CCライセンスと 動画アーカイブへの利用 2018.10.14
前川 充 Mitsuru Maekawa mitsuru.maekawa@gmail.com mitsuru.maekawa@facebook.com
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クリエイティブ・コモンズ 表示 4.0 国際 https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/deed.ja
自己紹介とお断り 【職歴】 南山大学 計算機課 日本アイ・ビー・エム株式会社 ソフトウェア開発 ノーテルネットワークス株式会社 プロダクトマーケティング シスコシステムズ合同会社 サービス・マーケティング 現在、オムニアート合同会社 社長 デジタル・アーキビスト 【職種】 ソフトウェア開発 ネットワーク・エンジニア ITマーケティング 記録と編集、保存、公開 【所属団体】 日本アート・ドキュメンテーション学会 デジタルアーカイブ学会 クリエイティブ・コモンズ・ジャパン AMIA (The Association of Moving Image Archivists) 動画アーキビスト協会 電線のない街づくり支援ネットワークNPO 竹久夢二研究会 注) 本発表・発言内容は所属・関連組織の公式見解ではありません 2018/10/14
Mitsuru Maekawa
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デジタル・アーキビストを志した理由 • アート作品やアート・プロジェクト、関連情報は、作家と 所有者だけではなく社会の知的共有財産 • しかし、現行の著作権は、あまりにも強く、長期にわ たって権利を保護する余り、引用やリミックスの妨げに なっている • 現代はcitizen art - 市民芸術の時代 • デジタル作品も増加の傾向 • ネットがますます発表、交流、流通の場に • クリエイターや組織は、作品が適切に保護されながら も、鑑賞され継承されることを望んでいる場合が多い • 参照、引用やリミックスで、より文化が豊かに • 著作権とライセンスを理解し、ITとマネタイズの経験を 活かして、世界各地の個人クリエイターや小規模組織 を支援して社会貢献したい 2018/10/14
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Creative Commonsとの出会い 問題意識 • 著作権は自動的に帰属される • 著作者が著作権を放棄したり緩和する、という選択肢がない • 著作物を再利用をするには、個別に許諾を得なければならない • 著作物は著作者の死後、50年(TPP発行後は70年)を経ないと 失効しない • 著作物が忘れ去られてしまう可能性を高める • 突然死亡した場合プロや企業を守るための仕組み • デジタル文化にそぐわない 出会い • シェアリング カルチャー • ドミニク・チェン著 「フリーカルチャーをつくるための ガイドブック - クリエイティブ・コモンズによる創造の 循環」出版記念トークイベント 2018/10/14
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Creative Commons
2018/10/14
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クリエイティブ・コモンズ(CC) (クリエイティブ・コモンズ・ジャパン・サイトから抜粋)
• クリエイティブ・コモンズとは、クリエイティブ・コモンズ・ ライセンス(CCライセンス)を提供している国際的非営 利組織とそのプロジェクトの総称です。 • CCライセンスはインターネット時代のための新しい著 作権ルールの普及を目指し、様々な作品の作者が自 ら「この条件を守れば私の作品を自由に使って良いで すよ」という意思表示をするためのツールです。 • CCライセンスを利用することで、作者は著作権を保持 したまま作品を自由に流通させることができ、受け手 はライセンス条件の範囲内で再配布やリミックスなど をすることができます。
2018/10/14
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Creative Commons Japan (CCJP) • 2003年発足 • 登録メンバーは約60名、アクティブメンバーは約15名 • CC HQ(米国に本部)の日本支部 • メンバーは、法律関係、教育研究機関(大学)、政策機関、 メディア関係、IT関係、インターン生 • 月次ミーティング(六本木GLOCOM、早稲田大学)
• Mailing ListとSlackによる内部情報共有 • Webサイト(ブログ、FAQなど)、Facebook、Twitterでの情報発信 • 問い合わせ対応 • 講師派遣(大学、行政、研究機関、学会、勉強会) • 普及促進プロジェクト(セミナー、シンポジウム) • CCライセンスやCC年次報告書の翻訳・公開 • CCHQ、各国CCとの連携
• creativecommons.jp 2018/10/14
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Creative Commons Global • 2001年発足(発起人はローレンス・レッシグ) • 米国に本部を置く世界的なNPO組織
• 約85カ国、約500人の研究者、法律関係者、社会 活動家、ポリシー普及者、ボランティアで構成 • CCライセンスの策定と普及・啓蒙
Ryan Merkley, CEO
• プラットフォーム運用(FAQ, chooser, search, ...) • 各種団体との交流、協業 • CC Summit(オープンな年次総会)
• State of the Commons (SOTC) 年次報告書 • creativecommons.org
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Creative Commons ライセンス
(CCライセンス)
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CCライセンスの4要素 表示: 原作者のクレジット(氏名、作品タイトルなど)を表示すること BY : Attribution (帰属) 継承: 元の作品と同じCCライセンスで公開すること SA : Share-Alike (同様に共有) 非営利: 営利目的で利用しないこと(個別に許諾を得ればOk) NC : Non-Commercial (非商用) 改変禁止: 元の作品を改変しないこと ND : No-Derivatives (派生作品の禁止)
2018/10/14
商用可
商用不可
改変可
表示 (BY)
表示 – 非営利 (BY-NC)
継承
表示 – 継承 (BY-SA)
表示 – 非営利– 継承 (BY-NC-SA)
改変不可
表示 – 改変禁止 (BY-ND)
表示 – 非営利– 改変禁止 (BY-NC-ND)
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CCライセンスは6種類 「いかなる権利も保有しない」 著作権が切れる(Public Domain)前に、一切のライセ ンスを放棄し自由に再利用で きることを表明
CC-BY-ND
CC-BY-NC CC-BY
CC-BY-NC-SA CC-BY-SA
CC-BY-NC-ND
フリーカルチャー・ ライセンス
【この先に All rights reserved (著作権)】 2018/10/14
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CCライセンスの仕組み 先のライセンスの種類と共にバージョン名、準拠法コードを 足すと、ライセンスの名前になります。 例) クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 4.0 国際 クリエイティブ・コモンズ 表示 2.1 日本 Creative Commons BY-NC 4.0 International CCライセンスは三つの要素によってその効果を保証しようとしています。
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コモンズ証
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https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/deed.ja
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ライセンス条項
2018/10/14
https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/legalcode.ja
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ライセンスのバージョン • 日本語ライセンスの2.1と4.0の主な違い • 全体に読み易く、曖昧さや履行が困難な条項が整理されました。 • ライセンス対象が「作品(Work)」から「マテリアル(Material)」に変更されま した。これは、ライセンス対象をデータベースなど、より広い範囲に適応で きるよう広げるためです。 • 許諾を受けた人がライセンスに違反した場合でも、違反に気が付いてか ら30日以内に違反状態を是正すれば、自動的に許諾を再度得られるよう になりました。 • 2.1の日本語(2.1 日本と表記)は、日本法に準拠したライセンスとして、他 の国の法律に準拠したライセンスとは別個のものでした。4.0は、日本法に も他国の法律にも単一のライセンスで対応する内容に変更しました(つま り、各国ごとのバージョンがありません)。「4.0 国際」と表記。
• 4.0のライセンスが公表されたから2.1のライセンスが無効になるとか、 ライセンスとして効力を失うということはありません。 CCジャパンとして は、基本的に最新版が最も優れたライセンスであり、最もお勧めできる ものと考えています。 2018/10/14
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CCライセンスの選択 http://creativecommons.org/choose/
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選択したCCライセンスを作品に付与・表示
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CCライセンスの表示方法 公開時 • chooserで示される内容を、わかり易い場所に表記 • 3つを表記することが望ましい(deedはオプショナル) • (ライセンスマーク) • 「この作品はクリエイティブ・コモンズ 表示-継承 4.0 国際 ライセ ンスの元に提供されています。」 • https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/deed.ja • ホームページで公開する場合は、chooserで示されるHTMLを埋め込み • 例)映像のエンドロールに10秒間、作者名と作品名、ライセンスを表示 二次創作時 • BY(Attribution)に対して、原作者や原作名をどこかに表記 例)「この資料の一部は、前川充による資料を改変の上利用しています。 この資料はCC BY 4.0 国際で提供されています。」 • SAやNDの場合は、現作品と同様の表記を • 例)映像のエンドロールに10秒間、原作者と原作名、ライセンスが表 記されていたら、それを踏襲 2018/10/14
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CCライセンス 利用状況 利用例
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CCライセンスを付与した作品の検索 - Flickr https://search.creativecommons.org/
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CCライセンスを付与した作品の検索 - YouTube https://search.creativecommons.org/
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Google検索
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Google検索
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利用例 – メトロポリタン美術館 CC0 • 2017年に375,000点のハイレゾ画像を CC0で公開 • アクセス利用と画像利用が激増
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利用例 – メトロポリタン美術館
2018/10/14
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利用例 – YouTube CC BY
2018/10/14
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利用例 - Europeana
2018/10/14
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Europeana : アグリゲーター、100万点以上の動画
2018/10/14
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利用例 - Flickr デフォルトの公開ライセンスを選択 (初期値はCopyrightあり) -> PD, CCライセンス
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利用例 - Flickr
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利用例 - Flickr
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利用例 - Flickr CCライセンス付き画像は約1億8500万点 https://www.flickr.com/creativecommons/ PD
2,927,974
CC0
1,023,098
BY
36,841,091
BY-ND BY-NC-ND
45,226,979
BY-NC
24,256,245
BY-NC-SA
50,853,154
BY-SA
17,615,961
all CC licensed
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9,736,958
185,553,486
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利用例 – Blender CC0 CC BY
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利用例 - OpenScore
MusicScore
ベートーヴェン - エリーゼのために by OpenScore 2018/10/14
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利用例 – SoundCloud Uploader
2018/10/14
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利用例 – 越中おわら節 in CoundCloud
2018/10/14
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利用例 – 越中おわら節 in CoundCloud
2018/10/14
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CCの状況と課題、今後
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海外 状況 • 欧米ではCCライセンスはデフォルトで、プラットフォーマーに浸透(プラット フォームにライセンス選択機能が組み込み) • Europeanaは約半数がCCライセンスの下に提供されている • 米国の行政府関連はCC BYが標準 • ウィキペディアと姉妹プロジェクトは原則BY-SAを採用し4-5000万点 • YouTubeのCCライセンス付き作品は4-5000万点
課題 • シェアリングはマネタイズと相反する • CC Summit 「最初のころのサミットはクリエイターが多かったのに、今は 法律関係者と研究者、GLAMばかりで、ビジネスや行政、社会活動家、ク リエイターが少ない。」
今後 • 新規プロジェクトを立ち上げて展開方法を模索予定 • ライセンスはシンプルなままに、選択肢を与えられないか? 2018/10/14
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Global CC State of the Commons 年次レポート
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Global CC State of the Commons 年次レポート
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CC Summit • • • • •
Global CC 年次大会 日程: 2018/4/13(金)~15(日) 3日間 会場: カナダ、トロント 参加: 64ヵ国、635名(アフリカから約50名) ここ3年のテーマ「シェアリング・エコノミー」 • ライセンスからシェアリング・エコノミーや社会問題解決にシフト
• 印象に残った発表 • ブロックチェーン技術による参照・引用・評価を点数化し、Bitcoinに マネタイズ(著作権よりCCの方が高評価) • CCライセンス利用頻度サーチ • 5,000万サイトがCCにリンク • 過去14ヶ月に新たに6億以上の作品に付与 • BY-SAが37%、BYが20%と過半数 • BYの上位にVacation Rentalsの家やアパートの写真が 2018/10/14
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日本 事例 • 初音ミク(BY-NC) • 大崎一番太郎(CC0) • キャラクターの存在意義は「地域活性化」 • 経費&労力の削減 • 情報発信ツールとしての「大崎一番太郎」 • 結果的にグッズ販売数が増えた
課題 • ブームが去った • メリット見いだせず – マネタイズが困難
今後 • インターン生主導プロジェクト進行中 • CCライセンス付けてもマネタイズ可を認知させたい • NC付けても、権利者はマネタイズOk 2018/10/14
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まとめ • • • •
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クリエイティブ・コモンズとその活動 CCライセンスと利用方法 CCライセンスの利用状況と利用例 CCの現状と課題
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