートレーナー修了講座の実施 第 6 回 JAPDT カンファレンスにて、パピーケアー トレーナー修了講座および、終了テストを実施（講

が絡んだ講演内容を構成し、顧客の増加を目 指す。

座内容：栄養学、衛生学、パピートレーニング）

• 生理学、解剖学、などの専門性を高めるために、

した。また、株式会社インターズーの協力のもと、

基礎学問を取り入れる。病気から起こる問題

コンピューターによる終了テストを実施した。修

行動や、行動からみる病気の発見、おやつの 使用によるアレルギー疾患など。

了者数は 24 名。

• 日 程：2012 年 8 月 24 日 ( 金 ) ～ 26 日 ( 日 ) 第六期

（平成23年度）

特定非営利活動に係る事業会計収支計算書

平成23年 4月 1日から 平成24年 3月 31日まで 特定非営利活動法人 日本ペットドッグトレーナーズ協会 金額 科 目 （資金収支の部） Ⅰ． 経常収入の部 １ 会費・入会金収入 会費収入(新規、更新、賛助） 入会金収入 ２ 事業収入 カンファレンス事業収入 DVD販売事業収入 ペットドッグパートナーズ試験 受験料

（単位：円）

3 日間 • 会場数：3 会場／日、時間：10:00 ～ 17:00、 小間数：6 小間 / 日 計 48 小間 （1 小間：50 分） • カンファレンス講義 コンテンツ（案）

821,500 111,000

932,500

1,881,000 207,225 6,000 2,094,225

経常収入合計 Ⅱ． 経常支出の部 1 事業費 ①カンファレンス 講師関連（講演料・通訳料） 会場賃借料 ワークブック・チラシ作成 ②DVD製作費用（外注費） ③パピーケア認定試験（ipad賃貸料） ④ニュースレター制作（外注：介在動物学研究室

3,026,725

第六期（平成23年度） 特定非営利活動に係る事業会計財産目録 740,620 521,850 228,900 50,000 41,475 200,000

Ⅰ 資産の部 １ 流動資産 現金預金 手許現金 普通預金 みずほ銀行 神戸中央支店 普通預金 東京三菱UFJ 町田支店 普通預金 郵便貯金

73,000 422,900 142,448 666,975 151,485 124,123 84,888 99,959 10,741 20,000 157,523

郵便振替口座 流動資産合計

1,954,042 経常支出合計 経常収支差額 Ⅲ． その他資金収入の部 1 雑収入 １ 受取利息収入 その他資金収入合計 当期収支差額 前期繰越収支差額 次期繰越収支差額

3,736,887 △ 710,162 12,408 488

金 額

科 目

1,782,845 ２ 管理費 ①外注費 ②事務局運営委託費 ③通信費 ④旅費交通費 ⑤接待交際費 ⑥会議費 ⑦事務用消耗品費 ⑧会場賃借料・設営費（理事会・総会） ⑨支払手数料 ⑩諸会費 ⑪租税公課

2012年3月31日現在 (単位：円)

特定非営利活動法人 日本ペットドッグトレーナーズ協会

12,896 12,896 △ 697,266 △ 7,820,477 △ 8,517,743

2 固定資産 商品在庫 2009年講演DVD在庫 流 動 資 産 合 計 資 産 合 計 Ⅱ 負債の部 １ 流動負債 預かり金 流動負債合計 2 固定負債 長期借入金 流 動 負 債 合 計 負 債 合 計 正 味 財 産

213,142 0 221,089 373,008 0 807,239

13,141 13,141 820,380

6,000 6,000

9,300,000 9,300,000 9,306,000 △ 8,485,620

ERCAZ/JAPDT Newsletter / July 2012/ 28

JAPDT 事務局より

2011 年度 第 7 回 JAPDT 定期総会 日時：2012 年 5 月 13 日（日）15:00 ～ 16:30 場所：AP 品川 ( 京急第 2 ビル ) ９F O 会議室 正会員総数 32 名、 出席正会員 32 名 ( 内訳

総会資料

1 2011 年度第 6 期事業および決算・監査報告 ○会員の状況（会員種別と人数）

本人出席 12 名、委任状出席 20 名 )

正会員 70 名

■出席理事及び監事

一般会員 120 名

理事長：太田光明、理事：大谷伸代、鹿野正顕、

学生会員 10 名

前田浩志、西川文二、水越美奈、監事：細井戸大

賛助会員 11 名

成、矢花公平 ■議長、議事録署名人の選出過程

議事録

合 計 209 名 （更新猶予会員含む、2012 年 3 月 31 日現在）

定刻に至り、司会の鹿野理事が開会を宣し、続い て太田理事長が挨拶した。司会者から議長選出に

○事業内容

ついて総会に諮ったところ、太田理事長を議長と

1) 第 6 回 JAPDT カンファレンス開催

することが提案され選出された。議事録署名人は

• 開催日時：2011 年 8 月 25 日（金）～ 27 日（日）

議長一任となり、鹿野理事と大谷理事が選出され

（3 日間開催）

た。

• 会場：幕張メッセ国際会議場

■定足数の確認

• テーマ：犬と人の共生について考える～犬の

議決権を有する正会員総数は 32 名、出席者は 32 名で、本総会が有効に成立していることが宣 言された。

ために人のために～ • 受講者延べ人数 315 名、日別受講人数 8/25 117 名、8/26 106 名、8/27 92 名

■議事の経過の要領および議案の結果 第１号議案 2011 年度 第 6 期事業及び決算・

2)Inter pets イベント開催

監査報告

• 「inter pets 人とペットの豊か暮らしフェア」

議 長 よ り 2011 年 度（2011 年 4 月 1 日 ～ 2012 年 3 月 31 日）事業報告書、収支報告書 の内容を報告した。続いて矢花監事による監 査報告が行われた。会計に関する書類は、適 正に作成されている旨の報告がされた。議長

イベント内にて、JAPDT が企画したイベント をペット運動場エリア実施。 • 開催日時：2011 年 8 月 26 日（土）～ 28 日（月） （3 日間開催） • 会場：幕張メッセ国際展示場

はこれを議場に諮ったところ、全会一致で承 認された。 第２号議案 2012 年度事業計画及び予算（案）

3) ペットドッグパートナーズ Basic 試験の実施 飼い主のモラルやしつけのスキル向上と家庭犬の

議長より 2012 年度事業計画及び予算について

しつけを普及させるため、各しつけ方教室で統一

説明した。第 2 号議案は審議の上。全会一致

した基準の認定試験を実施し、犬の社会化を促進

で承認された。

させる。現在合格者 9 名

第３号議案 役員の改選について

①試験およびシステムの構築

議長より役員の重任について説明した。第 3

株式会社インターズーの協力のもと、ペット

号議案は審議の上、全会一致で承認された。

ドッグパートナーズ Basic 試験の E-learning

以上ですべての議案の審議を終了したので議長は

を構築。（詳細は別紙参照）。

退任の挨拶を行い前田理事の挨拶により閉会し

基本的な飼い主および家庭犬のしつけの基準

た。 2012 年 5 月 13 日

を設けるため、実技試験の内容を構築。 ②普及活動（期間：平成 23 年 8 月 26 日～ 28 日）

議長 太田光明 印

Inter pets 会場内イベントステージにて、ペッ

議事録署名人 鹿野正顕 印、大谷伸代 印

トドッグパートナーズ Basic 試験に参加する

29 / ERCAZ/JAPDT Newsletter / July 2012

By Pet Dog Training in Japan

JAPDT 事務局より

2011 年度第 7 回 JAPDT 定期総会 カンファレンスレポート

犬のハンドリングとジェントリング 研究

イヌにおける人の表情に対する弁別能力 ～飼い主の笑顔でイヌとのより良い関係を築く～ 犬種紹介

ダックスフンド

ニュースレター July 2012

Vo l .

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