エンジニアリング 日本
ENGINEERING JAPAN
THERMAL BY FLIRプログラ ムが拡大―民生品や産業利 用に対応した業界初のウェ アラブル・モバイル・ハンドセ ット製品が登場
6 DSPACE:新しいDARTS 9040-GTレーダーターゲット シミュレータにより、車載4D センサソリューションのター ゲット分離性能テストを実現 20
自動車、産業、クラウドパワーの各市場 を網羅する最先端技術の展示をご覧い ただけます 28
直動・回転案内に必要な機 能と非磁性&超高耐食性を 両立
33 | 2023 年 01 月
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ENGINEERING JAPAN 33 | エンジニアリング 日本 | 2023年 01月 ZF 4 TELEDYNE FLIR OEM 6 IDS IMAGING DEVELOPMENT SYSTEMS 8 CUI DEVICES 9 HITACHI CONSTRUCTION MACHINERY 10 RENESAS 12 LEICA GEOSYSTEMS 14 ABB 16 ROHDE & SCHWARZ 18 DSPACE 20 ONSEMI 28 WEARIN' 30 MITSUBISHI ELECTRIC 22 HAINBUCH 23 ANALOG DEVICES 33 TEXAS INSTRUMENTS 24 VIA TECH 26 EAO 27 www.engineering-japan.com
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CESワールドプレミア:コネクティビティプラットフォーム「「ZF PROCONNECT」」で車両をクラウドやインフラと安全に接続
高度に自動化されたソフトウェア・デファインド・ビークル(SDV)と次世代の デジタルサービスには、強力なネットワーキングと大量のデータ交換が必要 です。「ZF ProConnect」コネクティビティプラットフォームは、車両をクラウ ドおよび交通インフラストラクチャを接続します。
• 「ZF ProConnect」は、自動化されたソフトウェ ア・デファインド・ビークルをクラウドとインフラス トラクチャに接続
• 最も厳しい安全性とセキュリティ基準を満たしたコ ネクティビティソリューション
• ZFパートナーのヘキサゴン社が、CES 2023のデモカ ーで自動運転用の高精度衛星ナビゲーションを実演
最も厳格なセキュリティ要件を満たす最先端 製品の 一つです。すでにグローバル自動車 メーカーから最初の大型受注を獲得してお り、2025年に量産開始予定です。2023年1月5日から8 日まで、ネバダ州ラスベガスで開催されるコンシューマ ー・エレクトロニクス・ショー(CES)にて、自動運転およ び測位スペシャリストであるヘキサゴン社のデモカー でそのテクノロジーを体験できます。
先進運転支援システム(後の自律運転車)を導入する ためには、車両は多様な方法で外部とのネットワーク を結ばなくてはなりません。膨大な量のデータを、さ まざまなインターフェイスを介して迅速かつ確実に交 換する必要があります。「ZF ProConnect」コネクテ
ィビティプラットフォームは、未来の自動車に最高峰 のネットワーク機能を提供します。本ソリューション は、CES 2023の公式ワールドプレミアを飾ります。
SDVの主要コンポーネント
「ZF ProConnect」は、DSRC(狭域通信) 、C-V2X、Vehicle-to-Everything (V2X)などの 規格をマスターすることで、信号機などの道路イン
詳 細 NEWS 33 | エンジニアリング 日本 | 2023年 01月 4
フラとの通信を可能にします。またカーブの先での 突然の渋滞解消や、出動中の救急車の接近情報を ProConnectが受信し、運転者に警告することも可 能です。自動車産業用で最もパワフルなスーパーコ ンピュータである高性能コンピュータ「ZF ProAI」
は、ProConnectから供給されるデータを処理し、 既存のセンサーおよび他の車両データと組み合わせ、 人工知能を使用して安全運転戦略を導き出し、アク チュエータシステムにアクションコマンドとしてこれ らを送ります。ProAIと連携するProConnectはSDV の重要な部分であり、次世代モビリティとデータベース のビジネスモデルの基本的な前提条件となります。
「ZF ProConnect」は、幅広いデジタルサービスを 可能にします。車載ソフトウェアを継続的に更新し たりオンデマンドで一時的に増やしたりする無線ア ップデートに加え、正確な位置データを必要とする 自動追い越しなどのADASコンフォート機能用の高 精細地図データも含まれます。センサーと診断データ の伝送には、コネクティビティも必要です。例えば、道 路状況(くぼみ、滑りやすさ、雪、凍結など)をクラウ ドに報告するなど、自動運転車においては、フリート マネジメント、スマートフォンアプリとの連携(サービ ス情報、時刻表など)、遠隔操作、さらには自動運転 シャトルのコントロールセンターとの通信や相互作用 などに重要な役割を果たしています。これらは、車両 の信頼性の高いネットワーキングを実現し、快適性と 安全性の向上につながります。
「自動車は他の道路利用者やインフラストラクチャ、 クラウドとのやり取りができるようにV2X通信を必要 とします。「ZF ProConnect」では、SDVにおいてま
すます重要な役割を果たしているお客様向けのデジ タルビジネスモデルの可能性を切り開きます。」とZF のADコンポーネンツ&コネクティビティ部門の責任者 であるオリバー・ブリームルは語っています。
市場で最初のシステムの一つとして、ProConnectは、 電気/電子システムに関する規格ISO 26262、ASIL-B (D)による機能安全基準、およびサイバーセキュリテ ィ規格ISO/SAE 21434などの自動車向けの国際的な 規格要件を満たしています。これにより、認証されて いない外部からのアクセスに対して自動車を完全に 保護します。また、「ZF ProConnect」は、モジュラ ーハードウェアとソフトウェアによって、8.6 x 6.7 x 2インチと非常にコンパクトなため、自動車メーカー に設計の大きな柔軟性をもたらします。
自動運転のための正確なナビゲーションを提供 自動運転と自律運転においては、コネクティビティ プラットフォームの完全なネットワーク機能が生か されます。LTEおよび5Gモバイル通信規格に対応し ており、BluetoothおよびWiFiに対応しているほ か、衛星を介してセンチメートル単位の精度で車両 の位置を特定できる全球測位衛星システム (GNSS) に接続することもできます。ProConnectは、クラウ ド経由で必要な地図資料も取得でき、ヘキサゴン社 のTerraStar-Xコレクションサービスと測位演算エ ンジンによる高精度ローカリゼーションは、車両の 環境センサーを補い、冗長性と安全性を高めます。 包括的なコネクティビティソリューションに加えて、 はるかに小型なProConnectモジュールも利用可能 です。こちらは主に衛星測位を提供します。
ZFは、CESにて自律型モビリティの分野でソフトウ ェアおよびデータ管理の大手プロバイダであるパー トナーのヘキサゴン社のデモ車両で、このシステム が未来の衛星ナビゲーションにいかに正確に寄与し ているかを実証します。ヘキサゴン社の社長兼CEO であるオラ・ローレンは次のように述べています。「 自律型モビリティの変革の可能性は、オンロードと オフロードの両方で、長年にわたって私たちの焦点 となっていました。この未来の安全性と信頼性を確 かなものにするために、自動車エレクトロニクスお よび制御システムの世界的リーダーであるZFと提携 できることを大変嬉しく思います。自動車および輸送 業界における安全と自動化を推進していく中で、この パートナーシップは、自然な流れです。」
CESでのヘキサゴン-ProConnectデモカーに興味を 持たれた方は、こちらから 登録してください。 www.zf.com
33 | エンジニアリング 日本 | 2023年 01月 5 詳 細
「ZF ProConnect」:コンパクトなユニットで自動運転とV2X通信のた めの信頼性の高いデータ交換可能
THERMAL BY FLIRプログラムが拡 大―民生品や産業利用に対応した業界 初のウェアラブル・モバイル・ハンドセッ ト製品が登場
RealWear社が同社のNavigatorシリーズに対応したサーマルカメラ・モジュールを発 売するとともに、Ulefone社からはLepton 3.5サーマルカメラ・モジュールを搭載した Power Armor 18Tスマートフォンが登場しました。
レダイン・テクノロジーズの1社であるテレ ダイン・フリアーは本日、拡張現実ウェアラブ ル・ソリューションのパイオニアRealWear社 が世界初の完全ハンズフリーの音声制御によるサーマ ルカメラ・モジュールを発売したことを受けて、同社を Thermal by FLIRプログラムの最も新しい協力メンバ ーとして迎えました。加えて、Thermal by FLIRメンバー のUlefone社も先日、Lepton 3.5サーマルカメラ・モジ ュールを搭載した初めてのモバイル用ハンドセットと して5G対応のAndroidスマートフォンPower Armor 18Tを発売しました。
「Thermal by FLIRは、RealWear社やUlefone社 などのOEMメーカーがテレダイン・フリアーのサー マルカメラや技術を活用して革新的な製品を創り上 げるのを支援する共同製品開発/マーケティング・プ ログラムです。このプログラムにより、パートナー企 業は非冷却式の熱画像技術を世界的にリードする 当社と協力して、製品の市場投入までの時間を短縮 するとともに開発費用を抑制でき、事業拡大を加速 させることも可能になります」と、テレダイン・フリ アーの非冷却式熱画像カメラ・モジュール担当副社 長Mike Waltersは説明しています。
業界初のウェアラブル製品 RealWear Navigator™ 500ハンドセットのサーマ ルカメラ・モジュールは、最前線で活躍する労働者 が高解像度な可視画像と熱画像を取得して、トラブ ルの許されない産業設備の温度異常位置を素早く 発見できるように、その能力を高めます。同ハンドセ ットは、拡張実現による診断のためのウェアラブル
詳 細 NEWS 33 | エンジニアリング 日本 | 2023年 01月 6 テ
製品としてLepton 3.5サーマルカメラ・モジュール を採用した初めての市販システムです。このモジュー ルを端末に取付けたことで、最大100dBaというノイ ズが大きな環境であっても、ユーザーは音声コマン ドだけで設定やモードを変更したり、熱画像を取得 したりできるようになりました。
RealWear社のCPO(chief product officer)であ るRama Oruganti氏は次のように説明しています。
「産業現場の前線で働くスタッフは危険な環境に いながらも、ハンズフリーに熱画像データを取得で きるようになったことで、労働者にとって業務を安全 かつ高い生産性で遂行できる大きな力を新たに得ら れるようになりました。なによりThermal by FLIRプ ログラムを通じた協力によって、システムを迅速かつ 低コストに開発できただけでなく、市場機会も大きく 拡大しました」。
数百万台ものLeptonカメラが活躍
Android OSの堅牢なUlefone Power Armor 18T スマートフォンは、小型かつ軽量で低電力・低コスト なマイクロ・サーマルカメラLeptonシリーズを搭載 した13番目のモバイル端末となりました。モバイル用 ハンドセット市場は、数の面でLeptonの最大のOEM 市場でもあります。モバイル端末のほか、ウェアラブ ル端末という高機能な周辺機器へもLeptonが組み 込まれるようになり、同カメラ・モジュールは史上最
も広く採用された熱画像プラットフォームへと成長 を遂げました。すでに300万台以上のLeptonユニッ トが、製造業やセキュリティ、防衛、IoT、民生品産業 の様々な製品に組み込まれています。
技術のエコシステムへ招待 Thermal by FLIRは、アプリケーション・エンジニア のチームによる開発サポートを通じて、パートナー企 業のそれぞれのサーマルカメラ・システムの性能最 適化を支援することから始まります。RealWear社 とUlefone社の製品は、特許技術であるMSXイメ ージング機能や可視画像の輪郭抽出を使った熱画 像の改善機能、FLIR Thermal Studioソフトウェア との互換性など、テレダイン・フリアーのエコシステ ムを活用しています。特にサブスクリプション方式 のFLIR Thermal Studioソフトウェアは、ハンドヘ ルドの熱画像カメラからでも、無人航空機システム (UAS)や音響イメージング・カメラ、光学式ガス・ イメージング(OGI)カメラからでも、その数千もの 画像や動画を管理するのに必要となる高度な処理 機能を備えています。
Thermal by FLIRプログラムについて詳しくは https://www.flir.com/oem/thermal-by-flir/ をご覧ください。
33 | エンジニアリング 日本 | 2023年 01月 7 詳 細
アップグレードされた 3D カメラシリーズを IDS が発売
解像度と精度はほぼ 2 倍、それでも価格は据え置き。Ensenso N シリーズの 3D カメ ラを選べば、より高度なモデルのメリットを活用できます。新しいステレオビジョンカメ ラ (N31、N36、N41、N46) を IDS Imaging Development Systems から購入できる ようになりました。
Ensenso N 3D カメラはコンパクトなハウジング (モデルに応じてアルミニウム製またプラスチッ ク複合材製) と、内蔵パターンプロジェクターを 備えています。静止物と移動物のどちらの撮影にも適し ています。内蔵パターンプロジェクターは高コントラス トのテクスチャを該当する物体に投影します。ランダム ドットパターンによるパターンマスクで、存在しないか、 ほとんど見えない表面構造を補完します。これにより、 困難な照明条件でも詳細な 3D 点群を提供できます。
選択ツールを利用すると、正しいカメラモデルを選 択できます。
このたび発売された
Ensenso モデル N31、N36、 N41、N46 モデルは、これまで販売されている N30、N35、N40、N45 の次世代モデルとなります。 見た目は前モデルのカメラと違いはありません。
しっかり固定された用途でもロボットアームでの移動 用途でも、Ensenso N なら、さまざまな用途で確実 な 3D 情報を提供する 3D カメラシリーズを選択で きます。シングルアイテムピッキングなどで価値を発 揮し、リモート制御の産業用ロボットをサポートし、 物流での利用や大量のクリーニングの自動化支援 にも使用できます。IDS は、Web サイトでさまざま な汎用的な用途の可能性を示す詳しい製品活用例 を紹介しています。
しかし、Sony
製の新センサー、IMX392 を使用して います。この結果、解像度が向上します (1.3 MP では なく 2.3 MP)。すべてのカメラは事前校正済みで、セ ットアップが簡単です。IDS Web サイトで Ensenso
詳しい情報は : https://jp.ids-imaging.com/ ensenso-3d-camera-n-series.html
詳 細 NEWS 33 | エンジニアリング 日本 | 2023年 01月 8
CUI DEVICES、新しい電源リレー製品ラインを発表
CUI Devicesのリレーグループは本日、新しい電源リレーのラインを追加し、今後もさ らに製品拡張を続けて行くことを発表しました。
CUI Devicesの電源リレーは、さまざまな産業 アプリケーション、測定・制御機器、安全システ ムの高レベル電流スイッチングに最適で、業 界最高のリードタイムを誇り、最大スイッチング電流 は5A~40Aです。
電源リレーのPRファミリーは、SPST (1フォームA)、 SPDT (1フォームC)、DPST (2フォームA)、または DPDT (2フォームC)コンタクトフォーム、さまざまな コンタクト定格、Ag Alloyオーバーレイコンタクト材 を備えています。スルーホールパッケージに収納され たこのモデルは、最大スイッチング電圧440 Vacまた は120 Vdc、コイル定格電力200~900 mW、コイル
電圧5、12、または24 Vdcに対応しています。
CUI Devicesの信号リレーは販売代理店を通じて、100 個単位で単価$0.70~で販売しています。OEM価格に ついてはCUI Devicesまでお問い合わせください。
www.cuidevices.com
詳 細 NEWS 33 | エンジニアリング 日本 | 2023年 01月 9
日立建機株式会社 は、環境負荷低減に貢献する取り組みの一環として、2023年1月か ら、土浦工場で生産している再生部品の一部に使用する塗料を、油性塗料から水性塗 料へと変更します。
油圧・駆動系の再生部品*1を対象とし、水性 塗料への変更により、現行の油性塗料に比 べて塗装時に排出されるVOC*2量を80%、 CO2量を22%削減します。水性塗料の活用は、日立建 機では初めての取り組みになります。
1. 対象の再生部品は、油圧ショベルの油圧ポンプ、セ ンタージョイント、走行・旋回モーター。
2. VOC(Volatile Organic Compounds)とは、揮発 性の有機化合物の総称で大気汚染の原因の一つ。
VOCは揮発性を有し、大気中で気体状となる有機化 合物の総称で、光化学スモッグやPM2.5などの大気 汚染の原因物質の一つとされています。長時間の吸 入によって目、鼻、喉の炎症、頭痛など人体への悪 影響が出ることが確認されています。水性塗料は、 油性塗料に比べてVOC含有量やCO2排出量が少な く、大気汚染や健康被害リスクを軽減でき、経年劣 化にも強いことが特徴です。
しかし、日光に長時間当たると、色あせや表面がひ び割れしてしまうなどの耐候性や、塗装作業時に気 温や湿度などの環境要因に大きく影響されるため、 扱いづらいなどの課題もありました。今回は、外観 に影響を与えない機械内部の部品に塗装を限定し、 また、塗装作業時の気温や湿度による品質への影響 を調査したり、塗装時に使用するスプレーガンと塗装 する部品との距離の調節などを行うことにより、水性 塗料の活用を可能にしました。
詳 細 NEWS 33 | エンジニアリング 日本 | 2023年 01月 10
再生した油圧ポンプに水性塗料を塗装する様子
日立建機で初めて再生部品の塗装に水性塗料を活用し、環境 負荷低減に寄与
日立建機グループは、これまでにもVOC排出量抑制 に取り組んでおり、2019年度には日立建機グループ 全体で使用している塗料の見直しを行い、より隠蔽 性 の高い塗料を活用することによって塗料の使用 量を減らし、VOC排出量も削減しました。また、日立 建機の連結子会社である株式会社日立建機ティエラ でも、2019年からミニショベルの部品の一部塗装に 粉体塗料を活用することで、VOC排出量の削減を実 現するなど、塗料の変更によって環境負荷削減に努 めてきました。
*3:下地を覆い隠す性能のことで、隠蔽性が高い塗 料の場合、低い塗料に比べて重ね塗りの回数を減ら すことが可能。
日立建機グループは、これからも、部品再生事業を はじめとするバリューチェーン事業の強化を進め、 環境負荷低減および人にやさしいものづくりの実現 に向けた取り組みを通じ、社会課題の解決に貢献し てまいります。
www.hitachicm.com
33 | エンジニアリング 日本 | 2023年 01月 11 詳 細
土浦工場で再生した油圧ポンプ(油性塗料)
ルネサスとフィックスターズ、AD/ADAS 向けAIソフトウェアをR-CAR SOCに最 適化するツール群を共同開発
最適なネットワークモデルを早期に開発し、高速シミュレーションが可能なため、開発 サイクルを短縮可能。
ネサス エレクトロニクス株式会社(代表取 締役社長兼CEO:柴田 英利、以下ルネサ ス)と株式会社フィックスターズ(代表取締
役社長 三木 聡、以下フィックスターズ)は、AD(自動運 転)/ADAS(高度運転支援システム)向けソフトウェア をルネサスの車載用SoC(System on Chip)R-Carに 最適化し、高速にシミュレーションできるツール群を共 同開発しました。ソフトウェア開発の初期段階において R-Carの性能を活かした認識精度の高いネットワーク モデルを早期に開発できます。これにより、開発の手戻 りを低減し、開発サイクルの短縮が可能です。第一弾と
Operations Per Second)の ディープラーニング性能を低消費電力で実現するAD/ ADAS用「R-Car V4H」向けのツールを本日より提供開 始します。
ルネサスの車載ソフトウェア開発統括部、統括部長の 川口 裕史は次のように述べています。「ルネサスは、 お客様がソフトウェアファーストを実現できるように、 統合開発環境の構築を推し進めています。R-Carに適 した深層学習モデルの開発を支援することにより、お 客様の目指すAD/ADASソリューションの実現のみな らず、開発負荷の軽減を図ります。」
フィックスターズの代表取締役社長 三木 聡は次の ように述べています。「ルネサスと共同開発したデ バイス選定のための初期評価用クラウド開発環境 GENESIS for R-Car は、すでに多くのお客様が活用 しています。今回の新たなツールを核として、今後、 車載分野でも常に最新のソフトウェアを更新できる MLOps(Machine Learning Operations)の実現 を目指して技術開発を進めます。」
今日、AD/ADASアプリケーションでは高精度な物体 認識を実現するために深層学習(Deep Learning) が用いられています。深層学習の推論処理は多くの計
詳 細 NEWS 33 | エンジニアリング 日本 | 2023年 01月 12 ル
して、最大34TOPS(Tera
AD/ADAS向けAIソフトウェアをR-Carに最適化
算量やメモリ使用量を必要とします。そのため、演算 器やメモリなどのリソースが限られている車載SoC上 でリアルタイム処理を実現するためには、モデルや実 行プログラムを車載SoCに最適化する必要がありま す。また、ソフトウェアの評価検証までの開発サイク ルを早期に回して、精度や性能の要件を満たすよう アップデートを繰り返す必要があります。こうしたニ ーズに応えるために、今回、ルネサスとフィックスタ ーズが開発したツールは以下の通りです。
1. R-Carに最適なネットワークモデルを生成するツー ル「R-Car NAS(Neural Architecture Search)」
R-Carに搭載されているCNNアクセラレータやDSP、 メモリを効率良く利用するような深層学習ネットワー クモデルを生成するツールです。これにより、R-Car に対する深い知識と理解が無くても、認識精度や処 理時間の要件を満たす軽量なネットワークモデルを 早期に開発可能です。
2. ネットワークモデルをR-Car用にコンパイルするツ ール「R-Car DNN Compiler」
最適化したネットワークモデルを、R-Carの性能を最 大限活用できるようにプログラムに変換するコンパイ ラです。CNN IPを用いて高速に実行できるプログラ ムに変換し、高速・小容量なSRAMを最大限活用で
きるよう、メモリの最適化も行います。
3. コンパイルしたプログラムを高速にシミュレーショ ンするツール「R-Car DNN Simulator」
プログラムの動作検証を、R-Carの実チップを使わず に、パソコンで高速に実行できるシミュレータです。 本ツールにより、R-Carと同等の演算結果を得ること ができます。モデルの軽量化やプログラムの最適化を 適用する過程で推論処理の認識精度が劣化すること があります。その場合でも、すぐにネットワークモデ ル開発へフィードバックを図ることにより、開発サイ クルを短縮できます。
ルネサスとフィックスターズは、今後も共同ラボ 「 Automotive SW Platform Lab」の活動を通し て、ディープラーニング向けソフトウェア開発と、学習 したネットワークモデルを継続的にアップデートして 認識精度および性能を維持、向上できる運用環境の 構築に向け技術開発を行います。
本ツールについての詳細は、こちらをご覧ください。 https://www.renesas.com/software-tool/ tools-optimize-ai-software-adadas-r-car-soc
www.renesas.com
33 | エンジニアリング 日本 | 2023年 01月 13 詳 細
ライカジオシステムズのAI機能搭載モバイルマッピングシステ ムに新モデル登場
新製品 Leica Pegasus TRK Evo - AIを活用したリアリティキャプチャで最高精度とデ ータ密度を実現。
Hexagon 傘下の、計測テクノロジー業界のリ ーダーであるライカジオシステムズ株式会社 (本社:東京都港区、代表取締役社長:日比孝 典)は、今年 9月に発表した、人工知能、自律的なワー クフロー、直感的なインターフェースを導入したリア リティキャプチャモバイルマッピングシステム Leica Pegasus TRK Neo に追加して、Leica Pegasus TRK シリーズに新モデル Leica Pegasus TRK Evo が登場 し、本日から日本国内で販売開始することを発表しまし た。この製品は、従来製品と比べ非常に軽量で、一人で も搭載・取り外しができるため、マッピングプロジェクト の効率と費用対効果を高めることが可能です。
Pegasus TRK は、人工知能の機能を活用し、モバイ ルマッピングを変革します。ダイナミックレーザースキ ャニングと拡張可能なイメージシステムにより、環境の キャプチャ、視覚化を行い、直感的で自動化されたガ イド付きワークフローにより生産性を向上させます。
Pegasus TRK は一人で搭載・取り外しすることがで き、測量、交通、公共事業など様々な業界で高度な技 術的専門知識を持つユーザーだけでなく、初めて技術 を習得するユーザーにも適しています。
新しい Pegasus TRK500/700 Evo は、道路状況
の検査、変形、詳細な構造解析など、測量やエンジ ニアリングの分野で求められる最高精度とデータ密 度を実現することに重点を置いています。鉄道分野 では、クリアランスや衝突リスクの評価、鉄道資産の 検査、規制対応や将来計画のための現場の状況に合 わせたジオメトリ計算などに使用される予定です。
詳 細 NEWS 33 | エンジニアリング 日本 | 2023年 01月 14
Pegasus TRK は、新しいパワフルな Leica Pegasus FIELDソフトウェアと接続し、現場で自律的かつ安全 にデータ収集とルートプランニングを行うことができ ます。また、Leica Cyclone Pegasus OFFICE と接 続し、後処理や出力処理にシームレスなワークフロ ーを提供します。
Pegasus TRK Evoの特徴
• 最大2,000,000回/秒の計測が可能なエンジニアリ ンググレードのシステム
• シングルまたはデュアルスキャナ構成
• 重量 21kg / 29kg
• 高密度で鮮明な点群データ
• 高精細スキャンと専用高解像度舗装カメラ
• 1mm精度のキャプチャで、重要なクリアランス計 測の信頼性を確保
• GNSSに依存しないSLAM技術により、GNSSが困難 な峡谷やトンネルでのデータ収集が可能
• サステイナブルなものづくりを支える高い技術品質
• ホットスワップ可能なバッテリーユニットは最大 10.5時間持続
• 防塵防水規格: IP65
www.leica-geosystems.com
33 | エンジニアリング 日本 | 2023年 01月 15 詳 細
ドイツ最大の鉄道事業会社であるドイツ鉄道が、欧州初のSF6フリー PrimeGear™ ZX0スイッチギアを採用、差し迫ったFガス規制対応において 一歩先行。
• ドイツ鉄道は、地球温暖化の影響がほぼゼロの代 替手段として、持続可能な混合ガスAirPlus™へ移行
• 最大限の安全性と最高レベルの信頼性を確保し、 総所有コストを最大30%削減
年間約48億人の乗客を輸送するドイツの国営 鉄道会社であるドイツ鉄道は、2040年まで に路線網の脱炭素化を図るという壮大な計
画を掲げています。ABBは、同社のゼネコンであるRail
Power Systems GmbH(RPS)からドイツ最北端のシュ レースヴィヒ=ホルシュタイン州で計画されているバッ テリ駆動の列車専用の充電用変電所4カ所を供給する プロジェクトの一環として、六フッ化硫黄(SF6)を含まな い最初の三相ガス絶縁スイッチギア(GIS)ソリューショ ンを供給する契約を獲得しました。
今回の受注は、スイッチギアに使用される世界で最も 強力な温室効果ガスであるSF6を排除するというド イツ鉄道の要件に基づいています。ABBの独自技術 により、SF6を地球温暖化への影響のほとんどない 持続可能な混合ガスであるAirPlusに置き換えます。
SF6は地球温暖化係数がCO2の25,200倍と高く、 大気中で約3,200年持続しますが、その優れた絶縁 性から、現在でもスイッチギアに一般的に使用され ています。「グリーントランスフォーメーション」への 130億ユーロの投資1の一環として、ABBのSF6フリ ーガス絶縁スイッチギアPrimeGear ZX0とAirPlus
の実装は、2040年までにネットワークを脱炭素化 するというドイツ鉄道の壮大な計画をサポートしま す。これは、将来世代のために温室効果ガスを排出 しない鉄道路線網を構築することを目的とした、鉄 道事業会社のサステナビリティに関する広範な取り 組みにおける重要なマイルストーンとなるものです。
これは、欧州委員会が最近発表した、新規の高圧電 気機器について、2026年から24kVまでのアプリケ ーションでのSF6使用を禁止し、2030年から52kV
詳 細 NEWS 33 | エンジニアリング 日本 | 2023年 01月 16
ドイツ鉄道、ABB SF6フリースイッチギア技術で規制に 先行対応
までのアプリケーションにおいて禁止する計画2を 受けたものです。
ABBのPrimeGear ZX0スイッチギアは、北ドイツのハ イデ市、テニング市、フーズム市にある地方鉄道路線 の充電用変電所でのパイロットプロジェクトの一環と して、リード請負業者のRail Power Systems GmbH によって欧州で初めて採用されました。ABBの持続 可能なAirPlusガスと併用することで、PrimeGear ZX0の地球温暖化係数(GWP)は1未満となり、地球 温暖化への影響がほとんどありません。
Rail Power Systems GmbHのAC鉄道エネルギーシ ステムプロダクトマネージャーであるThomas Wehr 氏は次のように述べています。「ABBのSF6フリー技術 は、特に有害な温室効果ガスを排除するという点で、 従来の資産に代わる興味深い代替手段を提供してい ます。このスイッチギアは、当社の変電所設計に問題 なく組み込むことができます」
このデジタル対応スイッチギアの統合により、次世 代のインテリジェンスアップグレードがサポートされ るため、効率がさらに最適化され、信頼性が向上し ます。これは、ドイツ鉄道の将来を見据えた鉄道路 線網に向けたロードマップにおいて大きな前進を示 しています。
従来のSF6代替品とは異なり、万が一漏れが発生した 場合でも、ABBのランフラットテクノロジーにより、修 理・保守作業が実行されるまで安全な稼働継続が可 能になります。これにより、コストのかかるダウンタイ ムや鉄道サービスの遅延のリスクが軽減されます。ス
イッチギアのコンパクトで堅牢な設計により、従来の オプションに比べて発熱量が20%少なく、アーク発生 時の安全性を高めます。オプションでセンサや遠隔監 視・診断機能を統合することで、ネットワーク運用を リアルタイムで可視化し、障害の早期検出、最高レベ ルの信頼性、計画的なメンテナンスを実現できます。 これらの革新的な機能を組み合わせることで、設置 面積の削減、よりスマートな運用、資産の最適化が 可能になり、従来のGIS設置と比較して、総所有コス トを最大30%削減できます。
ABBのガス絶縁スイッチギアグローバルプロダクトグ ループマネージャーであるHarikishan Narayananは 次のように述べています。「規制による最初のSF6使 用禁止日がわずか3年後に迫る中、鉄道事業者はSF6 フリー技術への移行を真剣に検討し始めなければな りません。幸いなことに、ABBはすでに実績のある非 常に効果的で環境に優しい代替品を提供しています。 当社のAirPlus™ランフラットテクノロジーは、SF6と 同様の性能特性を有し、地球温暖化への影響のほと んどなくしながら、継続的な運用と高度な安全性を 実現します。PrimeGear ZX0は、監視・診断機能が 組み合わされ、よりスマートな運用と所有コストの削 減も実現しています。ドイツ鉄道向けのRPSとの共同 プロジェクトが示すように、結果として、環境に優しい だけでなく、事業にも貢献する信頼性の高いパフォー マンスを実現しています」
現在、世界中で9,000台以上のABB ecoGIS™ユニッ トが稼働し、最大40.5kVまでの幅広いアプリケーシ ョンに対応しています。
ABBはまた、ドイツ鉄道の最初の主力高速列車シリ ーズであるInterCity Express(インターシティエク スプレス、ICE1)のアップグレードなど、さまざまな プロジェクトで同社と協力しています。
ABBがお客さまの将来のFガス規制への対応をどの ように支援できるかについての詳細については、 ホワイトペーパー(EN) をダウンロードください。
www.abb.com
33 | エンジニアリング 日本 | 2023年 01月 17 詳 細
ローデ・シュワルツとVIAVI社が共同サポート―オープンラボ
I14Y LABによるプラグフェスト開催とANALOG DEVICES社の
新O-RUデザインの評価
ローデ・シュワルツとVIAVI Solutions社は、O-RU向けに共同開発した自動テスト・プラットフォームの検証に成功しました。 (画像提供:i14y Lab)
O-RAN ALLIANCE Global PlugFest Fall 2022の一環として、先日、オープンラボの i14y Labが開催したOpen RANサービス/プラットフォームのプラグフェストに対し、ロ ーデ・シュワルツとVIAVI Solutions社は業界をリードするそれぞれの能力を持ち寄った O-RAN無線ユニット(O-RU)コンフォーマンス試験向けの統合ソリューションを提供し ました。この自動テスト・ソリューションにより、O-RANと3GPPの両プリコンフォーマン ス要件に従って、Analog Devices社の画期的な8T8R
と開発キットの検証が可能になりました。
Joint European O-RAN and TIP PlugFest Fall 2022がi14y Labの主催により開催されま した。i14y Labは、ドイツを始めとする欧州のベ ンダやシステムインテグレータからなるエコシステム 構築により、ネットワーク・ディスアグリゲーションと Open RANの促進を目的とした業界コンソーシアムで
あり、Deutsche Telekom社とEuropean Advanced Network Test Center(EANTC)の支援を受けていま す。今回のイベントは、Analog Devices, Inc.社などの 技術ベンダにとり、とりわけローデ・シュワルツとVIAVI Solutions社の試験・計測(T&M)ソリューションによっ てそれぞれのプラットフォームの適合性を検証できる 機会となりました。
のO-RUレファレンス・デザイン
成果の大きかったシナリオの一つが、O-RAN無線 ユニット(O-RU)の自動検証です。ネットワーク・デ ィスアグリゲーションには、さまざまなベンダのネッ トワーク機器間での相互運用性が必要となること から、新しい課題も生まれます。たとえば、発展を 遂げているO-RUは3GPPとO-RANの両規格に従う 必要があります。また、O-RAN ALLIANCEが定めた フロントホール・コンフォーマンス試験を通じて、新 たに登場してくるO-RUデザインはO-RAN分散ユニ ット(O-DU)と相互運用可能であることも保証しな ければなりません。
詳 細 NEWS 33 | エンジニアリング 日本 | 2023年 01月 18
なかでもAnalog Devices社は、複数のアプリケーシ ョン・シナリオに対応できるように、特に柔軟性の高 いO-RUレファレンス・デザインを開発しました。その ADRV904x-RD-RUMB 8T8R O-RUレファレンス・デ ザインと開発キットは、TDD(時分割複信)とFDD(
周波数分割複信)モードに加え、600 MHz~6 GHz までの全FR1周波数を含む多数のバンドをサポート するほか、4Gおよび5G NR規格に対応した完全な O-RAN RU Split 7.2 x分割オプションも盛り込ま れています。
ローデ・シュワルツとVIAVI Solutions社はどちらも、 ワイヤレス通信のテスト分野におけるリーディング企 業であり、O-RAN ALLIANCEと3GPPの仕様策定に も積極的に参加しています。この両社が協力して開発 したO-RANコンフォーマンス試験ソリューションは、 すでにいくつかのオープン試験統合センター(Open Testing and Integration Centre:OTIC)をサポ ートするために利用されており、今回のO-RANプラ
グフェストでも以下のようにAnalog Devices社の O-RUレファレンス・デザインの検証に使われました:
• ローデ・シュワルツのR&S SMM100Aベクトル信号 発生器とR&S FSVA3000シグナル・スペクトラム・ア
ナライザ、R&S VSEベクトル信号解析ソフトウェアに よって、O-RANアプリケーションのために拡張したRF シグナルを生成・取得・解析することで実際の無線環 境をエミュレートしました。
• VIAVI Solutions社のTM500 O-RUテスタによっ て、O-RUとのインターフェース構築やO-RANフロン トホールを介したI/Q データの交換に必要なO-DU 側のMプレーンおよびC/Uプレーンのための機能を 実装しました。
• さらにVIAVI社のO-RU Test Managerアプリケー ションを使って、この統合システムを集中制御し、テ スト・セットアップ全体を通じてシームレスなユーザ ー・エクスペリエンスを確保しました。
i14y LabによるOpen RANプラグフェストではこの 試験プラットフォームを用いて、オープン・フロントホー ル・インターフェース作業部会WG4が定めたO-RANコ ンフォーマンス・テスト仕様に則してAnalog Devices 社のO-RUレファレンス・デザインを検証しました。 このテスト仕様には、FDDとTDDの両モードでの動 作に対する制御およびユーザー・プレーン(CUプレ ーン)も含まれています。加えて、同テスト・セットア ップは、3GPP TS 38.141-1が規定する基地局(BS) についての伝導によるトランスミッタのコンフォーマ ンス・テストケースにも対応しています。
ローデ・シュワルツは、モバイルネットワーク用インフ ラ設備の検証からモバイルネットワークのコンフォー マンスやベンチマークにまで対応した広範な製品ライ ンナップを用意して、Open RANネットワークの開発・ 展開・運用を推進できるようにお手伝いしています。
ローデ・シュワルツでワイヤレス通信市場セグメント を担当する副社長のAlexander Pabstは次のよう に説明しています。「Analog Devices 社のような
Open RANの技術革新を担う企業は、ディスアグリ ケーション化したマルチベンダ・ネットワークにおい て、それぞれのデザインの円滑な相互運用性を検証 できる高性能なO-RUテスト・ソリューションを必要 としています。ベルリンにあるi14y Labは、そうした
Open RANソリューションのテストや調和・調整、検 証などにとって非常に有効な連携の場となっていま す。そのため、当社はi14y Labの協力パートナーであ ることを光栄に考えており、他のパートナー企業とも 協力して、Open RANに係る産業界すべてにとって、 柔軟性の向上や技術革新などに向けた選択肢が広が るように努めています」。
Analog Devices社のワイヤレス通信担当副社長Joe Barry氏は次のように話しています。「当社Analog DevicesのO-RUレファレンス・デザイン・プラットフ ォームについて、ローデ・シュワルツとVIAVI社の試 験セットアップを使って、その相互運用性やO-RAN 規格のコンフォーマンスについて事前テストできまし た。これにより、当社のお客様は安心してそれぞれの インテグレーションの取組みを行っていただけます。 なにより設計サイクルが短くなり、市場投入スピード は大きく向上するでしょう」。
またVIAVI社でワイヤレス分野のマーケティング担当 副社長Stephen Hire氏も次のように述べています。 「Open RAN技術はすでに新規導入の場面ではその 能力が実証されています。しかし、メインストリーム としての飛躍を遂げるには、幅広い周波数割当てや 4Gと5Gの様々な組合せに対応できる柔軟性を証明 してみせる必要があります。Analog Devices社の 新しいO-RUのような柔軟性の高いデザインは、その 実現に役立つに違いありません。しかし、こうしたよ り柔軟なデザインには、テストに関してもはるかに多 くの変更が必要になります。当社はローデ・シュワル ツと協力してAnalog Devices社とi14y Labをサポー トし、私どもの自動テスト・プラットフォームが3GPP およびO-RAN ALLIANCEの仕様に対する適合性を いかに効率よく証明可能かを明らかできたことを高 く評価しています」。
ローデ・シュワルツのO-RANテスト・ソリューションにつ いて詳しくは、www.rohde-schwarz.com/_255230. html をご覧ください。
33 | エンジニアリング 日本 | 2023年 01月 19 詳 細
DSPACE:新しいDARTS 9040-GT
レーダーターゲットシミュレータに より、車載4Dセンサソリューション のターゲット分離性能テストを実
高さ、距離、速度などの情報を含む環境データを個別に選択して正確に取得することが 可能な高分解能レーダー向けのセンサやソリューションは、自動運転車両の開発におい て重要です。dSPACEはそのため、2つのレーダーターゲットを高分解能で正確にシミュ レートできるシステムを備えた車載4Dセンサのテスト用レーダーターゲットシミュレー ション製品のラインナップを拡大しました。
しいDARTS 9040-GTを使用すると、ターゲ ットの分離に関する厳しい要件に適合し、よ り少ない労力とコストで容易かつ効率的に
テストを行うことが可能なレーダーシステムを開発す ることができます。
超高分解能なレーダーシステムにおいて、ターゲッ ト分離性能を検証することは複雑かつ手間のかか る作業です。dSPACE Automotive Radar Test System(DARTS)9040-GTは、このようなテストケ ースに最適な製品であり、77 GHz帯および79 GHz 帯(Eバンド全体)に対応する5 GHzの瞬時帯域幅 を用いて2つのターゲットを高分解能で正確にシミ ュレートします。
このような作業の際には、従来は2つのDARTS 9040-G を使用したテストセットアップが必要でしたが、DARTS 9040-GTでは、十分にテストされたDARTS 9040-G テクノロジによって1台で2つのターゲットをシミュレー トします。dSPACEは2020年後半に発表したDARTS 9040-Gにより、分解能と信号の品質に対する要求の 厳しい4Dセンサのテストにおける新たな標準を打ち 立てました。
詳 細 NEWS 33 | エンジニアリング 日本 | 2023年 01月 20
新
現
DARTS 9040-GTは、異なる角度から接近する、ま たは距離は異なるが角度は同じ地点にある2つのレ ーダーターゲットを分離してテストすることができ ます。dSPACEのレーダーソリューション部門のプロ ダクトマネージャであるAlexander Trapp博士は、 「テストセットアップを変更することなくワンクリッ クで2つのテストを切り替えたり、単一の高周波フロ ントエンドでさまざまな分離テストを実行し、極めて コスト効率良く実装したりすることができます」と述 べています。
DARTS 9040-GTのデモおよび評価は2023年1月に 開始される予定です。
www.dspace.com
33 | エンジニアリング 日本 | 2023年 01月 21 詳 細
高温になるキッチンや工場設備などの温度を高精度に測定し、安心・安全に貢献。
三菱電機株式会社は、防犯機器や高齢者施設 での見守り、空調機器、人数カウントソリュ ーション、スマートビル、体表面温度測定な どの幅広い分野において、人・物の識別、行動把握を 高精度に実現するサーマルダイオード赤外線センサー 「MelDIR(メルダー)」の新製品として、200℃まで温 度測定が可能な「MIR8060B3」のサンプル提供を2023
年2月1日に開始します。
当社が2019年に市場投入した「MelDIR」は、これ まで国内を中心に高齢者施設での見守り分野や空 調機器に搭載されるセンサーとして、測定可能な温 度範囲が-5℃~+60℃で使用されています。市場 では、これらの分野以外にも、高温の対象物を取り 扱う際の安全管理や快適な作業環境づくりを目的と して、高温になるキッチンや工場設備の温度分布な どの把握に対するニーズがあり、高温域を含む広範 囲な温度分布の測定が可能な赤外線センサーが求 められています。
今回、サンプル提供する「MIR8060B3」は、信号処 理とレンズの最適化により、上限+200℃までの高 温や広範囲な温度分布の測定を可能としました。こ れにより、キッチンや工場設備監視等の市場ニーズ に対応します。
また、熱画像例、デモキット、リファレンスデザイ ン※1等のユーザーサポートツールの提供により、ユ ーザーの製品企画から開発完了までの期間短縮に も貢献します。
www.mitsubishielectric.com
詳 細 NEWS 33 | エンジニアリング 日本 | 2023年 01月 22
200度まで測定可能な80×60画素赤外線センサー「MELDIR」 サンプル提供開始
ハインブッフの新しい CEO、ACHIM FEINAUER 博士をご紹介
11月、ドイツ・マルバッハのクランプ装置メーカーであるハインブッフに Feinauer氏が着任しました。
インブッフは、人脈が広く優れた技術者であ るAchim Feinauer博士を工作機械産業か ら経営陣に迎えました。いずれもCEOであ るSylvia Rallとその父Gerhard Rallに加えて、同氏は 主に技術面を担当することになります。同氏は、機械工 学と経営学を修め、高速ミリング加工に関する博士号を 取得しています。また、有名な機械メーカーや技術企業 で長年にわたって経営に携わってきたことから、機械 産業や自動車産業の隅々にまで通じています。これま でEx-Cell-O社やStama社、さらに最近ではEmag社に 在籍し、柔軟な生産システムのためのソリューション開 発で重要な判断を下したり、現代的な組立コンセプトを 実用化するなど、実績を重ねています。そのほか、欧州 指向だった企業をグローバル化して、世界的なプレゼ ンスを有する事業体制やバリューチェーンにつなげた ことも同氏の実績です。今後、ハインブッフでは、収益 性の高い成長の道を歩み続けるために、世界的にネッ トワーク化された生産プロセスに傾注いただきます。 そうして社内的にもお客様の設備でもデジタル化と自
動化をさらに進めるとともに、製品の創造プロセスの 持続可能性もいっそう高めていきます。
CEOのSylvia Rallは次のように説明しています。
「Feinauer博士は、当社にとって本当に最適な人材 です。機械メーカーが必要とすることを熟知した戦略 家であり、何よりも同氏は中国で大きな生産工場を起 ち上げた実績もあります。さらにデジタル化の課題に も通じているうえ、すでに営業面でも多くの課題に対 処しており、技術的知見とともに国際的に広範に活 躍した経験も当社にもたらしてくれます。こうした最 高水準の人材強化ができたことを当社は大変喜ばし く考えています」。
https://www.hainbuch.jp/
詳 細 NEWS 33 | エンジニアリング 日本 | 2023年 01月 23
ハ
熱効率を改善して持続可能なデータ・センタ運用を実現する方 法
サーバの消費電力が増加する中、半導体設計とパッケージングにおける革新 的な技術は、データ・センタの効率改善に貢献します。
最新動画のストリーミング鑑賞や、AI 搭載の スマート・アシスタント利用、オンライン会 議への参加など、私たちはデータ・センタ経 由で大量のデジタル・データを送信し、同時に大量の電 力を消費しています。そして、その使用量は増加の一途 をたどっています。
2022 年には、世界全体で 100ゼタバイト( 100 兆 ギガバイト) 近くのデータを生成し、消費することが 見込まれています。この膨大な量のデータは、2025年 までにほぼ倍増すると予測されています。1 そして、 そのデータは、何千台ものサーバで構成される超大 型データ・センタを経由するケースが増えています。
米国政府の試算によると、データ・センタのエネル ギー需要は年間70テラワット時です2ブロックチェ ーン・マイニングの増加だけで、この数字はその後2 倍以上になっています。Center of Expertise for Energy Efficiency in Data Centers (データ・セ ンタ内のエネルギー効率に取り組む専門知識センタ) によると、データ・センタの現在の消費量は、米国全 体の総電力消費量のうち少なくとも 2% を占めてい ると試算されています。3 これは環境に顕著な影響 を及ぼすには十分な値であり、より持続可能な方法
で運用できるデータ・センタの実現への緊急性が高 まっています。
「膨大なデータを取り扱い、処理することができる ように、これらのセンタ内にあるサーバが進化するに つれて、各サーバで消費される電力量も増加します。 以前は、サーバ 1 台あたり平均 1,500ワット だった ものが、より新しいサーバでは 3,000ワットにまで 増加しています」と、産業用パワー・マネージメント を専門とする、システム・マネージャである Robert Taylor は語ります。
サーバ電源装置(PSU)の電力密度を高め、効率を向 上させることは、より効率的なデータ処理を実現する ための一つの方法です。
「サーバのPSUのアップグレードは急務である」 と、Robert は語ります。しかし、データ・センタの 電力需要の増大は、ボトルネックに直面しています。 大半の超大規模データ・センタは、50メガワット を 上回る電力を引き込むことができません。
「この種のデータ・センタは電力の総量に制限があ るため、冷却に要する電力や、電子機器の効率の低
詳 細 NEWS 33 | エンジニアリング 日本 | 2023年 01月 24
さに起因する損失をできるだけ低減する必要があり ます」と、Robert は語ります。
「同時に、サーバ業界では、各ラックにより多くのコン ピューティングパワーを搭載するために、プリント基板 の面積小型化が要求されています」これはつまり、発 熱を増やさずに、サーバ内の電源部品の小型化と効率 向上を進める必要があるということを意味します。
革新的な半導体電源部品の製造へ取り組んできたTI の製品を採用することで、現在および将来の最先端デ ータ・センタが求める、性能、効率、熱管理に関する
非常に高い要件に対処できます。これらの電源は、最 大規模のデータ・センタでも、より持続可能なフット プリントで円滑な運用に役立っています。
より高い電力と温度への対応
高性能でエネルギー効率に優れたパワー半導体にと って重要なのは、より高い水準の電力密度を達成す ることです。つまり、より小さい容積により多くの電 力処理能力を詰め込むことです。しかし、電力密度 が高ければ高いほど、小さな容積に多くの熱を詰め 込むことにもなります。その結果、性能を維持すると 同時に部品を熱から保護するために、高度な熱管理 手法が必要になります。
電力密度向上のニーズは、データ・センタに限った ことではありません。電力網や通信機器、電気自動 車 (EV) や個人用電子機器といった多様な電気系シ ステムでも、より高密度で熱効率の優れた電源チッ プが提供する、性能と効率が必要とされています。
効率的なパッケージの採用で発熱量を低減 TI は、サーバ向け電源チップの電力密度向上という 課題に取り組んでいます。複数のスイッチを内蔵した
小型アウトライン・トランジスタ (SOT) パッケージを 採用することで、電力密度や性能の境界を拡張すると 同時に、コストの削減を実現します。
熱管理に対する革新的なアプローチが、このような進 歩の実現へつながります。チップ・レベルで放熱特性 を改善し、電力密度の障壁を打破するために、TI は プロセス技術、回路設計手法、放熱最適化パッケー ジの 3 つの重要分野に注目しています。
サーバが生成する熱の多くは、受け入れた 400V の AC 電力を 6V またはそれ以下の DC 電力に変換す るときの電力損失に起因します。パワー・モジュール
『TLVM13630』 のような製品は、TI の Enhanced Hotrod™ クワッド・フラット・リード端子なし(QFN ) パッケージ技術(英語)を、複数の内蔵 電界効果ト ランジスタ(FET) と組み合わせて使用しています。 これらの 電界効果トランジスタ(FET) はスイッチン グ速度が速く、オン抵抗が小さいので、自らの電力損 失を大幅に低減し、チップの効率を高め、その結果発 熱も減少します。
「シリコン製品内のどのような抵抗も非効率につな がります。それは電力の消費と余分な発熱を意味し ます」と、TI で QFN/SOT パッケージ開発ディレク ターを務める Les Stark は語ります。
余分な熱を発生させる損失をさらに削減するため に、TIはFETやコンデンサなど、より多くの部品を電 源チップに統合するといった業界をリードする機能 を活用しています。この統合の結果、スイッチングの 高速化と効率向上、さらにノイズを低減できます。こ の点は、オン抵抗が非常に小さい TPS25985 eFuse と同様です。また、統合を通じて、放熱特性を改善す ると同時に、最大 80A の電流を流すことができま す。特定の状況では、TI はチップの上に他の部品を 積み重ねる 3 次元スタックを使用して、さらなる統 合を実現しています。
放熱強化パッケージの採用で熱を効果的に放出 TI はまた、革新的なデバイス・パッケージングを通 じてチップから熱を放出する面においても優位性を 確保しています。たとえば、TI は最初に HotRod と Enhanced HotRod QFN の各パッケージを開発し ました。これらはフリップチップ形式のパッケージを 使用し、従来のパッケージがチップへの信号の入出 力にボンド・ワイヤを使用しているのに対し、チップ の表面とそのコネクタを回路基板に直接貼り付けて います。このような直接接続は、チップからボードに 熱を移動する際により効率的です。
「このパッケージ設計は、面積の大きいグランド・パ ッドを実現します。以前は実現できなかった手法です が、デバイスからプリント基板への良好な放熱経路を 確保できます」と、Les は語ります。
熱を放出することに対し、 TI が採用している他の高
度なアプローチは、上面冷却を改善するための、より 効果的なヒートシンク配置です。TI の GaN (窒化ガ リウム) FET は、上面冷却パッケージを採用していま す。データ・センタのシステムでは、この方式が今後ま すます重要になります。より多くの計算能力を各サー バに収容する流れは、より密度の高い新たな部品配置 につながり、その結果、熱をチップ外に放出するため に多くの経路が必要になるからです。
「GaN を採用すると、電力密度をいっそう高めるこ とができます。冷却に関するこの種のフレキシブル なアプローチは、いっそう重要になる見込みです」 と、Robert は語ります。
効率向上と熱放出に関するどのアプローチも、小型 チップが採用することで、熱管理と効率に大きく貢 献します。サイズと効率の両方に関してパッケージ を最適化すると、データ・センタを取り扱う顧客は 熱の問題を解決しやすくなり、環境負荷を減らすの に役立ちます。
www.ti.com
33 | エンジニアリング 日本 | 2023年 01月 25 詳 細
VIAが新しいVIA AMOS-3007インテリジェント エッジ システ ムを発表
機器監視やプロセスオートメーションからさまざまなデータの可視化、施設管 理まで、もっとも要求の厳しい産業用IoT用途に対応する堅牢なVIA AMOS3007 インテリジェント・エッジ・システムを発表いたしました。
• 堅牢な超小型システムは、もっとも要求の厳しい屋 外および屋内環境に対応する多用途かつ超信頼性 のソリューションを提供します。
• 豊富なI/O機能により、産業用機器の監視、プロセ スオートメーション、データの可視化、ビル管理など の多様な用途に対応した柔軟な構成が可能です。
• デュアルHDMI ディスプレイ出力と4G/5G 接続を サポートします。
ファンレス構成の1.5GHz Intel® Atom®クアッドコ アプロセッサを搭載したVIA AMOS-3007 は、わず
か 170 (W)×48.5 (H)×126 (D) mm の堅牢な超
小型筐体に豊富な I/O および接続機能を搭載してい ます。システムの壁面およびVESAマウントオプション により、制約の大きなスペースなどにも容易に取り付 けることができ、-20~70℃の広い動作温度範囲によ り、ほとんどすべての作業環境において信頼性の高い 動作を維持することが可能です。
VIA AMOS-3007 ソリューションは、2 つのギガビッ トイーサネットポート、2 つのロック可能なUSB 2.0 および2 つのUSB 3.0 ポート、デュアルディスプレイ 対応の2 つのHDMI コネクタ、2 つのCOM ポート、8 ビットGPIO 用DIO ポートなど、豊富なI/O および接 続オプションを提供します。内部拡張オプションとし て、SATA ストレージおよび無線拡張モジュール用の M.2 スロット×3、4G/5G SIM カードスロット×1、最
大32GB のメモリに対応するDDR4 SO-DIMM スロ ット×1 を搭載しています。
「VIA AMOS-3007 は、もっとも要求の厳しいIoT用 途に必要とされる高性能、低電力、豊富なI/O接続 性を備えた完全なパッケージを提供します」とVIA Technologies, Inc.の国際マーケティング担当VP で あるリチャード・ブラウンは述べています。また、 「堅牢な設計と幅広い動作温度範囲に対応したこの 超小型システムは、もっとも過酷な動作環境において も揺るぎない信頼性を提供します」と説明します。
VIA AMOS-3007 について
VIA AMOS-3007 は、拡大を続けるVIA インテリジ ェント・エッジ・ソリューションの最新作です。サンプ ルはVIA オンラインストアで注文可能です。価格は1 台あたり650米ドルです。
VIA AMOS-3007 の詳細については、こちらをご覧 ください:www.viatech.com/ja/products-ja/ systems-ja/amos-ja/via-amos-3007/
ご注文に関しては、専用ストアページをご覧ください: www.viatech.com/product/via-amos-3007/ www.viatech.com
詳 細 NEWS 33 | エンジニアリング 日本 | 2023年 01月 26
09シリーズの押ボタンスイッチは、特に乗用車、電気自動車、バス、トラック、 特殊車両などの車両内装用に特化して設計されています。EAOは、汎用性の 高い押ボタンスイッチにデュアル接点のバリエーションを追加し、さらに多く の構成オプションを提供できるようになりました。
品質な09シリーズのスイッチでは、スイッチ 機能をほぼ無制限に組み合わせることで、車 両における幅広い用途に対応することがで きます。モジュール式で人間工学に基づいたデザイン、 魅力的で耐久性に優れた表面コーティング、素晴らしい ハプティック/タクタイルフィードバックを誇ります。さら に、ISO 7000準拠の照光式シンボルや、お客様のお好 みに応じたシンボルもご用意しています。
09シリーズの押ボタンスイッチには、標準とデュアル 接点の2つのバリエーションがあり、汎用的な構成オ プションのほか、幅広い用途に適しています。基本タ イプには、白色シンボル照光のスイッチが含まれてお り、赤色LEDのステータス表示灯なし、1個、3個のい ずれかをオプションでお選びいただけます。また、警 告灯スイッチとして使用する赤色シンボル照光も標 準構成でご用意しています。機械的機能のないタイ プは、挿入可能な表示灯またはブランク板として利 用でき、充実した品揃えとなっています。
アドバンテージ
• 安全関連用途に最適
• 幅広い設計および用途に応じた構成オプション
• 人間工学に基づくモジュール設計でIP5K4保護等級
• ISO 7000またはカスタム仕様のシンボル
• IATF 16949に従った開発と製造
この押ボタンスイッチは安全関連用途に最適です。 抵抗コーディング(Namur規格)による診断機能に より、ケーブルの断線やスイッチ状態などを検出で きます。また、2つの冗長スイッチ信号のオプション もあります。
般的な用途
• メニュー/リセットボタン
• ロック/ロック解除
• ヘッドライトのオン/オフ
• シートヒーター/エアコン/ファン
• ランスミッション制御
• SOSおよびハザードライトスイッチ
• 様々な運転機能
09シリーズの押ボタンスイッチは、多数の用途にとっ て最適な選択肢です。さまざまな可能性を兼ね備え、 市場でもユニークな製品となっております。
詳細はこちら www.eao.com/09-universal-switch
www.eao.com
詳 細 NEWS 33 | エンジニアリング 日本 | 2023年 01月 27
高
09シリーズ – 押しボタンスイッチを拡張し新たにデュアル接点 のバリエーションを追加
自動車、産業、クラウドパワーの各市場を網羅 する最先端技術の展示をご覧いただけます
トップサイド冷却MOSFET、新型回転位置センサをはじめ、オンセミの炭化ケイ素(SiC) デバイスを搭載した メルセデス・ベンツVISION EQXXなど、インテリジェントなパワー
およびセンシング技術における強みを紹介。
インテリジェントなパワーおよびセンシング 技術のリーディング・サプライヤであるオ ンセミ(onsemi、本社 米国アリゾナ州フェ ニックス、Nasdaq: ON)は、ミュンヘンで開催される 「electronica 2022 」(会期: 11月15日~18日)にて 最新の革新的技術を展示します。この展示には、電気 自動車、先進安全性、ファクトリーオートメーション、エ ネルギーインフラ、EV充電などのアプリケーションが含 まれ、その多くは炭化ケイ素(SiC)をベースにしたもの です。オンセミは、ボリューム・ブール成長からクラス最 高の統合モジュールやディスクリートパッケージソリュ ーションまで、エンドツーエンドのSiCサプライチェーン を構築し、お客様に信頼される供給保証を提供します。
主な展示の1つは、モータ制御やDC/DC変換など、複 雑なアプリケーションの熱設計を簡素化するために開 発された革新的なトップサイド冷却MOSFETに焦点を あてたものです。5mm×7mmサイズのLFPAKパッケ ージに収納された7個の新型デバイスは、15mm2の サーマルパッドを備えており、プリント基板(PCB)を 介さずに、直接ヒートシンクに熱を放散することが できます。これによって、プリント基板の温度が低く 抑えられ、システム全体の信頼性向上と寿命の延長 を達成できます。この新しいコンセプトにより、熱 設計が簡素化され、システムレベルでのコスト削減 が可能になります。
また、オンセミが特許を持つ(登録済み3件、出願中4 件)デュアルインダクティブ技術ベースの新しい回転 位置センサも展示します。この新しいアプローチによ って、NCS32100は精度(±50 arcsec)、速度(最大 45,000 RPM)、価格(10ドル以下)の3つの条件が揃 ったセンサになりました。他のソリューションとは異な
詳 細 NEWS 33 | エンジニアリング 日本 | 2023年 01月 28
り、NCS32100はM0+マイクロコントローラ(MCU) とファームウェアが統合されているため、使いやすく、 大幅な設計時間の短縮と外付け部品点数の削減が可 能で、コンパクトな設計を実現できます。
ブースのハイライトとなる展示は、メルセデス・ベン ツVISION EQXXです。オンセミのSiC技術を搭載し た電気自動車が、1回の充電でドイツから英国まで 1,202 km(747マイル)を走破した話題など、ドイツ の自動車メーカーとオンセミのコラボレーションにつ いて詳しく紹介しています。
www.onsemi.com
33 | エンジニアリング 日本 | 2023年 01月 29 詳 細
世界初:スイスの警備輸送会社【SOS CASH & VALUE】: WEARIN’の環境と生体センサを実装したスマート・ベストを採 用 安全とセキュリティを強化
SOS Cash & Valueのガードマンが着用するWearin'のスマート・ベストには、センサが実装されており、リアルタイムで各位の 生体や環境データを監視センターへ伝送します。
「Wearin'は、本年初旬に締結した戦略的パートナーシップを経て、数々の新規受注案 件に取り組んでいます。その結果のひとつとして、弊社のIoTとAI(人工知能)をコネクテ ッド・ヒューマンの用途へ採用頂いたお客様が、弊社と同じくスイスの会社であること を嬉しく思います。--ConextivityグループCEO、ジョナサン・ブロサール
警
備輸送会社【SOS Cash & Value】のすべて のガードマンは、本年10月からWearin’のス マート・ベストの着用を開始しました。スター トアップ企業Wearin’のIoT(モノのインターネット)技 術は、任務遂行が必達である現場で、安全性と業務効率 を高めるために活用されています。
SOS Cash & Valueのガードマンが、任務中に常時着 用するスマート・ベストは、環境と生体センサを実装し ています。センサで収集したデータは、ヴェルネイヤー ズにある同社の本社監視センターへ伝送されます。監 視センターにはWearin'のダッシュボードが組み込ま れ、ガードマン各位のリアルタイム情報を絶え間なく 表示されます。ベストに実装したセンサで収集した生 体、動作、加速、位置情報を元に、独自のアルゴリズ ムを用いて相関処理を行います。装甲車やその付近 に特定のセンサを取付ければ、同様に環境データ収 集することが可能です。ガードマンの転倒や、車両へ
の攻撃などにより発生するストレスをシステムが検知 すると、警報を自動的に発生させることができます。 ガードマンと監視センターのネットワークでモニタリ ングする通信システムの警告情報を元に、SOS Cash & Valueの任務遂行リーダーは、安全性を確保する ための行動や手段を決定することができ、警察や救 急へ通報して適切に事件や事故の現場へサポートを 要求することもできます。
SOS Cash & ValueのCEOであるピエール・イブ・グラ ッシーは次のように述べています。「この個人装備は、 民間警備の業界における変革といえるでしょう。「こ れは、最先端技術であり、独創的で信頼性の高いソリ ューションで、警備に関する当社の経験と規範に基づ くWearin'のカスタム設計です。このスマート・ベスト は防弾性能も備えており、装着したガードマンは、高 度な安全性を確保することができます。」
詳 細 NEWS 33 | エンジニアリング 日本 | 2023年 01月 30
Wearin’は、お客様の現場作業者と監視センターにモジュールを使用して、お客様固有の要件、セキュリティ、コラボレーションの種類に適合するようカス タマイズした、エンドツーエンドのコネクティビティソリューションを提供しています。
Wearin’のソリューションは、物理的プラットフォームとデジタル・プ ラットフォームという拡張性のある2つのプラットフォームで構成し、 リアルタイムで相互に通信します。
33 | エンジニアリング 日本 | 2023年 01月 31
この技術は、モルジュにあるWearin'の研究開発セ ンターのエンジニアが開発し、2022年5月に実施さ れた全ヨーロッパ規模での大規模災害発生時の救 急訓練の実証試験に成功しました。この技術は、警 察、消防、救急、物流部門、建設部門の単独作業員 など、危険を伴う現場に従事するワーカーを擁する 組織を対象としています。
Wearin’のテクニカルディレクターであるアルバロ・ ゴンサルベスは、次のように述べています。「弊社の IoT技術は、その独創性、統合性、モジュール性によ り、高い独自性があるといえるでしょう。これはター ンキーのエンド・ツー・エンド・ソリューションとして、 常時相互接続性のある2つのプラットフォームで構成 しています。ひとつは、作業現場で着用するスマート・ ベストで、これは物理的なプラットフォームです。もう 一方は、監視センターに組み込むデジタルプラットフ ォームで、ベストに実装するセンサで収集したデータ を、人工知能で処理した後に、監視センターのダッシ ュボードに表示します。どちらのプラットフォームも、 モジュール式であるため拡張性があります。弊社のソ リューションは、お客様固有のニーズへの適合性があ り、容易かつ迅速にカスタマイズできるように設計さ れています。」
SOS Cash & Value Securityのマネージャーは、不正 なデータのアクサスについて、次のように述べていま す。「データ・セキュリティは、SOS Cash & Valueが 属するSOS Surveillanceグループにとって極めて重 要です。弊社グループは、ガードマンの保安を確保す ることが最優先事項で率先したい項目です。Wearin' が適用するデータの暗号化技術は、業界最高レベル の規格に基づいており、犯罪意図など不正な解読か ら保護されています。」
Wearin’が属するConextivityグループのCEO、ジョ ナサン・ブロサールは、世界初のソリューションをスイ スのお客様への採用実績を祝して、次のように述べて います。「このスタートアップは、設立から約3年です。 本年初旬に締結したエアバス社のセキュア陸上通信 (SLC)部門との戦略的パートナーシップを経て、数 々の新規受注案件に取り組んだ結果、弊社のIoTと AI(人工知能)をコネクテッド・ヒューマンの用途へ採 用頂いたお客様が、弊社と同じくスイスの会社である ことを嬉しく思います。」
https://wearin.tech/
詳 細 33 | エンジニアリング 日本 | 2023年 01月 32
SOS Cash & Value CEO、 ピエール・イブ・グラッシー
ConextivityグループCEO、ジョナサン・ブロサール
機器監視やプロセスオートメーションからさまざ まなデータの可視化、施設管理まで、もっとも要 求の厳しい産業用IoT用途に対応する堅牢なVIA AMOS-3007 インテリジェント・エッジ・システムを 発表いたしました。
れらの新製品は、リアルタイムのパワー・マネ ージメント、テレメトリ、超低スタンバイ消費 電力、設置の容易さといった特徴から、ファク トリー/ビル・オートメーションにおける給電式の末端 区間のコネクティビティを容易にします。
アナログ・デバイセズの産業オートメーション担当バイ スプレジデントであるレオ・マクヒュー(Leo McHugh) は、次のように語っています。「インテリジェント・エ ッジは、これまでアクセス不可能だった用途や場所 にもコンピューティング・パワーを実装する、デジタ ル時代における最も革新的な技術の一つです。アナ ログ・デバイセズは、スマート・ビルディング、スマー ト・ファクトリーおよび今後のさまざまなアプリケー ションにおいて、インテリジェント・エッジの可能性 を最大限に活用する最高レベルの技術とソリューシ ョンの提供に取り組んでいきます。」
未来のデジタル・ビルディングを実現 アナログ・デバイセズの新しいSPoEソリューション であるLTC4296-1とLTC9111は、遠隔でアクセスが 困難な場所にあるエンドポイントにも電力とデータ を機器に供給することを可能にします。アナログ・デ バイセズのソリューションは、新しいタイプのエンド ポイント・アプリケーションがネットワーク全体でシ ームレスに給電・アクセスされ、資産の健全性、環境 条件、セキュリティ・メトリクスなどのローカル・ファク ターの評価に用いられるようにします。これらの技術 によってもたらされる、より末端での局部的な状態認 識と制御は、将来のデジタル・ビルディングの基本的 な構成要素になります。
アナログ・デバイセズのSPoEソリューションは、1本 のツイスト・ペア・イーサネット・ケーブルを使用する ことにより、端末部の電源とバッテリへの依存度を低 減し、効率的で、信頼性が高く、導入の容易な電源を 小型化および軽量化して提供します。10BASE-T1L準 拠の産業用イーサネット・ソリューションであるADI Chronous™ ADIN1100およびADIN1110と組み合わ せることにより、従来のイーサネット規格より大幅に 長い1kmの距離にわたって電力とデータの両方を高 い信頼性をもって伝送することが可能になります。
効率的な相互運用性
アナログ・デバイセズの分類機能内蔵5ポ ートSPoE PSEのLTC4296-1と極性補正
内蔵SPoE PDのLTC9111の2つの新製品 は、SPoEとPower over Data Line(PoDL)
方式のシングルペア給電の両方に対応します。SPoE はシングルペア・イーサネット(SPE)を補強した規格 で、より高い信頼性、フォルト耐性、および相互運用 性を備えたポイント・ツー・ポイント給電ソリューシ ョンを提供し、最大52Wを供給します。どちらの製 品も802.3cgに準拠し、シリアル通信分類プロトコ ル(SCCP)に対応します。
• ADIの5ポートSPoE PSEのLTC4296-1の詳細: analog.com/ltc4296-1
• ADIのSPoE PDのLTC9111の詳細: analog.com/ltc9111
• ADIのPower-over-Ethernet(PoE)およびシング ルペアPower-over-Ethernet(SPoE)インターフ ェース・コントローラの詳細: https://www.analog.com/jp/product-category/ power-over-ethernet-poe-interface-controllers. html
• ADIのChronous™産業用イーサネット・ポートフォ リオの詳細: analog.com/chronous
www.analog.com
詳 細 NEWS 33 | エンジニアリング 日本 | 2023年 01月 33
こ
スマート・ビルディングおよびファクトリー・オートメーショ ン向けに世界初の長距離、シングルペアPOWER OVER
ETHERNET(SPOE)ソリューションを発表
HMS INDUSTRIAL NETWORKS: モバイルロボットのメーカー が直面する通信および安全面の課題
いまやモバイルロボットが、倉庫から病院、さらには路上でも、あらゆる場所で見受け られるようになりました。人気があるのもよくわかります。より低価格で安全が高まり、 購入しやすくなったうえ、実際の作業者よりも生産性に優れています。
また、拡張や他の機械との連携も容易です。さ らに、モバイルロボットを通じて多くのリア ルタイムデータが取集できることから、社内 でIIoTに取り組み始めようという場合にもモバイルロ ボットは活躍するでしょう。
しかし、モバイルロボットが効率よく機能するには、 安全性と確実な通信が必要です。このホワイトペー パーではモバイルロボットのメーカーが直面する通 信や安全面の主な課題をまとめ、そうした課題を克 服してモバイルロボットの走行を常に維持するため の簡単な方法を紹介します。
モバイルロボットとは? まず最初に、ここでのモバイルロボットが何を指すか を明確にしておきたいと思います。
モバイルロボットとは、ある場所から別の場所に荷物 を搬送するロボットであり、無人搬送車(automated guided vehicle:AGV)と自律走行搬送ロボット
(autonomous mobile robot:AMR)という2つ のタイプがあります。AGVは、誘導設備(ワイヤ状を 含めた反射板や磁気テープなど)を使って、あらかじ め決めた経路を走行させます。AGVの経路に障害物 があると、AGVは停止してその障害物が取り除かれる のを待ちます。
一方のAMRは、もっとダイナミックです。マップによっ て誘導し、カメラや内蔵のセンサ、レーザースキャナ などから得たデータを使って周囲の状況を判断して 最も効率的な経路を決定します。AMRの予定経路に 障害物があった場合は、別の経路を選択します。AMR は誘導設備を頼らないため、より迅速に導入でき、物 流上の変更にも適応可能です。
モバイルロボットのメーカーが直面する通信や安全 面の課題とは?
1. ワイヤレス接続の確立
モバイルロボットのメーカーにとって、最初の課題は
詳 細 NEWS 33 | エンジニアリング 日本 | 2023年 01月 34
最適なワイヤレス技術を選定することです。一般的な アドバイスとしては、仕様を確定し、規格を評価した うえで最適な技術を選ぶことだと言えます。しかし残 念ながら、モバイルロボットのメーカーが常にこれを 行えるとは限りません。機械がどのような場所に置か れるかや、目的とするアプリケーションを正確かつ詳 細に把握することができない場合が多いからです。
Bluetoothは混線せず安定した接続ができること から、これが最適な場合もあれば、他のアプリケー ションでは高速でセキュアなセルラー接続が求めら れる場合もあります。いずれにしても、それぞれに特 有の仕様に合わせて簡単に変更できるネットワーキ ング技術が、モバイルロボットのメーカーにとって有 用と言えるでしょう。
次の課題は、計画通りに設備が稼働するのを保証す ることです。ワイヤレスソリューションを設置する前 に、モバイルロボットの可動域全体が十分な信号カ バレッジに確実に収まるように施設の設計図をもと に現場の事前調査を行いましょう。特にこの現場調 査では、アクセスポイントの最適な配置のほか、アン テナの適切なタイプとその角度や干渉を軽減する方法 を明確にします。設置後には、無線アナライザーを使 って計画通りになっているかをチェックし、必要があ ればアクセスポイントやアンテナを調整しましょう。
2. モバイルロボットを産業用ネットワークに接続する モバイルロボットはその施設に置かれたコントローラ ーと通信する必要がありますが、モバイルロボットとコ ントローラーが異なる産業通信プロトコルを利用して いることが多くあります。たとえば、AGVはCANopen であるのに、コントローラーはPROFINETを使ってい るかもしれません。そのうえ、モバイルロボットのメー カーは同機種のAGVを、EtherCATなど別の産業用ネ ットワークを使うコントローラーが設置された施設で 使いたいと考えることもあります。
モバイルロボットのメーカーはまた、自社のモバイル
ロボットが必要なデータ量を処理できる十分な能力 を確実に備えているようにしなければなりません。 この必要なデータ量は、設備の規模や種類によって 異なります。大規模な設備では経路決定アルゴリズ ムによってより広いエリアを多くのロボットでカバー する必要があり、見込まれる経路も増えますので、 より多くのデータを使うことになるでしょう。また、 視覚などを利用したナビゲーションシステムでは画 像処理を行います。そのため、反射板などによる他 のナビゲーションシステムを使う設備以上に処理応 力を高める必要があります。こうしたことから、モバ イルロボットのメーカーは以下のような課題の解決 を迫られます。
あらゆる主要なフィールドバスや産業用Ethernetネ ットワークをサポートしたネットワーキング技術が 必要になる。
モバイルロボットのハードウェアを設計変更するこ となく、コントローラーと同じ産業用ネットワークで 通信可能なネットワーキング技術に簡単に変更でき るようにする必要がある。
必要なデータを処理できる十分な能力と機能をネッ トワーキング技術が備えていることを保証する必要 がある。
3. 安全なシステムを構築する
モバイルロボットが安全に荷物を搬送できるシステ ムを構築することは極めて重要ですが、これは難し い作業です。モバイルロボットのメーカーは、多岐に わたるモバイルロボットの種類や利用環境の構造と 人員をすべて考慮したシステムを造りあげる必要が あるからです。また、モバイルロボットは、誰かが安 全ドアを開けたり、非常停止ボタンを押したりといっ た外的作用に対応可能であること、そしてネットワー キングソリューション側でも様々な安全プロトコルや インターフェースを処理できるように保証しなければ なりません。特にARMは自由に走行しますので、それ に応じた衝突リスクを管理する必要があります。セン サに使われる技術は日々進化していますので、モバイ ルロボットのメーカーもこうした発展に合わせて、そ
33 | エンジニアリング 日本 | 2023年 01月 35 詳 細
ワイヤレス通信規格の大きな利点と欠点
れぞれの製品が可能な限り効率的になるよう維持し ていかなければなりません。
安全規格
安全規格として、安全に関する要素の実装や環境の 整備、機械・設備の保守に関するガイドラインが定 められています。
こうした様々な安全規格(ISOやDIN、IEC、ANSI など)への準拠は、そのほとんどが任意です。しか し、EU諸国の機械メーカーは法律上、EUの機械指令 (Machinery Directive)の安全基準に従う必要が あります。なかでも機械指令200642ECは常にモバイ ルロボットのメーカーの適用対象となり、一部のアプ リケーションでは、機器の電磁両立性を規制する機 械指令201430EUがかかわってくることもあります。
機械指令200642ECは、欧州市場で発売する安全機 械の設計・製造に関する仕様を規定しています。この 指令の仕様を満たしていることを適合宣言書として証 明できるメーカーに限って、機械にCEマークを貼って お客様に納入することができます。
その他の安全規格については義務ではありませんが、
機械指令200642ECの仕様を満足するのに役立つた め、メーカーとしてはそうした他の規格にも従うべきで しょう。たとえば、ISO 12100規格の指針に従えば、 特定のリスクを削減して、残るのは許容可能なリスク だけにできます。また、ISO 13849やIEC 62061規格 を利用すると、それぞれのリスクに必要な安全水準を 判断して、それに対応した安全関連機能によって所定 の仕様を確実に満たすことが可能です。このとき、モ バイルロボットのメーカーはどのようにして特定の安 全水準が達成するかを決定します。たとえば、モバイ ルロボットの速度を落として、衝突リスクや人が被るケ ガの程度を許容レベルまで下げる場合があります。あ るいは、モバイルロボットが稼働するエリアを分離・限
定して、そこへの人の立入りを禁止する(ISO 3691-4 が定める隔離区域)こともあります。
適切な規格を判断し、その仕様を実装するのが、モ バイルロボットのメーカーが安全なシステムを構築 するうえで最良の方法です。しかしながら、本ホワイ トペーパーから分かるように、それは複雑で時間の かかる作業になります。
4. 信頼できるCAN通信を実現する
1980年代以降、信頼でき簡単に実装可能な規格と して、今なおCAN技術をベースとした通信の普及が 続いています。その主な理由は、Eモビリティや定置 用大型蓄電システム(Battery Energy Storage System:BESS)など、急成長する様々な産業で利用 されているからです。CANはシンプルで費用対効果が 高く、省エネです。ネットワーク上の全デバイスがすべ ての情報にアクセスできるうえ、オープン規格である ことから、ユーザーはそれぞれのニーズに合わせてメ ッセージを改良・拡張することもできます。
モバイルロボットのメーカーにとり、こうしたCAN接 続の構築が以前にも増して欠かせないものとなりつ つあります。既存システムの改良でも、新規設置で も、モバイルロボットの駆動システムでの利用が増え ているリチウムイオン電池のモニタリングが可能にな るからです。そこで、モバイルロボットのメーカーには 以下の対応が求められます。
1. CANあるいはCANopen通信規格に対する信頼 性の高い接続を確立して、バッテリーの状態や性能 をモニタリングするなど、それぞれのデバイスをチェ ックできるようにすること。
2. 電磁干渉(EMI)によってシステムの電子機器が破 損する可能性があるため、そのEMIからシステムを保 護すること。EMIのリスクは、通信ケーブルに接するか
詳 細 33 | エンジニアリング 日本 | 2023年 01月 36
モバイルロボットのメーカーから見た安全性問題の概要
たちでバッテリーを置くなど、新しい部品を追加する ような改造を行った場合に顕著であり、高周波数の電 磁妨害を招く結果になります。
5. モバイルロボットへのリモートアクセス 機械の制御システムにリモートアクセスが可能なら、 モバイルロボットのメーカーやエンジニアは現地に出 向かなくても不具合対策を行ったり、多くの問題を解 決できるようになります。
このとき課題となるのが、IT部門のニーズとエンジニ アやメーカーのニーズとの間でバランスの取れたリモ ート接続ソリューションを構築することです。
IT部門は、ネットワークを安全かつ確実に維持して、 インテグリティを保ちたいと考えますので、リモート 接続ソリューションとしては、以下のようなセキュリ ティ対策を盛り込むことになるでしょう。
• インバウンド接続ではなく、アウトバウンド接続を利 用してファイアウォールへの影響を最小限に抑える
• 関連する通信トラフィックをネットワークの他のト ラフィックと分離する
• 全てのトラフィックを暗号化して保護し、機密性と インテグリティを保証する
• メーカーは、確実にISO 27001などの関連するセキュ リティ規格に従った取組みを行うか、認証を取得する • サプライヤは定期的にセキュリティ監査を受け、そ
れを確実に通過する
一方のエンジニアやメーカーは、使いやすく信頼でき るシステムを望んでいます。ユーザーがモバイルロボ ットに簡単に接続して、必要な情報にアクセスできる ようにしたいと考えているのです。また、設備が変更 になる場合にも、必要なロボットの数を簡単に拡張 できるようにすべきです。モバイルロボットはメーカ ーやエンジニアとは別の国で利用されることもあり ますので、ネットワーキングのためのインフラは、十 分なカバレッジと冗長性をもち世界中で利用できる ことを保証しなければなりません。
リモートアクセスのメリット
まとめ
ここまで見てきたように、モバイルロボットのメーカ ーは通信や安全性について多くの課題を解決しな ければなりません。ワイヤレス接続を確立して、様々 なネットワークを跨いでデータを送信し安全性を確 保するほか、CANシステムに接続して遠隔からロボ ットにセキュアにアクセスできるようにする必要も あります。そのうえ状況を複雑にしているのが、それ ぞれの設備を再評価して、導入現場の要件に合わせ た改造をしなければならないことです。
モバイルロボット通信を実現する最適な方法 モバイルロボットのメーカーが通信や安全性の専門 家であるとは限りません。そのため、必要な通信技 術を社内で開発しようというのは時間がかかり高コ ストになることはお分かりいただけるでしょう。これ に対し、サードパーティ製の専用通信ソリューション を活用すると通信にかかわる問題が解消できるだけ でなく、他のメリットも得られます。
最新の通信ソリューションにはモジュール設計が採用 されており、モバイルロボットのメーカーは機械の他 の部分にまったく影響を与えることなく、ある規格や プロトコル用に設計されたネットワーキング製品を他 の規格やプロトコル用の製品で置き換えることができ ます。たとえば、ある設備ではBluetoothが最適なワ イヤレス規格であるかもしれませんが、他の場所では カバレッジの点でWi-Fiの方が優れているという場合 があります。同様に、PROFINETとPROFIsafeプロト コルを利用している工場がある一方で、他の工場で は異なる産業通信用プロトコルや安全プロトコルが 利用されています。いずれのケースでも、モバイルロ ボットのメーカーが通信の専用製品を利用すれば、 現場の要件に見合うようにネットワーク技術を変更 できるのです。しかもハードウェア設計の変更はい っさい必要ありません。
筆者:
Mark Crossley, Daniel Heinzler, Fredrik Brynolf, Thomas
Carlsson
https://www.hms-networks.com/
33 | エンジニアリング 日本 | 2023年 01月 37 詳 細
特殊環境向け「高機能非磁性・超高耐食製 品」をラインナップに追加 ~直動・回転案内
に必要な機能と非磁性&超高耐食性を両立
THKは、強磁場や腐食性薬剤の影響を伴う特殊環境下でも、通常環境に匹敵する直動・ 回転案内性能が発揮できる「高機能非磁性・超高耐食製品」のラインナップを追加いた します。
機能非磁性・超高耐食製品」の直動・ 回転案内は、磁気をほとんど帯びない 高水準の非磁性性能と軸受に適した 高硬度の特長を併せ持つ特殊合金(THK-NM1)で構 成されており、既存の直動・回転案内とほぼ同等の耐 荷重性能に優れた非磁性製品が製作可能です。また、 腐食性薬剤が飛散する環境下でも極めて優れた耐食 性を発揮します。
半導体の製造プロセスでは特殊環境と呼ばれる工程 が数多く存在し、例えば超微細回路パターンを描く電 子線描画装置をはじめ、フォトレジストなどを用いた フォトリソグラフィ工程などは、磁気の影響を極端に 嫌い、特殊薬剤による耐食性を極限までに要求され る技術領域があります。
最先端技術を有する特殊環境下では、非磁性、耐食 性といった特長の一点一点を追求する製品がこれま で広く採用されてきました。ただ近年は、強磁場や腐 食性薬剤を扱う環境下でも通常環境に匹敵する動作 性能を厳しく評価、検証するケースが増えてきており、 半導体業界もその1つではありますが、非磁性・高精 度・高耐食の三拍子揃ったニッチな汎用製品を強く望 む声が寄せられています。そこでTHKは、お客様のニ ーズに応えるべく新製品開発を進めてまいりました。
まずはTHKの代表製品である「LMガイド、ボールね じ、ボールスプライン、クロスローラーリング」の「高
詳 細 NEWS 33 | エンジニアリング 日本 | 2023年 01月 38
「高
機能非磁性・超高耐食製品」をラインナップし、課題 としてあった非磁性・高精度・高耐食を実現しました。
とりわけ特殊合金(THK-NM1)の採用は、一般的な 高硬度のセラミックス材と比較すると、ボール接触面 が適度な弾性変形を伴うことで予圧の付与ができ、軸 受けに適した特殊材の中でも磁気の影響を受けずガ タつきのない滑らかな動きが可能となります。また、
腐食性薬剤への耐食性にも優れ、さらに高精度な動 作を実現できるようになったことで、技術の高度化 が近年目まぐるしく進む半導体製造プロセスの分野 に寄与いたします。
THKは、次世代技術をリードする半導体装置業界に 向けて、高速化/高精度化/小型化/長寿命化を提 案し、確かな技術力をもって進歩する技術革新に貢 献してまいります。
www.thk.com
33 | エンジニアリング 日本 | 2023年 01月 39 詳 細
セコ・ツールズの調整サービスが 30
セコ・ツールズのポートフォリオでも急成長を遂げるエンドミルおよびドリル領域の 1 つとして、ソリッドラウンド工具の調整サービス利用が
2022 年に 30 %を超える成長 を達成しました。
セコ・ツールズの工具調整は、お客様に大幅 なコスト節約をもたらすばかりではなく、 再研削/再研磨した工具比で、元の性能を 85-95 %も回復できます。調整した工具は、パラメー タの再調整が不要で、性能を低下させることなく、最新 の加工戦略(例:ダイナミックミリングでは、切削時に工 具径のごく一部のみ接触)に対応する性能を発揮しま す。またメーカーは、サステナビリティを大幅に向上し
て、1 部品加工あたりの排出量、ならびに未使用の原 材料から新たにソリッドラウンド工具の生産に必要な 排出量を削減できます。
調整と再研削
再研削プロセスでは、工具の刃先を研磨します。一 方、セコ・ツールズの調整では、ラウンド工具を新品 の特性と性能とほぼ同じレベルまで再生します。セ コ・ツールズは、この品質レベルを保証いたします。 このような保証は、特に無人の自動運転時のプロセ スの安定性を考慮すると、現代の作業現場で求めら れるものです。
セコ・ツールズのプロセスのメリット
セコ・ツールズの工具調整には、新品の工具製造と同 じプロセスが適用されます。このプロセスには、同じ 機械工具タイプの同じプログラム、同じホイールタイ プ、新品の工具生産時に適用されたものと同じコー ティングの再適用など、関連の研削手順がすべて含 まれています。セコ・ツールズは、工具および元の工 具/最新の仕様に最適の調整プログラムを特定し て、必要な微細特性や形状特性をすべて適用します。
詳 細 NEWS 33 | エンジニアリング 日本 | 2023年 01月 40
%を超える成長を達成し、拡張 を継続
さらに、セコ・ツールズの調整は、同じツールに通常 2-3 回適用できるため、耐用期間を大幅に延長でき ます。各調整サイクルは、セコ・ツールズのグローバル 調整リード Ruud Zanders に従って実施され、新品 の工具価格の半分から 3 分の 1 までコストレベルを 抑えます。Zanders によると、「この節約は、1 + 3 = 2(新品の工具コスト + 3 回の調整 = 新品の工具 2 個)の等式で簡単に計算できます。」
調整による循環型経済への貢献 セコ・ツールズの調整プログラムは、循環型経済の 3 つの基本原則(廃棄物と汚染の防止、製品と原材 料の循環、自然再生)に貢献し、作業現場がラウン ドツールのライフサイクルを最大限まで延長し、製 品の耐用期間を延長しながら、環境影響を緩和でき ます。調整を通じて工具を再利用して、最終的にリサ イクルできます。
セコ・ツールズの工具調整に関する詳細は、 www.secotools.com をご確認ください。
33 | エンジニアリング 日本 | 2023年 01月 41 詳 細
機械安全を評価するピルツの新し いサ ビスパッケージ - 適合性が 目でわかります
機械安全評価」(MSE) により、ピルツのオートメーション専門家は、既存の機械の機械 安全を評価するための新しいサービスを提供します。オペレータは、ダッシュボードを使 用して、機械の安全性と適合性のステ タスを簡単かつ迅速に把握できます。
の結果、ピルツは特に包括的なリスクアセ スメントや設備安全アセスメントをサービ スパッケージに追加して提供するようにな りました。
機械安全評価」サービスでは、生産設備内の機械に 適用される安全および適合用件の評価を現場で実施 します。このプロセスでは、ピルツは機械の使用場所 や納入先に適用される規格や指令を考慮するだけで なく、要求に応じてお客様独自の社内仕様も考慮す ることができます。その結果、オペレータは、各設備 または機械の現在の適合性ステータスを、明確で包 括的なソフトウェアベースのダッシュボードで一目で 確認できます。適切な推奨アクション (優先順位順) を伴う対策のリストによって、安全な工場への効率 的なルートを示します。ご要望に応じて、ピルツはこ れらの対策を実施する際のサポートを提供します。
機械安全評価」は、既存の機械の安全性と適合性を 効率的に評価するもので、完全なスタッフおよび責任 保護を希望する事業者を対象としています。また、ピ ルツの専門家による迅速でシンプルな機械安全評価 は、将来的な改造への対策をチェックする機械や、購 入した機械にも適しています。
詳 細 NEWS 33 | エンジニアリング 日本 | 2023年 01月 42 そ
2つのレベルの技術的詳細 ピルツでは、お客様の個々の要件に応じて、2つのレ ベルの「機械安全評価」を提供しています。レベル1は 安全ステータスの適合性をチェックし、リスクを低減 するための推奨措置を一覧表示しますが、レベル2に は主要リスクの評価と文書のレビューも含まれます。
必要に応じて、当社の専門家が特定の企業仕様に従 って適合性の概要を作成し、試験済みのサブ機能に ついて達成可能な最大パフォーマンスレベルPLrを 評価し、オプションとして将来のアップグレード費用 の見積もりも提供します。
オペレータが複数の場所で1つの機械タイプを使用す る場合は、興味深いことに、1台の機械の結果を類似 の機械に流用できます。そのため、「機械安全評価」 により、オペレータは特に効率的な適合性評価を得 ることができます。
www.pilz.com
33 | エンジニアリング 日本 | 2023年 01月 43 詳 細
フランス全土に展開するEV充電ステーションを最適化して管理
FIRALP社は、どのようにPcVueを使って、その電気自動車群のための充電ステーション を管理しているのでしょうか。
公共事業や特殊市場の事業(エネルギー、土 木工事、高電圧送電など)を手掛けるフラン スの企業FIRALP社は、最新の診断機能を使 って自社の充電ステーションをモニタリングして可用性 を高めながら、保守作業の最適化も図っています。これ にどのように取り組んでいるのでしょうか。
持続可能なモビリティの実現は多くの国で優先課題 となっていますが、特に欧州では議会が2035年まで にガソリン車とディーゼル社の販売を止めると可決し たばかりであり、Eモビリティ市場が成長し、活況を呈 するようになりました。
専門サイトEV-Volumesの新しい報告によると、世界 的なEVの販売は2021年に675万台に達し、2020年 に比べて108%の増加になりました。この販売台数に は、乗用車や小型トラック、小型商用車が含まれてい ます。さらに、国際エネルギー機関(IEA)の推定によ ると、10年後には実働する電気自動車の数が少なくと も1億4500万台にのぼるようになるとされています。
FIRALP社でも、数年前から電気自動車への移行を進 めてきました。とりわけ2022年は、100台以上の電気 自動車を発注し、各支店への充電ステーションの設 置を済ませるという決定的な進展を遂げた年となり ました。また、十数台の天然ガス(CNG)トラックも 注文していますので、電気とガスの両方に対応した ステーションの配備も進めています。こうした改革 により、環境面での期待に応えるとともに、2025年 までに低排出ゾーン(low-emission zone)におい て最も環境負荷の大きい自動車を制限できるものと 期待されています。
詳 細 NEWS 33 | エンジニアリング 日本 | 2023年 01月 44
モバイル・アプリで最適な充電を実現
モビリティの管理
この電気自動車への転換を支えるため、子会社であ るEREC Technologies社を含めたFIRALPグループ は、充電ステーションの管理にPcVueソリューション を選びました。
EREC Technologies社は、プロセス管理における フランスの専門企業であり、20年以上もPcVueをパ ートナーとして、電力および自動化分野のターンキ ー・ソリューションの保守・運用で顧客をサポートし てきました。
このプロジェクトは2020年にスタートし、オープン
かつ柔軟なソリューションをもとに、FIRALP社の15 の支店にある100台ほどの22kW充電ステーション を自社管理することを目標にしています。
新型コロナによるロックダウン中にはテストを実施 し、様々なメーカーの充電ステーションとの通信を 構成できるようにしました。またプロトコルにOCPP を選択して充電ステーションをモニタリングするこ とで相互運用性を保証しています。
これらの充電ステーションは負荷管理システム(Load Management System)にも頼っており、所定の性 能を得るためにいくつかのファームウェア・アップデ ートが必要でした。
PcVueアプリケーションでは、一定時間内の充電中 にステーションから供給された電力や充電イベント の終了、アラーム、充電の開始/完了など、様々な情
報がレポートされます。さらに、WebVueクライアン トとして10ライセンスが用意されており、視覚的にレ ポートにアクセス可能なため、充電ステーションをも っとよく活用できます。司令塔である本社のBMS管理 システムとも接続されています。
現在のところ、充電ステーションへのアクセスは円滑 であり、各支社にはそれを管理するためのポータルを 設けて対応しています。このように今は電気自動車の 数に十分見合うだけの充電ステーションがあります が、FIRALPグループとしては電気自動車群を拡大し たいのと強い意向があり、徐々に充電ステーション へのアクセスが困難になっていく可能性があります。
この数カ月のうちにFIRALP社には100台以上の電気 自動車が納入され、その電気自動車群が完成すると、 リソースの最適化ツールも必要になるでしょう。こうし た状況を踏まえたとき、PcVueプラットフォームが提 供する革新的なモビリティ・ソリューションがFIRALP グループにとって魅力的だったのです。
整理券発行のデジタル化:PcVueによって、電気自 動車ドライバーの日常が快適に!
電気自動車のドライバーが直面する大きな問題に、フ ル充電後も自動車がステーションに接続されたままに なっていて、待っている他の自動車が充電ステーショ ンを利用できないという問題があります。
そこでPcVueソリューションでは、この問題を解決す るため、電気自動車のドライバーが駐車場に到着する と、スマートフォンを使ってサインインできるように
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し、適切な充電速度を指示するという解決策を実現 しています。PcVueが充電ニーズや速度に関する情 報を保存しておき、充電ステーションが利用可能に なると、PcVueプラットフォームを通じてドライバー のスマートフォンにどの充電ステーションを使用すべ きかを通知できるようにしているのです。
そして電気自動車が接続されると、PcVueが充電を 始めます。また、ドライバーが車への充電をしないと 判断した場合に対応するため、PcVueが充電ステー ションの利用権を次の充電リクエストに渡せるよう にタイムアウトも設定できます。
PcVueのボット機能により、いっさいプログラムを書 くことなく、このような自動車の充電ステーションに 特化したモバイル・アプリが実現します。さらに、ユ ーザーのニーズに合わせたモバイル用のグラフィカ ルなインターフェイスも、その機能や図表を含めて作 成可能です。
FIRALP社のケースでは、スマートフォンで充電の権 利を受け取ったドライバーは、すぐに利用しない場 合や延期したい場合などに、その権利を他の人に渡 すことが可能です。
こうしたスマートなモバイル用ソリューションは、車 両と充電ステーション、ドライバーの3者において、
可用性と充電ニーズ、時間が完全にマッチして初め て成り立ちます。
すべての従業員が認めるのは「誰もエンジン車に戻し たいとは考えていない」ことだと、Jerome Dorne氏 は話しています。同氏は、様々なメーカーから導入す る約40基の新しい充電ステーションと100台の電気 自動車について、その調査・実行を統括しています。
また、将来を見据えた大きな狙いの一つとして、運 転条件での保守(Maintenance in Operational Condition:MOC)が確実に行えるソリューションの 実現、つまり、充電ステーションの設置ごとに保守契 約を履行できるようにすることです。
というのもEREC社は、近い将来、FIRALP社以外の 複数の企業を顧客として、充電ステーションの設置 を請け負いたいと考えているからです。
エネルギー効率のさらなる向上に向けて なにより、FIRALP社は設備のエネルギー性能を常 に革新のテーマに据えてきました。バリの南にあ るモントルー=シュル=ル=ジャール工場ではすで に、Departmental Energy Syndicateが管理す
る太陽光発電パネルが600 m2にわたって設置され ています。さらに、次に新設される建屋にも太陽光 発電パネルを設備する予定であり、FIRALPグループ
詳 細 33 | エンジニアリング 日本 | 2023年 01月 46
は自社で消費するエネルギーを太陽光で補うことで、 さらなる1歩を踏み出そうとしているのです。原則とし て、トラックの車庫に設置の太陽光パネルによって生 み出したエネルギーを使って、建屋の暖房を含めた空 調に電力を供給したり、電気自動車ターミナルの充電 をまかないます。
「目標は、自社の太陽光パネルからのエネルギーで も、電力会社ENEDIS 社のネットワークからのエネル ギーでも、社屋のエネルギーを管理し、子会社EREC を通じて専門技術を獲得することです」と、FIRALP 社の不動産管理マネージャFrançois Chapel氏は 同社の主眼を説明しています。
自社での消費に加えて、リヨン近郊のメイジューに置 く次の高電圧設備には、再利用バッテリーを用いた蓄 電を試みる予定です。また、同施設は低炭素アスファ ルトを用いて整備する初めての施設ともなります。さ らに、フランス・ランド地域産の錫杖草をベースとした 複合材料のテストも計画されています。
2021年、FIRALP社は炭素に関する完全な調査を行 って、同グループの活動にともない直接排出される 温室効果ガス(GHG)を算出しました。こうした測 定の結果を受けて、2022年は、いよいよ実験と対策 の行う段階となりました。
低炭素なアプローチを実行するため、FIRALPグル ープはOksigen社という企業に協力を仰いできまし た。調査に続いて、カーボンフットプリントに対する 対応として4つの優先的アクションを決め(コンクリ ート、リサイクル、代替エネルギー、CO2排出量計算 装置)、作業グループも起ち上げました。その目標 は、CO2排出量を2025年までに10%、2030年まで に20%削減することです。
プロジェクトの概要
- 約100基の22kWターミナル
- 約50社の企業と連携
- 様々なエネルギー源に対応した約40台の新しい 充電ステーションを、2023年までに複数のメーカ ーから導入
- 2022年に100台の電気自動車を発注
- スマートフォン用アプリによって充電を最適化
www.evchargingcontrol.com
https://www.pcvuesolutions.com
33 | エンジニアリング 日本 | 2023年 01月 47 詳 細
SEEQが2022年の RESELLER AND SERVICE PARTNERS OF THE YEARを表彰
プロセス産業を次世代の発展へと導くような優れた実 績を称えるため、ラスベガスで開催したSeeq Global Partner Symposiumにおいて年間最優秀パートナー を発表しました。
製造業やIIoT分野に向けた最新分析ソフトウ ェアで市場をリードするSeeq Corporation は、2022 Reseller and Service Partners of the Year〔2022年の年間最優秀販売/サービス・パ ートナー〕を発表しました。これらのパートナーは、顧客 への価値提供に優れていること、Seeq認定資格をもつ 従業員やトレーニング専門家の高度な技術に継続して 投資していること、マーケティング活動やイベントを通 じてSeeqの認知度拡大の機会に貢献していることを 評価して選びました。
Seeqが提供するSaaS方式の先進分析ソフトウェアを 使えば、オンプレミス環境やクラウドに保存されたプ ロセスデータから、重要な知見を素早く見出して共有 し、事業に活用できます。そのためSeeqのお客様は、 石油天然ガス、医薬品、化学製品、エネルギー、鉱 業、飲食料品などの様々なプロセス産業におよんで います。一方Seeqへは、Insight Ventures・Saudi Aramco Energy Ventures・Altira Group・Chevron Technology Ventures・Cisco Investmentsなど の各社から出資いただいています。
Seeqでグローバル・パートナーシップも含めて統括す る最高顧客責任者Nikki Bishopは次のように説明し ています。「2022年、世界中に広がる当社のパートナ ー・エコシステムは私ども共通のお客様に対し、持続 可能性やデジタル・トランスフォーメーション、従業員 強化など重要なそれぞれの取組みをサポートするた め、あらゆるプロセス産業における様々なユースケー スで高度な分析が行えるようにお力添えしました。そ うしたパートナー企業のなかから、プロセス産業に次 なる時代の発展をもたらすような優れた実績を基準と して、6社の2022 Reseller and Service Partners of the Yearを選ばせていただきました」。
年間最優秀販売パートナー
米州
Swan-Black 社が、Seeqの米州における2022 Americas Partner of the Yearです。Swan-Black社は、Seeq を中心とした独自のカスタマー・サクセス・モデルを 通じて、大幅な顧客拡大と受注獲得を果たすととも
に、北米のSeeq Foundations Trainingをサポー
トするSeeq認定インストラクターの増員など、パー トナーとしての一貫して優れた実績が明確です。特に Swan-Black社は、飲食料品や生物由来の栄養補助 製品分野の産業プロセスデータに対応したインフラ に高い技術力をもち、高度な分析を応用しての業績 向上を重視しています。
アジア太平洋地域
Nukon 社が、アジア太平洋地域におけるSeeqの2022 Asia Pacific Partner of the Yearです。3度目の受 賞となるNukon社は、2022年に2年連続でSeeqの事 業を2倍に拡大させました。飲食料品から、鉱業、金 属業、材料分野、公共事業、特殊製品のメーカーまで 十数社をこえるSeeqのお客様に向けて、Nukon社は 広範なユースケースにおよぶ極めて優れた分析サポー トと有用な知見を提供しています。
アジア
Tridiagonal Solutions 社が、アジアにおけるSeeqの 2022 Asia Partner of the Yearです。Tridiagonal 社は、アジアのみならず世界中でもデジタル・トラン スフォーメーションの取組みを通じてSeeqのお客様 をサポートする中核的な役割を担ってきました。デー タ・サイエンスや最新のプロセス制御、プロセス型生 産に関する深い専門知識を活用して、Tridiagonal社 は様々なプロセス産業におよぶお客様の投資効果を 高めるためのソリューションとサービスをフルセット で提供しています。
欧州・中東・アフリカ地域
IT Vizion 社が、欧州・中東・アフリカ地域における Seeqの2022 EMEA Partner of the Yearです。IT Vizion社は石油天然ガス産業分野の高い専門技術と リーダーシップを評価して選びました。同社は2022 年を通じてSeeqの顧客ベース拡大に貢献したほか、 石油天然ガス産業や化学産業のための様々な技術に 関する専門技術とサポートによって、複数のエンドユ ーザーをSeeq利用に導くという成果も収めました。
詳 細 NEWS 33 | エンジニアリング 日本 | 2023年 01月 48
中南米地域 Vertix Technologies 社が、中南米におけるSeeq の2022 Latin America Partner of the Yearで す。Vertix社は、高品質なトレーニングや導入サービ スを提供するなど、中南米地域におけるSeeqのプ レゼンス拡大に大きく貢献したことを評価して選出 しました。同社は、石油天然ガス、鉱業、医薬品、パ ルプ・製紙産業のデジタル・トランスフォーメーショ ンを支援する様々なデジタルソリューションやサー ビスを提供しています。
年間最優秀サービス・パートナー BKO Services LLC社が、Seeqの2022 Service Partner of the Yearを受賞しました。Marathon Oil社やSuncor社、TexGen社、Shell社などSeeqの お客様をサポートするため、BKO社のSeeq認定パー トナー分析エンジニアは、分析エンジニアリングの実 践的サポートなど顧客重視のアプローチを採り、持続 的で価値の高いお客様の業績を生み出しています。 特に石油天然ガス、電力などのプロセス産業に向け てデータ工学/機械学習サービスを提供しています。
Seeqのグローバルな成長は、こうしたパートナーシ
ップやクラウド・コンピューティングへの積極的な取 組みに大きく支えられています。Seeqは、クラウド サービス・プロバイダやシステムインテグレータから なる国際的なパートナー網を通じてご購入いただけ るうえ、40カ国以上の国ではSeeqの代理店サポー トに加えてトレーニングなどの高付加価値サービス も提供しています。
世界に広がるパートナーとの交流
2022年のReseller and Service Partners of the Yearは、2023年1月10~12日にラスベガスで開催し た2023 Seeq Global Partner Symposium〔2023 年Seeqのグローバル・パートナー・シンポジウム〕で 発表しました。このイベントでは、グローバルな成長 をいっそう加速させるため、“飛躍”をテーマにSeeq の一貫した市場開拓戦略に関する対話セッションを 開いて、Partner Network〔パートナー・ネットワー ク〕プログラムの最新情報を共有し、パートナーの営 業力やイネーブルメントの強化をはかるとともに、パ ートナーとSeeq経営陣との交流の機会としました。
参加者はSeeqのCEOであるDr. Lisa Grahamや最 高売上責任者George Skaryakなどの経営陣と直接 対話しました。
「当社のPartner Networkは、Seeqエコシステム の中核であり、グローバルな成長のカギとなってい ます。今回のGlobal Partner Symposiumは、私ど も共通のお客様に事業価値のご提供を続けるため に、そして持続的な成功に向けてパートナーの位置 づけを明確にするために必要な戦略的方向性や連 携について対話する場となるように計画しました」
と、George Skaryakは説明しています。
Amazon Web Services, Inc.社には2023 Global Partner Symposiumの単独スポンサーを務め ていただきました。Seeqは2019年以来、AWS
Partner Networkのメンバーであり、製品はAWSマ ーケットプレイスを通じて提供しています。AWSの Industrial Software・Energy・Life Sciencesの 各Competency Partnerとして、SeeqはAmazon RedshiftやAmazon S3など多くのデータストレー ジ・サービスのほか、SageMakerやLookout for Equipmentを始めとする機械学習もサポートして います。
パートナー諮問委員会 同シンポジウムでは、Seeq Partner Advisory Council(PAC、パートナー諮問委員会)も発足しま した。このPACは、様々な分野で高い能力をもつグ ローバル・パートナーをまとめて、Seeqがパートナ ーやお客様にできる限り高い価値を継続して提供 できるような的確な実践方法をアドバイスしていき ます。PACを通じて集まった戦略的知見は、Seeq製 品の方向性やパートナープログラム、新規顧客の開 拓に直接活かされることになります。
SeeqのPACは現在、Seeqと共通のお客様との協業 に貢献してきた長さとその実績に基づいて選ばれた パートナー7社で構成されています。ただし、PACのメ ンバーは毎年入れ替わります。2023年のSeeq PACメ ンバーは以下の通りです:
- Werusys 社 – ドイツ、ケルン
- Vertix Technologies 社 – ペルー、リマ
- Swan-Black 社 – 米国、ウィスコンシン州ブルッ クフィールド
- BKO Services 社 – 米国、テキサス州ヒューストン
- IT Vizion 社 – 米国、カリフォルニア州コロナ
- Tridiagonal Solutions 社 – インド、プネーおよ
び米国、テキサス州サンアントニオ
- Nukon 社 – オーストラリア、メルボルン
Swan-Black社の代表Joseph Gardner氏は次のよ うに述べています。「業界をリードする高度な分析ソ リューションを提供して、お客様に有意義な知見を届 けたり、事業価値の向上をはかるというSeeqの姿勢 は、当社Swan-Blackの使命と完全に一致しています。 そのため、Seeq Partner Advisory Council発足の
年に参加でき、Seeqの取組みをさらに推進して共通 のお客様の価値をさらに高めるような展望を共有で きたことを大変うれしく考えています」。
またSeeqのグローバル・パートナーシップ開発を統 括するシニアディレクタDede Davisも次のように話 します。「Seeq Partner Advisory Councilは、発 展する市場やパートナー、顧客ニーズを理解して、そ れに確実に応えられるようにするより直接的な基盤 となるように設立しました。同委員会で継続的に行 われる議論やそのフィードバックは、Seeqが引き続 き世界規模のパートナープログラムや最新の技術プ ラットフォームを構築し、共通のお客様の重要な取 組みをサポートし続けていくうえで極めて重要なも のとなるでしょう」。
詳しくは、seeq.com をご覧ください。
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