KEEN 2021 Impact Report

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2021 KEEN EFFECT

IMPACT REPORT

INTRODUCTION

『新しい働き方』が定着した2021年、私たちはKEENの企業理念の中核をなすコンセプト「Access & Inclusion(アクセス とインクルージョン)」、「Consciously Created(環境負荷の低減)」、「災害支援」という3つの分野において、NPO パートナーやKEENファンの皆さまと共に、引き続きポジティブな変化を起こしました。

世界的なパンデミックという困難な状況が続く中でも、私たちはKEEN Effect助成金プログラムを通じ、子どもたちが 自然と触れ合える機会を作り続け、1,000人を超える子供たちをサポートしました。また、誰しもがアウトドアにより容易 にアクセスできるように活動を続ける非営利団体に100万ドルを超える寄付をしました。さらに、KEEN社員の一人一人 が自分たちのコミュニティに変化をもたらすための方法を考え、2021年には約1,500時間のボランティア活動を記録し ました。そして、行動すること・支援することに対してポイントがもらえる世界初の取り組みである独自のポイントプログラム

「KEEN Corps(キーン・コー)」を立ち上げ*、沢山のKEENファンの皆さまにご参加いただきました。また、探索できる 公有地を増やすことは、「ソト」をもっと身近なものにするための大事な活動のひとつですが、私たちは、長年のパートナー である米・アウトドア環境保護基金コンサベーション・アライアンス(Conservation Alliance)と協力し、北米内で約30

万エーカーの土地の保護にも尽力しました。 *日本では2023年スタート予定

これらの努力も、もし私たちの地球がもはや住めない場所となってしまったらすべて意味のないものとなってしまいます。

だからこそ、私たちはアウトドア業界全体が「PFASフリー」を実現できるよう挑戦し続けます。自分たちが長年かけて成し

遂げたノウハウを同業者に共有することで、彼らもまた同じようにPFASフリーを実現できるのです。7年間に渡り11,000 時間と120万ドルを費やした詳細なアプローチの青写真を記したグリーンペーパー(Green Paper)を作成し、サプライ チェーンに携わる人たちに向けてに公開しました。

一方、製品開発者、イノベーション・エンジニア、材料スペシャリストたちも、環境負荷をさらに低減するためにシューズ作り

のプロセスで何か変えられることはないか考え続けた結果、消費者製品に含まれる最も毒性の強い6種類の化学物質の うち、5種類を排除することに成功。最後の1つである溶剤については、水性接着剤と直接注入工法への切り替えに取り 組んでいます。私たちは現在6%の溶剤フリー化を果たしていますが、2030年までに33%のフリー化を達成することを 目標としています。

私たちが地球への影響を軽減するための方策を講じる一方で、残念ながら気候関連の災害は世界中いたるところで増え 続けました。2021年は、ケンタッキー州の竜巻やコロラド州の山火事、カナダ、ヨーロッパ、日本での洪水や土砂災害 など、5つの大規模な自然災害の支援を行いました。トータルでおよそ25万ドル分の現金とシューズを寄付し、その地に 暮らす人々やコミュニティの復興を支援しました。

KEEN IMPACT REPORT ENVIRONMENTAL, SOCIAL, AND GOVERNANCE METRICS 01

これらの活動は、このレポートで紹介する私たちの取り組みの一部です。このレポートは、私たちの活動成果についてはもち ろん、今後やるべきことと現状とのギャップも明確にしています。そしてKEENを応援してくださる皆さまに対して透明性を 保ち、これらの活動についてKEEN自身が責任を自覚するために、このレポートを皆さまと共有します。

ABOUT US

私たちは、独創的で、快適で優れた耐久性を持つフットウェアを作っていると自負しています。でも それ以上に生み出した

いものがあります。それはKEENを通じて“社会をよりよくしていくこと”。意思決定がシンプルな家族経営の会社だから こそ、『正しいことを行う』という理念に基づいてものごとを決めるという哲学が社内全体で共有できています。製品を作る 時も、地球環境や人々との関わりを考える時も、常に正しいやり方を選ぶこと。これが 2003年の創業以来、私たちが心に 刻んできたミッションのひとつです。

KEENが創業してから1年も経たない頃、インド洋周辺で生活する人たちの社会に壊滅的な被害をもたらした大規模津波 災害が発生しました。ちょうどその頃、KEENは自分たちのシューズを広く知ってもらうための広告予算として、創業間も ない小さな会社にとっては大きな額である100万ドルを用意していました。しかし、津波の被害が報道されるとすぐに、 広告に使うよりももっとずっと意義ある使い方があると強く感じた私たちは、今すべき正しいことが何かを考え、広告費と して用意していた100万ドルは全て津波被害への支援に回すことに決めたのです。ただただ『正しいこと』をしようとした 結果の行動でした。

そして2005年、私たちはコンサベーション・アライアンスに資金提供と活動の両輪に渡って協力し、会員数を4倍に増やす チャレンジに成功しました。この効果を、エグゼクティブ・ディレクターは“KEEN Effect=KEEN効果”と呼びました。この 名称はその後定着し、今では私たちが行っているコミュニティ支援や地球環境を守る活動そのものを表すようになりました。 誰かがKEENのブーツやサンダル、スニーカーを購入してくれるたびに、KEEN Effectを生み出すことができるのです。

私たちはシューズ作りの仕事に誇りを持っています。そして同様に重要なことと考えているのは、それを“どのように行うのか” ということです。KEENの社員は、数日間のボランティアに率先して参加するアクティビストであり、会社はGreen Teamや

JEDI (Justice Equity Diversity & Inclusion) Working Groupといった社員有志による社会貢献活動を支援し、 社内外にポジティブな変化を起こすサポートをしています。また毎月開催されるグローバル・ギャザリング、Zoomマスター クラス、ジューンティーンス/奴隷解放記念日(Juneteenth)、プライド月間のお祝い(Pride celebrations)など、身近で 営まれている多様性のある日常を社会全体に反映させようと務めています。このようにKEENは、社員一人一人が、創造性 や思いやり、楽しさ、そして包括性とのバランスをとりながら、日々の仕事に取り組んでいます。

KEEN IMPACT REPORT 02
ENVIRONMENTAL, SOCIAL, AND GOVERNANCE METRICS

GLOBALLY:

KEENmates

オフィス所在地:

アメリカ・オレゴン州ポートランド, カナダ・オンタリオ州ブランプトン, オランダ・ロッテルダム,  日本・東京, アメリカ・ケンタッキー州シェファーズビル

KEEN Retail

の直営店 15 ガラージ + 6 アウトレット

ガラージ (販売代理店所有・運営)

ガラージ (販売代理店所有・運営)

ガラージ (販売代理店所有・運営)

KEEN Manufacturing

契約 工場 21

自社 工場 4

85 カ国 で KEEN が 販売されています

北アメリカ, アジアパシフィック, ヨーロッパ, 南アメリカ, アフリカ

31%

2021年に自社工場で 生産された KEEN 製品

アメリカ(ポートランド州オレゴン) タイ(チョンブリ)

タイ(ピマーイ)

ドミニカ共和国・サンティアゴ

KEEN IMPACT REPORT 03
604 人 の社員 US: 2 ガラージ 日本: 7 ガラージ
5 アウトレット チェコ: 5
オランダ: 1
香港: 1
数字でみるKEEN
+
KEEN
*OUR TAKE ON RETAIL STORES
ENVIRONMENTAL, SOCIAL, AND GOVERNANCE METRICS

MISSION: 私達の約束

全ての人々に天井知らずの生きかたをインスパイアする

私たちは、独創的で、快適で優れた耐久性を持つフットウェアを作っていると自負しています。でもそれ以上に生み出したいものがあります。それはKEEN を通じて“社会をよりよくしていくこと”。

意思決定がシンプルな家族経営の会社だからこそ、『正しいことを行う』という理念に基づいてものごとを決めるという哲学が社内全体で共有できています。

製品を作る時も、地球環境や人々との関わりを考える時も、常に正しいやり方を選ぶこと。これが2003年の創業以来、私たちが心に刻んできたミッション のひとつです。

そして、それが私たちの“存在理由”であり、私たちのお客様への約束です。私たちをひとつにまとめる共通の目的であり、活動の基礎となるものです。

私たちのバリュー

KEENのビジネスは日々、オリジナルの価値観である<KEENの道標>という指針に導かれています。それはトレイルマーカーのように、私たちが旅を続ける のに欠かせないもの。絶え間ない改善を指す言葉であり、見つけた時より良い状態にして物事を残すというシンプルな考え方に基づくビジネスの進め方 です。

MARKER NO. 1

家でじっとしているより、外に出たほうがいいに決まっています。「ソト」といっても、山の頂上を次々に制覇したり、単独 で歴史的な冒険に挑んだりするような話ではありません。家の外に出て、食べたり、寝たり、ハイキングしたり、散歩 したり、仕事をしたり、遊んだり… 日々の暮らしの中で外にいる時間を増やす。そうすればきっと心も体も健やかで いられます。一人では退屈ですから、友達や家族も一緒のほうがいい。犬や子どもたちも連れて。みんな一緒に! ほかの人を巻き込んだほうが外での生活はおもしろくなります。屋根のない場所はハッピーな場所です。

MARKER NO. 2

全てにオリジナルであれ

MARKER NO. 3

私たちは何かを追いかけるために生まれてきたわけではありません。誰かに認められる必要もありません。製品開発 においてもイベントにおいても、今までにないものを作ることを信条とします。まずは何でも試してみること。文字どおり 「どんなことでも」です。それは私たちの楽しみでもあります。素早く行動し、失敗したらまた次を考える。予算に制限が あったとしても、創意に限界はありません。たとえ成功の見込みが薄くても、私たちは独創的であることをやめません。

MARKER NO. 4

私たちの製品は、これがソリューションだという確信をもって作られています。いまだに満たされていないニーズを見 定め、世界が見たことのないような解決策の構想を練ります。人々が外に出たとき、安全で気持ちよくいられるように。 つま先を守り、暖かく乾いた状態に保ち、足もとが滑らないようにします。ファンの皆様は私たちを信頼して身の安全 を託してくださっているのです。その信頼を裏切ることがあってはなりません。

MARKER NO. 5

正しいことをしようと立ち上がる人が増えれば、この世界はより良い場所になるでしょう。だれかが助けを必要として いるとき、寄り添っていられる私たちでありたい。困難なときこそ大胆な行動が求められます。言うは易し。我々は敢えて 難しを行うのです。

地球をより健康にし、強固なコミュニティを作ることが大切だと私たちは信じています。製品に使用する材料から開発・ 製造方法、そして信頼に足るシューズを作る社員への対応まで、つねに良心に照らしながら何をどのように作るのかを 考えていきます。この場所を、私たちが見つけたときよりキレイにして未来に残すことが最終目標です。

KEEN IMPACT REPORT 04
ENVIRONMENTAL, SOCIAL, AND GOVERNANCE METRICS
共に生きる… みんな一緒に
オリジナルかつ 長持ちする製品を作る
良心と共に創る
(DO
ドゥ・ザ・ライト・シング
THE RIGHT THING)

KEEN EFFECTの成果 2021 ハイライト

3つの大切な柱を中心に、KEEN EFFECTの広がりを報告します

気候変動の影響で被災した地域を支援

2,203 $1.1M (約 5 億 6,856 万円) 現金と製品の寄付

シューズの寄付

83 草の根団体を サポート

1 GREEN PAPER (グリーンペーパー)

を発表

世界初のボランティア活動支援ポイントプログラム

KEEN CORPS(キーン・コー) *を開始

*日本では、2023年に開始予定

有害な化学物質PFAS-FREEを一緒に実現しよう

KEEN IMPACT REPORT 05
PFAS FREE SINCE 2018
1. ACCESS AND INCLUSION すべての人が「ソト」を自由に楽しめるように 2. DETOX THE PLANET 未来世代のために環境負荷を減らそう 3. DISASTER RELIEF
ENVIRONMENTAL, SOCIAL, AND GOVERNANCE METRICS

ACCESS AND INCLUSION

1,091 人 の子供たちをサポート

50% の女性 20% の BIPOC * 多様性の目標値

* “Black, Indigenous, and People of Color”(黒人、先住民、有色人種)の略

$1M

(約 1 億 900 万円) 次世代を担う女性職人を支援

117,885 ヘクタールの保護

1,496 時間のボランティア

KEENは、すべての人にとって包括的なブランドであるよう常に努力してきましたが、私たちが属しているアウトドア業界は白人優先の業界であり、 白人の従業員を多く抱えるビジネスであることを認めざるを得ません。そして、業界のこれまでの取り組みは、真剣ではあっても不十分だったことも。そこ で、2020年、私たちはKEEN Together Teamと呼ばれる横断的なタスクフォースを創設し、私たち自身を、私たちの会社を、そして「ソト」を、より公正な、 公平な、多様な、かつ包括的な場所にしていくため尽力することを誓いました。

私たちが構築したThe Together Planは、「人」「文化」「地域社会」の3つの分野に重点を置いています。

社員の多様性と包括性を優先するために 多様な人財を確保するための協力体制を構築 2021年、KEENは、Partners in DiversityとNoirefyの両社とのパートナーシップを継続し、多様性のある地域からのリクルーティング活動をさらに 強化。また、固定観念や先入観による影響を軽減できるようなシステム構築のため、職務内容の記述方法や面接過程など、選考プロセスに関する多くの 社内規程や慣習の見直しを続けました。

KEEN IMPACT REPORT 06
1
SOCIAL,
ENVIRONMENTAL,
AND GOVERNANCE METRICS

私たちは、社員の多様性を高めることにコミットし、2025年までにBIPOC従業員の割合を20%、女性従業員の割合を50%とすることを目標としています。 また、リーダーシップポジションにおける多様性を高めることにもコミットし、2030年までに全取締役の20%以上をBIPOCの取締役に、50%以上を女性 取締役とすることを目指します。

KEEN GLOBAL

KEEN における多様な文化の創造

多様性のある組織は、多様性のある文化から生まれます。KEENが導入するThe Together Planは、充実した教育や必要なトレーニングの提供、エン リッチメント行事の実施、社員に対するインセンティブやサポートの提供などといった様々なイニシアチブやアイディアを取り入れ、あらゆる人種、出自、能力 の人々が受け入れられる職場環境の実現に寄与した内容となっています。

2021年には、JEDI(Justice, Equity, Diversity, and Inclusion)トレーニングに参加したり、JEDIをテーマとしたウェビナー、職場でのイベント、遺産 月間イベントに参加する機会を設けたり、また、JEDIトレーニング受講や地域社会への理解を深める学習活動や貢献活動への参加を奨励するインセン ティブ・プログラムを開発したりと、実に全社員の91%が、多様性の促進に関連する様々な活動に参加しました。

* 定着率( Net ):女性社員数およびBIPOC 社員数の合計を前年度と比較

アウトドア業界における構造的人種差別の是正に取り組む団体への継続的なサポート

多様性への理解と社員の行動を浸透させるためにThe

Together

Planを策定し、社内クリエイティブチームの発信するメッセージがJEDI(Justice Equity Diversity & Inclusion)を推進するにあたり差別的な言い回しとなっていないか事前に確認する仕組みの導入、Access & Inclusionや BIPOCを支援する助成金の増額、JEDIプロジェクトで実施する有償ボランティアの目標設定など多くの取り組みを行なっています。また販売キャンペーン や使用する画像の多様性についても、シーズン終了後の分析や審査を実施しています。

COMMUNITY

現在

> 50% ソーシャルメディアの多様性

< 20% BIPOC活動への助成金

50% 2021年

35% 2025年

25% 2025年

KEEN IMPACT REPORT 07 CULTURE 100% 91% JEDIトレーニング 2021 2022 2021 2021 10% 0% JEDI 認定 100% 133% 100% 132% BIPOC 定着率 * WOMEN 定着率 * U.S. 目標 2021 KEEN GLOBAL HQ DIVERSITY 2020 年実績 2021 年実績 15% 15% BIPOC “Black, Indigenous, and People of Color / 黒人、先住民、有色人種 20% 2025 20% 2030 50% 50% 2025 2030 8% 13% BIPOC DIR(ディレクター以上) 40% 43% 26% 35% WOMEN
DIRR(ディレクター以上)
WOMEN
HQ
SOCIAL,
METRICS
ENVIRONMENTAL,
AND GOVERNANCE
目標
目標
INC.
活動時間
KEEN

KEEN EFFECT 助成プログラム

2005年に始まったKEENの助成プログラムは、出自や性別を超えて誰もがアウトドアにアクセスできるように活動する非営利団体と長期的なパートナー シップを構築し、年間助成を行っています。国立公園など公有地の保護活動や、子供たちを自然の中に連れ出す活動など、彼らパートナーの存在に私たち は常に刺激を受けています。2021年、こうした活動を行う83の非営利団体や救援組織に110万ドルの現金とシューズ配布などの寄付活動を行ないました。

私達のパートナー:

• The Conservation Alliance

• United Way of Kentucky

• Us4Iriomote

• Good360

• Outdoor Afro

• Oregon Tradeswomen

• Leave No Trace

• American Whitewater

• All Hands and Hearts

• The Wilderness Society

• Forest Park Conservancy

• Two-Ten Foundation

• OPEN Japan

• European Outdoor Conservation Alliance

• Canadian Parks and Wilderness Society

• University of Waterloo Scholarship

• Happiness is Camping

• Ice Age Trail Alliance

• Trailkeepers of Oregon

• Chicago Adventure Therapy

• Youth Garden Project

• Kirpa Collective

• Red Cross BC Wildfire Relief

• Working Gear

• Elevate Youth

• Wild Diversity

• Glacier Peak Institute

• GirlVentures

• CorpsTHAT

• Forest Park Conservancy

• Georgia Audubon

• Good360

• Volunteers for Outdoor Colorado

• Outdoor Asian

• Forest Seeders

• Honor the Earth

• The Boulder Community Foundation

• Women’s Earth Alliance

• Friends of the Lower Olengangy Watershed

• Conservation Alliance Japan

• Arizona Trail

• Habitat for Humanity

• Soles 4 Souls Canada

• Mirai no Mori

• Black Women Build Baltimore

• Girl’s Garage

• Red Cross Germany

• San Francisco Marin Foodbank

• It’s Great Out There

• Friends of the Riverfront

• iPledge

• Love is King

• Vermont Works for Women

• Everyday Refugees

• Feeding America Eastern Wisconsin

• Friends of the Forest Preserves

• Forgotten Harvest

• Leave No Trace Japan

• Mid-Ohio Food Bank

• Oregon Food Bank

• Abbottsford Community Fund

• KSK Ahrweiler

• Central Texas Food Bank

• mymizu

• Stichting Duik de Noordzee Schoon Project

• Cal Wild x Hispanic Access Foundation

• Portland Taiko

• Hino Social Education Center

• ONDA

• Magoo

• Save the Boundary Waters x Outside Safe Space

• NRW hilft

• North Country Trail Association

• Re-bit

• SOLVE

• Quinault Solar Power Initiative

• Veteran’s Recovery Farm

• Wildlands Restoration Volunteers

• Japan Tiger and Elephant Fund

• Second Harvest Foodbank Metrolina

• Central Oregon Land Watch

• POW Japan

• Song of the Earth

KEEN IMPACT REPORT 08
ENVIRONMENTAL, SOCIAL, AND GOVERNANCE METRICS

助成先ハイライト:THE WILDERNESS SOCIETY 25,000ドル(約2.7百万円)- トンガス国有林のために

2021年、私たちは、音楽を通じてアラスカ・トンガス国有林保護への興味や関心を高めるという試みを行いました。世界最大の温帯雨林であり極めて重要 な二酸化炭素の吸収源・貯蔵庫であるトンガス国有林を様々な望ましくない開発から守るため、アースデイには、ジェリー・ガルシア・ファミリー(Jerry Garcia Family)と環境保護団体ウィルダネス・ソサエティ(The Wilderness Society)とのパートナーシップにより、ベネフィット・コンサートをオン ライン開催。音楽のジャンルを超えた20以上のバンドがオリジナルパフォーマンスを披露し、トンガス国有林保護につながる行動を起こすよう多くの人 に訴えかけました。KEENからウィルダネス・ソサエティへ寄付された25,000ドルは、同団体がロードレス・ルール(無道区域保全ルール)の再度適用を 目指して行っていた提唱活動の一助となり、バイデン政権は2021年末にロードレス・ルールの再適用計画を発表。900万エーカー以上の原生林で今後 の道路建設、開発、伐採は禁止されることとなりました。

助成先ハイライト:CONSERVATION ALLIANCE

公有地へのアクセスを保護することは、私たちの掲げるミッションにとって非常に重要なことです。私たちは、パートナーである米・アウトドア環境保護基金 コンサベーション・アライアンス(Conservation Alliance)と共に、17年間に渡り、公有地と水の保全を通じて地球を守る活動をしてきました。コンサ ベーション・アライアンスは、メンバー企業や個人の支援により、アリゾナ州の面積より大きい7,300万エーカー以上の土地を保護してきました。

2021年、KEENのピナクル・メンバーによる10万ドルの支援は、コンサベーション・アライアンスの自然保護活動の資金として役立てられ、291,300 エーカーの土地、4リバーマイル(河川距離)、クライミングエリア一箇所の恒久的な保護、ダム一基の撤去、バハ・カリフォルニア初の州立公園の設立へ とつながりました。また、コンサベーション・アライアンスは2021年、自然環境の保護活動において長きに渡り人種的な疎外を受けてきた人々と意識的に つながることができる「コンフルエンス・プログラム」を創設し、5万ドルの助成金4件を以下の団体にサポートしました:Apache Stronghold: Protect Chi’Chil Bildagoteel (Oak Flat), Monumental SHIFT Coalition: BI POC leaders protecting our public lands, Southeast Alaska Indigenous Transboundary Commission: Saving our Way of Life, and Valentine Conservation Community Project: Valentine Park and Nature Trail.

資金面での支援にとどまらず、理事会への参加や、KEENメイトが助成先を推薦する際のガイダンスプログラムを提供するなど、積極的なパートナーと して活動しています。

私たちの寄付が活動の役に立った団体:

Outdoor Afro: 25,000ドル(約 2.7 百万円)

KEENは10年以上に渡りOutdoor Afroの誇り高きパートナーとして活動しています。2021年、KEENは、自然の中での黒人同士のつながりとリーダー シップを育てるOutdoor Afroのミッションに対してのコミットメントをさらに高め、25,000ドルの現金を寄付しました。また、今後10年間で10万人の 黒人の若者とその保護者に“Swimmership”(水泳レッスンのための奨学金)を提供する国家プログラムへの支援の一環として、Outdoor Afroとのコラボ 商品開発にも取り組み、2022年春に「Making Waves」KEEN x Outdoor Afroコレクションの販売を開始しました。

Leave No Trace: 25,000ドル(約 2.7 百万円) KEENは、私たちの地球とアウトドアの未来を持続可能なものとするために日々活動するLeave No Trace(LNT)を13年に渡り一貫して支援し続けて います。2021年、LNTは269の教育トレーニングやサービスプロジェクトを主導し、34州で48,000人以上の人々にLNTの信条や理念を伝えました。

KEEN Europe: European Outdoor Conservation Association: 10,723ドル(約 1.2 百万円) KEENはEOCAを通じて、南スペイン・オルヒバのSierra Lujarで行われている森林再生プロジェクトForestSeedersをサポートしています。 Semillistasによるこのプロジェクトでは、Sierra Lujarにある50ヘクタールの地中海森林を再生し、洪水や土壌流出、森林火災を削減することを目指 します。

Us 4 IRIOMOTE: 45,000ドル(約 4.9 百万円)

Us 4 IRIOMOTEは、絶滅危惧種イリオモテヤマネコをはじめとする希少種を育む世界自然遺産の島、西表島の自然と歴史、文化を「明日」に継承する エシカル・ツーリズムを提唱するプロジェクトです。2021年も西表島保護のために様々な活動を続け、島を舞台にしたドキュメンタリー映画「生生流転」 をYouTubeで公開しました。

KEEN IMPACT REPORT 09 ENVIRONMENTAL, SOCIAL, AND GOVERNANCE METRICS

2021 年、KEEN の土地・水資源保護活動への資金援助は合計 351,257ドルとなりました。

KIDS 助成金

KEENは、2014年に子供たちをアウトドア体験に連れていく活動をサポートするKids助成金プログラムを開始。2021年までに、草の根団体への支援と なる112の助成金と2,186,467時間のアウトドアプログラムを提供。132,944人以上の子供たちが大自然と触れ合いました。

2021年には、合計で90,000ドルの現金と40,350ドル分のシューズ支援を含む9つの助成金を提供し、1,091人の子供たちのアウトドア体験をサポート しました。

KIDS Grants 助成先ハイライト: CorpsTHAT. The Deaf-Centric Conservation Corps - メリーランド州・ボルチモア

聴覚障害を持つ若者が自然保護活動を通じてアウトドアを体験できるスチュワードシップ・プログラム(環境保全活動プログラム)を提供。これらのプログ ラムは、自然保護、アウトドア、映像制作のスキルに関連した実体験型のプログラムを通して学ぶことに焦点を当て、アウトドアとのつながりを通じ、自信、 受容、アドボカシー(擁護や支持表明)についての理解促進と推進を目標とします。

その他のKIDS Grants 助成先:

• Chicago Adventure Therapy - Chicago, Illinois

• CorpsTHAT - Baltimore, Maryland

• Elevate Youth - Boston, Massachusetts

• Georgia Audubon - Atlanta, Georgia

• GirlVentures - Bay Area, California

KEEN UTILITY SHE BUILDS 助成金

• Glacier Peak Institute - Darrington, Washington

• Happiness is Camping - Hardwick, New Jersey

• Honor the Earth - Callaway, Minnesota

• Youth Garden Project - Moab, Utah

• Hino Social Education Center - Japan

2021年、KEENは、次世代の女性職人に対して数十万時間の技能教育を提供するため、5年間で100万ドルの投資を行うことにコミットしました。差別、 福利厚生の乏しさ、知名度の低さ、トレーニングプログラムの少なさなどから、職人仕事の世界は長い間男性に支配されており、1980年代以降の女性の 割合はおよそ3%という低い水準に留まっています。KEEN Utilityは、女性用ワークシューズのリーダーとして、より多くの女性を職人業界に迎え入れる という意義ある活動を率先して推進する比類なき立場にあります。発足初年度のShe Builds助成金プログラムは、女性中心の職業訓練学校および組織 の4団体に資金を提供し、151人の女性と少女をサポートしました。

She Builds Grants 助成先ハイライト: Vermont Works for Women バーモント州ウィヌースキーで活動するVermont Works for Womenは、女性や少女が自分の可能性を認識し、経済的自立につながる仕事を探求し、 追求し、そして飛躍することを支援しています。「木に道標の印を付ける人」という意味を持つ「Trailblazers(=開拓者・先駆者)」と呼ばれるプログラム はVermont Works for Womenの研修プログラムのひとつで、女性やジェンダー・エクスパンシブ(gender expansive)の人々が建設や職人仕事の 業界へ参入・成功することをサポートします。

その他のOther She Builds Grants 助成先:

• Black Women Build Baltimore - West Baltimore, Maryland

• Girl’s Garage - Berkeley, California

• Oregon Tradeswomen - Portland, Oregon

THE KEEN CORPS.(キーン・コー)ボランティア活動支援・ポイント付与プログラム 私たちは、ボランティアの力、そして、皆が力を合わせ共に動くことで偉大なことを成し遂げることができると信じています。2021年6月、より多くの人が思い を行動に移せる機会を促進すべく、新たなポイントプログラムを開始しました(日本では2023年開始予定)。KEEN Corps(キーン・コー)は、良い行いを することでポイントを獲得できる世界初のポイントプログラム。KEEN CorpsのメンバーとなったKEENファンは、<ボランティア活動>

寄付> <KEENでの買い物>という3つのカテゴリーを通じてコミュニティへ参加でき、その行動に対してポイントを獲得することができます。自分たちが 行った意義ある活動の成果は個人のダッシュボードで管理することができる仕組みです。KEEN Corpsは、立ち上げから最初の6ヶ月間で、18,073人の メンバーが合計で10,855時間のボランティア活動を行い、草の根団体に118,000ドルの寄付をしました。

KEEN IMPACT REPORT 010
ENVIRONMENTAL, SOCIAL, AND GOVERNANCE METRICS
<非営利団体への

2021年は、2つのKEEN Corpsチャレンジ:「KEENトレイル・クリーンアップチャレンジ」(9月)と「Giving Tuesday 10k Invitational」を開催し、この 新たなムーブメントの立ち上げをサポートしました。

The KEEN トレイル・クリーンアップチャレンジ

2021年9月、KEEN Corpsメンバーがお気に入りのトレイル維持管理団体でボランティア活動をすることで、KEEN Corpsポイントを獲得し、KEEN Effect助成金プログラムへの推薦を行うことができるKEEN トレイル・クリーンアップチャレンジを開催しました。その結果、総額76,120ドル分の現金と シューズを含む7件の寄付が日々意義ある活動を行う以下の団体に届けられました。

• Arizona Trail

• Forest Park Conservancy

• Friends of the Forest Preserves

• Ice Age Trail Alliance

The KEEN Giving Tuesday 10k Invitational

• North Country Trail Association

• Trailkeepers of Oregon

• Volunteers for Outdoor Colorado

• Wildlands Restoration Volunteers

2021年、私たちは、社員、KEENファン、KEENパートナーに、12月の1ヶ月間で10,000時間のボランティア活動時間を達成するチャレンジへの参加を 呼びかけました。このイニシアチブへの取り組みのひとつとして、全米の以下のフードバンクに28,800ドル分のシューズを寄付しました。

• Central Texas Food Bank

• Feeding America Eastern Wisconsin

• Forgotten Harvest

• Mid-Ohio Food Bank

アクティビズム&ボランティア・プログラム

• Oregon Food Bank

• San Francisco Marin Foodbank

• Second Harvest Foodbank Metrolina

“アクティビズム”と “ボランティア活動”は、KEENの中核をなすものです。2005年以来、私たちは年間40時間の有給ボランティア活動に参加しています。 2019年には、社員1人当たり13.38時間、合計5,524時間のボランティア活動を記録しました。パンデミックの影響を受け、2020年は、合計1,022時間 に減少。2021年は、前年からはやや上昇し合計1,496時間。2022年には、再び増加することを期待しています。ボランティア活動のテーマは、環境保護 活動、ユースの指導、地域コミュニティ活動などが中心となっています。

KEEN UNPLUGGED

2021年夏、私たちは社員の心と体の健康をサポートする国際的な取り組みを開始しました。このプログラムは、ワーク・ライフ・バランスの課題、また、 新型コロナウィルスの影響やオンオフの切り替えが難しい世の中から受ける様々なストレス要因や疲労に対処することを目的としています。新たなプログ ラムは、社員がスクリーンから離れ(Unplug=アンプラグ)、「ソト」に出て、活力を取り戻すことに重きを置くKEENの信条の延長線上にあるものです。 以下は、私たちが今後ビジネスを続ける中で新たに、そして恒久的に取り入れる取り組みです。

• Unplugged Fridays: 金曜日、社員は早めに仕事を終え、早めに週末をスタートする制度です。社内の定期ミーティングは金曜日には行わず、 午後1時以降のメール使用も禁止します。

• Together Time Off (TTO): クリスマスから新年にかけては「冬休み」とします。

• KEEN Summer: KEEN 全社員が夏の間に1週間の有給休暇を取ることを推奨します。

• リーダー陣は、社員が“アンプラグ”することを奨励することを誓います。

リモートワークの間はポジティブな企業文化を育むために、グローバル・ギャザリングを毎月開催。KEEN全社員が音楽、情報交換、近況報告などを通じて 交流し、仲間意識を深め心をひとつにしました。さらに、社員一人当たり年間500ドルの健康手当を支給。料理教室やトレーニング機器、ジムの会費、 オフィスで使えそうなものなど、自身の健康と幸福のために重要だと思われるものに使用できるようにしています。

2022年はこれらのプログラムをさらに充実させることを計画しています。

ENVIRONMENTAL, SOCIAL, AND GOVERNANCE METRICS

KEEN IMPACT REPORT 011

2 DETOX THE PLANET

10,000 KG

9,800 KG

有害化学物質を除去 100% PFASフリー

5/6

2018 年から

2018 年から

2003年から

2018 年から

2015 年から

2025 年までに20%、2030年までに33%

KEEN IMPACT REPORT 012 100% FREE 100% FREE 98% FREE * 100% FREE
実施タイミング 2. PFAS 5. 特定の化学物質 1. 殺生物剤 4. 主たるフタル酸エステル類・ビスフェノール類
100% FREE 6% FREE
3. 難燃剤 6. 一部の溶剤 6 種類の有害化学物質 達成率 2021 年、有害な化学薬品の使用を回避 2021 年、フッ素化合物(PFAS )の使用を回避
ENVIRONMENTAL, SOCIAL, AND GOVERNANCE METRICS
* “PFC Free” の現在の基準となる化学物質

“FOREVER CHEMICALS= 永遠の化学物質 ” の除去 KEENの目標はとてもシンプルです。それは最も有害なクラスの6種類の化学物質を100%使用しないフットウェアを作ること。私達は2014年にこの 活動をスタートさせ、11,000時間以上の年月と120万ドル以上の資金を投入しました。KEENはこれからも、この道にこだわり続けます。

私たちの日常生活には何十万種類もの化学物質が存在しています。なかでも自然環境や人体への影響に関して特に懸念されているのが「6種類の有害 化学物質」で、その多くが世界中のサプライチェーンに存在しています。

KEENにとって、自分たちのサプライチェーンからこれらの化学物質を除去することが、この9年間の重要なミッションでした。その結果、課題を飛躍的に 改善し、今後もこれらの化学物質がKEENの製品や工場から一切検出されなくなるよう努力を続けます。

私たちは一般的な消費財に含まれる6種類の有害化学物質のうち、5種類の使用を回避、または除去することに成功しました。これから取り組むべき最後 の分類は溶剤です。KEENは、これまでと同じエネルギーを費やしてこの課題に取り組んでいきます。

1. 殺生物剤 = 2018年から100%不使用 2021年には、10,000キログラム(2015年の廃止プログラム開始以来51,000キログラム超)。

抗菌剤、殺生物剤、農薬は発がん性があることが知られているにもかかわらず、消臭・防臭対策としてシューズ類に広く使用されています。そこでKEENは、 最先端の環境対策技術を持つパートナーと協力して、安全で効果的かつ手頃な価格の天然原料を使用した代替技術を開発しました。それが乳酸菌プロ バイオティクスをベースに微生物の働きで臭いを分解するEco Anti-Odorです。自然環境への負荷を低減しながら従来同様の防臭効果を発揮するこの 技術は、すべてのKEENフットウェアに採用されています。

2. PFAS = 2018年から、98%以上で不使用

PFAS(パーフルオロアルキル、ポリフルオロアルキル物質)はありとあらゆる場所で見つかっており、この数字が、現在到達できる「PFASフリー」の最高 レベルといえます。

PFASとは、衣類をはじめ、私たちの身の回りの商品で表面の汚れ防止や撥水剤として広く使われているフッ素系化学物質のことです。便利な一方、この 物質は、発がん性、変異原性、生物蓄積性のある有害物質として知られており、地球上の水の循環や食物連鎖を通して人や動物の体内にいつまでも残留 します。KEENは2018年以降、重さにして68,000キログラム以上のこの有害な化学物質が環境中に排出されるのを防いできました。

3. 難燃剤 = 2003年より100%不使用

物を燃えにくくする『難燃剤』は主に臭素系と安息香系の化学物質で、神経障害、皮膚刺激、吐き気、嘔吐、昏睡、麻痺など様々な健康障害の原因となる 有害な内分泌撹乱物質として知られています。

4. 主たるフタル酸エステル類とビスフェノール類 = 2003年より100%不使用

フタル酸エステル類は、プラスチック材料や部品製造に使用されるプラスチック軟化剤です。

喘息、注意欠陥障害、乳がん、2型糖尿病、自閉症スペクトラム障害、生殖器官の機能障害との関連が指摘されています。

5. 特定の化学物質 = 2015年から100%不使用

カドミウム、ヒ素、水銀、鉛は、中枢神経系に神経障害を引き起こす毒性で知られています。これらは繊維や素材を汚染している不純物です。KEENはRSL ポリシーに基づいてこれらのスクリーニングを行い、製品から排除しています。

6. 一部の溶剤 = 6% 不使用  KEENフットウェアのうち、25 年までに20% 、30 年までに33% 不使用を目指します

溶剤は、フットウェアの部品を接着するために広く使用されている揮発性有機化合物(VOC)で、呼吸器系や神経系の機能に悪影響を及ぼし、発がん性 のあるものもあります。KEENは2020年に水性接着剤のテストに成功し、2021年春にはいくつかのシューズで溶剤ベースの生産ラインを切り替えること になりました。KEENは、この道を進み続けることを約束します。水性接着剤やダイレクトインジェクション工法に切り替えることで、サプライチェーンで働く 人々の健康リスク、また、温室効果ガスを削減していきます。

KEEN IMPACT REPORT 013 ENVIRONMENTAL, SOCIAL, AND GOVERNANCE METRICS

2025 年までに PFC/PFASフリー化に挑戦

2014年、KEENは「Detox the Planet」プロジェクトの最初の目標のひとつとして、「永遠の化学物質」とも言われるフッ素化合物で、有害なPFCsを 完全に排除する自主的な取り組みをスタートし、積極的に進めてきました。2018年までにフットウェアの製造工程からPFCを排除するために、4年間で 120万ドル以上の投資と11,000時間以上の試行錯誤を費やしました。その結果、180トンものフッ素系化学物質が環境中に排出されるのを防ぐこと ができました。

2021年1月に競合他社の1つであるSalomon(サロモン)がPFCフリーとなったことを発表するまで、KEENは、大手アウトドア・フットウェアブランドの 中では唯一、サプライチェーンからPFCを段階的に排除してきたメーカーでした。Salomonのニュースを受け、KEENは、ニューヨーク・タイムズ紙に全面 広告を掲載し、競合他社のPFCフリー化を祝福するとともに、全てのアウトドア・フットウェアブランドが2025年までにPFCフリー化を成し遂げることを 提案するという大胆な挑戦に挑みました。このチャレンジを実現・成功させるために、2021年3月、私たちは自身のPFC/PFASフリー化への道のりや 経験、そしてノウハウを概説した「グリーンペーパー(Green Paper)」を発表しました。他のフットウェアメーカーがこの挑戦をより効率的に進めること ができ、より少ない時間で私たちと同等またはそれ以上の成果を得られるよう、パートナーリソース、費用に関すること、貴重な関連文書、その他にも、 フリー化を成し遂げる過程で私たちが学んだ多くのことを記したロードマップを皆さまに共有したのです。

こうした一歩一歩がアウトドア業界全体にインパクトを与え、ライバル関係を超えて一緒に取り組めるようになれば、より大きな変化をもたらすことが できると考えています。

KEENはこれからも、PFASフリーの未来を提唱し、アウトドア業界の各ブランドや、この取り組みで重要な役割を持つ小売店、パーツサプライヤーの皆さま と協力していきます。

セールスサンプルの無駄を省く

2年前、環境への影響を削減すべく、私たちは独自の技術、方法、ツールを用いて、この業界、そしてKEEN自身が販売員のサンプル使用を劇的に変えると いうミッションに着手しました。その結果、2019年から2021年にかけて発注されたサンプル数は71%減と劇的な変化を見ました。2022年に 入っても、引き続きこの数字が減少することを期待しています。

KEEN IMPACT REPORT 014 販売員サンプル 43,869 90,855 2019 0K 20K 40K 60K 80K 100K 2020 2021 26,436 サンプル数 ENVIRONMENTAL, SOCIAL, AND GOVERNANCE METRICS

水資源の循環

「ゼロ・ウェイスト」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。「クローズド・ループ」、「ゆりかごからゆりかごまで」とも呼ばれる資源循環のことです。 資源をできるだけ長く活用した後に回収・再利用することで、廃棄物を生産工程から排除し、環境負荷を最小限に抑えるための方法です。

完璧な循環システムの実現はKEENにとって長期的な目標ですが、自社工程やパートナーとの協力を通じた取り組みを少しずつ始めています。インド・ ラニペットにあるLeather Working Group (LWG)のゴールド認定タンナーと提携することで、2021年単年で、なめし工程での水の使用量を約35% 削減することができました。なめし工程から出た大量の排水はろ過処理がされ、きれいになった排水は、その実に95%が(5%は処理中に蒸発)次の革を なめすために再利用されています。

この排水循環システムにより、地域社会での生活や農業にとって欠かせない水資源である地域の河川に排水が流れ出ることを防ぎます。また、何よりも まず、ひどく汚染された排水が地域の河川流域や帯水層に流れ込むというリスクを排除することを可能にします。さらに、水だけでなく、なめし工程で使用 されるリサイクル可能な塩分やクロム鉱物についても回収・再利用することを可能にしたこの処理システムは、なめし工程の未来をより循環性の高いもの としました。

この工程と処理能力を持つLWGゴールド認定タンナーは、世界のタンナーの約5%に過ぎません。KEENはこのゴールド認証を取得したパートナー企業 とのみ仕事をしています。

なめし処理工程による成果を正確に数値化できるデータはありませんが、水、塩、クロムの現在の指標を正確に数値化し、2022年以降の目標を設定する ために、パートナー企業と協力しています。

LWG によって、ゴールド認定を受けた工場の水の循環図

1

LWG によって、ゴールド認定 を受けた工場のクローズド・ ループシステムを循環する水

処理後の水の 95% をなめし

工程に再利用( 5% は蒸発)。

なめし排水の 循環図

2 4

3 なめし処理後の水を、ろ過と逆浸透膜で 処理。塩分やクロムを除去します。

水は革のなめし処理に使用。

この工程で塩類、クロム類も 使用。

KEEN IMPACT REPORT 015
ENVIRONMENTAL, SOCIAL, AND GOVERNANCE METRICS

工場に残る廃材をアップサイクル

誠実なシューズ・メーカーであるためには、シューズ作りに情熱を注ぐだけでなく、埋立地行きの廃棄物をどれだけ減らせるかという課題にも注力しな ければなりません。KEEN Harvestは、廃棄・埋立される予定だった消費者廃棄物を有効活用し、新たな製品へとアップサイクルするというシンプルな コンセプトのもとに開発されました。KEEN Harvestの始まりは15年前。コメ産業で出た産業廃棄物を利用してHarvest製品を作り始め、それ以来、 自動車のエアバッグから出た端材はバックパック、トートバッグ、メッセンジャーバッグ、財布として生まれ変わり、デニムの端材はシューズとしてリパー パス(別の目的のために再利用)され、コーヒーの豆袋は2回のアップサイクルを経てバッグとなりビーチサンダルとなり、究極のリサイクル品が誕生して きました。2021年には、アウトソールで51%、ミッドソールで35%の石油化学製品を農業廃棄物に置き換えた、史上初の植物由来のPUソールを採用 した、Elsa and Eldonシリーズを発表しました。

私たちが目指すのは産業廃棄物問題の解決策を提供すること。KEEN Harvestはそれを実現可能にし、生産に必要なバージン素材や石油化学製品の 量を減らすことにも貢献します。2022年初旬には、シューズにアップサイクルされた産業廃棄物の量を具体的に数値化することで透明性を確保できる よう、KEEN Harvest認証プラグラムを開始。この認証プログラムは、ゴールド(50%以上のアップサイクル素材)、シルバー(25%以上)、ブロンズ(10 %以上)の3つのレベルに分類され、2021年後半には、アッパーの80%が車のレザーシートからのアップサイクルであるKEENオリジナル・Howser Harvestコレクション(ゴールド認証)をリリースしました。

KEEN IMPACT REPORT 016
ENVIRONMENTAL, SOCIAL, AND GOVERNANCE METRICS

3

DISASTER RELIEF 災害支援

2021年度の被災地支援

2,790 万円 製品と現金の合計額

KEENは、2003年に設立された、まだまだ出来立ての企業ですが、設立当初から私たちは、サポートが必要な人々に寄り添うことを大切にしてき ました。2004年に東南アジアを津波が襲い、数十万人もの人々が亡くなり、何百万人もの人々の生活が影響を受けました。壊滅的な被害のニュース が届いた時、私たちはわずか数分で、小さな会社を前進させるために使う予定だった予算を津波救済プログラムに振り向けました。このコミットメント とそれを支える精神は、今も私たちのビジネスとともに成長し続けています。過去18年間で、気候災害への対応の一環として1,000万ドル以上の現金 と製品を寄付してきました。

KEEN IMPACT REPORT 017
ENVIRONMENTAL, SOCIAL, AND GOVERNANCE METRICS

気候災害支援 2021年は、5つの大きな災害支援に対応しました。

ケンタッキー州の竜巻では、United Way KentuckyとGood 360に75,000ドル分のユーティリティー・ブーツとアウトドア製品を寄付しました。

コロラド州ボルダー郡マーシャルで発生した「マーシャル火災」では、The Boulder Community Foundationに10,000ドル分のユーティリティー・ ブーツとアウトドア製品を寄付し、また、この山林火災で家を失ったKEEN販売パートナー従業員のためにケアパッケージを用意・配布しました。

カナダ・ブリティッシュコロンビア州の山火事と洪水では、20,000カナダドルをRed Cross BC Wildfire Reliefに寄付し、keenfootwear.com/ca を通じKEENファンの皆さまの協力を得て10,000カナダドルのさらなる支援を集めました。洪水の救済支援として5,000カナダドルをAbbotsford Community Fundに寄付しました。

北西ヨーロッパに位置するオランダ・ベルギー・ドイツでの洪水被害では、Red Cross Germany、KSK Ahrwiler、NRW Hilft の3団体に合計12,000 ユーロを寄付しました。

静岡県熱海市の土石流被害と佐賀県の豪雨災害では、KEEN Japanは、被災地で災害支援活動を展開するOPEN JAPANの活動をサポートするため にマッチング・ドネーションを実施。KEENファンの皆さまと一緒に500万円を寄付しました。

KEEN IMPACT REPORT 018 ENVIRONMENTAL, SOCIAL, AND GOVERNANCE METRICS

TRANSPARENCY & ACCOUNTABILITY 透明性と説明責任

継続的な発展を確実にするために以下を実施していきます。

1. 年次インパクトレポート

毎年、下記の重要な3項目の進捗状況を報告します。

• 助成金の合計金額

• 土地と水の保全

• 社員のボランティア時間

• 社内のダイバーシティ目標

• エネルギー KWH

• 水 ガロン

• 炭素/温室効果ガス

• 行動規範の遵守

• 制限物質(RSL)への対応

• 6 種類の化学物質の使用廃止

• 進捗状況 その他の取り組み

2. 四半期レビュー

私達は説明責任を果たすために以下のツールや基準を使用しています。

HIGG インデックス

• 支援団体の活動を支える寄付金

• 支援団体と被災者への靴の提供

• 社員のボランティア時間

KEENは、『HIGGインデックス』を採用して7年目になります。これは、アパレル業界の国際サステナビリティ団体Sustainable Apparel Coalition(SAC) が運営する環境自己評価ツールで、特定の分野ごとのサステナビリティについて、パートナー企業や同業他社との間に透明性を高め、説明責任を果たし、 進捗状況を追跡するためのツールです。2021年には、5つの工場でこの評価を開始しました。2022年の測定結果は、2023年以降の進捗状況や対応策 を報告するための基準となります。

HIGGインデックスの詳細はこちら(英語)

ENVIRONMENTAL, SOCIAL, AND GOVERNANCE METRICS

KEEN IMPACT REPORT 019
ACCESS AND INCLUSION DETOXING THE PLANET DISASTER RELIEF

主要分野についてサプライチェーン毎に月次、四半期、年次の内部査定と報告

• エネルギー KWH(使用量/削減量)

• 水 ガロン(使用量/削減量)

• 炭素/温室効果ガス(使用量/削減量)

• 行動規範

• 使用制限物質リスト(RSL)

行動規範

当社の行動規範は、従業員と第三者がKEENと関わりを持つ際に求められる原則、基準、道徳的・倫理的な指針を示しています。行動規範が100% 遵守されることで、従業員、契約スタッフ、パートナー、ベンダーが原則と基準を広く保持していることを保証します。

KEENの行動規範を読む(英語)

制限物質リスト遵守報告書

材料・部品の100%コンプライアンス 工場・ベンダーの100%コンプライアンス

Intertek Testing Services 、Bureau Veritas 、SGS Testing Servicesによる第三者試験/検証

KEENの制限物質ポリシーはこちら(英語)

“See Something Say Something” トレーニング

KEEN は、“action takers=行動する者”の集まりです。一人一人が『正しい行いなのか?』ということを常に考えて行動し、一人一人が声を上げられる 場所でありたい。製品やプロセスをより良くするためのアイディア。社会や環境に関する懸念。それが何であっても、何かを感じたら、何かを見たら、迷わず 声を上げられる場所でありたい。この理念は、私たちの行動規範にも盛り込まれています。気軽に、そしていつでも(希望により匿名で)意見を述べること ができるような社風であることを目指し、社内の目につく場所でのポスター掲示や、信頼して相談できるEメールや電話番号の設置など、何かを感じたら、 何かを見たら、言葉にできる場所でいられるよう日々努力を続けていきます。

KEEN IMPACT REPORT 020
ENVIRONMENTAL, SOCIAL, AND GOVERNANCE METRICS

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