Qianrong Fu's Portfolio Japanese Version

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Towards a Inclusive Future:

A Portfolio of Service, Event, Exhibition and Space Design

慶應義塾大学大学院 メディアデザイン研究科

展示空間デザイン 知的障害者向けのアート活動

自閉症を持つ子供向けの

アートセラピーセンター

01

知的障害者向けの

体験型アートワークショップ

日本千葉県八千代市

この企画は、Adaptive Art(アダプティブ・アート)の コンセプトを応用し、テーマ別の布手芸ワークショップを

開催することで、知的障害者がより多くのつながりを持ち、 地域コミュニティーに参加することに貢献するサービスに

焦点を当ててる。価値共創の重要性を認識した研究チーム は、地域のギャラリーや地域障害者支援センターなど地域

のアクターと協力し、千葉県八千代市でクリスマスをテー マにした布手芸コラージュワークショップを実施した。

知的障害のある6人の参加者が、使いやすい布の素材と道 具を使って、1時間で個々の作品をコラージュした。完成 したアート作品は2023年12月と2024年6月にギャラ リーで展示され、アダプティブ・アートと布手芸の組み合

わせの大きな可能性と、包括性の向上や社会のつながりを 育むことへの価値を示した。

フィールドリサーチ

知的障害者が直面する社会的問題

知的障害者は、身体的およびコミュニケーションの障壁、社会活動へのアクセス制限、社会的孤立など、

地域社会への参加を妨げる課題に直面しています。特に重度の障害を持つ人々にとって、これらの制限 に対処し、社会的接触を強化することは非常に重要です。頻繁でない社会的接触や小さな社会的ネット

ワークによる社会的孤立の経験を減少させ、身近なケアや住居の枠を超えた有意義な活動に参加するこ とが、知的障害者の生活の質を向上させるために不可欠である。

協力した関係者

八千代オーエンス市民ギャラリー

八千代オーエンス市民ギャラリーは、ワークショップの開催会 場であり、すべての人により包容的なサービスを提供すること

を目指している福祉施設である。広い廊下やスロープで車椅子 利用者にも対応し、スタッフは障害のある方にも親切なサポー

トを提供できるよう訓練されている。

こいけ障害者支援センター

創造的な活動を通じて生活の質を向上させることを使命とし、

街の清掃やスポーツ、音楽イベントなどを通じて地域社会への 参加を促進している。スタッフは利用者の個性を尊重しつつ、

身体機能や生活スキルの向上をサポートし、社会参加の機会を 広げることを目指している。

デザインプロセス

知的障害を持つ支援センターの利用者の特徴

- 言語的なコミュニケーションに難がある

- 手のコントロールがうまくできなく、多くはハサミを使った経験がなかった

- 10分から15分しか集中できず、不安を感じる時に叫ぶ

- 新しいことを学ぶ時、視覚的なファシリテーションガイダンスが必要

コンセプト:アートセラピー、アダプティブ・アート

手工芸やアート制作に取り組むことは、有意義で治療的な方法として認識されており、Art Therapy(アートセラピー)とも呼ばれ、特に知的障害を持つ人々にとって有益である。

Adaptive Art (アダプティブ・アート)、あるいはアウトサイダー・アートとは、ツール、メディア、

障害者用の文房具等を含め、アート制作プロセスを簡素化しようとする分野である。この分野は、ユ ーザー中心のアプローチや、専門的なケアを必要とする人々の繊細なニーズに基づいている。

ワークショップデザインする時の注意事項

楽しさを重視してテーマを選ぶ

- 季節に関連する行事飾りをテーマとしてイベントを企画する

- 身近なもの(食べ物、スポッツ)をとしてイベントを企画する

参加者の特徴を考慮し、制作プロセスを可能な限り簡素化する

- 参加者が手のコントロールがうまくできないため、使いやすい道 具や、予めカットされた材料を用意する

入手しやすくユーザーフレンドリーな材料を使用する

- 参加者が怪我をしないよう、日常生活で慣れ親しんでいる安全な 材料を選ぶ。

参加者と支援者共同作業

02

「CRYSTALVISIONS」

Keio Media Design Exhibition, Tokyo, Japan

KMDフォーラムは、慶應義塾大学メディアデザ イン学科(以下、KMD)が毎年開催している、学生の 作品発表の場である。KMD設立15周年を記念して、 2023年のテーマは「Crystal」だった。KMDの学生 たちの社会に対するアイデアや構想の輝きと多様性を

象徴している。キュレーションの準備期間中、私は展 示スペースとブースのデザインを担当し、グラフィッ

クビジュアルチームと緊密に協力しながら、KMDメン バー全員の作品に焦点を当てた、魅力的で総合的な展

示会を作り上げた。

KMDフォーラムでの役割は、展示スペースのプランニングとブースデザインだ。ビジュアル・チーム

が作成したビジュアル・リファレンスを相互作用させることによって、私は「クリスタル」のコンセプ トに対応する形のクリスタル・ブースのアイデアを設計した。スペースデザインの専門家とチームメン バーと協力し、クリスタルブースの構造を作り上げ、2023年の展示会場で使用した。

ブースデザイン

Venue Entrance Rendering 3Dモデルレンダリング写真

Sense With Body

自閉症を持つ子供向けのアートセラピーセンター

このプロジェクトは、自閉症スペクトラム障害(ASD)の 子供たちの多感覚統合デザインに取り組み、彼らが馴染み のない環境にさらされているときに快適に感じられるよう にするためのものである。自閉症の子供たちの感覚体験は 通常の人々と異なる。自閉症の行動と感覚デザインの問題 との関係を解決するため、内部空間の設計はアートセラピ ー・センターで行った。アートセラピーは感覚統合療法と

されており、想像することやグループワークを通して感覚 能力を改善し、運動能力を刺激することができる。

感覚鈍麻グループセラピー室

感覚過敏個別セラピー室

音響装置の異なる部分に触れたり、踏んだりす ることで、光と音が彼らの身体の動きと共に再 生される。

感覚鈍麻個別セラピー室

多感覚インタラクションのコンセプトを活かして、 アートセラピーのボックスのアイディアが空間にも 適用される。子供たちは、自分が作業したい異なる サイズの織機を選ぶことができる。

この表面には六角形のタッチセンサー照明が入っている。センサーを 触れることを通じて、手を汚さず自由にパターンを作ることができる。

この表面は、子供たちは自由に弦を弾き、音が出せる。

この表面にあるターンテーブルを回すと、小さいおもちゃが出てくる。 プロジェクトの初めに、Stretch|Colorからのインスピレーションを受け、手作りの視覚的・音響的なアー トを通じて感情を表現するのを助ける7才〜12才の子供たちの身長と同じくらいのサイズのインタラク ティブなアートセラピーBOXを作ることにした。

この面は横糸がセットアップされた垂直織機である。子どもたちは、織 りを通じて、忍耐力を鍛えられる。織機の下には収納引き出しがある。

自閉症は行動や症状に基づいて、主に感覚過敏と感覚鈍麻の二つのカテゴリーに分類することが出来る。 従って、私が設計したセラピールームでは、感覚過敏グループは素材のバリエーションが少なく、色合い が抑えられたものにし、一方で感覚鈍麻グループは素材の質感が豊かで飽和した色合いを取り入れている。

感覚過敏

- モジュール化された環境を好む - 体のバランスをとるのが難しい。

触覚、聴覚、視覚の感覚を 鈍く感じ、連続して集中す ることが難しい。 感覚過敏グループは、飽和し た色、異なる質感、特定の場 面に非常に敏感だ。

- 同じ環境を好む - 繰り返し行動する傾向がある。

感覚鈍麻

デザインの現場はニューヨークミトパーキング エリアにある建物である。この建物自体が他のス トリートブロックに繋がっていないため近くを 通る人から見つけられやすく、アクセスもしやす いからである。また、周囲には繁華街や美術館、 レストラン、公園などさまざまな施設等があり、 建物の周囲にはオープンテラスもある。

感覚過敏自閉症と感覚鈍麻自閉症の両方の子供たちが共有する共用スペースでは、階段の床に設置された 機器が彼らの体のバランストレーニングを助ける。感覚過敏自閉症と感覚鈍麻自閉症の両方の子供たちは、 体のバランス、集中力、他者とのコミュニケーションに問題を抱えている。アートセラピーセンターの中 心にある共用インテリアスペースは、これらの症状の改善に役立つ。

Hypersensitive

Hyposensitive

1. 受付

2. 診察室

3. 感覚過敏個別セラピー室

4. 感覚鈍麻個別セラピー室

5. 共用スペース

6. 感覚鈍麻グループセラピー室

7. 感覚過敏グループセラピー室

8. 感覚過敏休憩室

9. 共用休憩室

10. 感覚鈍麻休憩室

11. 化粧室

12. 保護者待合所

04

Suture the Green Space

このプロジェクトは、ニューヨーク市内の利用されていない建物 を再活用する提案である。修復された工芸品から生まれたパフォ ーマンスの品質に由来する「縫合(suturing)」という用語をコ ンセプトに用いて、私のデザインはコミュニティに近くのツール 共有のリソースと、室内植物の教育ツールの機会を提供する。内 部環境と周囲の公園とのつながりを強化するために、植物要素を 構造デザインに取り入れています。植物のある家具やツールカー トは移動可能であり、室内と屋外のつながりを築き、空間を縫合 する。

Surrounding Area

プロジェクトの現場は完成したStanton Buildingという場所である。公園自体の進化 について詳しく探求し、最終的にはStanton Buildingの進化についてまとめます。私の意 図は、時間の経過に伴う変化を示すことで、コ ミュニティの現在のニーズに対応するだけでな く、周辺の自然環境と公園の独自の歴史にも応 えるデザイン上の決定を助けることである。

Activity Diagram

Elevation Drawing

Aerial View

Stanton Buildingは、マンハッタンのロウアー・イースト・サイドにあるSara D. Roosevelt Parkに位置 している。この建物を室内庭園とツール共有スペースとして再活性化することがデザインの目標である。

壊れたスナックのパッケージを修復することから始め、それを基にコンセプトをさらに発展させた。

プラスチックのスナックの袋の修復に焦点を当て、コミュニティセンターのデザイン に「縫合」、「拡張」、「接続」というコンセプトを取り入れた。

「縫合」「拡張」「接続」というコンセプトを発展させ、内部環境と周囲の公園とのつながりを強化す るために、植物の要素を構造デザインに取り入れた。これには、室内の垂直庭園、壁に取り付けられた 植物袋、ガードレールに沿って育つ食用植物などが含まれる。植物を備えた家具やツールのカートは移 動可能であり、屋内と屋外のつながりを構築し、内部と外部を縫い合わせる。

The vertical garden embedded in the wall connects the cellar and first floor.

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