Engineering Japan 19

Page 1

19 | 2 0 1 8 年 0 9月

エンジニアリング 日本 ENGINEERING JAPAN

信頼性の高い加工をお約束 するインターフェース

10 統合型グラナイト・モーショ ン・システム―個別のステー ジをグラナイト構造に取り付 ける従来アプローチに代わ るもう一つのソリューション

14 フルーク・プロセス・インスツルメンツの 新しい温度ロガーDATAPAQ DP5、はんだ 付けや塗装硬化処理に広く対応

4

新しい光電センサ「R200」 「R201」―検出距離が拡大

16


19 | エンジニアリング 日本 | 2018年 09月

ENGINEERING JAPAN

FLUKE PROCESS INSTRUMENTS

4

AEROTECH

14

BALLUFF

ZG

6

7

LEUZE ELECTRONIC

FLUKE PROCESS INSTRUMENTS

8

9 PEPPERL +FUCHS FACTORY AUTOMATION

HAIMER

10 SECO TOOLS

16

w w w. p d f- e n g i n e e r i n g - j a p a n . co m

18


お問い合せ: John WHO 編集長: editor@pdf-engineering-japan.com 記事掲載のお申し込み: editor@pdf-engineering-japan.com 本 誌 無 料デ ジタル 版 をご 覧 いた だ けま す。登 録 はこちらから: www.pdf-engineering-japan.com ENGINEERING JAPANは、INDUPORTALS MEDIA PUBLISHINGがお届けするエンジニア向けの専門誌です。産業市場 の最新製品および企業ニュースを紹介しています。 本誌では、記事の編集に最大限の注意を払っていますが、掲載情報の正確性を保証するものではありません 弊社は記 事の内容や利用方法について、一切の責任を負わないものとします。

INDUPORTALS

MEDIA PUBLISHING


新製品

フルーク・プロセス・インスツ ルメンツの新しい温度ロガー DATAPAQ DP5、はんだ付けや塗 装硬化処理に広く対応

ルーク・プロセス・インスツルメンツ(Fluke Process Instruments)は、エレクトロニク ス産業や液体・粉末塗装産業での短・中時間プロセスにおける温度プロファイリングに 向け、データロガーの新シリーズを発売します。

D

atapaq® DP5シリーズは、低クリアランスの炉 やリフロー は ん だ 付 けアプリケーションで 最 も活 躍します。アルミ削 出しの 筐 体 に 収 め た D a t a p a q D P 5 は、産 業 現 場で 使 用 する場 合 にも、内 部の電子機器に対する最大限の保護性能を確実に発 揮します。また、様々な構成で利用できるため、プロセ ス仕様に最適なプロファイラが実現します。

D a t a p a q D P 5で は 、熱電 対入 力 6 チャンネルと12チ ャンネルのモデルをご用意しています。全 測 定 範 囲お よび 稼 働 温 度範囲にわたり、±0. 5℃の精度と±0.1℃ の 分 解 能を 備えています。測 定の開 始・停止は、色分 けした2つのボタンによって手動で行うことも、時間や 温 度によるトリガを用いることもできます。D at a p a q D P5なら、使い易さに加え、優れた可用性と最小 限の 運用コストが両立します。たとえば、ユーザーによる交 換 が 可能なニッケル水素(N i M H)バッテリ・パックを 採 用しており、US B出力ポートなどから充 電いただけ ます。1回9 0 分 の充電で4 0 時間以 上のプロファイリン グが 行え、サンプリング 間 隔 は 2 0ミリ秒 から10 分 の 間で 設 定 可 能です。 データロガー1台で、順次、10台までの炉を測定して、 最 大でトータル 6 0万点のデータとともに各プロファイ ルを 保 存 で きます。データのダウンロードは、US B あ るいはBlueto oth接 続を介して行え、より効率的にな るようスケージュールすることが可能です。またオプシ

詳 細

19 | エンジニアリング 日本 | 2018年 09月

4


新製品

この温度プロファイラは、 リフロー工程や塗装硬化プロセスのセットアップとモニタリングに使用できます。

ョンとして、無 線 送 信 機 を 組 込 み 、プロセスのデータ をリアルタイムに 取 得することもで きます。

営業担当への問い合わせは、下記までお寄せください: asia@f lukeprocessinstruments.com

すべてのプロセスおよびシステム・データは 、O P Cイ ンターフェイスを 介して工 場レ ベ ル の モニタリング・ システムへ送 信することが可能です。標 準のDatapaq Insightソフトウェアが、すぐに使える情 報へと生デー タを素早く変換します。また同ソフトウェアは、炉の設 定を計算 で きるE a s y O v e n S e t u p や、S P C( 統 計 的 プロセス制 御)機 能 、トレンド分析 機 能も備えていま す。一方、新しい D a t a p a q I n s i g h t P r o f e s s i o n a lソ フトウェアには 、プロファイリング・ツール S u r v e y o r が含まれており、基 板レベルでプロセスのパフォーマ ンスを測 定して、高 価 なゴール デ ン・ボードの 必 要性 を削減します。さらに、あらゆる産業ニーズに応える耐 熱 ケースも幅 広くラインナップしています。

w w w. f l u k e p r o c e s s i n s t r u m e n t s . c o m

D a t a p a q D P 5 は1年 間 の 完 全 保 証 でご 提 供して い ます。また、この 保 証 に加え、サービスと再 校 正に関 する年 間 契 約 にもお応 えします。これには 、ソフトウ ェアの 無 料アップ デ ートと機 器 の 貸 与 が 含 まれ 、安 心してお使 い いただけます。

詳 細

19 | エンジニアリング 日本 | 2018年 09月

5


新製品

IOT対応のスマートセンサ

オールラウンドな光電センサBOS 21M ADCAP。

報の生成・伝達・処理は、Industry 4.0時代 の環境において中核的な役割を担います。 そうしたあらゆる情報の基礎となるのが、必 要な入力を整えるインテリジェントなセンサです。そこ で、バルーフはBOS 21M ADCAPによって、新開発の 光学式多機能センサBOS 21Mシリーズを投入します。 この赤色光を利用した汎用でオールラウンドなセンサ は、背景 抑 制 機 能 付き、拡 散 反 射 型、回帰反 射 型、透 過 型という4タイプの 測 定 スタイルからお選 び いただ けます。いずれのセンサも、システム稼 働中にIO -Link を介してその機能を設 定できるため、制御機 器からリ モートにティーチインが 行えます。

詳 細

同 セン サ は 実 稼 働 状 態 を 検 出 する の に 加 え 、単 に I O - L i n kを 介してスイッチ 信号を 送るだけで はなく、 情 報 を 収 集・処 理してはるか に多くの デ ー タを提 供 しま す。セン サ 内 で 検 出 信 号 を 整 え、事 前 処 理 を施 しま す。そ の た め 、システムの 制 御 機 器 へ の 負 荷 が 緩 和され 、フィールドバ ス・システム 上のデータ量 も 抑 制されます。 また総合 的でスマートな診 断機 能によって、期 待 寿 命 や 稼 働 時 間 、機 能 遅 延といった 重 要な情 報 が 得られ ます。さらに、センサの 信号 品 質の 指 標として放 射 率 の 値をモニタリングすることで、汚れの 付着 量の増加 や セン サのミスアライメント、設 定エラーなどの異常 を早くから確 実に検 出可能です。そのほか、このイン テリジェントなセンサを使えば、操 業の安 全 性も格段 に高まります。B OS 21M A D C A Pは、L ED 光 源の出力 を光学的に直接モニターし、さらにセンサの内部温 度 や 供 給 電 圧によって“ 負荷レ ベ ル ”を判 断する 機 能 を 実 現した 最 初 の 製 品です。 w w w. b a l l u f f. c o m

19 | エンジニアリング 日本 | 2018年 09月

6


新製品

ZG.COMが360.COM社と戦略的パートナーシップ提携へ

デジタル・アセットの取引プラットフォームで世界をリードするZG.COM(www.zg.com) は、より安全で快適なデジタル・アセットの取引をお客様に提供することに専心していま す。2018年7月28日、杭州市において、ZG.COMと360.COM社は戦略的パートナーシッ プに基づく提携を結びました。デジタル・アセット取引に対するセキュリティについて、 両社で徹底した取り組みを行うことで合意しました。

ジタル 通 貨 市 場 が 急 速 な 発 展 を 遂 げるな か、取 引プラットフォームにはシステムとし ての高い安全性と信頼性が求められていま す。そこで、ZG.COMは、世界中の様々な国から、才能豊 かな人材を集めた精鋭チームを組織しています。技術 と金融に関するハイレ ベルな経験をもとに、ZG.COM ではさらに安全かつ効率的で信頼できる取引プラット フォームをユーザーに提供することを目指しています。 一方、3 6 0 社(w w w. 3 6 0 . c n)は 、中 国 における最 大 のインターネット・セキュリティ企業の1社として、イン ターネットで 遭 遇するあらゆる種 類 のセキュリティ問 題 からユーザーを 保 護 することを専 門とした高 度 な 先 端 技 術 チームを設 けて、高品 質 なセキュリティ・サ ービスを提 供しています。 このたびの 提 携により、36 0 社は ZGに対して、様々な 契約プロジェクトにスマートなセキュリティ監査を提 供

し、プログラム・コードの更新に際しては再監査も行い ます。このように3 6 0 社は ZG .CO Mに長 期 的なセキュ リティ監 査サービスを提 供 することになりますが、今 回の 提 携は ZGのエコシステムの 確 立に対して強 力な セキュリティ・サポートを提 供 するだけで はなく、ZG . CO M ユーザーに対しても安 全な 取引を 保 証します。 Z G . C O M の 取 引プラットフォーム は 、7月31日 、Z G / CNZの通貨ペアでの運用を公式に始めます。その後、 ユーザーが ZGプラットフォーム 上で取引をすると、ポ ルシェやエルメスなど多くの賞品を得られるチャンス を 設 け たプロモーション・キャンペーンを2 週 間 行 い ます。加えて、10 0 0 C N Zの 購 入ごとに 、くじ引きにも 挑 戦 いた だ けます。そ の当 選 金 額 は 最 大 8 8 8 8 8 Z G です。さらに詳しい 情 報は、ZG .CO M 公 式ウェブサイ トをご 覧ください。

詳 細

w w w. z g . c o m 19 | エンジニアリング 日本 | 2018年 09月

7


新製品

安全をシンプルに プロフィネットインタフェース対応のRSL 400 PROFISAFE

セーフティレーザースキャナ RSL 400 PROFIsafe

ロイツェ エレクトロニック社は産業ネットワークに簡単に組み込めるセーフティレーザ ースキャナの新モデルを発表

ロフィネットインタフェース対応の新型セー フティレーザースキャナ RSL 400は簡単に 産業ネットワークへ組み込み可能です。

確 実な 通 信に加え、セントラルアクセスポイントを 経 由して、診 断 やコンフィグレ ーションも 容 易になりま す。プロフィネットスイッチ は 取り外し可 能 な 接 続 ユ ニットに 統 合されており、スキャナは ネットワークを 遮 断 することなく交 換 で きるた め 、システム の 稼 働 率 に寄 与します。 接 続ユニットはM12コネクタの標 準 接 続です。側面ケ ーブル のため 、高さを抑えて 設 置で きます。また 選 択 肢として、ドイツ自動車産 業向けデザイン、A IDA 対応 の 銅と光ファイバケーブル用のプッシュプルコネクタ ーを用いたコネクションモデルもご用意しています。

詳 細

19 | エンジニアリング 日本 | 2018年 09月

8

統 合された2ポートスイッチは、プロフィネットの 適 合 クラスC及びアイソクロナスリアルタイム通信(IRT)に 対応しています。そのためR SL 4 0 0はライン型、リング 型のみならず、スター型トポロジーにも適しています。 さらに標 準 P LC および セーフティP LCの同 時アクセス が 可能になることで、データ負荷も最小化されます。 w w w. l e u z e . c o m


新製品

新しい産業用サーマル・イメージャが登場

赤外線と可視光カメラによって、過加熱やあらかじめ設定した異常に対する自動アラーム通知とともに、24時間の連続モニタ リングが実現します。

フルーク・プロセス・インスツルメンツ(Fluke Process Instruments)は、可視光カメ ラを内蔵したサーマル・イメージャの新シリーズを発売します。

の 固 定 式 サ ー マル・イメージャを 用 いると、 -10~1200℃の温度を24時間モニタリング できるようになります。現在の産業における高 度な自動化ニーズに応えるよう開発されており、GigEに よる画像の取込みや自動アラーム機能、分析・記録機能 もサポートしています。複数のサーマル・イメージャか らの画像をまとめて表示・分析することも可能です。ま た、広 角レンズ など、現 場で 交 換 可 能 なレンズも多 数 ご用意しています。そのため、このサーマル・イメージ ャは熱間プレスやブレーキ試験、石灰焼成炉、へら絞り 加工、廃棄物焼却炉、ボイラなどのモニタリングで活躍 します。また、画像の取得については、フレームレート9 fpsまたは60 fpsをお選びいただけます。現在、同シリ ーズは、解像度320×240ピクセルと640×480ピクセ ル の 2 つ のモデル 構 成となっていますが が、順 次モデ ルを追加していく予定です。カメラの設定と制御は、イ ンターネットを介して行え、電動リモート・フォーカス機 能も搭載しています。熱画像と可視画像を重ね合わせる ことが可能なため、カメラの視野調整も簡単です。さら

に、複数のAOI(関心領域)に個別の放射率やアラーム 条件を設定できます。ビルトイン式レンズを採用してい るため、標準のTV40サーマル・イメージャでは外部に 可 動 部 品 が 全くありません。また、保 護 等 級 I P 6 7 のア ルミ・ダイキャスト製ハウジングに収めていますので、 冷却無しで最高50℃、冷却エンクロージャを追加すれ ば最高200℃の環境温度にも耐えます。 営業担当への問い合わせは、下記までお寄せください: asia@f lukeprocessinstruments.com w w w. f l u k e p r o c e s s i n s t r u m e n t s . c o m

詳 細

19 | エンジニアリング 日本 | 2018年 09月

9


新製品

信頼性の高い加工をお約束するインターフェース

シュウェイガー社の金型生産で は、特に大型で深彫り加工を得 意としている。同社のミーリング 担 当 者 たちは彼らの 加 工 用に ハイマー社の焼き嵌めチャック を使用し、幅広く標準品と特注 ホルダーを使用している。写真: ハイマー社製ホルダー

ある大手金型メーカーはハイマー社の技術を信頼している。

ュウェイガ ー 社(ドイツ の 大 手 金 型メーカ ー )は オ ートメーション を 駆 使して高 精 度 な射出用金型を競争力のあるコストで生産 している。必要かつ高い工程信頼性を手にする為に、こ の大手金型メーカーには一切の妥協は許されません。 ツーリングに関して、同社はシステムサプライヤーとし てハイマー社のホルダー、焼き嵌め装置、ツールバラン ス装置、ツールプリセッター技術に信頼を寄せている。 ドイツ・バイエルン州スタフェル ジ- にあるシュウェイ ガー社 は 、一 番 厳しいとさ れる自 動 車 産 業 を得 意と する企 業 である。このことは 、同 社 社 長 アントン・シ ュウェイガー氏 と 約 7 5 名 の 社 員 にとっては 、同 社 が 生 産する全ての 射出 成 型 金 型は 精 度と品 質 が 最高レ ベルの基 準に合 致しなければならない、ということを 意味している。加えて、同 社は世界市 場 の中での戦い に晒されており、中でも大きなコスト低 減のプレッシ ャーを感じている。

詳 細

世 界 的 な 競 合という緊 張と 対 峙し な がらも 、この 品 質の高 い 金 型 メーカーは 同 社 の 社 員とともにこれ に 19 | エンジニアリング 日本 | 2018年 09月

10

対応してきた 。彼らが 頼りにすることは自動 化された 加工 工程であり、これによって安定 加工を確 かなもの とし、しかも金 型製品をどんな要求にも合わせること ができる。例えば 2016 年には同 社は 新しい生 産 工場 を 建 設し 、そこに 2 台 の D M G M O R I の 5 軸 マシニング センタD M C 210 Uと270 U を導入 。これ によって一 度 の段取りで 大 型のX X L 用大 型 部 品をも加 工で きるよ うに なり、自 動 パレットと 接 続 することによって、こ れらの 機 械 は 週 に 7日 、一 日24 時 間 稼 働 するように なりました 。しか も 、シフトによる一人のオペレ ータ ーだ け で 動 いてい る 。さらには 週 末 はこれらの 機 械 は完 全に無 人で 動 いている。このことは、すべて関 連 し合う部 品や相 互機 能において高い工程 信 頼 性 がな け れ ば で きないことである。 この点 に 関して、ア ントン・シュウェイガ ー氏 は たび たび見 過ご さ れる 機 械 主 軸とホル ダー の インターフ ェースにつ いて、ツーリング 技 術 にも注目した 。この 選 択 によって 加 工の 品 質 、機 械 主 軸 の 寿 命 、および 刃 物 の 寿 命 等が大 きく影 響 を 受ける。


新製品 すべてのツーリングソリューションは1社から:シュウェイガー社の金型製造 はハイマー社のホルダー、焼き嵌め・バランス・プリセット技術を利用する。

スリムを含む幅広い特殊ホルダー:数千本に上るハイマー社製焼き嵌めチャックがシュウェイガー社の安定した工程と高い精度を支えている。

シュウェイガー社のミーリングの達人たちは、この点に おいてイーゲンハウゼンにあるハイマー社の支 援や助 言が 頼りになるという。ハイマー社は、これまで4 0 年 間 、家 族 経営によって、ヨーロッパ で のツーリング 技 術 のマーケットリーダーを 務め 、今で は焼き嵌めやバ ランス技 術 の 世界 的 なリーダーと考えられている。 品 質 が 違 い を 生む シュウェイガー社 の 製 造 責 任 者、アンドレアス・オル テラ氏 にとって、この 強 力な パートナーシップ につい ては ハイマー社 のもたらす品 質にあると主 張 、曰く「 ハイマー社の商品によって我々の高い基 準に合う品質 を常に甘 受することが で きると確 信 で きるから」。 シュウェイガー社で は 現 在 ハイマー社 の 焼 き 嵌 め 技 術を 駆 使した 焼 き 嵌 め チャックを 何 千本も保 有して いる。加えて、ハイマー社 の 焼 き 嵌 め 装 置を2 台とツ ールバランス 装 置を1台 製 造 現 場で 使 用している。 アンドレアス・オルテラ氏は「すべてのホルダーはハイ マー1社 から手に入れているし 、これ が弊 社に大 変あ っている。加えて、焼き嵌めやバランス装置は機 械 エ ンジニアが 開 発しており、使 いやすくてすぐに 結 果 が 出ている」とも言っている。

同様のことはマイクロセットプリセッターUNO autofocus 2 0/ 7 0 にも当ては まり、シュウェイガ ー社で はこれ を 焼 き 嵌め 装 置とバランス 装 置の 間 に置 いている。 2017年 初め、ビーレフェルドにある「マイクロセット・ ツールプリセット・テクノロジ」をバイエルン州にある ハイマー社 が買収して以 来、この 機 械 は「ハイマー社 ブランド」になった 。手 動 タイプと比べ て、この U N O a u t o f o c u s は C 軸 の 測 定で刃先に自動 的 に焦 点を 合 わせることができる。特に円周方向に複 数の刃先を持 つツールになると、このオプションは時 間を 縮めるの に大 変役に立つ。全 体からみると、この装置を使 用す ることで、マシニングセンタ外部でのプリセットにより 70%までセットアップ 時間を節約することができる。 ハイマー社の専務であるアンドレアス・ハイマー曰く、 「マイクロセット・ツールプリセット・テクノロジの取 得によって、弊 社は工具管 理のシステムを提 供できる 会 社 に なりました 。マイクロセットは 、これ まで の 高 精 度 ツーリング、クランプ、焼 き 嵌 め 、バランス 技 術 による商 品 群 を 完 全 に 補 完 することが で き、これ に より弊 社 のお 客 様 にもっと 大 きな サ ポートが で きる ようになりました 。」

詳 細

19 | エンジニアリング 日本 | 2018年 09月

11


新製品

ベストなソリューションのためのチームワーク:写真右から、シュウェイガー社製造責任者アンドレアス・オルテラ氏、中央はハイ マー社のドイツ南部販売責任者オリバー・レヒナー氏、そして左は機械オペレータのラファル・スタウスキ氏。

最 高レ ベ ル の 振 れ 精 度 が自 動 で出せる アントン・シュウェイガー氏 は 、現 在ドイツ金 型 協 会 ( V D W F )の 副 理 事 長 を 務 めており、ハ イマー社 と 協 力関 係 にあり、同 氏 のマイクロセットに対 する満 足 度は、20 年 以 上にわたりマイクロセットを 使ってすべ てのホルダーの測 定を行ってきたことからもうかがう ことが で きる。 シュウェイガー社 が 初 めて 高 速 機 械 を 導入した の は 2 0 年 以 上も前のこと、そ の 時 アントン・シュウェイガ ー氏はそれまで のコレットチャックからハイマー社 製 の 焼き嵌めチャックに切り替え、これにより振れ 精度 を向上させた 。他 社の商品に比べて、彼はハイマー社 の焼き嵌めチャックのほうが品質が良いことを認め、 曰く「ハイマー社と我々は会 社としての目標 が 同じで す。」「焼き嵌めチャックを例にとると、ハイマー社の ものは振れ 精度 が3ミクロン以下であり品質の良さを 見ることが で きます。」 これ は 同 社 にとって金 型 メーカーとして 重 要 な 前 提 条 件 である。結 局 、同 社で は安 価 な 消 耗 品 用の 射出 成 型 金 型を 生 産してい る わ けで は なく、高 級自 動 車 に使 わ れる大 変 複 雑 な 金 型を 生 産しており、一 例 を あげると、ヘッドライト用 2 面 射出 成 型 金 型 が ある。 同 社 の 顧 客 は 最 終 製 品 に 対し大 変 要 求 が 高く些 細

詳 細

19 | エンジニアリング 日本 | 2018年 09月

12

な 欠 点を も受 け入れてはくれ な い。結 果 同 社 が 作 る 金 型 は 厳しい 要 求 を 満 たし 、加 工 表 面 はガラスのよ うに ス ムーズ で な け れ ば ならず、10 0 分 の2ミリ以 内 の 公 差を 維 持しなけ れ ば ならない。 シュウェイガー社の主要製品の一つが、大 型複 雑 形 状 金 型のミーリング 加工であり、そこで は加工物 一つで も最高9トンにもなる。キャビティは往々にして大 変 深 彫りになる。一 般的には30 0から4 0 0 ㎜ の深さだが、 時には 5 0 0 から6 0 0 ㎜ の 深さになる。このためスリム タイプの 焼き嵌めチャックや、焼き嵌めエクステンシ ョンや、更には長いシャンクの 切 削工具まで必 要とな る。製 造 責任者のオルテラ氏は次のように強 調する「 ハイマー社のもう一つの特 長は、実に様々なタイプの ツールを標 準で提 供していること。ただし 、必 要とあ れば 我々は特殊なしかも様々なタイプを常に注 文して います。」また、彼は 標 準 ホルダーと特 殊 ホルダーど ちらにも共 通 する素 晴らしい 振れ 精 度について再 び 言 及して い る 。これらは 素 晴らしい加 工 結 果 だ け で なく、スピンドル や刃物の 寿 命 にも貢 献しています。 刃 物 寿 命 の 延 長により無 人 運 転 が 可 能 一 般 的に主軸の 寿 命 改善はコスト低 減に役 立つが、 刃物 寿 命 の改善 は 機 械 の自動 生 産にとって極 めて重 要 であ る 。「無 人 加 工を実 現 するため に 絶 対 必 要 な


新製品 金型メーカー、シュウェイガー社のオーナーであり社長である、アントン・シュウェイガー氏曰く、 「完全な自動化には、主軸から、ホルダー、刃物、すべてが安 全かつ長時間動くための信頼できるシステムが必要である。ハイマー社は高い品質を持つ商品によって工具管理分野をサポートしてくれます。」

もの は 、主 軸 やホルダー や刃 物 が 安 心して長 時 間 動 くシステムで す」と説 明 する の はアントン・シュウェ イガー氏である。 シュウェイガー社で は 大 型 金 型を 一 回 の 段 取りで自 動 加 工しており、1加 工 物 を 4 0 か ら5 0 時 間 、ま た 時 には10 0 時 間 の 間 途 中 休 むことなく自 動 で 加 工して いる。無 人 加工の際、工具が欠 損したり、主軸が 損 傷 したりすると致 命 的である。更には、ツーリングの 剛 性が高く確 実に刃物を把握することが、要求される加 工表 面の 品 質 を得 るために重 要 である。同 社 の 経営 者 が 付け 加えて曰く、 「このための 鍵 は ハイマー社の ホルダーであり、これによって工程 信 頼 性の高い加工 を実 現で きます。」 金 型 メーカー のすべ ての 要 求 を標 準 のホルダーで 満 たすことは で きな い。アントン・シュウェイガー氏 も イー ゲ ンハウゼ ン に あ る ハ イマー 社 のスペシャリス トたちの 密 接 な 協 力と会 社 の 柔 軟 性を高く評 価して い る 。曰く、「 我々にとって大事 なことは ハ イマー社 がユーザー の声を聴 いてくれることで す。」ハイマー 社 の 担 当は オリバー・レヒナー氏であり、ドイツ 南 部 で の 販 売 責 任 者であり、彼は 問 い 合 わ せに常に 迅 速 に 対 応して い る 。同 氏 曰く、「シュウェイガ ー社 に は 要 求 の あ る注 文 生 産 品 を 提 供しており、例 え ば 、テ

ーパー 形 状 のフェースミルアーバーが あり、キャビテ ィで は 3 6 0 ㎜ の 深 さま で で きるも の 、が ありま す。 」アントン・シュウェイガー氏 曰く、 「これらのホルダ ーは 工具径とキャビティの 深さをうまく合わせてくれ ており、お かげ で心 配することなく、見守る必 要もな く、機械に勝 手に加工させており、例え荒 加工でも同 じことです。」 大 型 複 雑 形 状 金 型のスペシャリスト 金型メーカー、シュウェイガー社は、エリッヒ・シュウェ イガー氏によって19 62年に設 立された。現在は、彼の 息子アントン・シュウェイガー氏によって経営され 、75 名の 従 業 員を擁し、毎年一 千万ユーロ(約13億円)の 売り上げ をあげ ている。そのコアビジネスは 重 さ5か ら3 0トンまで の 複 雑 形 状 の 射出 成 型 金 型であり、そ のうちの 9 9 %が自動 車 産 業 に向 け たものである。そ のうち主なもの はヘッドライトやオプチカル/ヴィジ ュアル 部 品 の 生 産 に使 用 さ れる 。顧 客 に は 、ドイツ 高 級 自 動 車 メーカ ー や ティア1メーカ ー(1次 サプラ イヤー)が 含 まれ る 。標 準 化 工 程 に よる自 動 加 工 に 加えて、シュウェイガー社は、ターンキーソリューショ ンに強 み を持 つ。同 社 の サービスには 生 産 方 法 の 開 発 から、量 産 及び アフターセール サービス がある。

詳 細

w w w. h a i m e r. b i z 19 | エンジニアリング 日本 | 2018年 09月

13


新製品

統合型グラナイト・モーション・システム ―個別のステージをグラナイト構造に取 り付ける従来アプローチに代わるもう一 つのソリューション

•カ スタム設計による直動プラットフォームで、 お客様の用途に応じた特殊ニーズに応えます • 高 剛 性 か つ 無 駄 を 排した 構 造 設 計 により、 個 別 のステ ージ をグラナイト構 造 に 取り付 けるステージ・オン・グラナイト(s t a g e - o n g r a n i t e )型 システム に 比 べ て、設 計 の 自由 度が高まります •ア プリケーションの仕様に基づき、ストローク やペイロード、応答性を拡張可能なデザイン

詳 細

アリング や エ ン コ ー ダ 、駆 動 機 構 など の 機械要素は、統合型グラナイト・モーション (Integrated Granite Motion:IGM)シス テムとして、グラナイト製のベースやブリッジ構造に直 接組み付けるように設計されています。そのためIGM システムは、個別の位置決めステージや機械要素をシ ステム 設 計 に 用 いる従 来 のステージ・オン・グラナイ ト型システムとは 明 確 に 違った 特 長を備えています。 特 にA e r o t e c h の I G Mシステムは、お 客 様 の 用 途 やプ ロセスに固 有 の 特 殊 ニーズ に合わ せてカスタム設 計 しています。 この I G Mシステムで は 、機 械 式ベ アリングやエア・ベ アリング、ボールねじ駆 動またはリニアモータ駆 動 に 対応した設 計 にお応 えで きます。さらに、エンコーダ からレ ーザ 干渉 計まで、多 彩 なフィードバック装置も 搭 載 可能です。また付 加 軸として、回 転 ステージやリ フト、ピエゾ・ステージ、さらにはガルバノ・スキャナな どをI G Mの 各 軸に取り付け、その 全 軸をAe r o te c hの 統合 制御プラットフォーム A 320 0によって制御するこ とが で きます。 I G Mシステムと従 来 のステージ・オン・グラナイト型 システムは 、それぞ れに固 有の 利 点 があります。どち

19 | エンジニアリング 日本 | 2018年 09月

14


新製品

らを 使うべきか の 選 択には 、お 客 様 の用 途 やプロセ ス はもとより、技 術 仕 様 やコスト上 の 制 約 が 大 きく か かわります。しかし I G M システムなら 、ステ ージ・ オン・グ ラ ナイト 型 システム に 比 べ て、力 の 伝 達 ル ープ を構 成 する 部 品 数 が 少 いため 、剛 性 を高くする こと が 可 能 で す。そ の 結 果 、高 精 度 に なり、動 特 性 も向 上します。またI G Mシステムで は 、機 械 要 素とグ ラナイト構 造 がより密 接 に 統 合 されるという特 性 か ら 、コンパクトにもで きま す。これ に より、アッベ の 原 理との 乖 離 が 小さくなる可 能 性 が 生まれ 、機 械 の 位 置 決 め 精 度 の 向 上を 図 れ ま す。加 えて、I G M シス テムの 各 軸 はグラナイト製 の主 構 造 に直 接 組み 付 け るように 設 計 さ れて い るため 、ストロ ー ク長 や 最 大 ペイロード など、軸 設 計 に 関 わ るパラメー タを 最 適 化 するのも簡 単 になります。

きる最 適なソリューションであるかをご 案 内します。 I G Mシステムの 詳 細 は 、 w w w.aerotech.com/product-catalog/integratedg r a n i t e - m o t i o n - s y s t e m s . a s p xで もご 覧 いただけ ます。 w w w. a e r o t e c h k k . c o . j p

Aerotechは長きにわたり、IGMシステムの設計開発、 製 造、カスタマイズ で実 績を積み重 ねてきました 。そ のため、お客 様のプロジェクトに固有の要件をお知ら せいただければ、お客様とともにその用途に必 要な仕 様を詳 細に検 討して、I GMが良いか、あるいは従 来の ステ ージ・オン・グラナイトの 方 が良 いか、どの タイ プの システム がお 客 様 の求 め るモーションを実 現 で

詳 細

19 | エンジニアリング 日本 | 2018年 09月

15


新製品

新しい光電センサ「R200」 「R201」― 検出距離が拡大

2018年4月、 ドイツ・マンハイム: 光電センサ「R200」と「R201」は、Pepperl+Fuchs( ペッパール・アンド・フックス)による革新的な製品設計によって、より長い検出距離で の応用が可能になりました。小型の「R100」 「R101」 「R103」シリーズと同様に、この新 しい製品はいずれも、特殊な取付け条件に対応できるようハウジングデザインを少し 大きくして、R10Xシリーズ同様に、各種の光電測定法式を盛り込みました。操作性もす べてのシリーズと共通で、直感的に使用できます。このようなSmart Sensor Profileを 経由した、標準IO-Link接続により、R100・R101・R103シリーズと、新しいR200・R201 シリーズは、利便性と信頼性の統合を可能にします。

R

100・R101・R103シリーズに加え、新たにR200 ・R 2 0 1シリーズ が 登 場したことで、適 切 な セン サの選択がさらに容易になり、それぞれのアプ リケーションや取付け条件に対する柔軟性が向上した ことから、ユーザーにとってのメリットも拡大しました。 また技術的な特長として、新シリーズのセンサでも、堅 牢なDuraBeamレーザー技術と高精度なMulti Pixel Te c h n o l o g y(M P T)を採 用して確 か な 距 離 測 定を実 現しています。すべてのシリーズ に共 通 の 操 作 性と測 定原理に加え、IO-Linkインターフェイスによって、コミ ッショニングや測定方式の変更、他のモデルへの変更

詳 細

19 | エンジニアリング 日本 | 2018年 09月

16


新製品

R100・R101・R103シリーズと、新しいR200・R201シリーズ 。

があった場合にも、センサのパラメータの確認や設定 変更を簡単に行えます。

詳 細 は 、以下の当 社ウェブサイトをご 覧ください; w w w. p e p p e r l - f u c h s . c o m

共通の測定方式 新しいR 20 0とR 201シリーズには、光電 式に基づく測 定 方法 がすべて揃っています。透 過 型センサから、偏 光フィルタ搭 載 あるいは透 明 物 体 の 検 出が 可能 な回 帰反射 型センサ、拡 散 反射 型センサ、背景および前景 抑 制 機 能 付きセンサ、2つの測 定 点による光 バリアの 検 出 、距 離 セン サまで ラインナップされています。 優れた操作性 すべてのシリーズ は、統 一された外 観デザインで、パ ラメータ設 定の直感的な操作性を実現します。設 定や ステータス、診 断 情 報を表 示する3つのL EDを 組み合 わせ、操 作 部として機 能する多回 転ポテンショメータ とプッシュボタンにより、素 早く簡単 なセン サの調 整 を行えます。すべてのシリーズ で操 作 性 が 統 一されて いるため 、ユーザーにとっても実 用 的 です。 R 10 0・R 101・R 10 3シリーズ を 透 過 型 セン サ や 回 帰 反 射 型 セン サ、拡 散 反 射 型 セン サとして 設 定 する際 の 操 作 感は、R 20 0・R 201シリーズの設 計でも同じに なっています。さらに、複 数の 測 定 点によるセン サや 距 離 セン サで も変わりません 。

詳 細

19 | エンジニアリング 日本 | 2018年 09月

17


新製品

整形外科用部品の機械加工に新 たな戦略

整形外科置換術や修復術に対する需要は、さまざまな要因により、ますます高まってい ます。整 形外科用部品には、人工関節に加えて、事故による負傷や病変部の修復・補強 に使われるプレート、ロッド、ピンなどがあります。

々の寿命が延びてきているため、加齢に伴 う関節炎や骨粗しょう症が増加し、それが整 形外科用部品の需要を押し上げています。 また、世 界 的 に体 重 超 過と肥 満 が 増 加しているた め、 関節部への負担も大きくなっています。さらに、ほとん ど体を動かさない人から積極的に運動する人まで、そ れぞ れ のライフスタイル の 幅 が 広 がっていることも、 身 体 の 一 部を置 換 することに 対 する需 要 増 に つ な が っています。新 興 国 の 経 済 成 長 に伴 い、整 形 外 科 術を 受ける資金的余裕がある層も拡大しています。Global Market Insights コンサルティンググループでは、世 界的な整形外科用機器市場は 2024 年までに 500 億 ユーロ(530 億ドル)へと成長すると予想しています。 過 熱する工 具 開 発 競 争 整 形外 科用部品分 野の競 争は激しく、市 場 の 約 85% を大手 5 社 が占めており、2 0 0 社 以 上 が 残りのシェ アを奪 い合っています。この 熾 烈な 競 争を受けて、機 器メーカーは常に、コスト効率の良い方法で 短 期間に

詳 細

19 | エンジニアリング 日本 | 2018年 09月

18

部品を製 造する方法を模 索しています。新しい被削材 の 採 用により、インプラントはさらに 軽 量 化し 、強 度 が 高まっており、最 大 2 5 年間 、人体 内で機 能で きる まで になっています。さらに、整 形外 科用 機 器 は、他 の 消 費 財と同 様 にカスタマイズ が 求 められる傾 向 が 高く、医 療 機 器メーカーは個 々の患 者 の 身 体 的 特 徴 や 好 み に応じて製 品 をカスタム 製 造する方 向に進 ん で いま す。多 様 な 製 品 を提 供 で きることは 、競 争 優 位 性 を 得 る点 で 重 要 で す。この ため 、機 械 加 工 工 具 メーカー は 、複 雑 な 形 状 をすばやく加 工 する 手 法を 開 発 する 必 要 があり、速 度と柔 軟 性に優 れ た 切 削 工 具 技 術に焦 点を当てています。最 先 端 の 製 造 技 術に は、3D プリンティングや機械 加工時 の高度な冷 却 技 術などがあります。 代 表 的な 部 品 整 形外 科用 機 器 には、人 工 股 関 節・膝 関 節の 部 品 、 肘・足 首の人 工 関 節 、外 傷 修 復 器 具 、脊 椎 用プレ ー ト、各 種 修 復 用ピ ン、ロッド、ファスナ など が ありま


新製品

す。この市 場 の 4 0% 以 上を占めているのは関 節 再 建 で、その大 部分 が股 関 節・膝 関 節の置 換 術です。この ような部品で重視されるのは強 度、信 頼性、軽 量 性、 生体適 合 性 です。 機 械 加 工の 課 題 整 形外 科用 部 品は 通常、バーストック、鋳 造 品 、鍛 造 品から機械 加工され 、その 後 研磨されます。股関節・ 膝 関 節用インプラントには、コバルトクロム合 金 が 被 削 材 種として最も広く利 用される一方、チタンの 利 用 も 増 加して いま す。一 般 的 なコ バ ルトクロム合 金 は C o C r2 8 M o 6 とほ ぼ 同じもので、チ タン 合 金として は T i 6 A l 4 V が 最 も広く使 用されています。 これらの 被 削 材 は いず れも生 体 適 合 性 が 高く、強 度 と剛 性に優 れているため 、整 形 外 科用 部 品に 最 適 で す。た だし 、この 特 性 は 難 削 と表 裏 一 体 で す。コ バ ルトクロム合 金 は硬 度と摩 耗 性 が 高 い 一方、弾 性 が 高く、熱 伝 導 性 が 低 いという 特 性 が ありま す。この 合 金 は硬 度と摩 耗 性 が 高い成 分を含 有 するため 、研 磨 工 具 が ひどく摩 耗 するうえ、生 成 さ れ る切り屑 は 長く、強 靭 です。そのため 、切り屑処 理と切 れ 刃 形 状 に特 別な 配 慮 が求 められます。 チタンは極 めて軽 量ながら、強 度に優れています。こ

の 被 削 材も機 械 加工中に加工硬 化し 、熱 伝 導性 が 低 いという特 徴 があります。発 生した 熱 は、切 れ 刃と工 具 表面に集 積します。高温と高い切 削力、さらには切 り屑がもたらす摩 擦により、クレーター摩 耗や工具の 不具合が生じます。この被削材は弾性率が低いため、 一 部 のインプラント用途に適していますが、切り刃か ら被 削 材 が 跳 ね 返るため 、切 削 工 具 の 鋭 利さに 細 心 の 注 意 が 必 要 です。 使 用するクーラント 整 形 外 科用インプラントに使 わ れる 被 削 材の加 工で は 通 常 、過 剰 な 熱 が 発 生 するた め 、クー ラントが 必 要になります。しかし多くの 場 合、部 品の 汚 染 を 避け るため 、従 来 のクーラントは使 用で きないか、または 使 用が極 度に制 限されます。そうでない場 合は、機械 加 工 後 に多大 な 時 間とコストをか けて洗 浄する 必 要 が あります。さらにクーラント自体も 、従 業 員の 安 全 衛 生や 廃 棄 物 処 理 方 針 など に 関 する 環 境 問 題 の 原 因となります。これ に替 わるクーラント技 術として使 用さ れる の が 、超 臨 界 二 酸 化 炭 素 ( s c C o 2 )ドライ切 削 技 術 で す。臨 界 二 酸 化 炭 素 が 、切 削 領 域 にドライ でありながら優 れ た 潤 滑 性をもたらします。

詳 細

Fu s i o n Co o l a n t Sy s te m s 社 が開 発したこの加工プ ロセスで は、オイル やエマル ジョン、合成 潤 滑 剤を 使 19 | エンジニアリング 日本 | 2018年 09月

19


新製品

用せずに部品を機械 加工することができます。二酸 化 炭 素を 31º C で 74b ar (1,070 psi)まで加圧すると、超 臨 界流 体になります。この状 態では、気体と同様に容 器内に充 填できますが、密度は液体とほぼ同じです。 超臨界二酸化炭素を切削領域に供給すると、膨張して ドライアイスとなりますが、液 体窒 素のように超 低 温 物質とはなりません。そのため、高圧 力の水 /オイル、 最 低 量の 潤 滑 剤 (M O L ) 、液 体 CO2、液 体 窒 素などを 使 用する従 来のシステムよりも優れた、極めて効果の 高 いクーラント液となります。 3 D プリント部 品 3 D プリントは 、整 形 外 科 用 機 器 の 生 産 に お いて 利 用さ れることが 多くなって い る 、もう 1 つ の 新 たな 製 造 技 術 で す。3 D プリントプロセスで は 、チタンと コ バ ルトクロム合 金 粉 末 を 使 用して、複 雑 な ニアネ ットシェイプ 部 品 を 生 産 で きま す。医 療 業 界で は 、 選 択 的レ ーザー溶 融 ( S L M ) 技 術 により粉 末 を 溶 かし て、一層ずつ 部 品を 形 成していきます。医 療メーカー では、このプロセスで患者 個 別にカスタマイズした特 殊 形 状と寸 法 の 部 品を製 造しています。さらに、この プロセスで は一様に微 孔 が 分布 する面が生 成される ため、部品と生体の骨との融合が 促 進されます。仕 上 げ 加工で は、3D プリントにより成 形された部 品は、 原材 料 の 金 属の加 工特 性をほぼそのまま維 持してい ます。た だし 、部 品 をプリント後 に処 理して、加 工中 に 発 生した不 均 一 な 応 力 を 解 放 する 必 要 が あ る 場 合 が ありま す。さらに 、ニアネットシェイプと複 雑 な 形 状 の た め 、後 加 工 の た め の 部 品 の 保 持 が 困 難 な こともあります。 人 工関節の部品 膝 関 節を完 全 に置 換する場 合、3 個 の 基 本 部 品 が 使 用されます。1 つは 大 腿 部 部 品と呼 ばれる成 形 金 属( コバ ルトクロムまたはチタン) 部 品で、膝 の 大 腿 骨 側 に 取り付けられます。2 つ目は 脛骨トレイと呼 ばれる 金 属部品で、下腿の脛骨上部に取り付けられますが、 これ は 縁 の 盛り上 がった平 面とそれを支 える短 いシ ャフトまたはキール から成っています。3 つ目はプラ スチック 製 の ベ アリングイン サートで、上 記 2 つ の 金 属部 品 の 間で 関 節の 動 きを助 ける働 きをします。

詳 細

19 | エンジニアリング 日本 | 2018年 09月

20

同 様 に、股 関 節置 換にも、次の 3 つの主 要 部 品 が 使 用されます。最 上部 に大 腿 骨頭 が 付 いた 金 属 製 の 大 腿骨ステムを、大 腿骨の最 上部 、つまり股 関節 側に挿 入します。骨 盤 側で は、金 属 製 の寛骨カップまたはソ ケットセットにより骨頭を受けます。膝 関 節用の 新 型 A l i n e a ベ アリングイン サートと股 関 節用プラスチッ クカップは通常、UHMWPE( 超高分子量ポリエチレン) から加 工されます。 複合的製造法 整 形外 科用インプラントの合 金 部品は、プラスチック 部品の摩 耗を最 低 限に抑え、20 年以 上にわたる耐用 期間中、関節が 確 実に機能するよう、優れた品質の面 仕 上げが求められます。たとえば人 工 膝関節では、プ ラスチックベアリングインサートの摩 耗を防ぐため、 大 腿 骨コンポーネントと脛 骨トレイのいずれも、極 め て滑らか に仕 上げる 必 要 があります。 そ の ため 、整 形 外 科 用 部 品 メーカー は 通 常 、フライ ス 加 工 後 に研 磨 加 工を実 施して、求 められる品 質に 仕 上 げ て いま す。しかし 、研 磨 加 工 に は 時 間 が か か るた め 、製 造 効 率 と 柔 軟 性 全 般 に 悪 影 響 が 及 び ま す。ま た 、研 磨 工 程 で は 高 温 が 発 生し 、研 磨 する 部 品に負荷 がか かるため 、部 品 の 寸 法 誤 差 が 発 生しや すくなり、製 品 の 強 度と性 能 に 影 響 する点 にも 考 慮 が 必 要 です。 高度な切削ツールや高速フライス加工を活用すれば、 研磨工程を支 援することができ、場 合によっては研磨 工 程をなくすことも可 能です。このフライス 加 工の目 標 は、バリのない 外面と求められる品 質、完 全 性、寸 法精度で優れた表面仕上げを実現することです。研磨 などの 後 処 理を行う場 合でも、フライス加工によって 仕 様 通りの 表 面 粗さと構 造 が 確 保されているため 、 そ の 作 業 時 間 を 最 小 限 に 抑えることが で きます。工 具 に関しては 、高 い 信 頼 性と長 寿 命 、最 大 限 の 生 産 性の両 方 を 達 成 することが目標 です。 一 般 的な用 途 の 1 つで は、コバ ルトクロム 鋳 造 品 製 の 大 腿 骨コンポーネントを 5 軸フライス 盤 でボール ノーズエンドミルを 使って仕 上げ ます。高 速の 倣 いフ


新製品 ライス方 式と高性 能のエンドミルを 使うことにより、 研磨 作 業を 省 略できます。1 部 品あたりのサイクルタ イムは 11 分と、従 来 の方 法 に 比べて 5 0 % 短 縮 され ています。大 腿 骨 頭 面 仕 上 げ を 研 磨 からフライス 加 工 に 変 更 することに より、不 良 品 をなくすこと が で きます。超 硬ソリッドエンドミル には 、専用の 強 靭 な 超 硬 材 種と硬 度の高い 研磨 T i A l S i N コーティングが 採 用されており、高い切り屑除去率とスムーズな切削 加 工で 優れた仕 上げ を実 現し 、研磨 時 間を 最 短に抑 えることが で きます。 複 数の 加 工作 業 整 形外 科用 部 品 の 複 雑 な形 状を加 工するには、特 殊 な 工 具 による 専用の 手 順 が 必 要となることが ありま す。たとえば、脛 骨トレイの加 工には 通常、粗 加 工 、 トレイベースの 粗 加 工、トレイベースの 仕 上げ 加 工、 面 取りフライス 加 工 、T 溝 アンダーカット加 工 、側 面 仕 上げ/ 面 取り、アンダーカットバリ取りなど、最 大 7 工程の機械 加工が必 要となることがあります。この場 合の課 題は、最 低 限の 手 作 業で 優れた表面 仕 上げを 実 現するとともに、生 産 性、コスト、品 質の 最 適の 組 み合 わ せ を 維 持しつつ、高 い 信 頼 性 で工 具性 能 を引 き出すことです。

標 準 工 具と用 途 サポートが もたらす 利 点の 数々 整形外科用機器の詳細設計は、メーカーにより大きく異なることが ありますが、人間の身体は基本的に同じ構造であるため、製品には 共通の特徴が数多くあります。従来、メーカーはカスタム工具を使っ て部品を機械加工してきました。しかし、複数の被削材を効率良く加 工して共通する特性を持たせることで、カスタム工具一式と同様の 働きをすることのできる工具には、広く活躍できる場所があります。 セコ・ツールズは、医療用部品の製造工程を綿密に分析し、医療 用部品の機械加工で 10 年以上積み重ねた経験を活かして、コバ

従 来 、この 種 の 複 数 の 加 工作 業 を行 うに は 、作 業ご とに 求 めら れる 形 状 、寸 法 、表 面 仕 上 げ が 得 ら れる ように開 発された 特 殊 工 具 が 必 要 でした 。特 殊 工 具 には、設 計と開 発に時 間とコストがかかり、生 産 量 が 少ないため 、長 いリードタイムを要し 、在 庫にも制 約 があります。

ルトクロム製整形外科用部品の機械加工用標準エンドミルのシリ ーズを開発しています。これは、特殊工具ソリューションをさらに 柔軟性の高い標準ソリューションに置き換えることを目指すもの です。これらの工具は、幅広い部品や被削材に使用できる性能特 性を備えています。 工具の標準化には、多くのメリットがあります。まず、カスタム工具

そこで、複 数の用途に高い生 産 性で 使 用でき、しかも 整 形外 科分 野 のさまざまな類 似 部 品に利 用できる柔 軟性も備えた、標 準化された工具を開発し、使 用する という新たなアプローチが 現 れました 。( 補 足 参 照 )

の設計、試作品作成、試験に要する時間を大幅に節減できます。標

結論 世界 的な人口 動 態と経 済 動 向から、高 度 な整 形外 科 用部品に対する需要が今後も高まることは確実です。 また、消費者の希望と、競合 他社との差別化を図ろう としている医療 用部品メーカーの決断とが相まって、 患 者 個 別 の 要 件 に 対 応 するようにカスタマイズされ た 整 形外 科用 部 品 の 開 発 がますます進むでしょう。 意 外 なことに 、従 来 使 用さ れてきた カスタム 工 具 ほ ど 特 殊 なも ので なくても 、柔 軟 性とコスト効 率 が 高 い工 具であ れ ば、各 種 部 品 の 特 殊 形 状 を加 工するこ とが で きるのです。

この新シリーズには、 9 種類の形状で、合計 39 の工具が含まれて

準工具であるため、当社カタログに掲載し、セコ・ツールズの物流セ ンターから世界各地に供給できるようになります。さらに、大量生産 が可能になるため、工具あたりのコストを下げることができます。

います。形状の種類は多くありませんが、多数のサイズや半径、寸 法に展開されています。 これらの工具は、膝関節用・股関節用などの各種整形外科用部品 に共通の特徴を加工できるよう設計されていますが、骨プレート、 脊椎用部品、その他のコンポーネントにも使用できます。9 種類の 形状はそれぞれ別の機能や用途に対応しており、粗加工、仕上げ 加工から T 溝アンダーカット、複雑な形状の部品の細かい仕上げ までの範囲に対応できます。 たとえば JH770 エンドミルは粗加工用に設計されていますが、ソ

著 者 について: J a n - W i l l e m v a n I p e r e n ( 医 療 製 品 エンジニア )と R u u d Z a n d e r s ( J a b r o 製 品マネージャー)は、セコ・ ツールズ 開 発 チームのメンバーです。医 療 用部 品のフ ライス 加 工 に お いて、お 客 様 が 最 適 の 標 準ソリュー ション を 利 用 で きるよう、さ まざ ま な 支 援 を 提 供し て いま す。また、C A M プ ログラミングの サ ポートも 提 供しています。

リッドの粗加工またはニアネットシェイプ加工に使用できるよう、4 、5、6 フルートの各スタイルが提供されています。この工具は全体 長が短いため、負荷の大きな金属切削に最高の剛性を発揮します。 標準製品として、大腿骨頭の箱型形状などの小型部品細部の 5 軸 仕上げ用の 4 フルートテーパ型ボールノーズ(TBN)である JH780 も ご用意しています。 これらの標準工具は、耐久性の高い超硬材種(12% Co)で製造され ており、セコ・ツールズが社内で開発した研磨 TiAlSiN HXT コーテ

w w w. s e c o t o o l s . c o m

ィングを採用しています。

19 | エンジニアリング 日本 | 2018年 09月

21

詳 細


Turn static files into dynamic content formats.

Create a flipbook
Issuu converts static files into: digital portfolios, online yearbooks, online catalogs, digital photo albums and more. Sign up and create your flipbook.