2011年10−12月号
目次
発 行 人 か ら の メッセ ー ジ
日本専門HRプロフェッショナルの世界的使命
カビッティン・順
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J H R S コミュニ ティ・ニュース
自然の猛威を克服する
5
The HR Agenda 特集記事
国境を越えたHRM 白木 三秀 早稲田大学教授へのインタビュー
6
The HR Agenda HR法律相談
会社が給料を払ってくれない場合の社員の権利と法的手続き
9
大山 滋郎
リー ダ ー シップ
「組織人よ、 エンゲージしよう!」 赤楚 宏幸
10
経営者側の改善
国際コミュニケーションで親和(Chemistry)を創り出す
池田 英樹
12
HRに聞け
より国際的な企業になるには アンドリュー・マンターフィールド
松井 義治(ヨシ)
16
HRの最優良事例
能力評価
19
ダン・ハリソン博士 ウォートン の 知 恵
社員の格付け どうして社員を比較することがしばしば逆効果となるのか
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Knowledge@Wharton HRの道具箱
米国に派遣された日本人のための セクハラ防止研修プログラム
ロッシェル・カップ
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論説
日本の新しいグローバル・スピリット 大和魂の挑戦 アネット・カーセラス
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日本におけるHRのプロフェッショナルに影響を及ぼすようなHR関連情報や資源に関する最新かつ適切な情報源を提供し、 日本と 世界のHR管理システムの架け橋となり、情報や、HR成功事例、標準、知識体系などの普及促進を目的とする。
The HR Agenda の使 命 1
出版物概要 「The HR Agenda」はThe Japan HR Societyが出版する日本初かつ唯一の2ヶ国語 人材(HR)専門季刊誌。制作はエイチアールセントラル株式会社(The Japan HR Society事務 局) のエイチアール学習・出版部門。
発行人
The Japan HR Society (JHRS)
統括編集人
カビッティン・順
編集長
アネット・カーセラス
副編集長
岡本 浩志 ブルース・マクリン 澤田 公伸
デザイン・制作
ブーン・プリンツ
広告セールス・ マーケティング および配布
ジェソップ・ペトロスキー 川合 亮平
翻訳者
野田 牧人 カビッティン・石井 智子
編集補佐
マーク・スィリオ
編集局
エイチアールセントラル株式会社 (The Japan HR Society事務局) 〒108-0075 東京都港区港南2-14-14 品川インターシティフロントビル3階 デスカット MB28号
電話番号
+81 (0)50-5806-9821
ファクス番号
+81 (0)44 767-8021
電子メール
広告セールス・マーケティング advertising@jhrs.org コメント、提案、 その他のお問い合わせ hragenda@jhrs.org
ホームページ
www.jhrs.org ¦ www.jhrs.org/hr_agenda
2
購読 購 読 ご 希 望 の 方 は 、お 名 前 、郵 送 先 、お 支 払 い 方 法 を 添 えて、h r a g e n d a @ j h r s . o r g まで ご 連 絡 いただくか 、h t t p : / / w w w . j h r s . o r g / h r _ a g e n d a / s u b s c r i b e まで、オンラインで ご 注 文 下 さい 。大 手 クレジット・カ ード、ペ イパ ル 、銀 行 振り込 み( 手 数 料 は お 客 様 負 担 )で お支払い可能です。 国内購読 1冊(宅配) :1575円 (税・送料込み) 年間購読 ̶ 4冊(電子版のみ) :3150円 (税込み) 年間購読 ̶ 4冊(宅配&電子版) :5250円 (税・送料込み) 海外購読 海外配送エージェント募集中。hragenda@jhrs.orgまでご連絡下さい。 寄稿者・ライター募集 「The HR Agenda」 は読者からの寄稿を歓迎します。 ご連絡をいただければ、 編集ガイドライン・規格をお送りします。 転載(オンラインならびに印刷物) またはコンテンツシンジケーションをご希望の方は、 条件と許可をhragenda@jhrs.orgまで電子メールでご申請下さい。 「The HR Agenda」 とThe Japan HR Societyのロゴは 登録商標であり、The Japan HR Societyに帰属します。 © 2011. The Japan HR Society 無断複写・転載を禁じます。
画像の出典: wikipedia.org/wiki/File:FukuzawaYukichi.jpg お断り 掲 載 し た 記 事 に あ る 見 解 や 意 見 は 執 筆 し た 寄 稿 者 、筆 者 個 人 の も の で あり 、必 ず しも 「 T h e J a p a n H R S o c i e t y 」の 一 般 会 員 、事 務 局 、アドバ イザ ー 、会 友 、後 援 者 の 立 場 や 見 解 を 反 映 し た も の で は あ り ま せ ん 。本 協 会 は 、掲 載 さ れ た 記 事 や 広 告 に 含 まれるデ ー タ、統 計 、情 報 の 正 確 性 、真 実 性 につき 、その 全 体もしくは 一 部 に 関し 、責 任 を 負 い ま せ ん 。更 に 、掲 載 し た 助 言 、意 見 、見 解 は 情 報 提 供 だ け を 目 的 とし た も の で あり 、資 格 を 有 す る 法 律 専 門 家 、財 務 専 門 家 のより 専 門 的 な 法 的 、財 務 的 助 言 にとって かわることを目指したものではありません。
2011年10−12月号
発 行 人 か ら の メッセ ー ジ
日本専門HRプロフェッショナルの 世界的使命 カビッティン・順 The Japan HR Societyチーフ・コミュニティ・オフィサー
「The HR Agenda」 の創刊で、私達は新
Society の会員各位や日本専門のHRプロフ
しい歴史を作りました。 しかし、 これは出発点
ェッショナルの方々には、是非ともこの世界最
に過ぎません。私達はこれからも、 日本最初で
大のHRプロフェッショナルの集まりにご出席い
唯一の二ヶ国語によるHR専門誌「The HR
ただきたいものです。 HRプロフェッショナルを本
Agenda」 を続々と出版することで、世界中の
当の意味でもっとグローバルにしてくれる会合
日本専門HRプロフェッショナルが最優良事例
ですから、参加する価値があること請け合い
を共有し、 お互いの経験から学び合う、 とても
です。分科会発表者に応募するための助言
ユニークな場を提供すると共に、 HRプロフェ
が必要な方、 2012年年次総会のThe
ッショナルの日本における活動の向上を支
Japan HR Society 代表団に加わりたい
援するというThe Japan HR Societyの使
方は、 私にメールを下さい(jun@jhrs.org)。
命に貢献すべく、 最善を尽くす所存です。
2012年 アトランタでお会いしましょう。
この目標達成のために、 The Japan HR
* * *
Societyと 「The HR Agenda」 は、新たに編
思いのたけを書き、 読者に影響を与えてく
ださい。 ご意見を活字にさせて下さい。
集長としてアネット・カーセラスを迎えました。 彼女は本誌を、本当の意味で文化の違いを超
「The HR Agenda」 は、新しい先駆的な出
えた刊行物にすることを目指しています。 これ
版物として、 読者各位からの寄稿を、 お待ちして
に相応しく、本号では3月11日の東日本大震
います (hragenda@jhrs.org) 。
災の壊滅的打撃から立ち上がった後、 日本が
同時に、 「The HR Agenda」 の刊行継続
とるべき次のステップ、 すなわち 「グローバリゼ
とで、 日本のHRの世界的使命遂行を支援し
に向けて、 ご支援をお願いします。 (電子版・宅
ーション」 をテーマとして取り上げました。私
たいと願っています。
配版の)定期購読者になる、The Japan HR
達は、 日本にとってグローバリゼーションはも
* * *
はやオプションなどではなく、新たなグローバ
2011年6月26日から29日にかけてラス
Society の会員になる、 「The HR Agenda」 に広告を掲載する、 寄稿する、 The Japan HR
ル市場で日本と日本人が生き延び、繁栄して
ベガスで開催された2011年SHRM年次総
Societyや 「The HR Agenda」 について口コミ
いくために、是非とも取り組まなければならな
会・展示会の主催者と参加者は賞賛に値しま
で伝える、 さらには出版に向けて資金援助する
い課題だと考えます。
す。 このほど、 このイベントにThe Japan HR
等、 ご支援いただける方法はいろいろとござい
本号では、 日本専門HRプロフェッショナル
Society コミュニティを代表して参加するとい
ます。 どのような方法をお選びになっても、 日本
が、 日本企業の世界舞台での成功をどのよう
う稀有な機会を頂き、 「日本式経営入門:日本
に支援、後押しできるのかに関する記事を掲 載しました。著者は日本内外の専門家です。特
的社員管理法を理解する」 というテーマで分
科会発表者を務めさせていただきました。私
に特集「国境を越えたHRM」 その他のコラム
が講演した分科会は非常に盛況で、定員29
は必読です。必ずや賢い時間の使い方となる
0人の会場の9割から9割5分方が埋まって
ことをお約束します。
コラージュをご覧下さい。)今回の会議に参加
Agenda」は、二つのHR関連の国際的集ま
したことで、世界が日本式HRマネジメントを
りで、メディア・パートナーに選ばれました。
理解し、 これを取り巻く を解明したいと真剣
その二つとは、 2011年10月28日に東
な関心を寄せていることが実感できました。唯
京アメリカンクラブで開催予定のThe 4th
Inclusionと、同じく11月10日と11日に
かけて、 ウェスティンホテル東京で開催予定 のOffshoring, Outsourcing & Shared
Services Summit Japanのことです。詳細
につきましては、本号掲載の広告をご覧下さ
は、 皆様の専門誌なのです。
いました。(本号の中ほど、 このイベントの写真
うれしい ニュースです が 、 「The HR
GOLD Symposium on Diversity &
における 「The HR Agenda」 の推進にご協力 いただくことになります。 「The HR Agenda」
一心残りだったのは、 1万8千人以上が参加し た3日間の会議で、 日本に関するものは私が講 演した分科会だけだったことです。 しかし、私が個人的に話をしたSHRM関係 者によると、来年ジョージア州アトランタで、 コ ンドリーザ・ライス元国務長官が基調講演す ることが予定されている2012年度年次総会
い。参加者全員に 「The HR Agenda」 を無料
には、是非、 もっと日本から講演者を招きたい
配布いたします。 こうしたイベントに協力するこ
と願っているとのことでした。The Japan HR
カビッティン・順:エイチアールセントラル(株)代表取締 役社長、 テンプル大学日本校非常勤講師を務め、20年以 上にわたり人事のバリューチェーン全体に携わってきた。 (多くが日本に特化したものである)人事に関する継続教 育、知識の共有、最優良事例の活用を通じ、人事の課題 を解決することができると強く信じている。
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2011年10−12月号
J H R S コミュニ ティ・ニュース
自然の猛威を克服する HRのための危機管理 The HR Agenda
The Japan HR Society (JHRS)は、 2011年5月11日、人材と危機管理の専門家を東京に集め、危機管理に関するパネル・ディスカ ッションを開催した。 このディスカッションは3月11日、 2万人近い人命と、数十兆円を超える損害をもたらした、いたましい東日本大震災を 受けて開催された。 天災は逃れることの出来ない現実だ。 天災を防ぐことは出来ないが、 生命や財産への打撃を最小限に止めるよう備えることは出来る。 この備 えこそが、 自然の猛威に対して個々人が持ちうる最も効果的な武器だ。 天災や緊急事態に対して計画を巡らせておくことが、 政府だけでなく、 全ての個人、 コミュニティ、会社組織にとっても死活の を握っている。 緊急事態に対する計画は、 準備に向けて必ず通らなければならない長 く重要な過程である。 これを策定するには、協議、装備、訓練、演習、批 評などのプロセスを経なければならない。 そこには、可能な限り冷静か つプロフェッショナルな対応を可能にする様々なシステムのあらましを 記した緊急対策の立案が含まれる。 政府が危機計画や緊急対策を準備するように、 各企業も同様の備え をしなければならない。 各企業の経営陣は、 従業員がいかなる緊急事態
の回復・復興を促進するための明確な計画を持っていなければならな い。復興の速度は、従業員が危機的状況への対処について、 どれだけ 教育を受けているかに大きく左右される。 立ち上がり、 再建し、 再出発する
天災後の最も緊急な懸案事項は回復だ。 企業も従業員も、 事業を継
続させるためには立ち直らなければならない。 そのためには、経営陣は 従業員の経験に対して親身になり、思いやりのある解決法を提供しな ければならない、 と前述のエリック・カン氏は言う。従業員が災害の対 処法について知識を持っており、前もって最悪のシナリオについて一 定の想定を持っておれば、回復も早くなる可能性が高い。経営陣は、 災害から復興し、損害を受けた分野を再建し、事業を再出発させるた
にも十分に備えられるよう、 情報提供や教育を施さなければならない。
めの、明確な計画を持っていなければならない。 こうすることで、各従
計画立案・教育・準備
常態に戻すことができる。
各企業は、特に地震、津波、洪水、台風などの天災や緊急事態に備
えて、戦略計画を作っておかなければならない。経営の専門家たちは、 こうした事態に直面した場合、 きっちりと実行できるような 「事業継続 計画」 を各企業が持っていなければならないと説く。 パネル・ディスカッ ションに参加した専門家たちによると、 この計画には、次の四つの重要 要素が含まれていなければならない。 まず第一に、問題の最初の兆候が見られた段階で先陣を切って行 動するコア・チームを立ち上げること。緊急時の医療アシスタントを提 供しているインターナショナルSOSジャパン株式会社のHRマネージャ ー、光岡武思氏は、 チームの各メンバーの役割を明確に規定しておく 必要があり、各メンバーも与えられた役割を全身全霊を込めて実行す
業員が個人的悲劇を乗り越えやすく出来るだけでなく、事業をより早く
従業員が災害の対処法について知識 を持っており、前もって最悪のシナリオにつ いて一定の想定を持っておれば、 回復も早 くなる可能性が高い 各社がどれだけ早く災害から復興できるかが、国全体の復興のスピ ードを左右する。圧倒的な破壊の後に事業を再興させることは非常に 困難な作業だが、天の怒りのインパクトとどう対処するかという知識が あれば、 その作業も少しは軽くなる。
る心構えを持つことが是非とも必要だと述べている。 アジアに本拠を置く人材管理上の問題解決を専門とするヒューマン・ ダイナミック・アジア・パシフィック社の会長兼最高経営責任者エリック・ カン氏は、 効果的リーダーシップと意思決定能力が、 事業継続計画が成 功するかどうかの を握る二つ目の要素だと言う。 従業員が最善の状況 対応ができるように、 リーダーには、 緊急時に起こりうるあらゆる問題に関 して十分に情報を集め、 効果的な意思決定ができる能力が要求される。 更に三つ目の要素として、 日本において、個人向けのプロフェッショ
JHRSオンラインストア
(www.jhrs.org/store) で DVDをお求めください。
ナル・カウンセリングを英語で提供している 「東京英語いのちの電話」 (Tokyo English Lifeline) の臨床部長リンダ・セムリッツ医師は、効 果的な情報普及を挙げる。天災がもたらす感情の高まりやトラウマの もとでも効果的に機能するためには、組織構成員すべてが、 「問題・解 決・対処」 のメンタリティを使って緊急状況に対処できるよう、訓練を 受けるべきだと言うのだ。 最後に、世界的に有名なAvonジャパン社の最高財務責任者、 マー ク・ヒロワタリ氏は、強力な危機後行動計画の策定を勧める。各企業 の経営陣は、特に事業や従業員が大きなダメージを蒙った場合、双方 5