PORTFOLIO
KANTARO YABE
SELECTED WORKS 2021-2024
矢部 完太郎
Kantaro Yabe
2002年 神奈川県小田原市に生まれる
2015年 小田原市立富水小学校 卒業
2018年 小田原市立泉中学校 卒業
2021年 神奈川県立足柄高等学校 卒業
2024年 東京電機大学 建築学科 日野研究室 在学中
設計理念
「愉快な建築」
正直、この言葉が適しているのか僕にはまだわかりません。
けれど思いがけず良い空間に出会えた時の心浮き立つような、あ
るいはずっと前からその場所を知っていたかのような気持ちで満 たされるとき、建築の力を体感します。
人の気持ちを動かすことは、その集合である街を動かすことでも あると思います。
建築が社会に求められることは時代とともに変化していきますが、 どんなときでも空間だけが教えてくれることに耳を澄まし続けた いと考えています。
2024.07
建築設計製図Ⅱ 第一課題 (2021)
タイニーハウスの設計
「2つの部屋」
学内選抜作品
建築設計製図Ⅳ 第一課題 (2022)
集合住宅の設計
「+DD」
学内最優秀賞
建築設計製図Ⅱ 第二課題 (2021)
街もよろこぶ家
「誘い込む家」
学内最優秀賞
建築設計製図Ⅴ (2023)
未来の小学校を設計する
「水流の学び舎」
学内講評会 優秀賞
建築学縁祭Rookie選2023 100選 建築新人戦2023 100選 C-League 5大学合同講評会 優秀賞
建築設計製図Ⅱ 第一課題 (2022)
ランドスケープの設計
「余白を浴びる」
学内選抜作品
建築設計製図Ⅳ 第二課題 (2022)
団地内住棟の改修
「みさとダンジョン」
学内3位
木の家設計グランプリ2023
リモートハウス-風景と調和する家
「どこまでも続く庭の家」
公開審査進出作品
第3回スカイコート学生プランニングコンペ (2022)
建築設計製図Ⅱ 第二課題 (2022)
小規模空間の構成による複合施設の設計
「仲町の回り道」
学内最優秀賞
がまごおり公共建築学生チャレンジコンペ 2023
電車待ちだけじゃない みんなで使う まちの待合所 集まることで、守り守られる居住空間
「誰かの廊下は私の住処」
「公園のある駅舎」
建築都市設計 (2022) 第50回 五三会建築設計競技 (2023)
建築からまちづくりへの展開
「映される私と街と」
家
「距離に沈む家」
水流の学び舎 映される私と街と 距離に沈む家
用途 : 小学校
用途 : アーバンデザインセンター
用途 : 住宅
用途 : 住宅
共同設計
公園のある駅舎
用途 : 待合所
3年前期 建築設計製図Ⅴ
水流の学び舎
学内講評会 優秀賞 建築学縁祭Rookie選2023 100選 建築新人戦2023 100選
C-League 5大学合同講評会 優秀賞
「未来の小学校を設計する」 (2023)
学校は従来、子供たちへの『教育』の場として一斉授業を行いやすい形式で計画されてきた。 しかしこれからは、子供たち一人一人の個性を尊重した自由度の高い『学び』の場が求めら れている。また今後の少子高齢化社会の進行により、学校の地域居住者との繋がりの重要性 が増してくることも予想される。昨今急激に進んでいる教育のオンライン化も、学校のあり 方を変化させるかもしれない。そういった社会的背景が変化していく中、これからの学校建 築が地域社会ためにどのような役割を持ちうるのか、『未来の学校空間』に対する提案を期 待する。
担当教員 日野雅司
教材としての建築
昇降口と教室を行き来するだけの日々から逸脱した小学校を考えたい。
広場もプールも他学年の教室も、6年間を振り返った時等価な記憶とし て思い起こされるような、学校全体を教材として駆けまわれる愉快な場 をつくることができないだろうか。
水の流れを用いて子供たちの活動領域を学びの場とともに拡張すること で、学校全体が教材として機能するような小学校を計画する。
Odawara - Kanagawa
住宅地の中を横断する河川によって視界が開ける。
用水路まで生活の気配が滲みだしている。
農地を抜け、用水路は一つにまとまり河川へと再び合流する。
水と結びつきの強い街 小田原
農地が徐々に住宅地へと開発されてきた歴史を持つこの街には、現在も水路が 張り巡らされている。この水を小田原らしさと捉え、3つの性格に分類した。
本流:用水路へ分岐する前の河川。川沿いは散歩コースとなっている。
よどみ:農地。住宅地の中に突如現れる大きな農地が独特なリズムを作る。
50年の変遷 -農地から住宅地へ-
農地が徐々に住宅地へと開発されてきた歴史を持つこの街には、現在も水路が 張り巡らされている。この水を小田原らしさと捉え、3つの性格に分類した。 支流:農地へ水を運ぶための用水路。蓋で覆われていないものが多い。
土壌へ浸透
枝打ち 間伐
小田原市域内森林
市域40%を占める森林
植林 下草刈り 主採
間伐材などを小学校へ
河川へ放出
ごみ処理場
小学校から車で5分のごみ処理場。
その近さからごみ収集車のルートに 小学校を組み入れるのに適している。
子どもが廃材を運ぶ
蒸気が冷やされて再び水になる
オトープ
一クラス当たり一日に約3.7kgの木材を消費した場合、 一日の電力をまかなうことができる。
この仕組みによって小学校は自給自足的な性格を持ち、 子どもたちの当事者意識を育むことができる。
失われた動植物の居場所を再び作りつつ、 学びの場として再生する。
01 02 03 04 05
放熱
暖められた水
放熱中の水を引き入れ、温水プール として使用しつつ大量の水を一気に 放熱する。
冷却塔
夏の場合
排気筒 タービン
放熱をしながら校内を水が回る
まわる水と学びの欠片
冬には温められた水が して機能する。
小田原市
小田原市は木材利用の促進に力を入れている。
学校中に子どもが水と触 れ合える場が散りばめら れている。
第二の森林
炭素が固定された木材で建築を作ることで、 街が第二の森林となる。
昇降口
1 低学年昇降口
2 中学年昇降口
3 高学年昇降口
共通
4 みんなの教室
5 EV
1年
6 CR
7 テラス
8 WC
2年
9 CR
10 テラス
11 WC
教職員
12 職員玄関
13 職員室
14 事務室
15 放送室
16 校長室
17 会議室
18 保健室
19 職員WC
給食室
20 調理室
21 食品庫
22 休憩室
23 ランチルーム
24 WC
プール
25 男子更衣室
26 女子更衣室
27 プール
28 倉庫
バイオマス発電
29 管理室
30 破砕機
31 乾燥室
32 燃料補器
33 ボイラ
土足教室
34 図工室
35 図工準備室
36 大地の教室
37 大地のホール
体育館
38 ホワイエ
39 屋内運動場
40 ステージ
41 職員室
42 男子更衣室
43 女子更衣室
44 屋内体育倉庫
45 テラス
46 WC
47 屋外体育倉庫
48 観客席
屋外
76 駐車場
77 運動場
78 観客席
79 小川の庭
80 木漏れ日の庭
81 創作の庭
82 苗木の森
83 食事の庭
84 交流の広場
配置図兼1F平面図 S=1:600
共通
49 読書の間
50 自習室
51 ホール
52 倉庫
53 テラス
3年
54 CR
55 テラス1
56 テラス2
57 WC
5年
58 CR
59 テラス
60 WC
特別学級
61 CR 一般
62 一般玄関
屋外
85 円環の道
4年
63 CR
64 テラス
65 WC
6年
66 CR
67 テラス
68 倉庫
69 WC
特別教室
70 音楽室
71 音楽準備室
72 生活科室
73 生活準備室
74 理科室
75 理科準備室
屋外
86 学びの広場
87 青空広場
88 青空教室
89 青空テラス
3F平面図 S=1:600
円環の道から5年生教室を見る。鉛直方向の自由なつながりが子どもの探求心を刺激する。
Section
▽パラペット天端 GL±11550
▽RF GL±11050
▽3FL GL±8100
▽2FL GL±4350
▽1FL GL±100
西側から外観を見る。晴れた日には創作の庭でものづくりをする。
中心にあるみんなの教室では学年を横断した交流が行われる。
▽最高高さ GL±16300
▽軒高 GL±12250
▽理科室FL GL±10200
▽ホールFL GL±5900
▽2年教室FL GL±2100
▽みんなの教室FL GL±300
▽GL±0
学びの広場を見る。広場には3つの特別教室が接しており、教室の延長としても使用することができる。
教室周りの配置は周囲の街並みにみられる 水と大地の関係性を本流・支流・よどみと 定義し、これを落とし込むという手法に よって決定されている。
そうすることで、同じ風景の連続しない内 部空間を実現しつつ、探索するように動き 回れるシークエンスを目指した。
Sequence
校舎をとりまく円環の道が子どもたちを様々な学びの場へ導く。
川を望みながら進むと中央広場沿いの道が続く。道の途中にはリング状の回遊動線があり、子どもたちが駆け回る賑やかな場となる。 運動場から円環の道を見る。流れる水やそばに立ち並ぶ家を横目に、徐々に地面から離れていく感覚がその先の風景を予感させる。
さらに進むと中央広場とは性格の異なる、内側に閉じられたような中庭があり、静かに過ごしたい子供に人気の場所となるかもしれない。 視界が開けると大きな川が現れ、全身でこの街の風景を感じ取ることができる。
広域模型S=1:2000 2023.04
敷地周辺の水路をプロットし、街の構成ルールを 可視化した。
中間講評全体模型S=1:500 2023.05最終講評全体模型S=1:200 2023.06
中心から自然と水が広がっていくようなリニアな 形態を考えた。
水の流れが実際に及ぼす影響と子どもが学ぶ場を すり合わせた形態を考えた。
新人戦全体模型S=1:300 2023.09新人戦部分模型S=1:100 2023.09
独立していた体育館を全体の流れに取り込みつつ 水路のルートを見直した。
部分模型を作りながら教室の詳細を考えた。
C-league全体模型S=1:100 2024.05
フィードバックを受け、教室周りの設計に大幅な変更を加え、小学校におけるすべての場所が子どもの教材として機能するような学び舎を目指した。
西側から全体を俯瞰で見る。発電後の蒸気を冷却して暖められた水は、放熱過程で温水プールや理科の実験、中庭の水遊びなどに使用される。
北面円環の道を俯瞰で見る。各学年の昇降口が集まり、子どもたちの動きが活発な場所。中心の水たまりは様々な活動を誘発する。
東面から俯瞰。背後に河川を望み、円環の道が子どもたちを川に近づけたり遠ざけたりする。
中心部内観を真上から見る。螺旋状のスキップフロアは開放感がありつつも多様な居場所を作り出している。
3年後期 建築都市設計
「建築からまちづくりへの展開」 (2023)
都市、地域への影響を考えることは、単純に建築物が存在するということにとどまらず、その機 能や集散する人々の属性や営みの内容までをも包括的に考慮されなければ計画は成り立たない。 この課題の最終的な到達点は建築、外構、内装を含めて物理的なものを設える中で、単に建築 だけでなく、“空間”を構成することを大きな目的とする。合理的、論理的に企図された“空間” が生まれることで⽂化や歴史の創生を促しうる客観的なリサーチからロジックを構築していく説 明性をトレーニングする。ターゲットエリアは、都市計画基本方針に定める千住地域とする。
担当教員 土田 寛
街の内面を映す鏡
街の内面を映し出す鏡としての建築を考えたい。
まちづくりには徹底的なリサーチが必要とされるが、表面的な情報 に加え、地域住民一人ひとりが抱える内面的な思いを汲み取ること が重要である。北千住はそれが街に露出していない状態であった。
地域住民が個人単位で抱える悩みを大学の実践的な学びと絡めて建 築的な解決を目指す、複合型アーバンデザインセンターを計画する。
北千住駅前の再開発 現在北千住駅東口 ( 大学側 ) にお いて120mの高層ビル計画が進 行しているが、下町情緒漂う東口 の良さが失われる等の反対意見が 多いのが現状である。
宿場町「千住」として栄えた街
北千住は江戸時代から五街道のひとつ、日光街道最初の宿場町として栄え、その街並みは当時の面影がある古い建物も多く残されている。
現在も活気ある商店街 通りから外れると路地が現れる
地域住民が抱える悩み 12事例
フィールドワークから地域住民が北千住に対して抱いている思いを明らかにし、それに対して学生はどのような取り組みが可能か考えた。
上段:地域住民の悩み
下段:悩みに対する学生の取り組み
・使い道のない空地の有効活用
・災害時避難マップの分かりづらさ ・銭湯に来る客の減少
・災害時の対策不足
・買い手の決まらない旗竿敷地
・共有農地化による交流の場の創出 ・シェアキッチンによるコミュニティ活性化 ・イメージパースの作成による注意喚起
・プロダクトデザインの植木ランプ設置
・広域模型と消火器を組み合わせたデザイン ・歴史訪問マップの作成による客の増加
・道路が複数交錯する交差点の危険性 ・薄れつつある商店街の賑わい
・一軒家を持て余す単身の高齢者
・路地で子どもが自転車と衝突する恐れ
・角地の店舗における視線を通す改修 ・制作した家具の設置による滞留時間の増加
・無街灯路地の危険性 ・自転車の注意を促す看板のデザイン
・路地住宅におけるベランダ同士の視線交錯・乱雑に積み重ねられるゴミ袋 ・部分的なパブリックへの開放 ・光を通して視線を遮るインスタレーション・集まると完成するゴミ袋のデザイン
東京電機大学
空間における3つの構成ルール
01 プラザでありアゴラでありルーフガーデンであること
大学創建時の3つのコンセプトを統合した、おおらかな空間を目指す。
02 駅と大学を結ぶ大屋根
周囲と調和しつつ、駅と大学の流れを可視化するように大屋根をかける。
03 新たな方向性と屋根のずれがもたらす奥性
槇⽂彦氏が空間から見出した「奥」という性質をここでも取り入れる。
ポストに地域住民の悩みが集められる 1
悩みに対して学生が案を出し、プレゼンテーションする
モックアップ製作等、案の実現に向けた検討を行う
実際に街で製作を行う
回転するL字壁
用途によって空間を緩やかに分節することができる。
2 展示室1 3 展示室2 4 展示室3 5 展示室4 6 倉庫 7 MWC 8 WWC 9 職員WC
活動の記録などを展示する
建具の開放
建具を開放して広場のように自由に使う。
雛壇上の大屋根がステージになり、人が滞留するよどみを作る。
東側から俯瞰で見る。アーチとその派生形の大屋根がずれながら重なり、多様な居場所を作り出す。
駅東口から外観。前面道路に対して45°角度を振ることで道路側に視線の抜けを提供する。
前面道路から俯瞰で見る。ルーフガーデンは災害時の一時避難場所としても機能する。
展示室とカフェをつなぐブリッジ。屋根がずれた隙間からルーフガーデンが見える。
第50回 五三会建築設計競技
距離に沈む家
「家」 (2023)
あなたにとって家とは何ですか?
多様化する価値観や家族の在り方、目まぐるしく変化・革新していくテクノロジー、固定のアド レスを持たない生活も可能な今日、ライフスタイルも変化し続けています。
これまで家に求められてきた「食事をする」「寝る」「排泄をする」「団らんをする」といった役 割も変化し、家そのものの持つ意味が変わってきているのではないでしょうか。何をもって「家」 と呼ぶかは、自分次第かもしれません。
家とは何か改めて考えてみてください。あなたにとっての「家」を期待します。
審査員 周防 貴之 藤森 雅彦 南 俊允
いくつかの状態と共存する
家の個室は一人でいることを許される空間でありながら、家族や外部の気配を享受せざるを 得ないというジレンマを抱えている。
一人とみんなを行き来する部屋
そのような相反する両者を両立させる家を考えたい。
距離という指標を用いた個室を考えることで、一人きりになれる空間に居ながら、家族も含 めた他者や外部との気配をコントロールし、いくつかの状態を個室内にいる住人の意思に よって選択できる家を提案する。
状態2 集まる家族に参加する私 状態1 集まる家族とひとりの私
南東から外観。雛壇上の敷地に地層のように重なった外壁が調和する。
北西から外観。前面道路に面した西面から北面にかけての外壁は緩やかに高さが抑えられている。
南西から外観。個室が街に張り出し、ファサードの一部になっている。
南東から全体の俯瞰。
木の家設計グランプリ 2023
どこまでも続く庭の家
公開審査進出作品
「リモートハウス-風景と調和する家」(2023)
都会を離れて暮らすことを決意した若い夫婦と3人の子供たちのための家を設計してください。 職業は自由に設定して構いません。地元で働いても、リモートワークという設定でも農業でも、 牧畜でも、林業でも、自給自足でも構いません。都会を離れて生きるとしたら、どのような生き 方が魅力的で、何を大切にして生きるのか、生き方と価値観について考えましょう。次に、その 生き方のためにはどのような場所に住むべきかについて考えましょう。
そしてその土地の風景に調和した家を提案してください。あるいはその家が建つことでその場所 の風景がより美しくなるような家のあり方を提案して下さい。
審査員長 横内敏人
どこまでも続く庭
家の広がりの限界を考えたい。敷地境界線という法律上の目に見えない境界はあるものの、それが限界かと言われるとそうで はない気がする。
家に庭があるというよりは、庭に家があるような建ち方を探ることで、家がどこまでも広がっているという空気を纏わせるこ とに試みる。
周囲の自然から見出されたいくつかの軸を手掛かりに建つ家は大地と家の境界をなくし、庭は山や川、近所の畑さえその広が りの中に参加させながらどこまでも続いていく。
Sequence
周囲をとりまく庭の視点場として配された部屋を螺旋状に巡るように暮らしが展開する。
外階段を上がると住宅が現れる。2Fのボリュームが宙に浮き、大地が連続した中庭へ吸い込まれるように進んでいく。
室内は傾斜に沿って螺旋状に床レベルが徐々に上がっており、時間や気分によって場所を選択することが楽しくなる。
2階に上がると1階と対照的に大きく開けた自然が広がり、この住宅がどこまでも続く庭の中に建つ家であることを実感する。 中庭は自然の通り道となり、それに沿って縁側が設けられることで流れる季節を感じられる場所となる。
北東から全体の俯瞰。周囲の自然から見出されたいくつかの軸によって配置が決定されている。
北東から外観を見上げる。外装は各ボリュームごとに仕上げを変えることで枝葉が重なったような見え方を目指した。
西面外観。内部と外部が交互に動線へ組み込まれることで、住人はどこまでも続く庭を体感する。
長手断面。
がまごおり公共建築学生チャレンジコンペ
公園のある駅舎
「電車待ちだけじゃない みんなで使う まちの待合所」(2023)
名古屋鉄道蒲郡線の西浦駅は、1936年に開業しました。学生や高齢者をはじめとした地域住民 だけでなく、観光地西浦温泉を訪れる観光客も利用する西浦の玄関口です。
そこには待合所を併設した駅舎が設置され、多くの方に利用されてきました。どことなくホッと するような佇まいの駅舎は、いつまでも懐かしい、いつまでも愛される存在でありました。 しかし、昭和24年に改築された駅舎は施設の老朽化のために取り壊されることになり、令和4 年秋、多くの人に惜しまれながら、73年間の長い歴史に幕を閉じました。 かつての駅舎が取り壊されてしまった今、西浦駅は待合所を必要としています。 いつまでもありつづけて欲しいと願うまちの思い。思いを乗せた提案を求めます。
審査員長 古谷誠章
心の最寄り駅
駅に公園のような誰もが気軽に立ち寄れる場としての性格を持たせたい。
最寄り駅に帰ってきたとき気が休まる思いをするように、この駅を使用する誰もが安心感を覚え、ずっとそこに居たくなるよ うな場として、電車を待つという機能的な役割を越えた、人の集まる場としての駅を提案する。
Diagram
Gamagori - Aichi
竜田チビッコ広場
西浦駅
天王社チビッコ広場
利生院チビッコ広場
馬場チビッコ広場
馬相チビッコ広場
黒山チビッコ広場
5段階のスタディを通して形態を決定した。
1 小さな敷地の中に多様な居場所ができる分散配置の検討
2 多様な居場所を包括する屋根のかけ方の検討
3 屋根とボリュームが溶け合う在り方の検討
4 1~3の操作を組み合わせた案の検討
5 地面レベルでのつながり方と動線の検討
ホームから駅舎を見る。ホーム側に開かれた広場が駅舎を一体につなぐ。
広場を俯瞰で見る。街と駅の中間領域として様々な出会いをもたらす。
入口から広場を見る。街・駅舎・広場・ホームと複層的に空間をつなぐ。
トイレをとりまくギャラリー。初めて駅に訪れた人がこの街を知るきっかけにもなる。